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近松心中物語【愛知公演中止】

近松心中物語【愛知公演中止】

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2021/09/04 (土) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

帝劇で見、明治座で見、新国立劇場で見、今回この芝居を観るのは四度目か。
芝居は今生きている人間がやるものだから、時とともに変わる、その時代にしか生きられない観客の定めも感じる。秋元本は一九七九年初演以来、四十年。さらに原作の近松の「冥途の飛脚」や「跡追心中」にさかのぼれば、三百年。連綿と演じ続けられてきた日本の演劇の世界である。論じれば、切りがない芳醇な世界ではあるが、ここは、今日の「見てきた」観客の感想である。
蜷川演出による東宝の「近松心中物語」は戦後日本演劇史を飾る屈指の作品だった。今回も見ながらいくつものシーンを思い出した。観客の心をつかむ世界が、舞台の上で演じられる。
それが時代を超えて大きくて完成度が高かった。個人の恋愛から、社会のしがらみまで世俗的な世界を題材にしながら、日本人の心情に深く刺さっていく。原作が浄瑠璃という事もあって、歌が効果的に使われている。蜷川が亡くなった後のいのうえひでのり演出は、伝統日本のモダナイズの蜷川をなぞらずに、戯曲を立てた近代劇の愛のドラマにした。こちらも新鮮ないい舞台だった。ともに狙いがはっきりしていて、舞台の立体化が成功した。今の言葉にすれば、「ビジュアル」で成功した。
今回の演出は長塚圭史。今の時代の近松心中物語を、と目ざしたのはわかるが、ここぞ、と言うところがない。
それが影響して配役も落ち着かない。俳優が役の日本人の情感を運んでいない。戯曲は、登場人物の生活背景も書き込んでいて、いずれも商いに精を出さねば食えない二番手の小商売の家に田舎の家から追い出されるように店に入り込んだ男たち、遊郭の顔見世女郎、見栄は張りたいが張り切れない商家の家付き娘、と言うあたりがよく書き込まれているが、今回の上演ではそこがあまり見えない。だから、封印切りに至る経緯もことの流れで・・という風に見えてしまう。人物の性格や、それぞれの劇的対立はよく説明されるが、血が通っていかない。前例を言えば、太地喜和子も宮沢りえも柄として梅川が似合っていたとは言えないだろう。そこを役にしたのは俳優と演出の力だった。田中哲司も笹本玲奈も有力な新人ではあるだろうが、ここはもう一つ、演技に節目をつけて細かく役を膨らませる工夫が欲しかった。松田龍平と石橋静河は、演技も達者だし、役をよく呑み込んでいるが、舞台全体から見ると浮いている。シーンは演じられるのだが、演劇として詰まっていかない。
蜷川もいのうえも大劇場演出にたけていたから、群集シーンで見せ場を作っていたが、それがなかったのも寂しい。
今回の音楽は、日本の囃子をリズムに取ったようなスチャダラパーの曲を使っている。ここで大衆の声を代弁させる意図だったのかもしれないが。大劇場ではパンチが足りなかった。
最も問題なのは美術(石原敬)。奥が狭くなっていく八百屋に組んだ梯形の板の裸舞台に、次々に小道具が持ち込まれて場面を作っていくのだが、様式に統一感がなくちんまりして大きな舞台で映えない。
奥が狭くなっていくのも閉塞感を出す意図かもしれないが、奥の空間も生かされないし、見ているとうっとおしくなる。幕切れ、劇場いっぱいに歌舞伎の紙の雪を降らせた蜷川の大芝居の前例があるからやりにくいのはわかるが、西洋の童話劇のようなきらきら光る雪はないだろう。
日本演劇の粋の詰まった戯曲を、蜷川は歌舞伎で、いのうえは新劇で、長塚は小劇場でその時代に合わせてやってみたという事だろうが、前二者の大成功は重荷だったに違いない、しかしやってみる甲斐はあった。次は本多で,歌舞伎座で歌舞伎役者でと見物の勝手な夢は広がる。それまでこちらが生きているかどうかもわからない。しかし芝居は続く。
二時間二〇分で休憩なし。休憩は入れてもよかったのではないかと思う。客席は懐かしいもの見たさの老人客が多くほぼ満席であった。何かと乗りにくい公演ではあったが自分もまた、一つの歴史のなかに織り込まれた、という、芝居見物ではなかなか味わえない感覚が味わえた舞台でもあった。

