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『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

下北澤姉妹社

駅前劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

迫力ありますね。綺麗な女性たちの言いたいこと合戦。
タワーマンションのパーティールームなので下品さはない。
外科医役の役者さんがインパクトがあり、いいなあ、と思った。
幸せそうでもみんな悩んでいるので、私だけいろいろ悩んでいるような気がしていたが、なんか少しホッとし、妙に納得。
ひとりひとりの過去とかが全部わかったところで、ああ、おもしろかった、と思いました。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

落語の知識があまり無い私でも、問題無く楽しめる(知識がある方は尚一層だと思います)舞台でした、・・・というか大変面白い舞台でした!まず5人の登場人物が皆個性的で、口調とは裏腹にいい人揃いで共感できました。中でも岡野康弘さんの花柄花壇師匠は、高座を観てみたいと思う程素敵で、粋な噺家さんでした。

ネタバレBOX

現実的に、AIに囲碁や将棋等のプロが破れ、近未来では落語もという話でしたが、演劇の世界はそうはならないと思いたい、思える舞台でした。
贅沢と幸福

贅沢と幸福

オパンポン創造社

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/05/13 (金) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日の公演、ものすごく熱い舞台、一生懸命観ましたが、全然ついていけてないです。観る力が足りなくてすみませんという感じでした。鳩川さん、高橋さん、美しく強い女神さまでした。中川さん、心配なくらいエネルギー放出しておられました。自分が受け留められてないところを同じ舞台を観た皆さんの感想を読ませていただいて思い返したいです。私の席からはある部分が全く見えず、しょっちゅう身体を動かすこともできず、あきらめてしまいました。残念でした。
2回目は最終公演(こちらを先に予約していたのですが)、音や言葉、しっかり聴いてきました。中川さんの気持ち悪さが軽減して(見慣れたからか)、鳩川さんのこわさが増大していました。

ベイビ- ドン クライ 

ベイビ- ドン クライ 

東京ハイビーム

「劇」小劇場(東京都)

2022/05/10 (火) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

恋愛モノといっていいのか?全力で笑わせにかかってくるサダオシリーズ恐るべし(笑)
シリーズ続編という事で先ずは前回までのダイジェストを演ってくれた、超親切。
恋愛相関図的にはサダオ&ブービーとの間にジャイアンがやってきて、一度はサダオ&ジャイアンになってしまったもののジャイアンは天に召されてしまう。
ここからが本作の物語のスタート。
亡きジャイアンの気持ちを引きずったままのサダオ。
そんなサダオを早く正気に戻し、再びカップルに収まるべく頑張るブービーと二人を応援する仲間達。
それなのに…それなのに、またまたジャイアンが!?
サダオ役、スタジオライフ曽世海司さんのシリアス(顔)とコメディータッチのギャップ技
ブービー役、栗田浩太郎さんの猪突猛進さが、とんでも物語の行方を引っぱっていく


作・演出家さんのコメントではシリーズ書き始めの時には世間の常識とはややかけ離れた異世界かも…と思いながら書かれていたそうですが、今やもう普通に観れちゃいますね(笑)
暗いニュースばかり飛び込んでくる今だからこそ、キャラ濃い目、心の栄養ドリンクみたいな作品で一気に美味しくいただけました。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

シドと言われたらバレットと続けてしまう年代なので、セックスピストルズとかプリキュアのくだりは今ひとつわからないですが、面白かったです。AIとの対決シーンが見てみたかった。AI〇〇〇〇〇はどんな風に落語を演じたのでしょうか。
新弟子たちとのやりとりがなんとも面白くて笑いました。でもいつもなんだかあったかいものが流れているMrs.fictions。大好きです。

平家物語 颯 寿永4年のスワロウテイル

平家物語 颯 寿永4年のスワロウテイル

神戸・清盛隊

六行会ホール(東京都)

2022/05/13 (金) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

平家の男性も女性も、ひとりひとりが主役になれるストーリー!何回見ても発見があって、出演者の方の言葉が胸に響く…。
平家の滅亡。
歴史は変えられないけど。
彼らの生き様を、そして未来に続く夢を見届けることができた。

雫のバッキャロー!!

雫のバッキャロー!!

