トロイ戦争は起こらない
人間劇場
シアター風姿花伝(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
トロイの王様、妃、プリンスなどトロイの雰囲気がとても素敵で、それに音楽劇が加わり、私的にはドップリ楽しめた。
エレーヌ役の女性が出てくるのを今か今かと待ちわびた。
絶世の美女だというので。確かに魅力的な綺麗な人で、怪しい雰囲気もあり、引き込まれました。
メインの人たちが演じている間、それ以外の人たちもひとりひとり大切にうなり声をあげたり、からだ全体で演じていて、両方を満喫できるのはスゴかったです。
本格的なお芝居で、とても素晴らしくて、大満足でした。
トロイ戦争は起こらない
人間劇場
シアター風姿花伝(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ラスト「トロイの詩人は死んだ」云々でホメーロスの「イーリアス」を予言している点の何とも言えない痛烈は流石にジロドゥと言った所。
追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/27 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
『無畏』
初演を駅前劇場でフェイスシールド汗ダラダラで観劇。その時は「ここまでやるか」と作家の覚悟に畏れ入る。ちょっと前だったらこの内容はヤバかった。1998年、横浜黄金町のシネマベティでジョン・ウー製作の『南京1937』の上映中、右翼が乱入してスクリーンを切り裂いた。兎に角この手のネタはあれやこれやで潰される。面倒を厭う企業はタブー化して問題を更に深刻にする。ネット全盛の時代、情報はダダ漏れ、隠蔽して封印してしまえば国民は騙されるなんて最早無理。ちょっと知性があれば南京で皇軍が何をしたか?なんてすぐに分かる。
2度目の今回、「作品として随分よく出来ているな」と感心。判り易く丁寧、無駄な遣り取りを削ぎ落としている。初演から弄ったのかは不明だが、かなり観易い。簡潔に松井石根陸軍大将・上海派遣軍司令官の南京大虐殺に至るまでの罪を暴き出している。
大量の書籍が机や床に三箇所山積み、椅子の上に積み上げられた書籍も二箇所配置。ただそれだけの簡素な舞台美術だが非常に効果的。
何故、日本軍は掠奪強姦虐殺放火を大陸中で繰り返したのか?
当時の兵士達が全てを告白するドキュメンタリー映画、『日本鬼子』(リーベン・クイズ)も観て欲しい。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
実に壮大で悲哀で愛すべき物語でした。伯爵の膨大な時間の中で、その刹那を生きる人達との関わりが愛しくて切なかったです。相変わらず言葉選びが秀逸で笑いもあり、悲しくなり過ぎない所も良いですね。三回目の上演との事で、初めて観ましたが、とても大好きな舞台です。
魔と怨の伝説
劇団1980
シアターX(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/08/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
そうだ藤田傳・・・今回のは初見だがずっと前に1、2作お目にかかった事がありこういうタッチだった。戯曲としての完成度はぶっちゃけた話、高くない。というか戯曲という形を取った詩と言った方が良い。人物は役を与えられているが多くの場合コロス的に立ち回る。そう見えるのは台詞総体が一つの詩でありモノローグであるからだ、と思う。
だがそれは芝居を観終えて、咀嚼しようと思いを巡らして思い当たる事で。。役者は十分に魅力的に演じ、切り取った場面の視覚的・聴覚的な「完成度」は高く「ドラマ」の展開への期待は高まる。が、ドラマとしての完結は見ない。
この作家の筆致は歴史的な事件・事象を舐め、思わせぶりな台詞をフックに観客に岩山を登らせ、作者の世界観、眼差しを共有させるのだが、事件や事象を一望できる山頂には着かない。これは「歴史」に依拠した作風のためだ、と理解する。
歴史という下地のあるカンバスに、上塗りしていく手法が、つまり下地とのコラボがうまく結実すれば作品としての美を放つが、今作は下地が何であるかは不明。戦後日本の事件に横たわる病理を取り上げた(又は具体的な事件を念頭にした)感触は残すのであるが(永山則夫が浮かぶ)、作者としてはそれが下地となり得ると想定したのだろう。最初に示されるフィクションとしての「事件」は、観客の関心をその先へと引っ張るが、事件の犯人(主人公とも言える)がそうする必然性に辿り着いた実感がない(あるいは描き切れてない)。
事件そしてその謎解きという典型的なミステリーの形を持つ今作のラスト、個別具体の事件の種明かしが訪れる事はない。社会背景、生育過程の風景から、事件の原因を推定せよ、で一個の人生を描いたと言えるだろうか。
書かれた時期には作品の背景として想像し得たものがあった、のかも知れないが。。
ポンペイ
さんらん
上野ストアハウス(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/08/22 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今回はがっつり長編のさんらん。歴史的な大災害に見舞われた町を「災いを予見できた」想定でドラマ化。
