最新の観てきた!クチコミ一覧

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夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

「夜は短し歩けよ乙女」製作委員会

新国立劇場 中劇場(東京都)

2021/06/06 (日) ~ 2021/06/22 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

上演3時間(前半1時間20分、休憩20分、後半1時間20分)
座席は寿司詰め状態
脚本自体は、ほぼ原作に忠実に再現となっており、原作を知ってれば笑い中心に楽しめると思う。
後半、あるシーンがオマージュだと思うのだが、ままごとの「わが星」そのものだった。
一瞬違和感があったが、恐らく乙女の心の中の変化を表したかったのではないかと推測。
というのも、そこまで結構単調なシーンもあり、全体的に変化に欠けているから、なおさら目についたところかな。
加えて、役者(特にベテラン)の活かし方が弱い。折角の曲者たちの味が尖ってない。
原作優先、主演優先になったんだろうな、多分。

青森県のせむし男

青森県のせむし男

演劇実験室◎万有引力

ザ・スズナリ(東京都)

2021/06/04 (金) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

二回目。
せむし男のヴィジュアルはhideの『HIDE YOUR FACE』のジャケットを想起。
森ようこさんの台詞は口角の動作がきっちりしていて美しい。
高田恵篤氏は本当は一体何処の誰なのか皆目見当が付かない。彼こそがお化けなのだ。

ネタバレBOX

森ようこさんの台詞。
「美しさも醜さ、醜さも美しさ。」
「美しさの醜さ、醜さの美しさ。」
自身が三十年前手籠めにされた土手の上で、無理矢理息子と思しきせむし男に口淫をするマツ(高田恵篤氏)。その地獄の光景を生い茂る茅の隙間から震え上がって覗き見ている女中(森ようこさん)。
マツは奉公先の息子に無理矢理犯された時、茅の葉で手の平を切り、真っ赤な血の手形が男の法医学書にべったりと付いたと追憶する。
「美しさも醜さ、醜さも美しさ。」
「美しさの醜さ、醜さの美しさ。」
「人間、の声」「サロメ」「チロルの秋」

「人間、の声」「サロメ」「チロルの秋」

紙魚

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

感染対策かビニールのカーテン越しの舞台、「人間、の声」が約20分、「サロメ」「チロルの秋」がそれぞれ約30分、セリフをうまく取捨選択して短くまとまってました。「人間、の声」ではBGMが大きくてセリフが聞き取りづらい点あり。個人的には桜田淳子がツボ。

モーツァルト!【4月28日~5月6日東京公演中止、5月25日~5月31日、6月5日~6月6日大阪公演中止】

モーツァルト!【4月28日~5月6日東京公演中止、5月25日~5月31日、6月5日~6月6日大阪公演中止】

東宝

梅田芸術劇場メインホール(大阪府)

2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

無観客での配信で久しぶりにモーツァルト。
ナンバーも響きました。
カーテンコールのみなさんコメントまで、生の声が聞けてよかったです。

ネタバレBOX

意図的なのか、途中途中で途切れるのがどうかなと思いました。
ロミオ&ジュリエット

ロミオ&ジュリエット

ホリプロ/東宝/TBS/梅田芸術劇場

赤坂ACTシアター(東京都)

2021/05/21 (金) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

5月まで上演されていた宝塚版とは少々演出が変わりますが、近未来のどこかのヴェローナが舞台。
メインキャストが代わってベテランさんがたしかわかりませんが、それでも楽しめました。

しみったれたお前らには愛をやろう2021

しみったれたお前らには愛をやろう2021

演劇集団あしたかぜ

スタジオガリバー(大阪府)

2021/06/04 (金) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

久しぶりの感動の内容。子供の為と思い、教えてきたことが、実は…。人を信用しないというのは僕も同じだが、子供を下界から遮断するのもどうかと思うが、愛故に…。結果として良い成長をしていて良かった‼️

欲巣に沈む

欲巣に沈む

演劇強制収容所旦煙草吸

藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)

