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ゲンチアナ

ゲンチアナ

フェルフェン

シアター風姿花伝(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/09/09 (木)

価格4,000円

9日19時開演回を拝見。

フェルフェンというユニット、新宿眼科画廊で観た、漫才を題材にした立ち上げ公演が好みに合わず、以来、ご縁が無かったんだが…今回は、主宰を初め、顔と名前が概ね一致する役者さんが多数ご出演ということで足を運んでみた。
でっ、いざ始まってみると、ところどころ感じたストーリー上の唐突感も何のその、まるで人気劇画の頁を夢中になって、めくっていくようなアクティブな展開!
終盤の種明かしがやや駆け足気味ではあったものの、全体としての感想は大変見応えのある110分だった。

ネタバレBOX

【配役(まだ公演中なので、登場人物の紹介内容、敢えてボカしています)】
棟方ゆかり(とある事情から捜査チームに編入)…安藤陽佳(あんどう・はるか)さん
(舞台で拝見するのは2年前の「Court Gort(コートゴート)」以来)
天馬映美子(事件の捜査チームにおけるリーダー)…山岡よしきさん
(出演者が多過ぎて、確認できなかったが、シアタートラムでの「青い鳥」以来。「どうせ茗荷谷で降りるくせに」、フェルフェン第一回公演で認識した役者さん)
佐々木遼太(捜査チームのハッカー)…橋本宙樹(はしもと・ひろき)さん
谷希望(捜査チームの元警官の探偵)…井筒雄太さん
篠原総一郎(捜査チームの一員)…赤也平(あかや・たいら)さん
大澤秀寿(捜査チームのベテラン)…藤田ひさおさん
本城朔也(刑事。棟方の…)/記者②…原田和真(はらだ・かずま)さん
香坂孝生(署長)/刑事B…日比博朋(ひび・ひろとも)さん
渡辺晶比呂(雑誌のトップ屋)/刑事A…平井泰成さん
(7月に主演舞台を観たばかり)
菅沼未雨(ミウ)/堂前凛…栗原雅美さん
高橋由愛華(ユメ。弱気)…平石愛さん
明石紗良(サラ。クールなようだが優しさも…)/記者④…中村つぐみさん
(7月の幻魔怪奇劇「DGURA MAGRA-ドグラ・マグラ-」では、化粧が凄過ぎて?! 後で出演を知った。シアターミラクルで何回か舞台を拝見)
新山葉菜(ハナ。甚だしい程の気分屋)/記者③…結川かをるさん
我孫子匡(警察出身の…)/記者①…神野剛志(かんの・たけし)さん
(出演舞台を観る機会の多い役者さん)
紫苑(ミウたちの…)/源氏あんな(アイドル)…五十嵐絢美さん
(もともと可愛らしい容姿の方なので、出だしの一日警察署長は凄くお似合い!)
カムカムバイバイ

カムカムバイバイ

U-33project

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

面白かった。音楽のせいか、終演後やたら悲しくやるせない気持ちにさせられる。この世の誰一人幸せになれないシステムを観せられているような感覚。
奇妙な話が連続して語られていく。一つ一つは愉快な気楽なエピソード。一見何の関係性もないような話が続くのだが、その場にはいつもニコニコ微笑む謎めいた女性(白野まゆ佳さん)の姿が観客にだけ見える。

ほぼ主演の月海舞由(つきみまゆ)さんが大熱演。小泉愛美香(あみか)さんが可愛かった。岡村俊佑(しゅんすけ)氏のリアクション芸はド迫力。

ネタバレBOX

①上司に連れられて立ち寄ったゲイバーでの出会い
②綺麗になるスプレー
③脱獄を指南する女
④不安に陥る女アナウンサー
⑤金持ちになりたい女性とシャンプー

テーマはSNS(TwitterやYouTubeも含んでいる)。キラキラと輝くコンフェッティ(紙吹雪)が”いいね“を表象。孤独な人類はSNSに縋り、愚痴りいきり相談し胸の内を吐露する。無意味な独り言に相槌を打ってくれる存在。すでに現実世界の人間を超えた存在になっている不特定多数の架空の誰か。受け手としての自分は時にはその一人にもなる。それはすでにシステムとしての“神”じゃないのか?と云う物語。