FLAG MAN

FLAG MAN

@emotion

上野ストアハウス(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

噛めば噛むほど味が出る作品ではないかなー。台詞はしっかり聞こえるし音も照明も芝居を邪魔せず、基本がしっかりしているので繰り返しみても苦にならない。出来れば生で舞台を見て、配信やDVDで復習できるのがベターかも。そしてビジュアルが好み(大事)

ネタバレBOX

もう一歩、もう一歩台本はよくなるよちが、芝居(個々の芝居ではなく全体の動きとか絡み)ももっと時間をかける余地があれば良くなるのではないかなと思われ。
SENSE

SENSE

早稲田大学舞台美術研究会

早稲田大学学生会館(東京都)

2021/08/14 (土) ~ 2021/09/18 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

「SENSE」早稲田大学舞台美術研究会 2021.9.16 配信を拝見
 5度目の正直! 配信なので受信する側の器機の性能によって全然音質が異なり4回目迄は、PCのスピーカー音量を如何に調整しても台詞が殆ど聞き取れず、イヤホンを用いても結果は同じで途中で投げ出さざるを得なかったのだが、偶々別のイヤホンで聞いてみると可成りよく台詞を聴き取ることができ作品を楽しむことができた。通常版(1h18m47s)と楽ステSP版(1h22m51s)版の2種が配信されており、楽ステ版の方が音声は聴き取り易いが、こちらは天井の照明器具迄映り込んでいる。尚5度目迄は総て通常版を拝見していた。

ネタバレBOX


 舞台美術研究会の作品らしく随所に仕掛け(2次元から3次元への通路は都合5カ所等)が施され効果的に用いられているし、ホリゾントのセンターに2次元から3次元へ通じる扉が設けられ、その下手に3次元での出入り口が設けられているのだが、このセンスもグー。殊に作中描かれた漫画「空を青に」の主人公・蒼穹(そら)が2次元から3次元へ飛び出すシーンは圧巻である。
 台詞が聞こえさえすれば脚本も良い出来だ。ザックリ言うと創造ポテンシャルは高いもののその才能が未開化の若手漫画家・ムラタが、己のセンスを見極め成長する過程を描いた秀作だ。
 秀作の秀作たる所以は、今作が若者の成長譚であると同時に成長の過程が作品創造の過程・創作方法及び能力の開花・進展と重なりあって展開する点だ。この傾向は終盤に使われる小道具・五十音表の使い方にも表れている。つまりそれ迄の話の展開をも下敷きにして各所作が振りつけられ、ラストにパズルを解くような明快さで連なっているのだ。而も最後のチャンスを与えてくれた担当編集者・カオルが沖縄出身乃至ファンらしいこと、沖縄がヤマトンチュから押し付けられている不条理に対して沖縄の宝、即ち青い海、青い空、そして沖縄の人々の心で応じることを示唆したラストも優しさに満ちている。
 物語が進展するのは、有名な漫画家を輩出してきた出版社・編集部。ここには連載漫画家のアトリエも併設されており、若手有望漫画家が各々のデスクで作品を描き覇を競っている。世間では、このアトリエ併設の編集部を‟ときわ荘“に準えることも流行っている。殊にときわ荘に準えれば手塚治と評される人気漫画家・ヒナタは無論、巷の評価もダントツであるが、彼が光るものを持っていると紹介し連載を任されることになった今作の主人公・ムラタは、元ネタを知らずに似たような作品を立て続けに発表してしまったことでパクりばかりやっている奴、読む価値無し等の酷評を受けるハメに陥りカド番に立たされている。
 というのも、新たに才能のある新人・ナオトが発掘されポストムラタの刺客として送り込まれてきたのである。既に外堀のみならず、内堀迄埋められ絶体絶命の危機を迎えたムラタは、担当編集者のたっての頼みで首の皮一枚でラストチャンスを得る。このチャンスを活かす条件は、3日後の朝ムラタの弱点であるネーム(つまりストーリー)が完成稿として提出できること。それが通れば直後にストーリーや登場人物の絵柄のみならず背景の細部まで目配りの利いた完成稿を仕上げることだ。この極限的危機の中で、主人公はドッペルゲンガーにでも出会うかのように己の創作した登場人物達とリアルな遭遇体験を過ごし、彼らと協働で作品を創り上げてゆく。「空を青に」の主人公、小説家を目指す碧木蒼穹(あおきそら)、ロックミュージシャン、シェフ、占い師、事件に鼻の利く名探偵ら5人の登場人物と共に殆ど徹夜の3日後出来上がった作品は、そのストーリーを読んだヒナタもナオトも絶賛する傑作であった。
 蛇足だが、創造されたキャラクターの数が5人なのは無論視聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5感を象徴しており、ムラタは所謂創作者の神の位置を占めて居ることは容易に見て取れよう。この辺りの作り方も創作の王道に則っている。またタイトルのSENSEは多様な意味を持つ単語だから、各々の意味を噛みしめながら観劇して欲しい作品である。
注:各登場人物の氏名表記に関してはパンフがある訳では無いようなので、表音文字を用いるかハンダラが作品から受けた印象を基にイメージした漢字を用いて表記した。
『犀臨』

