最新の観てきた!クチコミ一覧

12001-12020件 / 182972件中
「流れる」と「光環(コロナ)」

「流れる」と「光環(コロナ)」

劇団あはひ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

4/6(水)と翌4/7(木)、池袋の「芸劇」(東京芸術劇場)で「劇団あはひ」の公演がありいずれもアフタートーク付きのソワレを予約しておいた。

下北沢の本多劇場で初めて彼らの「どさくさ」を観てからお気に入りの劇団になっている。

●4/6(水)は「光環(コロナ)」。

KAAT神奈川芸術劇場にて昨年上演した「Letters」を再演に向けてリクリエーションしていたら初演とは全く別のアプローチの作品となったが、いろいろと研ぎ澄まされたのでタイトルを「Letters」から「光環(コロナ)」と改め、新作公演の上演にするというメールが来たのは3月末。

メールの大塚健太郎 氏(作・演出)のコメントによると、能の構造を援用し作品が本来持っていたポテンシャルをさらに引き出した結果「もはや別作品としか言いようのない、しかし明らかに作品本来の姿」だそうで「これはコロナ禍を経験したすべての人に送るわたしからの手紙です」と締め括っている。

こうした電子メールという「手紙」から、すでにこの演劇は始まっているのかもしれない。

もともと「Letters」という作品は、城崎国際アートセンター(兵庫県豊岡市)で実施された昨年8月、10月の二度の滞在制作によって生まれた作品だそうだ。

当時のパンフレットの中には各自のそのときの語りも入っていて、推しの古館里奈さんなんかは温泉巡りをして美味しいものを食べたりとなかなか楽しんでいたりする。

この演目は、舞台の空間も下手の奥から上手の手前に正方形の飛び石で繋がれた舞台があって全体として斜めの菱形のようになっている。

夢幻能の構成をうまく使って(言わずもがなの裏返し的な使い方だが) 大塚氏の得意とする作品だと思う。

lettersの宛先は存在しなかったものすべてという主題とのことだが、量子の重ね合わせ(superposition)や量子もつれ(quantum entanglement)のような演劇であり、劇場空間の「場」はまさにこの宇宙を表しているのかも知れない。

アフタートークでは能楽研究者の竹本幹夫 氏がいろいろと解説もされているが、大塚氏の自己アピールもなかなかだ。😄

●4/7(木)はもうひとつの「流れる」。

松尾芭蕉と曽良、鉄腕アトムと飛雄か梅若丸かの霊と、狂女と渡し守が出てくるが、スピンのπ位相のような時空の不思議な世界は見立ての舞台装置などと相俟って、良くできている。

演者もそれぞれに役をこなしていて見事だった。

こちらもアフタートークがあり、代役で出てきた藤井慎太郎教授(早稲田大学で美学・演劇を研究している大塚氏の恩師)とのやりとりは面白い。大塚氏はHip-Hop好きということで、とても合点がいった。

・「流れる」(「光環(コロナ)」と似た舞台の空間だが全く異なる世界に見える)
https://natalie.mu/stage/news/473153

▼アフタートーク1:「光環(コロナ)」
https://twitter.com/gekidan_awai/status/1512686756889612288?t=3E27u69kniBgOzRIoo_bFQ

▼アフタートーク2:「流れる」
https://twitter.com/gekidan_awai/status/1512630310487269378?t=OghlS4LyVR4RfwHWrZPtmw

(動画はいずれも期間限定公開だったようだがダイジェストにして残してるみたい)

#来福録 #享楽三昧 #あはひ #演劇 #知ポタ

碌な夜がいねえ

碌な夜がいねえ

みさくぼ

王子小劇場(東京都)

2022/10/15 (土) ~ 2022/10/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

クセスゴのしずるのコントを千鳥の突っ込みなしで90分みた気分

日常でありそうな場面を大げさな表現言い回しで演じていたため、ものすごく不自然に見えてしまった。
遠回しなセリフが多かったが特に面白い言葉遊びがあったようには思えなかった。
オムニバス形式で3組の話をみたが何か繋がりがあったのか最後までわからず、特に大きな事件もなかったように感じた。
チケットプレゼントで観劇させて頂いたのにこのような感想で申し訳ございません

