最新の観てきた!クチコミ一覧

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ゴンドラ

ゴンドラ

マチルダアパルトマン

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

[白いゴンドラ]観ました。何とも見事な会話劇。すごくリアルに感じて、グッときましたね。

キスより素敵な手を繋ごう

キスより素敵な手を繋ごう

ナイスコンプレックス

シアターサンモール(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

以前にこの作品を観劇した時は記憶障害をモチーフにした感動作という印象でしたが、今回久しぶりに観ると、夫への歪んだ愛のため娘を束縛する毒母の悲しい話でもあるなーと、今更ながら思いました。

キスより素敵な手を繋ごう

キスより素敵な手を繋ごう

ナイスコンプレックス

シアターサンモール(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

休憩なし2時間半弱は長かったが素敵なお話だった
ただ、前半をもっとコンパクトにしたら引き締まったのになという感は否めない
途中かなりまどろっこしかった
短期記憶障害になった刑事の夫は毎日すべてリセット
朝起きてくると「妻」に一目ぼれなのだが、歳経るとある時点から娘を妻と思う
下宿という設定で様々な人物が登場するのも面白い
妻の兄のキャラが温かみがあって森山栄治がなかなかの好演
ボク団活動休止で福岡の神社に帰った大神くんが難しい吃音のコミュ障を演じ、劇中劇のダンスもさすがだった
前半は時代をさかのぼっていくが、その場面転換の暗転の際にスポットライトで交換される花が印象的だった
ひさしぶりに周りはすすり泣きの舞台だった

ゴンドラ

ゴンドラ

マチルダアパルトマン

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白過ぎる。愛おしい世界観。最高。

だから君はここにいるのか【舞台編】

だから君はここにいるのか【舞台編】

難波サザンシアター(大阪府)

2022/06/17 (金) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

満足度★★★

セリフがあった役者が、セリフがなくなり、必要性を淡々と探っていく。隣は前半で爆睡。最後まで寝てた。
小難しいのと、変化があまりなく単調だった。賞を取った演劇とは相性悪い…😣

小刻みに戸惑う神様

小刻みに戸惑う神様

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

コメント欄に。

ネタバレBOX

自分の目が肥えてしまったせいか、演技力が中途半端な方が前のめりになって観れなかった。
通院中で薬飲んでる副作用で眠気のせいかもしれない。
ゴンドラ

ゴンドラ

マチルダアパルトマン

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い…お薦め。
観覧車「ゴンドラ」を人生に準えた台詞があったが、公演そのものが観覧車の「ゴンドラ」らしい展開だ。観覧車は一定の速度で動くが、物語は ぎこちない、激高 激情、そして余韻ある会話といった緩急をつけて観客の関心を惹く。登場人物は3人、コロナ禍での三密は避けたいが、物語は濃密・親密そして緻密に描いており実に巧い。

4キャスト(赤い・青い・白い・黄色い)パターンあるが、多分 異なるそれぞれの空気感を漂わすのだろうな、と思う。この会場の至近距離での演技は、役者の外見も含めた雰囲気で異なって観えるだろう。そこがこの公演の魅力の一つでもあろう。
(上演時間1時間20分)【白いゴンドラ】

ネタバレBOX

舞台美術は、地方のアパートのダイニング又はリビングで、テーブルと椅子があるだけのシンプルなもの。しかし上手に風呂場や玄関(チャイム)、下手奥には父の部屋があることが容易に想像できる。全体的にオフホワイトで、照明の照射によって椅子がゴンドラに見えてしまう。人物が座った後で、椅子が少し動いても映り込む陰影は変わらないよう。仕込み陰影であろうか。
また時間の経過は、登場人物の衣装替えや 照明の変化で表しており、効率的・効果的な演出は やはり上手い。