2021/06/06 (日) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

満足度★★

舞台はびしょびしょで、迫力は感じたが…。芸術🎨性重視で内容は…。締めに持ってきたが…。

ウィット

ウィット

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

#文学座
#ウィット
人はみな裸で生まれてくる。そして、死にゆく時に何も持っては行けない。名誉も学識も財産も、最後に役立つものでは無い。最後に欲しいのは慈しみや優しさ。
これは、何となく分かること。それくらいのことは考えられること。特に新鮮な発見や驚きはない。ただ、40歳を過ぎた頃から漠然と抱いていた人生の終幕について、健康寿命について考えさせられることになった。人間の尊厳について。人は失敗する。真剣に取り組んでいるものや大切にしていることには、それが起こりがちだ。そしてそれは重大な問題として迫ってきたりする。そのいたたまれなさを噛み締めた。
研修科公演で輝いていた #張平 さんを久しぶりに観ることができたのが楽しかった。

★ネタバレに追記
そろそろ書いてもいいかなと思って。

ネタバレBOX

❶ラストシーン
正直に言って違和感アリ。むしろ不快感と言ってもいい。その少し前から、嫌な予感がしていた。そして『嗚呼、来る来る。やめてやめて…』という、ジェットコースターがゆっくりと上昇して行くような気持ちになった。もちろん本に書いてあるのだろう。海外戯曲で制約もあるのだろう。ならば、コレを選ばなければよかったのにとさえ思ってしまった。病で死にゆく人間のモノローグは身につまされるけれど、予想できる範疇を超えてこないし、演劇として魅力を感じなかった。

❷張平さんの看護師役
看護師役には演出の工夫をして欲しかった。そもそも日本人が海外戯曲を上演しているわけで、そこに台詞が異国情緒を醸す彼女をキャスティングするなら、役自体も外国人の設定にする方がいいし、そうでないならキャスティングの意図が伝わらない。大好きな俳優さんだからこそ、もっと良さを引き出せる工夫をして欲しかった。

❸プロンプター
こんなにもプロンプターの存在が際立った公演に出会ったことがなかった。初日だったからだけだろうか。あれだけの長台詞の独白なのだから仕方ないとも思うけれど、プロンプターの力を必要とした俳優が一人だった訳ではない。確かに役柄と俳優の実年齢が近ければリアル感は増すかもしれない。でも、そもそも芝居なのだから違う年齢の俳優が演じても良いはず。もっと若い俳優が担っても良いのではないだろうか。
あれでは間をとった演技なのか、台詞を思い出しているのか心配になること多数。それでは作品に集中できるはずもなく。
公演も終盤に入りました。滑らかになっていると祈る。
キネマの天地

キネマの天地

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#キネマの天地
#プレビュー
#佐藤誓 さんをとにかく観て欲しい。
演劇が……芸術が…… ウィルス感染予防による自粛要請で窮地に立たされている中、演劇讃歌、俳優讃歌を感じる作品に大いなる拍手を送りたい。演劇人に対する自虐ネタもあるけれど、それも愛あるが故。笑い飛ばして感謝して、デフォルメされた可笑しさを堪能すればいい。皆さん芸達者でそれはもう素晴らしい。中でも #佐藤誓 さんの可笑しさと惨めさと健気さと……愛しさの向こうに立ち上がる格好良さに痺れる。四人の世代を異にする看板女優のバトルも見事。鼻につくほどにオーバーアクションする(もちろんそういう演出)#趣里 さんと、それを見事に拾っては跳ね返す #鈴木杏 さんの確かさに唸る。後ろ姿がまたなんとも美しい。#那須佐代子 さんと #高橋惠子 さんの巧さに説明はいらない。蔑むように見下ろし、死んだような目をする #千葉哲也 さんと、エネルギーを注入する #章平 さんの凸凹コンビも味がある。
さぁ、演劇のアンサンブルを存分に楽しもうじゃないか。

肉のマサオカ

肉のマサオカ

動物電気

駅前劇場(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

■115分弱■
思いつきをただつぎはぎしたような、行き当たりばったりな脚本が諸悪の根源。だから話がブツブツ途切れて一貫性がなく、ドタバタシーンにも乗り切れなくて、いつもほど笑えなかった。
2年に1度なんだから、もっとしっかり作り込んで下さい。

