最新の観てきた!クチコミ一覧

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温室の前

温室の前

Lilas

RAFT(東京都)

2022/09/22 (木) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めての岸田國士戯曲でした。余韻がじんわりと長く残る。
二人きりの兄と妹、生きるのにじゅうぶんな金はある、病気がちだった身体が健康を得た、雑貨屋のような店をやり温室で植物が花をつけるのを楽しみにしながらそれでもどうにも閉塞的になるふたり。
そこへやってくる妹の同級生と兄の同級生。閉塞が終わったかのように見えたのは束の間、「やっぱりね」という展開に。

100年前に書かれた戯曲だけれど、なんというか「そういうとこやぞ」って言いたくなる登場人物をみてると人の営みは変わらないって思いますね。
控えめな照明と凝った美術、ちゃんと着替える登場人物。いろいろと好感を持ったお芝居でした。

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この規模だと最近は全席指定となるものだが珍しく全席自由で幸運にも最前列の中央付近で観劇。心に沁みる緒方晋さんの在り方が良い。時代錯誤的なところもあるけれど。
淡々と2つの部屋にある日常を追うことになる観客。なんとも不思議な観劇体験。
しょっぱなから食事の支度、ほんとうに食べている、ごはんを噴き出すシーンに一瞬はらはらしてしまいコロナ憎しの気持ちに。そういう雑音が心底いやになるほど素晴らしいお芝居。
生活感のある素晴らしく作り込まれた美術、それが2つあり、しかも片方は時間の経過とともに変化がある。観客はそれを観察するのも楽しみのひとつになるがしかしまあ、暗転の中でよくあれを毎回正しく設置できるものだと内心舌を巻く気持ち。
漁師たちの言葉が絶妙にバラバラなのも良い、ちゃんと配役表にその人の出身地が書いてあり、なんのつながりもなかった人たちが仕事を通じて仲間になったのだというのが分かる。良いなあ。
人にはそれぞれ背景があり、集ったり、別れたり。そういうものだと教えてくれる。

『地獄変』

『地獄変』

芸術家集団 式

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

お見事!! 身体表現、心地よい台詞、赤と黒の世界。上演時間70分とアナウンスされたのですが終わらないで欲しい、ずっとこの舞台を観ていたいと思いました。絵師の思いと重ねあうところですが、何度も何度も作り変えて練り上げた作品だと思いました。ブラボー

賊義賊 -Zokugizoku-

賊義賊 -Zokugizoku-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ちゃんと台詞のあるお芝居も出来る人たちが、あえて台詞を排除して殺陣と表情とパフォーマンスで魅せてくれるシリーズ。観るほうは想像力をフル回転するからかものすごく作品に没入できる。あるシーンで涙があふれたし(お芝居であまり泣かないのだけれど)そのとき両隣の観客が手で口(マスク)を覆っていたの、「わかる」しかなかった。
シリーズはすでに大阪で上演済みながら、「賊義賊」は観ていなかったので楽しく拝見した。
主演・小玉百夏さんと竹村さんが旧知の仲なのは知っていたのでようやく主演で観られたのが観客としても嬉しいし梅棒の伊藤今人さんがご出演というのも個人的に胸アツ。
楽しかった!
次の「心踏音」は大阪で初演を観ているがとても良かったのでまた観られるのが嬉しい!観に行きます!

『地獄変』

『地獄変』

芸術家集団 式

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。
炎に焼かれるところをどう表現するのか楽しみに行きました。
ウワー、と心の中で叫んでいました。
こういうふうに表現するのか、イヒョウをつかれビックリでした。
父親役の役者さんが見事でした。
娘役の役者さんも可愛かったです。

いびしない愛

いびしない愛

ばぶれるりぐる

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/10/13 (木) ~ 2022/10/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

コロナ禍の真っ最中、不振にあえぐ高知県の小さな宗田節製造工場にある事務所。そこに泥棒が忍びこむことから始まる、居場所だとか生き方だとかの物語。
美術が素晴らしい。トタンの壁、建築がそこにある感じ。物語のキーになる扉、妙にリアリティあって好き笑。
皆さまのご感想手厳しいなあ。わたしは「何も事件が起こらない日常」こそが好きなものでこれくらいのゆったりさは全く問題なく楽しく観られました。
幡多弁は分かりませんが何を言ってるかはだいたい分かります。
(この作品、幡多弁の地元・高知県土佐清水市でも上演したというのがすごい)
ご出演者さん皆さま芝居巧者。出色は蟷螂襲さん、さすがの一言。
シリアスな場面と力を抜いて観られる場面、双方のバランスが良かったです。

