最新の観てきた!クチコミ一覧

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静寂に火を灯す

静寂に火を灯す

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前半は面白い掛け合い中心のドタバタ劇でしたが、一人の男性が命を絶ってからの後半は一転、静かな時間がゆっくりながれていく落ち着いた舞台でした。キャストも一人一人個性があって印象深く、舞台美術もリアルで全体的にとても丁寧なつくりでした。
初めての劇団さんでしたが、GWの最後にとても良いお芝居に出会えました。

オロイカソング

オロイカソング

理性的な変人たち

アトリエ第Q藝術(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

配信映像にて観劇しました。
ストーリーも様々な時間軸が交差する演出も面白くてあっという間の2時間でした。
少し触れにくいと感じてしまいがちな性について正面から向き合っている印象の作品で、同性だからこそ共感できるのかなという部分がたくさんありました。また女性という性の視点だけでなく、過去のキズという視点からも心に響くものがたくさんありました。
俳優さんたちどの方も素晴らしかったです。オールフィメールの舞台個人的に好きだなぁと改めて感じました。

エンドレスサラヴァ― 2022

エンドレスサラヴァ― 2022

あなピグモ捕獲団

ぽんプラザホール(福岡県)

2022/04/29 (金) ~ 2022/05/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

なんとなく幸せだった2022

なんとなく幸せだった2022

かるがも団地

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/03 (日) 13:00

高校の同級生たち(+α)の高校時代と社会に出てからを描く二部構成の「青春もの」。
「そういえばそんなようなこともあったなぁ」という共感/郷愁を呼び起こす出来事満載な上に台詞などがいたって自然で無理がなく(私見)、抜群に巧い場の創り方と繋ぎ方、それに歌の使い方によっておよそ「一般的な劇場の舞台」とは異なる多目的ホールでの上演であることなどいつの間にか忘れてしまうほど没入できた。

民衆が敵

民衆が敵

ワンツーワークス

ザ・ポケット(東京都)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/06 (金) 18:00

115分。休憩なし。

静寂に火を灯す

静寂に火を灯す

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/06 (金) 14:00

110分。休憩なし。

ロビー・ヒーロー

ロビー・ヒーロー

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/05/06 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

シリーズ「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話...の物語」の第2弾。第1弾と違ってすべてが明瞭である。でも無駄に長い(泣)85分+15分休憩+75分

警備員のジェフ(中村蒼)と監督役の上司ウィリアム(板橋駿谷)、ウィリアムの友人の警察官ビル(瑞木健太郎)と試用期間中の新人女性警官ドーン(岡本玲)の4人のお話。弟が犯したらしい殺人事件のアリバイをウィリアムが偽証したことで4人は複雑にそして歪に絡み合って行く…(CoRichの説明はもう少し詳しい)。

マイケル・サンデル入門のようなジレンマがテーマ。本来一人の問題だが、4人が雁字搦めになる状況を作り出す作者の力量は素晴らしい。そうなのだけれど、そのための準備に全体の4分の3の120分が費やされる。途中休憩ではまだまだ話が見えず、帰ってしまおうかと思うくらいだった。

4人の俳優さんは皆さんうまい。とくにジェフ役の中村さんの軽薄でしつこい演技は素晴らしく、そのために私のイライラが高じてしまう。血圧が高い人(含私)は観ない方が良いかもしれない。これもまた困ったジレンマである。

先日読んだ若い作家の小説は余計な記述が一切なく何とも味気無さを感じたが、この戯曲はというと半分は無駄でできている。その無駄と見える部分を楽しめるようになれば私も成長したということになるのだろうが今のところは「全体で120分以内におさめてくれれば、もっとすっきりと鑑賞できたと思う」となってしまう。

親の顔が見たい

親の顔が見たい

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2022/05/02 (月) ~ 2022/05/06 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