株式会社Ask

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/17 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ワイン三部作の完結編。山梨県勝沼の甲州ワインを醸造するワイナリーと山形県蔵王連峰(ざおうれんぽう)のワイナリーとは昔から家族ぐるみの付き合いをしていた。山梨では若くして病魔に倒れ早逝した天才醸造家・久下恭平氏の物語、山形では交通事故で未だに意識不明、入院中の中右遥日(なかうはるか)さんの物語が。(今作での中右さんの出演はない)。久下氏の遺した白ワインと中右さん一家が造り出した赤ワインに心打たれた人々が、二人の足跡とその腕前を世に知らしめるべく動き出す。

主演の久下恭平氏は流石に凄い。あっという間に観客を味方に付け、心を虜にする。生まれついての天賦の才能か。幼馴染の恋人役、音羽美可子さんがまた魅力的。久下恭平氏とのコミカルな遣り取りは宮崎駿作品を思わせるデフォルメの効いた痛快なもの。この空気感は出来そうでなかなか出来ない。かなり面白く密度が濃い人間ドラマ。妹役の水野花梨(かりん)さんがやたらグラマラスなのも気になった。

皆でワインを飲む場面は秀逸。愛好家なら手が震え出すだろう。真摯にワイン醸造家と向き合った真面目な作風。死生観まで広がる世界。

ネタバレBOX

どうも視点が山形県に移ると、説明ばかりでなかなか話が進展しない。ずっと登場人物達の説明を聞かされている印象で停滞するのは勿体ない。中右遥日さんの存在が欲しかった。
ラスト、久下恭平氏が幽霊のように皆の話を聴いているのだが、そこに中右さんも居て欲しい。肉体が目を醒ます少し前に退席する感じで。
贅沢と幸福

贅沢と幸福

オパンポン創造社

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/05/13 (金) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

新たなオパンポン創造社でした。
ものすごくザワザワするし、重いけど目が離せない。
お好みはあるかもしれないけど、ぜひ一度観てほしいと思いました。

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

下北澤姉妹社

駅前劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

現実に、立場の違う複数人の大人がいるのならそういう話になるのはある意味当然かとも思うけど、やはり時事的な話題が多いと感じた。
世の中の諸問題について観客に気付きを持たせる、思想を伝える、そういったことを演劇作品に持ち込むのは全く構わないと思うが、であるならそれを演劇でやる意味があったほうが面白いと思う。街頭演説をキャラクターに喋らせても駅前の喧騒となにも変わらない。
魅力的な女優さんたちが仲たがいしていく様はハラハラさせてもらった。女の美しさと醜悪さがどんどん見えてくる。
これだけ社会的立場の違う登場人物がいるのなら、社会の歪みであるとか政策の問題などは自然と観客の心に入ってくると思うし、それができる俳優さんがいらっしゃると思うので、時事問題はエッセンス程度でも十分だったのでは、と思う次第。
客席はとてもホットで、お客様にとても愛されている団体なのだな、としみじみ感じました。

ネタバレBOX

コンシェルジュさんにはもっと美しく見える袖丈のジャケットがあるはずです!!!!
静寂に火を灯す

静寂に火を灯す

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了

実演鑑賞

セット、脚本、登場人物、とても丁寧に作られた作品でした。
人の死に対して、少しライトでは?と感じるところもありましたが、登場人物がひとりひとりきちんと作られていて、あー、こういう人いる!と思わせてくれていたので、「この人はこういう感じ方をする人なんだな」で納得してしまえました。
真面目にストーリーを追いかけるところと、気構えずに見ていられるところのバランスがすごくよくて、安心して最後まで観劇することができました。
また色んなテーマや舞台での作品を拝見したいと思います。

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

下北澤姉妹社

駅前劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

山谷典子の作品は何度も観たが、今日はショックだった。こんなに面白くないのは初めてだ。言いたいことは頭ではわかるが、あまりにも散漫で感情面では全く共感できない。もっとテーマを絞るべきだ。西山水木は昔から好きな女優で演出も多く見てきたが、今回はダンスというかミュージカル的な演出が浮いており、引いてしまった。もっと期間をおいて脚本を寝かせてから再考し、冷静になって上演すべきだ。次回に期待する。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

これは、面白かったです。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あらすじからは、ひとりの落語家さんの暗い一生をお芝居でやるのかと思っていた。
全然違い、爆笑の渦でした。
ヤンキー風のカップルが落語家の家に...
この発想は、意外性にビックリ。
役者さん全員、大きな笑いをとれてスゴい!!!
最高におもしろかった。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/05/13 (金) 14:00

