最新の観てきた!クチコミ一覧

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猩獣 -shoju-

猩獣 -shoju-

壱劇屋

ザ・ポケット(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/23 (土) 13:00

85分。休憩なし。

 たとえばありふれたカノンのコードで

たとえばありふれたカノンのコードで

salty rock

遊空間がざびぃ(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/22 (金) 19:30

22日の夜19:30と23日14:00 拝見させていただきました。
初拝見の時は笑うだけで終わりましたが、二度目観た時は お目々に涙が・・・
ホンマ、エエ舞台です♡♡♡
たくさんの人に観てもらいたい!

ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い! お薦め。
戦後の「ムーランルージュ新宿座」での軽演劇やレヴューの上演という表舞台 とその劇場で生計を立てていた人々を描いた裏舞台、その二面性をもって戦後の世相を切り取った群像劇。ムーランルージュはフランス語で「赤い風車」を意味し、新宿座にも 実際 屋根に赤い風車があったらしい。ムーランルージュ新宿座のキャッチフレーズ「空気・めし・ムーラン!」には、人間にとってなくてはならないものという劇団の自負が込められていたとも…。

物語は、戦後間もない頃の「ムーランルージュ新宿座」が舞台、戦禍で焼け野原と化した時代を背景に、生きること、作劇と検閲、恋愛といった話を織り込み飽きさせない。ただ、戦後の空気感のようなものが漂ってこないのが少し残念。

物語は、新宿が焼け野原の時代を背景にしているが、チラシは今の新宿・・・高層ビル群が建ち並び、隔世の感といった風景(情)を表す。街の復興・変化はあったが、人の心にある差別・偏見といった意識はそう簡単に変えることは出来ないような…。
表層的には華やかであるが、色々考えさせる事柄を点描しながら人間讃歌を謳った骨太作品。

公演には、戦後の事情を反映した台詞も多く、そのために「『ムーランルージュ』用語集」を配付する心遣い。一読しておくと更に物語を楽しめる。
(上演時間2時間30分 途中休憩15分)

ネタバレBOX

舞台美術は、レヴューの表場面と劇場での生活という裏場面を表すため、中央は大きなスペース、上手奥に二階部へ通じる階段、下に応接セット。同じく上手客席側に道具仕立用荷台、下手は作家の机1つ。表と裏舞台は、上部から垂れ幕を下ろし舞台空間を前・後で仕切るという簡単な仕掛け、観せ方で物語の流れを止めない工夫が巧い。勿論、当時のレヴュー衣装は用意出来ないが、(アンサンブルも含め)華やかな雰囲気を現し、一方 舞台裏の生活面は質素なもの。

終戦間もない頃、赤い風車が目印の「ムーランルージュ新宿座」の幕が開け、篠原美雪(橋本愛奈サン)の歌(上手い)から始まる。彼女の夫・下向哲平(松浦慎太郎サン)は戦死したと思われていたが生きて、そしてGHQ米兵に襲われていた国枝静(石森咲妃サン)を助け新宿座へ帰ってきた。戦後、人々は「飢え」ていた。 遥冬子(中右遥日サン)が「一杯のお粥も食べらない子供たちが『生きたい』と言いながら毎晩死んでいくのに、死にたい奴に飯食わせたら道理が通らん」。子供たちとは「戦争孤児」を指すだろう。 飢えているのは踊り子たちも同様で 、馬場ナナ子(上不あやサン)は踊りの練習中に倒れる。「ちょっと目眩が」と答えるが、柿野園子(蒼井染サン)が「ろくなもの食べてないからよ」と。
さて、公演に戦後の間もない頃の雰囲気、匂いを求めるのは酷なのだろうか。唯一感じられたのが、押田真喜子(篠田美沙子サン)が亡くなった子、その面影を追い続けている悲しい姿、そこに戦争の悲惨さが色濃く漂うが…。

