最新の観てきた!クチコミ一覧

19321-19340件 / 183080件中
シビウ国際演劇祭2021 招聘作品『砂女』国内プレ公演

シビウ国際演劇祭2021 招聘作品『砂女』国内プレ公演

うずめ劇場

調布市せんがわ劇場(東京都)

2021/07/27 (火) ~ 2021/07/29 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

北九州市時代からの4名の団員と、主宰ゲスナー氏の「次が読めない」ユニークな演劇製作。20数年も続けばこの独自さも持ち味という事だろうか。うずめとしては「演劇」らしい舞台(会場がスズナリだし)の二本立て企画「砂女↔砂男」から、既に7年も経ったとは・・(時の速さよ)。この時自分は「砂男」(ホフマン作/天野天街演出)のみ観劇し、天街作品にハマりかけの私は大満足だったが、並んで評判だった「砂女」を今回観て衝撃を受けた。

驚くべき舞台だ。なぜ「砂の女」か?・・の問いを殆ど無化する(舞台が全てを語っている)。原作小説を遥か昔に読み(高校か大学か)、勅使河原監督の映画もたぶん同じころ見たが、芝居を観ながら小説を思い出した。「思い出した」と言っても大昔の記憶だが断片的に附合するものを感じた。そして、この作品に流れる人間存在の根拠の危うさ、定住や婚姻、家族、共同体、人生の目的や意義、といった概念の揺らぎを措定範囲にしながら具体的な一つ一つのエピソードを時系列に刻んで行く。実在するモノを数えた方が早そうな砂丘の村の簡素な生活のなかで男と女は具体的行動により場面を作る「演劇」を体現し、「砂の女」の世界が見事に結実していた。

ネタバレBOX

この男女のコンビで十数年前初めてうずめ劇場をシアターXで観たのを思い出す。
音楽劇「Le Rayon Vert」

音楽劇「Le Rayon Vert」

DANCETERIA-ANNEX

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2021/07/21 (水) ~ 2021/07/23 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いろんなキャラクターがいて、
観てて飽きなかった。

音楽劇「Le Rayon Vert」

音楽劇「Le Rayon Vert」

DANCETERIA-ANNEX

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2021/07/21 (水) ~ 2021/07/23 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/22 (木) 15:00

登場人物一人一人に物語を感じられる素晴らしい脚本でした。 数少ない装置にも関わらず飽きさせない演出にも感動です。また次回を楽しみにしてます。

音楽劇「Le Rayon Vert」

音楽劇「Le Rayon Vert」

DANCETERIA-ANNEX

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2021/07/21 (水) ~ 2021/07/23 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どんどん味わい深くなっていく
夏は舞台構成にもダンテリらしさが
見えて、良いですね

コメンテーターズ

コメンテーターズ

ラッパ屋

J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)

2021/07/31 (土) ~ 2021/07/31 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ワイドショーの裏側、コメンテーターの役割、そこに、YouTubeを始めた親父が加わることで...な展開の喜劇。
家族のつながり、友達とのつながりの大切さも描かれています。

引きこもっていた息子が、早い段階で両親と話し出すのもありだと思います。母のキャラもいいです。

孤独

孤独

オーストラ・マコンドー

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/07/30 (金) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

個人的な統計ですが「いい演劇はあらすじの内容とまったく関係ないことが多い」というものがあります。
この劇は、まさに逆を行きました。本編の内容は、まさにあらすじ通りです。
ただし、予習はまったく必要ありません。ストーリーにほとんど意味がないからです。
時代劇をイメージして観ると肩透かしを食うので、フラットに見るといいと思います。

なお、バンドの生音は素晴らしかったです。

ネタバレBOX

劇の半ばで、瀕死の太郎が息を繋ぎ、なんとか長らえるシーンがあります。
映像ではありえない、舞台演劇だからこその演出ですが、この体感時間があまりに長い。
「生への執着」という演出意図はハッキリしており、尺の長さに意味があるのもわかります。
ただ、俳優の演技は「凄いな」と思ったものの、途中で「飽きた。退屈だ」と感じたのも事実です。
このシーンをどう評価するかが、劇全体の評価になると思います。

