最新の観てきた!クチコミ一覧

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足跡

足跡

さるしばい

萬劇場(東京都)

2022/10/06 (木) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「明日の後で」観劇。商店街での映画撮影を軸にそこに集う人達の温かさを感じる作品。最初ドタバタしておりコメディ調ではあるが、伏線回収もあり、徐々に優しい物語に。ただ、展開が分かりやすいが為に読み易くもあり、登場人物も多い為、色々と詰め込みすぎたようにも感じてしまった。各エピソードがもっと深ければとも思えましたが、2時間に収めた起承転結がしっかりした舞台でした。舞台セットは実に見事で、公演後にバラすのが勿体ない位でした。

ソハ、福ノ倚ルトコロ

ソハ、福ノ倚ルトコロ

演劇集団円

吉祥寺シアター(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

 『滝沢家の内乱』や『神遊(こころがよい)―馬琴と崋山―』などに続く、
『南総里見八犬伝』をめぐる、不屈の人、曲亭馬琴(滝沢興邦)と
その周りの人々を描いた評伝時代劇の力作(小説では、山田風太郎の
『八犬伝』等あり)。

 世の中の情勢がどうであろうと、作品を世に出すということが
どれほど手間暇のかかることか、当時の読本の制作過程と
不要不急のものといわれる昨今の演劇作品の制作過程とが
自然と重なってみえてくる。
 作品というのは、一人の力だけで世に出せるものではなく、
幾人もの人たちの手による協働作業の賜物である。

 劇本体に、『八犬伝』の原文での劇中劇(読本の強靭な2.5次元舞台)を
織り交ぜながら話が展開してゆくが、そのタイミングと
構成バランスは絶妙で、グリフラの『かっぽれ!』シリーズ作品
でみせたあの鮮やかな転換を彷彿とさせる。『八犬伝』を
完結させてもなお尽きることのない創作意欲溢れる
戯作者魂、気概をみせる馬琴のラストシーンも前向きで心憎い。

 ちなみに、題名は、『八犬伝』第四輯巻之一第三十一回の
「いにしへの人いはずや、禍福は糾縄の如し、人間万事往くとして、…」
からきているとおもわれるが、おおもとは、老子の
「禍は福の倚る所、福は禍の伏す所なり」。

みんな友だち

みんな友だち

こわっぱちゃん家

上野ストアハウス(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どちらの立場になっても、自分ならどうするのか考えてしまいました。
生前葬もアリですね!
良かったです!

ソハ、福ノ倚ルトコロ

ソハ、福ノ倚ルトコロ

演劇集団円

吉祥寺シアター(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

晩年、目を患って口述筆記で「南総里見八犬伝」を完成させた滝沢馬琴(佐々木睦)の家族、ことに夭折した息子の嫁みち(高橋理恵子)の奮闘記である。
この時代は馬琴のような大衆読み物をはじめ、浮世絵や評判記、芝居など、都市大衆文化の最初の興隆期で今までにも、浮世絵の画家の北斎、広重、写楽や出版元・蔦屋、作者でも山東京伝など、芝居にして立つキャラクターも多く、何度も舞台にも上がりテレビや映画の素材にもなった。どこか見たことがある、と言う既視感があるのは、今回は馬琴の日記をもとにして史実を追っているからでもあろう。円の総力戦の公演で、有力俳優はほとんど出ていて、文学座系であるだけに抽象セットであるにもかかわらず江戸爛熟期の雰囲気は言葉に出ている。佐々木睦、高橋理恵子はもとより、佐々木敏(北斎)、福井裕子(文盲の妻)、高林由紀子(みちの母)皆懐かしい俳優だが、脚本も含め、下町の言葉になっているのがいい。俳優の年月が生きている。若手では山本琴美(新米下女のむら)。
舞台はみちが口述を始めるところから完成まで、2時間半(休憩15分)にまとめているが、なくもがなの八犬伝の内容紹介や、登場人物、時代背景の説明など丁寧すぎてだれる。
キャラクターも物語も今どき、パワハラやジェンダー差別で指弾されることばかりだが、そういう歴史文化破壊の俗論に惑わされず、取り組んでいる。
芝居になりやすい時代と言えばこの後は明治の文明開化、大正リベラリズムの時代があるが、どちらも樋口一葉や伊藤野枝のような女性抜きでは成立しない。みちにも、劇的にはもっと個人に焦点の当て方があったと思うがどうだろうか。

