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磁界

磁界

オフィスコットーネ

小劇場B1(東京都)

2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても重厚な素晴らしいお芝居でした。二時間弱の公演時間もあっという間で、役者の皆さんの演技もとても真に迫っており本当に面白かったです。内容もリアルで申し分ありません。立場立場で誰も悪くない。でも、なんとなかったのではという気持ちがとてもよくわかりました。たぶん初めて拝見した団体さんですが、今後も気になる団体さんになりそうです。

磁界

磁界

オフィスコットーネ

小劇場B1(東京都)

2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/13 (月) 19:00

JACROWの中村が作・演出した舞台。タイトでいい芝居だった。(4分推し)114分。
 実在の事件をベースにしているが、犯罪そのものでなく生活安全課という警察の組織の問題を扱う。難しい判断を迫られる生活安全課の警察官を演じた首藤(西尾友樹)と捜索を訴える姉(柿丸美智恵)がいいが、他の役者陣も熱演で緊張感ある舞台を作る。。異儀田夏葉は大変だったろうなぁ…の役。タイトルは、特定の意識・価値観に捕われた世界を言っているのだと思う。

対話

対話

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2023/02/10 (金) ~ 2023/02/24 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

強姦殺人事件の被害者の娘の父母と、加害者の母、姉弟、伯父。さらに調停人のマニングと、性犯罪者の更生に取り組む心理療法家、8人出ずっぱりの会話劇。被害者遺族の夫婦は、怒りと憎しみをぶつけ、加害者の母は「私たちも痛みを抱えています」「それでも私の息子なんです」と許しを請う。弟は「殺人犯の弟」の烙印を押された恨み、終身刑の兄スコットに死んでほしいと、被害者遺族と同じ気持ちだと叫ぶ。大学卒の姉は、弟の貧しく放置された生育環境を考慮してほしいと自説をぶつ。心理療法家の女性は「彼は良くなっていた。釈放を求めた判断に誤りはない」と自己弁護する。

遺族の母は「あなたたちは私たちの痛みを理解する入り口にも立っていない」と迫り「奪われたのは未来だけではない、娘の過去も奪った」と。アルバムを見ると、悲惨な最後に至ることが思い出されて、アルバムもみられないと泣き崩れる。
どこにも救いの見えない前半から、どう何らかの結末を引き出すのか、目が離せない。

出演者はみな熱演で、ヤマ場では本当に互いに泣いていた。加害者の母を演じた山本順子は、貧しく弱く哀れな母親そのものだった。2時間10分休憩なし

ネタバレBOX

最初互いに憎しみ、責任を擦り付け合い、自己弁護しあう。被害者遺族のバーバラが「娘の話をしたい」と、13歳の誕生日パーティーの思い出を語り始めるところから、雰囲気が変わる。さらにキッチンをカナリア色のペンキで塗り替えた思い出を語ると、父も急に言葉に詰まり泣き出す。そこで胸をつかれた。憎しみや怒りをいくらぶつけても人は共感しない。人を責めることをやめ、自分の悲しみ(弱さ)を見せた時、人は心を動かされる。これは万国共通の真理だ。

心理療法家が、自分の判断ミスを認めるところから、次々と自分が悲劇を防げたのにやらなかった後悔を語り始める。かたくなだった被害者の父も、ついに「防犯ベルを買うと約束したのに、忙しくて買ってやらなかった」「学歴のないミュージシャンとの結婚を認めなかった」と懺悔を口にする。スコットを、刑務所内のリンチから守るための保護官房行きを、すぐには同意しないが、変わるかもしれないことをにおわせて終る。

最後、マニングが「今日は何がえられましたか」と問うと、被害者の父は「軽くなった」と答える。「ラビットホール」のハイライト場面を思い出した。そこで幼い息子を亡くした母は、自分の母に問う。「悲しみは消えるの?」「いいえ。でも変わる」「どう?」「軽くなる、持ち運べるくらいに」と。

自分の過ち後悔を口にすることで、浄化されるのは、キリスト教の「懺悔」と告解からきている作劇術ではないか。公開中のアメリカ映画「対峙」は、高校乱射事件の加害者被害者の4人の対話を描く。ここでも、加害者の息子、被害者のむずめの思い出を語るところから、心を開きだす。そして互いが自分の過ちを口にし、後悔を語ることで心が近づく。「対話」とよく似ている。ストーリーのモデルが何かあるのかもしれない。
あの春の約束を歩き出す君のために2023

