JACROW#28『鶏口牛後(けいこうぎゅうご)』
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2022/06/23 (木) ~ 2022/06/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
企業ものとか、政治ものとか、現実ベースの素材が特徴のJACROW、作劇はずいぶんうまくなって、今回はアパレル企業の経営方針をめぐるドラマを、テンポよく見せてくれる。製品に環境問題をかませているあたり工夫もある。
だが、この劇団の企業もの、何時も、どこか作り物めく。
それは、多分、作者が『会社』と言うものは「法人」で人と同じような扱いができると思っているからではないだろうか。会社同士の葛藤は、ほとんどすべての場合、「利益」で左右されるもので、人の感情が入らないのが普通である。それは法もそのように規定しているからで、利益を求めなければ会社の責任者は背任の責めを負うことになる。
このドラマにはいかにも経営者の言いそうなことが、数々ドラマチックに出てくるが現実に経営に関わってみれば、会社の大小、事の成否を問わず、それは結果に対する建前のきれいごとにすぎない。つまり、この辺が嘘くさい。現実にこんな下請け製造業者の部長や取引銀行員が出てくるとは思えないからである(現実の葛藤さまざまで、こんな風に騎士風には登場しない)。会社と人間の倫理を合わせるために家族構成もご都合主義になってしまう。
しかし、企業興亡のドラマとしては面白くできていて、主演の川田希は熱演だが、テレビドラマの松たか子(大豆田とわ子と三人の元夫)ほどのリアリティもない。
数年前になるが、同じこの劇場で「男たちの中で」と言う海外の企業ものを見たことがある。海外の話だが、こちらはずいぶん陰惨な話なのにリアリティはあった。その一つは、この鶏口牛後は、視点を客観に置いているが、男たちの場合は一つの経営者家族の葛藤に置いているからだ。会社の経営は、なかなか客観に引いては見られないもので、すべてがケースバイケースだ。視点を踏み込んでいくともっとリアリテイが出てくると思う。
ジョージ・オーウェル〜沈黙の声〜
劇団印象-indian elephant-
駅前劇場(東京都)
2022/06/08 (水) ~ 2022/06/12 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
「ケストナー」「藤田嗣治」に続き今作も映像での鑑賞となった。
前作より構造がシンプルで、この著名な小説家・エッセイスト・ジャーナリストの「内側」を覗けた。二つの軸があり、一つはインドとの関わり、一つは彼が影響を受けた、マーレー・コンスタンティンと名乗る作家(これは作者の創作だろうか)。男性と思わせて実は女性であったこの作家は、ナチスが世界を征服した近未来を描いた処女作で文壇に衝撃をもたらした(オーウェルの「一九八四」を連想させる)としているが、作者は彼女をオーウェルの前に姿を現わし、女性が己自身を名乗って生きる困難さを語らせ、問いを投げかける。同時にオーウェルもその当事者となる「闘い」の同志とも見える。
インドとの関わりは、イギリス政府がインドにおけるナチスの暗躍=ラジオ放送を使った反政府(反植民地)気分の醸成に対抗し、ラジオ放送の作家としてオーウェルを招いた事で具体的な形をとるが、ラジオ局にはイギリス在住のインド人もおり、戦局や情勢によって彼らとの関係も変容する。インド生まれのオーウェルは植民地経営を担った父親がおり、彼らにとってはイギリス人・政府を代弁する立場に見える。時代は反ファシズムの機運、インドでもガンジーらが独立運動により意思を表明している中、「戦争が終れば英国政府はインドを解放する」という前提が共有されているが、何が本当かは分からない。
大日本帝国の台頭も彼らの視野に入って来る。インドの独立派の中には日本をアジア解放の旗手として歓迎する動きがあった(既に対米開戦、マレーシア・インドネシアを落としている)。だが、英国内だけでなくインド本国でも英語を「強要」されている状況に疑問を呈する「反植民地主義」を採るラジオ局内の友人も、日本のアジア進出を歓迎する動きを始めようとしていたが、もう一人の友人である女性が、朝鮮半島の植民地化を例に「解放どころか、自分らの言語と名前を朝鮮人に強要している」実態を告げ、相手を苦悩させる。
口角泡を飛ばす演技が、舞台にメリハリを付けているが、中津留作品に通じる議論劇の要素は、外国を舞台にしたフィクションである事で馴染んでいる感じも受ける。
AI・HALL寄席~和み~
焼酎亭
AI・HALL(兵庫県)
2022/05/21 (土) ~ 2022/05/21 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
昼席を観劇。
久しぶりのアイホール寄席、4つの落語、楽しかった。
■福寿さん『皿屋敷』初観客前での一席、お疲れ様。私もお菊さんに会いたい。
■神無月さん『平林』単純に笑える。私も、アホ好きです。
■七夕さん『孫、帰る』切ない落語。私も孫に会いたい!さわやかのハンバーグ食べたい!
