そのあとの教員室
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2022/04/08 (金) ~ 2022/04/12 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
現代座会館なんて渋い会場でやる劇団って・・と興味を持った前回公演では観劇果たせず、ただ実績ある俳優、割としっかりした脚本、という心象を持った程度だったが、この度吉祥寺シアターにて初観劇。敗戦の傷も生々しい占領下のある小学校の教員室で、GHQからの調査員(女性日系米国人)の訪問を受けた日の数時間が描かれる。
公職を追われ、荷づくりをする教員と、新体制下での教員として残る要領よく立ち回っていそうな教員、その狭間で苦しむ教員、という具合に「戦争責任」のテーマが冒頭の会話から横溢する。だが教員のキャラが上手く描き分けられ展開の運びもうまい。外部の者として女性調査員の他に、損壊した校舎を普請のため学校に縁のある大工が出入りし、スパイスを効かせている。ほぼワンテーマにしては面白く見せつつ本質に触れる濃い脚本である。
#15『朱の人』
キ上の空論
本多劇場(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鳴りやまない拍手。
自分も拍手する力をどうにも弱めたくない。
見入ってのめり込むほどに辛い気持ちが伴ってきて、遂には持て余すくらいになって「うわ~っ」と爆発したような感情になっているものだから尚更。
女の尻を追いかけての演劇部
そんな兄の姿を弟が解説して生まれるリズムは兄への憧れに微妙な毒が含まれて絶妙。
この感じ面白い!と思っているうち、兄は上京、一旦弟とは離れて作品はまた新たなリズムを…そこは演劇界のリアル…これもまた面白い…いや、オモシロ痛い(!?)
兄の演劇人生を中心に様々な人の時間が流れていくのですね
それぞれ生き方こそ違えど「そう、あの時は…」と自分自身の時間とも重ね合わせて共鳴できる感情があって心が震える。
そして何より、これほどまでに演劇人を魅了する「演劇」って一体。
壊れていく「兄」と、滅んだ「僕」と。あと兄に関わった、兄を愛したり、憎んだりした「周りの人達」・・・そしてそれを観ている自分(観客)
辛いのであれば目を逸らせばいいものを、片時も目を離せない
これほどまでに観客を魅了する「演劇」って一体。
飛んでる最高
艶∞ポリス
駅前劇場(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「やだ、おっかしー!」
超絶面白い。笑いに真剣に向き合っている。この作家(岸本鮎佳さん)の姿勢にリスペクト。本当にもう一回観ようと思ったが日程的に無理だったのが残念。終演後、出ている一人ひとりの役者が魅力的で愛すべき存在に感じられる。要らない人物が一人もいないのは作家の底知れぬ才能。これはハマるわ。やっぱり世の中、自分が知らないだけで才能に溢れ返っている。
ぶつ切りのコントみたいに感じるが、実は全てがパズルのピース。時系列がシャッフルされていて、段々と全体像が見えてくる相当練り込んだストーリー。これが令和最先端、頭がおかしい。
航空会社、空港での業務を担当する面々。
不倫を拗らせた山田瑞紀さんはエロい。
岸本鮎佳さんは完全にイカれている。
性欲の塊の機長、渋江譲二氏のキャラの立ちっ振り。
ハワイに向かう仲良しおばちゃん三人組。
似非リッチ、高野ゆらこさんが圧倒的。何か凄いカルチャー・ショックすら覚えた。江頭2:50のような飛び道具感。女性は全面的にこの笑いを支持するものだと思う。
関絵里子さんと航空会社グランドスタッフ小林タカ鹿氏の夫婦間の物語も温かい。
今藤洋子さんの芸能マネージャー物語も美しい。
イケメン太田将熙(まさき)氏も最高。そりゃみんな笑うわ。
空港バイト、奥村佳代さんの表情と口の歪みのインパクト。
冒頭、不倫を拗らせた山田瑞紀さんがカッターナイフで暴れている。岸本鮎佳さんと小林タカ鹿氏が切り付けられた。一体、何が起きたというのか?