あの春の約束を歩き出す君のために2023

東京印

ザ・ポケット(東京都)

2023/02/08 (水) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/02/10 (金)

中野ザ・ポケットにて東京印『あの春の約束を歩き出す君のために2023』を観劇。
初見のカンパニーでしたが、客席に一歩足を踏み入れた瞬間、ステージ上にそびえ立つ古民家のような造りの舞台セットが目に入り、いきなりテンションが上がりました。 玄関、廊下、居室、庭などの間取りに加え、家具や小物など、細かな部分まで凝っているセットは圧巻。しかも、このような昭和レトロな雰囲気のセットは個人的にも好みのテイスト。このセットを見るだけでも価値があるなと感じました。それくらい惹き付けるものがあったような気がします。
「~あなたが大切な人に届けたいものはなんですか~」というサブタイトルが付けられたこの作品は、下宿屋「桃山荘」を舞台に繰り広げられる人間ドラマ。過去にシェアハウスを舞台とした作品は何度か観たことがありましたが、この作品も似たような雰囲気を感じました。年齢も性別も趣味もバラバラの人々が一つ屋根の下、共同生活を送っているという設定は、何かが起こる予感しかなく、ワクワク感が高まるのです。
しかし、いよいよ本編が始まり、キャラの濃い人物達が次々に登場してきたのですが、、。確かにひとつひとつのシチュエーションはユニークで、それ単体で見れば面白いものの、間の取り方の問題なのか、あまりにも一定のテンポで進行する各シーンに、逆に違和感を覚えてしまいました。もともと台本ありきで進むフィクション作品に求める部分ではないのかもしれませんが、日常生活を映し出したドラマであれば、もう少しテンポに変化が欲しかったような気がします。順番に次から次にポンポンと台詞が出てくる会話劇は、見ていて飽きない部分はあるものの、いかにも演じているだけという作品にも見えてしまい、若干感情移入がしにくいような印象を受けました。実際、サブタイトルに込められたテーマよりも、賑やかなドタバタコメディーだったという感想の方が先行したような気がします。ウケを狙ったキャラ、台詞が多く、じっくり楽しむというよりは勢いで一気見するような感覚。また、暗転が多く、各エピソードに繋がりが見えにくいようにも感じました。単に面白いシチュエーションを詰め込んだだけのような、 短編のオムニバス作品を観ている感覚に近いような…?
冒頭に書いた豪華な舞台セットに関してももう少し活かして欲しかったかなと思います。全体的なセットは勿論ですが、奥の部屋や隣の書店の部分などを含め、とてもしっかりと作られているように見えたので、その辺をもう少し見せるシーンがあっても良いような気がしました(個人的に見たかったです)。
舞台の雰囲気、BGMの雰囲気、フライヤーの雰囲気、タイトルの雰囲気と、内容が若干合っていないような印象を受けましたが、個々のエピソードは面白く、熱量の高い作品だと感じました。

OH! MY GOD!〜2023

OH! MY GOD!〜2023

パン・プランニング

博品館劇場(東京都)

2023/02/10 (金) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

昭和の雰囲気が何とも楽しく地上波ギリアウトかな どうかなという毒加減も絶妙
手を変え品を変え散々笑いつくしたというのに後に何も残っていないというのもある意味贅沢な娯楽だったなと
超くだらない部分が好物か否かでハマり具合が変わりそう
友人同士とかで観に行って高揚した気分のままワイワイお茶して帰る
これがベストな観劇スタイルじゃないかと思える公演でした

磁界

磁界

オフィスコットーネ

小劇場B1(東京都)

2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

重い話だったが、1時間55分があっという間に終わる感じる舞台。
印象的だったのは、医者の件のセリフは自分自身にすっと入ってきて印象的な掛け合いでした。

Angelic Miicry

Angelic Miicry

DANCETERIA-ANNEX

大倉山記念館(神奈川県)

2023/02/07 (火) ~ 2023/02/10 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

脚本が素晴らしい。独特の香りがある舞台でした。好きな人は多分、めちゃめちゃ好きだと思う。

Angelic Miicry

Angelic Miicry

DANCETERIA-ANNEX

大倉山記念館(神奈川県)

2023/02/07 (火) ~ 2023/02/10 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

佐々木さんが歌っていて感動した。

武士とジェントルマン

武士とジェントルマン

朗読劇『武士とジェントルマン』製作委員会

サンシャイン劇場(東京都)