DVDで観ていた昨年の無観客上演とは俳優が三役異なった(WキャストもDVD版と異なるキャスト回を選んだ)こともあって出来具合も若干違ったのかも知れないが、この観劇で如実に感じたのは映像と生との差。画面からは伝わらない波動が劇場では観客の身体を貫通し、映像を見る際に持ってしまう客観的な視野を許されず、いつしか「巻き込まれ」ている。
俳優と共に観客も消耗するが、ある共有体験が実は人間の人格・思想形成に重要である事を思う。教育現場を舞台にした作品であり、作・演出者自身のバックグラウンドでもあるが、作品を媒介にした体験である事に加え、劇場という場での(他の観客との)共有体験の効果とは、教育(関心と知識の両輪、広く人格形成と言っても良いか)に求められる要素に他ならない事をつい考えている。(つまり、演劇の教育的効果の事を言っているのだが。)
この舞台に登場する「親」たちは世間の通念や世論を映しており、我が身の鏡でもある。事件が持つ「特殊性」がドラマのフックになってはいても、結果的に大きな責任を担わされる事それ自体は特殊ではなく、往々にして身に振りかかるもの(自身の何らかの「瑕疵」がもたらした結果として)。そしてその「結果」の重さこそ、このドラマの核心であり、根底を支えるものであり、それと対峙する人物たちのリアルな感覚を俳優が伝え得ていた事が、最大の評価点になる。(優れた舞台だったと一言書けば終わる話でもあろうが..舞台の感動を伝えるのは本当に難しい。)

静寂に火を灯す

静寂に火を灯す

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あらすじから想像した感じだと、最初から考えさせられる、ジメジメしたお芝居かと思ったが、全然違った。
男性4人が明るくておもしろかった。子供みたいではあったが、ひとりひとり好感の持てるキャラだった。
ラストは、それなりにシリアスであったが、明日に向かって、未来に向かって生きていくという光が見えるラストで、よかった。
丁寧に作られていて、感極まって泣き出してしまう人もいて、とても良いお芝居でした。

ネタバレBOX

カンフェティ購入の人、優先入場...
私は全く構わないが、お客さんを差別しているということで、気分を害する人もいるかもしれませんね。
他の特典プレゼントのほうが喜ばれるかも...
ハイスクール・フェスティバル

ハイスクール・フェスティバル

明治大学演劇研究部

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2022/05/04 (水) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演者もストーリーも脚本も良かったです。学生演劇では、久々のヒットでした。

静寂に火を灯す

静寂に火を灯す

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

良かったです。演者もストーリーも舞台美術も!自然と涙がこぼれてました。急勾配の紅葉坂を登って行った甲斐がありました。良い時間をありがとうございました。

静寂に火を灯す

静寂に火を灯す

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「(有)みちのく製菓店」のありふれた日常、ただ長男が自宅に引き籠っていること以外は、何の変哲もない。粗筋にある、長男が自殺して、残された家族や身近な人々が思いを積み上げることで、”一人の男の人生がわかってくる”とあるが…。

自分が観た回には、相当 感受性が豊かな方(自席の真後ろ)がおられ、途中までは笑っていたのに、あるシーン以降は感極まって嗚咽から号泣、そして途中退席された。子に先立たれた親は辛い。その方の事情は分からないが、機微に触れる事があったのだろう。

物語は、確かに泣き笑いという感情を揺さぶるが、肝心の男の人生がシッカリ浮かび上がらないのが もどかしい。
(上演時間1時間45分)

ネタバレBOX

舞台セットは、見事な「(有)みちのく製菓店」事務所内。上手が事務所出入り口、絨毯に応接セット、下手は事務机が並ぶ。窓から陽が射し・月明り。正面壁には月間予定表や「海猫サブレ」の張り紙。神棚、キャビネ、コピー機など、本当にここで商売をしているかのようだ。ちなみに、「みちのく製菓店」や登場家族の名字が「東北」であるが、予定表に小田原市役所との打ち合わせとあることから、店は神奈川県内にあるらしい。衣装(事務服)には「みちのく製菓」と裁縫を施し、小道具にはガラケーを利用する拘り。また照明は、動静や陰(影)陽を表す階調は見事!全体的に観せようとする工夫が良い。
舞台は 2000年代初頭で、店頭販売から通信販売とネット販売に業務形態を切り替えたとある。約20年後、現在のコロナ禍を重ねる設定のよう。

物語は、深夜 自殺した東北智明(脚本・演出:緑慎一郎サン)と妹(次女)・千夏(西田好美サン)の謎めいた会話から始まる。智明はほとんど登場しない。逆に家族や従業員、出入り業者の証言らしきもので智明の人物像を立ち上げる、といった展開である。物語は、自殺そして四十九日の法要を境に、コミカルからシリアスへ劇風も一変する。

