チーチコフ
劇団俳小
萬劇場(東京都)
2021/08/27 (金) ~ 2021/09/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ゴーゴリの未完の長編、『死せる魂』。完成していた第二部を作者自ら焼き捨て書き直したせいで不統一な作品に。更にその後、文学を棄てる事を決意し書き直した第二部を再び暖炉で焼き捨てる。そして十日後、自ら断食にて没す。後に残された原稿の断片から遺作として不完全な第二部が刊行された。全三部の作品だった為、ゴーゴリがどんな作品を構想していたのかは今や誰にも判らない。
舞台は十九世紀ロシア、当時の地主は次の国勢調査まで死亡した農奴(その土地の領主に保有された農民)の人頭税をも支払わなければならなかった。元小役人チーチコフは死んだ農奴の所有権をただ同然に譲り受け、名義上は大勢の農奴を抱えた地主に成り済ますことを企む。登記したその農奴を担保に銀行から大金を借り入れ、国外逃亡することが目的。面識を得たロシアの方方の地主に交渉に出向くのだが···。
チーチコフ役大川原直太氏が実にいい味。高橋幸宏と泉谷しげるを足したような風貌で知性と茶目っ気が同居している。現実感のある、地に足の付いた悪党が演れる逸材。人が変わったように老婆を非道い剣幕で脅しつけるシーンが印象的。
その敵役となるノズドリョフ役手塚耕一氏も負けてはいない。佐藤二朗とケンドーコバヤシを足したような雰囲気で破天荒型の嫌な毒舌キャラ。それなのにどこかしらユーモラスな存在に創出。出て来ると場が盛り上がる。
演出の意図なのか、後半から徐々に『マクベス』を連想させる断片が。
チーチコフに付き従う御者セリファン役左京翔也氏の獣じみたキャラは異界の荒れ野を馬車で疾走している気分にさせる。
チーチコフの転落の切っ掛けともなる老婆、コローボチカ役吉田恭子さんは欲深い弱者を好演。
コーラス・ガールの三人組、西本さおりさん、覚田すみれさん(美巨乳!)、小池のぞみさんがエロエロで観客を煽り続ける。時には馬車馬になり、チーチコフを乗せてロシアの湿原を駆け巡る。シルエットのみで演じられるセクシーなオープニングは『11PM』的で素晴らしい。この三人の魔女が「チーチコフ!」「チーチコフ?」と呼び掛け続けるのがリズムとなってずっと耳に残る。
ずっと袖で生ピアノを演奏し続ける音楽担当の上田亨氏。曲がキャッチーで活き活きとこの世界の住民を鼓舞し地獄巡りの寓話に鮮やかな色を着ける。
チーチコフ
劇団俳小
萬劇場(東京都)
2021/08/27 (金) ~ 2021/09/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
休憩を挟んでの前半、後半。
前半 チーチコフ、人生どん底からの妙案。
とある田舎町をターゲットに、死亡した農奴の戸籍を訪問買取りにまわるチーチコフ。
彼の胡散臭い話に、手持ちの名義を売ろうとする面々もそれぞれに欲深そうでニヤニヤ。
生ピアノ、キャバレーのママや狂言回しでもあるコーラスガール達の歌声。
もし観客がお酒など嗜みながら舞台を楽しめる“ミュージカルバー”なるものがあったならピッタリの雰囲気。
後半 チーチコフの思惑違い、徐々に、やがて大きく状況が狂い出し・・・これは観ている者が思わず前のめりってヤツですね!