2023/02/01 (水) ~ 2023/02/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/03 (金) 13:00

タイトルだけから幕末か明治初期の話かと思いましたが、現代日本で無骨に生きる男とイギリスから来た人の話でした。トランスジェンダーも登場する、頭の柔らかい、やさしい気持ちにつつまれる作品。

朗読劇タチヨミー第十巻ー

朗読劇タチヨミー第十巻ー

タイキマニアプロデュース

サンシャイン劇場(東京都)

2023/02/08 (水) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

声優さんたちの朗読劇、バラエティーに富んでなかなかに楽しめました。さとうきび畑の歌とこの曲をモチーフにした朗読劇には涙しました。

FLAGLIA THE MUSICAL

FLAGLIA THE MUSICAL

サンライズプロモーション東京

日本青年館ホール(東京都)

2023/02/03 (金) ~ 2023/02/09 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/08 (水) 13:00

テレビでたまたま見つけたアニメ・バージョンを少し見て予習してから行ったのですが、私が見たところはこのステージを補完する脚注みたいな部分だったと判明。スケールが大きい物語で、役者たち(特に堂珍)の歌唱力に圧倒されました。

OH! MY GOD!〜2023

OH! MY GOD!〜2023

パン・プランニング

博品館劇場(東京都)

2023/02/10 (金) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/11 (土) 13:00

いろんな方面から叱られそうな過激で毒のある笑いが多く、とても刺激的でした。歌とダンスも素敵でした。

磁界

磁界

オフィスコットーネ

小劇場B1(東京都)

2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

L字型の客席。舞台美術(金安凌平氏、西山みのりさん)がやり過ぎぐらいに凝っている。打ちっぱなしのコンクリート。(加工したシートを敷き詰めている)。廃墟ビルの埃の溜まった一室。雑然とそこら中に転がる椅子。両端に積み上げられた縄で縛られた椅子の山。ディストピア感満載、流れるインダストリアル・ミュージック。
二人が向き合い会話を進める途中でノイズ音が走る。するとカメラを切り替えしたように、互いの場所を入れ替えて会話の続きを始める。どちら側に座っている客にも役者の表情が見えるようにとの配慮だろう。とにかく客に見せたいものがハッキリしている。

磁界とは磁気が働く空間の状態のこと。
「教示願います。」
マルガイ(被害者)、マルヒ(被疑者)、警察用語が飛び交う。

署長(青山勝氏)、課長(大滝寛氏)、係長(谷中恵輔氏)、主任(西尾友樹氏)、巡査(井上拓哉氏)のヒエラルキー。それぞれ味のある役者が重厚なハーモニーを奏でる。格と名のあるプロレスラーが次々にリングに登場し、ファンの妄想を刺激するような。青山勝氏は怖ろしい。権力という暴力を身に纏っている。

失踪した妹に電話で金を無心された姉(柿丸美智恵さん)、双子の妹(異儀田夏葉さん)、相談を受ける弁護士(狩野和馬氏)。
柿丸美智恵さんの居酒屋のシーンは人間的で良かった。
双子という設定で、失踪した妹役も異儀田夏葉さんが演ることの予想はつく。判っていても度肝を抜かれる。

熊井啓映画の気分。反権力弁護士は鈴木瑞穂にやらせたい。
西尾友樹氏はテッド・バンディみたいなサイコパス役が似合うと思う。企業舎弟のインテリヤクザや新興宗教の広報(上祐史浩的役回り)なんか打って付け。まともな善人役では勿体無い奥行き。目の玉が据わる演技が凄い。ティム・ロス流か?目の玉のくすみで役柄の内面の変化を表現する技術。ゾッとした。ここだけでも今作を観る価値は充分ある。

ネタバレBOX

西尾友樹氏が罪悪感に押し潰されそうになる、象徴的な場面が欲しかった。

最もド迫力な名シーンは、個人の判断で遺族に謝罪に行った西尾友樹氏を叱責する青山勝氏の場面。「お前等末端が意思を持つな!」と言わんばかり。組織の論理で徹底的に総括される。逃げる余地などもう何処にもない。

実家の母の世話を妹に押し付けて出て行った姉。未婚なのか姓は変わっていない。駅前のスーパーでレジ打ちをしていた大人しい妹。ホストや風俗嬢と何処で知り合ったのか、家族や仕事を投げ出す程の刺激的な出会いだったのか?そこにも描かれていない“磁界”に囚われた者の物語が。