物語は、説明の「過去に囚われて身動きが出来なくなってしまった者たちが、不器用すぎる対話の果てにたどり着いたのは・・・」の続きが肝。東京の会社を辞めて地元に戻ってきた男・孝介(久間健裕サン)、孝介の父の訪問介護ヘルパー・遥(冨岡英香サン)、孝介の嫁いだ妹・朱音(元水颯香サン)がそれぞれの事情を抱えながら、日々を過ごしている。孝介は遥に淡い恋心を抱き、デートに誘うまでの ぎこちない会話。朱音と孝介は、働かず父の面倒も遥に任せている兄を心配しつつ呆れてもいる。遥と朱音は、子育てや、恋愛観に話の花を咲かす。三者三様の演技・表情が物語をグイグイ引っ張っていく。特に朱音の泣きの演技は迫真もの。
さて、いくつか分からない部分、例えば孝介が何故 東京の会社を辞めたのかなど、曖昧な設定がある。しかし敢えて人物の詳細事情を明かさず、今という状況の中で紡いでいる。それがラスト、過去に囚われに繋がる緻密な構成になっている。

物語は、観覧車のゴンドラという狭い空間を家のダイニング等に重ね、逃れられない場所に居続ける。まさしく(家庭)内ばかりを見れば囚われの人生のよう。一方、外を見れば見渡す限りの光景に心躍るはず。視点を変えることの面白さが伝わる。
同時にジェットコースターのような展開がドキドキ感を煽る。孝介が遥に恋心を打ち明け、デートへ誘うまでの微妙な距離感と ぎこちない会話は、ジェットコースターがゆっくりと上る様子、一転 親しくなって 遥自身のこと、その家族のことを知ることで急降下、一気に加速する物語。芝居の緩急ある展開は、観客の関心を一気に惹きつける。
「観覧車のゴンドラひとつひとつの中でどんなドラマが繰り広げられているのか知る由もないように、ここでもあなたの知らない誰かの人生は静かに回る」は実に意味深な説明文であった。
次回公演も楽しみにしております。
痴人の愛・現代篇  君といつまでも 2022初夏版

痴人の愛・現代篇  君といつまでも 2022初夏版

BALBOLABO

日本写真映像専門学校・実習棟1階ホール(大阪府)

2022/06/16 (木) ~ 2022/06/18 (土)公演終了

満足度★★★★

役者は変わっているが、二回目の観劇。前回はアクリル板があり、小劇場の魅力に欠けていたが、今回はそれもなく、二回目にも関わらずのめり込んでしまった。NMBファンも前ほど多くなく、落ち着いて観劇できたが、制作の対応が今一。

9人の迷える沖縄人

9人の迷える沖縄人

劇艶おとな団

那覇文化芸術劇場なはーと・小劇場(沖縄県)

2022/05/13 (金) ~ 2022/05/14 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

1972年本土復帰を前に行われた新聞社での「意見交換会」の様子を、現代の劇団が再現するという二重構造からなる作品。

タイトルから『十二人の怒れる男』のような、多様なバックグラウンドを持つキャラクターによる論争劇を思い浮かべていたのですが、この舞台に「水面下の感情の動き、駆け引き!」とか「手に汗握る議論の行方!」といったドラマティックな筋立て、終着点はありません。
有識者、主婦、戦争で息子を失った老婆、俳優、本土からの移住者……それぞれがそれぞれの立場について語る劇中劇部分は、一見「さまざまな意見」を整理して、キャラクターに割り振っているだけにも思えますが、それを演じる現在の沖縄の演劇人たちの稽古風景が挟まれることで、徐々に「報告劇」としてのリアリティを増していきます。中でも「有識者」を演じる青年が直面している基地/米軍にかかわる理不尽は、二つの世界を橋渡しする重要な設定となっていました。また、意見交換会でうちなーぐちを使う二人の人物「老婆」「文化人」が背負った歴史の奥行きも印象に残っています。とりわけ「文化人」の自負と不安が交錯する表情には、戦後の沖縄で言葉や文化にかかわってきた、多くの人々、演劇人の姿も重なっているように思えました。

「稽古中」の俳優、演出家の会話にしばしば折り込まれる解説、実際にウェブサイトで募集した「復帰あるある」をスライドに投影しながら語り合うレクチャー風の場面など、親切だけれど、演劇としては戸惑いを感じる仕掛けも、振り返ってみれば、単に感情移入を誘うドラマを見せようというのではなく、観客と共に本土復帰前夜を体験するための回路として有効に働いていました。私ははっきりとは聞き取れなかったのですが、同行した人によれば客席でも「そうだったのよー」といった年長者の声が挙がっていたそうです。

