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海街diary

海街diary

“STRAYDOG”

シアターサンモール(東京都)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

当時、映画は観た。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず四姉妹に母親役は大竹しのぶ。広瀬すずのイメージ・フィルムみたいな感じの記憶。(是枝裕和監督はアイドルの箔付けみたいな仕事ばかりやっている印象)。
今回の舞台は、花奈澪さん、須藤茉麻さん、後藤萌咲(もえ)さん、KANOさん四姉妹に母親役は芳本美代子さん。キャスティングが絶妙で、その時点で勝ちは見えている。
花奈澪ファン感謝祭を思わせるようなコスプレ祭り。喪服、ナース服、チアガール、浴衣・・・。ますます綺麗になっているように見えた。更にファンは増えるだろう。須藤茉麻さんはナイスバディを仕上げてサバサバ系女子を好演。後藤萌咲さんが自然で驚く程良かった。わざとらしさがない。KANOさんは高畑充希っぽく手堅い。いつの間にやら渋い助演女優になっていた、みっちょんも見せ場を作る。
特筆すべきはカマドウマの存在で、話の進行が停滞し行き詰まるタイミングで発生。このアイディアとセンスが森岡利行監督の真骨頂。「ああ、そんな手があったか?」と同業者は感嘆する筈。ここを思い付くのと付かないのとは雲泥の差。
姉妹ユニット『Les.R』(レ・アール)の生演奏が舞台上段で奏でられ見事。ドジ看護師アライ役の高野渚さんが観客を泣かせる名シーンを披露。この人、やるな。

父親が浮気から離婚、ニ年後母親も男を作り、祖母に子供達を押し付けて出て行った。母親代わりとなった長女花奈澪さんは看護師となって鎌倉の広く古い屋敷を切り盛りする。次女の須藤茉麻さんは信用金庫に勤めるも恋愛依存症体質、三女の後藤萌咲さんは勤務先の店長とデキている。ある日出て行った父親の訃報が届く。身寄りのなくなった再婚相手の娘、KANOさんを四女として引き取る事にする花奈澪さんだったが・・・。

大阪公演もあるのでお薦め。映画を観ておいた方が更に楽しめるかも。花奈澪さんの演技は本当に素晴らしい。

ネタバレBOX

KANOさんが完全無欠のスーパー美少女なのが勿体無い。家族と故郷を失い、見知らぬ他人との同居生活の日々に戸惑い孤独を噛み締めつつも、いつの日にかこここそが自分自身の生きる場所だったと気が付く過程が重要。彼女のエピソードが情報の羅列で余り意味を為さない。

『リトル・フォレスト』もこの流れで舞台化出来そう。(韓国版の方が良い)。
STRAYDOGは階戸瑠李さんが亡くなってから、久し振りに観た。
FLAG MAN

FLAG MAN

@emotion

上野ストアハウス(東京都)

2021/09/15 (水) ~ 2021/09/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

個人的に、超好みでした。

どこかにあるかも知れない世界のお話で、
設定も十分に想像出来る範囲で、
出てくるキャラクター達もとても魅力的でした。

酒場で踊り出すシーンや、オルゴールをモチーフにした動き、
そして観客に向けた不器用なほどに、どストレートなエール。

ファンタジー過ぎず、でも夢の中で見たような、
そして、パタッとオルゴールが閉じてEND…好きでした!

民衆の敵

民衆の敵

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2022/03/29 (火) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

このところ立て続けに「正義とは何か?」的な舞台を観ているけど、やっぱりイプセンはすごい
ことはそう簡単ではない
畳み込まれるようにして考えさせられ唸ってしまった
大衆民主主義(衆愚政治)に対する痛烈な批判ともとれる
主演の橋本一郎熱演
高田賢一と松本光生がいい味出していた

マがあく

マがあく

シラカン

STスポット(神奈川県)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

 STスポットのお馴染みの白い立方体の空間。あるアパートの空室をめぐるお話です。床に並べられた小さなドミノによって、その部屋の輪郭が縁取られています。劇場のなかに箱庭があると言えばいいでしょうか。部屋の中が主な演技スペースなので、ドミノをひとつ倒すだけで総崩れになるかも…というスリリングな空気が持続しました。また、ドミノは子供の遊戯、崩壊の連鎖、脆弱な境界線、人間の創作物の儚さ、虚しさなどを想像させました。