仮名手本吉原恋心中

仮名手本吉原恋心中

ネコダマシ

ブディストホール(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/07 (金) 19:00

初見の団体である。といっても主宰(この作品の作・演出)の椿紅鼓は何回か舞台で観ている。東方守護-EAST GUARDIAN- (出演者全員が椿姓を名乗る団体だった!)の「天守物語綺譚」や「阿弖流為-ATERUI-」、数々の秀作を発表しながらも解散した芸術集団れんこんきすた「雲隠れシンフォニエッタ」あたりだが、実はもっともっと数多く彼女の作品を目にしている。手に取っただけで目を奪われる時代絵巻AsHのチラシ群をデザインしている京山琴佳というのは椿紅鼓の別名なのだ。

舞台装置は花魁ものの芝居でよく見るタイプで、特に目新しさはないものの、豪華な雰囲気は出ている。

シェイクスピア「ロミオとジュリエット」と近松の「曽根崎心中」にヒントを得た物語だとのことだったが、なるほどこの2作がうまくミックスされている。
「曽根崎心中」といえば増村保造監督、梶芽衣子・宇崎竜童主演の映画が秀逸なものだったが(私の邦画BEST5の1本だ)、そのテンポの良さをも感じさせる。
殊に目を見張ったのは、役者陣の所作。若い人が作る時代劇では役者の所作がなっていなくて幻滅することが多いが、この舞台では隅々にまで演出の目が行き届いている。

残念だったのは勘定吟味役・東上左次衛門が屋敷の外を出歩く時にも着流しだったことと、主人公・菊之介の衣装。傾奇者(かぶきもの)じゃないんだからあんな派手な衣装はないだろう。演じる小山蓮司が北区AKTとは異なる役柄を好演していただけに残念。
初花役の濵田茉莉奈は初々しさを感じさせるが、時代劇としての演技はイマイチか…。
ラストは初花が「お前の鞘はこの胸だ」と剣を胸に突き立てるのかと思ったが、さすがにそれはなかった(笑)。

演出の端々に東方守護、今でいえば呼華歌劇団のような感じがあったのは意図的なものか。

タイトルの「仮名手本」というのは「仮名手本忠臣蔵」にあやかったのだろうが、この作品中では特に意味はない。

NIGHT CLUB

NIGHT CLUB

品川親不知

西新宿ハーモニックホール(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/08 (土) 18:30

TBSテレビでは年に一度の「お笑いの日」&「キング・オブ・コント2022」を8時間生放送しているこの日、初めての劇場で、初見の団体のコント・ライブを観る。

まず劇場の大きさにびっくり。椅子も座り心地がいい。入口には関交協ハーモニックホールと表示されていたので、関東交通共済協同組合のホールだということか。
入場料2千円でこんな立派な劇場を使ってペイできるのかと他人事ながら心配になったが、この日は満席を予定しているというし(実際に終演後に確認したら、空席はほとんどなかった)、であれば入場料収入は1ステージで約30万円。舞台装置が簡素なコントであれば大丈夫か…。

1時間15分の間に6本のコントが上演されたが、いずれもヒネリがきいて面白い。
個人的には中学時代からの仲間の葬儀前の様子をモチーフにした5本目の「ぶっちゃけど ぶっちゃけど」が特に秀逸だった。

ヘアスプレー【9月17日~19日、10月29日~11月8日公演中止】

ヘアスプレー【9月17日~19日、10月29日~11月8日公演中止】

東宝

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2022/09/17 (土) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/09/29 (木) 18:30

名作!
渡辺直美が渡辺直美っぽくなくて良かった。
祐さま(山口祐一郎)の母役、貴重でした。

出演者は問題無いのですが、劇場音響が悪いので、★はマイナス。
私の席は、音が割れて台詞が聞き取れなかった。

アルキメデスの大戦

アルキメデスの大戦

東宝

シアタークリエ(東京都)