“悪党達”をエンターテイメントで楽しむ『ベガーズ・オペラ』『三文オペラ』と非常に似た感覚のする舞台だと思いました。
ただ女性にモテモテ、イケイケな『三文オペラ』の主人公メッキ―・メッサ―と違ってチーチコフは女性とは縁薄く、人生 尻に火が付いてるって感じ。
泥臭くって危なっかしくて、目が離せないのでした。
【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021
プーク人形劇場
プーク人形劇場(東京都)
2021/08/10 (火) ~ 2021/08/14 (土)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
「快傑ゾロ」アルファ劇場
操り人形劇だが、ギター、太鼓等のパーカッション、サックスの生演奏が入り、演奏が実に上手い。人形劇は猫の顔を思わせる装置が用意され、ゾロの仮面を付けた部分が跳ね上がるとそこが人形達が活躍する舞台になる。主たる登場人物は、ゾロ、ドン親子、市長、将軍、犬のポポ、セニオリータ、その母、ワキに酒場の客、酒場のホステス、兵隊等。子供達が観て楽しい内容になっている。筋は単純で、市長は人々に重税を掛けて将軍や兵たちに徴収させ贅沢三昧をしているが、弱者は堪ったものではない。この市長や将軍・兵士ら弱者を痛めつけ収奪する者達に鉄槌を食らわすのが、ゾロの役目だ。覆面をしているのでゾロの正体は美しいセニオリ―タにもよく分からないが、ドンの子息には憧れており、子息の方でも美しいセニオリータに気が在るが、だからこそ彼女の前に出ると体が竦んで何もできない。それで彼は見捨てられてしまう。一方、将軍は美しいセニオリータにぞっこんで嫌われれば嫌われる程増々恋しくなり付きまとう。弱い者苛めの先頭に立って行動する将軍は何度かゾロと戦い総て負け、ゾロマークを剣で付けられる。
ラストは、セニオリータの懇請に負け、マスクを取ったゾロの正体を知った彼女と子息のメデタシ、メデタシ!
ところで、ワークショップで本物の人形を使って実習をさせて貰ったが、この人形が結構重い。遣いこなすのにかなりの体力が居ることが分かった。
フランドン農学校の豚/ピノッキオ
座・高円寺
座・高円寺1(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/10/07 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/09/04 (土)
価格2,000円
『フランドン農学校の豚』、2019、2020年に続けて、今年も9月4日17時開演回を拝見(65分)。
【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021
プーク人形劇場
プーク人形劇場(東京都)
2021/08/10 (火) ~ 2021/08/14 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「The Worthless」
ウクレレ、バンジョー、ギター、小型シンバル、鐘、ラッパ、小さな打楽器等を取り付けてあるウォッシュボードの他、時折小型マラカス等も用いられ軽めで楽しい楽曲が演じられる。板上には縦長のスクリーンが置かれ、マスコットキャラが踊ったりしている。このグループは様々な絵本を基に曲を創るという。可成りメジャーなグループのようだが、自分は初めて知った。
段差インザダーク
コメディアス
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/08/11 (水) ~ 2021/08/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■約90分■
重い貴重品を載せた台車で、つぎつぎ段差を乗り越えていく――。これだけで90分もたせるのは大変だろうに、ほぼほぼ段差のくだりだけで時間を埋めているのは脚本力の賜物。笑いへの期待値が高まってハードルが上がるのを承知の上で「コメディアス」と名乗る潔さにも好感。一同が細かいことにこだわるあまり笑いが生まれる緻密な脚本がヨーロッパ企画を彷彿させる。次作にも期待。
<会場変更/追加公演有>山中さんと犬と中山くん
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/09/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
■約80分■
俳優たちによる5つの掌編の朗読と、短編演劇2本、計3コンテンツの寄せ集め。全体を貫く格のようなものもなく、こんなご時世にわさわざ上演するほどのものか、と疑問が残った。
パレードを待ちながら
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2021/09/04 (土) ~ 2021/09/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/09/04 (土) 13:30
座席1階
カナダにも国防婦人会があるとは知らなかった。「銃後の守り」として夫や恋人を戦地に送り出した女性に愛国心を強いていた国は、日本だけではなかった。カナダでは何回も再演されているというこの演目は、国を、国民の心を滅ぼす形で作用する戦時の愛国心が、万国共通でいかに愚かしいものかを教えてくれる。