ダイアナ

ダイアナ

×劇作家企画

劇場HOPE(東京都)

2022/10/25 (火) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

中野のポケットスクエアは4つの劇場がありますが、そのひとつ「HOPE」にだけは縁がなく。いちど行ってみたいと思ってました。たまたま3,500円というお手頃価格が目に止まって、これは行くべきかな、と。
出演者に真凛さんが。過去にボクラ団義さんの公演で何度か拝見してました。それもあり、きっと楽しめるだろう、というわけで観劇しました。
結果、とても楽しめました。3人という少人数の演目はいくつか見たことあります。この舞台はさらに、舞台セットがとてもシンプルで。ここまでシンプルなのは初めてだったかもしれません。その制約の中で、見事な会話劇でした。
結局ほとんどの日程で売り切れたようです。木曜日のソワレでしたが、満員でした。たまたま、売り切れ前に買うことができて良かったです。
HOPEはMOMOよりは広いのかな、それでもかなりの狭さだと聞いていました。早めに行って通路側でゆったりと観劇できました。70分という自分にはちょうど良い尺で、そういう意味でも良かったです。木曜日、長いと翌日の仕事が気になって、チケット確保を躊躇することも。

ネタバレBOX

セットがシンプルと書きましたが、なにしろ、何もありません。セットはゼロです。会話だけでここまで面白くするのは緻密な計算があってのことだと思います。
よく考えると、登場人物に共感するところは何も無いかも知れません。特に2人が「変な人」で。

真凛さんを拝見した最後はいつだったかな、と。2013年の「虹色の涙 鋼色の月」だと思います。9年前ですね。ほかに「オーバースマイル」「遠慮がちな殺人鬼」「嘘ツキタチノ唄」など、7,8回拝見していたと思います。全部ボクラ団義さんで。印象が強かったのは「ゴーストライターズ」ですね。野元愛さんとともに主役を演じられました。
2013年に「モブキャストガールズ」として千葉マリンスタジアムに来られて、球場内で握手会があったことを覚えています。たまたまでしたが、参加して会話させていただきました。懐かしい思い出です。
演技を拝見するのは9年ぶりですが、やっぱり、さすがに、大人になられましたね。昔とは違う味を出されていました。
野元愛さんも滝口ミラさんも森田涼花さんも、みんなホリプロを出られましたが、真凛さんは所属されたままなんですね。知らなかったです。正直、驚きました。。。
甘藷な者たち

甘藷な者たち

劇団WAO!

ウイングフィールド(大阪府)

2022/10/29 (土) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

満足度★★

大学生演劇…?というより、大学生の方が魅力的ですね。この代金に見合った内容では…😢

アイ・アム・ア・ストーリー

アイ・アム・ア・ストーリー

シベリア少女鉄道

シアター・アルファ東京(東京都)

2022/10/12 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

純粋なお話としての面白さはかなぐり捨てており、誇張した演技、奇抜な展開、メタ要素で全力で笑いを取りにいっていた。
ただ1回だけやるのがすごい面白いようなネタを何度もこするので少しくどいかなと思った。
110分あったが、80~90分くらいがちょうどよかったのでがと思ってしまう。
しかし今後もずっと記憶にこびりつくような舞台だった。
終わった後無性にDr.コトーがみたくなった

SessionYoshiya・語り

SessionYoshiya・語り

かわせみ座

プーク人形劇場(東京都)

2022/10/18 (火) ~ 2022/10/22 (土)公演終了

実演鑑賞

初めて観るジャンルで新鮮でした

あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

せこごと

新宿眼科画廊(東京都)

2022/10/28 (金) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

もしフルポン村上が女性と付き合ったらっていうシチュエーションを観てる気分だった
起承転結があるわけではなく、1時間半ぐらい女々しい男の煮え切らない態度を観ていたが、長いな退屈だなとは感じなかった。
役者さん達の演技が自然で日常にいるめんどくさい男というシチュエーションをリアルに感じられたからだと思う。
個人的にまどろっこしい屁理屈みたいなセリフが好みだった。
男が面倒な分女性人が魅力的にみえた。