2022/10/01 (土) ~ 2022/10/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

原作は『ドラゴン桜』で有名な三田紀房の漫画である。「ヤングマガジン」において2015年から連載中であり、単行本も29巻が出たばかりである。昭和8年から始まって今は昭和16年末の真珠湾攻撃直後であり、まだまだ終わる様子はない。

その超長編を映画では単行本の3巻くらいまでを取り出しかなり改編して、冒頭5分間の実写+CGによるド派手な戦艦大和の沈没シーンと最後の大和の就航シーンではさんでいる。アマゾンプライムビデオで『映画を早送りで観る人たち』になってチェックした限りではエンタメ映画である。

この舞台は映画をもとにしているが、もちろん大和の沈没シーンなんてその欠片も再現することはできない。それを逆手に取ったのかエンタメ性よりもメッセージ性に重きを置いた作りになっている。冒頭には代わりに大和が沈没したときに設計者に「これがあなたの望んだことか」と問い詰めるシーンを置いている。このシーンは最後にまた繰り返されて、この舞台の主題が反戦であることを鮮明にしている。また山本五十六がいかにも非戦論者のように振舞って主人公を欺いていることが映画より強調されているのもその流れだ。まあしかし、そんなところを丁寧に見て行ってもそもそもこのストーリーが丸ごと嘘八百なので深く考えずに「ああ、面白かった」で寝て起きたら忘れている、そんなところが正しい観劇態度なのだろう。それなら星4つ。

映画がもとになっているせいか場面転換のための暗転が多く、眠気を吹き飛ばすために結構派手な音楽が流される。ここは安易というかエンタメ方向。65分+25分休憩+90分

きっとこれもリハーサル

きっとこれもリハーサル

エイベックス・エンタテインメント

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

これもリハーサルだったら良かったのに・・・

ネタバレBOX

お母さんがお父さんと子どもらを懸命にとりなそうとする様子を見て結末がわかってしまいました。自分がいなくなった後のことを考えての「お葬式のリハーサル」だったんですね。余命宣告をされたのに、一人で受け止めてその後のことを考えて「お葬式のリハーサル」と称して一芝居。最後まで家族のことを思うお母さん、真似できません。
アフタートークで言われていましたが、昭和感が漂う家族の姿でした。仕事一筋、家族が何を考えているか知ろうとしない頑固なお父さん、それを支えるしっかりしたお母さん。令和はまだ早いとして、平成の家族はどうなんでしょう。お父さんは家族の話を聞くようになっているのでしょうか。
エッサホイサ

エッサホイサ

劇団飛煌機

アートギャラリーフジハラ(大阪府)

2022/09/23 (金) ~ 2022/09/24 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

千秋楽観劇。
向うのマンションの管理人が…
6畳1間の住人とオカマと牛乳が…

旗揚げおめでとう🎊
芸大生3人ユニット、時々小ネタ交え、シュールな感じの劇に仕上がってた。
牛?とか奇抜で、笑えた。

ps.公式ツイートでは彼は幽閉されてた様で!
今更ながら、そうだったのか?と言う感じ。確かに色んな捉え方ができる公演だった。

ゾウとパンダと見えない虹のはなし

ゾウとパンダと見えない虹のはなし

タテヨコ企画

表現者工房(大阪府)

2022/09/23 (金) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

大阪公演初回観劇。
動物園の舞台裏、飼育員作業室を舞台に、真正面から動物達と向き合い、各々の思いに正直に真っ直ぐに人と向き合う、曲者揃いの群像劇。

ゾウとパンダと に心すり減らした人達を中心に、飼育員さんの苦労と情熱の物語、良かった。

路地裏の舞台にようこそ2022

路地裏の舞台にようこそ2022

一般社団法人アラヤシキ

[00]スパワールド ピロティ,[01]3U(マンション三友),[02]バクロ どやねんホテルズ,[03]ヤマト どやねんホテルズ,[04]喫茶コスモス,[05]成田屋,[06]ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学(旧ココルーム),[07]日之出湯はなれ こいさん路地,[08]イチノジュウニのヨン(大阪府)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

