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hana-1970、コザが燃えた日-【1月21日~1月23日、2月10日~11日公演中止】

hana-1970、コザが燃えた日-【1月21日~1月23日、2月10日~11日公演中止】

ホリプロ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2022/01/09 (日) ~ 2022/01/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかった。戦争と米軍基地のもと沖縄の歪んだ現実を、人間ドラマの中に凝縮してみせた傑作である。特に幼いナナコ(上原千果)の愛くるしさを思い出すハルオ(松山ケンイチ)の語りには、思わず涙腺が熱くなった。米兵相手のバーのママ(余貴美子)の家族の、一夜の物語。本土復帰を2年後に控えるが、米兵の轢き逃げが無罪になるなど、米軍の横暴にウチナンチュの不満は溜まっている。

そんな状況を背景に持ちながら、バーはなにやら怪しげな雰囲気。イエローナンバー(米軍の盗難車)を乗り回すヤクザのハルオに続いて、脱走兵や、本土のルポライターも現れる。ごく普通の夜だったのに、次第に家族の予想もしなかった過去や、登場人物それぞれのトラウマ、心の内底の思いがさらけ出されていく。外はどんどん騒がしくなり、ついにコザ騒動に。

沖縄戦の凄惨、米軍基地の成り立ち、ベトナム戦争の兵士のトラウマや、Aサインバーの実情、脱走兵支援運動、復帰運動や米兵の犯罪がなにも罰されない治外法権等々、見事に芝居に溶かし込んで現実を突きつける。悲劇を語る後ろで不気味な音が微かに唸り続ける音響、登場人物のドラマを際立たせる照明も素晴らしかった

恋愛論

恋愛論

動物自殺倶楽部

イズモギャラリー(東京都)

2022/01/11 (火) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/01/12 (水)

なるほど確かに鵺的とは別ユニットの作品で、「裏・鵺的」どころか鵺的とは真逆な作風。(個人的な感覚だが「裏・○○」というのは元のものと何かしらの接点がありつつ違う視点で描いた……という場合で、「真逆」は接点など無きに等しく何もかもが反対、みたいな)
たとえば序盤は「ドロドロ」な状況だが、鵺的のドロドロは観客としても身につまされるようなものなのに対してこちらは傍観者的にニヤニヤしてしまう、みたいな。
それ以降も演者の現実を徹底的に茶化した人物設定により序盤はクスクス程度だった客席が声を上げて笑うほどになるタガの外し具合なども鵺的では決してありえないことで、良い意味で予想に反した感じ。
で、事前情報通りにルッキズムを芯に据えた「小劇場奇譚」、メタになるところまで含めて個人的には好みのタイプで、良い観劇初めとなったのであった。
ところでイズモギャラリー、年末は「くまゆか無双」だったが年始は「あちこ無双」じゃねーか!(嬉)

ネタバレBOX

出だしは小劇場界でのもつれた恋愛模様だが、それが客演女優のオファーは容姿によっているのではないか?という問題に転じていったりもして、さらに出演者の団体をもじるだけでなく、脚本執筆だけに鵺的関連は実名が出て、もうその頃になると客席は笑いの渦状態。
しかも出演者関連では遠慮もあろうが自団体については遠慮は不要ということでディスるわ度を越えた賞賛はするわでもうやりたい放題。(笑)
そうこうしての終盤も典型的なメタフィクションな層構造もあり、ホントこういうの大好き♪
昭和歌謡コメディVol.15〜お正月だヨ!ヤーレンソーラン!大騒乱!!

昭和歌謡コメディVol.15〜お正月だヨ!ヤーレンソーラン!大騒乱!!

昭和歌謡コメディ事務局

ブディストホール(東京都)

2022/01/07 (金) ~ 2022/01/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

お約束の展開、ある意味安心して観ていられますね!
懐かしい歌の数々も良かったです。
特に、「スマイル・フォー・ミー」が聴けたのが一番でした!

