最新の観てきた!クチコミ一覧

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花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/05/22 (日) 18:00

2度目の観劇。やはり、とんでもなく面白い。83分。
本当に最高だった。
落語とパンクロックを知っていると、もっと面白い。

ネタバレBOX

・劇中で使われる古典落語リスト。
「地獄八景」…冒頭で花壇が語る
「野ざらし」…タイトルのみ。初音ミクの「野ざらし」はぜひ聞いてみたい。
「死神」…ろうそくがフッと消える
「芝浜」…鉢が語る
「文七元結」…タイトルのみ、ロンドン中を泣かせてほしい
「らくだ」…かんかんのう~
「釜どろ」…燐が語る

・劇中で語られる新作落語リスト。
「プリキュア」…花壇が語る
「シド&ナンシー」…苗が語る。これはなんとかして最後まで聞きたい!
「チェルシーホテルの仇討ち」…タイトルのみ
「(タイトルなし)」…花壇が語る、花壇vs初音ミク、の様子
CUBE

CUBE

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2022/05/19 (木) ~ 2022/05/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

AB一気公演を観劇。好き嫌いがあまり出にくい短編集になている様に思った。全体的にテンポ感が良く、長さの割にダレル時間がない。

ネタバレBOX

天気と戦う女。高宗さんの声が持つのかちょっと不安(よく知らないのであれが普通かわからない)かなり不得手な感じの声の出し方をしているのかと思えるほどの違和感でした。ジャガーノートはかなりパワープレイ感。成立していたが毎回行けるのか?ちょっとパワーダウンしたら途端に残念な感じになりそう。
渡邉結衣さん、前に出演舞台見た時は特に印象に残ってなかった、別件で名が上がった時にあの舞台にあの役で出てた子だよと教えられてやっと思い出したくらい。「女流作家達の備忘録」「巨匠と三毛猫パスタ」を見て「個性」が若干希薄なのかなと感じた。お芝居は上手いです
残火

残火

廃墟文藝部

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2022/05/20 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/22 (日) 15:00

初の廃墟文藝部鑑賞。
斜田戯曲のファンとしてここは見逃せなかった。
圧倒的に飲み込んでくるのを期待してしまったので評価は★4つ。
それでも戯曲、スタッフ、演者ともにハイレベルで見ごたえは十分。

ネタバレBOX

平成という時代をたどり、そして架空の令和という現実へ。天変地異や戦争、政治や人殺しのニュース、スポーツ選手たちの栄光などが、走馬灯のように走っていく。そして、これでもかという想像以上の悲劇を見せたかと思いきや、最後にふっとそれが一瞬の予知夢のようなものだとわかる。
 
白昼、カメラのフラッシュの中で予知夢を見た彼は思うのだろう。「こんな悲しいことが起こるのは、彼女ではなく自分自身であってほしい。いや、自分の知らない誰かであってほしい」と。
 
しかし、それすらも考えられらないほどに、覚えていられないほどに彼は幼いのだ。幼いころに抱いた、そこはかとない恐怖は忘れてしまうのだという作家からの暗示かもしれない。
 
「なにかのはじまりはなにかの終わり」そして、その逆も然り。
この公演は終わり、新しい何かがはじまるのは廃墟文藝部という劇団だけなのか、それとも観劇した人々たちもまた新しい何かが始まるのか。と、そんなことを考える芝居でした。
 
それにしても、よく踏み切ったな、と思える作品だ。
眞理の勇氣

眞理の勇氣

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2022/05/13 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

