伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とても面白かったです。少し長めの公演時間でしたが気になることもなく物語りに引き込まれました。伯爵を演じてる女優さんの演技もとても素晴らしかった。淡々とお話しされてるようで、感情が溢れるような演技は、他の皆さんの演技も含めて本当に見ごたえがありました。
内容もほんと良かった。笑いもちりばめられていながら、物語の真はしっかり通ってる。口コミでかかれてる皆さんが何度も再演を見たくなる理由が納得でした。
銀河鉄道の夜
東京演劇アンサンブル
池袋西口公園野外劇場 グローバルリング シアター(東京都)
2022/08/26 (金) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
『銀河鉄道の夜』と謳われれば兎に角観たくなるもので、「現代劇センター真夏座」の文京シビックホール公演も行った。(初期形のブルカニロ博士オチ〈夢オチ〉で驚いた)。
今回は野外ということで滅茶苦茶期待。ステージから花道が伸びセンターステージもある。後方の櫓も張り巡らされたピアノ線も活躍。壁に投影される映像のレベルが高くセンスよく美しい。作品の視覚化に役立つ。楽曲の質も素晴らしく、歌と踊りのシーンは矢鱈と盛り上がる。
ジョバンニ役の山﨑智子さんはJITTERIN'JINNのヴォーカル・春川玲子似。歌が上手い。
カムパネルラ役は永野愛理さん、綺麗。
語り手は奈須弘子さん、牛乳屋も兼ねる。
ザネリは永濱渉氏、余り出番がなかった。
さそりは青柳万智子さん、かなりの見せ場が。
他のキャラクターは古代ギリシア劇のコロスのように仮面を付けた複数の者達が演じ、影となって作品を彩る。
鳥捕りのエピソードにかなり力を入れていた。
リンゴのエピソードの時にマイク(PA?)トラブルが起こり、その後音声が乱れてしまう。非常に残念なアクシデント。
想像力の果てしない旅に出る少年の一夜。
追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/27 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/24 (水) 14:00
【無畏】
南京事件の責任を問われ東京裁判の被告となった陸軍大将とその日本人弁護士を中心に描く。
自分の与り知らぬことであっても配下の者が行ったことは自分の責任として対処する司令官……どこぞの政治屋センセイ方と真逆なのは初演時も感じたが昨今の情勢からより皮肉に感じられるのがまた何と言おうか。
また、ラストの弁護士の台詞、脚本の古川さんの想いそのままではないか?とも思った。
舞台「宿題の杜」
NAYUTA
STUDIOユーキース(東京都)
2022/08/20 (土) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/26 (金) 15:00
コミカルな部分もあるが、真面目な教育論も随所で展開。小さな劇場で、役者との距離がものすごく近く、臨場感が超抜群。
トロイ戦争は起こらない
人間劇場
シアター風姿花伝(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
トロイと、その時代の雰囲気が楽しめる、観応えのある作品でした。
役者さん達は皆、長い台詞をこなし、喜怒哀楽の表現や、怪しく美しい動きが独特で見入ってしまいました。
音楽は、役者さん達が楽器や声で奏でていて、独特な世界を醸し出していました。
このトロイ戦争だけではなく、様々な戦争を起こす原因や人について、考えさせられました。
素晴らしい舞台でした。
帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/08/26 (金) 14:00
短編集2本立てを観劇。
改めて戦争を思い起こす機会になりました。
期待していた中野さんの立ち振る舞いをはじめ、出演されている演者のそれぞれの気持ちを感じられて良かった。
ニュー・イリュージョン
チェルフィッチュ
王子小劇場(東京都)
2022/08/21 (日) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2022/08/25 (木) 18:00
有名な劇団だが私とは相性が悪く、本作もフィットしなかった。62分。
「映像演劇」というものにチャレンジているそうで、縦約3.5m×横約2mの2枚のスクリーンを2mほど間を空けて置いてあるところに、演劇の映像を写す形での上演。主に男優と女優が1人ずつ出てきて(ほかにギター/ベース演奏者が1人)、物語を語り出す。セットを片付けた劇場で、昨日までそこで上演されていた芝居の話…、という展開。演劇は観客の想像で補うもの、という主張には同意するが、展開されるゆっくりなテンポの動きとセリフ回しがちょっと…。
映像を演劇と思えるかというのは重要な問題で、私は「生身」が演劇だと思っている(したがって、配信という形の演劇は観ない)ので、かなり違和感がある。
帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『○六○○猶二人生存ス』(マルロクマルマルナオフタリセイゾンス)
45分。ろ組。
黒木博司大尉は今井公平氏、樋口孝大尉は宮崎柊太氏、後藤俊康整備員は谷口継夏氏。
魚雷を自ら操縦して敵艦に特攻する人間魚雷兵器「回天」。1944年9月6日、訓練開始初日に黒木大尉と樋口大尉の乗る「回天」は荒波に呑まれて海底に突き刺さる。
休憩10分。
『その頬、熱線に焼かれ』
65分。ろ組。
1955年、「原爆乙女」と称された25名の被爆女性がニューヨークの病院に招かれ、ケロイド治療を受ける。しかし麻酔事故の為、手術中に一人が亡くなってしまう。遺されたメンバーの様々な葛藤。ケロイドの特殊メイク(梅沢壮一氏)が見事で凝っている。
トロイ戦争は起こらない
人間劇場
シアター風姿花伝(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
トロイの王様、妃、プリンスなどトロイの雰囲気がとても素敵で、それに音楽劇が加わり、私的にはドップリ楽しめた。
エレーヌ役の女性が出てくるのを今か今かと待ちわびた。
絶世の美女だというので。確かに魅力的な綺麗な人で、怪しい雰囲気もあり、引き込まれました。
メインの人たちが演じている間、それ以外の人たちもひとりひとり大切にうなり声をあげたり、からだ全体で演じていて、両方を満喫できるのはスゴかったです。
本格的なお芝居で、とても素晴らしくて、大満足でした。
トロイ戦争は起こらない
人間劇場
シアター風姿花伝(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ラスト「トロイの詩人は死んだ」云々でホメーロスの「イーリアス」を予言している点の何とも言えない痛烈は流石にジロドゥと言った所。
追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/27 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
『無畏』
初演を駅前劇場でフェイスシールド汗ダラダラで観劇。その時は「ここまでやるか」と作家の覚悟に畏れ入る。ちょっと前だったらこの内容はヤバかった。1998年、横浜黄金町のシネマベティでジョン・ウー製作の『南京1937』の上映中、右翼が乱入してスクリーンを切り裂いた。兎に角この手のネタはあれやこれやで潰される。面倒を厭う企業はタブー化して問題を更に深刻にする。ネット全盛の時代、情報はダダ漏れ、隠蔽して封印してしまえば国民は騙されるなんて最早無理。ちょっと知性があれば南京で皇軍が何をしたか?なんてすぐに分かる。
2度目の今回、「作品として随分よく出来ているな」と感心。判り易く丁寧、無駄な遣り取りを削ぎ落としている。初演から弄ったのかは不明だが、かなり観易い。簡潔に松井石根陸軍大将・上海派遣軍司令官の南京大虐殺に至るまでの罪を暴き出している。
大量の書籍が机や床に三箇所山積み、椅子の上に積み上げられた書籍も二箇所配置。ただそれだけの簡素な舞台美術だが非常に効果的。
何故、日本軍は掠奪強姦虐殺放火を大陸中で繰り返したのか?
当時の兵士達が全てを告白するドキュメンタリー映画、『日本鬼子』(リーベン・クイズ)も観て欲しい。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
実に壮大で悲哀で愛すべき物語でした。伯爵の膨大な時間の中で、その刹那を生きる人達との関わりが愛しくて切なかったです。相変わらず言葉選びが秀逸で笑いもあり、悲しくなり過ぎない所も良いですね。三回目の上演との事で、初めて観ましたが、とても大好きな舞台です。
魔と怨の伝説
劇団1980
シアターX(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/08/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
そうだ藤田傳・・・今回のは初見だがずっと前に1、2作お目にかかった事がありこういうタッチだった。戯曲としての完成度はぶっちゃけた話、高くない。というか戯曲という形を取った詩と言った方が良い。人物は役を与えられているが多くの場合コロス的に立ち回る。そう見えるのは台詞総体が一つの詩でありモノローグであるからだ、と思う。
だがそれは芝居を観終えて、咀嚼しようと思いを巡らして思い当たる事で。。役者は十分に魅力的に演じ、切り取った場面の視覚的・聴覚的な「完成度」は高く「ドラマ」の展開への期待は高まる。が、ドラマとしての完結は見ない。
この作家の筆致は歴史的な事件・事象を舐め、思わせぶりな台詞をフックに観客に岩山を登らせ、作者の世界観、眼差しを共有させるのだが、事件や事象を一望できる山頂には着かない。これは「歴史」に依拠した作風のためだ、と理解する。