俳優陣の服装が現代風だったのは意図がわからなかったなぁ。
犇犇

犇犇

TAAC

駅前劇場(東京都)

2021/07/30 (金) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。
加害者家族に対するバッシング等の問題という、かなり重い内容をうまく表現されていたと感じました。
重たいセリフと役者さんの演技が相まって素敵でした。
舞台セットや音響演出もとても良かったです。

【当日券あります!】冒険者たち ーガンバと15ひきの仲間ー

【当日券あります!】冒険者たち ーガンバと15ひきの仲間ー

かわさき演劇まつり実行委員会

川崎市多摩市民館(神奈川県)

2021/07/31 (土) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

・・・う~ん観劇マナーが
良くなかったのは他の回も同じなんだな・・・(-_-;)

だが作品は素晴らしかった
各人にマイクはつけてなかったが
収音マイクで拡声してたような気がー

舞台セットはドーナツ状の木箱せっとが
八百屋舞台みたく斜めになってて
シーンに合わせて解れる仕様でした

さすがの原作で少年少女向けでよかったし
登場される役者さんたちも
様々な年代の方がおられて厚みがったデス

ネズミとイタチのバトルが音楽劇仕立てだったり
舞台芸術という表現がピッタリと当てはまる感じの作品でした

全2幕 10分の休憩あり
紙のアンケート用紙付きでしたわ

う~ん客層が幼い子供も多いんで
開演前の前説で観劇マナーとか
コロナ下でのこともあり
丁寧に(映画館での鑑賞マナー動画風に)説明とかした方がー
などとも強く感じました
親が子供諫めないし
親もマナーとか知らなそうな方々多い感じだったから・・・ねぇ
しゃべるな雑音を出すな
面白かったり感じれば・・拍手ーとかね♪
観客も育てなければならいってぇーのは
エンターテイメント業界も大変だよなぁ・・・と 感想

ネタバレBOX

期待の(?)ネズミさんたちは
普通の服で=キャラに合わせた感じの服装でした
博士なんかは白衣風のコートに眼鏡=帽子とかね(^ー^)

対するイタチさんは
詰襟黒学生服で
リーダーのノロイ氏は真っ白で
まーわかりやすいコト
サイ Sai

サイ Sai

とりふね舞踏舎

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2021/07/31 (土) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

正しき見世物。
地獄の門が開き、亡者共が甦らんとする。舞踏の基本スタンスはスローモーション。癲癇の発作や全身を掻き毟る動作、二人アングラPerfume、狂女の口寄せ···。
それを地獄に追い返さんとする若林淳(じゅん)氏扮する動き出した仁王像。ぎこちない動きながらド迫力で亡者共を追い立てる。
主宰でもある、三上賀代さん(68歳!)の謎めいた舞踏(演歌調)。J・A・シーザー氏の曲の強み。常に悲しみが彩られていて世界から拒絶された者達の詩が響き渡る。どこかしらダリオ・アルジェント作品のサントラを想起。森ようこさんは白塗りでも流石に美人だった。

今村昌平の『神々の深き欲望』とエド・ウッド脚本の『死霊の盆踊り』を同時に観ている感覚。高尚な芸術にも笑いにも落とし込んではいけない絶妙な価値観のバランスが必須。どちらかに偏ると“理解”されてしまって、“消費”されてしまうのだろう。

ネタバレBOX

東北の寒村、見棄てられた貧者、癩病患者、気違い、片輪者、サンカ、女郎、賤民···、ありとあらゆる負のイマジネーションに満ちた見世物小屋。但しそこには圧倒的な悲しみがある。自分自身のカルマを覗き込んでいるような底無しの井戸。フェリーニと石井輝男の共有する宇宙。
J・A・シーザー氏の音楽がそれを成立させている。

二曲目の途中で機材トラブルがあり、公演は一時中断。三人の老人がボールをぽっかり口に咥えているシーン。またそこから再開するのだが、それすらも演出に思える程良い絵だった。
入江雅人グレート一人芝居「パンクスタイル 10」

入江雅人グレート一人芝居「パンクスタイル 10」

入江雅人

APOCシアター(東京都)