市川まや×廣明輝一『牧神の午後』初回観劇。
まさか晴れて、綺麗な夕陽と共に拝見できるとは…

南海電車やカラスの鳴き声を交え、
尺八の音色と共に、静かで力強いダンスを拝見。

屋上芝居から、屋上でのダンス×尺八コラボを梯子。
風がとても気持ち良かった。
楽しめた。

ご主人!出番です

ご主人!出番です

市民劇場TAMA

多摩市立関戸公民館・ヴィータホール(東京都)

2022/10/09 (日) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ほのぼのとしたコメディであるが
ストレートな王道路線でもあり
レトロかなぁ とー
上演時間が65分かな

ネタバレBOX

小道具としての衣装とか
各人の性格設定とか説得力とかは強かった が
まぁ 話が捻れない=王道だし・・・
某国民的アニメの感じとでもいいましょうか
自分的には も少しイロイロと入れて欲しかったかなぁ とも

毒舌系もとい無茶ぶり系のユーチューバーさんの語りで初めて
語りで締めるのは まとめ方が巧かったが
チャラ系の兄さんでなく
普通に郷土とか地元のシャッター商店街の宣伝とか
してる感じでの設定の方が作品の雰囲気にはあってたのでは?とか思えたなぁ
天然で毒を吐く感じにしたら~とかも自分的には思えたデス
リアルに和菓子をつまんでるのは
なかなか高評可(^-^)

ボス潜入とか
水戸黄門みたいな話が合いそうな劇団さんかなーとも
路地裏の舞台にようこそ2022

路地裏の舞台にようこそ2022

一般社団法人アラヤシキ

[00]スパワールド ピロティ,[01]3U(マンション三友),[02]バクロ どやねんホテルズ,[03]ヤマト どやねんホテルズ,[04]喫茶コスモス,[05]成田屋,[06]ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学(旧ココルーム),[07]日之出湯はなれ こいさん路地,[08]イチノジュウニのヨン(大阪府)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

GoooooToJ『屋上ボッチ!』1stに続き2stも観劇。
晴れて、雲の合間に夕陽が…美しい!
空と繋がる屋上での公演👏👏👏
清々しい!!

2st目は男役が入れ替わり、ガラッと雰囲気が変わった。
世捨て&世間知らず&取憑れ&神の物語、半分インプロで前回と展開も異なり、愉しかった。

銀幕ボイス

銀幕ボイス

盆栽サイダー

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2022/09/23 (金) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大阪公演初回観劇。
取り壊しの決まった映画館、5/6のフィルムが繋ぐ10分間…

若い役者さんが多数ご出演。
多すぎて、始めは誰が誰だか?な感じだったが、徐々に明かになる其々の物語が熱い。

人との繋がりの大切さを教えてくれる。
自然と涙がこぼれてた。
感動、良かった。

ネタバレBOX

本当に感動モノで涙流れました。
が、気になる事が…

コメントにも書きましたが、少しキャスト数が多すぎる気がします。
終盤になれば、誰が誰だか認識しますが、できれば見せ方を分かり易くして貰った方が良いと思いました。
それでなくても、パラレルワールドの行き来でややこしいのに、脇役の方の人間関係くらいはパラレルワールド双方で固定化して観易くしてもらったら、もっと早くに物語の世界に入れた気がしました。
登場人物の多さに右往左往したので、満足度は★4~5つと少し微妙な所だったのですが、わざわざ大阪まで来ていただいたので★5つにしておきますね。
路地裏の舞台にようこそ2022

路地裏の舞台にようこそ2022

一般社団法人アラヤシキ

[00]スパワールド ピロティ,[01]3U(マンション三友),[02]バクロ どやねんホテルズ,[03]ヤマト どやねんホテルズ,[04]喫茶コスモス,[05]成田屋,[06]ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学(旧ココルーム),[07]日之出湯はなれ こいさん路地,[08]イチノジュウニのヨン(大阪府)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

GoooooToJ『屋上ボッチ!』初回観劇。
男女3人がビル最上階で鉢合わせ、何やら先を急ぐみたいだが…

雨がやみきらず屋上を断念して、最上階8Fでの公演という貴重回。
半分インプロとの事、その手探り感と牽制し合う3人の距離感が合ってた。
神の別次元感覚も好き!
次こそ屋上で観たい!