今回の那覇の劇場において、この作品は、沖縄の現在を、歴史を踏まえつつ、あらためて捉え直すツールとして機能していたのではないでしょうか。またそれは、演劇でしかできない方法で、だったと思います。

ネタバレBOX

終幕では、過去と現在、それぞれのドラマの幕切れの後に、虚構(劇中劇)と現実それぞれのカーテンコールが続きました。この構成には唸らされるものがありました。
「今もなお、沖縄人は迷っている、迷わされているのだ」という、呆然とするような実感がそこにはありました。

過去の人物であれ、現在の人物であれ、個人的な横顔に折り込まれた背景、事情は、戦後の沖縄が経験してきたさまざまな事件、その葛藤、矛盾について具体的に知らないと、県外の人間にはすぐにはピンとこない部分もあるとは思います。ですが、その「疎外」もまた、特に本土の人間にとって強い体験になるのではないでしょうか。
6月の怪談

6月の怪談

空の驛舎

SPACE9(大阪府)

2022/06/17 (金) ~ 2022/06/17 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

短編は、仕事帰りのちょっと疲れている時にちょうどいい。
怪談特有の大きな音などで、驚かさない。
普通に続く会話、
柔らかく続く会話、
コミカルに続く会話、
で物語りを作る
怪談なんですが、心地いい
とても良かった、引き込まれた、面白かった。
久し振りに観た 速水佳苗さん 普通な感じがとてもいい。
大好きな役者さん ここの劇団員になっていたんだ。
次の公演も楽しみです。

ネタバレBOX

短編は、仕事帰りのちょっと疲れている時にちょうどいい。
怪談特有の大きな音などで、驚かさない。
普通に続く会話、
柔らかく続く会話、
コミカルに続く会話、
で物語りを作る
怪談なんですが、心地いい
とても良かった、引き込まれた、面白かった。
久し振りに観た 速水佳苗さん 普通な感じがとてもいい。
大好きな役者さん ここの劇団員になっていたんだ。
次の公演も楽しみです。

作演出による作品紹介

A「トイレの神様」作 中村ケンシ
会社に行けない男が、会社の隣の公園の公衆トイレに毎朝駆け込んでいます。男は便器に座り、壁のシミを見つめていました。そこで、幽霊と出会う物語です。

B「赤蜻蛉」作 山本彩
黒いゴミ袋を抱えた女がゴミ置き場の前に立っている。男が声をかける。女は「ゴミ袋の中に○○が入っている」と言った。男はあまり驚かない。遠くから、童謡の「あかとんぼ」が聞こえてきた。昨年のOMS戯曲賞大賞作家の未上演の短編です。

C「怪談売買所」作 中村ケンシ
ビルの一室。机と椅子。男が座っている。男の後ろに「怪談売買所」と書かれた看板。訪れたお客さんから百円で怪談を買い取るそうだ。男に百円を払うと怪談を聞かせてくれる。男の前に女。女は怪談を語り始める。中村の新作短編です。
第15回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2022(IDTF)

第15回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2022(IDTF)

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2022/06/16 (木) ~ 2022/07/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

踊る妖精 作舞・ソロ『鶴の恩返し』2022.6.16 19時 シアターX
 両国の劇場・シアターX創立30周年記念・第15回シアターX国際舞台芸術祭ビエンナーレ2022は、メインテーマを21世紀Renaissance(現実を剥ぐ 生きものの詩)と題した。因みに各回、たった千円である。予約はしておいた方が良い。キャンセル待ちになる可能性もあるかも知れないから。