ネタバレBOX

ローンを組むといい、っていうアドバイスにはまったく共感できません笑。
でもそれもまた、人生との向き合いかたのひとつなんだなあ。

終盤、よろさんを見るたびにびびってる諌山くんが面白かったです笑
物語の着地っていろいろあると思いますが、みんなうまくいくといいねっていう気持ちで見終われるのは嬉しい。こういう終わりにしてくれてありがとうございました。
足跡

足跡

さるしばい

萬劇場(東京都)

2022/10/06 (木) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「約束は昔日」を拝見。

ネタバレBOX

 大向う受けを狙ってか脚本に陳腐な台詞が百回以上は繰り返されただろうか。これだけでげんなりしてしまった。舞台美術は結構作り込まれていて内容がタイムスリップを含む為、正面のカフェバーか何かを思わせる小じゃれた店の壁の煉瓦が一部剥がれているとか、洒落た照明器具が入口を照らすようになっているとかで良く雰囲気と物語の内容を暗示していたのに単調でバカバカしい繰り返しが多いばかりにこういったセンスの良さが減殺されてしまった感がある。余りに当たり前な表現は肝心な箇所で理想的には一度だけ用いて深みを持たせる方が好みである。
「5…」

「5…」

四分乃参企画

JOY JOY THEATRE(東京都)

2022/10/14 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

菜の花日記 飛龍伝
ワークショップの方がいきなり飛龍伝をするのはかなりハードルが高いんじゃない?と思ってましたが、飛龍伝の世界観はバッチリ見る事が出来ました。演技は荒削りな部分はありましたが、役の気持ちがしっかり伝わりました。
ミモザ 蒲田行進曲
演出、演技共に満点、めっちゃくちゃ面白い!

ビブリオライブ4

ビブリオライブ4

本気の本読み!ビブリオライブ

NOS Bar&Dining 恵比寿(東京都)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回2回目の参加でした。このライブは観劇ではなく参加と感じています。今回もとても面白かったです、複数回参加するともっと楽しそうですよね。続けてほしいと思います。次回も期待してますね。

ハッピーな泥棒が月を回す。

ハッピーな泥棒が月を回す。

空想実現集団TOY'sBOX

東京アポロシアター(東京都)

2022/10/13 (木) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

15日餅の回を拝見しました。なかなか面白い見せ方だったと思います。仮想と現実をイメージで繋げるとの前説も導入として良かったですね。短い時間にうまくまとまっていたと思います。次回も楽しみですね

『地獄変』

『地獄変』

芸術家集団 式

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なかなか面白い内容でしたね。普通のお芝居とは少し表現方法が違っていて、新鮮でした。身体的に表現するお芝居も拝見したことありますが、そこにお芝居も取り込まれていて面白かったです。主人公の絵師の役者さんの演技はとても熱演でした。

「5…」

「5…」

四分乃参企画

JOY JOY THEATRE(東京都)

2022/10/14 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 ThreeQuarterのカウントダウン公演「5・・・」である。華4つ☆(少し追記10.17)

ネタバレBOX

 池田屋の階段落ちシーンで余りにも有名な作品から、大部屋のヤスが受け取る差出人不明(ミモザという名は冠してあるが筆跡も分からぬよう活字の切り貼りで記された)のファンレターを梃にしつつ、実行すれば死、良くても半身不随か植物人間という階段落ちに戦きつつも、銀ちゃんの為なら死をも厭わず、銀ちゃんの子を孕んだ小夏との結婚も呑んだヤスの一種の漢気と、照れ症そのものが人格化したような銀ちゃんの優しさと愛情表現の形、銀ちゃんを愛し乍ら、数々のリスクや不利を承知でいつも一緒に居て気遣ってくれるヤスにどんどん惹かれてゆく小夏の、逆子で臍の緒が首に絡まって辛いのにお腹を蹴る胎児を帝王切開や出血死の危険を顧みずに産もうと決意する女性の姿は例えようも無いほど美しい。
 つか自身の裸形が最も良く顕れた作品の一つであろう、今作の核を今作で表現した。スリクオのカウントダウンというのが寂しい。
 つかの裸形が最も良く顕れた作品の一つだと書いた。それには無論根拠がある。「銀ちゃんが逝く」で描かれた世界は今作と重なる台詞も多いが、在日朝鮮人や部落を含め実は差別が可成り色濃く反映された作品であった。衆知の如くつか自身在日出身である。実家が可成り豊かだったこともあり大学迄進んだものの在日であることに因って差別の経験を味わった友人・知人・親戚・縁者等も居たであろうことは想像に難くない。今作でも差別構造は端的に示されている。スターと大部屋役者との関係の中にである。そして今作のラストでミモザが誰だったかも明かされるのであるが、スターと大部屋俳優の逆転がここで為されていることの意味を考えるならば、つかの希いは明らかだ。死地に赴くヤスの小夏に対する告白内容のアンヴィヴァレントが小夏に対する止むに止まれぬ愛情の深まりと死によってしか差別構造に抗えないことの理不尽をいやが上にも表している。小夏もヤスの抱える難題に深く関わり更に愛をも育ててきたが故に、自らの命を賭けた出産に真っ向対峙し果たしたのだ。その覚悟をした女性の透明感を漂わせる美しさを、筆者は今作の白眉と観た。アンビヴァレンツな状況を演じたシーンでのヤスの引き締まった表情も見逃せない。
奇燃