脱獄のエピソードは違法指南の比喩だったり、何となく意図は理解出来るのだが、語り口が下手で混乱を招く。月海さんを多用し過ぎ。小泉さんのアイドルになるエピソードなど物語の統一性に欠ける。もっと上手くエピソードを繋げられたらラスト、幻の城の瓦解が生きた。

帰り道、ブルーハーツの『遠くまで』と云う曲が脳裏に流れる。
「言葉はいつでもあやふやなもので僕を包んだり投げ捨てたりする。僕をほどいてくれないか?」
【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021

【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021

プーク人形劇場

プーク人形劇場(東京都)

2021/08/10 (火) ~ 2021/08/14 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

「プラスチックヒーロー」 アリエル・ドロン 2021.8.12
 ネタバレに書かれたことの背景を知りたい方は、以下をご覧頂きたい。
https://handara.hatenablog.com/

ネタバレBOX


 イスラエル出身の人形遣い。二十歳過ぎでセサミストリートのキャラで最も上手い人形遣いがやるエルモ役を担当、然し人形遣いの用いる人形操作に飽きてしまい30を過ぎた現在は市販のおもちゃを用いて作品創りをしている。現在イスラエルはシオニストが中心になって政局を動かしているが、長年に亘るパレスチナとの争闘、兵役義務、イスラエル社会にウンザリ、今作もある程度正確なイスラエル・パレスチナ情報を掴んでいる者にとってはその表現の意味する所が良く分かる作品に仕上がっている。
 登場するヒトは、人形を操作するアリエルと国際法に反する占領地からTV電話する兵士の妻や娘たちの人形以外は総てが兵士であり、電話をしている兵士も妻から任地を尋ねられて応えることができない。無論「軍事機密」に属するからである。出て来るおもちゃは、戦車、戦闘ヘリ、軍用ヘリ、軍用車両、防護用ブロック、歩哨台、レーダー或は電磁兵器らしきもの等々、総て軍事絡みのおもちゃである。因みに虎のぬいぐるみが登場するが、1人の兵士が虎と仲良くなり、虎に舐められたり、虎の喉を撫でたりしながらBigcatと呼びかけ親密になる。偶々ヘリか何かが上空を飛び兵士も虎も一旦避難する。兵士が後ろ向きになっている時、虎が戻ってくる気配に気付いた兵士は、振り向きざま虎を撃ち殺してしまう。何故ならそれが兵士の基本的な行動だからであり、動くものは総て撃てという命令は金科玉条だから条件反射的に撃ち殺してしまった訳だ。敢えてこのような状況を描く所にドロンの反イスラエルの姿勢が表れていよう。
カムカムバイバイ

カムカムバイバイ

U-33project

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

正直、ストーリーが理解できず、何を伝えたいのか分かりませんでしたが、若い感覚とパワーを感じる舞台でした。
役者さん達の熱演も良く、光の演出が綺麗でした。
よく分からなかったのですが、面白かったです。

戒厳令

戒厳令

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2021/09/03 (金) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/09/09 (木) 14:00

130分。休憩なし。

歌姫・ネバーダイ! in deep

歌姫・ネバーダイ! in deep

ライオン・パーマ

萬劇場(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 まんを持しての公演。タイゼツベシミル!! 華5つ☆
 換気休憩5分を挟み2時間半の大作だが約400年に亘るストーリーを幾つかの場所・時代に展開する挿話に分け、丁度それぞれの物語が時の大河に浮かぶ洲で起こる各々の事象を描いたかのように編み込まれており、而も大河の流れは共通しているので全く飽きず無理なく自然に鑑賞できる。また、歌が重きを為す作品なので歌の上手い役者を揃え、音響技術の良さ、脚本の素晴らしさも手伝って実に良い作品に仕上がっている。