戸坂潤と言う名はうんと若い頃、古本屋に如何にも昔の学生が手にしていただろうような、茶けた紙に1サイズ小さめの字がびっしりタイプの分厚い文庫本が置かれていた朧ろな記憶がある(唯物論研究序説だとか何とかいう物々しい題ではなかったか..)。
それにしても芝居の題材にし、主人公に据えるには随分マニアックで、評伝劇なら仲介者として現代から(またはせめて戦後のある時点から)当時を射程し、そこを入り口に時代を遡って行くのが常套である所、本作は「現在」を介在させず、戸坂の研究会のかつての同志を語り手に据えているとは言え、劇はほぼ当時を時系列に辿って行く。作者はこれが最も相応しいと判断したのだろう。戸坂の思想や哲学を(恐らく)原文に逐語的に本人に語らせ、解説に走らないのもその方針の延長に思われる。(ただし彼らに貼りついた特高刑事(3人いる)の質問に用語解説はする。)
が、言葉は晦渋でも、何が問題とされているかは戦時体制(思想弾圧や監視)という状況の中に鮮明になる。
唯物論という言葉は、日本史に引き付ければ、物理的事情を無視した戦略で国民を翻弄し、甚大な被害を与えた軍部の殆ど計画性の無い決定は「神」の御名の下に為された、という視点が多分に滲んでいる。勿論軍部の原則の無さが露呈するのは戦後の事だが、渦中にあって社会と体制の矛盾を見通す視点があった事、その視点を固持し説いた抵抗者が存在した事は現代に示唆を与える事実だ。
史実を比較的忠実に反映させる古川氏の筆は、いつも思う事だが何故か「それでも見せてしまう」。息を詰めて集中する時間と、大いに呼吸をして情景を味わう時間が適切に配されているようである。
もう一点本作の「見せてしまう」要素として、戸坂や既婚の研究会メンバーの女性関係の描写がある。大杉栄を前妻から奪った野枝らにも言及され、生活のためにでなく主義、思想で結びつく関係、自由恋愛の文脈に据えようとしていたが、劇中それなりの時間を割いたわりにいまいちフィットしていなかった。「科学的精神」をもって現実と厳しく対峙する戸坂潤の人物像(役者の造形も)は、ユートピアを謳うアナーキズムやある種の共産主義のそれとは異なり、文字通り「科学」に立つ態度、リビドーの発動と一線を画する事にむしろ自覚的である態度を想像する。戸坂氏のは単純に、一度後妻に迎えたい意思表示をした相手との焼け木杭のようなもので、本筋に噛んで来るレベルのエピソードかな..というのは素朴な感想。
それはともかく、、現在、日本学術会議の非承認問題に象徴される自民長期政権の学問の軽視と、非科学的態度(というか頭の悪さ)はマスコミの事後承認により(それを批判しない大多数の市民により)放任状態となっており、来たる参院選での野党惨敗後の3年間、「科学的精神」の敗北を逐一見続ける羽目になる事は覚悟せねばならんだろう。これからの課題は科学的精神そのものではなく、戸坂ら唯物論研究所が敗勢の中で後世ためにどう闘い、どう闘いを閉じたかに何を学べるか、既にそういう段階にある事を憂える昨今、本作は「歴史は繰り返す」を思い知らせる作品になった。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#今村圭佑 #岡野康弘
#ぐんぴぃ #永田佑衣
#前田悠雅(敬称略)
哀れで切ない要素もあるけれど、それをしんみりとはさせない豊かな笑いと可笑しさで、見事にMrs.fictionsワールドに仕上げられていた。
その一翼を担った永田佑衣さんの存在感が圧巻で、ヤンチャな見た目と時折漏らす乙女な声のギャップに劇場中が笑い悶え虜になった。かれこれ彼女の出演作をかなりの数観てきたけれど、最高のパフォーマンスではなかろうか。あの大きくて物憂い白目に会いたくて、二度三度と足を運んだ観客も少なくないと思う。
もちろん今村座長のブッ飛び具合と、岡野さんの安定の哀愁と可笑しさがあってこその完成度。
いやぁ、イイもの観た。
気持ち良く笑った。
大いに笑った。

ホテル

ホテル

20歳の国

新宿眼科画廊(東京都)

2022/05/13 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/15 (日) 14:30

【コーヒー】
マッチングアプリでマッチしてホテルで待ち合わせる男女とそのホテルの清掃スタッフ2人の会話を中心としながら時に会話や場をクロスさせつつ両者の関係を明かしてゆく構造が演劇手法としても話の進め方にしても巧みで、こういうの好きだなぁ。

鮭スペアレ版『マクベス』

鮭スペアレ版『マクベス』

鮭スペアレ

銕仙会能楽研修所(東京都)

2022/05/22 (日) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/22 (日)

価格2,420円

22日18時開演回(78分)を動画配信で視聴。

北千住BUoYでの初演公演(2018)と比べて、筋立てが簡潔明瞭に感じられ、素直に鮭スペ版『マクベス』の世界観に入っていくことが出来た。

ネタバレBOX

【配役】
マクベス:清水いつ鹿さん
マクベス夫人:宮川麻理子さん
バンコー(マクベスの同僚):西田夏奈子さん
マクダッフ(ダンカン王の臣下):上埜すみれさん
ダンカン王・マルコム(ダンカン王の息子):葵さん
ロッス(ダンカン王の臣下)/アンガス(ダンカン王の臣下):水上亜弓さん
ヒカト(呪術を司る女神):中込遊里さん