ネタバレBOX


 初日は標記タイトルの通り。5名のダンサーに和楽器奏者、ピアノ伴奏者が各1名。共通コンセプトは民潭・『鶴の恩返し』である。以下出演順に。
 韓国から現在韓国国立現代舞踊団芸術監督を務める南 貞鎬さん。韓国にも似た民潭があるそうであるが、鶴を助けたのは老夫婦で鶴が嫁入りするという話ではないとのことであった。ダンスは日本の民潭も勘案して創作なさった模様で犠牲を中心テーマとして創作している為、キリストのpassion即ちredemptionにも連なる少し抽象的な表現になっていた。
 今回はダンス公演が殆どなので当パンを見ておいた方が良かろう。自分はいつも通り当パンを一切見ずに鑑賞に及んだのだが、各ダンサーが共通テーマから己独自の要素を掴み出しそれを表現するという形式を採った為、2番目に演じた竹屋 啓子さんがコンセプトを開始早々述べ、ダンスも鶴の形態模写も入って極めて言語的であった為木下順二の「夕鶴」を思い返しながら拝見し得た以外は、実際何をダンスで具象化しようとしているのか拝見中は五里霧中状態であった。演目やダンサー、そして個々のプロデュースコンセプトにも因るが今回ばかりは当パンは読んでおいた方が良かろう。改めて身体表現と言語の加わった身体表現の質的差異を如実に感じる勉強になった。
 続いて登場なさったのは花柳 面さん、和楽器演奏・囃子は福原 百之介さん。和楽器はメロディー楽器としてもパーカッションとしても用いられるが拍子の刻み方が鬼気迫るような緊張感を齎し実に見事な演奏であった。と同時に鉄琴に似たオルゴールという打楽器の音も涼やかでどこか儚い音で客を引きずり込む。花柳さんは鶴の織った見事な反物に焦点を当てて創作なさっていた。
 次に登場なさったのは上杉 満代さん。小さな傘を頭上に翳しての登場である。衣装は女性がドレスを着る前の状態とでも言ったら良いだろうか。当然、鶴が納戸に籠って機を織る姿をイメージしていよう。西洋とのコラボも多い方だからこれは彼女流の自然な発想と思われる。用いた傘は半折れが効くタイプで華奢な構造だが、オシャレなものであり、この華奢性が鶴の細い脚を連想させ、強靭な精神とは反対に脆弱な身体を感じさせて哀れである。
 トリを飾ったのがケイタケイさん。ご自分で衣装を縫い衣装のあちこちに設けたポケットに水や松の葉をたくさん入れ機を織る度にその羽を自ら抜いて機に織り込む、余りに切ない鶴の念を表現した、水が流れるのは一度だけだが、鶴が血を流しながら機を織ることを象徴していよう。その余りの辛さ切なさから血が透明になっているのである。布地の基本は白、ポケットの開口部に黒を用い、赤い糸を引き抜くことで羽に擬した松葉が零れ落ちるという仕組み。モダンダンスの動きに合わせながらこういった点にも工夫を凝らす表現であった。ケイタケイさんの演技にはピアノの伴奏がついたが演者は松本 俊明さん。現代音楽風ではあるが余り不協和音等は用いずダンスとのコラボを意識した良い演奏であった。
貴婦人の来訪

貴婦人の来訪

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2022年度第一期のシリーズ「声」第二作「ロビー・ヒーロー」に続いて、第三作を観た。1シリーズ3作中2作品観れて、しかも「当たり」というのは珍しい。
小川絵梨子芸術監督が打ち出す主催公演のテーマ設定やプロジェクトには理念先行の印象が勝つが、今回のテーマ「声」が何を照準しているかは判る気がする。もっともこの「声 -議論,正論,極論,批判,対話...の物語」は、演劇それ自体と言っても大過なさそうである。ただ、身体感覚に訴えるタイプの舞台、情緒に浸るタイプの舞台とは異なる領域を指していて、例えば日本という船を曳航するのが世論であるとすれば、そこには「言葉」と「論」が存在している。安倍某のようなトップが率先して「論」を破壊した焦土にあって、必要なのは言葉と論(理)が生まれる源(平たく言えば人間の営み)を見詰め直すことだと感じることしきりである(個々人の中に論があっても公論の場で有機的な交流=議論を阻む障害が・・以前からあったのだろうが・・目立つ)。そんな私の問題関心に応えてなおかつ面白い舞台だった。

ドイツ語圏スイスの劇作家ディレンマットの名を昨年あたりから目にし(「物理学者たち」)、今度また違う作品の公演があるとか。前世紀(冷戦期)の作家で寓意性が高い。今作では書籍なら帯、映画なら惹句になりそうな挑発的な物語設定があるが、それを「仕掛け」に来訪するのがとある貴婦人、これを演じる秋山菜津子がどハマり。彼女と相対する男を演ずる相島一之は劇が進むにつれ適役と思えてくる。
安部公房を思わせる思考実験に満ちた作品の持ち味がとてもうまく出せていた。