引き籠りになった原因は、妹(長女)・彩夏(木村衣織サン)を暴漢から助ける際、相手にケガを負わせ刑事事件になったため。小・中学校時代の友人が彩夏の夫・篠崎純也(根本健サン)になったり、従業員・稲田和人(中根道治サン)として働いており、彼らによれば学生時代は”普通”の少年だったらしい。エピソードらしいことは、純也が車を買って3人でドライブした時、事故を起こした際の穏やかな対応くらい。自殺するまで追い詰められた心情が浮かび上がらない。智明本人にしか分からない事かも知れないが、芝居としては、家族や身近な人々との関わり・・・回想シーンを挿入するなどして「35歳の人生」をもう少し描き込んで印象付けてほしかった。

製菓店での日常、両親のうち母・道子(田代真佐美サン)が社長、父・将人(露木幹也サン)は家事といった裏方、従業員・犬飼香織(岡本みゆきサン)の滋味ある見方、出入り業者・東風 晋(水野琢磨サン)の とぼけた雰囲気-コメディ・リリーフの役回りが店の活気ある雰囲気を出している。”海猫”という名の人物が事件を起こし、その煽りで「海猫サブレ」の売り上げに影響が出たという波風を立てるが、ある工夫をして乗り切る。家庭内や事務所内の見える「日常の生活」と見えない問題「引き籠り」の融合した舞台化を試みているようだが、うまく噛み合っていないのが残念。

家族にしても、智明に夫々が抱いている思いは違う。そして智明を知らない若い従業員・彩音祐治(高杉駿サン)はどうか。母や父の思い、胸の内がなかなか見えない。彩夏と千夏の智明に対する思いが、見どころであろうか。千夏は、彩夏の事件が引き籠りの原因であり、結婚し家から離れた処から傍観者的に見ていることに腹を立てている。また千夏は細々とした暮らし向きの面倒をみており、自分が一番心配しているという自負がある。逆に、彩夏はそれが態とらしいと思っている。心の内にある「思い」の強さは比較できないが、それを敢えて表現しようとしている。それが、ラスト 姉の妊娠に対する祝福と憤りという相反する感情が顕になり、無言で叩いた机の音が…。
次回公演を楽しみにしております。
観劇者(再)

観劇者(再)

ADプロジェクト / サンライズプロモーション東京

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/05/04 (水) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

外岡(とのおか)えりかさんが増々女優として魅力的に。それだけで充分。この人は「た組。」の『壁蝨』やズッキュン娘の『歩いてみやがれ!』などで美人だが性格の悪い苛めっ子ばかり演じる時期があった。顔がアイドル過ぎて役柄が難しいのか。今作の等身大の女性社員役は今後を期待できる魅力に溢れている。ソトオカだと思っていて、何で愛称“とんちゃん”なのか不思議だったがやっと間違いに気付いた。

『痛快活劇「UMA 未確認生物が地球を救う」再演』の舞台を観に来た面々。席は最後列のM列に座った10人の物語。皆人知れぬストーリーを抱えてここにやって来ていた。

席番M列の・・・
⑤林明寛氏
⑥大滝樹さん
⑦清水麻璃亜さん
⑧吉田翔吾氏
⑨毎熊宏介氏
⑩長戸勝彦氏(Wキャスト安芸武司氏)
⑪井上薫さん
⑫外岡えりかさん
⑬岩佐祐樹氏
⑭伊藤あいみさん

略称「UMAスク」の初演を観て、各人それぞれの思い入れを持っている。
「いつかこの舞台が再演される時、主演のツチノコを俺がやるんだ!」
「こんな吐き気がする程、期待に胸が震える仕事に私も関わりたい!」
「推しのサトル君がキラッキラッしている!」

ステージ上段に設置された観客席に座る面々。その上に更に被せる形で各々の姿をプロジェクターで投影。(役者がいなくなってもいいように)。それぞれのエピソードの時だけ役者は下のステージで演じる。それに合わせて投影されたその人の観客席の映像も空席となる。誰が誰だか凄く判り易いし絵的に面白い。

⑥大滝樹さんが「舞台俳優推し活」OLを見事に演じる。ガチヲタあるあるで、観客の共感率はMAX。オペラグラスで他の皆とは違う方向を観ているのがツボ。
⑧吉田翔吾氏はトイレに人が入っていて、行きたいのに行けないまま舞台が始まってしまう悪夢を存分に表現。これぞこの世の地獄。彼を見る度、観客の方もイライラそわそわして気が滅入る。
⑪井上薫さんは流石に上手い。
普通に面白かった。

