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扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION―

扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION―

劇団扉座

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/10/21 (木) ~ 2021/10/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

扉座の『二代目はクリスチャン』を観劇。

故・つかこうへいの生の芝居を体感したいなら『扉座』と言われているが、ここ数年でつか作品を連発している。
つかこうへい自身はこの戯曲を一度しか公演していないようだ。

元シスター今日子は刑務所から出所してみると亡夫の神流組はほぼ壊滅状態だという。組員たちも組を解散するつもりだが、今日子は組の立て直しを決意するのであった…。

概ねのあらすじだが、横内謙介は原作を借りただけでほぼ新作を作ってきたようだ。
暴対法によりヤクザたちのシノギが無くなり、原発危険作業員、老人介護など人がやりたがらない職業で金を稼いでいる。ヤクザと戦う事が警察の生き様だと言い切る警察側はヤクザの覇気のなさに憤りを感じ、ヤクザ復活にあの木村伝兵衛が登場する。この辺りは学生運動が鎮火し、活躍の場を失ってしまった機動隊員の哀愁を描いた『初級革命講座』にそっくりだ。
つかこうへいの描く弱者の目線は在日韓国人、オリンピック補欠選手と様々だが、今作の弱者は落ちぶれたヤクザだ。その弱者を通して国家への批判を声を大にしているのは勿論の事だ。
今作をただの再演にしているのではなく、つかこうへいのエッセンスを上手く取り入れ、時事ネタ、木村伝兵衛、熊田留吉の息子までが登場してしまうとはつかファンにはたまらない。それに今日子役は『飛龍伝』のヒロインの石田ひかりだ。更に木村伝兵衛の最期まで描いてしまうとは…。
つかこうへいを堪能した事があるファンには堪らない作品になっている。
そんな方のみにお勧めしたい作品である。


おおさむこさむ

おおさむこさむ

浪花グランドロマン

ウイングフィールド(大阪府)

2021/10/22 (金) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とてもやさしいお芝居でした。 大満足なお芝居でした。
中盤 盛り上がりではないところで、ぐっときました 人の優しさ 藤棚の下 つながる心 リストラに向わされる男 カモメ 鍵を握りしめた男の死 つながる物語 藤棚の下の命 見つかった鍵 亡くなっている人 妖精 今を生きる人 大満足なお芝居でした。

「泡雪屋電影譚」

「泡雪屋電影譚」

あんっ♡HappyGirlsCollection

ひつじ座(東京都)

2021/10/22 (金) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/10/22 (金) 19:30

115分。休憩なし。

ナイツ・テイルー騎士物語ー【9月7日~9月12日公演中止】

ナイツ・テイルー騎士物語ー【9月7日~9月12日公演中止】

東宝

帝国劇場(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/11/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

プリンス二人、歌姫3人、豪華出演者

「PUZZLE~HUGALIVE2021~」「天穹の雫」

「PUZZLE~HUGALIVE2021~」「天穹の雫」

ハグハグ共和国

萬劇場(東京都)

2021/10/07 (木) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/10/10 (日) 13:00

 『破片』という劇を観た。その劇では、かつて虐待を受けていて、現在は学校の先生をしている女性、虐待を受けている子どもたちや、かつて受けていて心の傷が癒えきっていない大人たちなどに向けて、無償で食事を提供しながら、気軽に相談に乗る、虐待被害者を支援しているオバサン、現在虐待を受けており、今日自殺しようと決意している女子学生と、何とか自殺は思い留まるようにさせたい友達、かつて虐待被害者で、現在は弁護士をしている女性などが中心人物として出てくる。
 虐待をテーマにしているが、それぞれの立場や価値観などによって、一方的な善悪論や単なる主観論に留まらず、多角的な視点で虐待問題を扱っていて、所謂新劇みたいに説教臭かったり、観客を教化することが露骨に表れていたりと言った感じがなく、劇を見終わった後に、社会問題としてだけではなく、もっと身近な問題として虐待の加害者、被害者、について深く考えてしまった。

流刑人走る。

流刑人走る。

百化竜嵐

荻窪小劇場(東京都)

2021/10/21 (木) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「時代劇をメインとする」を標榜している劇団。謳い文句は「武器や衣装にもこだわり、『確かにそこに江戸はあった!』と思わせる舞台です」とあったが、その印象は違った。武器である刀は、直参旗本であっても一本差しであり、衣装である着物は着熟しが出来ていない(特に男優陣)。敢えて着崩しているのだろうか。

幕末という時代背景に起きる2つの話ー「奉公構い」となりあらゆる藩に仕える事を禁じられた侍。「御庭番」として仕えながら忍の生き方に疑問を持つ風魔。ーが、何となく絡んで一つの物語を紡いでいくのだが、その契機や必然性が感じられない。
辛口コメントを先に記したが、情感という本来観えないものが残像のように表れ、肌に伝わってきた。ツッコミどころ満載だが、それで観(魅)せる力は…。

