CoRich舞台芸術アワード!2023

「チョークで描く夢」への投票一覧

1-4件 / 4件中

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投票者 もらったコメント
jokermanjokerman(1327)

3位に投票

実演鑑賞

実在のチョーク会社を舞台にした作品だが、心が痛くなるシーンもある。最後は人間を信じたくなる。
初日に観て、あまりにも良くて楽日に滑り込んで2度目の観劇。やはり素晴らしい。心が痛くなる部分と安らかになる部分がある。奇麗事を実行する。障がいは個性。話せば分かる。

 現時点で従業員の7割が障がい者という実在の会社を舞台に、最初の障がい者が入社する時代を描く昭和34年が1幕、2幕は令和の今、障がい者を雇用したことで起こる事件を描く。「障がいは個性である」とは良く言われることだが、それを頭で分かっても体現することは難しいと思う。それを如何に乗り越え、また、起こる事件にどう対応するのか、を、丁寧に描く。1幕はやや都合が良過ぎる気もするけど、演劇的に許容されるギリギリのレベルだろうか。2幕の事件は予想外だったが、確かにそういったことは起こりうると思った。1幕で登場した、他の従業員と対立する菅井の存在と受け入れられ方が、実は大きい出来事だと思う。演じた川崎初夏は、2年ぶりの出演となる劇団員だが、静かだが強いキャラクターを見事に演じた。川崎はじめ、手慣れた役者陣と若手の熱演が心地好い。2幕で上司に逆らって主張する社員の今岡を演じた小崎実希子がいい。

 実在するチョーク会社を舞台にした作品だが、綿密な取材を経て書かれたのがよく分かる。1幕は障害者を雇用するまで、と、雇用し始めた頃をちょっとだけ描く。昭和30年代で戦争の爪痕も残り、差別的な発言も今より多かった時代で、心が痛くなるセリフもいっぱいある。国鉄、というセリフにはチョットばかりドキッとしたが、穏やかに落ち着く展開でホッとする。これだけならば、よくある話とも言えるが、問題は2幕。現在の同社で障がい者が7割いるという現状で起こり得る健常者と障がい者のぶつかり合いを描き、ハラハラするけれども穏やかに終わる。本作がいいのは、「障がい者」と呼ばれていない人も同じ悩みを持つことを大事に扱っていることで、1幕の菅井と2幕の今岡の存在が大きい。 初日に観て、若干ぎごちないと思ってた部分がなくなり、スムーズに展開されていた。2度観て良かった。
 アフタートークで同社の社長が「奇麗事だと言うかもしれないけど、それをやるんです」と言ったとか…。なかなか言えないことだと思う。

 同劇団を初めて観たのが2003年8月の『トラッシュマストラント2003』だからもう観て20年になる。吉田羊という女優を知ったのも同劇団。最初は独特のコメディをやっていたのが、いつの頃からか社会派と呼ばれるようになった。いつもだと2つ(以上)の対立する意見を双方が述べて、白黒付けるわけでもなく終わる、という心が痛くなる舞台をすることが多い。前作『入管収容所』はその最たるモノだったが、本作では当パンで中津留も言っているが、心がホッとするような物語になっているのが何よりも良い。

数学者の奥さん数学者の奥さん(3658)

2位に投票

実演鑑賞

開幕直前のタイミングで「時代背景に基づく不適切な表現…センシティブな表現や大きな声・音が出るシーン…観劇中にご気分が悪くなられたお客様は…キャンセル・払い戻しも承らせて…」といった内容のメールがチケット購入先から届き、恐る恐る見に行きましたが、気分が悪くなるどころか、心がいっぱいに、目頭が熱くなる作品でした。

24時間テレビで放送された『虹色のチョーク』が同じ会社を取り上げたドラマということで、良い予習になりました。第2部がこの劇団の真骨頂でしたかね。既に代替わりして、障害者雇用ではベテランの域になっていながらも、まだまだいろんな問題に直面し、新たな気づきや成長の多い波乱万丈の物語に、見ているこっちはハラハラドキドキ。怖い近未来予想が得意の劇団ですが、たまにはこういう心あたたまる系もいいですね。

arugoarugo(231)

5位に投票

実演鑑賞

二部構成がすごい活きてる。
一部も良い芝居なんだよね、良くは出来てるけど、今まであった範疇とゆうか。
現実はこの一部のところにも到達してない気もしたり。
一部を踏まえての二部、障がい者の社会進出がすすめば、当然、障がい者がハラスメントする側にもたつっていう。
役者の役の役の変わり方もすごい演劇的に面白くて、ね。
稽古すすめるにあたっても、このニ役は相当に考えさせられるだろうなって。
僕は基本、演劇として面白ければいいって立ち位置なんだけど、この芝居にはテーマ的なところでも唸りました。

コナンコナン(1446)

1位に投票

実演鑑賞

あまりに胸がいっぱいに、感動に包まれ終演後しばらく席を立てなかったです
長きに渡って知的障害者雇用を続けてきた企業の物語ではありますが、社会生活を営むうえで、全ての人に共通する大切な考え方がギッシリ詰まった公演であったと強く思いました
できるだけ多くの方々が、可能であれば一緒に働く会社の人達と(学生さんであればクラスメイト達と)観劇して感想を共有することが出来たのなら、かなり貴重な体験になるのではないかと願いにも似た気持ちになりました

TRASHMASTERSさんの公演であるから徹底した取材をもとにリアルな迫力をもって訴えかけてくる作品であろう事は過去の公演で実証済
なので障害者雇用に伴う問題点やその会社の奮闘ぶりを部外者の立ち位置からドキュメンタリー的な観点で堪能するつもりだったのですが、いつの間にか一緒になって解決の糸口を見つけだそうと躍起になっている
登場人物それぞれの想いを噛みしめてはどうすればいいのかと困り果て、どっぷり作中にハマり込んでいました

障害者と健常者、いやそれだけでなく色んな立場の人間が己の利益や尊厳をかけてぶつかり合うのは至って自然な事
現実にはもっと自己中心的な人間(他者の事情を一切気にかけない人間)がいて、ただでさえ難しいコミュニケーションを修復不可能にしてしまう事もあり得るわけで、その方がよりリアルかと一瞬思ったりしましたが、あえてそこまでの配置をしなかったは見事な英断
全ての事には意味がある
とことん他者を理解しようという意義と難しさ
その先に待ち受けている「幸福」がテーマであったと思えました
力強く とことん深い、素晴らしかったです

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