ある意味で同劇団の代表作とでも言うべき作品。観るべし!80分。
 2012年に初演された作品の再演。20XX年、なんでもコンピュータが人間より巧くやる時代になり、落語でもコンピュータとベテラン落語家・花柄花壇(岡野)が対決し、花壇が負ける。このため人間の落語家がほとんどいなくなり花柄一門も崩壊し、最後に残った前座のプラン太(ぐんぴぃ)も去る。花壇はたまたま出会ったパンクバンドの鉢(今村)とその恋人・苗(永田)やストリート・チルドレンの燐(前田)を弟子にして、抱腹絶倒・前代未聞の落語修業が始まる…、というストーリー。
 芝浜・らくだ等、落語に関する知識が多少は必要だが、最早一般常識と言ってもよいくらいの話なのかもしれない。同じくパンク・バンドに関して、シド・ヴィシャスとかも知っておいた方が良いが、これも一般常識なのかも知れない。初演も観たが、とにかく落語愛に満ちているのがいい。落語「シド&ナンシー」がまた聞ける(観られる)なんて、スゴク幸せだと思った。笑わせてくれて、最後はちょっと泣かせて、微笑んで終わる。とにかく、いい芝居だ、と言いたいです。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い…お薦め。
舞台美術と物語がうまく馴染んで、一瞬のうちに独特な世界観に誘われる。落語の噺は、生身の落語家とAIが喋った時、どちらが面白いかといった現代的(設定は20xx年)感覚を取り入れて面白可笑しく展開していく。登場人物は5人、そのデフォルメしたキャラ設定は、落語という何となく古典・和風といった固定観念を打ち破って妙な存在感を放って立ち上がる。公演自体が、落語のマクラ+本題+オチの構成のようで、分かり易く親しみが持てる。
(上演時間1時間20分)

ネタバレBOX

落語家・花柄花壇(岡野康弘サン)宅の座敷。上手 床の間に掛け軸や壺、中央に座卓と座布団、下手に畳んだ布団、廊下奥に暖簾(揚幕?)が掛けられている。舞台と客席の間は庭、沓脱石が置かれている。冒頭は、整然とした佇まいであるが、物語の展開によって掛け軸が落ち、破けた暖簾といった荒れた状況を見せる。人の情況と事の状況を重ねるような舞台美術が世界観をよく表わしている。

落語家・花柄花壇が落語噺、地獄八景亡者戯の稽古、その枕(マクラ)としてあの世とこの世の違いを説明する。あの世(多くは地獄)は無臭だが、この世は何とも言えぬ甘い香り。ちなみに極楽は…。そこへ弟子(前座)のプラン太(ぐんぴぃ サン)がAI(可愛いバーチャル・キャラクター)との噺対決の知らせ。AIは芸事でも人間を凌駕し、花柄一門は解散する憂き目。自宅も幽霊屋敷と噂され、鉢(今村圭祐サン)と苗(永田祐衣サン)が興味津々覘きに来る。弟子が去った屋敷に、鉢、苗、そして橋の下で暮らしていた燐(前田悠雅サン)の3人が同居するようになり、再び活気を取り戻す。逃げ出したプラン太は、呉服訪問販売員として師匠宅を訪れるうちに、再び落語に魅了され出す。師匠である花壇が訪問販売の口上を言わせるが、聞き終わって「マニュアル通りだな」と苦言。話芸(術)の難しさをそれとなく諭す。

物語は、典型的な落語家師匠、その元弟子・プラン太と、パンク・ロック風の鉢と苗、さらに飄々として掴みどころのない燐、それぞれが放つ雰囲気、その外見ー衣装や化粧等が異質であるが、妙に馴染んで活き生きと輝き出す。AIに負けて自暴自棄のような生活は、今のコロナ禍の閉塞状況が重なるが、それでも歩みを進めることが大切、と噺ているよう。時として伝統や仕来りといった拘りを見直すことも必要、そんな思いを登場人物を介して表現する。

公演は、照明の諧調が雰囲気を上手く醸し出し、人物の心情を効果的に表す。美術にある植物蔦等の印影が人間味を滲まし、それとなくAIといった人工に対置させる巧さ。
ラスト… 多くの花に囲まれた舞台(冒頭の匂いに繋がる)、台詞はプラン太が燐に教えた「おあおとがよろしいようで(=後続・後継者の準備)」の意味が、上手い洒落となっている。
次回公演も楽しみにしております。
花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高です。手ぬぐい貰った嬉しい。

