CoRich舞台芸術アワード!2022

「パンドラの鐘」への投票一覧

1-2件 / 2件中

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投票者 もらったコメント
jokermanjokerman(1327)

7位に投票

実演鑑賞

23年ぶりに観たが、若さを感じた舞台だった。面白い。140分。
 野田秀樹が蜷川幸雄に依頼されて書いた戯曲で、蜷川版(コクーン)と野田版(世田谷パブリックシアター)が同時に上演され話題になった作品を、今回は杉原邦生が演出したが、過去の両作とも観た者として思い出しつつの観劇だった。ミズヲ(成田凌)とヒメ女(葵わかな)の淡い恋を描きつつも社会性のある内容が印象に残っていたが、丁寧に伏線を張りエンターテインメントとしてもしっかりした作品である。今回は主軸となる葵の若さが光っていたと思う。初舞台の成田は前半やや上滑りな印象があったが、後半の葵との2人のシーンから安定し終盤をしっかり背負った。ピンカートン未亡人を演じた南果歩とその娘を演じた前田敦子の母娘コンビのブッ飛び振りも興味深く観た。
 野田版で野田本人が演じたヒィバアを演じた白石加代子はさすがの貫禄だったが、カーテンコールで一人一人舞台後方から走って来るのは、ちょっと気の毒。お決まりのように3回のカーテンコールをするのも…(ー_ー);。

 狂王の遠眼鏡は、大正天皇に関して語られた噂で、その狂王の次の王ということでヒメ女は昭和天皇だから、昭和天皇の戦争責任を扱った、と当時語られたのを思い出す。

kikikiki(537)

1位に投票

実演鑑賞

古代の王国と太平洋戦争開戦前夜の長崎を行き来しながら描かれる物語は、クライマックスに至ってミズヲの記憶と彼の名前の意味をはじめとするたくさんのモチーフがそれぞれにつながり怒涛の勢いで感情を揺るがしていく。鐘に隠された秘密。太陽。水を求める人々。ヒメ女の決断。それを見守るミズヲ。

今回が初舞台だという成田凌さんから舞台女優の代名詞のような白石加代子さんまで、キャストがそれぞれ魅力的で個性的な登場人物たちが皆愛しく感じられた。

演出や美術も印象的だった。たとえば、随所に加えられた和のニュアンスが、無国籍な古代王国の印象をこの国に繋ぎ止めていた。

ラストで舞台の向こうの搬入口が開かれ、現在の渋谷が見えた。劇中で問われた何かが、現実の街に重なる。蜷川幸雄さんの演出を思った。

そういえば、この公演はNINAGAWA MEMORIALと銘打たれている。演出の杉原邦生さんが意図的に蜷川さんのテイストを取り入れたのだろう、と思うと胸が熱くなった。

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