2021/07/28 (水) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

公演の全てを一人でこなすというそれだけでも凄いのに、お客様との一体感が良い。
初参加でしたが次も行ってみたい舞台でした。

ネタバレBOX

「アンクルおじさん」の開会式の毒舌!
「空に見せる」の私は今何をやっているのだろう感。
「劇団松田優作」この劇団の舞台があったらきっと見に行く。
「ミスティ」続きを見たい!
ダンス×人形劇「ひなたと月の姫」

ダンス×人形劇「ひなたと月の姫」

日生劇場

日生劇場(東京都)

2021/07/31 (土) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第一幕40分休憩20分第二幕50分。
凄く面白い。これを子供向けに収めてたったの全四回公演とはかなり勿体無い。いつか高畑勲追悼版として加筆して貰い、究極の『かぐや姫』が観てみたい。
銀色の巨大な半球が中空に浮かび、竹林をイメージしたような縦一面に組み合わされた真白な竹が複数左右にスライド。シーンごとにアイディア満載の演出。
ギター&パーカッション&ヴァイオリン+笛などで構成された生演奏のトリオが素晴らしく、ボサノヴァ調に時にはバート・バカラックを思わせる名演で場のムードを醸成。
人として演じるのは四人だけで、後は人形劇団ひとみ座の人形の操演とパフォーマーのコンテンポラリーダンス。これがまた女優は綺麗どころ揃いで肉体美を誇る男性陣といい豪華キャスト、隙がない。

主演のひなた役辻田暁さんの躍動。彼女の圧倒的舞踏を観ているとブルース・リーの言葉を思い出す。「鍛錬を積み重ねて新たな能力を手に入れる訳ではなく、本来生まれ持った自分自身になるのだ。」と語る。肉体に施された束縛を年月をかけて一つ一つ解いていき、自分自身のあるがままの肉体を手に入れる作業。自由な彼女の表現に人は皆本能的な憧れを持つ。
人形かぐやを操演するのは松本美里さん。声が美しく、卵から大人まで自在に演じ分けた。右腕を人形の胴体に差し入れ、左腕を人形の左腕に。両手の演技が必要な時には黒子がもう一人入って右腕を操演。等身大の人形操演の高度なこと。
かんた役の大宮大奨(だいすけ)氏も好演。オババ役の田根楽子さんも笑いで彩った。

かぐやは竹の中から金色の喋る卵として現れ、尻尾の生えた怪獣として育つ。他に類を見ない異色の設定で話の展開が読めない。村祭りの総出のダンスは美しい生命力に満ち溢れていた。

ネタバレBOX

かぐやは山賊に尻尾を斬られたことで人間の少女にメタモルフォーゼ。すぐに金髪の美しい女性(『アナ雪』のエルザ調)へと変貌していく。山賊の襲撃から逃れる為、四人は都へ上る。
都に行くまでがオリジナルで、その後はいつもの『かぐや姫』、五人の求婚者に五つの無理難題。
ひなたが主人公なのは村パート、第二幕では殆ど見せ場がなく、そこがかなり残念。主人公としてかぐやのキャラ設定では出来ないことの全てをやらせるべきであった。

内田吐夢の幻のアニメ映画企画、『竹取物語』。当時無名の新人高畑勲が出した企画案はボツに。罰として地球に落とされた月の姫かぐや、彼女は一体何の罪を犯したのか?がテーマであった。これは後に氏の遺作、『かぐや姫の物語』として結実、日の目を見る。観れば判るが途轍もない傑作。
原始仏教の説く教え、一切の執着を捨て苦しみのない境涯に辿り着いた者達が住む世界として月を設定。快楽と苦しみは表裏一体の同じものであることから、月の世からそのどちらをも捨て去ってしまう。かぐやは月から地球を眺めて人の世に憧れると云う罪を犯す。
原作版ナウシカの名台詞「いのちは闇の中のまたたく光だ!!」に象徴されるように、宮崎駿高畑勲の思想はゴータマ・シッダッタ(所謂釈迦)に否を唱える。ここは宮沢賢治に繋がる部分でもあるのだが、実生活を見据えていない高邁な思想に本能的に欺瞞を感じるのだろう。どちらが正しいとかではなく、人の生き方の違い。