当時の日本人が「占領」をどのように受け止めていたか。 本作には、太宰治の戯曲「冬の花火」に関するエピソードがある。 新派が上演を申し入れたが、検閲で「CIE(民間情報教育局)が上演を不許可」にしたこと。戦時中の日本(軍部)における検閲の厳しさ、一方 CIEは民主主義・自由解放を掲げながら軍国色ある戯曲そのものは勿論、台詞の隅々まで検閲することを皮肉る。
河西浩治(井上一馬サン)は、裏切り行為と思いつつも家族を守るため、日系人のジェシ―・村中(如月せいいちろーサン)に誘われて、CIEで、日本人が書いた手紙を翻訳する仕事を始める。が、やがてCIEを辞めたい言い出す。多くの封書を開けて読んだが、GHQが懸念した諸々批判するような手紙はない。占領軍の懸念・・・他国を占領したら、必ずレジスタンスが組織され、反米闘争を呼びかける手紙があると。しかし、そんな手紙は皆無で、あるのは生活が苦しい愚痴や泣き言ばかり、という誇りではなく現実だけ。むしろ日本(人)が恥ずかしい。

一方、日系人ジェシー村中の自虐的な台詞……私たちは日本人に人種差別はいけないと言い続けているが、GHQでもトイレはカラードと白人は別。登場人物に台湾人がおり、日本人との間で差別扱いされていたが、それでも戦時中 軍夫になれたことは良かったという。一筋縄ではいかないのが人の差別意識の払拭だろうか。

興味深いのは、敗戦後の日本人が、あの戦争をどう捉えていたか。 大道具担当・佃光(佐野眞一サン)は年長者で、時々辛辣な台詞を言う。今では人々が「軍部は日の丸掲げて、民衆を侵略戦争に送り出した」という決まり文句に、佃は言う「みんなで戦争をやったんだ。シンガポールが陥落した時うれしかった。一緒に日の丸振ってた人たち、あの人たちみんな心の底では戦が嫌だと思ってたのか」。佃は戦争中の庶民を代表するような役回りで、占領下における日本人の困惑した心情を吐露しているよう。

下向は「日本は進駐軍の力で旧体制から解放されて自由を手に入れた」という言葉に反応して「外国の軍隊に占領されて自由になった?そんな話、聞いたことがない」と切り返す。また 「アジアの国々を真面目に侵略した」と言われ、「南の島で死んだ兵隊たちはまったくの犬死にだって言うのか。戦友たちがみんな死んで、生き残ったのが後ろめたい」と。大道具・佃や帰還兵・下向のような声は、今では直接聞くことは少なくなった。いや出来なくなったと言っても過言ではないだろう。だからこそ、小説や、戯曲として遺されたものの中に生きている、当時の人々の様々な思いを、汲み取っていくことが大切だ。

公演の魅力は、表面的には華やかだが、その裏では生活に飢え渇き、心は疲れている。戦禍とコロナ禍を同一視することは出来ないが、それでも根底にあるのは、人は懸命に生きている。「どんなに辛いことがあっても舞台に出ればニッコリ笑って歌うの。」は、今の演劇界の意気込みに通じるもの。その意味で見事な作品選定だと思う。

次回公演も楽しみにしております。
4人の桃太郎

4人の桃太郎

劇団森

早稲田大学学生会館(東京都)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

面白かったです。ちょっと分かりにくい部分もありましたが、伝えたい事は分かりました。
役者さん達の一生懸命さが伝わってきて良かったです。

ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

戦後間もない頃のレビュー劇場を舞台とした群像劇、休憩1回を含む計2時間35分、華やかなレビューシーンや素敵な歌声が印象的で、思ったより戦争の爪痕を強く感じる内容にちょっと考えさせられました。

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

過去にガラパの作品を多数観劇してきましたが、1番好きな作品になりました。
演劇に関わっていない人達は勿論、僕達のような役者、芸術に関わる全ての人達に時折訪れる「生きづらさ」を言葉で代弁してくれたような気がしました。そしてそこから笑いで優しく全てを包み込んでくれる、まるで家族の温もりのようなものにも感じました。

きっと客席の皆さんが、今日1日優しくなれる、そんな時間だったと思います。

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

全般にコメディで笑いっぱなしの舞台だが
ちゃんと泣ける所、ちゃんと考えさせられる所、驚かせられる所
全てある最高な演劇です。

5月35日

5月35日

Pカンパニー

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今こんな時期にこの台本を舞台にかける意義の深さを想う。香港のことを思い出した。世界では、風化させてはならない出来事が、後から後から起こるものだな、と。

瘡蓋のメロディ

瘡蓋のメロディ

劇団虚幻癖

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

俳優陣の頑張りは認められるが、Kassaiのような小さな劇場であんなにも大声を出すことはないだろう。聞いていて軽い頭痛になるほどで、かえってセリフが聞き取れず、ストーリーがなかなか掴めなかった。ストーリーの条件にも少々無理があり、ついていけなかった。自分の歳のせいか?