ふにゃふにゃ、夕立、夏霞

ふにゃふにゃ、夕立、夏霞

The Stone Age ヘンドリックス

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2022/10/28 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

今までのヘンドリックスとは違う雰囲気。
演劇でよく使われる、主役をもう一人の役者に投写し話は進む。心で結ばれると表現としては素晴らしいけど、実際には…。
全体としては、満足しました❗

クランク・イン!

クランク・イン!

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/10/29 (土) 18:00

岩松らしい舞台だった。(2分押し)115分。
 岩松の特徴である、会話をしているようで会話になっていない展開が続く。映画の撮影のため、大女優(秋山菜津子)・その付き人(富山えり子)・ベテラン女優(伊勢志摩)・若手女優(石橋穂乃香)が山のペンションらしき所にきている。監督(眞島秀和)は結婚しているものの女にだらしないが、そこの新人女優らしきジュン(吉高由里子)がやってくる…。1年前の女優の死の謎も含み、ミステリー仕立てではあるが、解決の安堵感は少ない。秋山は不安をつのらせる女優役を公演。吉高は映像圭で活躍するが舞台経験は少なく、存在感はあるのだが声が心配。

狼少年タチバナ

狼少年タチバナ

劇団牧羊犬

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2015年初演の舞台映像は、門真国際映画祭2020舞台映像部門で優秀作品賞はじめ4つの優秀賞を受賞…この舞台の映像はどのように映っているのだろうか。「再演を望む声も多かった『狼少年タチバナ』を、キャストを一新して7年ぶりに上演」、その謳い文句から、自信作ということは分かったが、なるほど 力作であった。

当日パンフに主宰で作・演出の渋谷悠氏が「嘘と事実をごちゃ混ぜにされるのが一番タチが悪い。自覚がないなら猶更のこと。そこに悪意はない。しかし被害はある。この物語はそんな人物と接した僕の実体験から生まれた」とある。それだけにリアルであり、舞台としての力強さ芸術性を高めた原動力があるようだ。
少しネタバレするが、嘘の力と信じ抜く力は 何度も嘘をつく男とそれを最後まで信じようとする男の友情のよう。ラスト、2人の男の悲哀でもあり滑稽でもある人生模様がしみじみと描かれていることに気づかされる。これはウソではない。
(上演時間2時間10分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、半円形の舞台を場面に応じて回転させる。冒頭は主人公・嘘の力-橘史郎(徳岡温朗サン)の家の中、半円台の右手壁に大きな抽象画、左側に窓・カーテンがあり、円台外の上手に木製のテーブルと椅子、下手に座卓が置かれている。一方 信じ抜く乾六郎(長部努サン)が服役していた刑務所、妹とその同棲相手の家、更に煉瓦作りのワインバーの店内というように場景を変え、その場景内で一つの物語を作り、全体を構成する。別の場所だが、同じ時間が流れているような観せ方は、人物の置かれた状況や心境の違いを比べるような効果がある。そこに自覚なき嘘つきの楽天さ、嘘と知りつつ庇う悲愴さ、人生で味わう喜怒哀楽を2人の男にそれぞれ喜楽と怒哀に分けた理不尽を負わせる。

史郎は嘘つきだが、そんな自覚はない。自己肯定や自己愛性パーソナリティ障害としている。それだけに始末が悪い。一方、六郎は養護施設育ちで、本当の生年月日や名前を知らない。幼馴染の史郎が何気なく、誕生日や名前を付けてくれたことに恩義を感じている。後々分かるが、史郎はそんなことをすっかり忘れている。
やがて史郎の嘘が詐欺になり、その身代わりとして刑に服することになった。4年の月日が流れ、史郎は六郎の出所祝いにパーティを開催するが…。