東京卍メロス

東京卍メロス

E-Stage Topia

ザ・ポケット(東京都)

2022/01/13 (木) ~ 2022/01/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「走れメロス」(太宰治)と「東京卍リベンジャーズ」(漫画、映画化)を融合したパロディのように思えたが、やはり独自の作劇だ。公演の魅力は、個性的な人物、アップテンポな展開、凄い躍動感(走る 以外に喧嘩、舞踊等、とにかく身体を動かす)という三拍子揃ったところ。

家族や友人をも恐れ、幼い頃から道化を演じ、他人の評価にビクビクし、人から見捨てられることが不安でたまらないのが太宰治のイメージだとすれば、この物語では少し違う人物像ー関東白虎組組長 虎島鉄州を登場させる。粗筋は「走れメロス」を思わせるが、そこに敢えてのタイムリープ感、そしてヤンキー要素にSFやアクション要素が合わさった作劇。観客を飽きさせず、物語に集中させる手腕は見事!
(上演時間2時間 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台セットは二段で、上手 下手に昇降する階段がある。同じように正面 左右の側面に剥き出しのパイプのようなオブジェがあり、何となく廃墟であり道路(行程)のような気もする。下段板には赤い直線が描かれ、運命の赤い糸であり 同時にこれも道路を表しているよう。シンプルな作りであるが、走る・ダンス・格闘等多くのパフォーマンスがあるため大きくスペースを確保し、舞台の昇降によって躍動感を生む。

舞台は東京・八王子市で、今では関東白虎組が友情・恋愛といった仲良くしている友人・恋人同士を見つけると暴虐を加える。これに激怒した米良進(長濱慎サン)が、組に殴り込みをかけるが、返り討ちにあう。米良には妹の結婚が間近に控え何とかして出席したい。そこで3日間の猶予をもらい、乗り物を利用せず新小岩に向かう。その間 友人・芹澤に自分の身代わりを依頼…といった内容だが、これは走れメロスそのもの。「走る」は、米良自身も以前は暴走族総長であり、密かに思いを寄せている女性もレディース総長。色々な場面で”走る”に関わりを持たせており、それを物語の見せ場にしている。

一方、妹の結婚相手の男性の素性が…。こちらも謎に包まれて といった興味を惹く設定。張り巡らせた”意図”が、運命の赤い”糸”のように手繰り寄せられ大団円へ。この走る仕打ちは、何となく仕組まれた 云わば狂言のようなもの。人は誤解と錯覚で人間不信に陥ることがある。そこを出発点とした走る行為の帰結は、自ずと原作通りの誤解を解き友情・愛情を気づかせるというベタなテーマが透けてくる。物語は人間の心理、分析または観察を深く掘り下げるといったものではなく、あくまで面白可笑しいコメディとして観(魅)せる。だからトランスジェンダーという設定やビジュアル的にアイドルやメイド(喫茶)を登場させ、さらに劇中アイドル曲「LOVEバトン」で楽しませる。

信じることの大切さと同時に、自分自身の気持に正直になること。衒いや恥ずかしがり、あるいは友人のためといった虚勢は、本当に大切な人を失う。ラスト 渋木美沙さんの「そこは譲れない!」という思いがもう一つのテーマであろう。因みに虎島組長も誤解で25年?も相思相愛の人と一緒になれないため、人間不信へ。
冒頭、友人・恋人が親しく出来ず、一定の距離感(間)を保つのは白虎組が押し付けたルールであるが、その光景が何故かコロナ禍で、演劇も、社会も大きく変わってしまった。しかし、人の思いはいつの時代でも変わらず”親密”であると…を思わずにはいられない。
次回公演も楽しみにしております。
東京卍メロス

東京卍メロス

E-Stage Topia

ザ・ポケット(東京都)

2022/01/13 (木) ~ 2022/01/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 役者陣は可成り動かなければならない作品なのでちょっと大変だろう。登場する役者に誰一人メタボの人が居ないのもそれが理由か?

