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あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

せこごと

新宿眼科画廊(東京都)

2022/10/28 (金) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったと思います。私は、脚本や演出、演者の皆さんから演劇に対する気持ちや向き合い方を一生懸命表現されているように感じました。物語の中の皆さんもその日その日を一生懸命生きているのが、伝わりました。
時間軸と、場面展開に少しだけ追い付けなかったところがありましたが、帰りの電車で自分なりに確認できました。
今後も頑張ってください

狼少年タチバナ

狼少年タチバナ

劇団牧羊犬

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 華5つ☆ ベシミル!! 少し特異な視座から描かれた人間。脚本、演出、舞台美術、役者陣の演技、照明や音響効果、何れもグー。而も深く考えさせる。

ネタバレBOX

 極めて特徴的な舞台美術だ。ぼんやり眺めていたのでは余りこの特殊性に気付かないかも知れぬ。然し蛇腹を意図的に而も巧妙に変型させたかと思えるようなこの構造を心理構造に当て嵌めて考えるなら、一見安定し正常に見える人が、実は内面に大きな歪みを抱え心も魂の安定も欠いて、その結果肉体的にも正常な機能を果たさぬ部分を抱え込んでいるような塩梅を暗示しているように見える。そのことに観客が気付くようにとの意図からか、開演前殆どの舞台で舞台美術が見えないように板上は暗くしてあるのが一般だが、今作では初めから明転している。
 中盤まで登場人物各々の関係が消化不良でも起こしたようにイマイチ判然としない。確定できる要素が、つまり決定打がずっと伏せられているのだ。無論、その分観客も心の内に何とも居心地の悪い不安定感を抱え恰も深い霧の中を彷徨い歩くような緊張感と不安と不確実性に苛まれて心がざわつきつつ、舞台に釘付けになる。総てがハッキリするのは終盤に至ってからだが、この辺り話の持っていきようが実に上手い。
 無論、注目すべき点は上に挙げたことだけでは無い。登場人物の多くが養護施設出身者という設定であり、登場するワインバー店主の連れ合いは台詞から判断する限り女子刑務所に居たことがある等だ。色々な意味でヒトという生き物が持つ、プラス方向の可能性、マイナス方向の可能性の大きさ、怖ろしさすら考えさせる奥の深い極めて優れた作品である。時代設定は2015年。今作初演時を踏襲している。



短編劇集「新江古田のワケマエ」

短編劇集「新江古田のワケマエ」

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2022/10/29 (土) ~ 2022/11/03 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【A】「そう言われると今年一番はあの日かな」【B】「咲良を待ちながら」観劇   

江古田にある古民家を改造した会場。劇団名からも明らかなように、二畳分のスペースと最小限の音響・照明効果だけで公演を行う。公演は、約30分の2短編の上演だが、実に味わい深い内容であった。
もしかしたら遭遇する、若しくは経験するかもしれない、そんな奇妙な感覚にさせられる作品。現実から少し離れた設定だが、皆無とは言えない微妙なリアルさが面白い。同時に、会場が面している千川通りの車騒が、絶えず日常を意識させるから、何とも不思議な気分になる。

勿論、素舞台で役者の演技力だけで観せることになるが、両作品の出演者とも見事な表現力であった。共通して言えるのは、「間の取り方」 その空白(無言)のような時間の使い方が上手い。何となく隙間は埋めたくなるが、敢えて話(筋)をピーンと張らないで、逆に弛めることで物語に込めたテーマらしきものを表現する。当日パンフにあった「日常とは違う時間の流れを感じて」は十分に伝わった。
(上演時間1時間10分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

【A】「そう言われると今年一番はあの日かな」 
場所は埼玉県飯能市、劇中でも言っていたがムーミンのテーマパーク「メッツァ」があるところ。サバイバルゲーム施設にゲームをするために来ていた砧三二六(中込博樹サン)は、尿意をもよおし、サバイバルゲームのフィールドを外れ山道へ。そこで自殺?首に縄を巻き付け、片方の靴が脱げている籾田桜那(丸山小百合サン)に出会う。少し酒に酔っているようで呂律が怪しい。2人が話していると、1日2杯のデリバリーコーヒー、行商人風の滝沢つばさ(たきざわちえ象サン)がやって来る。桜那はブラック企業に勤めているようで、労働条件は劣悪、辞めたいと呟く。しかし辛抱・我慢が足りないと思われるのが癪に障る。周りの評価も気になるが、つばさ は簡単に辞めちゃいなという。命があるから後悔出来る。要は命あっての物種だ。話の内容は重いが、雰囲気は柔らかい。コーヒー1杯2,000円、屋外にも関わらず本格的に豆を挽く。コポッコポッという音が聞こえるだけで、沈黙の時間が流れる。張り詰めた気持ちを和らげる、そんな優しい情景になってくる。

