最新の観てきた!クチコミ一覧

15001-15020件 / 183045件中
衣人館 / 食物園

衣人館 / 食物園

牡丹茶房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一目見てみたいユニットの一つだったが、偶然重なってピッタンコ、てな感じで観る機会が訪れた(小品のため20時開演もあってラッキー)。想像していた「方向性」ではあったが今回のは(過去作を知らないが恐らく)中々容赦ない斬り込み様であったかと。次また観てみたいと思わせる余韻・余白を残した。

ネタバレBOX

己の感性にこだわるが故に周囲(社会)との齟齬が生じるも極少数からの承認は得ている、という構図に見えていたのが、その「少数」の内最も強力な存在(自分のこだわるファッションにおいて師と仰ぐ女性)が揺らぎ、それをきっかけに心身耗弱な自我の世界に入って行く。実は「強いこだわり」は己を守るバリア、承認の関係を再現するために「こだわり」は常軌を逸した次元に達し、崩壊を迎える。現実に起こり得ない(肉体の弱さゆえ・・従って余程思い込みが強いとか実は痛覚が鈍感とかならゼロではないかもだが)領域に至っても観客は主人公の内面を想像し、思いめぐらせその答えを探ろうとするので、中々ヤバイ。
彼女にとって(というより観客にとって?)「救い」となる三人の存在の内最も第三者的な人物が最終的に「突き放した承認」を彼女に与えるが、最後のやり取りではギリギリ聞こえる声量、もう少し内面の裏付けのある声として聴きたかった。(キーになる言葉なのでうっかり聞き洩らしたら置いてけぼりを食らう。)
muro式.がくげいかい【大阪公演、福岡公演延期】

muro式.がくげいかい【大阪公演、福岡公演延期】

muro式

花博記念公園鶴見緑地パーゴラ広場 特設会場(大阪府)

2021/05/22 (土) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めちゃめちゃ良かった!面白かった!こんな大喜劇なのに、色んな文脈を感じ取って大泣きしてしまった。最高の舞台装置と最高の音楽と最高の演劇!学芸会モチーフで子供みたいにワクワクしちゃったな。去年中止なったとき諦めて配信観んくて良かった~!座布団最高。

衣人館 / 食物園

衣人館 / 食物園

牡丹茶房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「衣人館」を観劇
ジャンルはホラーだろうか、真剣に観ると精神を蝕まれそうだ。あまりお勧めするというものではないが演劇としての出来はなかなかなものだと思う。しかし、こういうものはそのまま観るべきなのか何か別のことを想起するべきなのか塩梅が分からない。

ネタバレBOX

あらすじ
「可愛い」を追い求める若い女性、集めた衣服で壁を埋め尽くし、トイレから台所まで好みの装飾を施している。師と仰いでいたカリスマの変調もあって、独自の美の完成を目指すことになる。衣服を厳選し、最後は自分の身体にまで…。
わが友ヒットラー

わが友ヒットラー

Nakayubi.

gallery Main(京都府)

2022/05/12 (木) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

満足度★★

役者はずっと面を付け、表情が分からない…。役者から見たマスクを着けた客はこんな感じなのか…。役者の表情はリアルで観劇する一つのファクターなのに、この演出は残念😢
内容も三島だけにムズいし、誰も信用できないという展開は今の時代を考えるとどうなのかが…
時代に合わせる必要は全くないが、そこまでして感はあった。トップに立つ為には大変だと思います。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/05/12 (木)

価格3,500円

12日19時開演回(80分)を拝見。

駒場東大前に寄席出現!
滑稽噺やSFや師弟の情やらが合わさった80分の一席は、マクラからサゲにいたるまで、一部の隙も無く、常に観客の笑いを誘いつつも、芸事=表現することの愉しさが自然と伝わってくる傑作だった。
終演時、出演者一同打ち揃っての挨拶に、観客席から文字通り、万雷の拍手が沸き起こったのも頷ける、実に得難い貴重な時間を過ごせた。