 登場するのは6人の若い男女です。残念ながら演技がおぼつかないのと、繰り出される会話がだいたい破綻しているため、一体何をやりたいのかな…と探り探り眺める時間がほとんどだったのですが、終盤に入って予想外の人物(?)が登場して状況が一変。全員野球のような総力戦状態になり集中できました。ロシアによる侵攻で始まったウクライナ戦争から約1か月の時期だったこともあり、空き室をめぐる争いを領土問題とも捉えられました。

 上演時間は約1時間10分。当日パンフレットに配役と出演者名が載っていましたが、登場人物の名前をおぼえられなかったので誰が何の役なのかわからず…。配役にどういう人物なのかわかる簡単な説明が欲しかったですね。ネタバレを避けるのが難しいかもしれませんが。

ネタバレBOX

 若い女性が同性の友達を連れて、次の引っ越し先である激安の賃貸用ワンルームに下見に来たところ、見知らぬ不動産屋が内覧者を連れて入ってきます。この部屋に住むのは誰かと言い争ううちに、隣に住む大家の若い男性がやってきて権力を振りかざし、さらにはずっと以前からその部屋を勝手に使っていたらしい、筋肉質な若い男性も登場。カオスになります。

 「空き部屋だから不法侵入ではない」「仲介業者にしか賃貸契約はできない」「部屋は人が住むものだから居てもいい」「先に住んだ者に所有権がある」「この部屋を一番愛する者に住む権利がある」「一番高い家賃を払う者に貸す」「部屋は大家のもの」など、部屋の「所有」や「居住」について暴論をぶつけ合います。非論理的で支離滅裂な主張をごり押ししたり、我田引水の開き直りをしたり…滑稽です。

 開場時間から舞台の床にうつ伏せに寝転がっていた男性が、空き部屋にかなり長く住んでいた人物でした。風呂からあがった筋肉隆々の男性が半裸で登場したのには、かなりのインパクトがあり、驚いた女性がつぶやいた「(突然出てきて怖いけど)マッチョだからオバケじゃない」に笑いました。若い男性の鍛えられた身体は、しのごの言わせない権威というか…太刀打ちできない暴力性がありますね。一番の権力者だったはずの大家(金持ちのボンボン)が彼にひれ伏してしまい、強者と弱者の力関係が明白になりました。

 部屋の玄関のドアは装置ではなく、マイムで開閉します。開閉音は生声でなくスピーカーから聞こえており、音響効果かと思いきや、それは擬人化された“部屋”の声でした。部屋が人間に話しかけるなんて…ワケありすぎ物件(笑)。“部屋”は「誰かに住んでもらいたい」と切望しますが、怖くて誰も住みたくなくなっちゃった…。怒った“部屋”は6人を閉じ込め、部屋の温度が上がっていきます。慌てた6人は“部屋”の気持ちを知るために“部屋”になってみようとします。扇風機になったり、エアコンになったり…俳優が無心に物体のマイムをするのは、かなり変な風景です(笑)。すると“部屋”の気が済んだのか、ドアが開き、6人とも部屋を出られました。

 なんとも不思議な感触の舞台で、終演した時はよく咀嚼できていなかったのですが、当日パンフレットに掲載されていた作・演出の西岳さんの言葉どおり、翌朝にこのお芝居について反芻しました。最後に示されていたのは、無心に他者になってみることによる相互理解だったのでは…と思い当たりました。それは「他者を演じてみせる」という俳優の仕事そのものです。私が俳優を職業にしている方々のことが大好きで、尊敬してやまない理由に気づかせてもらえました。ありがとうございました!
 改めて、ドミノで境界線をかたどる舞台美術の効果は絶大だったと思います。
画素数の低い愛

画素数の低い愛

コルバタ

シアターブラッツ(東京都)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最初から最後まで見逃せない、早く先の展開を知りたくなるような、そんな作品

なんとなく幸せだった2022

なんとなく幸せだった2022

かるがも団地

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

遠さんのパワフルアクション、宮野さんの有象無象役が見事にハマっていて良き舞台です

民衆の敵

民衆の敵

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2022/03/29 (火) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