警察批判というよりも組織論の話。最も無駄がない最強の組織は軍隊である。上意下達で組織が一人の人間のように動く。頭脳の部署が決定したことを正確に遂行することのみが要求される。個々で判断したりためらったりすることは許されない。それが軍隊であり、全ての組織はそれに傚ったもの。組織で生きていくことを決めたならば個々の善悪の判断は邪魔になる。どれだけ優秀な機械に徹することができるのか。
今作は学校や新興宗教を舞台にしても面白かったと思う。自殺した生徒の苛め問題の隠蔽。理想を持って身を投じた筈の宗教団体の中で、組織論で醜く捻じ曲がっていく信仰の有様。

嫌なら必死でその“磁界”から逃げるしかない。
まっくらやみ・女の筑豊(やま)

まっくらやみ・女の筑豊(やま)

椿組

新宿シアタートップス(東京都)

2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

戦前の筑豊の女鉱夫の生き様が迫力ある舞台演出で、凄みを増していました。舞台の使い方も驚きがあり、力のある役者さんたちの素晴らしい舞台でした。

回転寿司 一皿目、何から食べる?~私はクロカンブッシュ。~

回転寿司 一皿目、何から食べる?~私はクロカンブッシュ。~

オレンヂスタ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2023/02/11 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/02/12 (日) 11:00

舞踏ボレロは間近で洗練された動きを見て圧倒されました。
演劇 サトくんのこと相模原の障がい者しせつでの殺傷事件を題材にしたものであることすぐに分かりました。
意思疎通が出来ない人は不幸だとかこの世に不要とか。そこんとこは赤の他人が決める事ではないと、改めておもいました。
短い中に色んな事が詰まった良い劇をみせて貰いました。

ハンドル握って

ハンドル握って

 StageClimbers

新宿眼科画廊(東京都)

2023/02/11 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
公演は、三短編オムニバスで紡がれ 夫々の話だけでも面白い。が、やはり全編繋げると登場する人々の思いを生き活きと描いていることが解る。タイトル「ハンドル握って」は二話目のサブタイトルであり、繋ぐ話であろうが、これが実に巧い構成となっている。袋小路で迷い、二進も三進も身動き出来ない演劇人の姿そのもの。

登場するのは、劇団員もしくは元劇団員、その家族という等身大の人々で、内容的にもありそうなもの。それだけにリアルであり、その世界で生き 活動する人々の悩みや喜びがストレートに伝わる。公演の魅力は 物語の面白さは勿論、役者陣の演技力の確かさであろう。
また楽しみに出来る団体_StageClimbersに出会えたことを嬉しく思う。
(上演時間1時間15分)

ネタバレBOX

舞台美術は場面ごとに異なる。説明にある あらすじを参考。

第一話「好きじゃないよ」
劇団コロラド公演の本番前日、小道具を持って駅ホームで電車を待つ3人。朝10時という設定でまだ混んでいる状況を歩き方で表す。そして出演者がケガをしたことで代役を探すことになった劇団員(制作担当)の松田。しかし代役は見つからず…。混雑時の様子、架電等で荷物を他者に預ける動作などで情景を描き出す。

第二話.「ハンドル握って」
女性は、学生時代の友だちが入院し病院に車を走らせたが、都心の狭い路地に迷い込み車が立ち往生。この近所に住む男(足をケガ)の力を借りて脱出しようとするが…。男女二人の会話劇だが、細かい仕草ーー例えば男が代わりに車をバックさせる際の視線(バックミラーを見ているような斜め上目線)がリアル。

第三話「元劇団員」
楽屋裏。白いシーツ<スクリーン>があり奥を隠し、同時に映写用の幕として活用する。劇団を辞めて3年、郷里に帰った元劇団員(38歳-微妙な年齢設定)はアルバイト<YouTube>をしている。ある日、劇団からケガした出演者の代役を頼まれて……。そこに居ない元劇団員を配信として登場させる。勿論、場所も時間も異なるから衣裳も異なる。