ネタバレBOX

 舞台は二段構え、奥の板へ上る為の構造物はシンメトリックに設置された踊り場付の矩形。外側に階段、内側に大型骰子の形をした正四角錐が各1個据えられ手前の板上はフラットだが、表面には赤い直線が交差するように描かれている。無論これは俗説にある“運命の人とは赤い糸で結ばれている”という言説を示したものだろう。ホリゾントの壁面、側壁には阿弥陀籤の線分をばらしたような幾何学文様が所々に描かれている。ホリゾント中央、手前の板の上・下手に出吐け。
 ギャグを多用して笑わせようとするシーンが多く、太宰の「走れメロス」の持つストレートで緊迫し、力強く真摯なシーンが描かれるのは終盤に入ってからだが、其処迄引っ張るギャグの質はチト自分の気には入らなかった。何となれば余りに下世話で読めてしまうものが殆どだったからである。八王子の街を仕切り兎に角、友情だとか恋愛だとか他人と仲良く濃い人間関係を作る者達に暴行を加え街の人々の笑いを奪い恐怖を植え付けて支配しようとする人物が何故そのようになったのか? についても即座に正解が見えてしまう。余りに浅い社会・人間分析はもう少し工夫が欲しい所だ。評価できる点はLGBTQ等の問題を作品に上手く溶け込ませ、そこからもギャグを引き出している点だ。
 結末がどうなったかは観てのお楽しみ。
イカれた失踪

イカれた失踪

シアワセナゲキダン

神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)

2022/01/14 (金) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★

今までのシアワセとは異なる一面をみせてもろた‼️オモロかった!主役の二人が特に。

ナビゲーション

ナビゲーション

ACTOR'S TRIBE ZIPANG

サンモールスタジオ(東京都)

2022/01/13 (木) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

#鳳恵弥 #パッパラー河合
#松本梨香 #村川翔一
#木之枝棒太郎 #小野春花
#亀吉 #岩瀬かえで
#井手晋之介 #松村美里
#江頭美智留 #鮒田直也(敬称略)【初日夜】
やっと小野春花さんを観ることができた。可愛かった。声も張っている訳ではないし、やや低めなのかもしれないけれど、聴き取りやすい魅力的な声をしている。諸々のことを明らかにするシーンでは、感情の流れに苦労が見えたけれど、脚本自体の展開の無理矢理感の影響であることは否めない。願わくば、葛藤のある会話劇で観たい。細やかな視線の動きで感情を滲ませることができる彼女には、映像での活躍にも期待したい。

転換の多い作品だけれど、目つぶしの照明でソレを見せない工夫は感じられた。いっそのことセットや小道具を簡略化し、もっと観客を信じて想像力に委ねてみてもよかったような気もする。

若い俳優さんに光るものがあった。今後の活躍に期待したい。

正直、本にも演出にもツッコミどころ満載なのは覚悟の上の観劇。
しかしながら、以下のことは受け入れ難い。
①冒頭のシーンで、舞台裏の会話がずっとザワザワと聞こえていた。あれほど声が漏れてきては、どうしたって集中は削がれる。未だかつて経験したことのない衝撃的な出来事。
②とあるモノが見当たらずに慌てるという場面で、ソレを床に落としているのは致命的。拾うのも拾わないのも不正解。
③ユニゾンで歌う場面で、いきなり詞を間違えて別々のことを歌い、作品の鍵を自ら潰してしまっては元も子もない。
④「よし、これで大丈夫」と言ったスペアタイヤがグラグラでは笑いを堪え切れない。
⑤これは彼らのせいではないけれど、暗転時に隣の席でスマホを操作されて愕然とした。観客の質にも恵まれず可哀想に思った。

芸術劇場では、とても上質な作品が3000円で上演されている。
この金額と内容では……辛い。

恋愛論

恋愛論

動物自殺倶楽部

イズモギャラリー(東京都)

2022/01/11 (火) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

何にも情報を入れずに観た方がいい。何が面白いのかを熟知している手腕。金が取れるプロの仕事。大手拓次(たくじ)の『動物自殺倶楽部』と云う詩から劇団名を取っているが、その詩の内容は陰惨な獣達の自死の風景を淡々と叙述するもの。恐るべし高木登。