【演奏】
キーボード・パーカッション:吉田能さん(あやめ十八番) 
バイオリン:中條日菜子さん
馬頭琴:フルハシユミコさん
木魚:中込遊里さん
せんがわ劇場演劇コンクール

せんがわ劇場演劇コンクール

せんがわ劇場

調布市せんがわ劇場(東京都)

2022/05/21 (土) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

価格0円

2日目は11時30分からの上演。2団体の上演だが、表彰式があり、その中で専門審査員が全団体の講評をするため開始時間が早くなっている。専門審査員の講評は、以前(少なくとも自分が全団体を観劇し、授賞式を観覧しだした第5回から第10回)に比べると優しく前向きに思える。今回は「良く出来ている」といった主旨の肯定を前提にした講評(以前は「ダメだし」の辛口印象)だ。
(上演時間は各30~40分内)

ネタバレBOX

5月22日(日)11:30
安住の地(京都府)『アーツ』

舞台美術は、中央に紗幕のある大きな別室(空間)を設える。設置・撤収も審査時間と関りがあるから、各団体とも小物中心だが…。ストレートプレイにムーヴメントを使った観せ方。物語は美術館で、一人の鑑賞者が逮捕された。本人は「絵を見ていただけ」、美術館側は「作品に危害が及ぶ可能性があった」と主張する。それを孤独に聞いている存在が「絵」だった。絵の追憶とも言える、自分が描かれたあの頃のことを話し出す。絵の歴史的な制作経緯や価値を現在と過去(原始時代ー壁画や戦時中)を交錯して展開していく。絵が好きな青年は出征し帰らぬ人に、その兄の願いで弟が美術学校で学ぶため 大切にしていた欅の木を切って学費に充てるが…。空襲の最中に置いてきた絵を取りに戻る姿、絵の悲しい出来事の変遷が語られる。

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5月22日(日)13:00
階(缶々の階)(大阪府・兵庫県)『だから君はここにいるのか』【舞台編】  

冒頭は、観念的といった印象。
舞台は、劇場の公演準備前の舞台。仕込みが遅れている舞台上で、一人の俳優が、スタッフのために缶コーヒーを両腕に抱え待っている。と、台本の台詞を正確に喋る見知らぬ男が現れる。その台詞は、舞台上にいる俳優が喋るはずだったもの。すでに削除され無になった台詞と台詞がなくなって出番が無くなった俳優が いつの間にか同化してくる不思議感覚。劇に登場しなかった登場人物(台詞)とその役を演じるはずだった俳優の物語はシュール。他方、台詞とは誰のためのものか?観客に向けてであれば、観客不在の前説は何なのか。スタッフが声のみ出演という劇中内の前説アナウンスが笑える。

〇団体受賞
グランプリ
階(缶々の階)『「だから君はここにいるのか」【舞台編】』(作・演出:久野那美)
オーディエンス賞
安住の地『アーツ』(作・演出:私道かぴ)

〇個人受賞
劇作家賞
神保治暉(エリア51『てつたう』)
演出家賞
星善之(ほしぷろ『「なめとこ山の熊のことならおもしろい。」』)
俳優賞
瀧澤綾音(ほしぷろ『「なめとこ山の熊のことならおもしろい。」』)

*専門審査員によるファイナリスト5団体への講評は、後日劇場ホームページにて発表される予定。
せんがわ劇場演劇コンクール

せんがわ劇場演劇コンクール

せんがわ劇場

調布市せんがわ劇場(東京都)

2022/05/21 (土) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

価格0円

毎年楽しみにしている演劇コンクール。今年も全5作品の観劇と審査講評、授賞式まで観覧が出来た。実施目的は、概ね「『次世代を担う芸術家と鑑賞者の育成』をめざす企画」ということらしい。