歴史という下地のあるカンバスに、上塗りしていく手法が、つまり下地とのコラボがうまく結実すれば作品としての美を放つが、今作は下地が何であるかは不明。戦後日本の事件に横たわる病理を取り上げた(又は具体的な事件を念頭にした)感触は残すのであるが(永山則夫が浮かぶ)、作者としてはそれが下地となり得ると想定したのだろう。最初に示されるフィクションとしての「事件」は、観客の関心をその先へと引っ張るが、事件の犯人(主人公とも言える)がそうする必然性に辿り着いた実感がない(あるいは描き切れてない)。
事件そしてその謎解きという典型的なミステリーの形を持つ今作のラスト、個別具体の事件の種明かしが訪れる事はない。社会背景、生育過程の風景から、事件の原因を推定せよ、で一個の人生を描いたと言えるだろうか。
書かれた時期には作品の背景として想像し得たものがあった、のかも知れないが。。
ポンペイ
さんらん
上野ストアハウス(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/08/22 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今回はがっつり長編のさんらん。歴史的な大災害に見舞われた町を「災いを予見できた」想定でドラマ化。
大規模な厄災(の可能性)に直面した人間と社会の普遍的な問題が浮かび上がる。
ヘンシン
イデビアン・クルー
座・高円寺1(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
久々二度目のイデビアン。格好いいの一言。完璧なスタッフワーク。
前回はどこで観たのだったか・・舞台としてはとある旅館の風景という事で幾分言語化しやすい(紹介しやすい)世界だったが、今作は背後に横長にパネル(壁)が三枚わたされ上手下手に出入口が開いてる恰好。他は衣裳に特徴がある(途中で見事に変身する)のみで間断なく続く「舞踊」は日常動作のコミュニケーションから抽象的な群舞まで、「ニュアンス」が高解像度で眼前に迫る。ナチュラル演技の対極、研ぎ澄ました動きでナチュラルのイデアを造形する。修練の賜物だ。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
たて続けに戦争というものについて考えさせられている
と言っても変化があるわけではない
深まっていくだけ
ひとつ再認識させられたのは「空気」
「無畏」にしても「回天」にしても怖いのは「空気」
確か昨年観て今回はパスした「帰還不能点」でも日本の「真空」(意思決定、だれが最終責任者なのか不明)について言及されていたが、方向を決め、推し進めるのは「空気」
世の中の空気、兵の空気・・・
特攻に突き進んでいく狂気は兵の、若者の、国民の空気から生まれる
南京事件も軍の中の空気から・・・
戦争そのものが世の中の空気から・・・
「〇六」では波の音がいつまでも耳に残った
「その頬」では久しぶりに広島弁をたっぷり聴いた
今日の残るセリフは「生きとるだけでなんでこんなに悲しいんね?」
改めて劇チョコの舞台美術はシンプルだが効果的だと感じた(「遺産」は凝っていて印象的だったが)
追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/27 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「無畏」
一昨年観て圧倒された作品だが、再び深く考えさせられた(キャスト同じ)
一昨年と同じく大室弁護士が松井大将の責任を「検証」していくシーンが圧巻だった
松井役の林竜三と上室役の西尾友樹の演技が圧巻
ハコは下北の駅前劇場の方が好きだな(サイズ感)、巣鴨プリズンにも合って、検証シーンでもより緊迫感があった
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
気の遠くなるような壮大な物語。
その壮大さに負けないくらい舞台セットや衣装等、美術に力が入っていて延々と移り行く世界、生活の場へと瞬時に入り込ませてくれる。
冒頭から すっかり目を奪われてしまいました。
きっとお金もかかっているだろうけれど、何よりセンスが良い。
そして決して死ぬことのない伯爵が持つ独特のトーンといい、それぞれの時代を彩っていく登場人物達の多彩さといったら、笑いのスパイスもしっかり効いて 演技の方も驚くほどにセンスが良い。
伯爵は死なないだけでなく、いつまでも若くて美しい。
本物の若さに囲まれて、その中にちゃっかり溶け込んでいる伯爵はひょうひょうとしながらも、どこか一歩引いた立ち位置を必死に維持しているようでどこか物悲しい。
出逢いや別れは長い年月と共に風化していく。
そんな出逢いや別れに意味があるのか・・・
そんな問いかけに胸をしめつけられ、その後の導きにまた心打たれてしまうのでした。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
3年前の公演の印象が強かったので、サンジェルマン伯爵役が岡野康弘から4ドル50セントの前田悠雅に替わると聞いたときは不安もあったが、観ているうちにそんなことは忘れて最後まで。この壮大で且つ可愛らしく、切ない愛のお話にうるうる。