ゴンドラ

ゴンドラ

マチルダアパルトマン

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

白いゴンドラを観劇。
キャスティングは全4パターンあるみたいですが、観劇後、このキャスティング以外にこの世界が存在するの?って思うくらい、しっくりくる完成度。
おそらくどのパターンを観劇してもそう思わせるのでしょう。

「どこかの誰かの生活を覗き見るように・・・」の謳い文句通り、親しみやすく思わず食いついてしまう生活風景を目の前に、どこの劇団かといえば、やはりマチルダアパルトマン!とも言うべきエッセンスが良い塩梅の隠し味。

舞台に見えるのはリビング一部屋だけ、なのに下手奥には寝たきりの父親部屋があり、上手奥には風呂場や玄関が確かに存在する(と思わせる手腕)
更に、今見ているは3人それぞれの「現在」なのに、それはちょっとしょっぱい歴史を経て生きてきた「現在」
彼等の人生の道のりが、さり気なくも確かに存在して見えるのでした。

東京から地元に戻って何もしていない男にとって、介護ヘルパーさんと妹さんだけが出入りするこのスペースが今の全宇宙なのかと思うと何だか切なくて不思議な感じ。
この部屋での営みもゴンドラの様にゆっくりと風景を変えていくのですね。

バロック【再演】

バロック【再演】

鵺的(ぬえてき)

ザ・スズナリ(東京都)

2022/06/09 (木) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

物語付きお化け屋敷(お化けは出てきませんが)、緩いホラー、後半になるにつれて空気も粘度があがりテンション上がる、そして時々緩和が笑いを誘う。
劇場から出た観客の声が、面白かったねー、ばかりだったのが印象的でした。

小刻みに戸惑う神様

小刻みに戸惑う神様

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

葬儀の話だけど、DMに「決して湿っぽくも暗くもありません」と書かれていた通りの舞台。美術もいいし、とても緻密で、しみじみと可笑しい。

嵐になるまで待って

嵐になるまで待って

CfY

新宿村LIVE(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

原作は1991年に発表された小説で1993年に舞台初演。韓国映画『超能力者』に感じが似ているなと思ったが、こちらは2010年の作品。
『ナルニア国ものがたり』がアニメ化、急遽声優のオーディションを受ける中舘早紀さん。その独特な声が評価され見事合格。ベテランの中3声優・環幸乃さん、主演の人気俳優・土屋兼久氏と顔合わせ。そこにアニメの音楽を担当する作曲家・三浦剛(たけし)氏とろう者(聴覚障害者)である姉の椎名亜音さんがニューヨークから挨拶に訪れる。実は土屋氏と三浦氏には友人ギタリストに関わる因縁がありその場で口論、喧嘩となるが・・・。

狂言回しでもある精神医学教授役、近江谷太朗(おうみや・たろう)氏が印象的。カエルのぬいぐるみとやるユーモラスな腹話術。声が出なくなった中舘さんが何とか身振り手振りで伝えんとする必死のジェスチャーを、悉く外してみせるアドリブ満載の遣り取りに場内爆笑。声が出せない中舘さんが必死に笑いを堪える程の好き放題。観客の心を巧みに掴み掌に乗せて操ってみせるサイコロジーは流石のベテラン技。手話の腕前も凄い。

「劇団6番シード」から椎名亜音さんと土屋兼久氏が参加。
ろう者の雪絵が物語のキーパーソンになる為、流麗な手話が飛び交う。椎名亜音さんをこの役に選んだセンスの勝利。いつも早口で捲し立てる彼女が一言も喋らない役で見事な存在感、全く凄え女優だ。奥さんがろう(聴覚障害)の女優、忍足(おしたり)亜希子さんである三浦剛氏も本物の手話を披露。(ちなみに二人の出会いは今作の2002年の再々演公演での共演)。
手話が理解出来たならばもっと楽しめる作品だろう。

テーマは『聴こえない声と言葉にできない想い』。障害で声を出せない人もいれば、声は出せても本当の気持ちが伝えられない人も沢山いる。この世に満ち溢れた“聴こえない声”が人々を苦しめ、無意識を支配している現実。言語化すると途端に嘘になってしまう淡い複雑な想い。人に何かを伝えようとすることの難しさ、同じく他人の気持ちを正しく受け止めることの難しさ。人と人とが意思を疎通する唯一の手段、コミュニケーションの苦しみ。