『犀臨』

早稲田大学劇団木霊

劇団木霊アトリエ(東京都)

2021/09/17 (金) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

生配信とのことで、終わってから片付けたり帰宅したりと事情はあると思いますが、自宅にいると結構中途半端な時間帯でした。
面白かったです。

ネタバレBOX

サイボーグとアンドロイドが出てきますが、違いがよく分かりません。この舞台としての設定があると思うので、当日パンフに載せて欲しかったです。
好きで嫌いな珈琲と煙草

好きで嫌いな珈琲と煙草

ふれいやプロジェクト

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

チラシに「何時までも続くエンタメを貴方に」とあるが、小劇場という空間にピッタリのエンタメ感が心地よかった。七味さんの存在がまさに七味のようにピリッと物語にアクセントをつけてくれたのが印象的。ピアノの生伴奏は素晴らしかった。

ネタバレBOX

暗転の後、それまで和気あいあいだった「私」と「彼」が急にいがみ合うようになったシーンと喫煙シーンの多さには違和感を覚えた。(暗転中に映し出された時計が時間の経過を象徴していたのだろうが)
ベンジャミンの教室

ベンジャミンの教室

電動夏子安置システム

あうるすぽっと(東京都)

2021/09/16 (木) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/09/16 (木) 19:00

独特の作風で知られる電夏が、2019年の池袋演劇祭のグランプリ作品を改訂して上演。初演も観てるが、ただただ面白い!
 中小企業等の経営者が作る事業会が、小学校で税金教室をやることになるが、さまざな事情を抱えるメンバーたちがドタバタを…、という展開。かなり無理な展開でも、そうと思わせない力技が得意な同劇団だけあって、初演からグレードアップしてて、思わず笑ってしまう(いや、笑いに来ているのだが…)。初演の会場から急に大きな会場となったが、初演と全く同じ役者陣の熱量で見事にカバーして、少し寂しい客席からは大笑いが起こる。達者な人が揃っているということはあるが、成金の健康食品会社社長を演じる森田晋平の「気持ち悪さ」に磨きがかかっていた(^_^;)。
 もう1回観たいな。同劇団を観たことがない人にも観て欲しい。

野原ニ響ク約束ノ音

野原ニ響ク約束ノ音

劇団宇宙キャンパス

萬劇場(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

戦国時代に生きる不条理な人間模様、それを劇団宇宙キャンパスらしくハートフルに描く。物語の背景(戦国時代、それも九州地方の情勢)を知らなくても、分かり易く展開するので十分楽しめる。戦国という乱世に生きた2人の武将、当時としては考えられない厚き友情、そして宿命のような悲哀をテンポよく展開。その結末は…。
公演は、どちらかと言えば舞台技術と熱量ある演技で観(魅)せるといった印象が強い。舞台技術、特に照明は暖色照明による平時、照明の交差による合戦時、葉陰の陰影による哀愁など、場面の雰囲気作りは上手い。演技は、あえてデフォルメしたキャラクターで質実、茶目っ気という一見対照的な人物像を立ち上げ、飽きさせない工夫。そして観せ場であろうアクション、それを殺陣・剣舞といった観せ方の変化で緊迫感と様式美をもたせグイグイと物語に引き込む。

(上演時間2時間30分 途中休憩含む)【陽チーム】
本公演は第33回池袋演劇祭参加作品のため、☆評価は後日付。追記もする。

熱海殺人事件

熱海殺人事件

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2021/09/02 (木) ~ 2021/09/14 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