ネタバレBOX

【配役】
花柄花壇(落語界の大御所だったが、AIとの落語対決で完敗し、一門は離散、人間の噺家が演じる落語界の衰退を招いた)
…岡野康弘さん(相変わらず、凄い役者さんだよなぁ!)
プラン太(花柄一門の元・前座。今はブラック企業の訪問販売員に身を落とすも、実は落語への情熱が…)
…ぐんぴぃさん
鉢(幽霊が出ると噂の花壇の古家に侵入も、いつの間にか花壇の弟子となったパンクロッカー)
…今村圭佑さん
苗(常にいがみ合っているも実は鉢のカノジョ。勢いで花壇の弟子に)
…永田佑衣さん(今回も”投げっぱなしジャーマン”な人物を好演)
燐(花壇師匠が橋の下から拾って来た不思議少女。季節外れの花を取ってくる!という伏線からみて、この世のヒトじゃない?)
…前田悠雅さん(今回、一番の収穫。良い役者さんになりそう)
『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

下北澤姉妹社

駅前劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/12 (木) 14:00

座席1階

価格4,500円

息をもつかせぬ会話劇。東京湾岸の高級タワーマンションのパーティールームに同窓生の女性たちが集まるという設定だ。一見「女の幸せ」の争いとも見えるが、実はもっと複雑だ。見終わってストンと落ちるところがない。だが、これがこの舞台のいいところなのだろう。

「携帯の電源を切って」というお約束の前口上の演出家を排して登場するのが、タワマンの女性コンシェルジェだ。この若い女性が終盤、重要な役割を果たすのだが、それは見てのお楽しみ。主人公は続いて登場する仲のいい3人の同窓生だ。
 結婚して主婦となり、大学に合格した一人娘がいる女性。親子3人でパーティーに参加する「円満な家族」だ。続いて、事実婚で形成外科医のパートナーを持つ自らも医師の女性。有名大学を出て医師となり、子どもを持つこともなく仕事に邁進し高級マンション暮らしという経済的な成功を遂げている。さらに、結婚と離婚を繰り返し4人の男の子を産んだ、都営住宅に住む美容師の女性。今の彼氏はウーバーイーツのような配達員で生活は苦しい。

かつて「負け犬論争」というのがあった。結婚して子供を産まない女性は「負け犬」という扱いだ。会話劇が進行する中で、低所得をさげすむようなニュアンスの言葉や、子どもを産まない女は幸せでない、みたいなせりふが出たりして、聞いているだけでハラハラする。仲がいい同窓生と言っても、本音では友人を下に見て少しの幸せや安全を感じようとする。男にもそういうところがあるが、女性の会話劇でそういう本音炸裂の場面を見ると、なんだがため息が出てしまう。

切れ味鋭いナイフのような言葉で切りつけ、その直後に返り血を浴びる。時折客席を笑いに巻き込みながらも、観客は心から笑えない。そういうところが「ストンと落ちない」という感想につながるのだが、お互いの化けの皮がはがれて本音の戦いになるという展開はおもしろい。これはもう、このような戯曲にのめりこんでいけるかどうかという、好みの問題だ。評価は分かれるかもしれない。

ネタバレBOX

週刊文春が小道具だ。主婦の女性の夫は週刊誌の記者で、芸能界の不倫騒ぎなどのスクープを書いている。だが、本当は日本の政治の闇をえぐるスクープを放ちたいと思っている。そして、でたらめな税金の使い方をしている政治に無関心な市民に怒りを感じている。

個人的にはこの週刊誌記者に共感を覚えた。それぞれ、自分が思う女の幸せを追求し自慢しあうのもいいけれど、そんなことしてる場合じゃないぞ、と叫びたい。「いつも家にいない」と一人娘から非難され、そっぽを向かれているお父さんの頑張りに期待したいのだ。
アナと雪の女王

アナと雪の女王

劇団四季

JR東日本四季劇場[春](東京都)

2021/06/26 (土) ~ 2024/10/31 (木)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

久しぶりの劇団四季観劇。なかなかタイミングが合わず観れなかった本作ですが、やはり傑作。映画の世界観をそのままに、音響、照明、美術、映像を駆使した演出は圧巻。キャストも皆さん素晴らしく、観劇回はアナ役:三平果歩さん、エルサ役:岡本瑞恵さんで、特にこのお二人の歌唱に酔いしれました。映画には無いシーン等も織り込まれ(逆に無くなっているシーンもありますが)、映画を観た方も観ていない方もミュジーカル好きな方もそうでもない方も、是非観劇をお薦めしたいミュージカルです。