路地裏の舞台にようこそ2022

路地裏の舞台にようこそ2022

一般社団法人アラヤシキ

[00]スパワールド ピロティ,[01]3U(マンション三友),[02]バクロ どやねんホテルズ,[03]ヤマト どやねんホテルズ,[04]喫茶コスモス,[05]成田屋,[06]ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学(旧ココルーム),[07]日之出湯はなれ こいさん路地,[08]イチノジュウニのヨン(大阪府)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ピンクのxソラ『メアリー・スチュアート』前編千秋楽観劇。
スコットランドとイングランド、2人の女王の物語。
結婚3度のメアリーと独身貫いたエリザベス、2人の女の物語。
幽閉中のメアリーと、絶頂期のエリザベスの対峙を、怒涛の台詞量で綴る2人芝居、凄まじく凄かった!
後編も拝見したかった。

きっとこれもリハーサル

きっとこれもリハーサル

エイベックス・エンタテインメント

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

分かっていたこととはいえ余に不自然な設定に「無理のある芝居だなあ」と観に来たことを少し後悔したが、終わってみれば王道の泣かせる喜劇だった。最初のうちの居心地の悪さも作者の仕掛けの一部なのだ。今から振り返れば「葬式の練習をしたい妻」という設定から流れは読めたのではないかとちょっと残念。まあそう思わせるのも作者の計算の内なのだろう。

石野真子さんが素晴らしい。出だしから気持ちをすっかり持っていかれてしまった。

アフタートークの司会をした吉本ピン芸人の あべこうじ さん、こんな仕事は初めてではないかと思うが中々うまく回していた。そして、娘に葬儀屋がきつめに当たる理由がこのトークで分かったのだが、あべさんも(私も)その伏線をすっかり忘れていたというか気にしていなかった。葬儀屋役の しゅはまはるみ さんが残念そうに裏設定がしっかりあることを説明してくれたのが印象に残った。

凍える【10月24日、10月30日公演中止】

凍える【10月24日、10月30日公演中止】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/10/02 (日) ~ 2022/10/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

捕まるまでの20年間に7人の女児を誘拐、性暴行、殺害して小屋に埋めていた男・ラルフに、
彼に研究対象として関心を抱く精神科医・アニータ、ラルフに娘を殺された主婦・ナンシーの
3人だけで繰り広げられるヒューマンドラマ。

最後のあたりは解釈が大きく分かれるところだと思う。

ネタバレBOX

最初の登場時からどうも様子がおかしいラルフ。

話が進行するうちに、彼も父親や母のボーイフレンドたちから性的虐待や暴力を常習的に受けていた
だけでなく、母親から浴槽に叩きこまれた際に頭をけがしていたこと、またこうした経験から前頭葉
その他に障害を持ってしまい、マトモな善悪の判断がつかなくなっているのではという報告がなされる。

アニータの「悪意による犯罪を罪とするなら、疾病による犯罪は症状である」という、作中最も大きい
インパクトを与えるセリフはこうした文脈から出てくる。この考えに基づくなら、ラルフは罪に問われず
おそらくは精神病棟で自分のなしたことの重大さを知ることなく一生を送ることになるけど、もちろん
ナンシーとしてはたまったものではないわけで。

アニータの諌止を振り切って、ナンシーがラルフと面会を果たす箇所が2幕後半の、そして作品全体の
ハイライトにあたることは全員一致するかと。

罪の意識というものから全く無縁なラルフに、ナンシーはありし日の娘ほか家族の写真を見せる一方、
ラルフが過去に受けた虐待や暴力の記憶を呼び起こし、「娘も怖かったに違いない」「苦しかったに
違いない」と追及する。