衣人館 / 食物園

衣人館 / 食物園

牡丹茶房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/12 (木) 18:30

18:30『食物園』20:00『衣人館』の順で観劇。牡丹茶房らしいダークなストーリーは面白く、最後まで緊張感を持って観られる。『食』75分/『衣』70分。
 どちらも対人コミュニケーションに困難を抱える女性の物語。『食』は、ダウナー系の、誰の役にも立てていない、と自己肯定感の低い女性が、おそろしいモノに自分が「役立てる」ことを見つける話。実際にもありそうな話だと思わせるほどに演じる二ツ森が巧く、そして、おそろしい。『衣』は、自分の考える「カワイイ」を追求するために自己主張強めで困難を抱える女性が主人公。信じていたものが崩れる中で、あくまでも追求する姿を石澤が痛々しく演じる。どちらも心が大きく動かされる舞台である。
 細かい仕掛けから、これが同じマンションの3階と4階の出来事だと分かったり、小道具で両話を繋いだりするなど、烏丸らしい緻密な脚本は感動的だ。
 かなり短い休憩を挟んで交互に上演するわけで、両話に「???」役で出演する赤猫座は本当に大変だと思う。逆に、「???」が出会った2人の女、的な見方もできるのかと思う。2人とも「???」に心を許すのは、社会的な関わりがないからだと言えそうである。赤猫座ファンは『衣』では上手に座ることをお薦めする。
 どうでもいいことだが、当パンのルビの振り方が見事、と言うか、私の好みと完全に一致していて、難しいことではないが巧みな作り方に感激した。

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』

下北澤姉妹社

駅前劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

海外戯曲のようなハイソな作風。こういった試みを全面的に支持する。「言いたいこと全てぶち撒けてやる!」との作家の姿勢がカッコイイ。ただその統一感の無さが散漫な印象を与えてしまい、勿体無くもある。かなり真面目な問題提起を掲げており、宗教的社会主義的な蜂起の萌芽すら予感させる程。

超高級タワマンで行われるホームパーティー。和歌を嗜む美人コンシェルジュ(関口秀美さん)が歌い踊りドリンクを運び、ユーモラスにミステリアスに話の鍵を握る。
社会的成功者である精神科医の松岡洋子さんは、事実婚のパートナーである形成外科医・成田浬(かいり)氏の浮気を疑っている。学生時代からの友人で、松岡さんに憧れてタワマンに入居してきた明樹(あかぎ)由佳さんは週刊誌記者の夫(辻輝猛〈てるたけ〉氏)と大学生の娘(裕海さん)がいる。学生時代の後輩、美容師のみょんふぁさんはバツ4で子供が4人。

格差社会、子供のあるなし、女性の幸福の基準、本音と建前、優越感と劣等感、じっと隠してきたものが曝け出される不思議な一夜。めらめらと立ち上る焔(ほむら)。

松岡洋子さん明樹由佳さんみょんふぁさん、主演女優3人はそこに立っているだけで成立する熟練した存在感。何をやらせても巧い。この3人の会話劇だけでも行けた。これは作家も書き甲斐がある。

かなり意識が高い舞台、変わっていて面白いのでお薦め。

ネタバレBOX

現実とリンクした話題がちょこちょこ登場。ゲス不倫をスクープした週刊文文の記者は政界を揺るがす社会的告発を狙っている。「政治家の仕事とは国民から集めた税金の使い途を決めることだ。その一番重要な事に国民は関心を示さない。興味を示すのは有名人のスキャンダルだけ。だから国民に興味を持たせる下世話なネタを暴きつつ、大事な問題へと誘導していかなければならないんだ。」
コンシェルジュに惹かれた男が彼女にアプローチするようなハラハラネタも盛り込みつつ、作家の語り口はかなり巧妙で意図は深い所にあるようだ。

作中、フラメンコのリズムがしばしばカスタネットで奏でられる伏線。いよいよ皆がフラメンコで踊り出す素晴らしい演出。「人生はそれ自体がそもそも法廷であり、己の全てを晒してジャッジを委ねよ」と云うラスト。「さあここからが開廷だ」。

何故、舞台を2018年12月30日にしたのかが分からなかった。翌年の12月から武漢のコロナ騒動が話題にはなったが、まだ誰もマスクなんてしていなかった。多分何か隠された意図がある筈。
民衆が敵