ネタバレBOX

椎名亜音さんが演じるのは天真爛漫な善人、ろう者の雪絵。
彼女の弟・波多野役の三浦剛氏が人の心を読み、相手の無意識に暗示を掛けて意のままに操る超能力者を怪演。佐村河内守や高野拳磁を思わせる妖気、怪僧ラスプーチンすら連想させる。少年時代から、ろう者の姉に危害を加える者達を幾人も始末してきた血塗られた過去。
ユーリ(中舘早紀さん)は波多野と偶然同じ声質を持ち、同じく特殊能力を持っている可能性がある。胸に秘めた片想いと自身の声がコンプレックスであることを波多野に読まれ、暗示を掛けられてしまう。
チカコ(環幸乃さん)も実はテレパスで、相手の心を読み、相手に暗示を掛け操って生きてきた。(流石にこの設定はやり過ぎだろう)。

クライマックス、暴風雨の高層ホテル、波多野の催眠暗示から逃れる為、幸吉(野口オリジナル氏)とユーリは部屋の灯りを消し窓を叩き割り、嵐の夜に身を委ねる。

無垢なる雪絵の無意識が波多野に命じた殺人だったのか。全ての汚泥を背負って波多野は消えていく。
自らの意志で声を取り戻したユーリはチカコと『ナルニア国ものがたり』の読み合わせ。「君が本当にそう信じてくれたのならばその時それは本当になるんだ」。
小刻みに戸惑う神様

小刻みに戸惑う神様

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

お葬式という重いテーマを、明るく優しく描いた作品で、とても良かったです。
お坊さんの台詞は勉強にもなり、思わず頷いていました。
ストーリーも役者さん達の演技も良かったです。
良い舞台で満足でした。

小刻みに戸惑う神様

小刻みに戸惑う神様

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「家族の絆」のお話なので、激しい感情のやり取りの挙句に絆が固くなるストーリーと思い込んでいましたが、
いい年した大人たちが、父親(祖父・恩人)の葬儀に直面した時の心の揺れ動きが描かれて
いずれ自分も直面するかもしれない場面に思いをはせました。
姉妹のコミカルなやり取り、仕事のパートナーとの理解しあったうえでのクールなやり取りが特にお気に入りです。

多分、後日、じわじわと思い返して、振り返る作品だよな~。

ひび割れの鼓動-hidden world code-

ひび割れの鼓動-hidden world code-

OrganWorks

シアタートラム(東京都)

2022/03/25 (金) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「表現」の源泉を求めた、古代ギリシャへの旅。
白い布をかけ、色をなくしたシンプルな舞台は儀礼の場のよう。
その周囲を「俳優」が歩き、時間の旅を始める冒頭から、深い時間の奥行きを感じました。「俳優」と「コロス(ダンサー)」が対置されながら進行する展開のなか、印象に残ったのは、ディデュランボスの祭礼の場面です。その踊りの輪には、盆踊りにも通じる、死者や過ぎ去った時間への思いが表れていました。

舞台構成、ダンサーたちのキレのある身体……頭脳と視覚を刺激する作品です。断片的で抽象的ながら、不思議なニュアンスを感じさせるイキウメの前川知大さんが執筆したテキストとのコラボレーションも含め、「ダンス」でもない「演劇」でもない、「パフォーミングアーツ」を開発する意欲、意思がそこにはありましたし、その地盤はすでに十分に固められつつあるとも感じます。この魅力的な場が、時には逸脱や混沌も含みつつさらにオーラ、熱量を放つ展開をみたいと思います。


小刻みに戸惑う神様

小刻みに戸惑う神様

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い…お薦め。
公演のご案内に「芝居って、どれだけ上手に嘘をつけるか、そしてその嘘を受け入れられるか」とあったが、舞台という虚構の中に、人生で経験するであろう「葬儀」を嘘と現実の世界を上手く切り分けながら、それでいて融合している 一見矛盾したような観せ方が巧い。視覚的な場景描写、想像的にそこに居る人々の心情を浮かび上がらせることで、虚構の世界(芝居)の中で「葬儀」を経験することになる。同時に次元の違う存在によって 嘘としての「物語」を想像し、その面白さと醍醐味を知ることになる。
一般的に思われている「葬儀」という湿っぽさはなく、どちらかといえばカラッとしている。しかし、そこには地位や名誉ではなく、自分の思いで確かに歩んできた人の人生が観える。