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めてガラパさんの劇を鑑賞させて頂きましたが、全てにおいて素晴らしく、楽しい劇を観させていただきました!
とにかくテンポ、演出、言い回しめちゃめちゃ良かったです!
尾崎先生のファンになりましたw

5月35日

5月35日

Pカンパニー

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

天安門事件のこういう描き方もあるのかと感心した
今回3人の25歳を伴ったのだが、その反応はなるほどそういうものかと思わされた
これまで事件も知らず(あの衝撃的なひとりの青年が戦車と向き合う写真すら観たことはなかった)、まして胡耀邦と鄧小平と趙紫陽の関係(その存在すら)知らない彼女らにとっては、自分にとっては当然のことと考えられるメッセージ性の強い政治劇という捉え方よりも、夫婦愛とか介護とかの家族劇としての性格が前面に出たようだ
演技もみな父親役の林次樹が心に残ったようだが、自分は芝居臭さが強くて好みではなかった
竹下景子はかなりの熱演だったし、松永拓野がいい味出していて、内田龍磨がテレビなどでも見せるバイプレーヤーとしての存在感があった

まあ彼女たちには想像もできない世界で、当時在米勤務の自分がその直後に北京でアメリカ人避難のための空港行きの最後のバスを運転した国務省職員と付き合いがあったことや、5年後に天安門広場を訪れた時も中国政府職員と一緒で事件のことなどとても口の端に乗せられなかったことなど、既に「歴史」になってしまっているな
ついでに中国の近現代史もちょっと勉強して、何がどうなって今の香港の状況が生まれているのか理解してほしい

板の上の二人と三人そして一人

板の上の二人と三人そして一人

映像劇団テンアンツ

小劇場B1(東京都)

2022/04/22 (金) ~ 2022/05/05 (木)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

グレーな十人の娘

グレーな十人の娘

劇団競泳水着

新宿シアタートップス(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度

さっぱりわかりません難解です

「流れる」と「光環(コロナ)」

「流れる」と「光環(コロナ)」

劇団あはひ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/10 (日) 14:00

座席J列6番

【光環(コロナ)(「Letters」改題)】
昨年11月の「試演版」と65分の尺は変わらないがあれこれ削ぎ落して(とはいえ出演者の数は1人増えた)様式美にまで昇華させた「現代能(未来能?)」な趣き。
それでいて終盤の日蝕のスペクタクルと言って過言ではないダイナミックな表現たるや。試演版の表現も優れたものだったがまた別のアプローチで圧巻!(試演版では照明で表現していた「波打ち際」を本水で表現するとは……(!))

蛇よ!

蛇よ!

演劇集団Q

同志社大学・新町キャンパス 新町別館小ホール(京都府)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/23 (土)公演終了

満足度★★★★

衝撃的でした‼️タブーではないけど、学生演劇ではなかなか取り上げれないネタを…。個人的に気に入りました‼️また行きたいです!

グレーな十人の娘

グレーな十人の娘

劇団競泳水着

新宿シアタートップス(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/23 (土) 13:00

とてもストーリーに引き込まれた。
ワンシチュエーションの舞台構成も面白かった。
登場人物も性格が良く表れていて良かった。

マがあく

マがあく

シラカン

STスポット(神奈川県)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2022/03/30 (水)

部屋をめぐる「ちょっと、変」な不条理劇

 ドミノが四方を囲んだ空間で、黄色いシャツを着た男が横になっている。どこからともなく人の声がする。「風呂が沸きました」。男はやおら起きあがり部屋の奥に姿を消す。客席後方から登場したスーツ姿の男は客席に向かい「ご来店ありがとうございます」と観劇上の注意を呼びかける。こうして『マがあく』は「ちょっと、変」な空気感を醸し出しながら幕を開ける。