ネタバレBOX

海の女神も、豚・牛・鶏のバケモノも、ぜーんぶ思いつきだから、それら諸要素がまとまることなく、ストーリーという名のうねりを生まない。これまでに観た動物電気でいちばん不出来だった。
シュベスターの祈り

シュベスターの祈り

ピウス

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2021/05/27 (木) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

公演4日前に急遽主演宮瀬玲奈さんの代役として岸本・ルチア・来夢役での出演を決めた花奈澪さん。流石の女優魂に同業者もファンも大興奮。5公演見事に大役をこなしてみせた。宝塚の地獄を生き延びてきたのは伊達じゃあない(偏見)。これぞ元宝塚と云う肩書の化物たる所以。観てみると判るがこれ、本当に演ったのかと思う程の出番と台詞量、凄すぎ。
今回は当初からの配役、一之宮・ミカエラ・日葵(ひまり)役として出演。生き生きと楽しそうに演じていた。

宮瀬玲奈さんを初めて知ったのだがアニメキャラそのもののルックスとアイドル性抜群のオーラ、人気が出ない訳がない。
豹変する眼鏡っ娘、大滝紗緒里さんは役者バカ系の匂いが。殺陣の上手さも相まって今後活躍の場が増えそう。クールな天才役武藤志織さんは美しく、巨乳コメディリリーフ教官役遠藤三貴さんはプロ、教官役楠世蓮さんは流石のモデル。魅力的なキャストが勢揃い。

設定は『エンダーのゲーム』を魔法美少女学園モノにしたような感じ。
近未来、地球にヒュージと呼ばれる異星生物が侵略を開始。人類の開発した決戦兵器CHARMは十代の少女が一番扱うことに適していた。より優れた戦士(リリィ)を育成する為、世界中で養成機関としての女子校が開設。主人公の姉はエリート戦士であったが戦場にて殉職。主人公は姉の想いを背負って学園の門を潜る。

ネタバレBOX

学園では政府公認の人体実験をしており、優秀な戦士にヒュージのDNAを投与し能力の向上を研究。主人公の姉はその副作用で爆死したことが明かされる。タイトルのシュベスターとは、学園の伝統である上級生と下級生の姉妹の契りのこと。

BIG TREE THEATERは座席の幅が隣の人と肘が密接する程に狭い。思えば池袋の劇場はそんな所が多いような。客層はガチ勢主体の声優のイベントみたいな熱気。終盤結構涙ぐんで観ている人も多く、これだけの人間をガッチリ掴んでいるコンテンツは流石にプロフェッショナルで照明のタイミングも効果もバッチリ。限られた予算内で出来る限りの演出。演っている女優陣が求められているもの以上のなにかを追求し落涙しながらの熱演。客を舐めて適当に演っている感じが全くしない。みんな何かと戦っているようにさえ見えた。
出雲の阿国の時代から、客を呼ぶのは美男美女。観客に何を見せようとするのかがキー。

稽古5時間だけで代役となみおさんがツイート。信じられない。
遥方 - KANATA -

遥方 - KANATA -

劇団Furure

AI・HALL(兵庫県)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

満足度★★★

セリフ一つ一つは良かったが、シュチュレーション展開が多くついて行けなかった。もう一度振り返ろう。

陰陽の華

陰陽の華

劇団☆kocho

吹田市文化会館 メイシアター・小ホール(大阪府)

2021/06/15 (火) ~ 2021/06/30 (水)公演終了

満足度★★★★

コロナで、日程が変わり調整して参加。ギリ間に合って観劇。しっかりできていたと思います。楽しめました。

THE Negotiation:Returns

THE Negotiation:Returns

T-works

サンモールスタジオ(東京都)

2021/06/01 (火) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

わかりやすいストーリー構成で気楽に楽しめた。

王将【大阪公演中止 動画配信&緊急YouTubeライブ】

王将【大阪公演中止 動画配信&緊急YouTubeライブ】

新ロイヤル大衆舎

KAAT神奈川芸術劇場 アトリウム特設劇場(神奈川県)

