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テノヒラサイズの人生大車輪2022

テノヒラサイズの人生大車輪2022

BALBOLABO

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2022/10/20 (木) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観劇前はもっぱらパイプ椅子を使ったパフォーマンスに注目、期待をしていました。
実際に見たら、椅子使いは期待通りかそれ以上に見事。 
そしてストーリーの見事さに魅了されました。素晴らしい劇です。
演技も素晴らしかった。
これきっと、俳優としてやり甲斐とかやり応えとかあるんだろうなあ。

ネタバレBOX

別れさせ屋の雇い主は知りたかったなあ。
みんな大好きだったっしょ!

みんな大好きだったっしょ!

劇団癖者

駅前劇場(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/21 (金) 14:30

95分。休憩なし。

みんな大好きだったっしょ!

みんな大好きだったっしょ!

劇団癖者

駅前劇場(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/20 (木) 14:30

初見のユニット。ベタと言えばベタだけど、面白い!観て損はない。(2分押し)87分。
 女優しか出ないというので観に行ったのだが(^_^;)、予定調和的ではあるが深みもあって楽しい舞台だった。平成の渋谷ギャルサーNo.1だった「自由慈愛(フリージア)」のメンバーが令和に同窓会をする。すっかり落ち着いたメンバーだったが、そこに20年間ギャルをやっていた「かなぼぼ」が現われ、卒業イベントをしたいと言う…、の展開。なぜ卒業イベントを、という物語を回想しながらギャルサーの展開を見せて、最後は…、というあたりはベタだけど、ベタにはベタの良さがあると思わせる物語は見事だった。ギャルがそのまま、というのは、ありそうだけど観たことがなくて、その意味で新鮮だった。平成と令和を行き来するために暗転が多いのは、已むを得ないけれど、もうちょっと工夫が欲しい気がした。

高島嘉右衛門列伝4

高島嘉右衛門列伝4

THE REDFACE

横浜関内ホール(神奈川県)

2022/10/20 (木) ~ 2022/10/20 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

令和4年度(第77回)文化庁芸術祭参加公演、観(聴き)応え十分で堪能した。SOLDOUTの人気公演というのも肯ける。

前回公演の乾惕編も観ているが、今回の総集編・上では、幕末という激動の時代の中で、稀有な商才や易占を発揮した高島嘉右衛門という人物の半生が鮮やかに描かれる。物語は、長州藩・松下村塾の吉田松陰と その門下生との親交、そして明治新政府の近代化の一翼を担う活躍をした易聖の嘉右衛門のトピックを交錯させて展開する。時代という中に、人物伝が生き生きと綴られる。
勿論、役者陣の朗読は素晴らしいが、音響や照明といった舞台技術もその効果を発揮し映える舞台にしている。
(上演時間2時間 途中休憩10分含む)

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に少し高くした平台、その上に大きな枯れ枝と中央部分のみ赤い花オブジェが置かれ圧倒的な存在感を放っている。その両脇に椅子、そして上手 下手にも椅子がある。役者は舞台を行き来したり、花がある所の椅子に座り、場所という空間の違いや情景・状況といった光景を観せる。また舞台幕の開閉で、上手 下手の椅子に座り状況の説明や心情吐露で、物語と一線を画す観せ方もする。シンプルな舞台セットだが、もともと朗読劇であり 多くの身体表現をしないから理に適っている。そして想像力を喚起させるには抽象的な造作の方がよいのかも。

前半は、尊王攘夷を声高に叫んだ吉田松陰とその門下生を中心とした幕末動乱、その中で嘉右衛門が果たした役割が紹介される。列伝となっているが、あくまで志士たちと知り合いであり、表舞台での活躍とは言えない。幕末では事業の成功、失敗の繰り返しという破天荒さが描かれている。休憩後の後半、明治維新後の新政府との関わりに高島の人間性が表れてくる。商才に長けていたこと、巨万の富を得るが、欲得だけではない懐の深さを描く。それが東京・新橋と横浜を結ぶ鉄道敷設に関わり、海面埋め立て工事を請け負ったこと。また旧南部藩の借金減免を新政府に嘆願助力したことを熱く語る。