ネタバレBOX


 蓑田空(岩田里都)は知り合いの藤家ゆり(村上さくら)を連れて契約したばかりだという部屋を訪れ、ビニールシートを広げてお茶会をはじめる。そこに不動産営業の勝村忠(大橋悠太)が内見を希望する森山奈央(高下七海)を連れて現れる。じつは空はこの部屋を契約しておらず、勝手に鍵を持ち出し入室していたのだ。当然勝村は抗議し藤家と奈央は戸惑うものの、空は「ここは私の部屋だ」とふてぶてしく主張する。騒動が大きくなり隣室から大家の丹野武蔵(神屋セブン)が諌めにくるが、なぜか4人に言いくるめられてしまう。

 しまいには風呂を終えた冒頭の男・太伏大器(干川耕平)が裸で出現、「ここは誰の部屋でもないから所有した」とおかしな主張をしてさらに場が混乱する。最終的にはなんと部屋が「(扉は)開かないよ」などと話しだし、この部屋から誰も出られなくなりーー作・演出の西岳はコロナ禍で外に出られなくなった体験をもとにこの悲喜劇を創作したという。

 私が面白いと感じたのは上述した幕開きを含めた空間設定や俳優たちの醸し出す空気の独特さである。「ガチャ」「ガラガラ」など扉を開ける音響効果に人間の声を当てていたり、客席後方から出入りする役者がまるでアヒルのように体を小さくしながら入退場していたり、部屋から出られない登場人物たちが暇を潰すために円陣を組みゲームをする場面の息のあった具合など、この劇団ならではの雰囲気を徹底させた点が面白いと感じた。

 一方で公権力に頼めばある程度解決しそうな事件を展開させる仕掛けが少ないため(「騒動になるから警察は呼びたくないでしょう」と勝村を諭す台詞はあったが)、設定そのものに違和感を覚えた。結果、私は劇のリアリティに馴染めず、場面が進むごとに台詞が空疎に響いてきた。当日パンフレットのあらすじに「部屋と悪をめぐるハートフルバイオレンスタイム」をあったため、ルイス・ブニュエル 『皆殺しの天使』ばりのものを期待した者としては肩透かしを食らった気持ちになった。

 また、不条理の象徴たる部屋の存在も含め、本作の登場人物たちは決定的な対決行為はせず、なんだかんだで仲がいい。コロナ禍があぶり出した人命にかかわる不穏さ、人間のダークな一面を感じるくだりがほしいと思った。
ひび割れの鼓動-hidden world code-

ひび割れの鼓動-hidden world code-

OrganWorks

シアタートラム(東京都)

2022/03/25 (金) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

異なる才能が問う俳優・ダンサー論

ネタバレBOX


 大きな白布で覆われた正方形に近い舞台は客席に向かい角が向き、背景には10本の棒が配置されている。舞台奥から布をかぶった演者たちが現れ、ゆったりと歩き回りどこかへと消えていく。不可思議な空間から女(佐藤真弓)と男(薬丸翔)が出てきて要領を得ない会話を始める。いわく「私たちはいま、こうして歩いている、普通に。いまさらよちよち歩きはできない」「お酒でも飲まない限り」「そう、お酒でも飲まない限り。よちよち歩きだった頃を覚えている?」「シラフで生きていくにはきびしい世の中になってしまった」。

 二人は、立ったまま不規則に手足を動かしては止める動作を繰り返すもの(川合ロン、東海林靖志、高橋真帆、平原慎太郎、町田妙子、渡辺はるか)の回りを歩いている。やがて舞台上にいる全員で円陣を組み、あたかも民族舞踊のように軽やかに舞いながら手を叩いてリズムを刻み始める。これは主神デュオニソスに捧げられた合唱抒情詩「デュドゥランボス」。現代に諦観する言葉と古代への憧憬を表すかのような動きを交えた重層的な幕開けは、古代ギリシャ劇に着想を得たという『ひび割れの鼓動』の作品世界を端的に示した。

 本作は振付・構成・演出の平原慎太郎とテキスト・ドラマターグの前川知大の共同作業によって生まれた。第一の魅力はコンテンポラリーダンス界と現代演劇界の才能が生み出す独特な作品世界である。稽古はまず平原の振付をもとにダンサーたちと動きを決め、それを確認した前川がテキストを書き、それをもとに新たな場面を創作するという流れで進められたという(3月26日夜公演のアフタートークより)。OrganWorksの先鋭的かつ静謐な作品世界と平易な言葉で超現実を描く前川の劇作が、古代ギリシャ劇という要でうまく合わさったものだと感心した。