2021/05/15 (土) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

森田涼花さん出演。3部作の最後、第3部。
大阪公演の中止が決まったことは残念です。神奈川公演は無事に千秋楽を迎えましたが、東京だったらどうなっていたかな・・・。

第1部は明治末から大正、第2部は大正から昭和。そして第3部は昭和13年から。この3部構成は丁度よいというか、良い構成ですね。自分は第2部と第3部の観劇ですが、第1部は図書館で原作=戯曲を読みました。読んでいると、観ていない第1部の上演の様子が鮮やかに浮かび上がりました。これまでの観劇では、原作を読むということはあまりしなかったのですが、けっこう楽しいものですね。

この舞台はアンサンブル的な演者さんはいなくて、皆さんが兼任されています。「あれ、同じ人が出てきたぞ」と考えてしまうことがありますが、それも良いというか、ある意味得した気分です。目当ての役者さんの、より多くの演技を観ることができます。

ネタバレBOX

最初の鉄道事故で弟子の松島が死んでしまうこと、初演で観たときは衝撃でした。このあとどれだけ辛く悲しい物語になるのか・・・と心配したものです。
さらに弟子の森川も戦争に駆り出され。長女の玉枝は遠くに行ってしまい。しかしそれぞれ戻って来ます。ほっとしました。

演者さんの兼任がけっこう面白いです。2部で後援会会長だった櫻井さんは大垣駅の助役、弟子の松島だった武谷さんは君子の最初の結婚相手、など。君子役の森田さんも、冒頭の大垣駅のシーンでは駅員の役で。大きな声で電話してました。
菊岡博士役の大堀こういちさんは、正装の同じ姿のまま、宮田の妻、君子の子といった、見るからに違和感がある役を、不思議と違和感なくみごとに、面白く演じられていました。

森田さん演じる君子は、相思相愛の森川と再婚することになる。坂田三吉の人生は最高だったと、晴れやかに拍手を送れる終わり方でした。
シュベスターの祈り

シュベスターの祈り

ピウス

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2021/05/27 (木) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/06/05 (土) 18:00

エフェクトとシンクロした殺陣が良かったです

青森県のせむし男

青森県のせむし男

演劇実験室◎万有引力

ザ・スズナリ(東京都)

2021/06/04 (金) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

歌人、シナリオ作家、編集者として若くして大成功を収めてきた寺山修司。1967年に劇団『天井桟敷』を結成、その旗揚げ作品がこの『青森県のせむし男』。
大して観てきた訳ではないけれども今まで観賞した寺山作品の中で一番良かった。
森ようこさんのファンならば今作は必見。かなり出突っ張りでオン・ステージ感もある。
PUNK BANDのデビュー作を聴いている感じで、思うが儘に喚き散らしている。後々になると理性が邪魔をして理論武装の処世術に陥るのは世の常。恥知らずの一発目であるからこその幼稚で稚拙な絶叫が歳を重ねても胸を打つ。今作を寺山初体験で観たかった。

青森の名家で次期当主の息子が醜い女中を手籠めに。彼女が孕んでしまった為、世間体を慮り仕方無く入籍。出産の前に息子はコレラで死亡。周囲の冷酷な視線に耐えかね女中は産んだ我が子を山に捨てた。運か不運か生き延びた赤子は畸形のせむし男。因果の旅の末、生家に盗みに入り捕らえられる。三十年振りの母との再会であった。しかし、この話には嘘があり・・・。

安っぽいPOPな美術が歪な異空間を中和している。映画『エレファント・マン』調に写実的に演ればうんざりする題材だろう。
今回は観ておいた方が良い。

ネタバレBOX

森ようこさんの妖艶なTATTOOまでも曝け出すラストが美しい。照明が素晴らしく、この効果はどうやっているの?と何度も思った。暗転の真暗闇の中での舞台美術の配置や役者の移動も凄いとしか言いようがない。

生まれついてからずっと鬼ごっこの鬼をやらされていると言うせむし男。「一体僕は何を追っ掛けさせられているのだろう?」との自問自答。永遠に何処かの誰かに届いていく台詞である。これがある限りこの作品は永遠だ。

村八分の『あッ!』を思い出す。「助けてくれと言った所で助けてくれるけ?俺の事 もういいさお前等 俺の事振り向くな 俺は盲 盲者 すべての見える盲者 そうさ全て俺のせいさ 解っているよ俺の事 もういいさお前等 俺の事振り向くな 俺は片輪 片輪者 心の醜い片輪者」
目頭を押さえた