中込さんは会場外から現れ、尿意をもよおしているわりには落ち着いている。二階から縄、それを手繰り寄せると 丸山さんがよろよろと階段から下りてくる。その首に縄が巻き付いている。片手にアルコールの3~4Lペットを持ち千鳥足である。2人の演技は珍妙であるが、観入るほど巧い。ほどなく会場外から たきざわ さんが荷物を背負い入ってくるが、その飄々とした演技が仄々とした雰囲気を漂わす。三者三様の演技は柔らかいが、観る者の心をつかんで離さない研ぎ澄まされた感性 表現力に感心する。

【B】「咲良を待ちながら」   
タイトルから「ゴドーを待ちながら」を連想するが、けっして不条理劇ではない。
場所は江古田にある田中家、高校の卒業式の夕方。母 田中和子(五十嵐ミナ サン)、兄 武尊(吉岡圭介サン)が卒業祝いに寿司の出前の話をしているところへ牧田竜也(長谷川浩輝サン)がやって来る。高島平に住んでいる竜也は、三年間片想いの相手・咲良へその想いを伝えたい。しかし、咲良は友人とカラオケに行っており帰宅していない。仕方なく、その家族と共に帰りを待つことになる。そこへ父 正博(小泉匠久サン)も帰宅し事情を聞く。思わず缶ビール2本をたて続けに飲み、気を落ち着かせようとする。暫し無言、その何とも言えない気まずさ 微妙な空気が流れる。結局 咲良は帰ってこず、竜也の帰り際、父は一瞬彼の袖口を掴む。そこには在りし日の自分の姿を見たのかも知れない。父・母も高校の同級生で、母の(義)父からは帰れ!と言われた経験があるよう。そんな懐かしい気持ちになったかのよう。

五十嵐さんは、娘への想いを告げに来たことを素早く察知する、自然体の母親を見事に体現する。小泉さんは、逆にどう対応すればよいのか戸惑う姿が 父親らしい。思わずアルコールに手を出すところは、その心境を上手く表現している。吉岡さんは妹のどんなところが好きなのか興味津々といった兄らしい感情を表す。ある意味 主人公の長谷川さんは、おどおどした落ち着きのなさ、そして ぎこちなくも真摯に接しようとする。それぞれの表情や仕草から溢れ出す感情表現、その場の少し軋んだ音が聞こえそうなほど上手い。
次回公演も楽しみにしております。
スカーレット・プリンセス

スカーレット・プリンセス

東京芸術祭

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/09 (日) 15:00

素晴らしかったです

立飲み横丁物語

立飲み横丁物語

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

いつも拝見している劇団だが、今回はどうも違和感があった。
義理人情の世界が舞台だから仕方がないのかもしれないが、いつもにも増して言い回しに「古さ」を感じてしまった。
どんな所でも、今どき、こんな言い回しはしないだろうと思う箇所が散見され(いつもない訳ではないが)、少々首を傾げた次第である。
もう少し短くもできたのではとも思う。

しかし、小道具としてのマスクの扱いはお見事!
ここまでリアルに今のマスク事情を舞台で再現した作品を自分は知らない。

ぼくらが非情の大河をくだる時~新宿薔薇戦争~

ぼくらが非情の大河をくだる時~新宿薔薇戦争~

オフィス3〇〇

新宿シアタートップス(東京都)

2022/10/22 (土) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

まさに自分の世代の戯曲である。
それもあってか、客席の高齢者の割合が極めて高かった。
あの当時の熱をリアルに経験してきた同じ高齢者の皆さんは、半世紀の人生経験を積んだ今、この舞台に何を感じただろう。
きわめて個人的な気持ちであるが、自分はすでに当事者の感覚にはどうしてもなれなかったし、作品そのものに夢中になることができなかった。
この熱量の半端ない、混沌の作品を、懐かしさを持って観ることしかできなかった。

ネタバレBOX

他の方も書いておられたが、タンゴダンサーの方のダンスが素晴らしく、それでいて不思議とあの場になじんでいた。
このあたりの演出のセンスはさすが。
インディヴィジュアル・ライセンス