イプセンのこの作品が傑作であることをよくわからせてくれる舞台

ちろうに検診

ちろうに検診

Peachboys

サンモールスタジオ(東京都)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/02 (土)

価格3,800円

宝塚歌劇と同じく、芝居とレヴューの二部構成。

毎年たのしみにしている舞台。
この人たちの演っていることは、一般的な舞台とは全く違う。だから、ここでしか体感できない。
よくありがちなテーマや主張、って言うか作品自体をブン投げて、個々の俳優の限界を晒してる感じ。
料理でいうと、かなりスパイスが効いてるんだけど、素材の味がちゃんと判るみたいな。
普通は、東出みたいなのが紛れ込んで味を悪くしちまうもんだけども…。
よくも、このメンバーを集めたものだと感心してます。

すんごいシュールで歳甲斐のないことを演ってんだけど、新国や帝劇あたりの「キザ」な舞台も霞む原始的な魅力がある。
毎回、どんな役とも、またどんな客席ともがっぷり四ツに組む攻めの姿勢は、いち観客として心から敬服しますね。

まだ完成度は低いけど、レヴューは将来的には強力な武器になりますよー。
せっかく階段があるなら、もっと活用しよう!
ヅカファンとしてのアドバイスは、レヴューやるならミラーボールを用意しよう!
あれ一個あるだけで、空気がガラッと変えられるから。なんなら芝居でも使えるし。

今回の殊勲賞は、馬場史子と島田雅之だね。
もはや恥の概念を完全に喪失している馬場と、舞台上のカロリー消費量が一番の島田。
毎回、付け合わせ的な立ち位置なんだけど、観客の集中力が逃げないようにしっかりアシストしていてお見事。

山田健太郎の「初心LOVE」も、沁みたなぁ〜。
オッサンが唄うと、なんだか若者への応援歌に聴こえるから不思議…

園田シンジは、中華人民共和国ならその場で射殺だね。

ネタバレBOX

昭和のセールスマンの雰囲気ただよう三宅法仁のお馴染みの前説でスタート。
観客の懐中に入る前説で、爆笑の渦。

例の如く記者会見で時事ネタ茶化して、暗転。
暗転明けて現れたGOが歳とってて、個人的に爆笑。
そうだ、そうだった「童貞の20歳だったかれらも、いよいよ童貞の35歳になっていた」とチラシにあったではないか。

そのあと、キンタマが一個獲られただのと、内閣官房を巻き込んで支離滅裂で破茶滅茶な物語りが、低予算高衝撃で展開される。
ミュージカル「ロミオの青い空」【3月30日、3月31日の昼公演中止】

ミュージカル「ロミオの青い空」【3月30日、3月31日の昼公演中止】

ミュージカル「ロミオの青い空」製作委員会

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/02 (土) 12:00

どの曲も迫力があった。特にコーラスが良かった。
花を売る女性のダンスが綺麗でした。

ながいながいアマビエのはなし

ながいながいアマビエのはなし

劇団 枕返し

小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)

2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 板奥に黒布で仕切った袖、そのセンターに矢張り黒い衝立様の仕切りを設け、左右から袖へ入れる通路を設けてある。出演者は客席側通路から登場。因みに黒布から奥は森という設定である。板手前下手に箱馬2つ、上手に丸椅子2脚と至ってシンプルな舞台だ。

ネタバレBOX


 アマビエとは、幕末現在の熊本に現れ、今後6年間は豊作が続くがその後疫病が流行る、その時には自分の似顔絵を用いて云々との予言を残したとされる妖怪のことで1858年頃から大流行した疫病・虎狼痢(コレラのことだ、“ころり”と読む)もあり明治以降も度々話題になったとされる。
 今作は、無論Covid-19というパンデミックに対するヒトの無力を背景に、それに輪を掛けたような非科学的な対応しか出来なかった我らが為政者の無能のツケを支払わされている庶民の、鬱屈した感情や同調圧力への不満をぶつけられた所謂負け組が一念発起、ラストチャンスを掛けて参加した‟人生大逆転ツアー“だった、が。
 ことほど左様に人生の歯車が簡単に逆転するハズも無いことは、為政者の無能は我らの責任にあると考えることのできる市民を育てることができなかった我ら自身の問題であることに気付くことが出来ない我ら自身にある。ラストシーンで行方不明者が出るのだが、誰も明確に誰が行方不明になったか? 他に何か居たようだったがそれが何だったか? を思い出せない。この点こそ、総ての問題点の本質を看過し、世界が己に関わり、己は密接に世界に内包されつつ、そのことを認識する一点に於いて世界を己に内包することができる可能性を見出すという人間存在の根源を意識できていないことを表して居よう。この点を意識できれば、今作、格段に良くなる。それが出来て居ない点こそ今作が他人の魂を深く揺する所迄到達できていない理由である。作家は、世界に己を通らせた上で作品を紡がねばなるまい。今後に期待、深く人間を研究して欲しい。
なんとなく幸せだった2022