民藝の舞台には珍しい、五人の女性だけによる舞台だ。いずれも個性的な女優たちで、それぞれの銃後を時には美しく、時にはかなりの迫力をもって演じている。日本の銃後の女性たちも、おしゃべりや小さな楽しみを見つけて笑いあう日常があったというのは想像できるし、ドラマや映画でもそのように描いたものがある。だが、この5人、カナダの女性たちはおしゃべりに加え歌やダンスでとにかく明るい。ある時は密造酒でパーティーを開き、泥酔したりする。カナダでは、ちょっと派手な格好をしたり敵性語のレコードを聴いたりすると「非国民」だと憲兵に告げ口されるようなことがあったのだろうか。そんな息の詰まるような度合いは、「連帯責任」という言葉が今も生きている日本の方が強かったのだろうかと想像する。
さらに、この舞台が教えてくれるのは、軍人になって命を懸けて戦うという価値観、つまり戦争に行くという男としてのある種の「優越感」が実は独りよがりではないのか、ということだ。愛する者を守るために俺がやってやる、といういわばマッチョの思想が、守られる立場から見るとかなり空虚なものだということである。
男が一切出てこず、女性だけの視点で語られる舞台だからこそだろうが、それだけに、この「愚かしさ」を示唆するような空気が、舞台からガンガンと伝わってくる。
男たちは何のために、命を投げ出して戦ったのか。国を守るためか。愛する妻や子を守るためか。この舞台の5人の女性から見れば、そうした「男らしい」価値観がまったくかすんで見えるからおもしろい。例えば映画「永遠の0」を見れば、男である自分はそれなりに感動するのだが、その感覚と今回の舞台とは交差するところがまったくない。
「国を守る」だとか、「愛する人のため」だとか。政府がそんなことを言い始めたら、この舞台をもう一度上演してほしい。女たちがその誤りを見事にさばいてくれるだろう。
ルシオラ、来る塩田
桃尻犬
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2021/09/03 (金) ~ 2021/09/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
一筋縄ではいかない劇団。でもそこが面白いし、役者さんもみな良し。うー、何を書いてもネタバレになりそうだ。
「侠」 君、逃げたもうことなかれ
サンハロンシアター
「劇」小劇場(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/09/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ホリゾント中央に額に入った「侠」の字の墨書が掲げてあるが、これは今作の展開する双葉デパート・お客様相談室長、九条侠介の名前から摂ったものである。他に舞台美術は下手と上手に丁度司会台の高さほどの所に書類が置けるようになっており、正面だけ目隠しに書見台に直角に延びている部分を除き側面は書見台に向かって斜めになった三角を形成している台。中央には両側面に箱馬収納場所のある直方体。この直方体奥に椅子1脚とシンプルだ。華4つ☆
『砂の女』
キューブ
シアタートラム(東京都)
2021/08/22 (日) ~ 2021/09/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/09/03 (金) 18:00
濃密な時間を過ごすことができた。
安部公房1962年の小説で、64年には映画化された作品を、ケラの上演台本・演出で初めて舞台化する。砂に埋もれつつある家に住む女と、そこに一夜を借りて閉じ込められる男の物語だが、映画では岸田今日子が演じた女を緒川たまき、岡田英次が演じた男を仲村トオルが演じる。ありえない設定だが妙にリアルに表現される展開は見事で、ケラ得意のプロジェクションマッピングや照明、上野洋子による生演奏での音楽や音響が特に効果的である。アンサンブルの4人もしっかりした演者陣で巧みだが、何と言っても、事実上の2人芝居で2時間半以上を演じる緒川・仲村の2人には脱帽。80分(休憩15分)75分。
<会場変更/追加公演有>山中さんと犬と中山くん
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/09/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/09/02 (木) 17:00
ベテランによる、とっても気の利いた(?)作品。
工藤千夏が書いた脚本を、花組芝居の桂憲一・大井靖彦・八代進一とキャラメルボックスの西村浩幸,山藤貴子らで上演する。Part 1『山中さんの犬』は、山中さんの犬を預った家の物語。テンポ良く繰り出されるエピソードとセリフに笑わされながらホンワカ観ていられる15分。Part 2『Five Dogs』は、5つの短編を5人が個々に朗読する。どれも気の利いたオシャレな(という言い方が適切か分からないけど)物語。30分。「4分間の換気休憩」の後、Part 3『中山くんの縁談』は、江戸時代っぽくないけど江戸時代の話だとすぐに分かる展開で、誰を扱っているかも大体分かり、面白く観ていられる30分。
物語の面白さと、ベテランらしい確実な演技で、楽しめる80分だった。
デンギョ-!(再演)
小松台東
ザ・スズナリ(東京都)
2021/09/01 (水) ~ 2021/09/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#小松台東
#デンギョー!