■マルゲリータさん『崇徳院』熱の籠もった一席でした。一目惚れ、羨ましい!
夜席も拝見したかった。
次は三楽寄席?
劇団Little★Star-team Spica-vol.4『Silver Forest』
劇団Little★Star
たかいし市民文化会館 アプラたかいし(大阪府)
2022/05/15 (日) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽、ミュージカル好きの奥様と観劇。
劇団リトルスターの子供達の歌とダンスが、無茶苦茶、素晴らしかった。
各パートも個性的で、大人数での演技・歌・ダンスが圧巻で、圧倒された!
小さいお子様のパフォーマンスも凄かった。
ストーリも争いの中の友愛のお話で感動した、とても見応えがあって、素晴らしかった。
贅沢と幸福
オパンポン創造社
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
楽日観劇。
幸せな家族に突然訪れる悲劇。
消し去りたい過去…
鳩川七海さん、高橋恵映美子さんら役者さんの熱演が、凄かった!
出口のない暗闇に取り憑かれた前半は辛く、少し一本調子な感じだったが…
後半&ラストは、人の幸せって何だろう?と自問自答したくなる問題作!?
良かった。
SANC•SANC•SANC
演劇創造ユニット[フキョウワ]
神戸アートビレッジセンター(兵庫県)
2022/05/14 (土) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日観劇。
SNSの攻撃性・危うさ・無関心に傷付き、人生の不公平感を嘆き…
そして救いを求めてる!?
現代社会の縮図の断片を観てる様で、途中、心が痛かったが、ダンスや華やかな照明、そして母娘に救われた。
旗揚や2回目公演と(主張は同じ方向を向きつつ)雰囲気がガラッと変わったが、楽しく拝見、面白かった。
2000円でこの内容ならお釣りがでる感じなので、おまけで★5つ。
わが友ヒットラー
Nakayubi.
gallery Main(京都府)
2022/05/12 (木) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
お面を着けたままでの演技·演出で、表情を見せないヒットラーが返って不気味で恐ろしく、狂人性が高まり、重々しさも増していた。
そして、その不気味さの裏返しで、友の脳天気な軽さが更に際立った。
上演時間が2時間15分と少し長めだが、ずっしり見応えのある内容でした。
昨年中止のリベンジ公演、とても面白かった。良かった。
神様スパイラル
劇団伽羅倶梨
KARAKURIスタジオ(大阪府)
2022/05/06 (金) ~ 2022/05/09 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
町の電気屋3代目が便利屋に転業し…
バツ2のお姉様からレディース、元先生、○○の家の出身者まで、多様な従業員と先代との、笑売繁盛奮戦記。
いつもながらの、安定した演技、心ホッコリ、目頭が熱くなる系のお話で、良かった。
神ーー!(呼び捨てはダメ、様を付けないとね)
終演後、直接会ってのお見送りはできないので、2階の窓から手を振ってのお見送り、とっても清々しく気分良く帰れました。
ありがとうございました。
追伸、劇中のドーナッツが惜しそうだったので、ドーナッツ買った。
アカデミック・チェインソウ
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2022/06/22 (水) ~ 2022/06/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
-女子高生の修学旅行の船が遭難、無人島に流れ着く。そこで世界が進まなくなって…、いつまでも同じ日を繰り返す。真面目に言えば、これから社会に出る前の女の子の生態を、現実と非現実との境目に落とし込んで、コメディスケッチした。そこからどれだけ現代を打てるか?ということなのだが、十人それぞれの女子高校生的エピソードには笑いも沸くが、現在の教育の在り方、高校生の生理と心理、など衝くべき肝心なところは外していて、ファンタジーの物語は平板である。最近はあまり小劇場を見ていないが劇団の縛りは少なくなったようで先日見た小劇場作品「花柄八景」に出ていて、面白い俳優がいるなぁと思っていた永田佑衣がここにも出ていて、全く違う役柄を好演している。やっぱりうまい人はどこへ出てもさりげなくうまい。大劇団養成所育ちにはないおおらかなよさがある。他の俳優は全体に叫びすぎではないか。
ハルナに浮かぶ月
劇団The Timeless Letter
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2022/05/03 (火) ~ 2022/05/05 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
Aチーム中日観劇。
あさま山荘事件をモチーフに、事件から25年、なんでも屋を始めた兄妹にある依頼が…
事件はまだ解決していなかった?