なんとなく幸せだった2022

かるがも団地

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

全部好き。冨岡さん可愛い谷川さん美人。

民衆の敵

民衆の敵

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2022/03/29 (火) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

役者さんたちの迫力とB1の作りを生かした演出で、とても面白かったです。
話の展開により2転3転する登場人物の心情がなんとも・・・
できたら追記しますが、とりあえず迷っている方は見に行ったほうがいいです。

ちろうに検診

ちろうに検診

Peachboys

サンモールスタジオ(東京都)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/03/31 (木) 19:00

120分。休憩なし。

粗末な人たち 新宿編

粗末な人たち 新宿編

モミジノハナ

雑遊(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/03/24 (木) 14:00

あくまで喩えだが、舞台上方に大きく厚いガラス板が吊り下げられていて、人物が台詞を発する度にピシッとかミシリとか音をたててヒビが入ってゆき終盤でついにヒビと重さにより大音響とともに砕け散る、みたいな。
しかもその後ある人物の台詞によって破片が地吹雪の如く舞い上がりトゲとなって台詞が向けられた人物に刺さってゆく、的な。よって傍目に見る分にはカタルシスさえある(!)が、そんな状況下に身を置いたらさぞかし怖かろう……(笑)
また、前の場の状況や台詞の一部をそのまま取り込んで次の場に移転する演劇的手法、好きなんだなぁ。さらにそれぞれタイプが異なる4女優の「競演」、眼福でもあった。

なんとなく幸せだった2022

なんとなく幸せだった2022

かるがも団地

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/01 (金) 14:00

120分。休憩なし。

一枚のハガキ

一枚のハガキ

劇団昴

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2022/03/16 (水) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

意図したわけではないのでしょうが、タイムリーな舞台、描かれてる状況は違いますが、いろいろ考えさせられました。そして映画っぽさを感じる脚本ですね!?

民衆の敵

民衆の敵

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2022/03/29 (火) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この作品は過去に二度、小山ゆうな演出、森新太郎演出(いずれも2015年)を観た。前者は小さな劇場で主人公=父役の寺十氏がびっくりする程噛みまくっていたが好感触、後者は囲み座席で「名作やってます!」な気合いの演出が膜になって内容が入って来なかった。演出が勝った芝居は趣向の中にメッセージを読み取る「高尚な娯楽」ではあるが、この演目に適合していたか・・。
以上を序としてハツビロコウの本作。「野鴨」にも言えたが、テキレジが恐らく優れていて、現代に刺さる(台詞には「同調圧力」等の現代語も散りばめられ、今日本のどこかで聞けそうなやり取りに一瞬眩暈を覚える)。
原作が持つ「古さ」は本筋である所の温泉水の「汚染」の科学的根拠のあたりだが、貧しい町に賑わいをもたらした温泉が「人の健康(生命)と経済」を両天秤に掛ける物議の対象となり、「正義」「正しさ」とは何かをシビアに突きつけるストーリーのリアリティの方にぐいっと関心を持って行かれる。資本主義が本格的に町を動かし始め、民主主義の下地を用意するマスメディア(情報こそ「選択」の材料となる)=新聞が市民権を持ち始めた時期だからこそ吐かれただろう生硬な台詞も、日本の現状を言い当てた言葉に聞こえてくる。主人公の「民衆を敵に回した」言葉を心の奥で噛みしめた。年度末の見納め。

