夢・桃中軒牛右衛門の【8月16日~17日公演中止】
流山児★事務所
小劇場B1(東京都)
2022/08/10 (水) ~ 2022/08/17 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
台風直撃にお盆の土曜、ずぶ濡れになりながら地下の小劇場に集った面々。伊藤弘子さんの「お宅らも好きねえ」的ないなせな口上から開幕。主人公・宮崎滔天(とうてん)の妻役・山﨑薫さんとその姉役・伊藤弘子さんの見事な掛け合いで今作の裏事情が語られていく。宮本研の1976年の作品を詩森ろばさんが現代向けにアレンジ。オリジナルを知りたくなる程の大胆な脚色、これを当時宮本研が書いたのなら衝撃的すぎる。
全然難解ではなく娯楽に徹しているので心配しなくて大丈夫。
盟友、孫文(さとうこうじ氏)による清朝政権の武力革命での打破に夢を懸けていた宮崎滔天(シライケイタ氏)。1904年、その夢は破れ浪曲師に転身。桃中軒(とうちゅうけん)雲右衛門(井村タカオ氏)に押し掛け弟子入りし、桃中軒牛右衛門(うしえもん)と名乗る。とはいえ革命の夢を諦めきれない若き中国人達が協力を求めて訪ねてくる毎日。その世話を焼く、妻の槌(つち)とその姉の波。(本当の名前は前田卓〈つな〉、夏目漱石の『草枕』で那美とされているのでこうしたのだろう)。1911年、孫文による辛亥革命が到頭成功するのだが・・・。
さとうこうじ氏は流石。ある種、キーになる役を演らせたら必ず成立させる強さ、凄い力量。
山﨑薫さんのファンなら今作は必見。開幕から終幕まで常に合いの手を入れ続けるような好演。
シライケイタ氏が「誰かに似ているな」とずっと考えていたのだが、IWA JAPANのプロレスラー、松田慶三だった。熊本のお座敷唄「キンキラキン」を木暮拓矢氏と唄い踊りまくるのは名場面。
牛右衛門の弟子、馬右衛門役の星郁弥氏を観るのは今作で三作目、その度にどんどん大物化している印象。一体何処まで行くのか?
各キャストの直筆サイン付き生写真が一枚300円で販売中、要チェック。
夜明けのディストーション
劇団とりもち
アトリエ第Q藝術(東京都)
2022/08/13 (土) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
自分ではファンタジー系の作品は割と好きな方だと思っていたのだが、こういう舞台が「ファンタジックな作風」なのだとすれば、今後は考え直さないといけないのかも。客入れ時の選曲などで、こちらが勝手に期待を高めてしまったのが悪かったか。
今は昔、栄養映画館
みやのりのかい
OFF OFFシアター(東京都)
2022/08/12 (金) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
当パンにも書いてあった演出家によるギャグの修正、ト書きの変更などが何だか裏目に出てしまったのではないか。そんなことを思いながら帰る台風の夜…。
FAMILY~夏が思い出させてくれたこと~
ヒューマン・マーケット
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2022/08/02 (火) ~ 2022/08/07 (日)公演終了
HEISENBERG【Aキャスト全公演中止】
conSept
ザ・ポケット(東京都)
2022/07/29 (金) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/08/13 (土) 13:00
台詞量も多く濃密な会話劇でした。
小島さんのつかみどころのない女性役が素敵。
照明も綺麗だった。
「ともしびー恋について」
メメントC
オメガ東京(東京都)
2022/08/10 (水) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
自身の問題意識や関心、ちょっとした興味まで「演劇」表現に投じ存分に楽しんでいる印象のある嶽本女史。仏道世界の旅から娑婆に戻った?前作(山の羊舎との合同)にてその筆力を改めて実感し、厳しい日程ながら今作は実演で観ようと出かけた。過去上演「ともしび」の改作との事で、男三人が夜伽に過去の女性経験を話す、という流れで複数のエピソードが再現される。人生を生きる当事者の主観と客観の隔たり、人間世界を俯瞰して突き放しつつ心に留め置く距離感が絶妙なチェーホフ作品には、(演劇では感情移入が標準的態度であるので、その対照である)虚無主義、ニヒリズムが際立つ。俳優が熱情を体現する程に嘆息は深くなる。
