CoRich舞台芸術アワード!2020

「雉はじめて鳴く」への投票一覧

1-7件 / 7件中

※投票内容を「非公表」に設定しているメンバーは表示されません。

投票者 もらったコメント
kikikiki(537)

5位に投票

チラシの文面や写真からの漠然とした(メロドラマチックな)予想などかすりもしない切実な内容に惹きつけられた約2時間。戯曲・演出・キャストそれぞれの確かさが美しく実を結んだ、見応えのある舞台だった。
登場人物にリアリティがあって、いろんな場面で身につまされた。なかでも健の母親を演じた清水直子さんの演技は凄まじかった。
老舗劇団らしい骨太さと細やかで組み上げた誠実な舞台。よいものを見せていただいた、と思う。

雨模様雨模様(5627)

10位に投票

爽快にやられました。
雉はケーンと鳴きますが、雉が初めて鳴く、即ちケンは主張できるくらい大人になったってわけで、雉も鳴かずば撃たれまいなのですが、鳴いたことによって周囲が反応して助けてくれて無事高校生活を続けることができましたという話。

そして、後ろに出てくる男女は父親とその母(ケンの祖母)だとばかり思っていたら、30年後のケンと避難所として守ってくれた担任の女先生だったということが分かってやられたなと思いました。

ただ、内容の割には舞台が広すぎて横スクロールが目立ち、立体感がありませんでした。また、若い人のお芝居に慣れたせいか、全く若さが感じられませんでした。

バルブはFB認証者優遇に反対!!バルブはFB認証者優遇に反対!!(1199)

2位に投票

終盤、誰もがハッとさせられたはず。わたしもその一人。

tottorytottory(2468)

9位に投票

大団円を外せない劇作家横山氏のこれも例に漏れないのでランクインは迷ったが、ラストまでにテーマへの踏み込みがあった。十代の生きづらさ、と言ってしまうと過渡期的に捉えられがちかも知れないが、彼は自分の姿でもある。殺伐としたコンクリートの風景を舞台上に見せた美術、音響等が作る世界も忘れ難いものがあった。

コナンコナン(1446)

1位に投票

生徒、教師、親、それぞれ縦や横のコミュニティーが織りなす人間模様。
清濁合わせ持つその鮮やかさたるや。
まるでスポンジになったかの様に舞台から溢れ出る感情が、紡がれる言葉が沁み込んできました。

男子生徒の女教師に恋焦がれる頑なさにピッタリ張り付いた涙したくなる痛み。
ごくごく普通の37歳でもある女教師の、一人の女として、常識ある教育者として、人生の先輩である大人として一体何が正解なのか、悩ましい心情。
もう切なくて切なくて胸が締め付けられます。

登場から速攻でこちらのペースをも掴み取ってしまうカウンセラー女性の人間力、
代表者として真価を問われる校長の立ち振る舞い、
ある意味台風の目でもある母親の目が離せない言動、
調子に乗って全て挙げてしまうとネタバレになってしまいますが、もう出演されていた人たち全員が(時には厄介ながら)とても愛おしい。

ことごとく教頭先生には笑わせて頂きましたが、これは油断すると同じ穴の狸になりかねないので気を付けなくちゃ(笑)

確実な総合力で心揺さぶられる極上の人間ドラマでした。

旗森旗森(728)

5位に投票

学園ものである。どこにでもありそうな高校の青春物語なのに、現代社会の辛いところをシャープに織り込んで、見事な現代人間ドラマになっている。さすが、横山拓也!
昨年の秀作「熱い胸さわぎ」のカップリングとでもいうべき作品で。同じく母子家庭の母子が主人公になっている。こちらは子供が男の子、あちらはひと夏の物語、こちらは冬。家族、親子がすべての人間の避けられない根源的人間関係だということを作者がよく心得ている。
ぎりぎりの暮らしの母子家庭の高校二年生男子の冬物語。体をすり減らして働く母(清水直子)を重荷に感じて、サッカーの部活と、担任の年上の女教師(若井なおみ)に避難所を求めているケン(深堀啓太郎)。母との殺伐とした日常関係と、もう二年間も、祖母の介護のためといって国へ帰ってしまった父の不在で心理的に追い詰められているケンを、担任の女教師は話し相手になり求めに応じてハグしてやる。そういう、人間同士の肉体的接触の多義的な意味あいもこの作者は巧みに取り込んでいる。「あつい胸騒ぎでは「乳房」、こちらは「父」。その「ハグ」が学内で問題になる。
物語は高校に派遣されてきた新任のスクールカウンセラー(保亜美)を通して分かりやすく展開し、ケンの家出、失踪へと広がっていく。
感想1。新劇団が、小劇場のめぼしい作家に作品を委嘱するのは、ここ数年の趨勢で、文学座、青年座、民藝はもとより、銅鑼とか青年劇場とか、以前から戯曲主導でやってきた劇団はどこでも同じことをやっている。それぞれの文芸制作部の力がなくなってしまって、窮余の策だろうが、作品的にはあまり成功例がない中で、この作品はかなりうまくいっている。よくある、劇団側も作者の側もお互い帳尻を合わせました、という発注作品的安易さがない。深みのある出来のいい現代青春ものになっている。見ていても気持ちがいい。
感想2。さすが俳優座で演技がモダンで鋭い。脇がもたもたしていない。母親の清水直子の無駄のない人物造形。学校の校長(山下裕子)と教頭(河内浩)もウけ芝居をやりたくなるところを見ごとに抑えてリアリティを担保する。たいしたものだが、ここでも、熱い胸騒ぎのiakuと俳優座の違いがくっきりと出ている。どちらがいいというレベルではなく、二つの提示が舞台にある。面白い。
それにしても、ブレヒトと田中千禾夫、千田是也の俳優座も変貌するものである。しかし、時代とともに歩まざるを得ない演劇では変貌を畏れてはいけないだろう。
感想3。平日の昼公演、客席は三割がた空いていた、若い客も少ない。Iaku公演なら満席である。客席数が違うというかもしれないが、アゴラで見るより、最初から演劇劇場として作られた六本木の真ん中の俳優座の方が客にとってはいいに決まっている。そこで僅か10公演でも客が埋まらない(アゴラの手打ちは15公演全席完売である)というのは、やはり、経営部がよく考えなければならないだろう。つまらないことを言うようだが、せめて、当日客席パンフで、配役くらいは知らせるべきだろう。俳優座なら役者は誰でも知っている、配役表など無駄だと思うところがダメなのである。


思いがけない最終場面でのどんでん返しがあるが、これは見事である。青春は一時の激情、だからこそ貴い、という青春物語のくくりがここではっきり見えてくる。

ベンジャミン2号ベンジャミン2号(1218)

3位に投票

ガツンとくる芝居で気持ちがいい。観に来てよかった。最前列だったが、舞台上には1mほどの高さ+5〜6m径の円弧状になっているコンクリート状のセットがあって見上げる形になり、このままだと首が疲れそうだなあと思ったら、盆が切られているのが分かったので一安心。

このページのQRコードです。

拡大