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セールスマンの死

セールスマンの死

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/04/04 (月) ~ 2022/04/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

だだっ広い舞台の中央に、大きな黄色い冷蔵庫が一つ。舞台天井から2本の電信柱がぶら下がっている。この抽象的な美術が、今回の演出を象徴する。ウイリー・ローマン(段田安則)の挫折と失意と、息子(福士誠治)への幻想にしがみつく現実逃避がいっそう強調される。段田安則のウィリーは、夢破れた男の最後の誇りとあがきと絶望を示して、説得力があった、

家のリビングや、寝室、庭、兄弟の二段ベッドの部屋は箱庭のような移動式で、台車に載せて袖から出入りする。妻(鈴木保奈美)や隣家の関係はドライに、あるいは通り過ぎるように処理する。実際、セットが舞台を通り過ぎていく間に、その上に載った妻の科白が発せられ、隣家の優等生は自転車で舞台を回りながら切れ切れのセリフをしゃべる。

非常に多面的な芝居だと改めて思った。現実を直視できない人間の愚かさを描いたとも、息子をスポイルする父なるものへの批判ともとれる。カネとローンで人を縛り、人間も使い捨てにする資本主義批判ともとれる。時代に取り残された男の悲哀とも、息子をダメにしたのは自分ではないかという疑いと、そんなはずはないという思いとの葛藤もある。アフリカで金を掘り当てた兄の幻は、アメリカ人の目をくらます一攫千金(アメリカンドリーム)のうつろな光を示す。友人が雇おうという話を断り続けるのは、愚かな意地のあらわれだ。以上はウィリーに絞った話だが、それを取り巻く人間関係も最小限にして十分。次男が女たらしで口達者なのは、父の一面をうけついだともいえる。その一方、くそ真面目だけで報われない父を反面教師にしたともいえる。

ネタバレBOX

最後はウィリーが冷蔵庫の中へ入っていき自殺する。つまり冷蔵庫は「墓」だったのだとわかる。すべては最初から、主人公の墓の前の出来事だったのだ。
今回は、葬儀でののこされた者たちの会話のシーンはまるまるカットされた。
七慟伽藍 其の二十八

七慟伽藍 其の二十八

THE REDFACE

横浜関内ホール(神奈川県)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/21 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

脚本は面白く、演出は情景・心象表現に優れ、役者は迫真の朗読演技。圧巻…お薦め。

活読劇というのを初めて観て聴いたが、素晴らしかった。この「七慟伽藍」は2009年4月初演で、本公演で其ノ二十八を数えるというのも肯ける。壮大な戦国時代絵巻を七人の武将とストーリーテラーの八百比丘尼の八人で紡ぐ。役者は台本を持ち、立ち座りといった最小限の動作、豊かな感情表現で観(魅)せるが、さらに照明や音響が臨場感を高め、観客の感性を揺さぶる。

物語は、戦国時代の通史というか歴史小説等で知られた内容をベースに、「本能寺の変」の謎を興味深く描いており、歴史好きには堪らない公演だろう。初演当時は「戦国に詳しくないから一度では分からない」と言われたそうだが、今ではすんなり伝わるようになったという。自分は、一度では分からないではなく、もう一度、いや何度でも聴き観たくなるほど、その世界観に痺れた。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台セットは木製の変形二段平行台、一段目に4人(上手側から順に 徳川家康、豊臣秀吉、明智光秀、浅井長政)、二段目に(上手側から武田信玄、織田信長、朝倉義景)が黒着物姿で座る。なお配置にも意図がある。上(二)段中央にいて睥睨する信長、下(一)段は、配下の武将または同盟武将・義弟である。夫々の席にはマイクが設えており、台詞が聴き難くなることはない。冒頭は、(初めは正体不明)八百比丘尼が黄泉の国へ七武将(彷徨える魂)を誘うような…。語られるのは、七武将が覇権・天下統一を目指していた頃の回想、生きている時には知り得なかったことが次々明らかになる。乱世ならではの非情や無念といった慟哭(心情)を表現。ここまでが通史的によく知られた物語。