今作ではかぐやは月に帰るが「必ず戻って来る」とひなたに言い残す。数年後かんたとの間に産まれた子供を抱くひなた。「顔を見た瞬間に分かったよ。この星にようこそ、かぐや。」

辻田暁さん恒例の『ピノッキオ』も今年限り。余りにも勿体無いので凄い作品を新たに制作して下さい。
病室

病室

劇団普通

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2021/07/30 (金) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

劇団普通の『病室』を観劇。

今作は MITAKA”Next Selection” 22ndの期待の若手劇団シリーズ。

茨城県のとある病院では、四人の入院患者の下に家族が見舞いに来たり来なかったりと事情があるようだ。
患者同士の会話、家族との会話、先生との会話などを耳にすると人生の縮図が見えてくるのは病室ならではだ。
だが話しているのが内容が家族間同士なのだろうか?何を言っているかがさっぱり分からず、まるで不条理演劇の世界だ。
更に茨城弁がそれに輪をかける。
不条理な会話と人生の縮図を強引に掛け合わせてくる作りには戸惑いを感じるが、それに慣れ親しんでしまうと至って普通な世界観に感じてしまうのが特徴だ。
『城山羊の会』と似ているとは言わないが、不条理と条理の世界を巧く行き来しているのは興味深い点とも言える。
そして最後病室から患者が去った後、大きなメッセージが残されているのにはハッとさせられる。
次回作も期待出来そうな劇団だ!
ダンス×人形劇「ひなたと月の姫」

ダンス×人形劇「ひなたと月の姫」

日生劇場

日生劇場(東京都)

2021/07/31 (土) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/08/01 (日)

価格3,000円

千穐楽の8月1日14時半開演回を拝見。

竹取物語がモチーフの、途中休憩20分込み2時間の舞台。
ほぼ等身大の人形を操演し、セリフもこなす、人形劇団ひとみ座の皆さん
主人公役の2人は役者も兼ねるコンテンポラリーのカンパニー
舞台下手、Perc、Gt 、Vlによる生演奏
能楽(月の王、他)、演劇(おばば、他)のベテランも参加した
まさしく総合芸術としての舞台だった。

特に終盤
かぐやが月に去った悲しみを舞台いっぱい駆け回り・踊り狂う
村娘役の辻󠄀田暁さん
幼馴染の大宮大奨さん
そして、村祭りの日
その2人の子どもとして生まれ変わった、かぐやのために、村人達が乱舞、小動物や鳥達の人形が祝福する大団円は、まさに見事のひと言。

児童向けとはいえ、充分に大人の鑑賞に値する120分だった。

ネタバレBOX

【配役、等】
村娘・ひなた…辻󠄀田暁さん
かぐや…操演・松本美里さん
ひなたの幼馴染・かんた
…大宮大奨(おおみや・だいすけ)さん
オババ/ナレーション
…田根楽子(たね・らくこ)さん
村長/月の王…津村禮次郎さん
中臣房夫(なかとみのふさお)/噂好きの家来
…操演・伊東亮さん
大伴御行(おおとものみゆき)…操演・齋藤俊輔さん
倉持皇子(くらもちのみこ)…操演・森下勝史さん
石作皇子(いしつくりのみこ)…操演・小林加弥子さん
石上麿足(いしのかみのまろたり)
…操演・蓬田雅代(よもぎたまさよ)さん
阿倍御主人(あべみうし)…末永快(すえながかい)さん
パフォーマー…
清家悠佳さん、小島功義(こじまかつよし)さん
久保田舞さん、浅沼圭さん
植田崇幸(うえだたかゆき)さん
松本ユキ子さん、新垣ケビンさん
ミュージシャン…
渡辺庸介さん(Perc)、ファルコンさん(Gt) 
中西俊博さん(Vl)
黒い箱の中に白い箱

黒い箱の中に白い箱

TAIYO MAGIC FILM

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/07/21 (水) ~ 2021/07/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