奇燃

カリフォルニアロール

早稲田大学学生会館(東京都)

2022/10/14 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 演技も学生さんの演技としてはかなり上手い。殊にリク役、閻魔役の殺陣での動きがグー。大人の役者が演じたら身体から滲むものが見えて更に深みが増すことは間違いない完成度の脚本でもある。

ネタバレBOX

 タイトルはキメラと読む。無論ギリシャ神話に登場するライオンの頭、蛇の尾、山羊の胴を持ち口から炎を吐く怪物の名であることは誰もが知っていよう。然し今作、これだけに留まらずもう少し捻りがある。寧ろ未だ遺伝についての科学的認識が充分でなかった頃世界中の科学者が双生児について一所懸命研究していたことは御存知だろうか? まあ、そっちも寄り添った話である。
 物語は彼岸と此岸の間に在る時空で展開する。即ち閻魔大王等が天界行き、地獄行き等の判断を下す場所と考えて貰えば良い。無論、人間界での死が前提となるが、三途の川を渡ってしまうか否かはキチンと判定しなければならない。例えば昏睡状態は、死に似ているが生命は未だ此岸にある。心肺停止でも蘇生するケースがあるがこの状態にある者の死と生の判定は実に困難と言わねばならぬ。何れにせよ、今作では閻魔大王の居るこの時空に他にも九体の各部署の長がおり所管の事案を担当しているという設定だ。その内閻魔は最も力のある存在ということである。事件は、盆の法要も終わり大忙しが一段落し多忙を極める閻魔が休養を取るのはこの時期しかないという理由で閻魔は自慢の養子・利八(愛称=リク)を代理に立て休暇を取った間に起こる。只でさえ多忙で人出不足とあって合理的判断を下すリクは、自分の最も力を注がねばならぬ職域を最優先で担当し生死の判定等はしっかりしていると見込んだ獄卒らに任せた。ところがこの任務を任された獄卒が蝶狂いだった為、偶々現れた蝶を追い新たにここへ来た海未(ウミ)の意識不明状態を死と判断しここ迄寄越してしまったのである。この大失態を埋めることのできるのは閻魔のみ。然し彼は休養の為遠くに居て直ぐには戻れない。本来ウミの意識は一晩明ければ回復するハズだったが予定はずれ込む。この事件が切っ掛けとなって第七御殿を差配している、慈愛遍く諸般の事情から名の分からぬ者がここに来て永久に輪廻転生のサイクルに乗れないことに胸を痛めてきた長・京極は今回閻魔の代理を務めているリクについても名が分からぬ為に転生できないことを哀しく思っていた為もあり子飼いの者ら・喪揺&徒然を使い自身は謹慎中である為開錠できない神域の鍵をウミに渡して開錠し閉じ込められていた名の無い者達総てを開放し反乱を起こした。無論、リク自身もこの問題に悩んでいて担当部署の第五御殿で働く百目鬼に精査を依頼している最中であった。百目鬼から誕生の秘密を知らされたリクと開錠したウミは反乱の最中に出会い互いの宿命を知ることになったが、喪揺、徒然及び反乱軍と戦うことになった。このことは休養中の閻魔にも知らされ閻魔は休暇を早めに切り上げ戻ることとなった。最後にどうなるか? ウミとリクの知った秘密とは何か? 二人の関係は? 事件はどう展開し、収束するのか? 等々は観てのお楽しみだが、舞台美術は一見シンプルだが、良く考えられ合理的な作りだし、音響、照明もグー。殺陣の動きも良い。脚本は論理的整合的であり、全体のバランスも良い。演出も賢い演出だ。ダンスシーンが一部にあるが、大抵の芝居でそのダンスに必然性が感じられないので嫌いな自分にもすんなり素直に受け入れられる必然性があって驚かされた。お勧めである。
YOKOHAMA 3 PIECES