ネタバレBOX

「ルッキズム」がテーマのように見せ掛けているが、多分違う。この劇団『動物自殺倶楽部』の紹介のようなもので、「こんな感じで半分ふざけてやっていきますよ」と云うことだろう。シリアスな作風は『鵺的』が担うが、零れ落ちるアイディアをここで華咲かせていく。「夜会行」のパロディーのようにも見えた。セルフ・パロディーと自虐ネタ満載で、観客はニヤニヤニヤニヤしっ放し。“役者”や“演劇”や“観客”まで全て引っ括めてネタにして笑い飛ばしてみせる力量。
野花紅葉(のはなもみじ)さんがやたら綺麗だった。赤猫座ちこさんはセルフ・イメージをパロっている感じ。小西耕一氏はキモい演劇論を振りかざすステレオタイプなイタい役者を好演。金子鈴幸氏は弁舌の立つ理論的なダメ演劇人を見事に肉体化。

赤猫座ちこさんの突然の一般人との結婚により、捨てられた演劇人達が彼女の部屋で未練タラタラ。役者引退作を高木登主導の作品でやると言うが···。
だからビリーは東京で

だからビリーは東京で

モダンスイマーズ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/01/08 (土) ~ 2022/01/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしい作品だった。コロナ禍の今だからこその作品だし、今観るからこそ、心に沁みる作品だった。
主人公のやりきれない心の叫びに涙が出た。
もう一度、観たくなる。

死んだと思う

死んだと思う

中野坂上デーモンズ

OFF OFFシアター(東京都)

2022/01/10 (月) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/01/12 (水) 19:00

90分。休憩なし。

だからビリーは東京で

だからビリーは東京で

モダンスイマーズ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/01/08 (土) ~ 2022/01/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/01/12 (水) 14:00

110分。休憩なし。

『ウエア』『ハワワ』

『ウエア』『ハワワ』

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/01/07 (金) ~ 2022/01/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2022/01/11 (火) 14:00

「ウエア」75分。休憩なし。

東京卍メロス

東京卍メロス

E-Stage Topia

ザ・ポケット(東京都)

2022/01/13 (木) ~ 2022/01/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めから走る、踊る、戦う、走る、とラストまで動きっぱなしで、皆さん疲れないのか、体は大丈夫なのだろうかと思うほど。千秋楽まで頑張ってほしい。
エネルギッシュで楽しい舞台でした。

九十九龍城

九十九龍城

ヨーロッパ企画

本多劇場(東京都)

2022/01/07 (金) ~ 2022/01/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

そう言えば私が行ったことのある九龍城は、川崎にあったゲームセンターでした。
舞台に再現された九龍城、もっと派手で、もっと妖しくても良かったのかなとか思いました。

ネタバレBOX

舞台で起こっていることを解説(?)するみたいな感じは、後半のゲームにつなげるためなのかなと思いましたが、もっと舞台の人たちに任せて(解説みたいなことしないで)進行した方がスピード感が保てて良かったのではないかと思いました。
東京卍メロス

東京卍メロス

E-Stage Topia

ザ・ポケット(東京都)

2022/01/13 (木) ~ 2022/01/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今年最初の観劇。笑かしてくれる舞台がイイなと期待してみましたが、期待以上に笑かしてもらいました!何より良かったのは、個性的な?いやいや変キャラというか、ぶっ飛びキャラ揃い!!ってこと。しかもキャストががっつり吹っ切って演じていること!あそこまでぶっ飛んでくれると、観ている側としては笑いつつ、大変気持ちがイイ!“皆さんに元気を”との挨拶がありましたが、新年早々仕事が続き、疲れていたオバサンはかーなり元気づけられました!有難うございます!
ということで、キャスト票で星五つ、正月ご祝儀にさせて頂きます。

カミノヒダリテ

カミノヒダリテ

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2022/01/07 (金) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

俳優座の翻訳劇上演は中々の当たり回が有るので候補に入る事も多いが今回は演出田中壮太郎、美術竹邊奈津子の名前が引きで観劇。

カミノヒダリテ

カミノヒダリテ

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2022/01/07 (金) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

主人公本人と人形のキャラクターの演じ分けが、よく混乱しないものだと感心した。左手のタイロンがもう一人の登場人物としてはっきりと感じられた。
最後、急に収束してしまう感がなきにしもあらずだが、ストーリーも面白かった。