上演前は懐かしい昭和歌謡「喝采」などが流れるが、歌詞「♪いつものように幕が開き♪」とは違い、アナウンスでこのような(コロナ禍)状況の中おいでいただき、といった謝辞。先のご案内に「SPIRAL MOONは歯を食いしばり舞台芸術が消えないよう頑張っている」…上演迄の苦労は想像に難くない、そんなことを思いつつ観劇。
(上演時間1時間45分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台セットは、ある地方の葬儀場の祭壇脇の控室といった場景。中央壁の時計、上手はL字ソファや置台、その上に花瓶花、下手はテーブルと椅子、壁の何枚かの絵画が飾られている。まさに葬儀場で見かける光景。なお上手 上部に植物が摺り込まれたガラス(採光窓?)の様なものがあり異彩感を放っている(来世を比喩か)。今まで葬式をテーマにした劇は何度か観ているが、多くは鯨幕や祭壇・棺があるが、この公演ではバックヤード的な描き。

物語は劇作家の楡原拓一郎(牧野達哉サン)の葬儀。故人は質素な家族葬を望んでいたが…いつの間にか意に反してドタバタし出してきた。冒頭は住職二世による宗教談議や斎場スタッフとの諸々の打ち合わせなどが淡々と描かれる。遺族である娘達(長女:楡原早苗<最上桂子サン>、次女:茶子川京果<環ゆらサン>)は、直接 父親と向き合う余裕がなく、現実の葬儀準備に忙しい。同時に早苗の夫の失踪、夫の近況と若い同棲相手の出現など、生きているがゆえに起こる騒動が厳かな葬儀という光景に生活感を醸し出すというアンバランスが面白い。
一方、亡くなった拓一郎は、彼岸と此岸の間に立って自分の死を見届けるかのように葬儀場を徘徊する。その様は観察というか俯瞰劇。こちらも娘や孫への気持よりは、若くして亡くなった妻や劇団仲間との会話が中心。舞台上、遺族と故人の直接的な絡みは殆どないが、娘の思い出を刻んだ記憶を大切にしていることは十分伝わる。その雰囲気を醸し出す演出は見事だ。

物語は、悲しい肉親(故人)との別れではなく、思い出を大切にしつつ 後ろ向きな姿勢ではなく、生きている者を応援するかのような清々しさがある。有名な葬儀コーディネーター:水先アンナ(秋葉舞滝子サン)が、葬儀は形から入り、思(想)いは後から付いてくると話しているが、実際葬儀を行うと悲しみよりも段取りや手続き的なことに追われる。それでも喪主挨拶(練習)シーンは、悲しみがこみ上げる。コミカル場面と滋味溢れる場面を効果的に観せ、観客の感情を揺さぶるのが実に上手い。勿論、キャスト全員の演技は上手く、バランスも良い。現世と来世の人物の動線も自然であり、安心して観ていられる。

ちなみに、タイトルは拓一郎が書いた短編戯曲のうち、気に入ったシーンの台詞(又はタイトル)らしい。そしてその芝居を演じたのが…。神様でも小刻みに戸惑うのであれば、滅多に執り行わない葬儀、その対応に戸惑いがあるのは当たり前かも。
さらに、同日・同じ葬儀場で副町長(拓一郎の同級生)の葬儀が執り行われており、地位と名誉の人物として対比させるみたいで、脚本:はせ ひろいち氏の気骨のようなものを感じる。

卑小とは思いつつも疑問が。
死後の時間概念は必要なのだろうか。亡き妻(花楓)や友人(百道)が回想シーンへ繋げる際、壁時計の針を動かすために椅子などを踏み台として動かす。そこは照明やパフォーマンスで演出しており、時計はあくまで現世を表現しているのでは。現世と来世を分かり易く演出しているのだろうか。それであれば観客の逞しい想像力で十分膨らませることが出来ると信じている。
次回公演を楽しみにしております。

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