文学座版「熱海殺人事件」。諸々発見あり。
稲葉賀恵演出の才気が冴え渡る舞台、とは印象の一面で、冒頭から暫くは文学座もその範疇である新劇の役作り、物言いが気になってどうにも入って行けなかった。それでも成行きを追わせる緊迫があり、土台の無い所から楼閣を作り出して「あり得ない」取調室での台詞の応酬を一つの確固たる世界を信じさせるつかこうへい戯曲は、やはり役者に力技を要求するものであったが、文学座俳優の演技と稲葉演出共々に2021年初秋の文学座アトリエ版「熱海殺人事件」が生まれたのは確かのように思う。
「モジョミキボー」のコンビの片割れ石橋徹郎の木村伝兵衛役以下、計4名の俳優の持ち味が十二分に目に焼き付いた。
「熱海」には幾つものバージョンがあるようだが、ラストで伝兵衛が一人で長演説をやったのには驚いた。時代を感じさせるが、真摯に純粋さを求める心から発する言葉は作者の声そのものにも聞こえる。

戒厳令

戒厳令

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2021/09/03 (金) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

作家・思想家カミュの戯曲作品。小説『ペスト』(1947)が仏国民に称賛をもって受け入れられた翌年、本作は著名俳優・演出で上演されるも、評判は振るわなかった由(wiki参照)。ただしその意味は約めて言えば「作品と時代の(ビビッドな)関係」が作用したものと推察され、初演から70年を経た現代、とりわけコロナ禍の日本では中々面白い舞台になった。

ネタバレBOX

本作には擬人化された<ペスト>とその秘書が登場するが、小説『ペスト』がそうであったのと同様、<ペスト>はナチス・ドイツの隠喩であった。ヴィシー政権(ナチスの傀儡)時代の記憶も生々しい初演当時、小説では優れたメタファーであった「ペスト」がナチスの制服まで着て舞台上に姿を現わし、これに抵抗する青年が一人彼らを恐れず「抹殺されない」存在となり長い弁舌を振るう場面などは、いささか図式にハマり過ぎていたのではないか。また<ペスト>が差し違えで青年の命を奪い自らは敗北を認め去って行くという、ナチスの敗退をなぞったラストも恐らく当時のパリの観客にとっては興醒めだった・・飽くまで想像だが。
(これに対し小説「ペスト」は中世のアルジェの町を襲ったペストの惨劇が描かれる。悲惨な現実に直面し、葛藤し闘う主人公を通して、読者は戦後のカオスの状況から事態を「理解」する足掛りを得たかったのではないか。)

昨年来日本で小説『ペスト』が注目を集めた理由は言うまでもなく新型コロナにより、従って注目点は(ナチスよりは)未知なる伝染病への恐怖だ。『戒厳令』に登場するキャラクター<ペスト>も、今の観客は新型コロナ・ウイルスの隠喩と受け止める。同じ言葉が1948年当時とは異なる意味を含み持つ。だが一方、当時ナチスという存在に人々が(カミュが)見ようとしたものを、我々も別の形として見ているとも言えるかも知れない。

作品の冒頭、地球に接近する彗星を見やる町の人々。彼ら各々が吐く言葉の中に不吉の予兆がある。やがて血を吐いて倒れて死ぬ者がそこここで現われ、人々を恐怖させる。町を統べる総督は「動揺する勿れ」を言い続けるが、ペストと名乗る者が秘書と現れると彼らに漂う「死」のオーラの前に跪き、町を明け渡す。その時から始まるのは町の幽閉、そして人を人間性から遠ざける非人間的管理だ。
舞台では「管理下」に置かれた町の者らがマスクに顔をうずめて沈黙する姿があるが、理不尽な管理・規制に置かれた人々への視線は、新型コロナ下での無根拠な(とは認識されない日本の現状はともかく)規制に翻弄される人々への眼差しに重なり、日本の現在地を示す。
好きで嫌いな珈琲と煙草

好きで嫌いな珈琲と煙草

ふれいやプロジェクト

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

朧な処で、徐に。

朧な処で、徐に。

TOKYOハンバーグ

サンモールスタジオ(東京都)