ネタバレBOX


 誰もが知る人魚の肉を喰らえば、人は不老不死を得るという人魚伝説を巧みに織り込むことで、殆ど永生を得た人間の有為転変を実に深く、時に肺腑を抉るような切ない台詞を鏤めながら変奏する。各挿話を幾本もの柱として建て、その柱の立つ深く無限の軸、即ち永遠を生きる不老不死を得た主人公の、或は他の愛しい者達の個々の生死を看取り、同時に遺伝子を継承する個々の人物たちの永生をも綯い交ぜてその死生観自体を重層低音のように響かせながら、相互を絡ませ或は輻輳させることで実に微妙でコレスポンダンスに富む奥行きと普遍性を実現させてみせた。各挿話のテーマは多岐に亘り、全体を通してヒトの生き死に、ヒトとは何か? 等々普遍的な問題に切り込んでくるが、極めて示唆的な点は、如何にも喜劇劇団らしく本物の悪人は登場しないことである。その代り非人間的な行為を実践する主体として公権力を操る人間共の非情を描いている点が喜劇劇団としてのアイロニカルな切れを見せている。他の登場人物達は、官権からは悪と見做され犯罪者として処罰の対象にされようと、人としての約束を守りその為に死をも甘んじて受け、気恥ずかしさや生き方の美学を持ち精一杯生きている。即ち倫理的・人間的に生きているのに対し、官憲の非人間性は我々が日常的に体験する如く、「法」や「正義」の名に於いて非人間的な事を実践し続けている。然し、これこそが真の悪に最も近いという事実は自認することが出来ないことを提示していることが鋭い批評意識を為していると観た。
「侠」  君、逃げたもうことなかれ

「侠」 君、逃げたもうことなかれ

サンハロンシアター

「劇」小劇場(東京都)

2021/09/02 (木) ~ 2021/09/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

非常に凝ったストーリーで、役者さん達も素晴らしく、大いに楽しめました。

ゲンチアナ

ゲンチアナ

フェルフェン

シアター風姿花伝(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ハードボイルドなサスペンス、グッときましたね。ただ1時間50分の上演時間では内容量が多過ぎるのか、後半の謎解きは結構慌ただしくて唐突感もありました。

カムカムバイバイ

カムカムバイバイ

U-33project

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/09/08 (水)

価格3,500円

8日18時開演回を拝見。

上演中、何が言いたいのか理解が届かぬ、もどかしさを抱きつつ、役者さん達の勢いに引き摺られて…。
でっ、最後に来て漸く、作者の意図がわかった気がした77分。
難しいことは抜きにして?!愉しめる舞台だった。

なお、箱の空間に比して怒鳴り声のボリュームが大き過ぎたんじゃないのかぁ?と感じたことを付記しておく。

ネタバレBOX

【配役】
深瀬(ミキのストーカー?)…東象太朗さん
ミキ(興味は美容)…小泉愛美香さん
山口(犯罪者)…岡村俊佑さん
千葉(怖いもの知らずだったのが…)…松岡なえさん
降谷(お金持ちになりたい!)…鹿角東子さん
上記登場人物と関係する人々…月海舞由さん
〇〇〇…白野まゆ佳さん(ゴメンナサイ! 〇〇〇が何なのか、最後までわからなかった)
いろいろ…外山達也さん(やっぱり初登場での役柄?のイメージが強烈w)
パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/09/04 (土) ~ 2021/09/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

まず戯曲を読んで、銃後の女性たちを通して戦争を、時代を描く手法に感心した。映画とは違って、舞台には直接現れないものを、観客の想像力でたちあげる。その想像力を刺激するという点で、実際の舞台はオーソドックスすぎて、少々生真面目すぎたと思う。5人の女優は十分好演していたと思うけど、もう少し、遊んでもいいのではないか。出征した夫、息子たち、戦地に行かない男たちの姿を、映像や黙劇で示してもいい。
音楽が、指定の音楽と違ったように、戯曲の面白さを、逆に戯曲からはみ出すことで示す道があったのではないだろうか。

