燐光のイルカたち
劇団青年座
ザ・ポケット(東京都)
2022/09/23 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/09/26 (月) 14:00
座席1階
青年座が注目した劇作家ピンク地底人3号は、地元関西だけでなく東京でも知られている人だ。受賞歴も多数。しかし自分が見たのは今作が初めて。巧みに設定されたプロットと時間軸。見るものを引きつける物語性など、どれも新鮮な驚きがあった。
イスラエルとパレスチナを切り離すコンクリートの壁。イスラエル側にしてみるとテロリストの侵入防止なのだろうが、壁で他の民族を遮断したからといって平和が約束されるわけでない。ピンク地底人3号は劇作を中断して日本を離れ、アメリカや中東を旅をしてこの戯曲のヒントを得たという。また、納棺師も経験し、人間の死を見つめ直してきたという。これらの経験が早速生かされている。
東西ドイツの壁は崩されたが、南北朝鮮を隔てる金網は半島を貫いているし、今作でも描かれている侵入者を攻撃するための歩哨が任務に就いている。アメリカだって例外ではない。トランプ前大統領は移民の流入を防ぐためにメキシコ国境に壁を築くという愚策を実行したし、そもそもアメリカ国内の高級住宅地はgated city、すなわち壁で囲むことによって「セコム」している。自分たちと相いれない、邪魔者を排除して見えないものとする発想は、世界各地に生きている。
物語は都市の南北を分断する壁の南側にある酒場で展開する。この店は北側の入植計画によって立ち退きを迫られている、つまり、北側が南側を蹂躙する構図なのだが、物語は、壁を乗り越えた?あるいは壁の穴をかいくぐって北の青年がこの店に雨宿りするところから始まる。
店の主には亡くなった弟がいるのだが、この青年も弟も映画が好きで脚本家志望というところで、主は弟の影をそこに見る。物語は現在と過去を行き来し、兄弟を取り巻く家族などの人々の人生を照らしながら、分断都市の現実と悲劇を浮かび上がらせていく。
北側の兵士が銃を持って乱入するシーンが場面転換に使われる。この時は耳をつんざくロック音楽と光で「殺人シーン」をカバーアップしていく斬新な演出だ。そしてラストシーンの「イルカ」の演出もすてきだ。劇作の面白さだけでなく演出効果も加わり、この舞台を盛り上げていく。
見逃すと損しそうな、秀作だ。
蓼喰ふ虫
TOKYO PLAYERS COLLECTION
OFF OFFシアター(東京都)
2022/09/21 (水) ~ 2022/09/26 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
100年前の夫婦の話ではありますが、言葉使い以外は現代に置き換えてもあまり違和感はないですね。勿論その頃は知らないですが、全体的に漂う雰囲気がノスタルジックな気分になりました。どこか距離感がある夫婦の姿は実に自然で、流石に本当の夫婦の役者さんと思わされました。全体的にゆっくりと時間が流れるような感覚で、細かな心情の揺らぎを感じる物語でした。
コマギレ
ラビット番長
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2022/09/22 (木) ~ 2022/09/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
最初から最後まで笑いが絶えない面白い作品でした。将棋ファンをくすぐるネタも組み込まれていてありがたいです。
新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス
NICE STALKER
スタジオ空洞(東京都)
2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
幕間にわかりやすく解説してくれる親切な舞台。楽しめました。戯曲の背景にある時代性みたいなものも軽く勉強できました。
Endless SHOCK【9月9日公演中止】
東宝
博多座(福岡県)
2022/09/05 (月) ~ 2022/10/02 (日)公演終了
舞台『千と千尋の神隠し』【5月17日~19日12時、22日12時、25日12時、6月25日~7月3日の公演中止】
東宝
博多座(福岡県)
2022/05/01 (日) ~ 2022/05/28 (土)公演終了
九十九龍城
ヨーロッパ企画
西鉄ホール(福岡県)
2022/01/28 (金) ~ 2022/01/30 (日)公演終了
ナイツ・テイルー騎士物語ー【9月7日~9月12日公演中止】
東宝
博多座(福岡県)
2021/11/13 (土) ~ 2021/11/29 (月)公演終了
ミュージカル『レ・ミゼラブル』【8月22日(日)12:00、8月22日~28日、9月6日~9日、9月11日~16日公演中止】
東宝
博多座(福岡県)
2021/08/04 (水) ~ 2021/08/28 (土)公演終了
羽世保スウィングボーイズ
博多座
博多座(福岡県)
2021/07/16 (金) ~ 2021/07/27 (火)公演終了
夜は短し歩けよ乙女
「夜は短し歩けよ乙女」製作委員会
COOL JAPAN PARK OSAKA・WWホール(大阪府)