魅力は、天下統一目前で「本能寺の変」で死んだと思われた織田信長が生きていた、そして明智光秀もまた、という奇想天外な展開へ…。そして日光東照宮等の建造物に今も残る謎を示す数々の痕跡、さらに子供遊びに歌われる「かごめかごめ」に秘められた歌詞の謎。飽きさせない、いや逆に興味を惹かせるような知的好奇心への擽り。また七武将に関係する千利休や石川五右衛門といった人物との逸話も挿み、物語に広がりを持たせる工夫が実に巧い。

そして何と言っても演じている役者の熱演が凄い!七武将…織田信長(榊原利彦サン)の睥睨し他者を圧倒する迫力、明智光秀(川本淳市サン)の苦悩・苦悶する繊細な表情、豊臣秀吉(串間太持サン)の”猿”と言われた小狡いさ、剽軽さ、浅井長政(高橋孝輔サン)の愚直で厚情ある思い、武田信玄(山口仁サン)の渋みある低音が貫録を表現、朝倉義景(川原英之サン)の上品で端正だが、線の細さは義景イメージ、徳川家康(石垣佑麿サン)の捉えようのない姿の中に芯の強さを感じさせる。そして唯一の女優(艶やかな着物姿)で八百比丘尼(後藤萌咲サン)のストーリーテラー、その他 森蘭丸・千利休・石川五右衛門といった人物の逸話を情感溢れる演技で武将達を支える。

役者の熱演を、多彩な照明や音響効果で支える。冥界といった空間、伽藍といった場所は言葉(台詞)で表現し難いが、例えば渦巻状の照射で曖昧さを表現、合戦場面等は真っ赤にするなど状況演出が巧い。
物語の謎…「『本能寺の変』驚愕の真実」は、ぜひ劇場で堪能してほしい。
次回公演も楽しみにしております。
秘密

秘密

劇団普通

王子小劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/20 (水)

価格3,000円

20日19時開演の初日舞台を拝見。

離れて暮らしていた老いた両親と娘、親族、顔馴染みの隣人達…互いの、さりげない会話の一つ一つに、それまで話者が生きてきた日常の積み重ねやら、劇中では語られなかった諸々の事柄が滲み出て来るようで、聴いていて、しみじみと感慨深い。
王子の街にいながらも、実家に里帰りしたような思いの120分。

追記1:前作の「病室」と比べると、茨城弁の色合いが少しマイルドになったかなぁ?と。
追記2:物販をやっていなかったのが残念! 個人的好みな劇団普通Tシャツ、買いたかったなぁ~♪
追記3:劇中の由紀の両親と同じく、足腰の弱った身には、王子小劇場の長い階段はシンドイなぁと改めて実感。手すりがあればなぁ…。

ネタバレBOX

演者では、上演中、何度も配役表を見直した程、(直近だと、Ammo「太陽は飛び去って」での市民派の活動家役など)これまで拝見してきた役柄とは全くの別人! 切実な老いと衰えを感じさせた、母親役の堤千穂さんが凄いと感嘆させられた。

【配役】
由紀の父親…用松亮(もちまつ・りょう)さん
由紀の母親…堤千穂さん
由紀…安川まりさん
哲也(由紀の兄)…三瓶大介さん
亜希(哲也の妻)…しまおみほさん
本谷夫妻・妻…佐藤有里子さん
本谷夫妻・夫…小野ゆたかさん
従弟夫妻・日出夫…直木ひでくにさん(由紀の両親との微妙な距離感が伝わって来た)
従弟夫妻・美佐子…青柳美希さん
秘密

秘密

劇団普通

王子小劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高です。ただ演劇観た事ない人には退屈かもしれない。

『江本真里子一人芝居 × カンザスハリケーン』

『江本真里子一人芝居 × カンザスハリケーン』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2022/04/19 (火) ~ 2022/04/19 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この二つの芝居 一人芝居 なかなかの物でした
江本真里子一人芝居『私殺しゲーム』
オリゴ党の香りがプンプン やっぱり 岩橋貞典さんだったんだ。
江本真里子一人芝居 次も楽しみです