今作では楽器演奏が付き、回想劇に相応しい古きを懐かしむような楽曲が劇を彩る。また狭い劇場ながら装置がうまく抽象(比喩)性と機能性を兼ねて独特な空間を作り、そこに一番感心したと言えば感心した。若干噛みが多く集中を削がれる箇所もあったが、面白く観た。嶽本女史の世界には才気の煌く瞬間と、拘泥(恐らくは製作の動機に繋がる)による見えづらさとが同居する事があり、どちらもこのアーティストの特徴と過去の観劇の印象とも合せて思う。
その一つかどうか・・劇を貫く世界観としてチェーホフ(あるいは作者)がラストに男らに言わせる「この世は無意味」的な趣旨の台詞は、そこに持って行くまでに演出上または戯曲上の「何か」が欲しい。仏教的な無常感は「客観」真理を言い当てているのに対しチェーホフは人間の心情とその発露を描いている。前者から一気に後者へ飛躍した感じを持った。やはり今も仏道の世界を旅しているのだろうか・・。
楽曲の演奏者の一人がどうやら嶽本女史であると最後に気づいた(そして終演後やおら挨拶に立つ..冒頭を見逃したので知らかったのは私だけかもだが)。後でプロフィールを見れば女史は音大出身。多才な人である。
頭痛肩こり樋口一葉
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2022/08/05 (金) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
数ある井上ひさし戯曲の中でも、随分前にある知人が「あの」と枕語を付けたニュアンスで本作を紹介していた事が頭に残り、気になっていた演目。そこへ「ちりとてちん」の貫地谷女史が出演とあって自分にしては早い時期に予約した(席は大分埋まっていたが)。
宇野誠一郎作曲と思しい楽曲が心地よく流れ、歌が折々に歌われる。古い感覚が普遍性に届いていて心に沁みる。
女性のみの舞台である事に途中ではたと気づいたが、女人芝居にしばしば見受ける息苦しさがなく広がりがある。家長であり仕事人である一葉の風情(社会に開いている)にも拠るだろうが、面々の個性の棲み分け、幽霊の存在も「広がり」に貢献している、
「女性」の物語である事への気づきと共に胸を締め付けられるのは、後半の事である。男性の井上ひさしが、意図を悟られず周到に(難しいことをやさしく)、テーマを狭めず外堀を埋めてついに獲物をしとめるように核心を突く。達人技には唸るばかりである。
休憩中にチラシを手に取り「答え合せ」をすると、増子倭文江に、若村麻由美の名。そして音楽監修に国広和毅の名が目に止まる。今回、宇野誠一郎の楽曲を(間違いないと思うのだが)新音源に誂え直している。中音域のストリングスが、あの「白い巨塔」(70年代の方)のオープニング曲の音色そのもの(シンセか本物か判別困難なアレ)で耳に心地よく、今回は「古さ」にある良さを再生する国広氏の仕事であった。芝居への貢献に徹する仕事振りには毎度舌を巻く。
『Q』:A Night At The Kabuki【7月29日~31日公演中止】
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2022/07/29 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「フェイクスピア」そして「パンドラの鐘」で腑に落ちたNODA舞台の人気の理由(出演者の人気を差し引いた魅力=戯曲のフォーマット)を踏まえ、前半の表層から深層=「終局どの歴史事実に我々を引き合わせるのか」が気になっている自分がいる。ストーリーのベースは「ロミジュリ」。これをオリジナルの登場人物2人(松、上川)が、物語世界に介入し、何とか悲劇を回避しようとする翻案で、物語の「内部」のロミジュリには志尊、広瀬が配されている。
物語の果て(冥界?)に存在する(年を重ねた)ロミジュリの二人は、かつて二人が陥った巡り合わせと早とちりによる不幸を回避しようと「物語」に入り込み、あわよくば自分も青春よもう一度と若い「自分役」に己が成り代わろうとする等お茶目さを発揮しながら、「運命」を相手に二人は共闘する、という話なのであるが、本作ではオリジナル物語そのものが翻案されており、変数が絡み合って複雑である。
舞台は平安末期、堅物の源氏(総領橋本さとし)と享楽主義の平家(総領竹中直人)が反目する。じゅりえは源氏側、母(頼朝の妻)と乳母と共に登場、一方ろーみおは平家の一粒種である。
ここからは難癖である。