インディヴィジュアル・ライセンス

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

中年女性が、運転免許を取得する過程を通して、自分のこれからの生き方を模索し、家族とは何かを考えた快作。夫とは職場結婚、子供が出来たことで結婚 退職し、そのまま家庭に入った。子供が成人し手が掛からなくなったこと、自分で車を運転して どこかへ行ってみたい。夫が運転する車(人生)に乗っているだけではなく、自分が運転することで 主体的に生きるという比喩が込められている。当日パンフには「インディヴィジュアル」=「個々の、単一の、別個の」という意味がある、と記してある。家族の話であるが、同時に1人の女性の物語でもある。

家族1人ひとりが物語から抜け出し、俯瞰するような立場で話の流れや状況の変化を説明する演出は上手い。家族であれば言わなくても分かり合える、という訳ではなく、それぞれがしっかり向き合うことが大切。そんな当たり前のことを解らせる説明シーンである。流れということでは、登場人物が衣装替えを適宜行うことによって、時と状況の変化を表す。
「失敗する”権利”を奪わないで!」は劇中の台詞、失敗することで味わう痛み・苦味が無ければ、人間は成長しない。それが運転免許取得=自分で人生行路の家事ならぬ舵を握るに繋がり、深みある内容に仕上がっている。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、登場人物の所在を表す場所をコンパクトに作り出している。客席はL字型、その対角線上に黒座椅子4つ、その前に黒のソファを置き車を連想させる。その右側に主人公宅の木製ダイニング、左側にファミレスを思わせるテーブルと椅子がある。シンプルな造形だが全ての場景を表している。

妻であり母であるが、1人の女性でもある。大沢みのり(新井友香サン)は、子供たちも独立するような年齢になり、家族旅行の時に見た富士山の景色に何かを感じ、自分で運転免許を取得しようと決意する。夫・宏作(有馬自由サン)は、心配という思いやりのような気持の裏で 家庭内へ縛り付ける、そんな男の勝手さを描く。子供たち…兄・達也(平井泰成サン)は、ブラック企業勤務なのか 自宅ではイライラし不満をぶちまける。妹・絵里香(環幸乃サン)はゲームという仮想世界にハマっている。夫々の思いを抱き、一つ屋根の下で暮らしているが、まとまっているとは言い難い。

どの家族にも家庭の味というものがあるのだろう。大沢家では皆で作る餃子が物語の隠し味になっている。そして、いつの間にか 夫婦はお互いの名前ではなく、「母さん(ママ)」「父さん(パパ)」と呼び合い、その役割のまま過ごしている。1人の人間としての人生、それをいつの間にか置き去りにしてしまった。象徴的な台詞として「母親養成ギブスで自分自身を縛っていた」と言う。

一方、教習所教官・島原結衣(森谷ふみサン)は、夫と離婚し自立している。元夫・柴田勝(金田一央紀サン)は、漫画家で己惚れ 自意識過剰の性格のようだ。別れて7年、まだ結衣に未練があるようだ。コロナ禍という今状況も物語の中に落とし込み、リアル感を表す。
大沢家の みのりと 宏作は久し振りに名前で呼び合い、少し照れ臭いが新鮮な気持も甦る。結衣と勝、この元夫婦も現状を見直し、夫々が自立し始めようと…。

物語は順々に展開するが、登場人物が適宜 衣装替えをし 時と状況の変化を表す巧さ。
さて、教習所教官と教習生、2人の女性が意気投合して向かう先はどこなのか。当面は北海道 斜里町の絶景ルート「天に続く道」を目指すが、それから先は自分の時間と生き方を更に模索するような清々しさ。
次回公演も楽しみにしております。
南極ゴジラの地底探検

南極ゴジラの地底探検

南極ゴジラ

王子小劇場(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主人公、球李役の瀬安勇志氏が知り合いにそっくり。中村勘九郎っぽい美男子。ヒロイン、星役は端栞里(はたしおり)さん、功夫少女っぷりがイカしてた。愛犬アイロン役、瑠香さんは地下アイドル系山本彩、ルックスが目立つ。望まれる絵の描けない金飛来(キム・ヒーライ)役の古田絵夢さんはネガティヴなAI役が嵌まっていた。

関西弁が痛快で絶頂期の『SFマガジン』を捲っているような爽快感。筒井康隆の『チューリップ・チューリップ』など懐かしくも胸を熱くした古き良きSFの興奮を想起。
『地球空洞説』から始まり、『月世界旅行』まで。ブラウン管の古いテレビ、大小四台がタイトルを映し出し大活躍。
コント集と云うよりも散乱した断片が脈絡なくばら撒かれていく。