大規模な厄災(の可能性)に直面した人間と社会の普遍的な問題が浮かび上がる。
ヘンシン
イデビアン・クルー
座・高円寺1(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
久々二度目のイデビアン。格好いいの一言。完璧なスタッフワーク。
前回はどこで観たのだったか・・舞台としてはとある旅館の風景という事で幾分言語化しやすい(紹介しやすい)世界だったが、今作は背後に横長にパネル(壁)が三枚わたされ上手下手に出入口が開いてる恰好。他は衣裳に特徴がある(途中で見事に変身する)のみで間断なく続く「舞踊」は日常動作のコミュニケーションから抽象的な群舞まで、「ニュアンス」が高解像度で眼前に迫る。ナチュラル演技の対極、研ぎ澄ました動きでナチュラルのイデアを造形する。修練の賜物だ。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
たて続けに戦争というものについて考えさせられている
と言っても変化があるわけではない
深まっていくだけ
ひとつ再認識させられたのは「空気」
「無畏」にしても「回天」にしても怖いのは「空気」
確か昨年観て今回はパスした「帰還不能点」でも日本の「真空」(意思決定、だれが最終責任者なのか不明)について言及されていたが、方向を決め、推し進めるのは「空気」
世の中の空気、兵の空気・・・
特攻に突き進んでいく狂気は兵の、若者の、国民の空気から生まれる
南京事件も軍の中の空気から・・・
戦争そのものが世の中の空気から・・・
「〇六」では波の音がいつまでも耳に残った
「その頬」では久しぶりに広島弁をたっぷり聴いた
今日の残るセリフは「生きとるだけでなんでこんなに悲しいんね?」
改めて劇チョコの舞台美術はシンプルだが効果的だと感じた(「遺産」は凝っていて印象的だったが)
追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/27 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「無畏」
一昨年観て圧倒された作品だが、再び深く考えさせられた(キャスト同じ)
一昨年と同じく大室弁護士が松井大将の責任を「検証」していくシーンが圧巻だった
松井役の林竜三と上室役の西尾友樹の演技が圧巻
ハコは下北の駅前劇場の方が好きだな(サイズ感)、巣鴨プリズンにも合って、検証シーンでもより緊迫感があった
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
気の遠くなるような壮大な物語。
その壮大さに負けないくらい舞台セットや衣装等、美術に力が入っていて延々と移り行く世界、生活の場へと瞬時に入り込ませてくれる。
冒頭から すっかり目を奪われてしまいました。
きっとお金もかかっているだろうけれど、何よりセンスが良い。
そして決して死ぬことのない伯爵が持つ独特のトーンといい、それぞれの時代を彩っていく登場人物達の多彩さといったら、笑いのスパイスもしっかり効いて 演技の方も驚くほどにセンスが良い。
伯爵は死なないだけでなく、いつまでも若くて美しい。
本物の若さに囲まれて、その中にちゃっかり溶け込んでいる伯爵はひょうひょうとしながらも、どこか一歩引いた立ち位置を必死に維持しているようでどこか物悲しい。
出逢いや別れは長い年月と共に風化していく。
そんな出逢いや別れに意味があるのか・・・
そんな問いかけに胸をしめつけられ、その後の導きにまた心打たれてしまうのでした。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
3年前の公演の印象が強かったので、サンジェルマン伯爵役が岡野康弘から4ドル50セントの前田悠雅に替わると聞いたときは不安もあったが、観ているうちにそんなことは忘れて最後まで。この壮大で且つ可愛らしく、切ない愛のお話にうるうる。
帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/08/17 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/08/25 (木)
価格3,130円
25日18時半開演
どのように死んでゆくべきか?の『〇六〇〇猶二人生存ス』(49分)
前を向いて生き続けていきたい!の『その頬、熱線に焼かれ』(70分)
対照的な短編2篇を、い組の回で拝見(途中休憩10分込み上演時間130分)。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
声を大にして言います!大好きで大好きな作品です!前回も観劇しましたがやっぱり大好きだと再認識しました。沢山の散らばった宝石を一つ一つ集めていって、最後はその宝石達を一つ一つ思い返すような愛しくて堪らない気持ちになりました。今回は伯爵が女性ですが、それはそれで新しい視点が見えてとてもよかったです!一連の変化していく演技が素晴らしかったです。こんなに愛しいと思える作品にはそうそう出会えません。また観れて本当によかったですし、出会ってない方には全力で出会って欲しい舞台です。岡野さんが何の役なのかもポイントです。最高でした。泣けました…!是非この舞台も映像化していただきたいです!
瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった
おぼんろ
Mixalive TOKYO・Theater Mixa(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/25 (木) 15:00
ピノキオやスティーヴン・キング、川端といった古今東西の名作へのオマージュ(風なところ)も含めながら、物語の渦の中に観客を引きこむ手法は見事。大ステージならではの演出もあって、劇団としてスケールもアップ。おぼんろ作品ではお馴染みのさひがしジュンペイには今のロバート・プラントみたいな風格がありました。
ときじく〜富士山麓鸚鵡鳴〜【大阪公演、8月4日公演中止】
カムカムミニキーナ
座・高円寺1(東京都)
2022/08/04 (木) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/14 (日) 13:00
徐福伝説と姥捨の風習、さまざまな日本昔話が結びつく裏系の歴史超大作。見応えあり。
ざんねんないきもの事典 ~いきものたちの逆襲~
エイベックス・エンタテインメント
あうるすぽっと(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/25 (木) 11:00
大傑作! 生き物に対する好奇心と愛情にあふれたステージ。トリビア系知識も満載。楽しく勉強にもなるステキな作品だと思います。ビジュアルもカワイイ&かっこいい。
大阪演劇見本市2022
関西演劇振興会議
ABCホール (大阪府)
2022/08/25 (木) ~ 2022/08/25 (木)公演終了
追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/27 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
自劇団の戦争を素材にした舞台6本をこの夏に一挙上演する企画の一本である。チョコレートケーキがこうした作品に取り組む意図は明確だ。残った子孫たちへ、と言うが、筆者のような先行する世代にとっても、良い企画だと思う。ことに中にすでに見た「帰還不能点」や「その頬、熱線に焼かれ」が入っていて、ことに前者は演劇的にもよく工夫されていて、単に、戦争を指導した者たちだけでなく、それを支えた社会も的確に描出していた。
「無畏」は昨年初演されたが、時期が悪く知った時にはすでに終演していて見逃した。A級戦犯となって処刑された南京大虐殺事件の陸軍司令官の松井岩根(林竜三)の戦争犯罪をテーマにしている。
戦争犯罪はどのように裁かれるべきかと言うテーマが難しい上に、事件そのものが複雑な事情の上に成り立っている。史実はかなり明確になってきているが、それにその時々の国際的な政治判断がついて回る。事件を客観できないところへ、松井の「誰かが責任と言うなら、私だろう」という結論を急ぐ判断があって、それが戦勝国による法廷で裁かれる、と言うところが悩ましい。いつもは、問題の中心から、距離を置く時間や場所をを発見するのがうまい古川健だが、今回はその余裕がなく、史実のデータををできるだけ詰め込もうとする。ほとんど弁明の余地のない上海派遣軍(原口雄太郎)と増援軍(今里眞)の司令官たちとその幕僚(近藤フク)たちが単純化されて敵役になってしまう。作者には、たとえ、部分的なドラマになったとしても、全体をイメージさせるだけの力量はあるはずなのに、今回はそこまで出来て居ない。
これは原爆乙女の米国による治療を描いた「その頬、熱線に焼かれ」の時も感じたことだが、現在まで尾を引いている現実を、観客が芝居の一幕として理解するには複雑すぎるのだ。しかし、そこが生で演じられる演劇のいいところで、今回の敗戦の八月公演は壮挙と言っていいだろう。
今のコロナ騒ぎの政府対応にも、この国の合理的なシステム作りが出来ない病弊は露呈しているのだから。(これでは芝居の「見てきた」にはならないが)