ファンタジーの法則性を観客は当然探りつつ見る。だが本作ではある時点で混迷する。ロミジュリの物語が走り出し、ロミオが相手側(源氏)の親戚筋の若者を刺し殺し(形状は銃であるが刀と言わせている・・このあたりで現代の戦争への連想が仕組まれていると知れる)、ろーみおに追手が掛かるあたりから悲劇臭が漂うのだが、更に進んでじゅりえがろーみおと相見えるため僧侶の入れ知恵(一時的に死ぬ薬で味方を欺く妙案)の段で、物語に介入するはずの外じゅりえ(松たか子)はこのオリジナルストーリーを知らず、自分が「良い方法を思いついた!」と、手にした薬を使って原作と同じ事をやらかす。松じゅりえは先刻から二人の恋路を阻む人物の背後に現われてはバットで殴り倒す、という行動で笑いを起こしていたのだが、仮死状態にするこの薬こそ、「誤解」による悲劇の源であるのにそれを「知らない」事になっており、しかも同じ筋がなぞられて同じドラマの盛り上がりを作るという格好になっていた。「知らない」事も笑いに収めようと作者は目論んだのかも知れぬが、原作と同じ道を辿るために、作者は松がそのストーリーを「知らない」設定にしたと見える。「知らない」理由は説明(正当化)されぬまま、本じゅりえ(広瀬すず)は仮死状態となりろーみおはそれを見て絶望死する、というオリジナルと同じ顛末を辿るので、「やはり運命は変えられななかった」という嘆きがわざとらしく聞こえる。じゃあオリジナルの二人が辿った「運命」の話は何だったのかと無粋ながら問いたくなる。幽霊だから色々と忘れる(直後に観たこまつ座「樋口一葉」ではないが)という事であっても良いのだが、「運命に介入する」構造の脚本では、如何に目まぐるしく劇が展開しようと、少なくとも「運命は変えられない」をキー・ワードにペシミズムやニヒリズムといった大仰な劇的感慨にアクセスさせるべきでなく、せいぜい強固な劇構造に挑んだ無謀を反省(お猿さんを真似ても良い)といった結語で事足れりとすべきであり、現実社会に当て嵌めて「何もしない・できない」己を(無力さへの憐憫という形で)正当化する余地を与えるべきでない、と思うんである。
世の中と演劇する The three plays
オフィスプロジェクトM
アトリエ第Q藝術(東京都)
2022/07/28 (木) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
映像にて鑑賞。
注目の「明日のハナコ」プラス2短編、第Q藝術には観に行けなかったが幸い配信で観ることが出来た。
視聴2回目で漸く集中でき、劇場の中を覗けた感じ。すると30分程度の一人芝居(語り)2作品、「ハナコ」(1時間弱くらいか)も良い感じで立ち上がってきた。短編二つはも含蓄あり見応えがある。
に男二人が加わり
そよそよ族の叛乱
THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)
THEATRE E9 KYOTO(京都府)
2022/08/13 (土) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
満足度★★★
開始早々探偵が出てきたので、ミステリーものと期待も…。言いたいことはなんとなく理解できたが、そういった人種がいても良いと思うのは僕だけ…😓
最前列で拝見したが、最前でも寝てた人が…。そこ必要と思うところがかなりある中で、時間も…
華麗なる家路【一部公演中止】
しむじゃっく
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2022/07/30 (土) ~ 2022/08/07 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/08/06 (土)
価格2,700円
太陽Teamの動画配信を視聴(110分)。
コリッチ記載のあらすじとはかなり異なるw…はさておき、久美と珠美を中心とした ”幻のカレー”を追い求めての旅は、最後には二人それぞれにとって大切なものを見つけ…といった、ロードムービーとカレーグルメの合わせ技テイストの110分。
話の運びはかなり突飛でチカラ技満載だが、カレーのスパイスが効いたのか、うるっと来るシーンもチラホラ。フウフウ言いながら辛いカレーを平らげた後の満足感にも似た、爽やかな後口の作品だった。
演技陣では、これまで何回も舞台を観て来た妃咲歩美さんの、(自分にとっては)新たな一面が大変印象に残った。
リチャードニ世
G.Garage///
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2022/08/11 (木) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
猫のみた夢
朗読劇集団おーるほわいと
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2022/08/13 (土) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
朗読劇3話オムニバス。みんな上手すぎっ!びっくり!