(上演時間2時間 途中休憩含む) 2021.10.23追記

ネタバレBOX

素舞台。
音響は花街、遊郭界隈を思わせる和楽が頻繁に流れる。情緒的なのは和傘。
サブタイトルにある傀儡遊戯は、幕末という時代背景にあって、佐幕であろうが倒幕であろうが、その要人以外は自分の思考や行動は制限もしくは禁じられていた。世情不安定な時代にあって、操られ暗躍した名もなき者どもを描く。

物語は武家ー朱橋家の家中騒動、剣の同門であった北町奉行所同心や三好家の仁衛門といった人物が登場する【奉公構い】、千住宿にある置屋にいる風魔一族の残党、関わるように御庭番、人斬り狂人、諸外国の動向通(倒幕側)の人物が入り乱れた【御庭番】の2つの話が交錯する。その関わりのキッカケが、ある殺人事件を通して 一方の主人公である、朱橋家の娘(故人:雫)の許嫁である田ノ神義一(八木田真樹サン)と、他方 千住宿の風魔忍・錫鋼鉄葉(犬伏憲司サン)が知り合い…。物語は別々に展開し、接点は知らないうちに佐幕・倒幕運動に巻き込まれているといった傀儡のような。出来ればもう少し話を整理すれば分かり易い。

演技は、時代劇の観せ場である殺陣シーン、田ノ神と人斬り狂人の正眼で対峙した姿はよかった。ただ全体的に言えるのだが、殺陣の動きとしては背中で刀を受けるなどといった不自然な動作はどうか?せっかく時代劇がメインと謳っているのであれば、ここは本格的に観せてほしい。また、人物の雰囲気を出そうと険のある表情を作るなど努めていたが、自分が観た回は複数人が台詞を噛むなど、勿体ないところが目立った。先にも記したが、着物の着崩れー特に衿元が開けて武士らしく見えないのが気になる。
次回公演を楽しみにしております。
FESTƎ〜十二夜〜

FESTƎ〜十二夜〜

合同会社モダンタイムス

あうるすぽっと(東京都)

2021/10/14 (木) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#FESTE
#十二夜
#チャイロイプリン
古典の名作をダンスにするシリーズ。毎回、新しい視点で作品に切り込み、贅肉を大胆に削ぎ落とし、新たなエッセンスを加えて新鮮な作品に立ち上げる。今回は大好きな作品で、前楽と千秋楽の2回観劇。
作品をコントロールし語り部の役を担うフェステを、劇団の顔である二人 #清水ゆり さんと #鈴木拓朗 さんが担う。二人は表と裏…白と黒…女と男…凹と凸…ホントとウソ。名前もフェステとテスェフ。繋げれば回文。名前遊びはシザーリオの中にシザー✂ハサミを見いだしたのも妙案。登場人物に現代の職業を背負わせたのも、人物像を浮かび上がらせるのに効果的で、そもそも楽しくイメージを膨らませたり鮮明にしたりできた。
今作の最大のポイントは嵐のダンスだろう。これまでの多くの上演は、船が難破した後から始まり、嵐に時間を割かない。それを今作ではダンス公演らしく、激しさも美しく、そして楽しく、たっぷりと見せてくれた。寄せては返す荒波も、交互にキュートに現れる。なんともユニークで楽しく華やかで見事。それはオリヴィアのファッションショーのウォーキングへと繋がっている。あのラインの中心に立つ #小野塚茉央 さんの美しさに釘付けになる。そんな風に、みんながクールにポーズを決めるラインの中でフェステの清水ゆりさんだけは道化よろしく茶目っ気たっぷり。まったく抜け目ない演出に脱帽。
#小林らら さんのオリヴィアと #エリザベス・マリー さんのシザーリオの出会いのデュエットはなんとも官能的でウットリした。ここにオルシーノが加わった奇妙で複雑な三角形のリングには赤い糸が張られ、それは三人の運命が交錯しているのと同様に絡まっている。オルシーノの #香取真登 さんのソロダンスからは苦悩がありありと伝わった。
今作も素晴らしかったのは間違いない。ただ欲を言えば、それぞれのゴール、幸福を見届けたかった。少し曖昧に思えた。シザーリオとオルシーノの出会いもそうだった。
それでも、素晴らしかったことに異論はない。次回も楽しみ。

シャンデリヤvol.2

シャンデリヤvol.2

U-33project

高田馬場ラビネスト(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2021/10/20 (水) 18:00

90分。休憩なし。

流刑人走る。

流刑人走る。

百化竜嵐

荻窪小劇場(東京都)

2021/10/21 (木) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

他の劇団でもほとんどやってない時代劇。目の前でキレのある殺陣が観れ最高!!!
登場している役者さんもひとりひとり個性があり、観ていて楽しい!!!
奥ノ浩一さん、俳優の柄本佑に似ていてカッコよかった。目つきがキリッとした伊藤さんも素敵!!!

