MUGEN
さくらさくらカンパニー
AI・HALL(兵庫県)
2022/06/18 (土) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
千秋楽観劇。
役者さんが5人と少ないが、AI・HALLの広い舞台の奥行きを活かし、照明も綺麗で、工夫されてた。
前回はコロナ禍で稽古ができなかったとの事だが、今回は殺陣も演技もバッチリだった。
が、殺陣芝居の人数が少なくなってたのが少し心配。
出演者が減った分、話の展開も主演お二人の語りがメインとなっており、少し一本調子に感じた。
コロナが開けたら、是非、大人数での公演を期待!
宗教研究クラブ
令和座
APOCシアター(東京都)
2022/07/27 (水) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
うねるペン2022
三栄町LIVE
新宿スターフィールド(東京都)
2022/07/19 (火) ~ 2022/07/25 (月)公演終了
世の中と演劇する The three plays
オフィスプロジェクトM
アトリエ第Q藝術(東京都)
2022/07/28 (木) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
『The Pride』【7月23日(土)公演中止】
PLAY/GROUND Creation
赤坂RED/THEATER(東京都)
2022/07/23 (土) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
LGBTについては、日本でも大きく問題にされるようになったが、これはLGBT先進国のイギリスの戯曲だ。ちょっと複雑な劇構成になっていて、かの国で問題が立ち上がってきた当初の1958年と、エイズを超えて五十年後の2008年と、二つの時代に同じ名前の登場人物たちがGゲイを生きる問題に直面する。
丁度この五十年の中間のころ、しきりに英国と行き来していた十数年があったので、外側からではあるが、イギリスの日常生活の中で、ほとんどの人がお互いのLGBTを心得て生活している複雑な感情のもろもろも知らなくはない。
この劇は、そういうイギリス社会の上に書かれていて、外側の社会からは、それぞれが性的嗜好を持つわずか四人の登場人物ですら、その実態が推し量れない。翻訳上演の難しい戯曲である。
ドラマは二つの時代のゲイのカップルの出会いと別れ、出発を細やかに描いていて、テーマは理解できるが、ニュアンスまでは伝わらない(こちらの理解が及ばないのだ)。人物も、名前が同じだけで関連がないので把握しにくい。前半が1時間30分。後半が約50分。
初めて見たこのカンパニーは、この戯曲を現代的リアリズムで処理する。セリフは小声で早くささやくようだ。シーンは、性的な嗜好にとらわれる自己の精神との葛藤が中心になっているが、セリフが聞き取りにくい。この劇場は小劇場にしては珍しくタッパも高いが客席の傾斜もきつい。前方の席はいいとして(料金も高い)後方の席(と言っても十列ほどしかないのだが)までは、このセリフでは届かない。技術的にはマイクで拾ってでもセリフが分からないとかなりつらい。俳優も声を上方に逃がす工夫がいる。事情があってか、演出者が主演をやるように変更になっていて、演出者が客席から見ていないのかもしれないがここはやりすぎである。音楽も曲想はわるくないのだが、ミクシング・バランスがよくない。
帰りの地下鉄で向かいの席に若いゲイのカップルが座っていた。今はかなり解放されていてあっけらかんとしている。彼らが立つと、次は母親と男の子、次は二十歳から三十歳代のカップル。そうか、こうやって世界のどこでも人びとは人間同士つながりながら生きていくんだ。とある種の感慨が残る芝居であった。
戯曲は2008年に書かれれてすぐ、日本のtptが日本初演。その時の流れが今回の公園につながっている。tptは80年代後半から海外のあたらしい戯曲の発掘に意欲的で常打ちのベニサンピットが懐かしい。次回公演も期待している。
『The Pride』【7月23日(土)公演中止】
PLAY/GROUND Creation
赤坂RED/THEATER(東京都)
2022/07/23 (土) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
1958年と2008年。
テンポ良く交錯する二つの物語が相乗効果を生み出しているのは間違いなく
描かれるのはオリヴァーとフィリップとシルヴィア、3人の物語。
どちらの時代でもオリヴァーとフィリップは同性愛者
どちらの時代でもシルヴィアはこの二人との関係性が深い立ち位置にある。
同性愛は病気とみなされていた時代。
聡明さや知性、人としてのプラス要素が丸ごと“性”に飲み込まれていく様な、何とも言えない息苦しさを覚えた1958年の人間模様。
2008年にはゲイカップルという認識がある程度定着?