ネタバレBOX

名曲「Let It Go ~ありのままで~」を歌唱し直後に1幕を終える演出も余韻と期待を残し、この段階で既に満足しておりました。
衣人館 / 食物園

衣人館 / 食物園

牡丹茶房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『食物園(しょくぶつえん)』

健康保険料、厚生年金保険料、住民税etc.・・・。未納の代金の催告に現れた区の担当の男(杉本等氏)。ガンガンとドアを叩き鳴り止まぬインターフォン。大家(國枝大介氏)に鍵を開けさせ、怒鳴りながら部屋に侵入。やっと彼等が出て行くと、浴室に息を潜め隠れていたこの部屋の住人(二ツ森恵美〈めぐみ〉さん)が顔を出す。部屋には沢山の土を入れたプランター。テーブル上のIHクッキングヒーターにはスープの入った鍋。仕事を辞めて引き籠もっている彼女のもとに、兄(坂井宏充氏)や学生時代の友人(池島はる香さん)が訪ねて来る。どんどんどんどん彼女の病は悪化する一方だったが・・・。

自分が弱者であることを自覚して、他人の迷惑にならないよう必死に息を潜めて生きてきた女。そうまでしても矢張り社会は排除の手を緩めない。口にするのはスープだけ。只々スープを啜るだけ。

ネタバレBOX

『家政婦は見た!』のように“シロアリ”(赤猫座ちこさん)視点の連作集になりそう。(このマンションにはキチガイしかいないのか?)

上島竜兵氏の自殺のニュースと共に日本中にバラ撒かれた鬱。よりによってこんな日にここまでの鬱舞台を観る羽目になるとは・・・。話に流れる旋律は柳田邦男の『犠牲(サクリファイス)―わが息子の脳死の11日』に似たもの。自己否定の果ての果てに微かに手に触れたのは捻れた自己犠牲の美。誰にも理解されない生き方を選び、緑の大地と青空の真下でカラスにつつかれて死んでいくのだ。
『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

下北澤姉妹社

駅前劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/11 (水) 19:00

ベテラン女優たちが集まってのユニットの4作目だが、今までとはちょっと違った感触の作品だった。面白い!94分。
 高級タワーマンションのパーティールームに集まる男女。精神科医の楓(松岡洋子)は事実婚の相手の市川(成田浬)と一緒に住み、その後に楓の高校のダンス部の同級生の麻子(明樹由佳)が夫(辻輝猛)・娘(裕海)と引っ越して来て今日のパーティーとなる。ダンス部の後輩の萌香(みょんふぁ)を4児を持つバツのシングルマザーで、お金に苦しむも現在の相手は若い吉野(関口敦史)と同棲中。これに加えて、市川の弁護士の千葉(高畑裕太)とマンションのコンセルジュの花岡(関口秀美)を加え、「おとなのおんな」達が本音を言い合う…、というような展開。あからさまな言葉でやり合う登場人物達だが、女は既婚/未婚、子どもあり/なし、等で分断される、というのが主たる題材で、緊張感を持って観ていて、最後はファンタジー(?)で終わるあたりが興味深い。
 80年代に私が最初に追っかけた女優の西山水木が演出で、女優陣に特に魅力がある舞台だが、娘の小百合役を演じた裕海が、ちょくちょくいい感じのセリフを発するところが非常に面白い。

衣人館 / 食物園

衣人館 / 食物園

牡丹茶房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

昨年8月に演った短編二本立てイベント『うたかた』。その中の一編、「腥(なまぐさ)の壺」〈脚本烏丸棗(なつめ)・演出杉本等〉が素晴らしかった。何か理想の美のバランスを保った作品で作家の一つの到達点だと思う。未だに「何か凄く嫌な夢を見たが堪らなく美しかったなあ」なんて記憶に残る。となると勿論新作にも期待は高まっていく。(あれを観た人は今回全員観に来てる筈)。

『衣人館(いじんかん)』

マンションの一室、無数の可愛い服やアクセサリーが店内のように部屋中に並べられている。住人の石澤希代子さんは“可愛い”に取り憑かれ、それ以外の価値観を拒絶。彼女の憧れの“先生”、丸本陽子さんとお付きの稲葉葉一氏が会いに来てくれる。“先生”はかつてサロンで、彼女に可愛く在る為の心得を講義してくれた。世界中を放浪しているバックパッカーの弟(飯智一達〈かずと〉氏)が御土産を手に帰国して来るのだが・・・。

