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ひとりじゃないって素敵なことね

ひとりじゃないって素敵なことね

かんから館

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2021/05/14 (金) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

コロナ浮浪者、自殺願望、とある詩人、ゲーマー、妊娠堕胎、
そしてBluehearts、旅立ち!
今のモヤモヤした感じを凝縮した内容を、サラッと表現していて、とても面白かった。

人によって感じ方が違うと思うが、私は前向きにコロナを乗り切り、逞しく頑張るぞって思えた。元気!

夜への長い旅路

夜への長い旅路

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/06/07 (月) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

アメリカ演劇の原点、といわれるほどの有名作品でありながら、日本ではあまり上演されることのなかった現代劇古典(1956)がコロナ禍真っ最中に幕を開けた。コクーンが始めた「世界演劇発見シリーズ」で演出はイギリスのフィリップ・ブリーン。どこかで見たつもりになっていたが、初見である。3時間半もかかるのだから見ていれば忘れない。
なるほど、アメリカ演劇が詰まったような作品で、かの国に生きる人々の個人と社会への見果てぬ夢への渇仰が切々と描かれる作者の生い立ちを映した家庭劇だ。現代のアメリカ演劇にまで続くテーマがすべて埋まっている。
過去の栄光にとらわれている父(池田成志)と母(大竹しのぶ)、父は20歳代にそこそこの成功を収めた舞台役者。いまはわずかな不動産を転がして生計を立てている。母はクリスチャンの女学校を出て舞台に惹かれて父と結婚、慣れない巡業暮らしの中で二人の男の子を育てた。薬物依存症。上の子(大倉忠義)は定職に就かずアルコールにおぼれている。作者を映すように文弱な弟(杉野遥亮)は当時不治の病と恐れられていた肺結核の宣告を受ける。一家はアメリカ的な愛に満ちた家庭を持つことを切望しているが、現実はその夢をことごとく打ち砕いていく。
舞台は終始、一家の居間で、二幕、場数はそれぞれ4場か。一幕は1時間20分。二幕は1時間50分。休憩は20分。セリフ劇でしかも70年近く前の本なのに、ダレない。
演出は多分この時世だからリモートだったのだろうが、実に細かい。この興行は時節柄ジャニーズ興行で、それが当たってか、見た回(11日夜)は満席の盛況で女性客ばかり(若い層ばかりでなく年齢幅は広かったから、年長組は大竹のファンクラブか)、男性客は二十人はいなかったと見たが、前にこの劇場で見た「ハウンド警部」のような客引きのいやらしさはない。演出はこの名作を役者人気に頼らないで誠実に舞台化している。後半にはそれぞれの登場人物がお互いのエゴをぶつけ会うシーンが続くが舞台の人間像に引き込まれる。大竹ができるのは当然としても、あまりこういう陰のある役でいいところを見たことがなかった池田もぐずぐずしただらしなさを演じ切る。大倉はかつてグローブで蜘蛛女を見たことがあって、大丈夫かと思ったが、健闘。あまり舞台経験がない杉野はその素直さが生かされていた。
舞台には舞台全体を覆うように大きな白一色の吊り幕がつられていて、それが形を変えて上下することで抽象性が加わり、見たことのない室内劇になった。舞台に置かれた古いピアノ、海が近くてかすかに聞こえる波や海鳥の声、霧笛などの音響効果、少ないが音楽も効果を上げている。
3時間半を飽きないように作られている。芝居好きは男女老若を問わず、喜んでみる舞台になっているが、果たして満場を埋めたファンクラブ客はこの芝居をどう見ただろうか。
ともあれ、この名作を、思いがけずいい座組で見られたことはよかった。「発見」である。


ハリネズミのジレンマ

ハリネズミのジレンマ

甲南大学文化会演劇部 甲南一座

甲南大学甲友会館大ホール(兵庫県)

2021/04/24 (土) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

千秋楽観劇

「近寄れば傷つけ、離れれば寂しい」母兄妹。
兄の失踪、そして私の知らない兄を知る友人達。

オリジナル脚本、個性的なキャラ達。

ネタバレBOX

ネタバレではなく、個人的な追伸
同大学出身の夭逝した我が友の名前が同ホールの寄付者一覧に…
友の徳を偲び、胸が詰まって一杯に…涙
キネマの天地

キネマの天地

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いい作品ではあります。

ネタバレBOX

いい映画を作るために、若手からベテランまでの女優が我を捨てて一致協力するように監督が仕組んだ壮大なトラップ。

2011年にこまつ座さんで観ましたが、今回、小川絵梨子さんの演出ということで、何か違いがあるかなと楽しみにしていましたが、違いは分かりませんでした。細かいところは覚えていませんでしたが、オチを知った上で観ると正直感動はありませんでした。