カンザスハリケーン『DIAMOND LIAR』 作・演出:日本 人(ヒノモト ヒトシ) 出演:中村輝
知らなかった 初めて見た とても力のある芝居
岩手県盛岡市を拠点とする演劇団体 どうりで知らないわけですね
岩手県まで観劇はいけないけど、応援いたしますよ。

この二つの芝居 とても面白かった。

夜ふかしする人々

夜ふかしする人々

戯曲本舗

小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

夜、五感の中で視覚情報が薄れる為に、いろんなものが入り込む隙間がうまれ、そんな処を描いた3作品、それぞれに特徴があり面白かったです

ネタバレBOX

「浮遊している、俺ら」
日常と非日常は隣り合わせ
「アンフォルム」
あの世とこの世の狭間が舞台なのかな!?
「機種変更」
最初が夢だったのですね!?逆パターンと思ってしまいました
そんなことを感じました
ラクガキ

ラクガキ

アンフィニの会

「劇」小劇場(東京都)

2022/04/19 (火) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/20 (水) 14:00

座席1階

この舞台を行ったアンフィニの会とは、演劇集団円の演出家・大間知靖子氏と同劇団の俳優二人が2010年に結成した。大きな集団でなく、小劇場での可能性を追求しているという。コロナ禍があったため今回は久しぶりの上演といい、フランスの劇作家ジェラルド・シブレラスの作品「ラクガキ」の本邦初演に取り組んだ。

マンションのエレベーターに何かで刻まれたような「バカ」の落書き。落書きでバカと名指しされた男性は妻と引っ越してきたばかりで、マンションの住人たちの部屋を訪ね回って心当たりがないかと聞いていくところから始まる。
そんな落書き、消してしまえば終わりなのにと誰もが思うが、男性が「書いたものが消すべきだ」とこだわり、それに対応する住人たちとの会話劇は予想外の方向に展開していく。隣人たちとの付き合いを大切にする穏やかな老夫婦たちだと思っていたら、舞台が進むにつれてその本性が出てくるというか、実は差別的な姿勢も見せたりする保守的な人たちだと分かる。一方の男性は理詰めでこだわりのある性格で、住民の老夫婦同様攻撃的な発言をしたりする。まあ、どっちもどっちなのだが、これが近所付き合いの妙とでも言うか、随所に笑えるところが満載の軽妙な会話劇なのである。

笑えるところがあり、客席は実際に笑うのだが、実はその笑いが自分に突き刺さってくるようなところがある。この会話劇、舞台を日本に変えてつくってみてはどうだろうか。一見、仲の良い隣人関係が実は冷徹なところがあって、隣人をこういう人だと決め付けて付き合いの輪からはずしてみたりということは、当たり前にあると思う。そういう意味で、一つの落書きから始まるこの物語は結構強烈なのである。

1時間45分の比較的コンパクトな芝居だが、濃密な会話劇に目も耳もくぎ付けになる。シンプルな演出も好感が持てる。

安心して狂いなさい

安心して狂いなさい

中野坂上デーモンズ

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2022/04/17 (日) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/04/19 (火) 19:00

不思議な芝居だった。意図は分かる。100分。
 冒頭に作・演出(・出演)の松森が登場し、ここは中産階級向けのメタバースで、と説明して芝居が始まる。同時多発会話が起こるが、内容はヴァーチャル空間でありそうな出来事で、タイムラグや変身も含まれるなど、いかにも、な展開。ただし問題は、何かのトラブルで誰もログアウトできなくなったこと、というアイデアは買う。しかし、登場人物多すぎ、会話乱れ過ぎ、で、こういう風に収集させるのかな、と思った方向で収束した。観ていて苦痛に感じる時間帯もあったが、なんだか物凄く喜んでる観客も一定程度いて、感じ方はひとそれぞれだなと思った。また、前の席の観客がよく動く人で、通路際だったので横向いて座ったり、手を上げたり、前のめりになったりと縦横無尽(?)で、観にくかったこともある(これは芝居とは関係ないが)。

メリー・ポピンズ【3月26日~30日公演中止】

メリー・ポピンズ【3月26日~30日公演中止】

ホリプロ/東宝/TBS/梅田芸術劇場

東急シアターオーブ(東京都)

