最新の観てきた!クチコミ一覧

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マルコとグリーンの海

マルコとグリーンの海

ヒコ・カンパニー

ブックカフェ二十世紀(東京都)

2025/01/10 (金) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★


加害と被害はコインの裏表のように似ている。どちらも後ろめたくて、認めたくなくて、目を逸らしたい。加害と被害に無関係でいられる人間はいないし、だから普段は心を麻痺させて何とかやり過ごす。でもそれは単なる対処療法でしかなくて、チクチクチクチク心を苛み続ける。
この舞台はそんな我々に対するショック療法だ。観客は主人公と一緒にズキズキ、ヒリヒリ、ガンガンしながら、最後には心をギュッと抱きしめられる。
主人公の心のレイヤーが一枚また一枚と深淵に向かって捲られていくような港さんの脚本。
のびやかに動きながらも心が加害と被害に囚われたままの主人公を演じられた桜木さん。
真逆のキャラ二役を見事に演じ分けられたカトウさん。
限られたスペースを効果的に使われて、役者さんと舞台の魅力を余すところなく引き出された里見さんの演出。
多くの人に観てもらいたい!ぜひ再演して欲しい!

忘れがたき天使

忘れがたき天使

ACTpath アクトパス

王子小劇場(東京都)

2025/01/10 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/01/10 (金) 18:30

同名のTRPGを舞台化、ということだが、元のTRPGに関して予備知識皆無。物語がしっかりあって、通常の芝居として観られる。120分。
 天使の顔が描けず悩む画家の前に、記憶を無くした「天使」が現われるが、…の物語。TRPGを舞台化と言っているけど、元のRPGを知らないので単純にファンタジーとして観たが、物語は分かりやすく一定程度の起伏もあるものの、私のテイストではなかった。舞台美術の丁寧さと見事さ、照明の技術、ムービング等、見応えはあった。

『鯨よ!私の手に乗れ』『りぼん』

『鯨よ!私の手に乗れ』『りぼん』

オフィス3〇〇

本多劇場(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/01/08 (水) 18:00

『鯨…』を観劇。2017年に初演した作品を再演。歳を取るのも悪くないのだ、と思わせる作劇。とても面白い。130分。
 渡辺えりが山形に戻って母の介護施設に行ったときのことを誇張した前段から、40年前に解散した劇団の劇団員が皆その施設にいるということにして、40年ぶりの公演を…、の物語。2017年の初演も観劇して見事だと思ったが、いろいろと手を加えての本作も実に見事。歳を取っても上演に懸ける熱意やらを感じさせ、加えて後の世代に引き継ぐ大切さも扱う。渡辺の役を演じた桑原裕子は初演に続いての同役だが、今回の方が渡辺っぽい印象だったのは何故なんだろう。ベテラン女優陣の健在ぶりは感激モノである。

優しい劇団の大恋愛Volume7 妄想特急王子エクスプレス2025〜もう会えない君に会える線!〜

優しい劇団の大恋愛Volume7 妄想特急王子エクスプレス2025〜もう会えない君に会える線!〜

優しい劇団

王子小劇場(東京都)

2025/01/04 (土) ~ 2025/01/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/01/04 (土) 16:00

名古屋の劇団の面白い試み。役者の力量と熱意で面白い舞台だった。(7分押し)79分。
 脚本を予め送っておいて、当日の午前にゲネ、午後と夜に本番の公演、という興味深い試み。既に何回かやっているようだが初めて観た。力量ある役者を集めて、1日だけの公演で役者も力が入ってアツイ舞台が作られていた。作・演出の尾崎優人がフラットで何もない舞台場にいてコントロール。台詞を忘れても手を挙げて尾崎にプロンプタをお願いするというスタイルも、逆に面白く観た。正月早々熱量ある舞台だった。ただし、終盤で使われた2曲が大嫌いだったのが若干の興醒め。

Yes Means Yes

Yes Means Yes

serial number(風琴工房改め)