戒厳令

戒厳令

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2021/09/03 (金) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ペストとコロナとナチスとデスノートを合わせたような舞台である。最初はメタファーが多くて、何を指しているのか錯綜した。しかしペスト(ナチス)と青年(レジスタンス)の対決のクライマックスはすごい緊迫感で圧倒された。

ペストを名乗る新支配者と、その女性秘書が住民登録する場面は、市民の「私生活」に介入し思想と素行で選別をする怖さがある。青年が助けを求めた婚約者の父は「犯罪も法律になれば、もう犯罪ではない」と「悪法も法だ」と、権力者の作る秩序に従順に従う、普通の人々の生態を写す。そして、青年とペストの対決。見応え充分の芝居だった。

ペスト役の野々山貴之がすばらしかった。白塗りで終始民衆を小馬鹿にし、バットマンのジョーカーのような、ちょっと別世界の存在感。女性秘書の清水直子が支配の虚しさを示し、青年医師の志村史人が正義の苦しさで迫力があった。志村は「インク」の編集長役に続く主演、ぜんぜん違う役柄を好演していた。保守的民衆の代表の加藤佳男は自然体に宿る貫禄があった。

工事現場の足場のような2台の可動階段と2階廊下のセット。液晶画面を4台おいただけで、映像で場面を示すストイックな美術。上下の位置関係と、狭いアトリエを走り回る動きで、熱気と緊張感のある舞台を作った演出が素晴らしかった。志村はシャツが汗でびっしょりになるほどの熱演だった。

ネタバレBOX

青年が怒りにかられて恐怖を忘れたとき、ペストは治る。女性秘書から「恐怖を克服して、反抗するものが一人でも現れたら、彼らは打つ手がない」と教えられ、人々を導いて革命へ。立ち上がる民衆、権力との戦いを描くカミュはさすが左翼作家だ。

ペストの示した取引の場面は、いかにも「アンガージュマン」のサルトルと並ぶ実存主義作家らしい。その試練を乗り越え、青年は我が身を犠牲に、人々の自由を勝ち取る。

しかし、ペストは去り際に語る、「時がたって、すべての犠牲は無駄だったと思うとき、私の支配は完成するのだ」と。これはカミュの恐ろしい予言だ。若い日に理想に燃えた人々が、年を取って「あれは若気の至りさ」と、現状に満足するとき、体制は延命する。それが今の日本だ。酔っ払いのナダが「無駄死にさ」というのに、反論する人が数人いたとしても。
ゲンチアナ

ゲンチアナ

フェルフェン

シアター風姿花伝(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

凄く面白かったです。

ルシオラ、来る塩田

ルシオラ、来る塩田

桃尻犬

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2021/09/03 (金) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

桃尻犬の『ルシオラ、来る塩田』を観劇。

以前から名前に上っていた劇団だが、MITAKA ”Next Selection”に選ばれてやっと認められたようだ。
作・演出の野田慈伸は俳優としてキャラクター作りが上手く、主役以上に気になってしまうほどだ。
さて演出の方はどうなのだろうか?

幼い頃母親に捨てられた兄妹は遠い親戚の牧場で育てられる。
兄の妹への献身的な愛情と近所の助けによって立派に育っていくが、年齢と共に鬱陶しさを感じてきてしまう妹は兄と大喧嘩をしてしまう。
果たして二人の仲はどうなっていくのだろうか…。