2022/03/20 (日) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初演は平原綾香のメリーに柿澤勇人のバートの回を観たが、今回は濱田めぐみのメリーに大貫勇輔のバートの回。初演を観た時の驚き(特に第二幕)こそ薄れたが、第一幕の展開で忘れていた部分も結構あり、その分新鮮にも感じられた。笹本玲奈の回も観たい。

夜ふかしする人々

夜ふかしする人々

戯曲本舗

小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

同じテーマで全く違う雰囲気のお芝居3つ!得した気分。良い時間をありがとうございます♪

〈シアター風姿花伝劇作家支援公演〉『風-the Wind-』

〈シアター風姿花伝劇作家支援公演〉『風-the Wind-』

HANA'S MELANCHOLY

シアター風姿花伝(東京都)

2022/04/16 (土) ~ 2022/04/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

なるほど良く作られたストーリー。後半に進むと、現実と夢のような話とがうまく織りなされて、好ましい印象を残す。
演出の問題だが、舞台の前のほうで座っての演技など、演技位置が低いシーンが時々あって、そういう時は、小さな劇場にも関わらず後ろの座席からは俳優の姿がほとんど見えなかった。もったいない。

安心して狂いなさい

安心して狂いなさい

中野坂上デーモンズ

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2022/04/17 (日) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

開演前SEで延々般若心経が流れ、野性爆弾のようなガロ系の笑いを想像する。

冒頭、作・演出の松森モヘー氏から説明が入る。今作の世界はメタバース(仮想空間)であり、20代30代の歳が近い年代を中心とした小規模なコミューンであると。精神だけをアバター(分身)に移し、仮想世界で生を謳歌している。
舞台上、沢山の男女が四方八方上下左右に設置された出入り口から共用スペースに現れる。皆言う台詞は決まっている。「〇〇さんを知りませんか?」

筒井康隆の『マグロマル』のように噛み合わない会話が延々と続く。興味深いキャラは四人。
「私のことが嫌いなの?嫌いなの?」と男をひたすら追い掛け続けるメンヘル系のまちだまちこさん
小さなウェブ雑誌の記者、加藤睦望さん。誰も彼もにインタビューを仕掛けてメモを取る。
柿原寛子さんは統合失調症なのか?存在しない架空の男をずっと捜し続けている。
一番観客を慄かせたのが、中尾仲良(なかおなかよし)さん。後半白目をひん剥いての大暴れ。核兵器のような凄え女優を抱えているな。MVP。
そのうち、どうもこの世界からログアウト出来なくなるバグが発生して・・・。

当日パンフには、大学時代パニック障害を患った松森モヘー氏がこの劇団をリハビリ的に旗揚げして、「安心と狂気」の十年を歩んだことが吐露されている。ただのおふざけではないのだ。

「張り裂けた胸はくっつかない セロハンテープでとめた心 またいつ剥がれるのかと 今日もびくびくしながら生きるぜ」
amazarashi 『爆弾の作り方』

ネタバレBOX

つまらなくはないのだが、そこまで面白くもならない。終わりようのない物語にどうケリをつけるのか?“謎”と“真実”が必要か。
そもそもここは仮想空間ではなく、本当に現実だったことにする。どんなにうんざりした設定でもログアウトなんて出来ない。このアバターで何とか生き延びるしか手はないのだ。道はある!、・・・多分。
平家物語 颯 寿永4年のスワロウテイル

平家物語 颯 寿永4年のスワロウテイル

神戸・清盛隊

ABCホール (大阪府)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

神戸清盛隊が演じる清盛と息子たちの物語。
見応えの有る良い舞台でした。
行って良かった。

#15『朱の人』

#15『朱の人』

キ上の空論

本多劇場(東京都)

2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇にはまってしまったお兄さんの話ですね!?
演劇をとりまく縮図を見れた気がしました。
実際、芝居みたいな現実の話もありますもんね!?

リディキュラブ

リディキュラブ

南京豆NAMENAME

王子小劇場(東京都)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

パワーあふれる舞台でした。登場人物全員のキャラが面白く(面白過ぎる)役者さん達の熱演も加わり、可笑しくてずっと口元が緩んでいました。
ストーリーは、純粋とも言える愛が面白おかしく、でも切なく描かれていて感動でした。
笑いあり、切なさあり、感動ありの舞台で、とても面白かったです!