ザ・スズナリ(東京都)

2025/01/10 (金) ~ 2025/01/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/01/11 (土) 14:00

性被害の問題を扱った、緊張感ある105分。興味深く観た。
 37歳の佳恵(内田慈)は夫のある行動から自分が受けた性被害の過去を回想するが…、という物語。内田の独白、風に芝居は進み、4人の男優が相手役として交互に語り、時に演技するというスタイル。展開は緊張感があり、笑う場面もほぼなく、息を呑んで見守る舞台だった。内田の存在感が強烈だった。普通に役者を使って役割を演じさせたらどうだろうか、と気になっていた。

なまえ(仮)

なまえ(仮)

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

こんなに面白い舞台は久しぶりです。ショートショートなので飽きずにもっと観ていたいと思わせる術あり。構成も演者さんも観客を惹きつける引力が半端ないです。次の公演も楽しみにしています。

<2025年1月公演>朗読キネマ『潮騒の祈り』

<2025年1月公演>朗読キネマ『潮騒の祈り』

idenshi195

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

母と娘の確執・回想・受容といったエレメントで構成された抒情的な作品。娘の観点で描いているが、その娘が母親になることで 新たに母の思いを知ることになるのではないか。母にも子供時代があり経験したにも関わらず、親=大人になると その立場 目線で考える。それは先人の定めのようなもので、一概に親のエゴと言えるだろうか。

当日パンフの中で、主宰の高橋郁子さんが「再演を重ねる中で、『これは私の物語だ』とおっしゃるお客様と何人も出会い・・・作者の想いなどはとうの昔に超えて、『私』となる方のためにこの作品は在るのだと思う」と記している。長々と引用したが、この「私」は たぶん娘 綾子なのであろう。しかし母1人娘1人という状況の中、必死に子育てする母の気持が痛いほど伝わる。母が娘の心を殺すまで無関心・無神経だったか。逆に外国映画に「毒親(ドクチン)」という、娘への過剰な教育や躾といった問題を描いた作品がある。子育てに正解はないのだろう。

寂れた海辺の街という設定が妙。妊娠した娘の精神的・肉体的な変化を自然のなかで情緒豊かに紡いでいく。羊水の中の胎児、それを月と潮汐に準え神秘的に、時に現実的に読む。だから配役(表)も娘 綾子、母 和江、そして海となっている。しかも娘と母の間に海が、それは2人を取り持つ新たな命(胎児)を連想させる。シンプルな舞台装置に揺れる波が映え擬声音が効果的に響く。

先の当日パンフには「想像力で溶け合うことで視えてくる母と娘、海と命の物語」、男の自分には、親子の一番解り難い関係(母と娘)だけに手強い。母と息子、父と娘、父と息子は、自分が子として又は父として接したことがあるため何となく想像が出来る。公演では女性ならではの身体的な描写があるため、理屈では分かったつもりだが やはり観念的に捉えている と思う。男優による朗読、それでも母娘は違和感なく存在したが…。
(上演時間1時間20分 休憩なし) 【上弦】 

ネタバレBOX

舞台美術は、会場入り口の対角線上に腰高スツール3脚。その後方に縄簾のような幕。さらに幕奥に照明が1つ。このシンプルな舞台美術が実に効果的な役割を果たす。朗読劇だから、ト書きや波音などの情景は擬態語・擬音語で表現する。また後景の縄簾への流線形の照明が揺らめく波のように見え、さらに丸照明がシルエットになり朧月のように見える。物語は、8月下旬から12月下旬までの約4か月間の話。

綾子は身籠った子を産み育てるため、実家に帰り嫌いな いや憎んでさえいる母に頼らざるを得ない状況。当初 母 和江は反対していたが自分も反対を押し切って産んだ経験があるから認める。母への蟠りは消えない…小学校4年生の時に初潮、それを機に苛められるようになる。登校したくない、しかし 母は綾子が弱いからと決めつける。子の心情に寄り添えず、自分=大人(母親)の立場で追い詰める。そんな母が嫌いだった。その母は、夫に先立たれ昼はパート、夜はスナックで働き1人で綾子を育ててきた。それだけに負けず嫌いの気性の激しい女のよう。母 娘の確執とその原因となった回想が淡々と語られる。