ファイナル5団体の上演順は、抽選による希望順らしいが、偶然にも初日3団体は東日本、2日目の2団体は西日本となっている。既に結果発表されているが、偶然にもグランプリとオーディエンス賞は2日目に上演した関西の2劇団が受賞した。とは言え、自分が観た限りでは、それぞれ特色ある劇作が出来ていたと思う。満足した観劇内容、同時に学ぶべきことや気付きが多くあり、充実した2日間であった。
なお、「観てきた!」は、コンクール日程のとおり2回に分けて記載し、団体ごとの★評価はしない。
(上演時間は各30~40分内)

ネタバレBOX

全5団体中、4団体がムーヴメントというかコンテンポラリーダンスといった身体表現(演技)を演じて物語を展開していく。最後の「階(缶々の階)」という団体だけが、ストレートプレイで観せる。比較的短い時間内で上演するためには、身体表現を取り入れた作品のほうが視覚的な印象が強くコンクール向きなのだろうか。

5月21日(土)13:30
盛夏火(東京都) 『スプリング・リバーブ』

観客を異次元に誘い込むようだ。たつき、マヤなどが、演劇コンクール出場のため、音響・照明スタッフを引き連れ、せんがわ劇場へ下見に来ていた。仕込んだコンクール下見(3月中旬)という設定とコンクール当日(5月21日ー観客視点)の違いが緩い笑いを誘う。姿を見せない照明係の声だけ出演も仕込み光景を思わせる。少しオカルト的とも思える不思議感覚。
コンクールで優勝したいがために実現不可能な演出ばかり夢想するたつきと、小学生時代を過ごした仙川での日々を懐かしむマヤ。地元ということもあり、地域情報はリアルだ。たつき達は期限までに無事作品を完成させる事はできるのか、という夢想世界へ戻っていく。
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5月21日(土)15:00
ほしぷろ(福島県) 『「なめとこ山の熊のことならおもしろい。」』

抽象的な印象。物語の展開に合わせ、中央奥の壁に映像による風景映写。宮沢賢治『なめとこ山の熊』を原作にしたクリエイション作品。脚立を持ち出し、その高さを「山」、結んだビニール紐が「川」、いくつかの紐で括られた空間が「街」を表現する。
登場するのは人間と動物(熊)・・・生と死、地元出身か否か(よそ者)、都邑といった対比を現した内容のようだ。原作に語り手として現れる「私」や「僕」、現代を生きる私たち自身の言葉から、小十郎と私たちに共通する普遍性や差異を見つめ直すという。映像美が際立ち、演劇が活きているのか?ただ、殆ど喋らないが瀧澤綾音さんの存在感ある演技は凄い!
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5月21日(土)16:30
エリア51(東京都・インターネット)『てつたう』

ムーヴメントー 2人が背中合わせに寄り掛かる姿が印象的だ。この姿は「人」という字に見えるが、「支え合う」と「反目する」という反対の意味を表しているよう。
冒頭は自動車教習所の車内(緊密空間)光景から始まる。園児の列に突っ込む車。その運転手。運転手を介護していたヘルパー。現実にあった事故を連想し居た堪れなかった。先生たちと子供たちがつないでいた手、そして痛む手。手と手を介して伝えると伝わる。顔だけは知っている人、「ヨォ」と挨拶をするだけの心地良い(適度)距離感と車内空間を対比する巧さ。違う空間の広がりを通して人間関係が描かれているよう。
つぎはぎ

つぎはぎ

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2022/05/18 (水) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い…お薦め。
普通の家族ではない人々が、普通以上の絆で結ばれた“つぎはぎ”物語。どうして家族ではない人々がここまで親密になれるのか、そして相手を思いやることが出来るのか、その人間関係を実に上手く描く(作・演出:堀之内良太氏)。

環境や状況、もしくは範囲といったほうが分かり易いが、広げないことで より緊密さを増した関係性や情況を描き出す。少し謎めいた疑問が徐々に明らかになる。その事実を受け入れざるを得ない苦悩が、観客の感情を揺さぶる。何となく違和感ある登場シーン、それがラストに明らかになる展開の巧さ。見事だ!
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台は「ぱっちホーム」という児童養護施設。セットは、室内中央に少し張り出した間仕切り、上手は談話室のようで座卓や籐椅子、奥に整理箱、下手はダイニングでテーブル・椅子そして冷蔵庫等を置き生活感を漂わす。上手・下手を行き来して、狭い空間に体の動きと心の揺れを観せる。廊下を回るようにして下手奥が玄関に通じている。