自身が過去に受けた体験と、そんな自身が女児へ起こした残虐非道な振る舞いが全く一緒だという
(当然な)事実をいまさらながら自覚し、良心の呵責で千々に乱れるラルフ。ナンシーの「あなたを
赦します」という言葉もさほど効果を発揮せず、とうとうナンシーに宛てた懺悔の手紙を引き裂き、
「悩んだからじゃない」という不可解な言葉を残して首吊り自殺を図る……。

この場面って2通りの解釈ができると思う。

1. ナンシーが遺された年長の娘のアドバイスを聞き入れ、本心からラルフを赦そうとした

この場合はラルフを赦そうとしたけど、ラルフが自分の弱さに耐え切れず「楽な逃げ」の
ために死を選んだということになり、ナンシーは間接的にラルフを殺したという罪を抱える
ことになる。

ラルフの葬儀の場面で、ナンシーがアニータに言い放った、「生きて苦しみなさい」というのは
この場合自身にも跳ね返ってくる言葉ということになる。

2. ナンシーがラルフの性格を把握した上で、赦すふりをして自殺に追い込んだ

ナンシーはアニータの研究発表を読んでいたそうなので、シリアルキラーのキャラクター性に
ついて把握しているはず。ナンシーの言葉も振る舞いもラルフを自殺させ、復讐を成し遂げる
ためのものでしかなく、当然この場合は良心の呵責はほぼないだろう。

これどっちなんだろう。自分は最初前者かと思ってたけど、ネット上では結構後者の見方も
多くっていろいろ気付かされる感じだった。

あと、ラルフは結局自分の自覚した罪の重さに耐えきれず、苦しさからおさらばするために
死ぬことになったんだけど、「悩んだからじゃない」を最期の負け惜しみと捉えるか、
本心からの言葉と捉えるかでも解釈が変わってくるんだよな。

セリフを追っているだけで、物語を必要最小限理解するための手がかりは与えられるんだけど
よくよく追っていくと、3人それぞれ肝心な部分も含めて観客サイドには明かされていない
情報があるので、見る側に委ねられている範囲が大きい作品だなって感じました。
シャイヨの狂女

シャイヨの狂女

劇団つばめ組

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/10/06 (木) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2022/10/08 (土) 13:00

まずチラシに目を奪われた。上半分に女性の横顔、下半分にはエッフェル塔をバックにヒトラーを中心にしてナチスの一団が配置されている。どういう物語が展開するのかワクワクさせる。
ジャン・ジロドゥの作品は8月下旬にシアター風姿花伝で人間劇場という団体の「トロイ戦争は起こらない」という秀逸な上演を観たばかりであり、またこの「シャイヨの狂女」という作品は第二次世界大戦時にドイツ軍占領下のパリで書かれたジロドゥの遺作だということもあって、4年前には「ジャン・ジロドゥの思い出」という作品を上演したつばめ座だけに、大いに期待していたのだが、その分失望も大きかった。

(以下、ネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

開演と同時に暗い中で池袋駅のホームの放送が流れる。そして明転するとパリにあるカフェの中である。この池袋駅の放送は何だったのか、最後まで説明がない。これから始まる物語が現在の日本にも繋がっているのだと示唆したいのかもしれないが、無意味な冒頭としか思えない。

パリを舞台にした物語自体も、暗喩や諧謔が多く用いられているのであろうが、よくわからないし、戯画化しすぎている。
また、この狭い空間でどうしてああものべつまくなしに大声を出す必要があるのか。ただただ、けたたましいだけで、かつそれに加えて台詞をかむ役者が散見されるので、煩わしい。前方列の客席の人はたまらなかったろう。

もともとジロドゥの戯曲は反リアリズム的な要素が強いのだが、それにしても潤色(仲条裕)のし過ぎだろう。

「恋はみずいろ(L'amour est bleu)」という曲が劇中に大きな意味をもって登場するが、この曲はポール・モーリアの編曲・演奏によってわが国でも大ヒットしたが、そもそも歌手・ヴィッキーのデビュー曲としてオリジナルが発表されたのは1967年であり、1944年1月に死亡したジロドゥの作品に登場できる訳がない。オリジナルの戯曲では何の曲だったのか。「恋はみずいろ」に差し替えたことで本来のジロドゥの意図を曲げていた可能性すらある。

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