ちろうに検診

ちろうに検診

Peachboys

サンモールスタジオ(東京都)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/01 (金) 19:00

 タイトルからして大人気を博し、映画も大ヒットを飛ばした漫画『るろうに剣心』からあからさまにパロっていて、且つ、シモネタ臭がプンプンする雰囲気に興味をそそられ、何とも胡散臭く、怪しく、しかしそれでいてしょうもない雰囲気のチラシに思わず魅入り、興味本位でいつの間にか劇場に足を運んでいた。

 前説で出てきた際の第一印象は、生真面目そうに見えた役者が、前説を話だしとたんにぼやき節で、のらりくらりと脈絡なく話しながら、さり気なく客いじりを徹底的にしつつ、急に自分たちの劇団を卑下したり、態度がデカくなったり、図々しくなったりと目まぐるしい変化に飛んでいて、そのギャップに脱帽し、気付いたら私自身も大笑いしていた。この俳優、絶対に人を笑わせる際に長けていると直感した。

 本編が始まっても、いきなり過激な下ネタ笑いが連続して起きたり、実在人物の尾身茂がただの変態スケベオヤジに描かれ、内閣府コロナウィルス対策課を略すとチンコロになるだとか、菅義偉前首相のいかにもやる気のなさそうな、それでいて人を苛立たせる特徴的な棒読み音声を途中で流して、すぐにもう良いと言ってドアを閉める動作を役者がしたり、石破茂が権力と金を傘に来て、女を侍らすセクハラ野郎として描かれたり、ひろゆきがフォロワー数で稼ぐことを極端に誇張してやゆり倒す笑いなど、政治ネタや社会問題、芸能人の不倫ネタなどを徹底的にイジり倒し、皮肉り、乾いたブラックな笑い、おミクロン株をも笑いのネタにし、余りにくだらなく、しょうもなく、意味もない笑い、下世話で品のない笑い、佐藤健主演のドラマや藤原竜也主演の映画『24時間』などのドラマや映画のパロディ、アニメ『ワンピース』、『ドラゴンボール』、ゲーム『マリオ』などのタイミングのズレた笑いや下世話な展開含めた笑い、自分の劇団をこき下ろす過剰な自虐笑い、まじめで感動的なふうに見える場面や緊迫したアクション場面で、急に下ネタや現実の劇団の苦境、上演時間を持ち出したりでの赤裸々で現実問題を突きつけるハードでシビアな自虐笑い、可愛らしい女の子が急に豹変しキャラが変わることによるギャップ笑い、さらに2部のレビューも含めて、昔から今のなにわ男子やMATURI NAINなどのアイドル、山下達郎などのアーティストの曲さえも下卑て、くだらないノリになっていて、笑いが連鎖し、飽きることなく抱腹絶倒、お腹がよじれ、胸が張り裂け、眼玉が飛び出、顎が外れ、耳が聴こえなくなるんじゃないかというぐらい大笑いし、笑い転げ、全篇笑いっぱなしで、日々のストレスやもやもやしたものも吹き飛んでスッキリした。笑うことは健康に良いというが、こんなにも楽しく気持ちの良いことなのか改めて実感した。それにしても、コメディと銘打った劇とはいってもここまで観客をさり気なく巻き込み、全篇に渡って笑わせてくれる劇なんて未だかつて、あんまり出会ったことがなかったので、貴重な体験ができ、役者と観客との距離感が完全に取っ払われていて安心し、これぞ演劇だと感じた。

 木村拓哉や佐藤健、ミュージシャンの布袋寅泰に似た役者が主役や主演級で出ていたが、徹底的に見た目の第一印象と実際とにかなりの落差を出し、下世話な笑いやくだらない笑い、ドタバタギャグと立て続けにギャグを連発して、キャラを完全に崩壊させていて、人を笑わせるセンスを感じ、女優の人たちもそれに引けを取らず、下ネタを、男性の役者に負けず落とらずで、1ミリの恥じらいも見せず、やりきる辺り、プロの役者だと感じ、更にアドリブをいきなりぶっこんでも、男女問わずの役者ともブレずに、コミカルな掛け合いをしたり、歌のシーンでも上手い役者が結構いたりというのを観て、瞠目し、感心してしまった。