2021/09/10 (金) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チラシもタイトルもあらすじ(?)も暗いので迷ったのでしたが、なんだか見に行かなくてはという思いに駆られて行った結果、良かったです!!(追記予定)

野原ニ響ク約束ノ音

野原ニ響ク約束ノ音

劇団宇宙キャンパス

萬劇場(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/09/16 (木)

価格3,500円

陽チームの16日19時開演回(前半60分+換気休憩10分+後半80分=上演時間2時間半)を拝見。

王子の、今は無きpit北/区域で、『悲しいシンデレラの殺し方』(2012年12月6日)、『優しいティンカーベルの作り方』(同年12月8日)を観に行って以来の、劇団宇宙キャンパスさんの公演。
実は、8月初旬、別団体さんからの、陽性者に該当したというツイートを目にして以来、ずっと気になっていた石戸貞義さんが無事回復、舞台稽古にも復帰なされたと知り、全快祝いのつもりでチケットを買わせてもらった。

でっ、肝心の『野原ニ響ク約束ノ音』。
戦国末期、無二の親友なのに、薩摩の勢いに押されて、図らずも対決する運命を強いられた2人の武将、甲斐宗運と相良義陽を中心に、その家族・家臣・領民等の喜怒哀楽を、いかにも小劇場演劇らしく、ギャグと殺陣とシリアスシーンを交えて描いた2時間半。
笑ったり、(舞台から近い席だったので)息を飲んだり、年甲斐もなく目頭が熱くなったり…と、望外に舞台での出来事にのめりこんでしまった。
チケット代以上に見応えのある作品だった。

ネタバレBOX

【配役】
甲斐宗運(阿蘇家家臣)… 石戸貞義さん
相良義陽(相良家当主) …大森宏太郎さん
千代菊 (義陽の妻)…二階堂南さん
虎満 (義陽の娘)…津崎真希さん
島津義久(島津家当主)…谷口洋行さん

※以下、役柄…雲チーム/陽チーム
相良忠房(義陽の嫡男)…内田裕康さん/森山幸央さん
上村頼興(義陽の外祖父)…えんどうたいとさん/小暮典保さん
伊予 (虎満の乳母)…杉本みどりさん/関山ゆみさん
睦 (伊予の娘)…原田絵理さん/山本蓮さん
東左京進(相良家家臣)…兜森隆将さん/大谷秀一郎さん
信乃 (左京進の妻)…岡本弘実さん/三好真央さん
赤池長任(相良家家臣)…弦巻秀人さん/柳瀬翼さん
東直政 (相良家家臣)…浅川直樹 さん/角南和希(すなみ・かずき)さん
珠子(直政の許嫁)… 五月女泉さん/品川ともみさん
深水長智(相良家家臣)…美濃宏之さん/阿部晋一さん
語り部 (相良家隠密)…品川ともみさん/SUMIOさん
青年義陽…大森宏太郎さん/篠原雄大さん

甲斐親英(宗運の嫡男)…柵木良賞さん/渡邉大晃さん
緒方喜蔵(宗運の家臣)…坂井マサユキさん/かわらじゅんさん
青年宗運…吉田奈央さん

島津義弘(義久の弟)…小林真弥さん/石川毅さん
島津忠恒(義久の養子、義弘の実子)…安藤啓介さん/かわもとゆうきさん

アンサンブル…
小林勝弥さん、矢島遼大さん、篠原雄大さん、藤田恭平さん
吉田奈央さん、YANAGAWAさん、ホクトさん、澄川友哉さん
娼婦 奈津子

娼婦 奈津子

新宿梁山泊

ザ・スズナリ(東京都)

2021/09/11 (土) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

芝居というよりまさに演劇。
冒頭、男女の好みがあるかと思いますが
素晴らしかったの一言。
役者全員素晴らしかった。
中でも主演やられた蜂谷眞未さんの演技が絶品でした。

新宿梁山泊。
昔からイメージで怨霊系の芝居する劇団だとばかり思い込んでました。
全然そんなことなくエンタテイメント満載の素晴らしい劇団でした。
遅ればせながら今後お気に入りの劇団になりそうです。
観て損はない重厚な作品でした。お時間ある方はぜひ。