良かったけど…冷房ききすぎて途中から集中できなかった事だけが残念…
今は昔、栄養映画館
みやのりのかい
OFF OFFシアター(東京都)
2022/08/12 (金) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
夜明けのディストーション
劇団とりもち
アトリエ第Q藝術(東京都)
2022/08/13 (土) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
天候は台風と予報された旗揚げ初日。
劇場に入ると美しく響き渡る音楽、白くて柔らかそうな布が一面に、
そして薄っすらとしかモノを写さない不思議な鏡(?)これが幾つも
足を踏み入れた瞬間から現実が遠ざかっていく感じ
安易に「そして彼女は王子様と楽しく暮らしました」とはならないファンタジー
内容は如何様にも解釈できそう。
個人的には、一人の若い女性の思考を介して描かれた一人称の世界観だったのではないかと
沢山の愛に囲まれていても、遠い街からやって来た美青年に告白を受けようとも、それが幸せへと直結しない他者との距離間。
キーワードのひとつでもある「死」
愛する者とひとつ道を進めなかった傷心と再生の物語とも受け取られ…
若い人の感性が飛び交って、それがとても美しかったり、ある意味こじれている気もしたり、でも若さってそういうものか…なんてグルグル思いを巡らせながら帰路に着いたのでした。
今は昔、栄養映画館
みやのりのかい
OFF OFFシアター(東京都)
2022/08/12 (金) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
70分ずっと開場5分前という不条理劇でなんとも不思議な感じ。そしてどんどん悪い状態になっていくのが見ていて面白く2人が可愛い。
とにかく良く喋るので70分でもかなりハードそうでした。
第74回「a・la・ALA・Live」
a・la・ALA・Live
内幸町ホール(東京都)
2022/08/09 (火) ~ 2022/08/09 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
感想遅くなりましたが、みんな楽しそうに演じられていてよかったです。急遽一人芝居になったとのことですが、成立してましたよ。楽しい時間を過ごせました。
蝶々結び
LUCKUP
上野ストアハウス(東京都)
2022/08/03 (水) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とても面白かったです。とても良くできたセットで、とても丁寧なお芝居。最後にはいろんなことが繋がって、良くできたお芝居だったと思います。役者の皆さんの演技もとてもよかったです。次回作も気になりますね
世の中と演劇する The three plays
オフィスプロジェクトM
アトリエ第Q藝術(東京都)
2022/07/28 (木) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/29 (金) 18:30
1回目の緊急事態明け直後だった2年前、舞台芸術はこの先どうなるのだろうと誰もが不安に思い、まさに手探り状態だった時に、劇場が万全すぎる対策を講じた上、出演者が防護服を着て『野獣降臨』(ドナルカ・パッカーン)を上演した際の中止人物、丸尾聡が今回の作品でも大活躍。緊急時に頼りになるオジサン。本当は劇場で見たかったのだが、いろいろあって、配信で観劇。ネット中継だと、こちらに届く時には耳にやさしくない音質になってしまっていることが多いのですが、この配信はそんなことはありませんでした。
世界は笑う【8月7日~8月11日昼まで公演中止】
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2022/08/07 (日) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
大爆笑があるから良い演劇とは限らないと
パンフレットかTwitterで見かけた。いつもKERAさんの舞台より笑いは抑えめのような気がした。
イモンドの勝負はふざけすぎていて破茶滅茶だったから芝居としては今回のほうがおもしろい。
物語が少し平坦のため飽きやすい人は寝るかも
しれないが私は好きな作品でした。