石澤希代子さんの表情と高い声が狭い室内を狂気で充たしていく。丸本陽子さんの雰囲気も見事。後半のヴィジュアルが鮮烈でラストは美しい。

ネタバレBOX

“シロアリ”と呼ばれ、勝手にいろんなマンションの部屋に入って暮らしている居候型泥棒(赤猫座ちこさん)がキーパーソン。
石澤希代子さんは本当に理想の“可愛い”に変態する為、無数の洋服で繭を作りその中に閉じ籠もる。その手伝いを頼まれるシロアリ。どんどん繭は膨れ上がり、ジョン・メリックのように奇形化。彼女は成虫の時を迎える、それはまるでエド・ゲインのように・・・。

醜形恐怖症の話にも思える。
民衆が敵

民衆が敵

ワンツーワークス

ザ・ポケット(東京都)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「説明」には
 「匿名の正義」と、どう向き合えばいいのか?
 いびつな情報化社会の根底に巣くうものの正体が浮かびあがる……。
と書かれているが私にはどうもそういう話とは思えなかった。

軽快な場面転換もあって2時間飽きることなく楽しめた。しかし論点がいくつもあって見る角度も変わり作品の方向性はよく分からなかった。

奥村洋治さんはいつもの味のあるおとうさん、関谷美香子さんの官房情報調査室リーダーは怖くてはまり役。そして今日の一押しは官調室員と養護教員の東史子さん、きりりとした可愛さにやられた。


バケモノの子

バケモノの子

劇団四季

JR東日本四季劇場[秋](東京都)

2022/04/30 (土) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第一幕70分休憩20分第二幕75分。
最前列は3列目。

細田守の2015年のアニメ映画を何故か今更ミュージカル化。
当時映画館で観たが雑な出来で、「何でわざわざこれを選んだのか?」と不思議に。細田守作品はどこかで見たような話と設定にその場の思い付きのような適当な展開ばかりで、作品に文学性や哲学を感じる事がない。ただどう作品化するのか何となく足を運んだ。

バケモノの暮らす街、「渋天街(じゅうてんがい)」と渋谷の街が実は繋がっていた。母親を事故で亡くした9歳の蓮(石黒巧君)は親戚達にたらい回しにされることを嫌い、一人逃げ出す。偶然出会った熊のバケモノ・熊徹(伊藤潤一郎氏)に付いて行き、弟子になることに。異世界で九太と名付けられた彼の望みは「一人で生きていけるように強くなること」。“強さ”とは果たして何なのか?がテーマ。

猿のバケモノ・多々良役の韓盛治(ハン・ソンチ)氏がアニメ声で味がある。
主人公の石黒巧君が大活躍、孤独に追い詰められた少年がバケモノの世界で自我を取り戻す通過儀礼を見事にこなす。このバトンを受け取ったのが青年期の九太(蓮)役・大鹿礼生(らいき)氏、流石に上手い!
主人公の対となる存在、一郎彦役の笠松哲朗氏の横顔が尾崎豊似。

しょぼい『キャッツ』のようなメイクで開幕、不安がよぎるも、舞台が渋谷に移ってからは素晴らしい出来映え。目眩く可動し回転する半透明のセットが渋谷のビル街の雑踏を見事に表現。プロジェクションマッピングではなく、組立式の立方体が変化変形トランスフォーム。無数の通行人達は流石に劇団四季のアンサンブル、一人ひとりキャラ設定があり、プロの味を披露するレベルの高さ。石黒巧君の負の影が実体化するシーンにはゾッとした。(真っ黒な子供が現れる)。熊徹と猪王山(いおうぜん)の対決シーンは香港の獅子舞を思わせるド迫力。九太に皆で料理を教えるシーンは、ミュージカルの楽しさに溢れている。

映画を叩き台として、今の劇団でやれるアイディアを精一杯詰め込んでいる。漫画のコマ割りの額縁のようにシーンを細分化して分けていくセンスも良い。少なくとも映画よりは全然良かった。自分のような捻くれた人間には「あの映画でここまでやった」と云うのが高評価。

「胸ん中で剣を握るんだよ!あるだろ、胸ん中の剣が!胸ん中の剣が重要なんだよ!」
アナーキーの名曲、『心の銃』を思い出す。
「俺達拳銃なんか持ってないけど
 戦うことを諦めちゃいやしないぜ
 心の銃を使って戦って行くのさ」