民衆が敵

ワンツーワークス

ザ・ポケット(東京都)

2022/05/05 (木) ~ 2022/05/15 (日)公演終了

実演鑑賞

市民運動グループ「人権理解を深める会」と、それを監視する官房調査室(モデルは内調)。監視される者と、する者の動きが交互に描かれる。官調の父(奥村洋治)と市民グループの娘(高校教師)の存在が、両者を結ぶ線になる。官調の側がやけに上意下達の軍隊的だったり、一方で、仕事内容への疑問を職場で簡単に口にしたり、リアリティーを感じにくかった。

さらに高校教師である娘のデモ参加が、ネットで批判され、娘の反論でさらに炎上する。この展開は今風だが、主筋である官調の監視との作劇上の関連が弱い。

アフターの公開ダメ出しでも言っていたが、娘の婚約者として、監視対象人物が現れた時の、父のリアクションがほとんどなかったのは、「あれ、知ってたの?何か見逃したかな?」と疑問に感じた。

ネタバレBOX

官調がマークするルポライターというのも、フィアンセとの関係にしろかなり無理な設定。ライターが市民運動に潜り込んだ狙いは、実は官調の市民監視の動きを調べて記事にしようとしていたというが、そんな動き簡単に記事にできるほど詳細にわかるわけない。これこそだれか内通者がいそうだが、それは芝居の中で誰も問題にしなかった。

ただ「国のためと言いながら本当に国のためになっているのか。果たして国とはだれのことなのか」の奥村の科白に作者の言いたいことがあることはよくわかった。
開演に遅れて冒頭20分を見逃したので、それで芝居に入り込めなかったのかもしれない。官調の撮ったデモ隊の活人画写真が面白かったようだが、見逃した。
ロビー・ヒーロー

ロビー・ヒーロー

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/05/06 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

戯曲も俳優も見事な芝居だった。海軍を追い出されて、仕方なく警備員(ドアマン)をやってる中村蒼(ジェフ)がいい。のびのびした若さとお気楽なお調子者の様子が、全身からあふれていた。細かい所作もよく考えて作りこまれたものだろう。

ウイリアム(板橋駿谷)が、殺人の疑いで逮捕された弟のために、偽のアリバイ証言をするかどうか悩む。「無実の黒人が刑務所にはいっぱいいるっていうことも知ってる」というセリフで、ウイリアムは黒人の設定? と感じた。眞熊に調べると、米国での上演では黒人が演じていた。そうわかってみると、彼の「この社会は最低だって知ってるさ」等々の科白、ひたすら上に上るための職務への忠実さの裏に、黒人を取り巻く厳しい現実と差別があることがわかる。「お前は黒人だろうに」のようなあからさまなセリフはないので、見のがしやすいが。

家族や相棒のために嘘は許されるのか、逆に正直に話すことは密告・裏切りではないのか。普通、身内をかばうためのうそは当然と思うが、カントはいかなる場合も嘘を否定した。しかし現実には単純な答えはない。正義とは何かを、具体的に問いかけるいい芝居だった。

ネタバレBOX

新人女性警官見習いドーン(岡本玲)を残して、22階J号室にいりびたるビル(瑞木健太郎)の秘密、あるいはウイリアムの証言のうそなどが、すべておしゃべりなジェフの口から漏らされる。その漏らされるまでの過程が、実に緻密で無理がない。最大の山であるウイリアムのうそについては、漏らすつもりはないのに、口が滑ったという場面までの積み上げが実に見事。ただし、それだけ時間がかかる。長すぎると感じる人がいるのはそのせいだろう。

実は幕間にプログラムのあらすじを読んでいたので、どういう風にウイリアムのうそを漏らすのだろうと思ってみていた。そういう興味で見ると、全然飽きなかった。
そもそもウイリアムが弟のことをジェフに相談するまでも、十分じらし、そうなる雰囲気を作るまでに手をかけてからである。

ウイリアムの証言の嘘の事実を知った瞬間、ドーンがにやりとする。ウイリアムをかばっていたビルの評判を、このネタで一気に台無しにできるという思惑からだ。その点、ドーンの動機は正義というより私怨なのである。ドーンが4人いる場で秘密をばらし、一瞬で互いの信頼がバラバラになる展開は予想外で見事だった。
最後に、ジェフとドーンが仲直り?するのは、無理があるのではないか。

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