#15『朱の人』
キ上の空論
本多劇場(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
演劇の現場を舞台に壊れていく人間、壊れていく劇団を描く。
これは自分の話ではないとパンフで書いているが、自分を取り巻く演劇界のリアルな現実を暴いている。
中島庸介が身を削りながら渾身の作品を作り上げた。
決して気持ちのいい作品ではないがトリプルコールがこの作品が観客に届いていることを証明した。
村田充を中心に出演する役者が皆上手く、そのおかげで息抜きのないこの作品を長く感じさせない。
今、見ておかなければいけない作家の見ておかなければいけない作品だと思う。
ELEMENT DD
元素G
調布市せんがわ劇場(東京都)
2022/04/09 (土) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
いかけしごむ
劇団俳優難民組合
下北沢 スターダスト(東京都)
2022/04/08 (金) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
茶の間が水浸し【4月14日~17日公演中止】
吉祥寺GORILLA
サンモールスタジオ(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『ドント・コールミー・バッドマン』とか『だからビリーは東京で』にグッと来た人には通じるものがあるかも。
「痛みと憂いの雨が降り続け、何処もかしこもひたひたと浸水し水が溢れ返っていくようだ。これ以上、水嵩が上がればもう息が出来なくなる。このままでは俺は溺れてしまう。助けてくれ。」みたいな話。
学校でも家でもひたひたと水が迫って来る。何処にも逃げ場はない!そんなリアルな感覚は皆が思い当たるもの。
主演の平井泰成氏を見ていて、令和のカリスマ(依代)のようにすら思えた。amazarashiの秋田ひろむのように、何かを象徴しているのか?この人を使って今何を発するべきなのか?『コインロッカー・ベイビーズ』のハシのように「これが僕の新しい歌だ」なんて決めて貰いたい。
初期の石井聰亙とか森田芳光の感覚。高三で学校に通えなくなった主人公はフリースクールに転入。そこは通信教育と通学が半々、担任(鳥居志歩さん)に誘われ演劇部に入ることに。犬のジョン(日下麻彩さん)が語り部となり、彼のゴボゴボと水の音に苛まれる青春が語られる。
前半は凄く好き。
茶の間が水浸し【4月14日~17日公演中止】
吉祥寺GORILLA
サンモールスタジオ(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/13 (水)
価格3,500円
13日19時開演の初日舞台を拝見(110分)。
やや散らかり気味ではあったが、高校生・オトナの別を問わず、共通のテーマ(自己実現の理想と現実とのギャップへの苦悩)で貫かれた、併走する諸々のエピソードが、最後に”高校生・球投げ合戦(仮称)”という希望に満ちた象徴的なシーンにつながるまでのプロセスは、終始、観客を舞台に惹きつけたであろう、巧みな構成。
日下麻彩さんの"狂言回し"に代表される、ほのぼのテイストも相まって、多くの観客に、ほろ苦さを伴う懐かしさを呼び起こしたのではないだろうか?
終演後の”読後感”も爽やかな青春譚に感謝!
グレートフルグレープフルーツ
LICHT-ER
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
公開場当たりを見てきました。お芝居がどのように作られていくのか、そのほんの一部にでも触れることができて良かったです。チケットが取れていたら、13時から通しで見たかったです。これが完成するとどうなるのか、見に行くのが楽しみです。
四月大歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2022/04/02 (土) ~ 2022/04/27 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
第一部「大岡政談天一坊」。朝11時から見る芝居でもないが、短縮興行の第一部。11時に始まって、2時過ぎまでに終わらなければならないのだから五幕の通し狂言と打ってはいても、超特急で話は進む。その首尾は渡辺保さんの歌舞伎劇評に詳しく書かれているが、すべてごもっともで、ホントに薄味で、歌舞伎座のありがたみのない芝居であった。
これを見たのは、ひとえにコクーン歌舞伎の「天日坊」がとても面白かったからで、天日坊の原型になっている天一坊はいかに?と見に行ったのである。
なるほどと思ったことはいくつかある。
天日坊は天一坊の上書きのようなものだとわかったが、黙阿弥も上書きはうまい。この実話に近い時期に書いた天一坊を、後年、明治になってからの天日坊では登場人物のそれぞれのキャラをうまく立てて芝居にしている。悪い奴に女を一人入れて、天地人のだんまりをやろうなんて、洒落た芝居らしい趣向ではないか。またコクーンで現代脚本にした宮藤官九郎のまとめ方の冴えもよくわかった。
芝居は通せばいいというものではない。これでは、あとで解説を読んで初めて分かることが多すぎる。よく古典を一幕だけやることは批判されるが、古典は筋はわかっているのだから、一幕だけ丁寧にやるのも悪くない。有名な「網代問答」のくだりなどは、歌舞伎らしいオーバーな面白さが出るところだろうが、前後をカットしているので、どう見ればいいのか解らない。
しかしどのようにバージョンを変えても、芝居の小さなリアルな面白さは残るものだとも分かった。例えば、天一坊がさして確信もなく悪の道に走るところ(今回の処理は非常にまずいが)、長吉が天一坊の本性を明かすところ。
役者も、どこか型通りで、裁く方も、裁かれる方も人間味が薄い。第一部とあって、三分の二にした客席が薄さを引き立てて、味気ないことおびただしい。それはまだ、松竹は律儀にコロナ規制を守っているので、客席に芝居見物の華がないことにもよる。歌舞伎に不可欠の掛け声もいつまでも止めている。劇場を殺す官の勝手な自己弁護のための規制なんか守って何のメリットがあるのだろう、芝居は徐々に殺されている。早く二部制に戻して、料金も内容に即した適正な額にしてもらいたいものである。松竹はその辺の計算はよく出来ていた興行者だけに残念である。
グレートフルグレープフルーツ
LICHT-ER
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
場当たり見てきました!!舞台監督さんによる舞台散歩から昼夜あわせてストーリーの終盤辺りまでみせていただきました。
照明はどう当たる~映像はこのタイミングで~音響さんは暗視スコープをつけてる~とか知らない情報を一杯教えて貰って新鮮でした。
舞台はキャストだけではない、と頭ではわかってはいても客席から見える景色は限られていまして。
板の上の人だけしか考えていませんでしたが、こうやって作られてるんだよって実際見せてもらうことによって、目には入ってこれないけれど支えている人たちがいっぱいいるんだな~~と感じさせてもらえました!