YOKOHAMA 3 PIECES

theater 045 syndicate

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2022/10/13 (木) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

地元神奈川の劇団が3作品持ち寄った公演だが、中々の充実度だった。
もっともKAAT大スタジオの広さを埋めるための工夫と力量の必要も実感。密度が薄くなる。客席がやや寂しいのもそれに輪を掛ける。オムニバスという事で可動な舞台装置に限定されると、「広さ」がいや増し、声も吸われる。
マイナス条件はともかく・・。まず、虹の素。横浜川崎でコンスタントに公演を打ち、青の素という若手公演も手掛けて「頑張っている」印象だが未見であった。実在する(した)生物に着目しドラマ化した舞台で、「なぜこの物語なのか」興味を惹かれる所だが、その「?」に答えるもう一つが欲しかった気がする(40分)。
二つ目がG9プロジェクト、横浜で活動30年になる劇団との事で名前は知っていたがこちらもほぼ初めて。作品は「12人の怒れる・・」を高校版に翻案した短編(登場人物も12人)。素行の悪い生徒の処分を決定する会議を見届ける。シンプルで判りやすい芝居を、演者・観客共々如何に面白がれるか、要はアンサンブルを見せる演目とも言える。キャストの演技アプローチの不揃いが、徐々に珍味の域、逆に面白くなるが、締める所ではもう一つ締めたかった(約30分)。
三番目が無論(?)私の目玉、theater045(約35分)。平塚直隆作品のナンセンス爆発の路線はその通りであったが、間抜けな男子高生のいじましい青春断章?が045がやるせいかハードボイルド色を帯び、作品にも合致していた。話が何やら妙な方向へ行き、伏線の台詞がラスト前でふいに輝き、「まさかあれをやるのでは」と確信した所(あれ、と言ってもあれを聴いた事はなかったのだが)、やっちまった時には腹が捩れた。その後に訪れる爽快感が忘れられぬ。(そういや昔斎藤晴彦という歌う俳優がいたなぁ)
名作ヨコハマヤタロウから注目の劇団だが今回は継続に値する企画を打ち出した(theater045がやる所に意味がある)。他団体も巻き込みつつ是非続けて欲しい。(そのためには毎回theater045が秀逸な一本を提供せねばであるが...ところでこの劇団名の略称は無いものか。)

『雨の世界』

『雨の世界』

ウテン結構

サブテレニアン(東京都)

2022/10/14 (金) ~ 2022/10/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

雨の世界…冒頭はサスペンス風に始まるが、いつの間にか女同士の少し痛い友情物語に変転する。俗信の雨女、その悲哀と雨天(嵐)ゆえに知り合った旅人の話を交差させ、「雨」をテーマにした物語を抒情的に紡ぐ。更に雨女になった謂われ、「日知」といった家系的な繋がりを描くことで、ネガティブ イメージを払拭し前向きな姿を観せる。

公演の魅力は、本当に幼い頃からの親しい友人ような演技、その息の合った自然な会話が実にいい。全編 効果音または音楽が流れシーンの雰囲気を漂わせる。また衣装の色彩は、赤・白・黒といった強調色で 薄暮のような室内空間に映える。
(上演時間1時間20分) 

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に大きなテーブル、壁際にいくつかの椅子が置かれている。上手奥にイーゼル、壁には5つの額縁とランプが均等に取り付けられている。天井にはシャンデリアが吊るされている。冒頭のみ大きな四角枠があり強風が吹きつけ、以降は この家のドアに転用される。ここは人里離れた館のようである。

嵐の夜、一人の女・しおりが助けを求めて館のドアを叩く。館の主は幸子といい、快くしおりを館の中へ入れる。冒頭、強風と雷鳴の音響、幸子の老婆風の佇まいや喋り方で怪しげな雰囲気が漂う。世間話をしているうちに、幸子が若いということが分かる。そして自分は「雨女」と言い出す。