25日、錦糸町にあるすみだパークシアター倉で上演されたTAIYO MAGIC FILMの『黒い箱の中に白い箱』を観てきた。この劇場、自分の好きな劇団である桟敷童子の常打ち小屋で、桟敷童子以外の劇団の公演で出かけるのは初めて。この公演に出かけたのは、出演者の一人に知人の役者・水野以津美がいたことが直接のきっかけであったが、あとから演出の一人に少なからず関わりのある藤井仁人がいたことも知り、ますます期待を持って出かけた訳である。

事前に配布されていたフライヤーでは20分の短編作品を4作品上演すると言うことだったが、実際に蓋を開けてみると30分近い作品が4作品と、なかなかボリュームのある内容になっていた。

4作品は、ケーキ屋が舞台となり店長と常連女性客との恋愛、町内会イベントを巡っての店長と妹の下品な努力、そしてYouTubeに動画をアップしてケーキの売り上げアップを狙うバイトの仕組んだ偽強盗劇と3つのエピソードが入り組んだ『CEKE』、消極的な自分と積極的な自分との葛藤をミュージカル仕立てでまとめ上げた『歌いかけてくる』、醜男と醜女の純愛に割って入ってくるイケメン男性のその後とその娘の自殺使用とする前の告白劇となる『夏に雪が降る』、結婚に反対だと思っていた生真面目な父親が結婚前の娘に見せる一世一代のギャグをかます『ウエディングドレス』。1作目はドタバタ、2作目はほんのり、3作目は「え、お前あっちの男のその後!?」という思いがけない逆転、4作目は父親が見せる娘への愛情にホロリと涙。
水野以津美は1作目でケーキ屋の店長の妹役でなかなかの好演。演出・藤井は3作目を担当。これは脚本の面白さが4作の中で一番だった。

配布されたプログラムにキャストが載っていたが、役者名でのみで役柄が分からなかったので気になる役者が誰だと断言できないのが残念。
それにしても、臀部をくりぬいたパンツをはかせ、それが下品嫌いな彼女にばれないように店長の腰にしがみついて引き回されていた水野以津美の演技、ご苦労様でした。

更地16

更地16

大森カンパニー

ザ・スズナリ(東京都)

2021/07/28 (水) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約110分(カーテンコール込み)■
演技力でもって笑いを増幅できるような天性のコメディアン体質の役者が、大森ヒロシと山口良一しかいないのが物足りない。2人よりひと回りふた回り若くて、地力で笑いに拍車をかけられる、三宅弘城のような役者の加入を望む。
13編あるコントの中では、緻密な脚本が光る5、11、12番目の作品、そして、大森ヒロシと山口良一の、全てアドリブであるかのようなライブ感あふれる掛け合いが楽しい10番目がお気に入り。

ネタバレBOX

4編目の「まぁまぁ友」、6編目の「向いてない人々」はいまひとつの出来。
犇犇

犇犇

TAAC

駅前劇場(東京都)

2021/07/30 (金) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

このようなテーマの話は、観劇後にいつも思うのですが、
はたして正しい答えがあるのか?
ま、だからいろいろな作品が出てくるのでしょうけれど.....
今回は加害者家族を描いている中で
観る人にもよりますが、明らかな事実と、推測される事柄のバランスが良かったかな⁉︎と感じました

これしき

これしき

ほりぶん

王子小劇場(東京都)

2021/07/27 (火) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

■約75分■
今回はストーリー性に乏しい上、山場も力不足。

ネタバレBOX

ひょんなことから友達になった女5人が、付き合いを続けるうちにそれぞれの恐ろしい(?)裏の顔を表し、関係がこじれていく物語。是敷(上田遥)の裏の顔が気功術もどきの使い手、横手(川口雅子)の裏の顔が怪力女というのは、ちょっと弱かった気がする。この2人の対決が本作の山場なれど、単なる力と力のぶつかり合いになってドタバタしているだけで、退屈してしまった。ここは一捻りほしかった。
“だいじょうぶじゃない”短編集

“だいじょうぶじゃない”短編集

果てとチーク

アトリエ第Q藝術(東京都)