綾子は 東京の予備校で働きだし、年上の男から交際を求められ妊娠した。男の身勝手、結婚もしない 認知もしないし養育費も支払わない。実家に帰るまでの逡巡、それでも産むためには母を頼らなければ、その葛藤が痛いほど伝わる。そして月齢が進むにつれ、自分の体の変化と同時に感情の変化、綾子はだんだんと受け入れていく。胎動によって胎児と語り、それによって母性を育んでいく。そして綾子の思いは母 和子の思いへ近づき、いつの間にか同化していく。

体調の変化は 水が関係してくる。風呂場で異変を来し悲鳴を上げる。そして12月下旬、月に導かれるように夜中の海に入っていく。幻想的な情景 不思議な行為は、生 なのか 死 なのか いずれにしても神秘性を感じる。が、一度産むと決心し胎児と向きあった以上、母 和子が間に合ってホッとした。このドキドキしたシーンによって迷いや葛藤は吹っ切れたかのような和み。
次回公演も楽しみにしております。
なまえ(仮)

なまえ(仮)

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2023年新春公演でも同じ演目「なまえ(仮)」を観ているが、前回に比べ その内容(小話)が増えた分、<なまえ>に対する拘りが強くなったような気がする。小話毎に訴えたいことは違い、その濃淡も異なる。

2023年時に演じた小話は、題名こそ違えているが 内容的には ほぼ同じ。しかし増えた題目は、<なまえ>の重要性・必要性というよりは、便宜的な曖昧さの中にも名前というか呼称が必要なことを挙げている。同時に題目間の繋ぎのような役割も果たしているようで、その意味では場転換はスムーズだ。
(上演時間 1時間35分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は暗幕で囲い、冒頭は中央にテーブルと椅子が置かれている。暗幕には紅い短冊に、舞台と客席の間には白い短冊に文字が書かれている。しかも天井にも貼られ、薄暗い場内だが おめでたい紅白幕を連想させる。最後の獅子舞も合わさって正月公演らしい。

勿論、<なまえ>は人間が付けた便宜的な記号・符号のようなものであるが、その共通性が大切。言語は国によって異なるが、<なまえ>という概念は ある程度共通認識を得ている。その意思疎通・情報伝達から曖昧な呼称まで様々。公演は、その曖昧模糊とした題材に着目した点が妙。