さて、同じ「高島嘉右衛門」でも前回の乾惕編に比べると、今回は「時代の流れ」の中で人物を描いている。人間としての魅力は、その時代(背景)の中で、どう生きたかといった生き様、そこに魅力を見出すのではないか。その意味で、潜龍編・見龍編(2編は未見)・乾惕編ーー何回かに分けて高島個人のトピックや、同時代の人物との交流を時代に沿って順々に描いてきたようだが、「(明治)時代の黎明というか息吹」が細切れになり、時代のうねりというダイナミックさが十分伝わらなかったのではないか。前回公演の「観てきた」で、「『高島嘉右衛門列伝(全編)又は(前編/後編)』を上手く纏めることが出来れば、更に時代の流れの中に高島の偉業が(次々)表れ魅力ある人物像が立ち上がると思う」とコメントした。激動の時代を駆け抜けた嘉右衛門の生き様が、生き生きと描かれており、その魅力ある人物像が目の前に立ち上がってくるようだ。

勿論、役者の演技は1人ひとり登場人物の特徴(容姿も含め)らしきものを捉え、物語の中で生き活きと描き出している。衣装…男優陣は黒っぽい上下服に同色シャツ、女優陣は着物姿といった外見上はほぼ同じで、あくまで朗読・演技の中で個々の力を発揮している。1人複数役を担っているが、例えば嘉右衛門の妻・庫(鈴木杏樹サン)は亡くなると、舞台を下り客席通路を通り姿を消す。「亡くなる=舞台を下りる」を重ねるが、そこには観客へのサービス(通路を通るから 間近に観られる)のようなものを感じた。そして別の役として舞台に上がる。朗読劇であるが、男優は汗が流れるほどの熱演、女優は妖艶さを漂わせた、見事なバランスで観(魅)せていた。
次回(総集編・下?)公演も楽しみにしております。
テノヒラサイズの人生大車輪2022

テノヒラサイズの人生大車輪2022

BALBOLABO

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2022/10/20 (木) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

確かにパイプ椅子が大活躍のミステリーコメディ。笑いました!

ザナドゥおじさん

ザナドゥおじさん

大統領師匠

「劇」小劇場(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

実在しない過疎った島と地獄のゲートが繋がりそこから鬼がやってきたり、地獄の空気の影響で変態を遂げる生物が生まれてしまったり。生態系を守ろうとする調査団が派遣されるところまではよかったが、それでビジネスをしようと企む輩が現れ、、、的な。
山本さんの足首ヤバ!となったり、椎名さんやっぱすげえ!となったり、やっぱ森尾さんしぶかっこいいっす!となったり、ヘルローションと聞いて島田さんだなあと浅はかながら思ってしまったり(別舞台でローション塗れになっている姿を拝見しています)平塚さんと言う自由なヤバイ人を新たに知れてよかったです。

ネタバレBOX

ちょっと引っかかったのが、薬品無断遺棄→変化→米踊り→地獄? で、あの可哀想な生き物が生み出されたのは地獄関係なかったのかな、、、?どうかな?
地獄の鬼は相手を殺すと、殺した相手を身籠るシステムらしく。種が増えないし減らない良いシステムだなあと思いました。正直、妊娠おじさんは性癖です。
金魚鉢

金魚鉢

FEVER DRAGON NEO

studio ZAP!(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです。劇中で金魚鉢の意味を聞いた時、会場も作品の一部だと思いました。観客も含め。あの会場だからこそより強く感じられたかと。面白い。
お話も色々考えさせられました。それぞれの立場と苦悩が描かれていて切ない。でも強さも感じれて胸が熱くなりました。

ネタバレBOX

劇中ランプの灯りの中で話すシーンがあるのですが、鳥目な私はほとんど何も見えずモヤモヤ。演出と体質が合わないのは仕方ないですがキャストの芝居が見えないのは残念。見えない繋がりだと下手上手で背中しか見えない、見えにくいと感じるシーンも。まあこれも仕方ないですね。
バリカンとダイヤ