 先述の通り本作では俳優とダンサーが同じ舞台に上がっている。そのため互いの方法論の差異が浮かびあがってきたところもまた興味深いと感じた。正確だが無機的な印象のするダンサーの身体に対し、運動能力では劣るものの持ち味で優れているのが俳優の身体だということがよく分かった。台詞を伝えるための俳優の発声はダンサーたちが時折発する唸り声とは明らかに異質なものであった。俳優とダンサーがもう少し大胆に絡んだり、ダンサーが積極的に台詞を発したり、俳優が踊ったりしても面白いかもとは思ったが、互いの領域に対する敬意には好感を持った。

 全6章で構成される本作では、冒頭のいずこかを歩き回る男女の対話や、「彼はボクです」とドッペルゲンガーを見た男の告白、死者を感じる女が「この世界は死にあふれているが、死人は口なし」とランプ片手に闇を彷徨する様子などを経て、冒頭のデュドゥランボスへと回帰する。中盤、舞台下で転げ回るようにして回転するダンサーのムーブメントには手に汗握った。

 個々には面白い場面はあったし目論見は興味深いが、観終えたあと「私はいまなにを観たのか、ダンスか、それとも演劇か」とポカンとした気持ちになった。とはいえ平原が『HOMO』で描いた「人類最後の日」のようなスケールの大きさを感じる歴史観に満足を覚えた。
オロイカソング

オロイカソング

理性的な変人たち

アトリエ第Q藝術(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/03/25 (金)

三世代の女性が男性中心社会につきつけるもの

ネタバレBOX


 「根っこから切り離されているのにしぶとく生き延びて、ゆっくり萎びていく…うちの家の匂いです。祖母にも母にも私にも、染みついている匂い」

 切り花の匂いが苦手であるという理由について斉木結子(滝沢花野)はこのように語る。植物の品質管理の仕事をしている結子は、失踪した双子の姉・倫子(西岡未央)を探し、倫子の元ルームメイトであるライター兼カメラマンのルーシー・マグナム(万里紗)の元へ来ているのだ。気がつくと二人の回りには花瓶に生けられたたくさんの花々が置かれている。祖母が生きていた頃の実家の思い出をルーシーに語る結子が、我々観客にこれまでの来し方を披露していく。

 双子の母の弥生(佐藤千夏)は貿易会社で働きながら、介護施設で働く祖母のオト(梅村綾子)と一緒に子育てをしてきた。弥生は未婚の母であり子どもたちの父親からの認知は得られていない。そして弥生の実母は早逝しているため叔母にあたるオトに女手一人で育てられたという経緯がある。女性だけで支え合ってきた斉木家だが、倫子の失踪の原因たるトラウマティックな出来事が詳らかになるにつれ、ゆっくりとほころびが生じていきーー1970年代から2000年代にかけてたくましく生きる女性たちの姿が、男性中心社会へ鋭い問いをつきつける。

 私がまず感心したのは作劇の巧みさである。母子三世代の歴史劇にはリアリティが感じられた。たとえばカレーや味噌汁にウインナーを入れる家庭の習慣が、祖母にとっての「ごちそう」、母にとっての「憧れ」に由来し、背景に母子家庭の辛さやささやかな喜びが見え隠れするという描き方が秀逸だった。結子が倫子の失踪の原因を追うというミステリ仕立ての展開と、とかくシリアス一辺倒になりがちな題材をコメディ要素を混じえながら描いている点に親しみを覚えた。終盤にかけてやや詰め込み過ぎな感はあったものの、ここまで骨太の作品を編んだ鎌田エリカの手腕に唸った。ただ一点、さぞ切り詰めているだろうと思われるわりに家計の話があまり出てこなかった点は気になった。