さて「おしながき」の「なまえ(仮)」と構成・梗概は次の通り。
①「ゴッドハンド(仮)」
小学校教師の胃痛を執刀する医者の名(苗字)が「藪(やぶ)」、その語感から手術に対する不安が生じる。医術的なことより先に、名前が重要だと言わんばかり。人格や技術等は名前と関係ないが、外見的なことに拘りが出るというオーソドックスな話。
②「病名(仮)」
病名で患者の気持が一喜一憂するという不思議さ。例えば風邪ならば安心し癌ならば深刻になる。勿論その気持はよく分かるが、医師は何でも病名をつけ、患者はその診断名を欲するという奇妙な現実を突き付ける。
③「電話(仮)」
電話口で「サルワタリ アイコ」という女性は もういない。名前は人物を特定することに関しては便利であるが、その人物自身を表すものではない。例えば女性は婚姻によって姓が変わる。それによって姓+名の語呂が怪しくなる場合もあると。これって夫婦別姓への問題を意識したものか。
④「私の伯父さん(仮)」
「ワーニャ伯父さん」を劇中劇仕立てにしており、伯父と姪の なさぬ恋のよう。「なぜあたたは伯父さんなの?」という台詞は「ロミオとジュリエット」の「ああロミオどうしてあなたはロミオなの」のパロディで、「家なんて関係ない、その名を捨てて私を愛して」に通じる。
⑤「胡散(仮)」
名前は その人物の特定に役立つが、呼称のようなものは それを曖昧にする。例えば 怪しい人物、それも中年以上になれば「胡散臭いおじさん」という一括りで呼ぶ。この題目は2023年の時にはなかったと思う。
⑥「中華満珍楼(仮)」
中華飯店で働く男、その名もチンさん。語感だとどの漢字のチンさんか判然としない。揶揄われることに嫌気がさし、衝撃の告白。本当の名は別にある。外国人が日本人の名前を買うには高額すぎる。だから”珍”さん、何ともシュールだ。
⑦「CHIBA(仮)」
千葉県にあるのに、東京ドイツ村や東京ディズニーランドというイメージ戦略、一方 成田国際空港は、当初 新東京国際空港としたが、いつの間にか今の名前に改称した。国や企業等の思惑によって恣意的に付けられる名前や呼称の曖昧さ。
⑧「列車にて(仮)」
電車内、失恋した男の悩みを聞く牧師。世の中にはもっと辛い思いをしている人がいる…夫が事故で生き埋めになり、その妻が夫の名前を呼び続ける話。それ自体良い話だが、失恋男が誤って「神父さん」と呼ぶが、自分は「牧師」ですと返答する。そこには厳然とした違いがあるという。
⑨「小竹林(仮)」
この読み方は何でしょう。フリップを使い 福井県大野市(越前)という地名までだし、さぞかし難しい読み方のような思わせぶり。実は「コタケバヤシ」という素直な読み方。名前というか漢字の読み方に対する先入観の妙。
⑩「ぐっち(仮)」
アベックが高級貴金属店で買い物をする。男は女のためにGUCCIの指輪を購入するが、店員は それをロゴなし袋に無造作に入れる。アベックは、品物に相応しい(見せびらかす)袋を用意しろと…。目に見えない袋を用意されたアベックは、宛ら「裸の王様」の寓話のようだ。
⑪「市民土木課の一日(仮)」
市民課と土木課の統合で生まれた新設課。配属された人の中に元恋人同士、その喧嘩や日和見の新人の言動を面白可笑しく描く。しかし、原発誘致が白紙になり 日々暇を持て余す課員たち。そして関係のない課を一つにし市民蔑ろの行政、ここでは どちらの名を先にするかが問題。銀行の合併じゃあるまいしは辛辣。また「課長」<権威>という呼称は、個人の名とは関係なく歩き出す習性の怖さ。全員登場による共演。

各題目ごとに 「なまえ」という切り口で緩い寓話らしきものを垣間見せる巧さ。その内容は多義にわたり面白可笑しく観せ、2023年に比べると時事的な事柄も随所に描く。また題目によっては<なまえ>のダジャレのような描き方だが、そこには繋ぎという別の役割を持たせており巧い。

演出は各題目によってテーブルや椅子の配置を変え、シンプルであるが状況を表出する。同時にキャストは衣装替えをし、観せる工夫をする。勿論、音響・照明などの舞台技術も効果的な役割を果たしていた。薄暗がりの無人舞台、暗幕に貼られた短冊、そしてラストには天井から短冊が舞い落ちる。その光景は、<なまえ>が重いのか軽いのか、人それぞれの思いと状況によるような。
次回公演も楽しみにしております。
ハッピーバッドエンドロール

ハッピーバッドエンドロール

route.©︎

王子小劇場(東京都)

2024/12/25 (水) ~ 2024/12/31 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/12/28 (土)

28日の13時と18時で両チームを観劇。
不思議の国のアリス/鏡の国のアリスにインスパイアされたファンタジー。
なるほど確かにほぼ原典そのままの場面アリ、残酷さや毒が割増しの部分アリで元ネタを知っているとより楽しい。
そんな中で芋虫とチェシャ猫の「舞台表現」に感服。
また、衣装も凝っていて芝居の魅力をさらに際立たせていたと思う。