目頭を押さえた

パルコ・プロデュース

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/06/04 (金) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ストーリーがいい。役者さんも完璧で完成度高い。箱はもっと大きくて良い気がする。

テンペスト ~はじめて海を泳ぐには~

テンペスト ~はじめて海を泳ぐには~

ブリティッシュ・カウンシル/公益財団法人としま未来文化財団/豊島区

あうるすぽっと(東京都)

2021/06/01 (火) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主催「ブリティッシュ・カウンシル/公益財団法人としま未来文化財団/豊島区」としてみた観点(2回目)。

本公演は、障害のある演出家と俳優たちによって作り上げられる舞台、シェイクスピア最後の戯曲である「テンペスト」上演までの稽古を劇中劇とする。いわゆるバックステージものである。障碍者の表現の可能性を模索するような試み。さらに国籍による文化や言葉の違い、その多様な”ちがい”を橋渡しする意欲作。

公演を支援しているのが「あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)」(主催:ブリティッシュ・カウンシル/公益財団法人としま未来文化財団/豊島区)だ。活動支援は、「親しみやすい良質の舞台公演から、実験的な作品や国際共同制作まで、様々な公演事業を開催してきた。また区立劇場として地域に向けた参加型ワークショップやアウトリーチを実施するほか、芸術文化活動を支える人材を対象にした講座なども継続して実施してきた」といった趣旨によるもの。そして「豊島区が掲げる国際アート・カルチャー都市構想をふまえ、多くの劇場が集積する『演劇の街・池袋』の拠点として機能し、芸術文化を通して多様な人々が集い交流する『みんなの劇場』として、活力に満ちた豊かな地域社会の実現を目指す」としている。まさしく、さまざまな「ちがい」の観点から架橋になるような企画であった。

(上演時間1時間45分)

ネタバレBOX

 自分とは異なる他者との向き合いを通して、公演「テンペスト」を構成していく。その過程を通じて演劇の面白さ、と同時に劇中劇のキャストとして成長していく人々の姿を生き活きと描き出す。演劇という共通点、しかしそこに携わる人々の「ちがい」が さも対極にあると思い込んでいる事を気付かせる。無謀な試みの公演だなと思いながら観に行ったが、当初の思いとは別に、驚きも戸惑いも、気づきも発見も曝け出し、みんなでシェアするような舞台であった。

 公演は、英国の障害者アートムーブメントの先駆的存在であるジェニー・シーレイを総合演出に迎え、日本・英国・バングラデシュの3か国から障碍のある演出家、キャストが参加する。シェイクスピアの「テンペスト」上演までの劇中劇。さらに新型コロナウイルス感染症の影響に見舞われた世界の有り様も反映させたオリジナル作品として再構築している。

 日本の演出は、大橋ひろえ女史と岡康史氏の2名。キャストには、日本人4名、英国人3名、バングラデシュ人2名の障碍のあるアーティスト、そして聴覚障害のある母親に育てられたコーダ(CODA: Children of Deaf Adults)の女優・吉冨さくら女史。文化や言葉、障害の違いを超えて作り上げる新たな「テンペスト」、その試みと意義には共感するが…。
 やはり、稽古を通して物語「テンペスト」が構築されていく過程が観たかった。その点だけが残念だ。次回公演も楽しみにしている。
『テンペスト~はじめて海を泳ぐには~』

『テンペスト~はじめて海を泳ぐには~』

あうるすぽっと

あうるすぽっと(東京都)

2021/06/01 (火) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

国籍、文化、言葉そして障碍も違うアーティスト達が、シェイクスピアの戯曲「テンペスト」を大胆に構成して描くパフォーマンス劇。新型コロナウィルス感染症のパンデミック状況における国際共同制作の試み。

公演には3つの観点がある、と思う。第1は国境を越えた障碍者による上演、第2にコロナ禍(他疫病や自然災害等も含む)にあって、それがテンペスト=嵐を乗り越えるという比喩、第3に嵐そのものが人生で、人間誰しもその中で生きている。嵐の大小の違いはあるが、それでも障碍者であろうと健常者であろうと関係なく生きること。