助ける側と助けられる側、応援する側とされる側。
人との関わりの中で一瞬にして互いの立ち位置が変わっていく様は傍から見ていると面白いが、本人にとっては大変なことだ。その箇所を過剰なセリフ仕立てと演技で作り上げたのが今作で、狙いどころとしては抜群だ。大きな物語はない代わりに登場人物の役柄で展開していくのは刺激的であり満足は出来るが、時間と共に物語が欲しくなるのは観客の心情だ。俳優の芝居、演出を含め総合的なレベルの高さは保っているだけに、観客の欲求を少しも満たしてくれないのは不満である。きっと今作はたまたま上手くいかなかったに違いない。
次回作も観てみようと思う。
友達

友達

シス・カンパニー

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/09/03 (金) ~ 2021/09/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/09/04 (土) 18:00

ちょっと笑える場面もあるが、段々と恐ろしくなってくる舞台だった。
 安倍公房の代表的な戯曲を、新進気鋭の加藤拓也の上演台本と演出で上演する。一人暮らしの男(鈴木浩介)の家に、ある夜突然に9人の家族がやってきて一緒に住み出し、管理人・警官・恋人・弁護士らに助けを求めるが…、という物語。家族が展開する論理は無理筋で非現実だと思いつつ、実際には似たことが起こっていても不思議はないなと思わせる展開で、途中から笑えなくなってしまった。家族の中では父(山崎一)・三男(大窪人衛)・次女(有村架純)が特におそろしかった。奇抜な舞台美術には若さも感じた。

カノン【8月19日~31日公演中止】

カノン【8月19日~31日公演中止】

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/08/19 (木) ~ 2021/09/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/09/04 (土) 13:00

若さを感じる舞台だった。
 野田秀樹がNODA・MAPで2000年に上演した戯曲を、野上絹代の演出で上演する。芥川龍之介の「偸盗」をベースにした戯曲で、野田地図初演も観ているが、わりと多くの劇団が上演する作品。初演では唐沢寿明・鈴木京香等を軸に展開されたが、今回は若い中島広稀・さとうほなみ等が演じ、既に年齢的な若さを感じさせるキャスティングだが、若さは野上の演出でも感じられ、スピード感溢れる動きに目を見張る。初演では、須藤理彩が演じた「猫」がいいんだよぉ、と何回も主張していた私だが、今回も「猫」役の名児耶ゆりが光っていた。すごい。野田の戯曲は言葉も美しいのだと改めて感じた。

デンギョ-!(再演)

デンギョ-!(再演)

小松台東

ザ・スズナリ(東京都)

2021/09/01 (水) ~ 2021/09/07 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#デンギョー!
#小松台東
3回目 #千秋楽
どうしても見届けたくて、急遽予約。まるで自分も電工メンバーになった気分。
前2回とはまた違う気持ちの流れや昂り。毎回違う感情の受け渡しと受け取りがあって、やっぱり面白い。
#瓜生和成 さんのスズキが「思い切って……なんとなく」を受け入れずに出て行くけれど、今回の背中を見ながら、本当は #五十嵐明 さん演じるカイさんの気持ちを受け入れたかったのではないか……そのタイミングを計っていたのではないかと思えた。もちろん、戸惑いながらも出てきた #依田啓嗣 さん演じるモジカワくんの優しさも素晴らしい。でも、それがなかったら、スズキは「うるせぇなぁ」や「仕方ねぇなぁ」を装って受け入れたのではないかと思えた。
頑なにイジけてみせるスズキの心の融解に期待して……スズナリを後にした。

帰ってきたカラオケマン

帰ってきたカラオケマン

トム・プロジェクト

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/09/04 (土) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

楽しかったです。それほど好きだと思っていなかった歌で泣けてしまったのは、歌い手が良いからなのでしょう。そんなセリフの映画もあったような。
牛山さんの今までの活躍を見てこなかったのが残念です。

水の駅

水の駅

NPO法人アートマネージメントセンター福岡

ももちパレス(福岡県)

2021/09/04 (土) ~ 2021/09/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

沈黙劇で2時間30分ほどとの前説。
耐えられるかなあと心配しておりましたが、キャストの方の動きがスローモーションながら、背景を考える時間となり、なかなか集中してみることができました。