エゴ・サーチ

エゴ・サーチ

プラグマックス&エンタテインメント / サンライズプロモーション東京

紀伊國屋ホール(東京都)

2022/04/10 (日) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ストレートな出だしから、観客に疑問を起こさせるストーリーが続く。まるで全面にトリックが仕掛けられているかのように、繋がらない話が一つにまとまっていく様は見事だった。明るい雰囲気の中にちらと見える、世間の膿。その散りばめ方が上手すぎる!またキャラの作りも個々よく出来ていて、飽きさせない。仕事疲れのたまった私も眠気を感じることなく、舞台に惹きつけられた。紀伊国屋ホールに良くハマった舞台だと思う。

グレートフルグレープフルーツ

グレートフルグレープフルーツ

LICHT-ER

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あらゆる面において革新的作品であり興行形態でした。 #グレグレ2022

「グレートフル・グレープフルーツ2022」

2022.4.14(木)から4.17(日)まで。
池袋シアターグリーン ベースシアター。

照明・舞台映像制作会社 LICHT-ER (リヒター)の、阿部さんが、プロデュース。
俳優の塩崎こうせいさんが、初演出。
脚本は「おぼんろ」主宰・俳優の、末原拓馬さん。

通常の公演とかなり違う点は、
制作過程を、リヒターさんのyoutubeで、配信し、
場当たり(テクニカルリハーサル)を、
劇場に、一般観客を入れて見せたこと。

仕込み(劇場入りし、舞台を組み立てて行く)も、
公演中の、スタッフさんに寄る、アフタートークも、配信。
本公演1公演分も、期間限定ながら、無料で配信。

普段見ることのない、スタッフワークの、長時間に渡る、定点での配信。

粛々と、緻密に、作業に徹する姿。

全てのスタッフさん、キャストさんが、
志を高く持ち、作品の意図を共有し、
より良い作品を、観客に届けようと、

常に創意工夫、変化させ、意識を高め、「活きた舞台」を届けて下さった事に、感謝致します。

舞台の前後、舞台の外で、上で、まさに「生きる」ということ。を見させて戴きました。ありがとうございます。

初演グレートフル・グレープフルーツは、2017年に、八幡山ワーサルシアター(現在は閉館)にて、観劇。

2022年版は、劇場は池袋シアターグリーン・ベースシアター。
キャストもフルオーディションで、刷新。(一部キャストは同人物)。

脚本の骨子は、ほぼ変わらずなのだが、
プロデュース団体、キャスト、劇場サイズ、演出も異なると、
これ程までに、違う印象になるのかと、驚く。

高さを利用した、セット。背景に、手書きの文字&文字が書き連ねられた、ダンボールや紙を貼り、
主人公の複雑な内面を暗喩し、
それを利用して、映像や、照明で、場所や、奥行きを表現。
音響で、心理を突いて、
衣装で、各キャラクターのテーマを表していて、見事でした。

初演時は、出演者5人で、様々な人物を演じ分け、
舞台セットは、敢えてシンプルに、
印象的な照明や音響、作中で重要な役割を果たす、生歌・演奏などで、
作品世界を表現していた。

2022年版では、出演者を6人に、一部役柄を演じる、性別も変更。
主人公の、大人と子供時代を、2人で演じ分ける事で、
複雑な想いを内面に抱えたまま、大人になった今の主人公の事が、より分かり易くなった。
性別変更した役も、雰囲気が合っていた。

主人公ヒカリ・ヒカリの子供時代・ヒカリの父親・テルオ・カゲヒコ・クヅ丸。

それぞれに、熱演であり、怪演であり、快演でした。

最初は、複雑怪奇に見えた物語も、
人を救う・人に巣くう、光と闇の物語。

初演、2022年版、どちらのグレグレも、とても良い舞台でした。
ありがとうございました。

スタッフの皆様・キャストの皆様の、新たな作品を楽しみにしています。

2022.04.19(火) 15:38

4.15(金) 14:00の回と19:00の回 観劇。
トランクウィル 記する。

大迷惑

大迷惑

SUGARBOY

あうるすぽっと(東京都)