ネタバレBOX

席番M列の・・・
⑤林明寛氏 良い奴だがかなり抜けている酒屋。マッチングアプリで知り合った⑥に惚れている。
⑥大滝樹さん 推しのサトル君をずっと応援し続けているヲタの鏡。
⑦清水麻璃亜さん 舞台に関わる仕事がしたくて上京した大学生。
⑧吉田翔吾氏 生焼けのホルモンを食べたばっかりに、公演中ずっと尿意と便意に苛まれる地獄の男。「もう舞台は諦めてトイレに行ってくれ!」と観客は祈る思い。
⑨毎熊宏介氏 役者を目指していたが挫折、今はホームセンターでバイト。昔の養成所仲間が主演を張る舞台に足を運ぶ。
⑩長戸勝彦氏(Wキャスト安芸武司氏) 今舞台アンサンブルの父親。昔映画俳優を目指していた。
⑪井上薫さん ⑩の妻。娘の舞台を観に来た。
⑫外岡えりかさん 「真面目すぎてつまらない女」と云うレッテルに落ち込んでいる。普段やらないことをしてみようとふらり当日券で観劇。
⑬岩佐祐樹氏 舞台観劇を人生の中心に置き、その為だけに日夜バイトする男。
⑭伊藤あいみさん 田舎に帰る前の最後の東京の思い出としてこの舞台を観劇。

チケット発売日に取ったのに最後列は酷すぎる。推しのサトル君が河童役なのに、全通しないのはおかしい。(描かれていないだけで全通したのか?)。舞台愛を叫び過ぎるのもどうかと思う。(逆に鼻白む)。エピソードがありきたり、捻りがない。
劇中劇が音声だけで行われているが、正直詰まらない。

矢張り、観劇者10人が一人二役で舞台上も兼ねるべきだったと思う。観客、観ている舞台、それぞれの背負ったエピソードが三つ巴となってグチャグチャのカオスへと登り詰める。(鴻上尚史っぽい)。そしてその昂揚のクライマックスに、ツチノコの名台詞「ここからが本番だ!」が決まる。

再演の度により面白くなりそう。息の長いコンテンツになるのでは。

⑨毎熊宏介氏が観劇後役者への未練を断ち切るのがリアルで斬新。大半はもう一度夢を追ってみるのが通俗的なラスト。「俺じゃ無理だと吹っ切れた」と云うのが嘘臭くなくて良い。⑭伊藤あいみさんのキャラにしてもこの作家のオリジナリティーを感じる。
〈シアター風姿花伝劇作家支援公演〉『風-the Wind-』

〈シアター風姿花伝劇作家支援公演〉『風-the Wind-』

HANA'S MELANCHOLY

シアター風姿花伝(東京都)

2022/04/16 (土) ~ 2022/04/25 (月)公演終了

実演鑑賞

肉体の価値をめぐる逍遙

 18歳の女性がさまざまな立場の人物との交流し成長する過程から、肉体の価値についてさまざまな問いを提示する秀作である。2022年4月22日の昼公演を観劇した。

ネタバレBOX


 高常奈菜子(白濱貴子)は束縛の強い母への反抗として、背中に龍のタトゥーを入れようとしている。資金を稼ぐべく向かった先は性風俗店「肉体」。店長の雑木林(松川真也)の値踏みにたじろぎながらも先輩の八菜子(花純あやの)の助けもあり、奈菜子は少しずつ客をつけていく。しかし周囲に相談なくタトゥーを入れたこともあり奈菜子の稼ぎは落ち、恋人の波流(山中啓伍)とも険悪な仲になってしまう。それでも地道に客を取り続けていたある日、身元不明の女性(蓑手美沙絵)からの電話を受けた奈菜子は、その後度々その女性と電話でコミュニケーションを取り続ける。ルーシーと名乗る彼女は、日本から離れた遠い国で奈菜子とはまた異なる状況のなか自身の肉体の危機に直面していたーー。