民衆の敵

民衆の敵

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2022/03/29 (火) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観応え十分。お薦め。
現代に通じる社会派劇であり人間ドラマ。とても古典で他国の話とは思えない。
或る健康侵害・環境汚染問題を糾弾するだけではなく、不条理な人間模様が重層的に立ち上がってくる。単に行政(権力)批判だけではなく、その行為に対する色々な反動を通して人間性を描く。裕福な生活環境を手に入れ、その恩恵を優先する現代社会...そのために将来のリスクに目を瞑り、自己矛盾していることを薄々感じながらも、今の生活水準・富を手放したくない。市民、いや愚衆は今日より明日が少し幸せであれば満足するのだと…。

内容の捉え方は、(現在)社会情勢と人間の内なる思い、そして周りの環境・状況によって一律ではないだろう。イプセンが およそ140年も前にこのようなテーマを身近な設定で描き出したことに驚嘆する。同時に、今 この演目を上演するハツビロコウの着眼にも感服。
(上演時間1時間55分)

ネタバレBOX

舞台セットは、2つの木製テーブルを合わせたものと、隅にミニテーブルがあるだけ。全体的に薄暗く物語の重い雰囲気を漂わす。場景によってテーブルを離したり配置を変形する。

梗概…表層的には、町の財源である鉱泉汚染を巡って、真実を公にしようとする町の専属医で科学者・ストックマン(橋本一郎サン)と、それをもみ消そうとする兄であり町長(井上智之サン)=行政(権力者)との対立。設備の改修費用や休業期間は住民生活を圧迫し、将来的には温泉地としての評判も落ちる。真実を公表すればどうなるのかと迫る町長。経済の悪化や不安定な国(行)政によって社会不安が広がると、大衆は分かり易い世界観を説く勢力に傾斜するかもしれない。しかし、一人ひとりが違った見方で世界を見る大切さ、それによって まともな形で世界が存在していることが解る。だから〈人民の敵〉呼ばわりされても、あくまで戦うストックマンは「正しいのは常に選ばれた少数派だと叫ぶ」。町の新聞社は、「真実」と「正義」という建前で権力批判をするが、実は権力にも盾つけず、双方の間で揺れ動く日和見姿勢。新聞社の存在意義を果たせないことへの痛烈な批判を込める。

コロナ禍において、種々の制限、不寛容な社会になった側面も否定できない現代日本。大勢(マスコミも含め)を背景にし、その正否は十分に検証したのか、といった今に通じる内容だ。

「自分なりの正義」を信じて行動し、家族を始め周囲の人々を巻き込んで集会の場へ...その場での発言は一瞬正しいように思われる。集会後...家族の行く末不安時に遺産の話。やはり足元の生活優先という小心で狡猾な面もチラリと垣間見える。この学究肌、正義感だけではない人間臭い側面も描く。やはり社会批判と人間の内面を抉る、二面性を持つ芝居は考えさせる。
さて、一貫してストックマン家族を擁護する船長・ホルステル(石井俊史サン)の存在が気になる。ほとんど洋上で生活しており、この町(地)との関りが薄いのか。冷徹に物事を見つめる、第三者的な立場の人物を登場させること、それは同時に観客の視点でもある。

上演台本・演出(松本光生サン)は素晴らしい。また演技は、役者が夫々の役柄をしっかり体現する熱演。キャラクターを立たせる演技...役を突き抜け 本当に迫力、臨場感があり観応えがあった。ラスト...向背の決は観客自身で考えてほしい、とのメッセージを投げかける家族の姿。見事な余韻を残した。
次回公演を楽しみにしております。
Ultimate Fancy Ojisan

Ultimate Fancy Ojisan

MICHInoX(旧・劇団 短距離男道ミサイル)

王子小劇場(東京都)

2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2022/04/01 (金)

価格3,600円

4月1日19時半開演回(105分)を拝見。

事前の情報から推察した、まさに予想通りのテイスト。
常連らしい女性客の頻繁に響く笑い声を耳にしながら…だが、残念ながら、首を傾げつつの観劇。
サービス満点の演出だったが、予想した以上に手が合わなかった。

という訳で、あくまでも嗜好の違いから導かれた低評価故に、星は敢えてつけないことにする。

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