障碍者による公演、その上演までの努力・困難等は想像に難くないし、意義なりもそれなりに理解できる。しかし公演を観せるということは、役者が障碍者、健常者に関係なく観客に分かるようにようにすべき。タイトルが「テンペスト」であり、その上演であることは周知のこと。そしてホワイエには舞台装置の模型が置かれ、その横に説明板がある。さらに場内でも舞台装置等に関する説明が流れる。だから上演までには稽古-劇中劇であるということは分かる。
しかし「テンペスト」という物語(粗筋)の説明がないことから、観客はこの物語を知っているという前提で始まる。物語を知っている人と初めて「テンペスト」という劇を観る人とでは、題材になっている戯曲に対する面白さ醍醐味を味わう上で差がある。

公演の謳い文句の一節には「『テンペスト』では、障碍のあるアーティスト達が国を超え集う伝え合うことの難しさとだからこそ得る喜びを見つけ、未来へ続く景色に到達するために」とある。この戯曲を初めてみる観客のためには、稽古という劇中劇であっても、「テンペスト」という物語そのものを構築(構成)していく必要があると思うが…。だからこそラストのカーテンコールのシーンが活きてくる。

(上演時間1時間45分)

ネタバレBOX

 舞台美術は、グレーの床、中央に「テンペスト」舞台模型。その後ろに2枚のスクリーンが並び吊るされている。上手・下手側にそれぞれ3枚の可動式衝立があり、仕様(鈴鐘付や硝子張り等)が異なっている。その衝立の前に色違いの椅子が3脚づつ置かれている。
 人それぞれの外見・内面が違うように、舞台装置も同じものは使用せず、素材・形状・色等に違いという意味合いを持たせている。2枚のスクリーンは、英国とバングラデシュとZoom(映像)で結び、それぞれの国における役割を果たす。

 「テンペスト」は、シェイクスピア最後の戯曲と言われている。その粗筋は、弟アントーニオの策略により、地位を奪われ、娘ミランダとともに孤島に流されたミラノ大公プロスペローの復讐。歳月を経て秘術を身に付けた彼は、魔法の力で嵐を起こす。彼を陥れたアントーニオとナポリ王アロンゾー、王子ファーディナンドを乗せた船は難破し、孤島へ。そこでミランダとファーディナンドは恋に落ち、プロスペローは妖精エアリエルと怪物キャリバンを操って公国を取り戻す。といった内容だ。しかし公演では、恋物語が中心で、何となく「ロミオとジュリエット」(仇敵の息子と娘)といった恋愛劇の印象だ。これが大胆な翻案(構成)をした「テンペスト」なのであろうか。

 この舞台は、「テンペスト」を上演するための稽古場。そこに日本・英国・バングラデシュの3 か国の障碍の異なる俳優が集まる。が、新型コロナウイルスの影響により、海外キャスト・スタッフの来日が不可能になる。そこでオンラインで海外と日本の稽古場を繋ぎ、様々な障碍やバックグラウンドを持つ出演者たちは、それぞれに異なる表現方法で『テンペスト』を創造していく。演劇は稽古から本番まで全ての段階で人と関わることで成り立っている。それが当たり前だと思っていたが、コロナ禍では そう簡単な事ではなくなった。その意味で新たな公演の在り方を模索する上で意義があったと思う。

 さて、この舞台-障碍者の芝居で欠かせないのが、舞台のアクセシビリティを担うコーダ・吉冨さくらサンの存在。手話で演じる場面をボイスオーバーし、口語で演じている場面は手話でシーンに介在していく。演じることが表現で、ケアによって他者と共感できれば、そこに感動が生まれる。
 また、公演に関わった人々にすれば、それぞれの母国語を通訳していくという作業が必要。コミュニケーションを図るためには丁寧な対応が必要になっている。こうまでして上演することは…を考えたとき、劇中劇としての稽古シーンこそが、単なる舞台リハーサルを観せるだけではなく、この舞台に携わった人々の共助が見えてくるようだ。公演を通して、お互いのサポートと相互理解、それこそ人が持っている温かい心遣いが垣間見えてくる。
次回公演も楽しみにしております。

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