バリカンとダイヤ

劇団道学先生

ザ・ポケット(東京都)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/20 (木) 14:00

座席1階

道学先生旗揚げ25周年と銘打った演目は、亡くなった座付き作家の中島淳彦が10年前に書き下ろした作品という。前回の「梶山太郎氏の憂鬱と微笑」、前々回の「おとうふ」と同様、家族や仲間の間の微妙な隠し事やそれにまつわる駆け引き、心の動きを見事なまでに織りなした戯曲である。2時間があっという間に過ぎた。面白い! 見ないと損するかも。

税務署に勤めていたという無口なお父さんが亡くなった、という設定でスタートする。葬式を終えたばかりの妻、3人の娘。宮崎県から葬儀のため駆け付けた妻の姉、そして勝手に上がり込んでくる自称友人…。妻は子育てと夫の世話だけをしてきたような「昭和の妻」で、周囲は気落ちしてどうにかなるのではないかと心配する。ところが、物語が進むうちに、3人の娘たちがそれぞれに結構な問題を抱えていることが分かってくる。高額化粧品のセールスとか、怪しげな宗教勧誘の女とか、夫を亡くした高齢の妻に付け入ろうとするような人たちが登場して、「いかにもこれは、ありえるぞ」と笑ってしまう。
主役は夫に先立たれた妻なのだが、母親に打ち明けていないことがありすぎる3人の娘たちが強烈に面白い。葬儀を終えた後の貯金通帳には260万円しかなくて、いったい公務員としての退職金などはどうなったのかと長女が騒ぎ出す。妻は夫から渡されるお金で生活を切り盛りし、夫がどれだけ稼ぎ、通帳がどうなっているのかなどは全く感知してこなかった。3人の娘が通帳を見たところ、1500万円が数年前に引き出されたことが分かって、騒ぎはさらに大きくなる。
今回の道学先生の真骨頂はまず、家族一人一人の人に言えない小さな罪を少しずつ種明かししていく物語の流れ。そして、無口で堅物で娘たちに「つまらない」と言われるような父親が娘たちに向けた思い、言葉で伝えることはできなかった妻に対する本当の気持ちを種明かししていく構成も見事。特に、舞台には姿を見せない父親の胸の内を遺された品々で雄弁に語らせ、「ああ、そうだったんだ」と客席の琴線に触れていく。泣いたり笑ったりどきどきしたりしながら、客席は何だかほっとするような思いになる。
3人の娘の家と残された妻の家(娘たちの実家)をそれぞれ同じステージにしつらえた舞台装置には感心した。テンポのいい舞台転換など演出もよかった。

舞台や映画、テレビドラマには人間ドラマと銘打ったものがあふれているが、今回の道学先生こそ正真正銘の人間ドラマだと思う。際立つ個性をうまく演じきって舞台を盛り上げた3人の娘役の女優さんたち(もりちえ、関根麻帆、山崎薫)はお見事でした。家に帰ってきたばかりなのに、もう一回見たい!

テノヒラサイズの人生大車輪2022

テノヒラサイズの人生大車輪2022

BALBOLABO

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2022/10/20 (木) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ゲネを鑑賞させていただきました。
いつ見ても安心してすべての方にお奨めできる名作です。
笑って笑ってジーンときます。
最後はこの作品のスケールの大きさを感じながら大笑いのうちに幕切れという最高の終わり方です。
登場する7人の役者が皆うまいということにも感動しました。

凍える【10月24日、10月30日公演中止】

凍える【10月24日、10月30日公演中止】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/10/02 (日) ~ 2022/10/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

犯人の特殊性(障害との関連性)にクローズアップしたドラマとして、とても面白かった。
開演前、舞台セットが「あわれ彼女は娼婦」とほぼ同じ十字架仕様なのでこれは演出家の好みなんだなと。で、当然贖罪を追うのは犯人だと思って観始めたが、そうでもないようで途中からわからなくなってしまった。
十字架のせいで、主な芝居は上手に限定され、下手席は置いてけぼり。下手のローナ実家、平和なはずのあの空間との対比か、有名な俳優じゃなくていいからもっとコンパクトな空間でドキドキしながら観たい。