謎のメロディー(『未知との遭遇』調)を解読した冒険家達は、それがある座標を示すことに気付く。新宿の廃墟となった公団住宅の地下に巨大な穴を発見。探検隊を組織して降りていくことに。『地球空洞説』を裏付けるかのようにマントルはなく、未知の世界が広がっていた。

ネタバレBOX

地球の内部は同心円状にパラレルワールドが幾層にも重なっている。実は月こそがその世界を繋ぐ穴で、月を突き抜けると外の層の世界へと移行できる。無数の並行世界で共通していることは球李と星が互いを好きになる事だけ。地球の内部からマグマが噴き出し、内側の世界からどんどん滅んでいく。皆は外側の世界へ脱出しながら、この世界を救う方法を探す。

笑いがイマイチ振るわない。劇団系のノリが続くのでぼんやりと観てしまう。突然ガラッと別の話に変わるのだが、何かどれも掴みが弱い。脚を壊したアイススケート選手の転校生・星と毎日マラソンを続けている球李の仄かな触れ合いのエピソードだけが詩情豊かで絵になった。クライマックスの砲弾の中、電気を起こす為にバンドでアイロンが歌う曲も良かった。

上手くいけば『インターステラー』になれたネタ。ふざけた御都合主義的なキャラと展開ばかりで作品世界にのれないのは残念。配分が悪い。何処か純粋なジュブナイル要素が芯としてあった方が感情移入出来た。作家の本音が欲しい。
インディヴィジュアル・ライセンス

インディヴィジュアル・ライセンス

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

人生の舵を自分で握ることがまぶしくも思えました。何をするのにも、遅すぎるということはないんだと、そんなことを考えながらストーリーに引き込まれていきました。

ネタバレBOX

スタートのドライブの場面から家族のいい持ち味が出ていました。場面の切り替わりが絶妙です。家族個々の個性、人間味がにじみ出ていたので、観ていて胸にぐいぐいとくるのです。一見ばらばらに見えた人間関係が教習所の教官、漫画家までもが、不自然ながらもつながっていき、それが不自然さを忘れさせ、胸に突き刺さる展開、そして、なるほどと納得のいく、後味のいいラストでした。ストーリーの中に引き込まれて、考えさせられ、そして感動し、濃密な時間でした。
ぼくらが非情の大河をくだる時~新宿薔薇戦争~

ぼくらが非情の大河をくだる時~新宿薔薇戦争~

オフィス3〇〇

新宿シアタートップス(東京都)

2022/10/22 (土) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

戯曲中にはない歌をえりさんの作詞で歌われたり、登場人物の懐中電灯が照明として使われたり、バンドネオンに合わせてタンゴダンサーが登場したりとえりさん独自の演出が施されていました。ダンサーさんのダンスが素敵でついついそちらに目を奪われてしましました。
本日のアフタートークのゲストがピーこと瞳みのるさんで、まさか今になって会えることになるとは思ってもいなかったので感慨深かったです。開演前にはタイガースの曲も流れていました。

スカパン

スカパン

まつもと市民芸術館

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

モリエールの古典戯曲の中身は、吝嗇な親を持った子の結婚をめぐる騒動で、その立て引きを支配するのが「悪だくみ」のスカパン、と言う単純な構図の笑劇で、どれだけ笑えるか、と言う芝居である。笑劇をしらけないで見せるのはかなり難しいもので、ばかばかしさを超えて人間的な共感が笑いとともになければ芝居にならない。この舞台はよく出来ている。小日向、大森は長年演じてきているから当然だが、串田が松本の劇場の芸術監督に就任してから育ててきた地域劇団の女優、湯川ひな(イアサント)、下地尚子(ネリーヌ)、男優の武居卓がベテランに引けを取らないだけでなく、客演の笹本真帆(ゼルビネット)がいい。息子たちを演じる串田、小日向の息子たちも、初々しさも残るがちゃんと芝居になっていて、身内贔屓の感じがない。串田和美がコクーンで初演したのは94年でその後7回もやっているし,海外の演劇際でも評価されているから、手の内だったろうが、この混成の俳優陣を自分も主演をつとめながらよくまとめている。そこにあまり演出者の強制を見せないところも串田らしい。
今まで見たさまざまな「スカパン」の中では最もよく出来ている。笑うだけでなく、どこかしあわせな気分で劇場を後にできた。その味わいは串田の芝居独特のものだ。
串田和美は60年代の俳優座養成所の最後の卒業生。上の世代の井上ひさし、蜷川幸雄、下の世代の野田秀樹、つかこうへい、ケラリーノサンドロヴィッチに挟まれた空白の激戦区の中で、演劇界の節目になる仕事を残してきた。
60年代に俳優座養成所のエリート卒業生を集めて、若者の小劇場、自由劇場を結成して当時の大劇団と違うレパートリーシステムを作ろうとしたこと。そのために自力で六本木に劇場を作ったこと。シアターコクーンの芸術監督として、小劇場作品と商業劇場の懸け橋となる独自のカラーの作品を創る一方、この新しい職責の重要さを示したこと。地方の公共劇場で、地方都市の演劇と市民の関係を築いたこと。そしてそういう演劇活動の中で、常に、独特の都会的な舞台作りで、串田和美作品らしさを失わなかったこと。
常に自分が信じられる人間像を舞台に乗せてきた80歳の演劇人がこの節目で「スカパン」を快演した。飄々とスカパンを演じている串田和美を見ていると、演劇に生きる、ということの感動がある。
初日のアンコール。串田もちょっとしんみりした表情だった。