INDEPENDENT:21

INDEPENDENT:21

INDEPENDENT

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2021/11/25 (木) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

11/28 11時からのブロックを鑑賞。
[t1]黒川の宴 [f]スーパースター [c]よぎちゅー

以前からこの一人芝居フェスの存在はチラシ等で知りつつ、鑑賞は今回が初めて。

オムニバス形式のため好みによっては当たり外れがあるかもしれないですが、今まで知らなかった役者さんに出会えたり、色んな味を一度に楽しめるのはお得だと感じました。

朝ぼらけ

朝ぼらけ

teamキーチェーン

吉祥寺シアター(東京都)

2022/01/07 (金) ~ 2022/01/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初見の劇団。贔屓劇団が増えれば勢い開拓の機会は減るが、口コミメディアお陰で冒険が出来る。モロ師岡以外知った名はゼロ、ただ美術担当が知った名で若干背中を押されて観劇。
根のいい人間に遭遇した時の如くで、最後にはあれこれの不足も許してしまう感じ。浸透圧でぐぐッと台詞の入ってきた瞬間が2か所、キーとなった役の貢献も好印象であった。

ネタバレBOX

知的障害を持つ人が中心的存在のお話で、自閉症の息子(翼)のために自宅の庭に八百屋を開業した家族(母、父、弟、姉とその夫)と、ご近所さん(野菜を仕入れに来る農家の青年、常連客、隣のキャバ嬢、同じく自閉症で強度の息子と母、離れて暮らすその姉、翼の幼馴染み等)、弟の同級生男女、担任らの日常生活圏に、ある日若い女子がバイトに応募して来る。障害に対する差別、対立と、理解の経過がエピソードを通して描き出される。
自閉症者の二人の形象が、行動の背景を認識させるレベルまでに迫っていて好感が持てる。自分の目には「それはしないかな..」と思える行動があったりもするが、支援学校を卒業して数年?まだ二十代青春盛りの翼青年の太い幹は見えた。芝居の性質上、リアルを求めてしまうが、障害と健常の境界を消して残る「翼」という人格を形象して示す事もあり得ただろうか。
前半一番厳しかったのは、出産したばかりの姉と翼の不和の原因になる一件が、これ程愛情に満ち障害理解のある家庭では起こり得ないプロセスで起きてしまう所で、翼は赤児が寒くないようにとタオルケットで顔まで覆ってしまうが、これだと「人」と認識した相手を正しく可愛がる行為ではなく、お人形遊びの道具と同等。ネグレクトと真逆な関わりをしただろう家族が彼に「リスクなく委ねる」領域がどこまでかを見誤る事は考えにくい。
例えばそういった事や、他の人物の行動線に細かな逸脱はそこここにあって、前半の疲れ具合は実は半端でなかったが、それ以上に知的障害、自閉症との接点でのあるあるが盛り込まれ、何より恋物語の成就によって示される「人って何」「生きるって何」へのドラマの回答は、予期せずして力強かった。
最後の最後の場面に文句を付ければ、総員集って翼の弟と友人の漫才コンビの立ち位置が、想定されている家屋の柱(及び壁)の後ろに当たるミザンスであった事。漫才は聞かせずサイレントになるのは淋しいが予測範囲、ただリアルの追求は放棄しないでほしいな、と。
恋愛論

恋愛論

動物自殺倶楽部

イズモギャラリー(東京都)

2022/01/11 (火) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#赤猫座ちこ #金子鈴幸
#小西耕一 #野花紅葉
#高木登 #小崎愛美理
(敬称略)
久しぶりに観ながら爆笑した。
みなさん、ごめんなさい……と謝罪しないといけないくらいに笑ってしまった。
アッちゃんは悪意と敵意に満ちて、不誠実で不愉快(という役)だった。ソコに世間の噂や評価を逆手にとって、主宰の高木さんが自虐的に楽しんでいるのを楽しんだ。
ワタシも祀って拝もうかな。ご利益あると思う。
ラストが気味悪いのは流石だった。

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