『脱兎を追う』
楽園王
d-倉庫(東京都)
2021/12/21 (火) ~ 2021/12/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
【黒組】
深夜、脚本執筆中の姉に起きた妹がある提案をすることから始まる物語。
序盤からメタ要素ありある落語を連想させる理屈ありで引き込まれる。そうしてあれこれあっての最終場はメビウスの環を思わせるもので「あー楽園王だなぁ」みたいな。白組はあのあたりが変わるのか?などと考えつつ観たりもして。
マンホールのUFOにのって
マチルダアパルトマン
OFF OFFシアター(東京都)
2021/12/22 (水) ~ 2021/12/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
時にナンセンス、時にシュールな短めの場をたたみかけるテンポの良さ(もしかしてその場のことを深く考えさせない策略?(笑))で語られるのは大学生の「青春期」と時を隔てた後日譚。あは、あは、あはは。と笑いながらも最後は切ない余韻が残ってイイんだなぁ。
溺れるように走る街
吉祥寺GORILLA
劇場HOPE(東京都)
2021/12/09 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
物語の軸となるのが芸人コンビがパーソナリティを務める深夜のラジオ番組なだけに舞台美術、照明効果とも「夜」のイメージが前面に出ており、ラジオ局のスタジオを再現しているような装置も含めてそれだけで一見の価値アリ。劇場HOPEの舞台後面の壁って初めて見たかも?
スペキュレイティブ・フィクション!
NICE STALKER
ザ・スズナリ(東京都)
2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了
BABEL
演劇企画 heart more need
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
観ながらタイトルとの関連で「もしも人間が思い上がって神の場所に届く塔をなどと考えず、同じ言葉を使っていたら……」などと思ってしまった。
カナリヤ
日本のラジオ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/18 (木) ~ 2021/11/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
カルト教団のメンバー(幹部から新人まで)に時々取材するライターが絡む会話劇。
世間を騒然とさせたある事件の前日譚的ではあるが、教団メンバーも(1人を除いて)ごく普通の穏やかな人に見えるのが不気味。(一見マトモそうながら過去があったりもするが)
IN HER THIRTIES 2021
TOKYO PLAYERS COLLECTION
サンモールスタジオ(東京都)
2021/11/17 (水) ~ 2021/11/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
冒頭、舞台に登場した30代の「私」たちが20代での主な出来事を確認しあうのは「IN HER TWENTIES」を観ていない観客への前提提示でもあろうが、「IN HER TWENTIES」初演も観ている身には「あれから10年なんだ」と思わせるものにもなり、10年という歳月を実感させるシカケとして極めて有効。
Jeanne
鬼の居ぬ間に
「劇」小劇場(東京都)
2021/10/20 (水) ~ 2021/10/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
異端審問パートの(細部はもちろん異なるが)芯となる部分に「ジーザス・クライスト・スーパースター」のピラトの審問と通ずるものを感じたり。そしてここに限らずキリスト教に造詣が深いか否かで受け取り方が(どころか理解度も?)異なるのではないか?とも。
夜から夜まで
劇団競泳水着
駅前劇場(東京都)
2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
コクのあるオトナの恋愛(性愛?)群像劇。人物設定にしても彼らの関係性にしてもオーソドックスなものからいかにもイマっぽいものまで多彩でそこにコメディリリーフも配したのはさすが。
ここ1年ほどの間に観た芝居でコロナ禍の影響を取り入れたものはもちろんあったが、演者がマウスシールドをしているとかその程度の「察してね」レベルだったが、積極的に物語に取り込んだのはσ(^-^) が観た範囲内ではこれが初ではないか? 逆に言えばコロナの影響がなければ違う展開になったかもしれないと言えよう。
リーディング公演 「ローマ帝国の三島由紀夫」
一般社団法人銀座舞台芸術祭
シアター風姿花伝(東京都)
2021/12/29 (水) ~ 2021/12/31 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
リーディング公演のイメージで行ったら、迫力満点の演劇でした。
シアター風刺花伝の空間で、演者さんとの距離感も近く贅沢な時間でした。
観劇後も、あのセリフとあの場面との繋がりは?とか、ずっと考え続けてしまう内容でした。
水の駅
さいたまゴールド・シアター
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2021/12/19 (日) ~ 2021/12/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
最終公演に相応しい広い、広いお話でした。
おしまいだけど明日からの飛躍が誰にでもある、そんな希望に満ちた舞台でした。
役柄がお話を紡いでいくより、役者さんの存在がお話を紡いでいる、そんな稀有な舞台だったと思います。
「終わっちゃいましたね」「お疲れ様」とても心地よい最終公演だったと思います。
ジョン マイ ラブ ージョン万次郎と鉄の7年ー
坊っちゃん劇場
坊っちゃん劇場(愛媛県)
2021/09/02 (木) ~ 2021/10/02 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この舞台では、万次郎が漂流やアメリカでの生活を経て帰国した後の日本での様子を妻となった鉄と出会いや周囲の人々との交流を軸に描いていく。ヒロインの鉄をAKB48のメンバーが交代で演じ、歌やダンスで賑やかに綴りながら、新しい価値観を日本に根付かせようとした男の意思が胸に響く物語となっていた。