2021/07/22 (木) ~ 2021/08/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■125分強■
「だいじょうぶじゃない」という言葉で、4つの短編を無理やり括ってる印象。とりわけ2編目は、だいじょうぶかどうかなんて尺度で作品を測るのがまるでしっくりこない、ドタバタSFラブコメディ。それはそれで面白かったからよかったけど。
3編目は、人物と名前の対応関係が客には充分周知されていない序盤から作中人物の名が会話の中にポンポン飛び出し誰が何してどうなったのかよくわからないまま終幕となって、話がつかめなかった。
作品によって濃淡はあれど、どの話にも笑いがある点には好感。

ネタバレBOX

母からセクシャルハラスメント(?)を受けて女性恐怖症となった男子学生が、母の命令で女しか生まれなくなる薬を将来発明すると未来人から知らされる2つめの短編は、時間的制約もあってか話のポテンシャルを出しきらないまま終幕となってしまった印象。勿体なく感じた。
INDEPENDENT:4thSeasonSelection / JAPAN TOUR

INDEPENDENT:4thSeasonSelection / JAPAN TOUR

INDEPENDENT

せんだい演劇工房10-BOX(宮城県)

2021/07/29 (木) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

INDEPENDENTの仙台公演(7/31公演の)、観てきました。一人芝居、6組の演者の方々の公演、それぞれが個性的で、目からウロコが落ちるような内容で、全て堪能できました。
機会がありましたら、また、このような公演、観たいと思います。 

悪魔をやっつけろ ~COVIDモノローグ~

悪魔をやっつけろ ~COVIDモノローグ~

燐光群

座・高円寺2(東京都)

2021/07/31 (土) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 原題はBEAT THE DEVIL英国のデヴィッド・ヘアの作品であるが、彼自身の闘病記と医学・生理学的知見と実際に行われていた政治的・社会的状況が描かれる。今回日本での上演は板上に会議用のテーブルを置き、テーブル上にはペットボトルとコップ、そして一脚の椅子という朗読に必要最低限の物だけを置いた。演者・演出共独りで担った坂手 洋二氏の朗読公演の形を取るが、開演直後前説代わりに演者本人がマスクを付けた状態で今作が2020年秋にロンドンのBridgeTheatreで世界初演を迎えたこと。その時の俳優名、900席程ある席でソーシャルディスタンスを取って大幅に観客を減らし演じられたこと等が説明された。朗読時は、PCR検査で陰性が証明されて居た為、マスクを外しての朗読。観客席最前列は、着席不可で1人も人は座っていない。今後の公演予定は劇団HPで詳細を当たって欲しい。先ず、第一稿を載せる。

ネタバレBOX


 因みに今作の原作者・David Hareは2020年の3月に実際に罹患しており、その時の体験が盛り込まれることにより、階級・階層間差別問題、科学(殊に医学・生理学・免疫学等)の真摯な研究と忠告/WHOによるパンデミック勧告軽視及び無視を為し初期対応を全く誤った。政治の誤りというより欺瞞性が、それを率いたジョンソン自身の罹患によって大きくメディア報道そのものを変えた。(ジョンソン罹患以前は敗者の病とされ下層階級を占める諸階層特有の病とされていたことが、ジョンソンの罹患によりミドルを含むアッパーを包含、白人それも男性「エリート」も罹る病として漸く事実認定され、社会化された)事実をアイロニカルに描いている点にも見られる。
 日本でも児玉龍彦氏が国会に招致され証言したが、意識的議員の招致にも関わらず、児玉氏の正鵠を射た指摘は悉く無視され、その後の爆発的感染を招いたこと、その責任が政治の無能そのものにあるにも関わらず、肝心な指摘や、野党の真っ当な質問にも一切キチンとした対応をせず、鵺そのものとして機能している日本政治の姿は民主主義そのものの否定を表していることが明らかである。現在、多用される緊急事態「宣言」が非常事態「宣言」に変わった時、日本政府が何を為し得るかが上演後指摘されたが、考えてみるが良い。優れた演劇もまた、社会を映す鏡である。今作の緊急上演が何を懸念しているか、念を馳せるべきであろう。

このページのQRコードです。

拡大