2021/06/26 (土) ~ 2021/06/27 (日)公演終了
水谷千重子 50周年記念公演
博多座
博多座(福岡県)
2021/06/25 (金) ~ 2021/07/04 (日)公演終了
ロボット・イン・ザ・ガーデン
劇団四季
キャナルシティ劇場(福岡県)
2021/04/29 (木) ~ 2021/05/16 (日)公演終了
キャッツ【7月22日~7月30日、12月8日、2月24日昼公演中止】
劇団四季
キャナルシティ劇場(福岡県)
2021/07/27 (火) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
「蜜蜂と遠雷」 ~ ひかりを聴け~
シンフォニー音楽劇「蜜蜂と遠雷」製作実行委員会
博多座(福岡県)
2021/05/01 (土) ~ 2021/05/03 (月)公演終了
新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス
NICE STALKER
スタジオ空洞(東京都)
2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
解説を交えて、ハイライトシーンの上演。ジャンルは違うけど、コンサート形式のオペラやミュージカルの時短公演でよくあるタイプですね。ここで予習して、フルサイズの鑑賞に備えるってことで。完成品も観てみたいけど、これはこれで面白いし、勉強になりました。東京ドム子さん、魅力的でした。
S.O.S(エスオーエス
ENG
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
そういうお話だったんですね!!笑えるものとばかり思っていたので、いえ、笑えたんですよ。でも終盤の思いがけない怒涛の展開とラストに涙してしまいました。
友人が上京するというので慌てて取ったチケットでしたが、行って良かったです。
でも、私はひとつ気づいていたんです・・・
S.O.S(エスオーエス
ENG
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
前説で出てきた人間の言動が好きじゃなかったです。おかげで物語前半が「あいつなんだったんだ?」ともやもやしてしまい、集中できませんでした。役者陣は安定していて、好きな人の好きな演技がみれてよかったです。
キンケロシアターさんの特徴で各席に透明なしきりがあるのですが、普通にすごい邪魔だなと思いました。飛沫とか、気にされてる方はいいのかと思われますが、、、私はもう行きたくなくなりました。
夏の夜の夢【9月6日~8日公演中止】
松竹
日生劇場(東京都)
2022/09/06 (火) ~ 2022/09/28 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
巨木が立ち並ぶ大斜面を石段で上り下りし、その頂上には鳥居。日本の山奥で菰姿で現れた俳優たちが、「夏の夜の夢」を演じ始める、という趣向。最初は舞台上にもう一つ、一段高いステージが設けられている(ラストの職人たちの劇でもう一度使われる)。
この芝居の一番の場面は、やはり若い4人の男女のなじりあい。それまでは何となく活気不足だったのに、ヘレナ(堺小春)が「ひどいわ、ハーミア!」と、ぶちぎれた後の応酬は、文句なく面白かった(客席も笑いで沸いた)。ライム(押韻)を生かしたセリフから散文へ、その落差をよく示した瞬間だった。
職人たちも稽古中は全然さえないのに、馬子にも衣裳で、御前芝居となるとがぜんいきいきしたし、大いにおかしかった。
パック含む妖精が子役というのも演出の特徴。3時間10分(休憩25分含む)
血の婚礼
ホリプロ
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2022/09/15 (木) ~ 2022/10/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
強い感情を互いに持ちつつなじりあう花嫁とレオナルドの二人は、「嵐が丘」のキャサリンとヒースクリフのようだ。安蘭けいの肝っ玉母さんぶりが素晴らしい。早見あかりも長身で官能的な存在が、悲劇の中軸としての処女性と魔性とを兼ね備えて魅せた。男たちが主役の芝居のはずだが、なぜか女たちの方が印象に残る。男がどんなにあがいても、母なる女の大地のような命のつながりには勝てないということか。
冒頭の母(安蘭けい)が花婿(須賀健太)に言うセリフ「ナイフなんて誰が発明したんだ。こんなものはない方がいい」が、悲劇への伏線になる。花婿と花嫁(早見あかり)の婚約と、花嫁の元カレのレオナルド(木村達成)と妻(南沢奈央)の不和(第一幕)。婚礼当日の祝宴のなか、花嫁とレオナルドが駆け落ちしてしまう(第二幕)。そして…
音響、ステージング、徐々に壁をぶちぬいて入り口や窓にする美術など、第二幕までの前半で不穏な空気を高めていく。そして休憩後の第三幕は、緑の大樹がまばらに立つ、砂地の不毛の地に場面はガラッと変わる。舞台の奥までをさらして無機的な殺伐感が漂う。野次馬(コロス)の女たち、死の老婆、月(安蘭けい)と、シンボリックな登場人物が悲劇を目撃する。