ひとつ気になったことは、隣の席との間隔が全くなくて、袖が触れて嫌だった。
コロナの感染が心配です。
お客で、コロナ前みたいに大声で騒いでいる人がいた。放送で会話の自粛をしたほうがいいかも...

大人気で、超満席でした。
確かにいい作品でした。おもしろかった。満足でした。

解放区

解放区

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

シャンデリヤvol.2

シャンデリヤvol.2

U-33project

高田馬場ラビネスト(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

シャンデリヤvol.2

シャンデリヤvol.2

U-33project

高田馬場ラビネスト(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

個人的には、世迷い荘殺人事件がよかった。
演劇とは[劇場という狭い何もない空間で、宇宙の果てまで写し出せる表現方法]
とパンフにあった。
小道具とかが足りないパニックのなかで、役者さんたちがあるもので最大限に演じるという設定は、おおもしろかった。なかなかこういう舞台裏ってお客にはわからないので、ウワーこういうこともあるんだあ、と少しビックリ!!!

虹の人〜アスアサ四ジ イヅ ジシンアル〜

虹の人〜アスアサ四ジ イヅ ジシンアル〜

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2021/09/30 (木) ~ 2021/10/04 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

初演の時、感銘を受けた作品。映像での観劇だがやはり劇場で見たかった。
将棋、野球、介護をテーマにした素晴らしい作品を作るラビット番長だが別の作風も素晴らしい。
そういえば「白魔来る」という作品もありましたね。とにかく番長は印象に残るシーン作りが上手い。
ベテラン勢の演技、脚本、演出最高。
若手の方々は精進して下さい。

ネタバレBOX

初演と同じく静かに物語は進む。
石野教授の亡くなった娘の名前が椋平の奥さんの名前と一緒という追加が物語に深みを持たせる。
かと言って深い説明がないのもいい。つまり客に委ねるのだ。
番長の絶妙なバランス感覚に感服。
シャンデリヤvol.2

シャンデリヤvol.2

U-33project

高田馬場ラビネスト(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

仕事帰りに「ちょっと美味しいものでも食べて帰ろう!」感覚で
「ちょっと面白いものでも観て帰ろう!」そんなノリで楽しむ公演として捉えるなら★5つ。

本当にいろんなジャンルが詰め込まれた四作品。
基本可笑しくライトに楽しめながら、どの作品にも含みがたっぷり。

役者さん総動員で描かれるラストパート『夜迷い荘殺人事件』は、こういう発想って(演劇の)作り手じゃなきゃ浮かばないよなぁと、斜めに笑わせる賑やかパート。
それでも個人的には前3パートが保有する、ちょっと歪んだコミュニケーション性に惹かれてしまうのでした。
それぞれ設定が違って、歪みのニュアンスも三者三様なのだけれど、そこから滲み出る人間関係の旨味が何とも美味しい。
コミュニケーションの在り様、きっとその見せ方が巧いのだろうなぁ~と。
長編の作品も、じっくり観てみたいと思いました。

ネタバレBOX

そういえば1パート目で、マジックがポケットにしまわれるシーン。
これってもしや伏線?と思って観ていた
タイトルも『マジックの攻防』だし。
あれってあの後・・・家に帰って、思い起こし「取られただけか~い!」と突っ込んでいます、楽しい。
シャンデリヤvol.2

シャンデリヤvol.2

U-33project

高田馬場ラビネスト(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

割と雑味が多かったかなぁーっと

ブツブツとした独立短編でなく
ちょいちょいとくっついていた感じの90分の作品

ネタバレBOX

コンビニの話はオチがついてないよ~な気が・・・

ラストは混合した感じの話で
時間軸も結構行き来してたのかしら・・
いまひとつな感じを受けたですよ
独鬼

独鬼

壱劇屋

萬劇場(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/10/21 (木) 18:30

95分。休憩なし。

キリウシ

キリウシ

劇団「劇団」

ABCホール (大阪府)

2021/10/21 (木) ~ 2021/10/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台でアレを実演したのすごい!良かった。
ただ、メタ発言が少し劇の邪魔になって集中できなかった。

キューティ・ブロンド

キューティ・ブロンド

東宝

静岡市清水文化会館マリナート(静岡県)

2019/03/06 (水) ~ 2019/03/06 (水)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2019/03/06 (水) 18:30