少なくともプライドパレードという存在が未来への道筋を示唆している様。
この戯曲が描かれてから更に14年が経っているわけで
多様性を認め合う現在、人間社会は確実に進歩している!そう強く信じたくなる公演でありました。
【side-A CASTを観劇】
ハヴ・ア・ナイス・ホリデー
第27班
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/07/07 (木) ~ 2022/07/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/13 (水) 14:00
老いることがなくなる薬の発明により改めて問われる「生きる意味・価値」。後半に出てくる現象(?)とラストのそれについての研究論文はいかにも最近の「哲学系SF」っぽく、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品に通ずるようにも思えた。
いや、全体に流れる「静かながら何故か引き込まれる」感覚もヴィルヌーヴ監督作品に通ずるか?
あと、ラスト(とチラシの)シーンに往年の某イタリア映画も想起。
ブレスレス【7月15日~25日公演中止】
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2022/07/15 (金) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
太陽にホエール
TKmeets
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2022/07/27 (水) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
正統派アイドル演劇。三谷幸喜の出世作、『やっぱり猫が好き』を思わせるあの空気感。
花奈澪さん、水崎綾さん、永吉明日香さん、遠藤しずかさん、この中の誰かのファンならば必見。絶対に観ておいた方が良い。
同居している四人のOL、アネゴ肌だが歪んだ世界観を持つ水崎綾さん。永吉明日香さんはそのノリに引き込まれてしまう純粋な娘(歌が見事)。花奈澪さんはエロ担当のツッコミ(粗品やぺこぱの松陰寺を彷彿とさせる)。遠藤しずかさんは闇を抱えた変わった娘。
何故かおっさん向けのマニアックな笑いが炸裂する優しい空間に癒やされる。面白かった。
ほにゃらら殺人事件
劇団第一主義
未来ワークスタジオ(大阪府)
2022/07/27 (水) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
満足度★★★★
殺人事件と題名についていたので、犯人は誰だと望んだが…。平日で満席で、笑いどころもかなりあった。ただ、自分の思い描いていたこととはかけ離れており、少し不完全燃焼。犯人当てとは少し違うので、人間関係をしっかり理解して観ると面白いかも。
タイラー2022
朝倉薫プロデュース・ガールズハイパーミュージカル
シアターブラッツ(東京都)
2022/07/20 (水) ~ 2022/07/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
小説、アニメ版とも違う舞台で継続している『無責任艦長タイラー』ワールド。舞台版ではタイラーは流れ着いて惑星ゴロンボで引退生活をおくっていました。
生身の役者が演じることによって、タイラーの抱えていた苦悩が真に胸に迫ってきます。
歌唱とダンス、殺陣も満載のエンターテイメントが花開いたような、宇宙を騒がせる冒険活劇ミュージカル!さらにそれに加え、ラップのような台詞回しもあり、ボイスビートと言う技法らしいですが、これが歌唱とはまた違うノリで心に届いてきて良い。面白い試みでした。
主役のジャスティ・ウエキ・タイラーを演じられた、永野希さん。皆さんご存知の役を演じられる難しさがあろうと思われますが、全宇宙を無責任と愛で包み込む存在感は見事な芝居でした。舞台でしか受け取ることのできない、アザリンとの間にある信頼で繋がれた絆は、小劇場にいながら大宇宙の広がりを感じさせてくれます。素晴らしい舞台でした。
ブレスレス【7月15日~25日公演中止】
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2022/07/15 (金) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/07/27 (水) 14:00
座席1階
1990年初演。その後3回の再演を経て、2020年代にまた再演である。とはいえ、前回の再演が2001年だから実に20余年ぶり。私が見るのは初めて。燐光群の源流を探る旅である。
千石イエス、坂本弁護士事件、東京のゴミ問題。昭和の事件や社会問題をモチーフにしているが、当時の香りがするというより令和の時代の物語として新鮮なイメージで受け止めることができる。