場面は、学生時代に親しかった友人4人(男1人、女3人)との思い出話だが、必ずしも楽しい思い出だけではない。運動会やキャンプなどの楽しみにしていたイベントが中止になったのは、4人の中の誰かが「雨女」だからだという。さらに恋愛話によって仲違いが始まる。
一方 しおりは、何でこんな嵐の夜に慣れない運転をしていたのか。幸子がしおりの様子から、状況を推理し始める。父親からの虐待、逃避行動するために嵐の日を選んだ。ここに心理学的な場面「過去<幸子>と現在<しおり>」の物語を挿入する。幸子の回想としおり の現状が直接繋がる訳ではなく、それぞれの話を交差させ「雨」に纏わる物語を紡ぐ。

興味深かったのは、「雨女」は家系でもあるような説明。農村地域、そこで雨乞いを司る家があったという。子供の頃に見たTVマンガー小学校の遠足の時に雨が降り出したので、魔法で雨が降らないようにした。しかし 父はその行為を叱り、農家の人々にとって雨は大切なのだ と諭したーを思い出した。現象「雨」は、人によって、または時と場合によって捉え方(大切さ)が異なる。

演出で面白いのが、降水現象を映像を使用した科学的な説明をする 一方、フロイトの心理学を室内を回りながら、しおりと幸子の会話で説明していく。
音響は、暴風雨・雷鳴のサウンド・エフェクト、ピアノ、ギター、鉄琴(であろう)の楽器で奏でられる音楽が情景に応じて流れる。
役者は女優4人、そのうち3人が一人二役を演じる。特に学生時代は演じているというよりは、普段から親しき友人の会話が繰り広げられるようだ。その自然体の演技に感心させられた。
次回公演も楽しみにしております。
ビブリオライブ4

ビブリオライブ4

本気の本読み!ビブリオライブ

NOS Bar&Dining 恵比寿(東京都)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/15 (土) 10:00

 毎ステージ脚本と配役が変わり、即興演劇もあり、まさに俳優を味わう一日!俳優の役に入る瞬間、鼓動とパッションを劇場では味わえない近さで感じることができて非常に充実した空間を味わうことができた。
 
 しかし、毎回ゲストが来るといっても、小劇場演劇の延長線上の関係者が多いんじゃないかと思っていたら、なんと、僕が今日観た回では元SKE48で現在はモデルをしていらっしゃる平松可奈子さんがかなり狭い空間で、それも、目と鼻の先ぐらいの近さで演技したりしているのが滅多にないであろう状況で、貴重な経験ができて良かった。
 前半の別役実風なお互いに言葉が噛み合わないで進行していき、どんどん行動がエスカレートしていく女に嫌々断り切れず付き合い続ける男のやり取りの会話劇での、感情の起伏がどこにあるのか分からず、急に激昂したり、また静かだがややサイコパスで普通じゃない女を、平松さんは見事に演じ分けていて、感心した。
 また、エチュードの時も、無茶振りに余裕で答えていて恐れ入った。
 最後の朗読劇の際に、自然に涙が溢れて言葉も詰りつつ、台詞を言っているのが、いかにも演技してますといったわざとらしい感じじゃなく出てきているのを見て、平松さんに演技の才を感じた。

 俳優の人たちと、ゲストのフリーの俳優さん、元SKE48で現在モデルの平松可奈子さんとの赤裸々でぶっちゃけたトークや、俳優による自虐や毒舌がない混ぜになった会話が面白かった。

ひとりでできるもん!

ひとりでできるもん!

うずめ劇場

シアター風姿花伝(東京都)

2022/10/12 (水) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

うずめ主宰ペーター・ゲスナー氏の還暦と在住30年で一つお祭りを、という事で落語を題材にした舞台。前作に続き内田春菊絡みだが、今回は脚本の書き下ろし。下調べゼロ。うずめ劇場の今回の見世物は・・(ひとりでできるもん、の心は・・)?とわくわく開幕を待ったが、文句なしに嬉しい題材。春菊氏のエピソード創造力と、落語への愛情が窺える脚本に観ながら内心ウハウハであった。「一人でできる」のは落語のことである(言われなくたって書いてある)。

毎回終演後のパフォーマンス(女性落語家を中心に)とトークがあり、私の回は三遊亭律歌、小噺の後内田氏進行による対談。客席にいた某元アナウンサーが質問コーナーで振られていたが、彼女は「花柄八景」を生んだ公演企画(噺家縛りの新作上演)を企画した人。そんなこんなで落語三昧な贅沢な時間であった。