途中と最後は配信だけで~とのことでまだ全部みたとはいえないのですが、、、結末が楽しみになりました!
明日から17日まで!是非!!!!
茶の間が水浸し【4月14日~17日公演中止】
吉祥寺GORILLA
サンモールスタジオ(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
飛んでる最高
艶∞ポリス
駅前劇場(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/13 (水) 19:00
精一杯今を生きてる女性たちが、繰り広げる喜劇。ツボりました。誰もが涙してしまうあの名曲を、爆笑の涙に変えてしまう破壊力!
掛け合いの言葉の面白さに加え、初日からハイテンションな俳優さんたちの表情で、笑いの渦に引き込まれました。
それぞれに味があり、特に珠世さんの笑いを誘い出す演技は最高です。
艶ポリスさんの「笑い」癖になりそうです。
ちろうに検診
Peachboys
サンモールスタジオ(東京都)
2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/01 (金) 14:00
毎度お馴染みパロディ満載の艶笑芝居。ここまで振り切った内容を全力で演ずるのは尊く(?)昨今の厳しい現実からの逃避に絶好♪ また、この会場だからできる「アレ」も見事。
ところで今回は従来以上にメタな部分が多かったような。
さらに、パロディの元ネタも新旧の幅が大きく時事ネタや自虐ネタも増量気味? そんな中に時折現状についての悲鳴的なものもあってヒヤリとしたとかとなかったとか。
あと、毎度ながらチープなものも含めて衣装や小道具も楽しい。
皓白の麗ら
早稲田大学劇団木霊
劇団木霊アトリエ(東京都)
2022/03/04 (金) ~ 2022/04/13 (水)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★
皓白:“こうはく”と読む。輝くような白さ、を表すが舞台美術が白ベースであり、登場人物名がラテン系の名、ブランカを意味するのであれば、当然白をイメージさせるが、無論ことほど左様に物語の内容が単純だとは思わない。
リーディング短編集 #1
しあわせ学級崩壊
BPM池尻大橋(東京都)
2022/04/12 (火) ~ 2022/04/19 (火)公演終了
そのあとの教員室
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2022/04/08 (金) ~ 2022/04/12 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
暗く重たい話に終わっていない所が良い。個性ある多彩な人間の会話劇。太平洋戦争直後の舞台なのですが、これが現代の世界情勢と微妙な繋がりが出てくるのです。と言っても、ひとつの考え方を強く主張するのでは無く、エンターテインメントとして楽しめました。私は後半のサスペンスのような謎解きの場面が好きでした。『12人の怒れる男』を連想させます。事実はどうだったのであろうかと、教員たちの想像溢れる議論が面白い。さらに空襲で何の罪もない人々を殺戮したこと、原爆で無差別大量虐殺をしたこと、アメリカ軍の罪にまで話が及びます。世界史における事実を、我々はどう理解すれば良いのでしょうか。近年、いや昔からでしょうが、自分の立場を明確にせず、マスコミに誘導され、何とは無しに大勢の意見に付いていく。「日本人の考え方がひとつにまとまることが良いこと」そんな風潮、私は好まないのです。
LAST RENTAL VIDEO
!ll nut up fam
萬劇場(東京都)
2022/04/06 (水) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
凄く深い深刻な話をコメディーよりで描くのは深刻な話を深刻に描くより相当難しいと思うし役者さんの技量も必要となるとは思うがしっかりと笑えて考えさせられる作品でした。
藤代海さんの芝居には幅、安定感を感じた。(できない役無いんじゃないか?それでいて器用貧乏感はしないし華がある)椎名亜音さんは流石の安定感、セリフの間。小島ことりさんのヒール役は興味深かった。
ただ正直全体としては「もう一歩」
おしり筋肉痛 リノベーテッド
大人の麦茶
ザ・スズナリ(東京都)
2022/04/06 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
すみません、前回と何がどう違っていたのか説明することはできないのですが、さらに良かったんです。多分大きく違っていたりはしないと思うのですが、ええ?そうなる?と思ってしまったところが、今回は納得できたり、そうか!と思えたり。
ELEMENT DD
元素G
調布市せんがわ劇場(東京都)
2022/04/09 (土) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
14名での、90分ノンストップなダンス公演、一糸乱れぬ!というわけではないのですが、基本アップテンポな曲での構成、見応えがありました