ネタバレBOX

クライマックス、白鯨のシーンが最高。無数のシャボン玉が客席に降り注ぐ。幾つにも分割されたスケルトンの白鯨のパーツが縦横無尽にステージを泳ぎ回る。対決時、ヒロインの楓(柴本優澄美さん)の存在は余りに意味がないので別の役回りに変更すべき。(映画内の無駄な設定も出来る限り変えるべきだった)。

両親に捨てられた少年(離婚と死別)。
尊敬する父親のようになれない少年(バケモノと人間の違い)。
親に全ての選択を決められ言いなりにされているだけの少女。
無力な子供達が溜め込んだ鬱屈した狂気が本当のテーマだろう。
「何で全く自分の話を聞いてくれず、勝手な思い込みだけを押し付けてくるんだ?」

“心の闇”とは、世界と自分への憎悪と否定のことで人なら誰もがそれを持つ。“心の闇”に支配されず、その存在を認め受け入れ共存すること。自己を肯定する為にも“胸ん中の剣”が必要となってくる。
ラスト、主人公は“強さ”とは他者との絆だと訴える。(ここがイマイチ、ピンと来ない。共同体からの除け者は心の闇に堕ちるしかないのか?)

世界観が「スター・ウォーズ」っぽい。ライトサイドとダークサイドの戦い。ダークサイド(暗黒面)は強大な力だがそれを許容すると自らが呑み込まれていってしまう。ラストの一撃はルークのXウイングがデス・スターを破壊した場面を彷彿とさせる。(その元ネタは『燃えよドラゴン』)。

多分再演されなさそうなので、今回一度観ても面白いと思う。一応映画はチェックしておいた方が良い。
朗読劇「太陽のかわりに音楽を。2022」

朗読劇「太陽のかわりに音楽を。2022」

キョードー東京

博品館劇場(東京都)

2022/05/09 (月) ~ 2022/05/17 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2017年12月にオールナイトニッポン50周年企画として、この劇場で上演された舞台を、今回は55周年企画として、朗読劇の形で再演。5年前の舞台は未見。そういえばあの年の暮れに、糸居五郎さんのDJ音源を挟んだ洋楽コンピレーションCDが3枚出たのを買ったが、あれも50周年企画の一つだったことに今頃気付いた。

体調不良による出演者変更のために開演が20分遅れ、ちょっと客席が澱んだムードの中で始まったのと、劇中の糸居五郎ならぬ糸居四郎の喋りが、あの糸居さんとは全く別物なので、実際にラジオで聴いたことがある者としては、序盤のうちは戸惑いも。もう一度観たら印象が変わるかも。

ネタバレBOX

出演は神尾晋一郎(糸居四郎:当初は河本邦弘が出演予定)、比留間俊哉(トロイ)、ランズベリー・アーサー(三雲)、川野剛稔(倉本)、本泉莉奈(青葉)、田中あいみ(アキコ)。アフタートークを含めて約110分だったので、本編は100分弱ぐらいか。
衣人館 / 食物園

衣人館 / 食物園

牡丹茶房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/11 (水)

価格3,000円

11日18時半開演の「衣人館」初日舞台。

僅かに捻れたヴァイオリンの弦が、両端から締め上げられていくうちに、不調和音の悲鳴をあげていくような70分。
そのあまりに"強迫性障害"な展開に、終演後、主演のあの方に「大丈夫⁉︎」と思わず声をかけたくなった(注.コロナ禍の今、勿論、声かけは厳禁です)。
観るヒトによっては、精神的にかなりヘビーな内容の芝居かもしれない。

ネタバレBOX

【配役】
土井江里花(自身で”かわいい”サロンを主宰するも、現実は…)
…石澤希代子さん(ストレスフルな役柄を力演)
土井典明(江里花の弟。放浪癖あれど、姉と違い、現実社会とも折り合いをつける柔軟性はある)
…飯智一達(いいとも・かずと)さん
水森ドロシー(江里花が通っていたサロンの先生。痴ほう症の進行から、素の「よこい・たかこ」に戻りつつあるも、かってサロンを追放された江里花の先行きを案じている)
…丸本陽子さん
トト(ドロシーの従者…実は「よこい・たかこ」の息子。いつまでもドロシーを慕う江里花に迷惑している)
…稲葉葉一さん
高藤(たかとう)麻未(江里花の住むマンションのオーナー)
…丸山夏歩(まるやま・なつほ)さん
八乙女咲月(やおとめ・さつき。ごっついカラダ・気さくな性格の警察官)
…笹井雄吾(ささい・ゆうご)さん
「シロアリ」と呼ばれる女
…赤猫座ちこさん
リディキュラブ