ネタバレBOX

そう言えば「何だか不可思議な世界に入り込み、最後には追いかけられるコワさ」というのはいかにも「夢の世界」だなぁ。
<2025年1月公演>朗読キネマ『潮騒の祈り』

<2025年1月公演>朗読キネマ『潮騒の祈り』

idenshi195

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

上弦チームを観劇しました。
男性3人で女性を演じていましたが、違和感なく幻想的な雰囲気で、とても良かったです。
3人の語りから情景が浮かんできて、どうなるのか?とハラハラしながら聴き入りました。
良い舞台でした。

ミュージカル『アリスの翼』

ミュージカル『アリスの翼』

カンパーナ・プロジェクト

サンモールスタジオ(東京都)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2025/01/05 (日) 13:00

価格6,000円

序盤も序盤、良い雰囲気だな、懐かしさを感じるなとほっこりしていたのだけど、、、
何か伝わってくるものが感じ取れず、とてももったいないミュージカルだったなと個人的には思うのでした

ネタバレBOX

キャストの技量の差がありすぎ、またピアノ?を多用しているのでかき消されてしまう、またもう少しアカペラがあるといいなと、ゲストをいれるのは良いものの、世界観にのめり込みたい方にとっては一気に冷めると思うかな
もろもろ…ね
「BLUE? or RED?」

「BLUE? or RED?」

伊藤えん魔プロデュース

ACT cafe(大阪府)

2025/01/11 (土) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

BLUEもREDも笑いだけでなくしっとりした部分もありどちらも面白かったです。
勝手にBLUEの話とREDの話が何か関係してるのかと思って見てましたが関係なかったみたい

『逆さまの日記』『ベイカーストリートの犬』

『逆さまの日記』『ベイカーストリートの犬』

サルメカンパニー

駅前劇場(東京都)

2025/01/10 (金) ~ 2025/01/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ミステリの元祖の古典二作の連続上演。パスカヴィルの犬を下敷きにした「ベイカーストリートの犬」は結構複雑な家族関係がイングランドの沼地を背景に崩壊していく因縁話である。原作は19世紀に書かれていて英国怪談(ホラー)の原型らしく、その後も同じような物語ではパルコ劇場で大ヒットした「ウーマン・イン・ブラック」があるし、「ブラッケン・ムーア」も似た世界である。底なし沼に異形に犬の咆哮が響いたり、田舎貴族の巨万の相続話とか、都会から殺人犯の脱走犯が現われたり登場人物も事件も盛り沢山だ。
あまり経験がない若い劇団なのに、と言う危惧は当たって、注文の多い公演である。脚本は。原作をなるべく生かした上にもう一ひねりという壮図は良いが、どこも行き届いていない。小劇場で2時間45分(休憩10分)は台詞に続く台詞で十人あまりの登場人物を説明する。しかも事件は原作から随分沢山とっていて動きのあるシーンが多い。しかし舞台は駅前劇場の低い天井で奥の詰まった舞台である。切り出し風の装置でロンドンのベイカーストリートも田舎の沼地も貴族の館も全シーンを始末する工夫は、条件を見ればよくできたとは言えるのだが、なぜ、変形の斜めに舞台を曲げて組んだのか解らない。音楽をナマバンドでやるのは劇団の主張らしく今回も金管を軸に4人のバンドは入り、女優が歌ったりもするが浮いている。
俳優も一本調子にならないように構成演出も工夫しなければ。舞台進行だけで手一杯である。趣向も拡げるだけで絞らないと恐怖も、サスペンスも深まらない。
コロナでほぼ忘れられていたミステリ劇が次々復活上演され、若い作家でもこの作家や須貝英がとりくんでいる。本格系のミステリは閉鎖された世界だから、作り物の面白さの実験には良い素材であるが、二人とも原作からとりすぎである。三島は乱歩の「黒蜥蜴」でとったのは人物名と場所だけで台詞も中身もろくにとっていない。思い切って自己流に今の時代にあわせて作り替えなければ若さが生きていない。満席ではあったがうぬぼれてはいけない。もう一つ、この舞台は2.5と演劇との分かれ目に立っている。観客は、この物語に初めて接するようだ。結構熱心に話で見ている。若い男女の良い客層である。ここを、演劇の客にするか、2.5の一時的な「推し」で終わらせるかは、ここからほんの少し、どちらへ進むかにかかっている。折角の才能が演劇に向かうように期待もしたい。