史郎の妻 のり子(井上薫サン)は、史郎の嘘に耐えられなくなり耳が聞こえなくなる。人の言葉が恐怖なのだろう。彼女はペット(ハムスター)を飼うが長生きしない。徳川幕府の歴代将軍の名を付けるが、既に八代目(吉宗)になっている。実はペット虐待をすることで心の均衡を保っている狂気が怖い。平穏であるはずの家庭が、夫の嘘の身近な被害者が妻という皮肉。嘘がつけず愛想笑いをする姿が痛ましい。薄暗い照明の中で、飼っているハムスターに話しかけ毛を毟る。そこに夫の性質に追い込まれた女、複雑な人間の感情と本質を鋭く抉り出している。

登場する人物は、六郎と史郎に限らず 真偽といった性格というか性質に括れるような描き方だ。史郎とビジネス提携をする宇田川兄弟、兄の雄二は信じて疑わない、一方 弟の伸二は疑り深い、ワインバーの夫婦、夫の茂夫は裏表がなく、妻の深夜子は過去に犯罪歴がありそう。人の両面を何気なく人物像に担わせ、サブリミナル効果のように「嘘の力と信じ抜く力」を物語に落とし込んでいるようだ。ラストが秀逸…イソップ寓話「嘘をつく子供」のように、パーティ参加者が次々に帰ってしまい 最後は誰からも相手にされなくなる。まさしくオオカミ少年だ。

舞台美術は勿論、音響や照明といった舞台技術も効果的な役割を果たす。しかし 何といっても役者陣の熱演がこの舞台を支えている。初演からキャストを一新したとあるが、この公演でのキャストは夫々のキャラクターを表し、実際 居そうな人物像を立ち上げている。言葉としての台詞だけではなく、言葉に出来ない〈思い〉のようなものが表現として伝わる。
次回公演も楽しみにしております。
立飲み横丁物語

立飲み横丁物語

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あたたかい人情に触れることができました。

ネタバレBOX

コロナを素材に入れながら、興味深く、途中からいいテンポで話が展開していきました。話が進むにつれて、だんだんと面白くなってきました。最後はドキドキしました。2時間20分という長さを感じさせない、しびれる人生劇場でしたね。
さくらんぼ畑

さくらんぼ畑

8.22企画

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2022/10/28 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

チェーホフの戯曲なんで当然洋風☆「日本で創る時はこうやるのよ」て見本のような作品でした☆衣装など全体的に「白」が印象的な舞台やなと思ったら翻訳堀江新二さんがチラシでこの作品に様々な「白」を感じてらっしゃるのを書いておられて納得しました♪喜劇、悲劇、ドタバタ。そこに繰り広げられる世界は「白」の寛容さによって何色にも染まる美しさを醸し出してました☆

黄金のコメディフェスティバル2022

黄金のコメディフェスティバル2022

黄金のコメディフェスティバル

シアター風姿花伝(東京都)

2022/10/21 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

パーチーム放課後ビアタイムを観賞。
娘の結婚式を舞台にしたドタバタコメディだが、それを見事なエンターテイメントショーに仕上げている。特にダンスシーンが素敵だ。
登場する女優がカメラマン役まで含めてみんな美人なことに驚く。最後は感動に包まれた。

黄金のコメディフェスティバル2022

黄金のコメディフェスティバル2022

黄金のコメディフェスティバル

シアター風姿花伝(東京都)

2022/10/21 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

パーチーム、コヒツジズ鑑賞。
前説のギターから素敵でそれが作品と一体化していたのが素晴らしかった。地震で運転中止になった車中での物語。乗車客は一癖ある人物ばかりで次々とトラブルが起こる。最後のどんでん返しが見事。

古事記・三味線 いろはのい

古事記・三味線 いろはのい

わざおき

日本橋社会教育会館ホール(東京都)

2022/10/25 (火) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感想遅くなりました。三味線について分かりやすく教えてくれてからの演奏。初心者にとってはとても有意義でした。今度はもう少し三味線の演奏を長く聞きたくなりました。歌舞伎も、だいぶ以前にいったことがありますが、あらためて行きたくなりました。いろはのろ があるときはまた伺いたいですね。

あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

せこごと

新宿眼科画廊(東京都)

2022/10/28 (金) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったと思います。私は、脚本や演出、演者の皆さんから演劇に対する気持ちや向き合い方を一生懸命表現されているように感じました。物語の中の皆さんもその日その日を一生懸命生きているのが、伝わりました。
時間軸と、場面展開に少しだけ追い付けなかったところがありましたが、帰りの電車で自分なりに確認できました。
今後も頑張ってください

狼少年タチバナ

狼少年タチバナ

劇団牧羊犬

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 華5つ☆ ベシミル!! 少し特異な視座から描かれた人間。脚本、演出、舞台美術、役者陣の演技、照明や音響効果、何れもグー。而も深く考えさせる。

ネタバレBOX

 極めて特徴的な舞台美術だ。ぼんやり眺めていたのでは余りこの特殊性に気付かないかも知れぬ。然し蛇腹を意図的に而も巧妙に変型させたかと思えるようなこの構造を心理構造に当て嵌めて考えるなら、一見安定し正常に見える人が、実は内面に大きな歪みを抱え心も魂の安定も欠いて、その結果肉体的にも正常な機能を果たさぬ部分を抱え込んでいるような塩梅を暗示しているように見える。そのことに観客が気付くようにとの意図からか、開演前殆どの舞台で舞台美術が見えないように板上は暗くしてあるのが一般だが、今作では初めから明転している。
 中盤まで登場人物各々の関係が消化不良でも起こしたようにイマイチ判然としない。確定できる要素が、つまり決定打がずっと伏せられているのだ。無論、その分観客も心の内に何とも居心地の悪い不安定感を抱え恰も深い霧の中を彷徨い歩くような緊張感と不安と不確実性に苛まれて心がざわつきつつ、舞台に釘付けになる。総てがハッキリするのは終盤に至ってからだが、この辺り話の持っていきようが実に上手い。
 無論、注目すべき点は上に挙げたことだけでは無い。登場人物の多くが養護施設出身者という設定であり、登場するワインバー店主の連れ合いは台詞から判断する限り女子刑務所に居たことがある等だ。色々な意味でヒトという生き物が持つ、プラス方向の可能性、マイナス方向の可能性の大きさ、怖ろしさすら考えさせる奥の深い極めて優れた作品である。時代設定は2015年。今作初演時を踏襲している。



短編劇集「新江古田のワケマエ」

短編劇集「新江古田のワケマエ」

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2022/10/29 (土) ~ 2022/11/03 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【A】「そう言われると今年一番はあの日かな」【B】「咲良を待ちながら」観劇   

江古田にある古民家を改造した会場。劇団名からも明らかなように、二畳分のスペースと最小限の音響・照明効果だけで公演を行う。公演は、約30分の2短編の上演だが、実に味わい深い内容であった。
もしかしたら遭遇する、若しくは経験するかもしれない、そんな奇妙な感覚にさせられる作品。現実から少し離れた設定だが、皆無とは言えない微妙なリアルさが面白い。同時に、会場が面している千川通りの車騒が、絶えず日常を意識させるから、何とも不思議な気分になる。

勿論、素舞台で役者の演技力だけで観せることになるが、両作品の出演者とも見事な表現力であった。共通して言えるのは、「間の取り方」 その空白(無言)のような時間の使い方が上手い。何となく隙間は埋めたくなるが、敢えて話(筋)をピーンと張らないで、逆に弛めることで物語に込めたテーマらしきものを表現する。当日パンフにあった「日常とは違う時間の流れを感じて」は十分に伝わった。
(上演時間1時間10分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