中防、すなわち中央防波堤外側埋立地。東京湾をゴミで埋め尽くして新たな土地を作った。青島幸男知事が公約で中止すると言った臨海副都心開発でできた土地だ。土地さえ作れば右肩上がりでその価値が上がっていくというバブル経済の象徴とも言えるその埋め立て地は、この舞台を埋め尽くしている黒いごみ袋でできている。自分にとっては、東京の埋め立て地のイメージは今ではほとんど見かけないこの真っ黒なごみ袋なのだ。
物語は、中防へ運ぶために総武線が近くを走るビルの谷間でごみ処理に携わる都職員が、燃えるごみの日に出された不燃物の瀬戸物で指を負傷するところから始まる。
舞台の脇に裸電球を付けた電柱が立っているが、これを見て自分は別役実の不条理劇を思い出してしまった。事実、この舞台は別役が描いた不条理劇を地で行くような物語の展開を見せる。捨てられた冷蔵庫からきらめく後光を背に現れた白髪の老人は都市の暗部に君臨するイエスキリストのようだ。最初にごみ袋の中に入って登場する男は物語を経て記憶を取り戻していくのだが、この人のそばを通りかかった女性も次第に重要な地位を占めてくる。この女性は、絡んできた男を線路に突き飛ばして刑事裁判にかけられた過去があり、ごみ袋の男が女性を助ける役回りを果たしていたことが分かるなど、登場する人間たちの複雑な模様に客席はぐいぐいと引き込まれていく。
世の中で起きていることを多彩な角度で切り取るのが演劇だとすれば、まさにこのブレスレスは演劇中の演劇だし、演劇でしか描けないような物語・構成を見せてくれる。さらにパンフレットを手に取って初めて得心したのだが、冷蔵庫から出現した老人は千石イエスというよりは、リア王だ。だから、末娘がキーパーソンになっている。
東京でしか描けない、東京の演劇である。今回、コロナ禍で最初の数日が中止になり、昨日からの上演という。自分は見ることができてとてもラッキーだった。
パンフレットによると、別役実はこう述べたという。
「久しぶりに、文字どおりの力作と言えるものであり、今後演劇はこのようにしか動いていかないであろうと考える」
至言だ。もしかしたら、舞台脇の電柱は、別役実へのオマージュだったのか。
本気の本読み!ビブリオライブ3
本気の本読み!ビブリオライブ
NOS Bar&Dining 恵比寿(東京都)
2022/07/23 (土) ~ 2022/07/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
雰囲気の良いBARでドリンク片手に贅沢な時間が過ごせました。朗読劇とは違う本読みもエチュードもおもしろかったです。
風のサインポール
劇団俳優難民組合
下北沢 スターダスト(東京都)
2022/07/22 (金) ~ 2022/07/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今作も階段から雰囲気満点!演者も良いし、スタッフさんも感じ良くて、良い時間が過ごせました。ありがとうございました。
鎌塚氏、羽を伸ばす
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2022/07/17 (日) ~ 2022/08/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/26 (火) 18:00
座席1階
「完璧なる執事」鎌塚氏シリーズ。今回が第6弾だが自分は初めての鑑賞。第6弾は鎌塚氏(三宅弘城)が初めてお暇をもらって豪華列車の旅に出るという設定だが、その豪華列車の中でかつて仕えた綿小路チタル(二階堂ふみ)らに遭遇し、いつものように難事件に挑むという設定だ。
今回は別の令嬢役として西田尚美が出演。鎌塚氏シリーズの座組に溶け込んだ。疾走する豪華列車という舞台だが、倉持裕の定評のある舞台転換が奏功している。豪華列車のコンパートメントから別のコンパートメントへの移動、はたまた列車外の乱闘など、客席を飽きさせない演出が続いていく。
ただ、少し気になったのは、二階堂ふみのかすれがかった甲高い発声。以前を見ていないのでそういう演出なのかもしれないが、ちょっとエキセントリックすぎる感じがした。つられてかどうか、西田尚美も強烈な甲高い声で応じたり。まあ、そういうものかもしれないが。
『The Pride』【7月23日(土)公演中止】
PLAY/GROUND Creation
赤坂RED/THEATER(東京都)
2022/07/23 (土) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
side-B CASTの回観劇。ゲイとその周りの人たちの会話劇。多少分かりづらいところもありますが、LGBTQ問題はさておいて、ちょいとシリアスなBLの舞台化と思えば面白い。深刻な内容だろうけど、ゲスい会話は笑えます。