躾

SCOOL(東京都)

2025/01/11 (土) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

父と暮せば

父と暮せば

酔ひどれ船

北千住BUoY(東京都)

2025/01/10 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

上演頻度が非常に高い井上ひさしの名作だが、これはまた何とも素朴な味わいのある公演だ。これこそこの名作が描いている父娘の姿ではないかと感じられた。廃業した銭湯の跡を利用した劇場で上演されたのも味わいある素朴さの醸成に貢献している。立派な劇場で上演されていたら、この素朴さは出なかっただろう。

冥途遊山(めいどゆさん)

冥途遊山(めいどゆさん)

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

江戸人情時代劇、死者の地獄巡り御一行が生前の生き方を問われてというお話。笑いあり泣きありで楽しませてもらいました。

卒塔婆小町 葵上

卒塔婆小町 葵上

東京大学芸能研究科

駒場小空間(東京大学多目的ホール)(東京都)

2025/01/10 (金) ~ 2025/01/11 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

三島由紀夫の近代能楽集から「卒塔婆小町」と「葵上」の2編。本演目は未見で戯曲も読んだことがないため、興味津々で東大多目的ホールへ。登場人物の少なさやシンプルな舞台装置、薄暗い中での飄々 時として濃密な会話は別役実作品を観ているような印象。

この両作品とも、二項対立させながらテーマらしき比喩が浮かび上がる。「卒塔婆小町」は「若い」と「老い」や「生」と「死」といった対比の中に抗えない人の宿命が描かれている。「葵上」は「愛情」と「嫉妬」や「情念」と「諦念」といった人が、特に男女間で起こる感情の縺れを情緒的に描いている。しかし近代能楽とは言え、元が能楽ゆえ若干違うが、「あの世=ワキ」と「この世とあの世との『あはひ』に生きる者=シテ」という基本的な構造は変わらないようだ。

舞台装置や演出は、幽玄といった雰囲気を醸し出しており観応えがある。しかし演技がその雰囲気の中に溶け込んでいかないのが憾み。外見(観)や発声等は学生演劇の域を出ないのは止むを得ないとしても、演技は工夫の余地があると思う。例えば腰を曲げた老婆(99歳)、その割には俊敏と感じられるような動き。腰を曲げているにも関わらず吸殻を簡単に拾い上げる等…。台詞は 丁寧に発音しており、情感がこめられているだけに惜しい。
(上演時間1時間30分 休憩兼転換10分)追記予定

なまえ(仮)

なまえ(仮)

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

入り口から短冊に書かれた名前中の壁一面天井にもかかれていました あっかんでした

なまえ(仮)

なまえ(仮)

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

相変わらずの安定感でした。とても面白かったです。いつもよりシュール感は少し控えめだった気がしましたが、今回は今回でよかったです。軽快にいろいろなお話が展開して、途中に入る語りもテンポ良くあっという間の1時間34分でした。名前に縛られる、守られる、支配される、名前、名称とは?みたいなこともあらためて感じた時間でした。
最後の獅子舞も良かった、今年も楽しみにしています。

冥途遊山(めいどゆさん)

冥途遊山(めいどゆさん)

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

龍組を拝見。2時間弱のお芝居でしたが、歌ありダンスありお笑いあり、ホロッとする場面ありと盛りだくさんで、時間を感じさせない良くできたお芝居だったと思います。エンターテイメントととして、気楽にとても楽しく拝見しました。個人的にはラストハッピーエンド?な感じで良かったです。

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