【2回目】初日とはまた少し違った手触りを感じた。舞台はナマモノで生き物だということをまた感じる。
#松本哲也 さんの本の基盤は家庭や家族にあると常々感じている。円満にも不和にも、その奥に家族という繋がりに対する願いや愛情が揺るぎなく存在しているように思う。
#小暮智美 さん演じるコハルが中央の椅子に座って夫のヤスダに向ける視線と笑顔から「大好き」が大洪水していてポカポカする。
そして、サッちゃんのお母さんやアノ方など、大切な人との別れは頑なな人の心をも融解させる強い影響力があることを見せつけられた。自分も人生を折り返してから『自分が死んだ時……』を考えることが増えた。
ここにいる人は、なんだかイジケて頑ななのだけれど、それに増して剛速球の愛情を投げ込める人ばかりで、眩しくてクラクラする。
#尾形宣久 さん演じるアベが思いを伝えようとするとブチ壊され、取り残される姿が痛々しい。ラジオ体操開始前……彼が何度もそれを繰り返す姿に涙を堪えきれなかった。
2時間の帰路、#木下愛華 さん演じるサッちゃんの薔薇がこれ以上増えないことを祈った。
ルシオラ、来る塩田
桃尻犬
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2021/09/03 (金) ~ 2021/09/12 (日)公演終了
ミュージカル『CITY HUNTER』 -盗まれたXYZ- / ショー オルケスタ『Fire Fever!』
宝塚歌劇団
宝塚大劇場(兵庫県)
2021/08/07 (土) ~ 2021/09/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★
宝塚歌劇には華やかさや胸キュンを期待しているのですが、これは難しい演目だったかもしれません。厳しかったです。レビューはラインダンスが豪華でよかったです。
「侠」 君、逃げたもうことなかれ
サンハロンシアター
「劇」小劇場(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/09/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
超面白い。日本映画でこんなものを作れれば客は戻って来る。伊丹十三が大絶賛された頃、「そんなに面白いか?」と思ったものだが、今作を観て色々と腑に落ちた。『シン・ゴジラ』で日本人にしか作れないジャンルの実在をしかと感じたように。
多種多様な役者達、他の劇団ではまずお目にかかれない陣容。ルックスだけで痺れる。誰一人無理して作ったように感じるキャラがいない。
地方都市(松山市?)にある双葉百貨店。主人公はお客様相談室長の九条侠介(内藤トモヤ氏)。退職する事が決まっている。新たにメンバーとして社長がスカウトしてきた倉持侑(和泉輪さん)が加入。次々と襲い掛かってくるクレームの嵐に誠意を持って立ち向かう。プロ・クレーマー達はヤクザや風俗嬢、たかり屋、中学校女教師など多種多彩。“クレーム“と“苦情”の違いを後任達に伝えなければいけないのであった。
内藤トモヤ氏は深みのある存在、作品に重厚感を持たせる。伊丹映画の大地康雄的味わい。宝飾店店長役橋本智恵子さんが美しく、フジテレビの元局アナのような品がある。スナック経営のクレーマー役、大図愛さんもドギツく魅力的。正論で怒り狂う客、田野良樹氏もとにかくリアルな立ち居振る舞い。たかり屋稼業の親子、香戸良二氏と垣内あきら氏は最高に立ったキャラ。女教師役の高山佳子さんも怖かった。謎の苦情女、高岡季里子さんの不可思議な空気感。
脚本の書き方のお手本のような作劇、感心した。暗転や移動中の会話、細かい演出にさりげない工夫。もっと皆に観て欲しい作品。
戒厳令