【A】「そう言われると今年一番はあの日かな」 
場所は埼玉県飯能市、劇中でも言っていたがムーミンのテーマパーク「メッツァ」があるところ。サバイバルゲーム施設にゲームをするために来ていた砧三二六(中込博樹サン)は、尿意をもよおし、サバイバルゲームのフィールドを外れ山道へ。そこで自殺?首に縄を巻き付け、片方の靴が脱げている籾田桜那(丸山小百合サン)に出会う。少し酒に酔っているようで呂律が怪しい。2人が話していると、1日2杯のデリバリーコーヒー、行商人風の滝沢つばさ(たきざわちえ象サン)がやって来る。桜那はブラック企業に勤めているようで、労働条件は劣悪、辞めたいと呟く。しかし辛抱・我慢が足りないと思われるのが癪に障る。周りの評価も気になるが、つばさ は簡単に辞めちゃいなという。命があるから後悔出来る。要は命あっての物種だ。話の内容は重いが、雰囲気は柔らかい。コーヒー1杯2,000円、屋外にも関わらず本格的に豆を挽く。コポッコポッという音が聞こえるだけで、沈黙の時間が流れる。張り詰めた気持ちを和らげる、そんな優しい情景になってくる。

中込さんは会場外から現れ、尿意をもよおしているわりには落ち着いている。二階から縄、それを手繰り寄せると 丸山さんがよろよろと階段から下りてくる。その首に縄が巻き付いている。片手にアルコールの3~4Lペットを持ち千鳥足である。2人の演技は珍妙であるが、観入るほど巧い。ほどなく会場外から たきざわ さんが荷物を背負い入ってくるが、その飄々とした演技が仄々とした雰囲気を漂わす。三者三様の演技は柔らかいが、観る者の心をつかんで離さない研ぎ澄まされた感性 表現力に感心する。

【B】「咲良を待ちながら」   
タイトルから「ゴドーを待ちながら」を連想するが、けっして不条理劇ではない。
場所は江古田にある田中家、高校の卒業式の夕方。母 田中和子(五十嵐ミナ サン)、兄 武尊(吉岡圭介サン)が卒業祝いに寿司の出前の話をしているところへ牧田竜也(長谷川浩輝サン)がやって来る。高島平に住んでいる竜也は、三年間片想いの相手・咲良へその想いを伝えたい。しかし、咲良は友人とカラオケに行っており帰宅していない。仕方なく、その家族と共に帰りを待つことになる。そこへ父 正博(小泉匠久サン)も帰宅し事情を聞く。思わず缶ビール2本をたて続けに飲み、気を落ち着かせようとする。暫し無言、その何とも言えない気まずさ 微妙な空気が流れる。結局 咲良は帰ってこず、竜也の帰り際、父は一瞬彼の袖口を掴む。そこには在りし日の自分の姿を見たのかも知れない。父・母も高校の同級生で、母の(義)父からは帰れ!と言われた経験があるよう。そんな懐かしい気持ちになったかのよう。

五十嵐さんは、娘への想いを告げに来たことを素早く察知する、自然体の母親を見事に体現する。小泉さんは、逆にどう対応すればよいのか戸惑う姿が 父親らしい。思わずアルコールに手を出すところは、その心境を上手く表現している。吉岡さんは妹のどんなところが好きなのか興味津々といった兄らしい感情を表す。ある意味 主人公の長谷川さんは、おどおどした落ち着きのなさ、そして ぎこちなくも真摯に接しようとする。それぞれの表情や仕草から溢れ出す感情表現、その場の少し軋んだ音が聞こえそうなほど上手い。
次回公演も楽しみにしております。
スカーレット・プリンセス

スカーレット・プリンセス

東京芸術祭

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/09 (日) 15:00

素晴らしかったです

立飲み横丁物語

立飲み横丁物語

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

いつも拝見している劇団だが、今回はどうも違和感があった。
義理人情の世界が舞台だから仕方がないのかもしれないが、いつもにも増して言い回しに「古さ」を感じてしまった。
どんな所でも、今どき、こんな言い回しはしないだろうと思う箇所が散見され(いつもない訳ではないが)、少々首を傾げた次第である。
もう少し短くもできたのではとも思う。

しかし、小道具としてのマスクの扱いはお見事!
ここまでリアルに今のマスク事情を舞台で再現した作品を自分は知らない。

このページのQRコードです。

拡大