 私がまず感心したのは作劇の巧みさである。性風俗産業やタトゥーといった万人が馴染み深いとは言い難い業界をよく取材し、説明的な台詞を使わずに構成した作者・一川華の手腕に瞠目した。本筋とは直接関係のない挿話にもリアリティがある。八菜子が回想する東日本大震災発生時と思われる時期の思い出や、奈菜子のことを愛する女性の名前で呼ばせてくれと願う客(粥川大暉)との対話などが作品に厚みを持たせていた。一川の対話を書く能力の高さ、観客に対する信頼が伝わってきた点に好感をもった。
 
 シアター風姿花伝の一杯飾りを巧みに使った大舘実佐子による空間造形もうまい。舞台上にはふたつのドアとカーテン、一台の机とベッドがあるだけなのに、登場人物が入れ替わるごとにタトゥースタジオや「肉体」の店内、奈菜子と波流が暮らす部屋へと流れるように変わっていく。そのためずいぶんと広い空間で芝居が進んでいるような心地になった。

 他方で私が疑問に思ったのは、奈菜子がタトゥーを入れ風俗で己を値踏みする行為と、ルーシーが直面している女性器切除の慣習を同時に問題化することは妥当なのかという点である。冒頭から奈菜子の越し方や葛藤が丁寧に描かれるのに比して、ルーシーとの邂逅はそこまで深くは描かれないため、やや牽強付会な繋げ方になっているように感じた。そのため終盤で奈菜子が彫師の神沼(原田理央)にタトゥーを入れられる様子を前景に、奈菜子がルーシーへ込めたメッセージを紙飛行機に見立て大量に飛ばす本作最大の見せ場がそこまで感興をそそられるものにならなかったのは残念であった。テーマを絞り奈菜子の生活や精神的な成長をより丁寧に描いた方が、男性中心社会における女性にとってのシリアスな問題を浮き彫りにすることができたのではないかと感じた。
 
 私が観劇した回で奈菜子を演じていた白濱貴子は、2時間ほぼ出ずっぱりで奈菜子の精神的な危うさや芯の強さを力演していた。欲を言えば奈菜子の幼稚さ、軽率な行動の根底にある、母親に対する強い対抗意識や自己肯定感の低さといった要素をもう少し感じさせてもらいたかった。
愛に関するいくつかの断片

愛に関するいくつかの断片

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2022/04/25 (月) ~ 2022/05/05 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

セリフも聞こえない位、大きく高く長く笑っていた人がいたので面白かったんだと思う。
が、空けておいた通路に席を作りスペースをいっぱいにするために開演を11分押しにするのはいかがなものか。

Dramatic Jam2.1

Dramatic Jam2.1

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/05 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一日だけの公演。3本とも面白く観たが、一番好きだったのは『紙風船より』。

ネタバレBOX

岸田國士の『紙風船』を、演出家の到着が遅れている中、まだセリフが入っていない2人が、とりあえず合せてみようと稽古する。そのセリフの入ってなさ加減が絶妙。『いつかいつものいつのひも2022』のリンゴの切り方もよかった。
観劇者(再)

観劇者(再)

ADプロジェクト / サンライズプロモーション東京

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/05/04 (水) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/05/05 (木) 13:30

隣の人の素性等は気にしたことありませんが、実は我々客も、そういうストーリーを抱えながらお芝居を見に来てるのかなあ? 隣の人とおしゃべりして仲良くなったり、徒党を組んだりするタイプの人間じゃないので、いつもおひとり様での観劇ですが、これまで縁もゆかりもないと思ってた他の人との縁とゆかりがこのお芝居だから、ってことを教えてもらった気がします。

グレーな十人の娘

グレーな十人の娘

劇団競泳水着

新宿シアタートップス(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

思っていたようなミステリーとは違っていましたが、いかにも競泳水着らしいスタイルで大いに楽しめました。

ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

これは見事。劇中レビューを交えた戦後混乱期の群像劇、グッときましたね。

イエドロの楽語2022

イエドロの楽語2022

OuBaiTo-Ri

目黒CLEO(東京都)

2022/05/03 (火) ~ 2022/05/05 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

楽しかったです!おぼんろで見せないすっとこどっこいな感の2人芝居は、何度見ても面白いです。落語では決して出てこないあれやこれやに、今回は思いがけない方が特別出演(?)。朗読は新鮮でした。「粗忽長屋」を現代にアレンジした「メゾン・ド・ソコツ」は怖かったです。

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