幼少期にこの児童養護施設で育ち、いったんは退所したが、或る事情によって また集まり共同生活を送っている人々の物語。主人公は英治(鐘ケ江佳太サン)、このホームで育ち、当時の園長と養子縁組をして此処にいる。由紀子(虎子サン)と結婚し、妊娠4か月の幸せ真っ最中のはずだが…。仲睦まじく暮らしている家(ホーム)に、昔の仲間を呼び戻し暮らす理由が後々明らかになる。貴美恵(織田あいかサン)という部外者(執筆者)が取材(記録)する方法で、二人の思いや、戻ってきた仲間に事情を聞いていく。それぞれの性格や抱えた事情を情感豊かに描く。

英治の不治の病(余命数か月)、生まれてくる子の見守り・後見人的役割を仲間に託す。延命治療か、自分の遣り甲斐かといった究極の選択が重く圧し掛かる。この選択を施設育ちで、今医者になっている麻美(悦永舞サン)と議論するシーンが見どころ。その議論を英治と由紀子を別々に観せることで、それぞれの立場の本音を聞かせる巧さ。何が正解か見出せず、ただ思(重)いを言い合うだけの虚しさ哀しさ。

シングルマザーとして働く女性二人ーえり(坂本憲子サン)と真由(川村美喜サン)が登場するが、交わることはない。途中から 少し違和感を覚えたが、これは時間軸が異なっているため。この時の経過こそが物語の始まりであり現在(ラスト)に繋がる。単に時間という流れの繋がりではなく、仲間との繋がり、命の繋がりという物語のテーマが込められている。一緒に暮らし育ったが本当の家族ではない、そんな“つぎはぎ”家族が愛おしく感じられる。

英治のプロポーズの言葉「結婚して下さい。あなと家族を大切にします」、果たすことが出来なくなったが、仲間は「我が儘だな。皆を巻き込んで」といった序盤の台詞が利いてくる。ラストシーンの台詞が、英治と仲間の思いを結び付ける。結婚と後見人的な存在から「書類にサイン」の意は、おのずと知れよう。
たしかに「杉並演劇祭大賞受賞」は肯ける秀作。
次回公演も楽しみにしております。

【追記】
事情があり到着が開演時間ギリギリになる旨、事前に連絡させていただき、当日は10分前になった。それでもスタッフには気持ち良く対応いただいた。感謝します。
CAT TOWER

CAT TOWER

MousePiece-ree

ABCホール (大阪府)

2022/05/20 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いゃ〜、めちゃくちゃ面白い舞台でしたよ!
マウスの三人とゲストの五人。バカばっかりw
大王の脚本と演出は、お屋敷シリーズ全開で、これこれ!と思い出されるものでした。

スタンダップコメディGo!vol.4

スタンダップコメディGo!vol.4

合同会社 清水宏

小劇場 楽園(東京都)

2022/05/22 (日) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

一昔前の「漫談」のようですが、一寸違う。観客との一体感を求めています。話題は芸能ネタもありましたが、社会問題、政治に絡みます。単なる政治批判ではありません。弱者に対してではありません。力のある者に向かっては、「かみつき」「突っ込み」「イジり」ます。正に「言いたい放題」。私は初めての参加ですが、その熱気に圧倒されました。テレビでは演じることが出来ない本当の芸です。

SHOWほど素敵なショーバイはない!

SHOWほど素敵なショーバイはない!

劇団娯楽天国

ザ・ポケット(東京都)

2022/05/18 (水) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。かなりの長時間の公演でしたが、あまりそれを感じさせない内容でよかったと思います。どなたかも書いてましたが、少し盛りだくさんな印象はありましたが、全体的にとても楽しいエンターテイメントとして完成されていたと思います。次回もたのしみですね

飛龍伝2022〜愛と青春の国会前〜

飛龍伝2022〜愛と青春の国会前〜

★☆北区AKT STAGE

紀伊國屋ホール(東京都)

2022/05/20 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

つかこうへいの『飛龍伝2022』を観劇。

このシリーズは富田靖子、黒木メイサ、桐谷美玲バージョンを観ているが、今作は北区AKTステージの井上怜愛が神林美智子役だ。
誰が演じようと筧利夫と富田靖子を超えないと観客は納得しないが、それを覚悟で紀伊國屋ホールで演出を担当する元アイドルの錦織一清には敬意を表する。