しっかり張られた伏線に従い、題名通りの展開、人間味帯びた悔恨と愛情の物語、良かった!
前作『MARIONNETTE』でも見応え有ったが、ダンスをもう少し拝見したかった。
追伸、本作を観劇し、そして重信元最高幹部の出所の報に接し…
山岳ベース事件やその他テロ事件の遺族は、と思うと、複雑な気持ちになる。
でも、出所の光景を見ると、やはり少し不気味に思うのは私だけだろうか?
生まれた時から嘘つきで
劇団WAO!
国立文楽劇場(大阪府)
2022/06/25 (土) ~ 2022/06/25 (土)公演終了
生まれた時から嘘つきで
劇団WAO!
国立文楽劇場(大阪府)
2022/06/25 (土) ~ 2022/06/25 (土)公演終了
ほおずきの実る夜に
藤原たまえプロデュース
シアター711(東京都)
2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
物語はシンプルだけど、思いがたくさん詰まった素敵な作品でした。冒頭のホラーなシーンが芝居の稽古だったとは...、やられた。一人二役もありそうでなかなかないし斬新です。ゾンビのダンスと気合いの入った盆踊りなど、この団体は見せ方が巧いです。今後も立て続けに公演があるようですね。期待しています。
もんくちゃん世界を救う
U-33project
王子小劇場(東京都)
2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
【ザ・ボイストレーナー】
劇団トキワ
中野スタジオあくとれ(東京都)
2022/06/25 (土) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
ゴンドラ
マチルダアパルトマン
下北沢 スターダスト(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/15 (水) 19:30
[赤いゴンドラ]
事故で寝たきりになった父と二人暮らしの男・その父の介護に通うヘルパー・時々訪れる男の妹による会話劇。認識などの違いから時折ずれる会話で笑わせつつ「生きるとは」なテーマをさらりと提示して鮮やか。
堅苦しくなったり説教臭くなったりせず、悲哀も滲ませながら優しく包み込むように終わるのも巧い。「そして、人生は続く……」みたいな。
小規模・少人数でどこかの誰かの生活を覗き見るような「アパルトマンシリーズ」、今後にも期待。
たぐる
ここ風
テアトルBONBON(東京都)
2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ゆっくりした時間が流れる中、一人一人が抱える想いとそれを支えようと助け合う優しさが描かれていく。
観終わった後もじんわりと心があたたまり涙が出てくるような、心地よい余韻の残る作品。
KamaGen
Z system
劇団そとばこまちアトリエ 十三 BlackBoxx(大阪府)
2019/12/17 (火) ~ 2019/12/26 (木)公演終了
バロック【再演】
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2022/06/09 (木) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
前半はすごい良かった。これから何が起こるんだろう感とおどろおどろしい感じ。照明と光の使い方がうまかった。
後半はよくわからなかった。コメディにお茶を濁された感じ。
第15回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2022(IDTF)
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2022/06/16 (木) ~ 2022/07/10 (日)公演終了