リディキュラブ

南京豆NAMENAME

王子小劇場(東京都)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/16 (土) 14:00

郷里で交際していたが男の上京により中断しその後東京で再会した男女と彼らに関係した人々のあれこれの顛末。
複数の登場人物はエキセントリックだし、出来事も日常をちょっとハミ出したことなのに白けたりせずむしろ共感して観てしまうのは、それらが「芝居のウソ」の範囲内にとどまっていることはもちろんだが、タイトルにもあるように恋愛における愚かさや「したいと思っても理性でガマンしていること」が描かれているからではあるまいか?
そんな匙加減が巧いんだなぁ。

エレファント・ソング

エレファント・ソング

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/05/04 (水) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

絶対にあるのだろうどんでん返し・・・と思ってドキドキしながら見ていましたが、え?そこ!!
精神の病というのはよくわからないですが、切なかったです。

ネタバレBOX

それにしても観客が少なくてびっくりでした。中通路の後ろなんて、通路側の中央が埋まっているくらいでそれより後ろはガラガラ。面白いのにねえ。PARCO劇場にしては地味だから?
FLOWER DRUM SONG

FLOWER DRUM SONG

エイベックス・エンタテインメント

日本青年館ホール(東京都)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/27 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

聞いたことのないミュージカルでしたが、かのサウンドミュージックを作った方の音楽だしと思って見てみたら終始飽きずに引き込まれる内容で行って正解!と思いました。
キャスト皆さん歌がお上手で、話は重苦しくなく、ショーも衣装も華やかでとても楽しめました。京劇の衣装も踊りも生で見るのは新鮮でした。再演があれば良いなと思います。

FLOWER DRUM SONG

FLOWER DRUM SONG

エイベックス・エンタテインメント

日本青年館ホール(東京都)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/27 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一言でいえば迫力不足というか、問題になっている部分がそんなに重く感じられない。華やかなレビューと中華系移民たちの救われない生活。その対比があまり強くないため、恋する二人の物語的な印象の方が強くなり、作者が何を伝えたいのかが希薄になってしまったように思う。とはいえ、石井一孝氏と彩吹真央さん、このお二人のイキイキと役を楽しんでいる様は見もの!実に楽しませてくれた。若いメンバーにもっと余裕があればなと思うばかり。

平家物語 颯 寿永4年のスワロウテイル

平家物語 颯 寿永4年のスワロウテイル

神戸・清盛隊

ABCホール (大阪府)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千秋楽、奥様と観劇。
私は清盛隊ファンですが、それを度外視して冷静に観ても、この10周年記念演舞はむちゃくちゃ凄い舞台だった!

まずは、史実と時空を行き来しつつ、涙なしで見られない平家物語に仕上げた、脚本の青木さんは超天才!!
そして妖演の中尾さんや家康さん等、清盛隊さんとの流麗な殺陣が、これまた圧巻。
たかはしあいこさん、児玉愛さん、そして衡様とひょうきん担当の小田ゆりえさん等々、女優陣も素晴らしい!
更に更に、和田さんと女子sのキレッキレのダンスには鳥肌が…本当に本当に本当に凄かった!
そしてそして、最終兵器:萩原嵐くんの破壊力が凄まじい!

メインの清盛隊さんも頑張っておられました。客演多数の棟梁、嫡男さんは言うまでもなく、イケメン・宗様の演技には寒肌が!
肝の据わった知様、そして敦盛様の生笛、元気はつらつGIONちゃんの体当たり演技、などなど、皆様晴らしかった。

と言う事で、上演時間は2時間ちょっと充実した内容!
東京の方、今週の神戸・清盛隊 10周年記念演舞はメッチャ必見ですよ!

ゆまし〜 神様のくだけた砂

ゆまし〜 神様のくだけた砂

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)

2022/03/06 (日) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Bチームの延期日程初回を観劇。

神を信仰し、巫女達によって守られてきた意等波に、武力侵攻しようとするヤマトだが…

策略渦巻く中、
愛と憎、祝と呪、美と醜、姉妹は何を選ぶのか?

若手の役者さん達も伸び伸び演技されていて、とても好感。
話の展開もとても面白く、観いってしまった。
祈りのシーンが印象的でした。
とても良かった。
終演後の撮影タイムも嬉しい!

このページのQRコードです。

拡大