ネタバレBOX

母が犯人を許す根拠は、同じ我が子の言葉から?ちょっとあっけなくて、でも、それからの行動が、犯人の思考に影響を与えるのだから、そこが十字架をもってきた理由か?汝の敵を愛した結果、彼は何に目覚めたのだろう。
パラダイス

パラダイス

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/11/03 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

底辺で蠢く行き場のない者達に、危うく同情しそうになってしまった。どこか冷ややかな見せ方が観客にとって救いになっているのかも。小間使い水澤さんの描かれ方がステキです。

ネタバレBOX

主人公の実家の場面が丁寧すぎて…でも、あんな家庭普通にありそうだし、主人公がそこに戻ってどんな風にやり直しが始まるのか、あれこれ想像するのが楽しい。
心踏音 -Shintouon-

心踏音 -Shintouon-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/19 (水) 19:00

ワードレスのためにつくられた、ワードレスならではの詩的で美しい作品だなと思います。
物語をキャッチする要素は、台詞のほかにも立ち位置、目線、表情、身体の動き一つひとつ、音楽、衣装、舞台美術、小道具、照明、など…色々あるなあと思っていて、東京支部さんは殺陣アクションにさまざまな演出アイデアが加わって表現されるのですが、この作品はタップダンスも加わってこれが本当に効果的ですてき。セリフのないしばりがキャラクターのハンディキャップと通じて感じられたり、見えない暗闇や触った感覚を味わったり。劇場を出たあと、普段自分が暮らしているなかで感じている五感をあらためて新鮮に感じました。
日頃の運動量に裏付けられた無理のない身体づかいは身体表現好きにはたまりません。タイトル演出も光を浴びて淡く浮かび上がるのが本当に美しかったな。またいつか見たい。

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

Antikame?

雑遊(東京都)

2022/10/18 (火) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

吉田康一氏の「見かえしたかっただけ」という二人芝居を観る

静謐

開演前の注意で「静かな舞台なので、必ず電源はお切りください」と言われれたが場内物音ひとつしない、いや出来ない
コロナ禍で家にいるようになったことからズレ始める二人
会話劇というか、交代の独白と言った感じ
表情と台詞の勝負
二人の役者(日野と高橋壮志)が微妙な変化の照明と音楽と相まって、いくつかのメタファーとともに精緻に紡ぐ危うい世界

ネタバレBOX

女性(日野あかり)がたくさんの服が詰まったゴミ袋わふたつ持って出てくる
別に断捨離したい訳じゃない、ゴミ収集が決まった日に来てくれるから出さないといけないと言う気になる、云々のセリフ
それぞれの服の思い出を語りながら投げ出していく
それもメタファーになっている
最後の彼女の「ただ見かえしたかっただけ」と言う表題のセリフはちょっと真意を図りかねた
「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

Antikame?

雑遊(東京都)

2022/10/18 (火) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

オルガ・トカルチュクの『宝物』

オルガ・トカルチュクの『宝物』

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 一時、日本の新劇をリードし一世を風靡した劇団の人々は観ておくべき作品だろう。原作はポーランド出身で2018年にノーベル文学賞を受賞したオルガ・トカルチュク。今作は彼女の唯一の戯曲だが「昼の家、夜の家」という彼女の小説をTV用に再構成して戯曲化した作品である。作品の特徴は、因果律等の必然性を背後にした文脈からある意味離れ、而もベケット流不条理とはならず、寧ろ無という概念的零を目指すも実際には至り着けない無限の希薄とか、宇宙で完全な概念としての真空を目指しても実際には究極の真空には到達できない物理学の実際に経験させられる事実とかを表象するに近い。極めて知的で知的探求心にも富み、該博な知にも支えられながら実際にはイデアとしての零にも、即ち無にも辿り着けない我ら人間の知の限界にも竿さしつつ、遥か向こうで笑っている何か、人間の知等を遥かに凌駕した無限の知力の夢を夢見るような世界に開かれているかも知れない新しさが感じられる。