我を捨てて協調するというこの作品のテーマについて、初っ端に監督が発言していました。うわー、答を言っていたんだと驚きました。

もちろんいい作品なのですが、ベタで、臭いところなど、今の感覚からすると古臭い感じがしました。妻を殺された役を演じていた分、他の役者とは立場が違うのは分かりますが、それにしても監督だけテンションが低く、声が小さかったのは気になりました。

私が観たのはプレビュー回でしたが、開演前に小川絵梨子さんが登壇して、観客も制作の一部であり、素直に反応してくれることを祈っていますという旨の挨拶がありました。

ああーん!この作品は演出家であるあなたの作品でしょうが。何祈ってんだよ。あなたが主体的にそのように思考したんだろうが。そうだったら、祈るではなくて願うだろうが、何でもかんでも祈ってんじゃねえよ。願ってくれよ。

私は、3.11以来、何でもかんでも祈るという言葉を使うマスコミや世間の風潮に危惧しています。願うときは願いましょう。
いつか〜one fine day〜

いつか〜one fine day〜

conSept

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2021/06/09 (水) ~ 2021/06/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/06/10 (木) 19:00

130分。休憩なし。

半月カフェの出来事

半月カフェの出来事

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2021/06/09 (水) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

こちらの下のほうに前回の公演が公開されていたのですね!!私のチェック不足でした。こちらを見てから行けばさらに良かったのではないかと。
カフェとお庭のセットが素敵でした。上手になんか可愛い金魚鉢があって、これってカフェの看板?と・・・

ネタバレBOX

思っていたら猫ちゃんのお墓だったんですね。ほっこりと温かいお話と、生演奏も良かったです。
お話が始まって、ちょっとしてから登場の森蔭先生。先ほど客入れしていた座長ですよ!もう、全然別人のようで、声のトーンが優しくて聞き惚れます。今回のマスクはいい方に作用したのではないですか。もちろんマスクなどしないで観劇して終演後はお話ししたいです。
夜への長い旅路

夜への長い旅路

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/06/07 (月) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

家族4人の誰もが精神を病んだ、どこか壊れている。前半の幕では「あのとき」とか、母親に何かがあるとか、婉曲な言い回しで、この家族に何があるのかわからない。しかし、言葉の端々に何かがありそうな不穏な感じが、内面の緊張をずっと持続して、大変密度が濃い。母親役の大竹しのぶが、高い声で、健気に振る舞っている。が、仮面を脱いで、時折低いズシッと響く声で「みんな過去から逃れようとしている。でも人生はそんなこと許さない」などと、怖いことを言うと迫力がある。

後半は、隠れていた家族の実像がさらけだされ、どうしてそうなったかの、生い立ちや、過去の夢を語る、語る、語る。いずれもすごい長台詞。聞き手はいるものの、あまり口を挟まないので、ほとんど独白に近い。シェイクスピア俳優だった父親に捧げるかのような、シェイクスピアばりの(それ以上の)長台詞。これだけの長台詞で客席を引き込む、演出、俳優陣のリアリティーがすごい。一箇所、リアリズムという言葉が、次男アンドレイのセリフで出てくる。パンフで翻訳者が書いているが、他のセリフからは浮いた、特別な感じが聞いていてもする。これは意味が深い。

この悲惨な家族のそれぞれの姿が、ほぼ、作者のユージン・オニールの家族そのままというのだからすごい。3時間半、とくに後半が110分と長いのだが、全く時間を感じなかった。自分のダメさがわかっていて反省もするのに、反省した次の瞬間、同じ過ちを繰り返す。わかっていてもやめられない、自分に絶望する一方、そうなる自分に開き直る人間の悲しさがひしひしと迫る。すごい芝居である。

ネタバレBOX

母親メアリーが夫の巡業についている間に、自宅ではしかにかかっていた長男ジェイムズが赤ん坊の部屋に入ったために(あれほど、麻疹が写ったら赤ちゃんが死んじゃうと言っていたのに)、次男ユージンは死んだ。父親は飲んだくれのくせに、家族には金を惜しむどうしようもないケチだった。長男は酒と女に溺れて、働こうともしない、次男(作者本人がモデル)は、大学を中退し、自殺未遂を起こし、今度は結核にかかって療養所に行こうとしている。これが全部、作者の家族の実話とはすごい。芝居は私小説のようにはかけないし、書かないものなのだが、ココまで赤裸々に、事実をそのまま書いて、これだけ観客をひきこむ緊密な戯曲を書くとは、すごい。
曖昧宿で、デブのヴィクトリアに同情して、抱きたくもない女を結局は抱いたという話も、今は表立ってはかけないような、差別的な話。でも今でも本音では変わらない。この毒がいい。