BIRTHDAY

BIRTHDAY

本多劇場グループ

新宿シアタートップス(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

本多劇場グループnext「BIRTHDAY」
#新宿シアタートップス

何十年ぶりかのトップス…懐かしい空間で、新たな作品に出逢う。

婚姻・夫婦・出産・人種・職業・格差とか、この1〜2年、国内外で騒がれたワードが散りばめれていた。

朗読劇だからこそ、容姿での思い込みが無いのも良かったな、と。

ズベズダー荒野より宙へ‐

ズベズダー荒野より宙へ‐

劇団青年座

シアタートラム(東京都)

2021/09/10 (金) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「ズベズダ」とは、ロシア語で”星“を意味する。
第二次世界大戦後、アメリカとソ連の世界を二分する直接的ではない”戦争“はどちらの文化が、より未来への希望に応えられるかを競うイメージの“戦争”でもあった。
主人公、セルゲイ・コロリョフ(横堀悦夫氏)はソ連のロケット開発のトップ。軍事兵器(ミサイル)としてのロケットの技術向上の向こうに人類の夢、有人宇宙飛行を展望している。V2ロケットを開発したナチス・ドイツの天才工学者、ヴェルナー・フォン・ブラウンは戦後アメリカに亡命し、宇宙開発の陣頭指揮に立つ。コロリョフはこの会った事もない天才科学者に憧れ妬み対抗心を燃やし、同時に例えようもない程のシンパシーを抱いていた。

円形のステージ、同心円上にそれぞれ傾斜した円周の通路が三筋。役者陣は台詞を捲し立てながらその円周上の通路をぐるぐるぐるぐる廻る廻る。とにかくひたすら動きながら怒鳴り合うように会話し続けることで、スピード感とテンポ、一刻を争う緊迫感に煽られ続ける。専門的な科学用語の応酬とその中に隠語のように散りばめられた“夢”と“ライバル”。

第一幕は年表台詞演劇みたいでイマイチ楽しめなかった。何か素材の良さに対して勿体無い調理法だなあとの感じ。だが休憩開けての第二幕、方法論は同じながら怒涛のエンターテインメントに化ける。成程これを演る為に第一幕の静けさが必要だったのだなあ、と理解。まさに「序破急」。

ネタバレBOX

激しい口論が延々と続く。コロリョフの口癖は「お前ならどうする?」。問題の指摘ではなく、出すべき回答を常に要求。天才達の極限まで脳細胞を振り絞った争闘が目眩く展開。客席はその熱気と興奮に灼かれてまるで当事者になったような心持ちで米ソの戦場に引き摺り込まれてゆく。
横堀悦夫氏の声が少し声優の池田秀一氏に似ていると感じてから、氏の代表的キャラクターであるシャア・アズナブルと重なって見えてくる。この言語でのイメージによる戦乱絵巻はまさに富野由悠季。宇宙空間で巨大ロボットに乗り込んでチャンバラをしながら、人類の行く末についてひたすら論議するようなロマンチシズム。
この方法論で『ガンダム』を舞台化出来るのではないか?モビルスーツが一切登場しないディベート系『ガンダム』を青年座で演ってほしいもの。富野節の近代戦史なんかも、需要が有るのでは?
田中角栄を彷彿とさせるフルシチョフ(平尾仁氏)も良かった。今となっては社会主義なんかに誰も幻想を抱かないだろうし。

人類史上初めて月面着陸に成功したニール・アームストロングの映画『ファースト・マン』、ドラマ性を捨て事実の淡々とした列挙と実験性の高い訓練シーンを黙々と積み重ね描く。退屈だが今作と味わいが似ている。
アメリカのマーキュリー計画(有人宇宙飛行計画)を描いた映画『ライトスタッフ』は、音速の壁を破ったパイロットが大気圏を越えるまでの年月を丹念に描写。宇宙に行くとはどういうことなのかを理解するには最適。
キューバ危機なら、『13デイズ』が面白い。
神戸世界ホテル

神戸世界ホテル

劇団太陽族

AI・HALL(兵庫県)

2021/09/16 (木) ~ 2021/09/18 (土)公演終了

満足度★★★★

劇団らしさが出ていたと思います。戦争と世界。アフガニスタンやスーダン?北朝鮮を考えると、戦争は世界のどこかで起こっている。アイホールの問題も伊丹での戦争なのかも…

The Weir -堰-

The Weir -堰-

劇団昴

Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)

2021/09/10 (金) ~ 2021/09/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/09/16 (木) 14:00