燃ゆる暗闇にて

燃ゆる暗闇にて

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/10/18 (火) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

幸せに暮らしていたグループが新しく入ったメンバーによってかき乱されるという定番の物語。今回は場所が盲学校なのでその特異性が演技の訓練になるので選定されたのだろう。視線を動かさず、表情もあまり変えない、といういわば大リーグボール養成ギプスを身に付けて、どこまで演劇を作り上げることができるだろうか。この設定ではまた、黙っていると同じ部屋にいても分からないということがまるで透明人間のSFのようで面白い。休憩なし105分。

ストーリーは連続TVドラマにもできる愛憎劇なのだが、直接的な表現は少なく上品な薄味仕立てで進んで行く。「目が見えない」ということは「何かが分からない」ことの一つの例示にすぎないので、哲学的な雰囲気を持たせているのかもしれない。曖昧な方が普遍的な意味を感じられるということもあるだろう。それにしても結末はもう少しなんとかしてほしかった。

演技はやはりぎこちない。そのハンデを乗り超えて魅力を発揮する役者さんも残念ながらいなかった。この珍しい集団特殊演技を見てみたい人にはお勧め。もちろん研修生を暖かく見守りたいという人にも。

金魚鉢

金魚鉢

FEVER DRAGON NEO

studio ZAP!(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても見やすい劇場!舞台との距離が近すぎてこっちも身が引き締まります。気迫あるシーンではビリビリ来ます。ただちょっと、、、ちょっとだけ上のカフェからか美味しい匂い来ちゃいましたね。明日の仕込みですかね~。
話自体は怖くなかったし、難しくは、、、なかったかなぁ!?なんか色々な立場の人の鬩ぎ合いで、やっぱり一筋縄ではいかないんだなあと思いました。
私たち自身は負けることわかってる戦争にいつまでも健気すぎるところが観てて凄く心が痛みました。

ネタバレBOX

カツ丼食べたり、男同士の胸ぐら掴み合って唾飛び交う取り調べはありませんでした。ご注意ください。
「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

Antikame?

雑遊(東京都)

2022/10/18 (火) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「見かえしたかっただけ」を観劇

コロナ禍で相次ぐ非常事態を生きていく中、本作のように遂にこじれてしまった夫婦・カップルはきっと多いと思う。
この二人には もう優しく交わる時間など来ないのだろうか
静かだけれども軋むような心の叫びがとても痛々しくて、カサブタをゆっくり剥がされていく様だと感じながらも舞台(そこ)からは逃れられないし、目をそらす事もできない。
ならばその先には

台詞の無い場面の所作であるとか、台詞を受けている姿・表情とか、そんなところにも刺さるポイントが
楽しい内容ではないし、万人向けじゃないかもしれないけれど、「楽しい」を超える響きがそこにはあって、自分なりにそれを受け取る事ができたのではないかと確信
今もって熱いものが残り続けています。

「若草物語」~小さな貴婦人たち~

「若草物語」~小さな貴婦人たち~

劇団文化座

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/10/14 (金) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/19 (水) 13:30

座席1階

アメリカの作家オルコットの小説。映画やアニメにもなった著名な作品を今、文化座が演ずる意味は何だろう。そんなことを考えながら4姉妹の物語を堪能した。亡くなった文学座の高瀬久男の脚本だ。

次女のジョーを語り口にして物語は進行する。4人とも性格が全く異なり、個性豊かでおもしろい。特にジョーは、良妻賢母が理想とされる当時の感覚では珍しいと言えよう。自由を愛し束縛を嫌い、自分の夢や目標のためなら恋愛や結婚も脇に寄せるという女性だ。
4人の結婚観の違いも見どころかもしれない。幸せな結婚とは何か、客席が受け取るメッセージはきっと、人によってだいぶ違うだろう。そういう多彩な見方ができるのは若草物語ならではといったところだろうか。
なぜ今、文化座が若草物語? という問いへの答えは見つからなかった。パンフレットで佐々木愛が書いている。「父(佐佐木隆)の言葉の数々とともに、私がふと出会いたくなった」。小説でもこの舞台でも、従軍牧師である父親の存在は少ない。でも、愛さんが舞台の父親に佐佐木隆を重ねてみているとしたら、それはそれで興味深いことだと思う。

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」

Antikame?