価格11,000円

都内を離れはや数年、地元清水での公演はありがたい。堪能させていただきました。

盲年【東京公演】

盲年【東京公演】

幻灯劇場

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/09/30 (木) ~ 2021/10/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■90分強■
劇作家協会新人戯曲賞の最終候補作となり、『優秀新人戯曲集2020』にも収録された、能『弱法師』を下敷きとする一作。最終選考会から2年近い時を経て大幅な加筆修正がなされた脚本はもともと強かった奇怪味、不条理味がさらに強まり、秀逸にしてブラックな言葉遊びがさらに足されて確実にブラッシュアップされていたが、「ほんの少し複雑な物語」と当日パンフの挨拶文で作者自身も認めている通り、改作を経ても脚本のゴチャついた感じは解消されておらず、新人戯曲賞版同様、話はかなり呑み込みづらく、最後の最後まで消化しきれなかった。不条理味の強い作風からしてストンと腑に落ちるような劇を書く気は毛頭ないのだとしても、主人公である盲目の少年の今は亡きお母さんが誰なのか、せめてそれぐらいは詳らかにして欲しかったところ。とはいえ、二、三人いるお母さん候補のうち、少年の回想シーンに登場する鳩川七海さん扮するお母さんの、なんと魅力的なこと! 夕日の中にいるのだと少年の父が教えるお母さんは真っ赤な服を身にまとって強烈な存在感を放ち、演じた鳩川さんの地(じ)なのだろう、明るくおおらかで優しそうな雰囲気が客、殊に男性客を放ってはおかず、「元始、女性は太陽であった」という言葉を想起しながら、周囲を煌々と照らすような華々しいその姿に見入ってしまった。
本作の分かりづらさを非難するようなことを延々書いておきながらこんなことを述べるのはおかしいのかもしれないが、ド冒頭で提示された伏線を回収しつつさらに話を謎めかせるようなラストも好き。
最後に、本カンパニーはクリエイター集団という性格が強く、「映像作家や俳優、ダンサー、写真家などジャンルを超えた作家が集まり、(中略)創作をする演劇集団」だそうで、事実、シンプルなセットに絵や映像を投射して状況を表現する趣向などはたいそう効果的で面白く、プロフェッショナリズムを感じたが、各クリエイターの仕事を演出家が統括しきれていない印象は否めず。演出面における、全体的に不統一な感じはそこに起因するのでは?

ネタバレBOX

少年の父が高校時代にハマっていたのは、コンドームに穴を開けて廊下に落とし拾ってセックスした学生を妊娠させる遊び。盲目の少年がありつく仕事は工場での検品作業。作中に満載のこうしたブラックユーモアは今やほとんど触れる機会がなくなったので、次作にも存分に注ぎ込んで欲しい。
紙屋悦子の青春【9月28日~29日公演中止】

紙屋悦子の青春【9月28日~29日公演中止】

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/28 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

静かな演劇、というが非常に笑いも多く、その奥からじんわり人生の切なさ、悲しみが立ち上がってくる。枝元萌さんはお節介でお喋りでお茶を出すだけで笑いが起きるし、長谷川敦央は口下手の不器用ぶりで逆に笑いを起こす。人物配置もわかりやすく、それぞれの心情も痛いほど伝わる。いぶし銀の舞台だった。

裸舞台に最初、車椅子の老夫婦が現れ、なんてことない話(寒くないか、毛布がいるか、カーディガンをとってくるか)から、思いやりと頑固さの、長年連れ添った夫婦ならではの関係性が見えてくる。「戦争、多くの奴らが死んだ。どうして俺は生き残ったんだ…」そして、戦争中へ。

昭和20年3月30日、見合い話が持ち上がり、31日に悦子(平体まひろ)は、兄夫婦が熊本工場へ派遣された留守の家で、明石の紹介で永世(ながよ)と見合い。お茶とおはぎと弁当箱の電気回路が笑える。
4月8日、明石が出撃前の別れにおとずれ、12日、永世が明石の遺した手紙を届けにくる。
たった2週間のドラマ。庭の桜が蕾から満開になる間に、一つの愛が死に、新しい愛が育ち始める。
悦子役の平体まひろのピュアで真っ直ぐな純情が切なく健気に輝いていた。休憩なし2時間

ネタバレBOX

特攻で死んでいった恋人がとりもった二人。普通、わだかまりがありそうだが、永世と悦子は、死んだ明石への思いは胸奥に秘めて、二人の愛を大切なものとして育てた気がする。それは小林多喜二亡き後の伊藤フジ子と森熊氏のようでもある。
一方、映画「ホタル」の高倉健と田中裕子の夫婦は、死んだ親友・恋人を思い続けて、体の関係を持たない夫婦であり続けた。「ホタル」より、「紙屋悦子の青春」の二人の方がわたしにはこのましい。

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