始まりから『初級革命講座』を色濃く出してくる展開はつかこうへい版との違いを明確に打ち出してきていて、学生vs機動隊の戦いはミュージカル仕立てで攻めくる辺りは後の展開に期待してしまう。
前半の神林美智子、機動隊隊長・山崎一平、全共闘リーダー桂木順一郎の三角関係の恋愛模様がただの流れにしかなっておらず一気にトーンダウンしてしまうが、神林美智子が機動隊の情報を盗み出す為に山崎一平の妻になる下りから愛の育みを焦点に持っていき、一気に絶望まで持っていく流れはお見事であった。一瞬ではあったが、つかこうへいを凌駕したのではないか?とも思えてしまった。
筧利夫、神尾佑とまではいかなくとも、肉体美と機関銃連射攻撃の早口セリフ回しを難なくこなしている一色洋平には大満足だ。
勿論、時事ネタは満載で、沖縄問題、ロシア戦争、日大問題、VAN
ネタはファンを喜ばしてくれるが、太陽にほえろネタは無意味であった。誰も気が付かないと思うが、日大農獣医学部ネタは最高であった。

実在した樺美智子の死は学生運動中の転倒が原因の圧死となっているが、実は機動隊に意図的に殺されたのである。
国家は何故、彼女を殺したのか?
彼女がジャンヌダルクになるのを恐れたからか?
もっと他にも強力な学生運動のリーダーがいたのに、なぜ彼女を殺したのか?
それは彼女は共産主義者で、学生たちに共産主義が蔓延するのを国家は恐れたからである。
だから樺美智子殺されたのである…。
Short.Act.Master.Pieces!

Short.Act.Master.Pieces!

兎団

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2022/05/18 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/22 (日)

価格2,154円

22日18時半開演回(103分)のS班を拝見。

構成は短編3本。
最初の「三つの手紙・天才探偵兎乃狂四郎」は、今現在の
二番目の「CAFE BIANCO~土砂降りの国」は、存在を認識した頃の
最後の「車曳き」は、私が知る以前の
兎団の作風なのかなぁ。
なお、(世代がバレるんで触れたくはなかったがw)
「CAFE BIANCO~土砂降りの国」では、ベトナム戦争の頃に
「車曳き」では、小劇場演劇と出会った大学生の時分に
気持ちが戻ったようだった。

ネタバレBOX

【配役(敬称略)】
「三つの手紙・天才探偵兎乃狂四郎」
 兎乃狂四郎(又三郎の求めに応じて難事件に推理を働かす)…斉藤可南子
 早乙女又三郎(狂四郎の兄。警部?)…松尾武志
 大沢刑事…神野剛志、佐野刑事…岩浦さち、谷村刑事…mizuki
「CAFE BIANCO~土砂降りの国」
 アイン(フォンに惚れ込んでいる内気な男だが、実は過去に革命軍に所属していた)…青山誠司
 フォン(喫茶店を経営。ただ、この喫茶店、実はアインと因縁が…)…佐藤天衣
 ゼトゥン(フォンのペットのカワウソ)…伊藤蘭香
 ヒェウ(革命軍時代からのアインの知り合い)…柳橋龍
 モーム(喫茶店内で革命軍に殺されたフォンの…)…斉藤可南子

「車曳き」
 男(突如、姿を消した著名な脚本家)…清家忍
 劇団員1…岩浦さち、劇団員2…mizuki
 劇団員3…加園陽一、座長…緋乃ほのか
せんがわ劇場演劇コンクール

せんがわ劇場演劇コンクール

せんがわ劇場

調布市せんがわ劇場(東京都)

2022/05/21 (土) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

40分弱とは思えないくらい充実した内容の作品群。
帰宅後、ライブ配信でも論評が視聴でき、別の目線からじっくり噛みしめる事ができました。

初日1公演目から好スタート、成夏火さん。
演技力の点では些か不利だったかなぁと思いつつ、仙川住民じゃなくても自然と笑ってしまうご当地ネタの数々、憎めない面々。
そして今回のせんがわ劇場演劇コンクールそのものが舞台という発想力!
5月21日13時30分~、この時、このせんがわ劇場でしか成立しない世界観、作品の一員である一観客となって最高に楽しめました。
これからがとても楽しみな劇団さん。