TSUYAMA30-津山三十人殺し-
PSYCHOSIS
ザムザ阿佐谷(東京都)
2022/07/14 (木) ~ 2022/07/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/07/16 (土) 14:00
津山三十人殺し、自分でも調べたりするほど興味深い事件を題材とした作品とのことで…今回初めて拝見しましたが、世界観がとても好みでした。
津山事件と阿部定事件をうまく絡めていて、時間が本当にあっという間。ミサ役の方が特に良かったです。
『The Pride』【7月23日(土)公演中止】
PLAY/GROUND Creation
赤坂RED/THEATER(東京都)
2022/07/23 (土) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/26 (火) 14:00
座席1階
sideAを鑑賞。セクシュアリティがテーマの舞台だが、結局のところ、問われているのは人間としての生き方なのだろう。激しい会話劇の末に、自分なりに得た結論だ。
登場するゲイカップルのうち、オリバーは真っすぐだ。フィリップは女性と結婚していてバイセクシュアルなのだろうが、激しく揺れ動く胸の内をオリバーの前で吐露する場面が出てくる。その二人の間を取り持つような形になっている女性、フィリップの妻であるシルビアが、物語のカギを握るような形で舞台は進行する。
sideAのシルビアは、元宝塚星組トップスターの陽月華。これがsideBの福田麻由子が演じるとどうなるだろうかと想像したが、まったく違う雰囲気になるような気がする。陽月の演技は切れ味鋭いナイフのようなイメージで、それは出演者だけでなく客席にも向けられた刃のようでもある。
セクシュアリティを語るとき、やはり決め手になるのはその人らしさ、ある意味で人間の尊厳である。舞台でも出てくるが、LGBTQは倒錯者という認識を持たれ、それは今でも変わらない。人間としての生き方、尊厳を勝ち得なければならないというマイノリティーの苦悩は、せりふの端々にあふれ出ている。
役者たちは皆、この難しい舞台を見事に演じきっている。この舞台から何を感じるかは、おそらく千差万別なのだろう。
風のサインポール
劇団俳優難民組合
下北沢 スターダスト(東京都)
2022/07/22 (金) ~ 2022/07/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/07/22 (金) 19:00
真夜中のベンチに男が1人。
その傍には床屋のクルクルが立て掛けてある。何故ここにあるのかは分からない。
そこへもう1人の男がやってきて、パチーン!とぶつかった瞬間からへんてこな攻防がはじまり、劇が始まったが、いつまで続くとも分からない男2人の、噛み合わず、一方通行な会話が続き、そのうち床屋風の男がもう一人の男に向かって、あなたは熱海の盗塁王だと言い出して、強引にその方向に持っていこうとする滑稽さや、シニカルさ、勘違いによる笑い、そして最終的に使われなくなった野球場にいたもう一人の男がかつて、甲子園の盗塁王であった可能性が強まっていき、最後はベンチの横においてあった床屋の壊れたクルクルが誰が新しい電池を入れたでもないのに、一人でに回りだす展開には呆気にとられ、闇の中で妖しく回る床屋のクルクルが不気味に点滅する光景に不条理さと同時に、急に恐ろしくなり、気付くと、身体が強張っていた。終わった後しばらくの間は、余韻が残って、劇場の椅子から立ち上がれなかった。
劇団俳優難民組合の公演は、前にも、別役実作の劇を見たことがあるが、今回も、独特な間や、急に興奮して大声を出すところや、不条理でナンセンスで、最後には何となく不穏で恐怖を呼び起こす終わり方になっていて、それが劇団俳優難民組合の特徴でもあり、良い意味で、別役実に多大な影響を受けていると感じた。役者の台詞術や、急に興奮するタイミング、あえて、あんまり相手の顔を見ず、相手に合わせてるようで、合わせないやり取りも含めて、よく出来ていた。
岸田國士戦争劇集
DULL-COLORED POP
アトリエ春風舎(東京都)
2022/07/05 (火) ~ 2022/07/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/07/10 (日) 15:00
【動員挿話】
仕えている軍人から日露戦争出征への同行を求められた馬丁とその妻を中心とした物語。
男尊女卑傾向が強かった当時にあれだけ主張する妻が痛快だし、それだけ夫を大切に想っているのが顕れて素敵であり、数年前によく観た岸田作品との共通項か?
【かへらじと】
冒頭部分と後半の演出が印象深く、青空文庫で戯曲を読んで独自のものと確認。
さらに抽象的な舞台美術により二幕ものを幕どころか暗転もなく通して見せたことも知り、これが演劇/演出の面白さだなと再認識。