 戯曲に応えるかたちで生田みゆきの演出も手が込んでいる。当初は明晰な台詞と音響効果の写術性(蝉の鳴き声や蛇口をひねる音など)が目につく印象だったが、次第に軽やかな身体性や時間軸の大胆な飛躍など、演出のトーンが目まぐるしく変転していった。しかも周到に計算されている。先述したウインナーの世代間比較であるとか、テレビアニメ「サザエさん」を観ながら自分たちの家族について考えを巡らす90年代の双子姉妹と、70年代のオト・弥生母子の家族観の差異を、同時に舞台上に上げながら展開させていた場面はうまいと感じた。極めつけは中盤、倫子がインターネットで性暴力被害支援のNPOに出合い、その思想に共感して胸高ぶる様子をショー仕立てで描いた場面は忘れがたい。性暴力被害者が世間のいわれなき偏見に立ち向かう様を、黒づくめの「怪物」とキラキラしたコスチュームの「戦士たち」の対決として戯画化した点に度肝を抜かれた。

 作劇・演出が設定した高いハードルに対して俳優陣は大健闘したと言えるだろう。袖のないアトリエ第Q藝術の構造上、一杯飾りのなか2時間出ずっぱりで、時間軸が入れ替わるごとに異なる年齢を演じ分ける必要もある。にもかかわらず場面ごとの切り替えが達者でグイグイ物語の世界に引っ張られたのである。ちいさな空間のため大仰に見える動作や台詞の音量をもう少し抑えたほうがいいようにも感じたが、作品にかける強い意気込みは伝わってきた。特に倫子を演じた西岡未央は、快活を装ってはいるものの徐々に精神のバランスを崩していく様子を、表情豊かに高い身体能力で演じきって圧巻であった。七歳のときに受けた傷を結子にだけ打ち明ける様子や、初体験を終えて高ぶる感情をジャンプしながら全身で表現したくだり、真実が明るみになり感情を洗いざらいぶちまける場面など、さまざまな魅力を見せてくれた。

 終盤、オトの故郷である天草の海辺で、ようやく結子は倫子に再会する。倫子は「この場所で/私は歌う/オロイカの歌」(「オロイカ」は天草の方言で「疵物」の意)と謳い上げる。そして倫子が離れオトを亡くした弥生は、花を育てたいと結子に相談する。バラバラになった家族それぞれの再生に向けた取り組みは、映画『ショーシャンクの空に』のラストシーンのような幻の光景なのかもしれない。しかしこの詩情豊かな幕切れが目に焼き付いた。
不思議の国のアリス

不思議の国のアリス

壱劇屋

門真市民文化会館ルミエールホール・小ホール(大阪府)

2022/03/24 (木) ~ 2022/03/25 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

アンサンブルの妙が際立つSF版『不思議の国のアリス』

ネタバレBOX


 スズムシの音が鳴り響く夜半、ひとりの女(谷美歩)がウサギ頭の人物と出会う。やがて不可思議な五つの生命体(大熊隆太郎、北脇勇人、半田慈登、湯浅春枝、吉迫綺音)が女を取り囲む。シルバーのコートに宇宙飛行士を想起させるヘルメットをまとった五体は、原色が際立つ照明変化とビート音で激しく上下に体を揺らす。冒頭の静謐な幕開けと対照的なサイケデリックな導入が、私を物語の世界へ心地よく誘ってくれた。さながらSF版『不思議の国のアリス』の幕開けである。

 私が面白いと感じたのは出演者のアンサンブルがよく取れていた点である。冒頭で指摘した踊りもさることながら、中盤で複数名の演者が白紐を使ってあやとりのようにして図形を作り、そこを谷演じるアリスが戸惑いながらも通過していく様子が面白い。あたかも舞台上に別の空間を構築するようにして物語の行く末を示すその鮮やかな動き、脚色・演出・振付の大熊隆太郎を含め演者たちの手際の良さが印象的であった。

 しかしながらこの5人の存在が強すぎたことも事実である。特に前半、タイトなスーツで体の線を強調した衣装は目のやり場に困ってしまった。加えて体のキレの良さではなく表情で演じていた点が気にかかった。この5人が車座でアリスとコミュニケーションをとろうとする場面は、日常動作の身振りや手振りよりも顔の表情が強すぎた。結果体から湧き上がる情感ではなく表情の変化で場面を押し切ろうとしているように感じたのである。動きの面白さで不可思議な世界へ誘ってくれたらよかったのにと感じた。

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