雑遊(東京都)

2022/10/18 (火) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。【あいまいなしっそう】
奇妙な設定から垣間見える日常の不安や曖昧さ、その不確かさによって情緒の揺らぎを描いた秀作。見ず知らずの人と ひょんなことから話し出すが、そのきっかけが奇抜である。変哲のない日常の景色が少し違って見える、いや変えたい思いがある。しかし それは錯覚のような事実のような。

ラスト、不安と勇気は背中合わせ。躊躇する思いを奮い立たせ一歩前に進む、その瞳に映る光景はどんなものか。そんなことを問い掛け、想像させる余韻が…。
女優3人による確かな演技が、”表し難い情況”をしっかり形として観せ 感じさせる。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、古い歩道橋の手摺、真ん中にドアが倒れている。舞台下、客席との間に椅子2つと大きなクッションが上手に置かれている。上が外の風景、舞台下が室内を表す。どちらも普段の暮らしで見かける。ただ違うのは、落ちていたドアがあるということ。

毎朝、見かけていたが名前さえ知らない女性2人、向中野蕗子(花島希美サン)と小笠原可奈(永濱佑子サン)が、歩道橋の真ん中に倒れているドアに興味を示す。2人が協力してドアを立ち上げ、蕗子が支え 可奈がドアを開けてみる。同じ空間であるにも関わらず、違った風景が見えたような気がした。このドアが数日間放置されており、2人は気になってしょうがない。可奈の友人・江尻亜美(わたなべ あきこサン)はその話に興味を示しつつも、自分の目下の関心ごと、それは可奈の元カレ<あんどう君>と付き合いたいこと。2人の会話が登場しない あんどう君の人物像を立ち上げ、存在感を増していく。それがドアに繋がっていくという、少し強引な展開だが、序盤のドアを開けたままの光景に結び付ける。

一方 蕗子は理想のような夫と暮らしているが、苛立ちを覚えてしまう。何でも笑って許してくれる夫、その完璧さが鼻につく。隙のない夫と本音で向き合えない悲しさ寂しさ。可奈は出会った時に蕗子が呟いた「しっそう」(状況的には<失踪>)したい という言葉に驚く。そんな蕗子に淡い恋心が芽生えた可奈自身の戸惑い。ドアを開けなかった蕗子は、家庭(夫)という目に見えない鎖に繋(縛ら)れた景色を見ていた。舞台の上に立たせたドアの上手下手は同じ空間だが、開ければ違う景色が見え、閉めれば二つの違う空間に分かれる。

<あんどう君>を通して、可奈と亜美の夫々の思いを遂げる。可奈は、曖昧な態度を改め明確に別れを伝え、亜美は成就させようと必死の工作をする。蕗子は夫と別れる決心をして…。ドア(の開閉)を通して、普段の暮らしにちょっぴり変化をつけて違う光景をみる。曖昧な関係の先にある透明になるまで…こちらは「疾走」する言葉に変換するようだ。
公演の面白いところは、物語の端々に詩的な言葉(台詞)があり情緒を感じるところ。さらに亜美がピアニカの演奏、落語、そして表現しにくい "ぼよよ~ん"という脱力系の仕草で曖昧さ 揺らぎを表現する。敢えて観せるシーンを挿入し、演劇的な面白可笑しさを強調させたかのようだ。勿論、照明の諧調によって時間や状況の変化を印象付ける。

あまり利用されなくなった歩道橋(近くに横断歩道がある)とはいえ、数日間放置されているのは現実的ではない、などとは言わない。出来れば、その数日間の時間的な経過を表すため、せめて上着だけでも衣装替えをしては と思った。
次回公演も楽しみにしております。

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