おてんばで縁談など見向きもしない鉄が、因習や偏見にとらわれない万次郎の明るい強さに心を動かされていく様子が瑞々しい。早くに母を亡くした鉄を慈しみ守ろうとする女中おクニの愛情とエネルギー、誠実さと温かさを滲ませる鉄の父、万次郎を引き立てようとした江川様の未来を見据える眼差し。そして地元の期待を背負って万次郎の私塾で学ぶ若者たちや下男となる竹蔵、英語の指導を懇願する福沢ら、万次郎のもとに集った若者たち。鉄の幼馴染 菊野の前半と後半での変化。攘夷論に染まって万次郎を敵視する鷹之丞まで含め、激動の時代に国の未来を思う真摯な若さを感じさせた。変わりゆく時代を象徴するのが、いくつもの言葉であった。民主主義・自由・平等、そして愛。万次郎がアメリカで学んできたのは英語や航海術ばかりではなかった。まだ日本には言葉すらなかったそれらの概念を若者たちに熱く語って聞かせる彼の姿には、鉄でなくても惹かれてしまうだろう。テンポの良い物語を軽快な楽曲やチャーミングなダンスで彩り、エンディングではペンライトが振られる舞台。けれどその核にあるのは激増の時代の片隅で生きた人々の息遣いと骨太なメッセージだった。
太陽は飛び去って
Ammo
サンモールスタジオ(東京都)
2021/12/02 (木) ~ 2021/12/08 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
女性解放運動の闘士(?)たちとその周辺。各人物が出入りする「庭」での言動からそれぞれの考え方を浮き彫りにし、観客に分かり易く伝えるシカケが鮮やか。
そうして「女性に対するああいう感覚の男、未だに脈々と受け継がれているな」などと観ているうちに、最近の出来事そっくりの内容や近い将来なりかねない事態などが描かれて慄然。
また、「鳥」や「風」での隠喩も巧い……とか言いつつ、それらを読み取れたかどうかは怪しかったりするが。(←最近こういうのが多いσ(^-^) である(爆))
お父さんゲーム
劇団天動虫
シアター711(東京都)
2021/12/02 (木) ~ 2021/12/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
あるコンプレックスから亡父の通夜さえスルーしようとした二女を中心にした一夜の顛末。場合によっては重くなるかもしれない題材をポップで賑やかに見せるのがここの特徴か。
また、有名童話の「知られざる結末」の引用もあるのでそちらを読んだらまた新たな気付きがあるかも? なお、当日パンフレットの「人物相関図」もありがたい。
くらやみダンスの宝島
くらやみダンス
スタジオ空洞(東京都)
2021/11/25 (木) ~ 2021/11/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
隠喩やファンタジー、心象世界などで彩られているが、芯はまず兄の「冒険」を、次いで弟の「冒険」を、そして両者を合流させたクライマックスは活劇もありと典型的な「冒険活劇」で娯楽作としても楽しめた。
σ(^-^) もそのうち「海」を探しに行くかな……
音楽劇 百夜車
あやめ十八番
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2021/10/29 (金) ~ 2021/11/02 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
連続殺人事件を軸に、被告はもちろん。取材記者、被疑者家族、裁判員など関係者それぞれ複数のドラマで降りあげられた物語。その「場の切替え」のバランスが絶妙であたかもつづれ織りの如し。そこに生演奏・生歌がふんだんに盛り込まれるとは何と贅沢な。
チラシ裏面のビジュアルに通ずる「垂れ幕(?)」の使い方も面白くかつ効果的。
第一幕の幕切れも舞台配置で「あるもの/あること」を想起させてからの「あの宣言」というのも鮮やか。
ところでトランペットを吹いていたゲストミュージシャンがノン・クレジットなのは何故?(ま、見ればワカるけれども(笑))
24歳のフォーチュン!ウェディング
人間嫌い
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2021/11/03 (水) ~ 2021/11/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
24歳とその少し上・少し下の女性たちの結婚観・恋愛観。
年齢や立場による違いがキャラクター造形と共に巧みというか鮮やかというかで、世代も性別も異なる身としては「高みの見物」的に客観的に観て楽しめた。
「あの怪物の名は太陽の塔」
The Stone Age ブライアント
サンモールスタジオ(東京都)
2021/10/27 (水) ~ 2021/10/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
70年代を舞台にした知的障碍者との距離(の取り方/詰め方)に関する物語でいろいろ考えさせられた。そして本編幕切れの「少し後」を思わせるカーテンコールでは「もう一人」の人物が見えるよう。開演前のBGMも懐かしかった。
ちーちゃな世界
青春事情
駅前劇場(東京都)
2021/10/27 (水) ~ 2021/10/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
東京から5~6時間かかる田舎のペンションに訳ありらしき客が訪れて……な物語。人物それぞれに「過去を背負って」いる中、ペンションの主人が常に前向き・ポジティブなのが好ましい。ただ、結末はやや強引と感じた。
なお、「世界は今夜も回ってる」(作:門肇、2001年)を想起。
ラブピー
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2021/10/27 (水) ~ 2021/10/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
良作というか良心作というか、SF・家族の話・生死の話という3編で構成されているがそれぞれに接点アリ。そんな各編に「悪い人」は登場せず、微笑ましかったり優しかったり温かかったり。そして3編の時系列を考え「もしもあの時……」と想像を膨らませるのも一興。