2022/04/14 (木) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

推しを近くで観れて良かった。

どうやらこれ、恋が始まっている

どうやらこれ、恋が始まっている

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2022/04/08 (金) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

途中わからないところ多々あり。

「流れる」と「光環(コロナ)」

「流れる」と「光環(コロナ)」

劇団あはひ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

 光環を拝見。アップしたハズが載っていなかったので再送。

ネタバレBOX

 板上はフラット。観客席側下手コーナーをAとし時計回りにB,C,Dとする。板中央に大きく白い正方形。このセンターに水を湛えた趣の真円。B・Dを結ぶ対角線を延長した線上に中心から遠くに行くにつれて小さくなる正方形がスモールb・cを各々の頂点として飛び石の如く置かれている。下手奥最小の四角形の面積を1とすると次は4その次は9でACを結ぶ対角線中心に完全なシンメトリーを為している。C・Dの中間辺りに天井からカーテンのような布が下ろされ床迄届いている、この幕の幅は50㎝程か。時折、ホリゾントやこのカーテン状の幕に文字が映し出される。
 原案はPoeの「Purloined Letter」だそうで、当初今作のタイトルはLettersであったが上演直前に変更された。能を意識して作られているというが、足捌きはすり足でなく、現在の日本人一般の通常の歩き方である。偉く能書きの多いアフタートークが付いていたが、観客が舞台を観て能とデリダ哲学との関係、ラカンとの関係をどう読み解くと考えているのか? そもそも作品というものの性質は、作家の手を離れた瞬間から作家も知らない何者(なにもの)かになるのではないのか? そのようにしなければ作品は単に作家の「従属物」に貶められてしまうだろう。
 敢えて善意に解釈すれば「光環」(コロナ)という作品は、詩人、哲学者、能作家、小説家、批評家等々を散々引用しつつ、存在と非在或は138億年前にあったとされるビッグバンとその後3×10⁻44乗秒の間に膨張して始源宇宙ができたとされる説に関わって必然的に提起される問題即ち“存在と無の関係”つまり宇宙に完全な無が在り得るか否か、が浮かんでこよう。自分の知る限り現在の宇宙認識に於いて完全な真空は無いと考えられていた。だとすると量子論的宇宙というものを考え更に一般相対性理論を同時に成り立たせる統一的論理を構築しなければならないが、それが出来て居ない現段階で無理に思考した時点に於ける、我らヒトの思考の揺らぎをこそ描いていると言えよう。唯、その描き方が引用の織物として表現されて居る為に極めて焦点を結びにくい。(兎に角、原案がポー、参照・引用は東浩紀、村上春樹、ヴァレリー、岡田利規、世阿弥、パウル・ツェラン、バッハマン、ラカン等々のオンパレードである。)このピンボケ感覚が一種の疎外感のようにしか表現されていない点で作劇法としては弱いと感じるのだ。ところで相対性理論と量子論の統一理論形成の話だが、時間を事物変化の経緯と捉えるなら初期のエネルギーと炎の塊のような何かがビッグバン後の3×10⁻44乗秒で拡散したとするなら炎とエネルギー時点で既に時間は存在したということになるのではないか? 而も時間は事物変化の経緯と規定したのであれば、この定義と矛盾する。
 「野獣降臨 」で野田は主人公の絶対的孤独を宇宙船と地球の交信が途絶えた時間に於ける絶対的孤独として描き主人公というコアに収束させることに成功したが、「光環」に於いてはこのような主体が存在しないことも今作の弱さの原因である。余りに引用ばかりであるのみならず、アフターミーティングで作家自身が語った所によればシテとワキを入れ替えるという作業をしているとのこと。能をベースにしているということも語っており、{能に於いては実際に異界の者(神、精霊、亡霊、鬼等)がシテとされることも多いのに、(態々今作では本来の脇役である側をシテとし、実舞台で主役である者が実はワキだった、と言及していた訳だ。)}が作品を観た限り逆転させたと言っていたのが間違いではなく事実であったとすれば、この操作によって焦点化が不可能になってしまった。

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