ラストは、麻薬で正気を失った母親がオフィーリアの狂気と重ねられ、舞台の空中でずっともゃモヤ動いていた白いレースの塊の意味が初めて分かる。
肉のマサオカ

肉のマサオカ

動物電気

駅前劇場(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/06/09 (水) 19:30

115分。休憩なし。(換気中に体をほぐす時間はあり。)

2作品同時上演  「ずっ止まってる」/「ラブ・ストーリーは特戦隊」

2作品同時上演 「ずっ止まってる」/「ラブ・ストーリーは特戦隊」

room42

OFF OFFシアター(東京都)

2021/06/09 (水) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/06/09 (水) 13:30

「ずっ止まってる」80分休憩なし。

『GK最強リーグ戦2021』

『GK最強リーグ戦2021』

演劇制作体V-NET

TACCS1179(東京都)

2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

多分ラビット番長が優勝すると思いますよ。
ラビットさんだけ見ていないのですが。

ウィット

ウィット

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/06/08 (火) 18:30

座席I2列14番

だから、、、という訳で選んだのではないですが、私にはかなりに身につまされる内容でした。ステージ4の癌患者。
これでwitがなければ悲惨話ですが、死にゆく主人公の気持ちは、判る気がします。
作者の深い職業経験を踏まえた語り口で共感度の高い舞台でした。
チラシには「尊厳死」「高度医療」など、何か問題提起的な惹句が踊っていますが、
家族のいない初老の(今では「若い」と評される)女性の、死への精神的な道程を、病院内での些細な出来事を追いながら
(とはいえ、死にゆく主人公にとっては些細でも重要でもない)描きます。過去にも未来にも普遍的な課題です。
そこで、彼女が仕事柄、引用的に持ち出すのが、17世紀のイギリスの詩人ジョン・ダンです。
このくだりは、正直衒学的で、あまり感心しないのですが、「死」へのさ
さやかな抵抗として、彼女の武器がそうであったということは理解しました。
なるほど。私の武器は何だろうか。

ネタバレBOX

死にゆくものは、何も持ってはいけない。確かにそうなのだろうえれど、名誉や財産、学識、成功体験等々、自身が生み出したもの、頼ってきたものをもって、胸張って死んで行ければ、それはそれでよいな。
案外、市と向き合うと、人生とは?何て謙虚な気分にはなれないもので、ケセラセラ以外のどのような気分でもない(私は)。夕飯に悩み、娯楽に興じる姿に、余命云々もないな。
外の道

外の道

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2021/05/28 (金) ~ 2021/06/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/06/08 (火)

わゎ怖い。でも実際に自分にあてはめてみるとすごく納得できる話でもあり。面白い。説法を聴いているような、なんか不思議な空間に漂えるイキウメ。すごいなぁ。

狸の里帰り

狸の里帰り

トム・プロジェクト

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/05/28 (金)

クスクスそしてガハハと笑って泣いて大忙しでした。グラシアス小林さんの歌にフラメンコを間近に観れるとは!!

彗星の一夜【4/27~4/29公演中止(アーカイブ配信あり)】

彗星の一夜【4/27~4/29公演中止(アーカイブ配信あり)】

流山児★事務所

Space早稲田(東京都)

2021/04/23 (金) ~ 2021/04/29 (木)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

配信で観賞しました。これ絶対に上演会場で生で観たかった。流山児★事務所と音楽・鈴木光介さんの組み合わせ好き。また次の機会を待ちます。

アルビオン

アルビオン

劇団青年座

俳優座劇場(東京都)

2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/05/25 (火)

どこの国も…。と笑えました。確かに「桜の園」。どことなくケラさんの作品にも似ているようなところがあるな、とか。面白かった。

ミュージカル「おれたちは天使じゃない」【5月11日 公演中止】

ミュージカル「おれたちは天使じゃない」【5月11日 公演中止】

ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

俳優座劇場(東京都)

2021/05/11 (火) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/05/15 (土)

当初11日の観劇予定でしたが、変更で観ることが出来て良かったです。とても懐かしいミュージカル。終演後のミニライブがまた良かった。いずみたくの音楽で育ってきたんだなぁと改めて感じました。

はだかの王様

はだかの王様

カンパニーデラシネラ

滝野川会館 大ホール(もみじ)(東京都)

2021/03/26 (金) ~ 2021/03/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/03/27 (土)

絵本から飛び出して目の前で動いている。子供たちの笑い声にこちらもくすぐられる。線や板が色々と変形していく様も楽しい。

“声”