優勝された階(缶々の階)さんの作品も劇団モノ。
「劇に登場しなかった登場人物と、その役を演じるはずだった俳優の物語。」
度々やむない理由で舞台の中止が発表されている昨今。
本来なら今日、この劇場でこの公演をやっていたはずなのに。
時々それがあまりに理不尽に思えて不思議な感覚となって降りてくるのですが、それとよく似た感覚へと誘ってくれる作品。
二人芝居での優勝、お見事でした。

花柄八景

花柄八景

Mrs.fictions

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

何か勝手に新作っぽいものと勘違いしていて、以前上映で見たものと同じものであることに気がついた。
映像のときより完成度が上がって、ぐんぴぃ氏などキャストもピッタリな感じで完璧だと思いました。
ただ、やっぱり脚本が、「この世界観、超好き」とか、「めちゃくちゃ胸に来るものがあった」とか、
観劇翌日以降にも何か持ち越すものが個人的には好みなので、そういう新作に期待したいと思います。

CAT TOWER

CAT TOWER

MousePiece-ree

ABCホール (大阪府)

2022/05/20 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/05/22 (日) 13:00

座席G列5番

価格5,000円

20周年に相応しい豪華な布陣による後藤ひろひとが作演出の典型的なドタバタ喜劇。
構成としては素晴らしいが、舞台が立体的なのにあんなに平面な場面を演出するのに違和感を感じた。でも、それでも面白くなるから良いのだと自分に言い聞かせた。人が目の前で隠れているのに気配を感じさせないのは作品上仕方ないのか、いつ見つかるかハラハラしながら見てた。案外人の視野というのは広いものだよと突っ込みながら観てたけど…。
達者な出演陣なので安心してみれた。
20周年はめでたい。この作品は第一弾。次回も期待したい。

スタンダップコメディGo!vol.4

スタンダップコメディGo!vol.4

合同会社 清水宏

小劇場 楽園(東京都)

2022/05/22 (日) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/05/22 (日) 15:00

攻めの姿勢の4人による4者4様のスタイルと話題を堪能。笑いながらも社会勉強になること大。スタンダップコメディーとはこういうものですという定義の話から入らなくていいほど、認知度がアップしたらいいですね。

今ここから、あなたのことが見える/見えない

今ここから、あなたのことが見える/見えない

一般社団法人ベンチ

新国際ビル2F(東京都)

2022/05/22 (日) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

丸の内で働く人々の人生の断片をモノローグで紡ぐお芝居。オフィスビルの空きフロアで観覧。弁護士の秘書をやりつつ生け花を10年以上続けるOLさんのプツプツと切れる情感の篭った台詞回しや内側から絞り出したように訥々と話す毒親エピソードが昔のマームのようでエモかった。あとラルクの周年ライブと本公演が丸被りして苦渋の選択で出演を決めた女性の葛藤の吐露が面白かった。客席から自然と拍手が沸き上がった。

素人(この言い方、好きじゃないけど)が出演してるので、少々鼻につく出演者(40歳を過ぎても親からお小遣い貰ってる男性やダンスの上手な人事部男性)の自己開示は自慢話を聞かされているようでキツかった。皆それぞれしっかりとした会社できっちり仕事をしてる方々なので私生活もさほど破綻がないというか、悩みや趣味、嗜好も概ねこちらの想像の範疇内に留まっていた。「暗渠好き」「テニプリ好き」など、丸の内界隈では珍しくてもTwitter上ではさほど珍しくもない。もう少し飛躍(あるいは熱量)が欲しかったのは確か。

街を行き交う人がどこで働き、何が好きで、何に悩んでいるのか。そんなこと日ごろは考えたりしないけど、実際は一人一人に物語があってそれぞれ物語を抱えながら生きている。そのことが確かな強度を持って放たれ、観客の私に刺さった。通勤途中の電車の車窓から眺めるマンションの明かりの向こうにそれぞれの生活や暮らしがあることを知るような瞬間だった。

椅子席は概ね「関係者席」と表示された紙が置かれていて座ることを許されず、止むを得ず低いベンチ席を選ぶほかなかったが、中腰状態で70分以上いたので途中から腰が痛くなって集中力が途絶えた。こちらはちゃんと前売りを買っているのだから、普通に椅子席に座りたかった。せっかくお芝居の内容は良いのに、こういうところで地味にイラッとさせられたのは残念だった。

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