座席1階

 アイルランドでは、たくさんの不思議な話や妖精の話が今も伝えられているという。妖精というのはあの世に住む人たちであり、現世に生きる人たちと時々接点がある? まあ、その接点が不思議な話なのであり、科学や常識では説明がつかない不思議な出来事は妖精の仕業なのだとか。アイルランドの劇作家コナー・マクフィアソンの「堰」は、オカルトチックな不思議物語を紡ぐ舞台だ。
 この舞台は約2時間の上演時間、ずっとアイルランドのパブのセッティングで繰り広げられる会話劇。まあつまり、日本でいえばスナックのバーカウンターでマスターと客が話すよもやま話といったところだ。アイリッシュバーは日本でもたくさんあるが、サッカーの試合を大画面のテレビで流しているような日本風アイリッシュバーではなく、地元の人が止まり木に腰掛ける、どこの町にもある日本国内のバーという雰囲気である。酔っぱらう場所は万国共通だな、と思ったりもする。
 バーに来る客はこれまでの人生で傷ついたり、思いもかけなかったことに遭遇したりした経験を問わず語りに話し出すことがある。日本でもそうだ。マスターやママはじっと耳を傾け、酒を注ぎながら心を寄せてくれる。そうしてまた次の日、私たちは頑張って仕事に出ることができる。この物語でも同じである。
 こうしたどこにでもある風景が妙に懐かしく思うのは、コロナ禍でも外出自粛が続き、外に飲みに出ることがパタっとなくなったからだ。この舞台もコロナ禍で一年延期されたという。去年予定通り見るのと、今年、緊急事態宣言発令中の中で見るのとは、感じ方が大きく違う。コロナ禍がずっと続くわけではないと思うのだが、「ああ、こういう時間はもうないのだろうか」としんみりとしてしまう。
 傷ついた人をさりげなく励ます、言葉をかける。そうした優しい空間が懐かしい。酔っぱらいの騒々しい口げんかはまあ、あるけど。妖精たちの物語に、いつも以上に優しさを感じるのはコロナ禍だからだろうと思う。

化粧二題

化粧二題

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/08/17 (火) ~ 2021/08/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

1人芝居+着替え+登場人物複数切り替わり+劇中劇だったので
最初は混乱したが慣れてくると、その切り替えの上手さが
とても魅力的な舞台でした。

こまつ座の舞台は好きですが、
パンフレット?にもうちょっと力を入れてほしい。
観劇後の余韻に浸るには少し薄い。

朧な処で、徐に。

朧な処で、徐に。

TOKYOハンバーグ

サンモールスタジオ(東京都)

2021/09/10 (金) ~ 2021/09/20 (月)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2021/09/15 (水) 14:00

120分。休憩なし。

好きで嫌いな珈琲と煙草

好きで嫌いな珈琲と煙草

ふれいやプロジェクト

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

小さなビストロで奮闘中の彼氏。
小劇団女優として奮闘中の彼女。
そんな頑張る二人の同棲生活に共存する“煙草”と“珈琲”
お互い苦手なアイテムであっても何ら障害にならない微笑ましい日常生活から物語は始まります。

実際に友人とか知り合いとかにいても全然おかしくないッていうくらい舞台上の人物達に近しさを感じるものだから、ごくごく自然に引き込まれ・・・やがて忍び寄るコロナ禍・・・徐々に変わりゆく彼等の状況、それぞれの思惑を考察しては心揺さぶられてしまうのでした。

感情移入してしまう生舞台は、こちらへの連動力が強い。
なので、辛い部分(特にコロナ関連)がモロに伝わり過ぎるとホント困ってしまうところだけれど・・・音楽と光なのかなぁ・・・電子ピアノの生演奏と照明が作品と一緒に呼吸しているが如く共演していて・・・プラス何気に笑いを取り入れた演出のさじ加減もあってか、痛みは痛みとして優しく彩ってくれており、しっかりと寄り添えました、ラストまで。
もちろん大いに楽しんで。

そして"縁"というものに想いを馳せて劇場を後にしたのでした。

ネタバレBOX

そして七味まゆ味さんである。
役どころは、男性主人公の友人であり、女性主人公の所属する劇団の大ファン。
舞台上人物達と観る側の心の距離間をグッと近づけてくれた有難き存在。


たった3名だけで劇団という集合体がしっかり表現出来ていたのも見事でした。

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