“声”

PANCETTA

OFF OFFシアター(東京都)

2021/06/04 (金) ~ 2021/06/06 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

(公演スケジュールが合わず配信で観劇したので半分も楽しめていないと思うが…)
ラジオ前説にはじまり、ルーパーを使った声だけ音楽、歌声ミュージカル風、声なきマイム、声の効果音、想いを伝える声のコントにドラマと、多様な「声」を因数分解したエピソードを一本に繋ぎ合わせる巧みな構成と演出。
今回も生演奏とのセッションの表現にチャレンジしていて素敵。

毎度テーマにまつわる掴みのオープニングが好き。
小劇場のステージなのに大きな空間が見えるのは、照明はもちろんマイムのうまさがある。

(映像で観劇するのは不本意かもしれないが)予定が合わない人や物理的に行けない人など、タイム・エリアフリーで観られる仕組みは有り難い。
演劇は生ものでLIVE感が重要なのは承知の上で、観劇後おすすめしても満席だったり終了してしまっていたりとスケールしづらいことが弱点だと思うので、公演後もアーカイブで購入できるようになっていれば、興味を持った人が観られるチャンスがあるし、次の公演の来場に繋がるかもしれない。

今回は「声」なのに肝心の声が聞きづらかったり苦笑、照明で表情が白飛びしてしまっていたので、記録映像にも力を入れてもらえたら嬉しい。

面白い演劇は映像で観ても面白い。

走れメロス ~TOKYO20XX~

走れメロス ~TOKYO20XX~

劇団肋骨蜜柑同好会

サブテレニアン(東京都)

2021/06/08 (火) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/06/08 (火)

価格3,300円

8日20時開演回を拝見。

ネタバレBOX

メロスと人間不信の塊・ディオニス王、そして親友セリヌンティウスとの関係
(『走れメロス』執筆以前の)太宰治と親友の檀一雄との関係
2種類の人間関係を通して、共通のテーマがオーバーラップ!
メロスのパートでの、一見、暴発気味にもみえたエネルギーの発露にもグイグイ引っ張られて、一気に見せた82分。

そういえば、そろそろ桜桃忌の時期かぁ。

【追記】
旬の話題、東京五輪に触れた場面がポツリポツリ。
もうちょっと毒があってもよかったかなぁ?と個人的には思いました。
獣唄2021-改訂版

獣唄2021-改訂版

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

5月30日午後、錦糸町のすみだパークシアター倉で上演された劇団桟敷童子の『獣唄 2021改訂版』を観た。実は2019年に村井國夫主演を想定して桟敷童子の座長・東憲司が書き下ろした作品であったが、公演期間半ばに主演の村井が心筋梗塞のため降板し、副座長の原口健太郎が代役を務めて上演が再開された作品を、改めて村井を主演として上演するために一部改訂して作り上げられたもの。

舞台の粗筋は2019年と大きく変わっていないので、その時書いた感想から粗筋の部分を引用させて頂く。

舞台は貴重な種類の蘭の花が採取出来るというとある仙石嶽という山村。そこでハナトと呼ばれる蘭採収人である梁瀬繁蔵(村井國夫)と彼の娘3姉妹トキワ(板垣桃子)・ミヨノ(増田薫)・シノジ(大手忍)の間で起こる愛憎悲劇。そのきっかけを作るのが、東亜満開堂(社長役・原口健太郎、社長夫人役・もりちえ)という花屋で、時代は太平洋戦争中。花で東亜の繁栄を夢見る満開堂社長の望みは、蘭の中でも最も珍しい品種「獣唄」の獲得であった。その獣唄を観たことのある繁蔵と、蘭採取人の後を継ぎたい長女トキワ。この二人の葛藤は、満開堂だけでなく妹たちや村人達をも巻き込み、最後には3姉妹がそれぞれ命を絶っていく。

見物であった。主役の村井と満開堂社長役の原口の存在感。そして、長女であるトキワ役の板垣桃子の熱演とキノコ採りの名人役の鈴木めぐみの怪演は、今の桟敷童子の実力の高さを見せつけていた。社長夫人・もりちえの存在も大きい。実は、こうした主要な役どころは2019年と同じなのであった。悲劇が悲劇を誘発するその魔性というか偶然性を、蘭の花の採取人という設定で観客に迫った東憲司の脚本と演出そして舞台装置に感服させられた。もちろん、その脚本の持つ迫力を演技で見せつけた村井國夫を筆頭とする役者陣も凄かった。
2時間という上演時間を忘れさせ、観客は舞台上の世界にのめり込んでいった。
いやぁ、凄い作品を観せてもらった。

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