芝居の方は最近ペーター氏の演出に感じられる飾らなさと、役者本位、ポイントを押えたアイデア演出(限られた材料で最大効果、的な)が印象に残る。
多彩な客演者もさることながら、うずめ俳優三名(今回はゲスナー氏もガッツリ片言日本語で登場したが)の働きに胸が熱くなった。かなり個人的な思い入れが以前に増して増量しておるが、これも芝居の内、としておこう。

ネタバレBOX

落語女子大の授業風景が中盤の見せ場。講師役をオオタスセリ、荒牧大道らがやる。柳家喬太郎の「落語大学」は落語噺のあるあるネタをパロって茶化してというノリであったが、こちら芝居の方は徒弟制度と落語噺をフェミニズムで(鋭くやんわりと)斬る。古くは鈴鈴舎馬風なる噺家の「落語学校」を作ろうと師匠らを口説いて回る、というていで金語楼や一龍斎貞山等の物真似を披露する演目があるが、物真似はリスペクトの上に成り立つので茶化しはあっても風刺や批評はない。だが今回の芝居も女性目線での批判は、落語大学が出来ている架空の設定の中で発せられるので嫌味がない。
話自体は落語家に「なる!」と決めた主人公の女子が艱難を乗り越えて自分なりの噺家への道を見つけて行くという自己実現譚。この「艱難」の部分に作者は主人公女子が落語を聴いたり喋ったりすると登場人物の一人に入り込んでしまう、という「病気」?を仕込んだ。オチを言えば我に返る。この時既に彼女はある噺家に弟子入りし、他の弟子と共に日々修行に励んでいるが、周囲の心配の中、ある時彼女は師匠の落語会で前座を務める事に。女将さんはもし本番中でなっちゃったら、と心配するがゲスナー、もとい師匠は彼女に足りないのは成功体験かも知れない、施設で育った生い立ちが影響してるのかも、と実行を決める。そして本番当日、舞台中央に据えられた赤い高座に座り、既にあらましが話されていた「たらちね」を見事にやるのである。枕から本題へ。嫁がもらえるとなって喜び夫婦の場面の空想が長屋にだだ漏れの中、新婦が到着。幕の袖が開いて女将さんと師匠の「よしいいぞ」と固唾を飲んで見守るシーンの挿入後は、いよいよ新婦の「唯一の疵」である高貴な言葉使いとこれを受けて返す男とのやり取り。そこで彼女は妻役に入り込んでしまう。意を決した女将が舞台へ上がり、客との間をとりなしながら相手役になって会話を続け、オチへ辿り着く。これに至って彼女はガクッと気絶するのだが女将はそれを読んで肩で受け止めて愛敬笑い、と決める。ハラドキから辛うじて難を逃れるクライマックスは落語版バックヤード物と言える構図で、内田女史のこういう所に滲み出る落語愛に感じ入った次第。
大団円は、それ以来彼女にアレは訪れず、修行に勤しみ着実に高座も務めている。最後にはちょっとしたオチが夫婦の会話で話されたと思うのだが忘れてしまった。
ラビリンス

ラビリンス

関西大学劇団万絵巻

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★

良かった‼️内容としては、僕も共感できる内容。ただ、人生はラビリンスとも思っている僕には、あの殺陣の必要性が…。殺陣が得意な劇団ではあるが…
アリスの本当の母親役は誰よりも光っていた。四回生らしいが、演劇ファンとしては、演劇を続けて欲しい人材。

ハッピーな泥棒が月を回す。

ハッピーな泥棒が月を回す。

空想実現集団TOY'sBOX

東京アポロシアター(東京都)

2022/10/13 (木) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

精神病院つばき荘

精神病院つばき荘

トレンブルシアター

シアター711(東京都)

2022/10/12 (水) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

数日前にこの芝居を観劇した知人に薦められて観劇。
とても面白かった!
タイトルからして、重〜い芝居を想像していたが、いい意味で裏切られた。

ネタバレBOX

喜劇な感じで作られた作品で、委員長の滑稽さを際立って見せる芝居だった。しかし、もちろんテーマは重い。重いテーマを喜劇のように描くからこそ、その滑稽なことが現実なんだと突きつけられる。
ラストシーンで見せる委員長の台詞が印象に残り、胸を打った。委員長が初めて見せた本当の心の声に聴こえた。
とてもいいお芝居で、知人の言葉を信じて観に行ってよかった。

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