帰ってきたカラオケマン

帰ってきたカラオケマン

トム・プロジェクト

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/09/04 (土) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/09/06 (月) 14:00

コロナの閉塞感を吹き飛ばす快演でした。
それにしても72歳の風間杜夫さんのすごさに元気を頂きました。
理屈抜きに楽しめる芝居なんですが、きっちりと時代をとらえた視点もあり満足。

丘の上、ねむのき産婦人科

丘の上、ねむのき産婦人科

DULL-COLORED POP

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2021/09/01 (水) ~ 2021/09/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/09/05 (日)

男優が女性の役を演じる〔B〕バージョンを観劇した。
男の役者が、お腹の大きい妊婦役を演じる。全然違和感を感じなかったのは私がかつて、だったら男が子どもを産めばいいじゃないと思った経験があるせいかも知れない。

スカートをはいてイヤリングもつけてる、これは妊婦を男の役者が演じているのだと気づくと、仕方がないと諦めていたあれこれが強烈に蘇えってくる。
大きなおなかで満員電車に乗って通勤した。つわりのしんどさをいくら説明しても不機嫌に黙るだけだった夫、子どもの名前は夫の両親が決めると言われた時のこと、義実家に行ったときに知らない親類にたくさん頭を下げたこと等など。

高卒で街に出て同棲しているアイが妊娠していたことが分かる一場が切ない。子どもが産れるということがどういうことか。お金のこと、生活のこと、二人の今後のこと。現実的にあれこれと思いめぐらす彼女。戸惑いながらも、俺、頑張るよと言いながら、ちっとも頼りにならないアキト。現実の生活では子育てどころか、出産費用の捻出さえ覚束ない。
真面目に考えた挙句、中絶を選ぶしかない若い二人がどれだけいるだろうか。その裏で不妊治療に数百万を掛ける夫婦もいるのが日本の現実だ。(三場)

夫に収入があり贅沢な専業主婦となったマキ(四場)、女性が憧れるほどには、現実は幸せじゃないかもと私は思う。何をするにも背景に、誰が稼いだ金だ、という男の思いが透けて見える。
夫の身体を気遣い、先回りして夫の思いを酌んで行動している自分。この私のことを少しでも分かって欲しいという女心はやっぱり身勝手なのだろうか。

管理職の激務をこなしながら、二人目を妊娠した妻は部下の失敗の後始末で睡眠時間もままならない。上の子の世話は夫が引き受けている。(六場)
「君の変わりはいくらでもいる。育休を取ってくれ」という上司の言葉はショックだろう。お腹の子どもを疎ましく思う瞬間もあるに違いない。赤ちゃん、無事で良かった。

舞台を観ていると、女優が演じていたせいか、相手の男は、総じて女を分かろうとし、相手のために頑張ろうと思っている様子が見えて、ハッとした。想定以上に男は不器用で、しかもそのことに当人が気づいていない。

田舎で、大勢のお腹の大きい浴衣姿の妊婦たちがお喋りをしている。(八場)
本当なら負担を減らす紙おむつや瓶詰の離乳食を敵視し、布おむつを使い手作りの離乳食にこだわる頑なさは女同士の中にもあった。帝王切開で産む女を軽んじる視線も。
女を縛り付けているのは男の無理解だけじゃないのでは?という指摘を劇作家の谷賢一から言われるとちょっとカチンとする。
確かに、大人世代だけではなく、若い人にもけなげな女性像にしがみ付くところがあるのだ。

帝王切開を躊躇うアサコに、君ひとりの子どもじゃない。二人の子どもだと言って、彼女をうながすアキオ。

オンナにしがみ付くのではなく、オトコにこだわるのでもなく、一人のニンゲンとして考えていきたい。

それにしても、本当に男が子どもを産んでくれるといいな。
どんなに自由に生きられるだろうか。夢を諦めずに生きられたろうかと。

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