グッバイ ロビンソン

グッバイ ロビンソン

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/10/28 (金) 19:00

95分。休憩なし。

否

早稲田大学演劇研究会

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/10/28 (金) 14:00

70分。休憩なし。

ひとよひとよに呱々の声

ひとよひとよに呱々の声

世界劇団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/10/21 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

つまんなかった

インディヴィジュアル・ライセンス

インディヴィジュアル・ライセンス

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

インディヴィジュアル・ライセンス

インディヴィジュアル・ライセンス

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/10/27 (木) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

説明文というか、introとして書かれた文を読んで想像していたものとは違っていたけど、なんとも身につまされる家族劇。面白いのに、こちらにグサグサ刺さってくるシーンも多くて、痛いのなんの。

さくらんぼ畑

さくらんぼ畑

8.22企画

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2022/10/28 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

素直に良かった‼️チェーホフ=ムズいという先入観あったけど、理解でき、楽しめた。下克上というか、栄枯盛衰というか、永遠の繁栄はないなかでも生きていく、生きていかなければならないということをうったえていたと思います。
初日花金なのに満席🈵💺で、期待していたが、期待どおりの内容でした。

あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

せこごと

新宿眼科画廊(東京都)

2022/10/28 (金) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

芝居と生活。色恋だったり、バイトだったり、矛盾だったり、隙間だったり。良くも悪くも青臭い奴。

グッバイ ロビンソン

グッバイ ロビンソン

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

フライヤーからは想像できなかった、壮大で人間の本質が問われる題材。その中でも日常を送る人々の考えや行動を中心に据え、色々と考えさせられた。少し都合が良すぎる点があるようにも思えるが、トツゲキさんらしく前向きな終わり方で、登場人物達の未来が少しでも良くなればと願う。

立飲み横丁物語

立飲み横丁物語

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
昭和の日本映画(界)を牽引した仁侠映画、その象徴的な言葉が「義理」と「人情」。そのヤクザの世界と縁を切った 正統派の的屋組合とその周りの人々のコロナ禍における悲哀と奮闘を描い物語。芝居屋は現代の「世話物」の創造を目指し「覗かれる人生芝居」というコンセプトの下に役者中心の表現を模索している。その覗かれる立場から、逆に庶民が見(置かれ)ている今の状況…コロナ禍、物価高そして戦争という台詞がポロッともれる。

演劇という「見世物」だけではなく、そこには社会を冷静に見詰め、庶民が置かれている状況を過不足なく描く。芝居屋の公演は 表層的な解り易さだけではなく、ヤクザの世界とは違う地域や職域に密着した「義理」と「人情」という諦観と情感、それを役者の演技力で力強く そして魅力的に表現する。そこに芝居屋・演劇の真骨頂を観る。
(上演時間2時間20分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

冒頭、立飲み屋のカウンター内で的屋の口上ー七味唐辛子のレシピを小気味よく喋る花村凛子(増田恵美サン)の観(魅)せる掴み。長台詞だが立て板に水のようで聞き惚れてしまう。そこに本当の的屋姿を見ることができる。
舞台美術は、冒頭は立飲み屋のボトル棚やカウンター、そしてビールケースが置かれているが、開店と同時にビーブケースを3段に積み重ね立飲みらしいテーブルを作り出す。
経営(高利貸しが絡んだ経営危機)や地域活性化といった庶民の暮らしが描き出される。まさしく芝居屋のスローガンそのもの。

全体を通して分かり易く、現実にもありそうな物語。それに現在の地方都市が抱える地域事情を絡め、しかも人情と義侠ある人々で豊かに紡ぐ。その社会性と人間味を丁寧に描く公演は観応えがあった。
次回公演も楽しみにしております。

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