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2021/09/03 (金) ~ 2021/09/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
圧制者が人々の自由を奪い圧制者に忠実な奴隷にしてしまおうとする恐怖政治は今でも現実に日本の周囲でも起こっており、それを想起させるカミュの戯曲だが、よく観てみると、デスノートみたいなものが出てくるし奇想天外なところがある。そういえば、カミュには「ペスト」という小説もあるが、本作のペストは悪魔のような圧制者。
主人公とペストによる大衆の醜さに関する舌戦は今ひとつ噛み合っていないように感じた。
建設現場の足場みたいなものを組んだ高低のある舞台や4つのディスプレイはシンプルだが効果的に活かされており、実力ある俳優たちのプロらしい演技でベタになりそうな場面や所作でもしっかり水準を保ち鑑賞に堪え得るものになっているのはすばらしい。
その間にあるもの
A級MissingLink
ウイングフィールド(大阪府)
2021/09/01 (水) ~ 2021/09/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/09/03 (金) 19:00
価格3,500円
かなり入れ子構造になっていて感想を伝えにくいが、かなり面白かった。しっかりとした土台の中に突飛な展開をぶっ込んでくるところもまた良かった。
台本を持って演技するところもあるのだが、これが本当に上手いのか下手なのかよくわからない演技をするので、ちょっと役者の力量を計りかねる感じもした。
あと、松嵜さんの演技に成長の跡が見れた。
ただ、換気している時の隣のビルからかの焼き肉の匂いは空腹には酷だった。
『演劇×オペラ フィガロの結婚・令和版』
若い演奏家の為のプロジェクト
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/09/03 (金)公演終了
『演劇×オペラ フィガロの結婚・令和版』
若い演奏家の為のプロジェクト
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/09/03 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
新しいスタイルで楽しませる好公演。
演劇とオペラの異色のコラボという謳い文句であったが、基本的に演劇チームが始めに台詞で演じ、続いて同じ場面をオペラチームが歌って聴かせる。今まで観聴きしていたオペラは、多くは原(イタリア)語で歌い、目で字幕を追っていたが、本公演は演劇・オペラという観せ聴かせる特長を活かしたもの。同じ場面でありながら、やはり違いは明白であった。演劇チームは演じるが、特に表情が豊か。一方 オペラチ-ムは聴かせる力は圧倒的で心地良い。もちろん演劇チームは歌わず、オペラチームの魅力を損なわない演出。逆にオペラチームの時にはピアノ伴奏があるが、演劇チームの時には台詞の じゃま をしない配慮。このピアノの伴奏が実に上手い。
さらに、それぞれのチームに相応しい演出で観客を魅了する。例えば、ラストの披露宴会場の空に花火が打ち上げられるシーンは、演劇チームは照明の変化、オペラチームは全員で熱唱する。
物語にはコロナ禍を反映させた台詞もあり、時に観客を笑わせる。冒頭、主人公のフィガロと結婚相手であるスザンナがフェイスシールドを着装して登場。それで歌うのか一瞬驚いたが、すぐにそれを外し、出演者がPCR検査を行い全員が陰性であったこと、三蜜にならないことは大切だが、八(蜂)蜜の甘い心情は必要などと駄洒落に近い台詞がポンポンと飛び出す茶目っ気が…。
(上演時間2時間50分 途中休憩15分)