三話目は全員登場し、その関係性が明らかになる。演劇という魅力に憑りつかれた?人々の苦労と喜び、その生き甲斐、遣り甲斐を切々に語る姿が印象的である。演劇という底なし沼のような世界、そこから脱することは難しい。いや その気になれば出来るのだろうが、その魅力を捨て去ることは出来ない。
一方、二話に出てくる女性は、故郷に帰った元劇団員の姉。演劇という不安定な生き方を卒業させ、就職するよう諭す。演劇人以外の人物を登場させ醒めた見方をする。それでも楽屋裏の演劇人の様子や話、そこに経済的なコトとは無縁な生き方がある、そんなことを感じるようだが…。

公演は細かい演技、そして観せようと工夫する丁寧さ。例えば、三話は楽屋裏でありテーブルや椅子が雑然とあるのは当たり前の光景だが、ボックスティッシュにマジックペンで「楽屋用」と走り書きした小物を置くだけで、一瞬にして場所が分かる(ラストの白シーツを巻上げると…)。そこに公演を通してリアルな演劇愛、情熱を感じさせるモノを見るようで好感を持った。
次回公演も楽しみにしております。
磁界

磁界

オフィスコットーネ

小劇場B1(東京都)

2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

JACROW中村氏の新作書き下し上演。コットーネとしては小さい頻度で開催される日本の現役劇作家による新作公演であるが、今回はプロデューサー綿貫凛氏追悼公演の趣きであった。コットーネの演劇活動は最後ではなく、故人の志を継いで今後も継続との事である。(良かった)
舞台は幕が開いた瞬間から劇世界に飲み込まれる。明快すぎる、と言える程の警察組織批判のドラマだ。市民の相談に応じる生活安全部(生安と略される)という不人気な部署をキャリアとして志望し配属された青年。久々に見る西尾友樹氏の立ち回りはこの人物の心の動線をはっきり伝えて来る。
ある時(冒頭)高額なお金を無心して来た妹を心配して相談に訪れたという女性(及び妹の双子の片割れ)に彼は対応する事となるが、この相談案件の話と並行して、彼が「組織人」となって行く過程が克明に描かれる。
中村氏作・演出の舞台は最近観始めたばかりで今作は三作目?(配信を含め四作か)、傾向を掴んでいる訳ではないが、今作はTRASHに通じる「テーマ」ありきのタッチが窺える。が、警察内部の(通常は知られない)ディテイルを絡めた作劇は「企業エンタメ」で培われたものか。人物の行動の正当化が難しい部分もあったが乗り切り、警察を題材にした「お役所仕事」の弊害をくっきりと描き出していた。

ネタバレBOX

相談は、「事件性のあるもの」に絞り込んで追求する。後は切り捨てる。・・この効率性が、結果的に市民のための警察の役割を最大化する。
もっともな論理だが、許容範囲が決まっていて「事件性の無さ」ではなく「希薄さ」の程度によって下から切り捨てているとすれば、それは許容量を問題にしていない点で不適切という事になる。
僅かな予算、人員で頑張っている、という弁明も、必要ならば応援を頼んででも対応すべき、という正論に理屈上は勝てない(はず)。
この劇で扱う「そこにいない妹」の危険は、「可能性」の範囲を出ず、蓋を開ければただの迷惑な女性が居ただけ、という事になりかねない。→「こんな事で応援頼みやがって」と、評価されてしまう組織風土が実は問題なのだが、こう考えて行くと、結局のところ、「事件性の有無」を最終的に判断するのはベテランの上司であるべきで、「担当」とは言え経験の浅い巡査部長に判断を任せた事は結果から見ても内部的にも「不適切」となりそうである。
何度も相談に訪れる婦人に対し主人公は苛立ちを覚える。同時に、「もしかしたら」とも思う(それが見てとれる)。だが、妹との電話録音を聞いても妹自身は別に脅されてる訳じゃないと言い、本当にホストクラブで借金こしらえたのでお金が要ると言い張っている。だがこういう態度をする妹じゃない、と女たちは言う。主人公は「ホストに入れ上げてるだけの女」とカテゴライズする。最初の相談は車に傷をつけてしまったから200万円、その次が100万円、今回が飲食代で80万と実は並んでいるので、何かを疑おうとすれば疑える余地はある、が、どれも自分の遊興費をせびってるだけ、と解釈するのは可能。だがここで「可能」というのは、「そう解釈する余地があるのでそうさせてもらう(人と時間がないので)」という裏事情がある。時間と余裕があれば、「悪い方」の想定をして事を構える、そしてそれが筋だ。時間と余裕がない、とは言い訳であり市民に対する説明にはならない(勿論予算配分の問題は国民の問題ではあるが)。
主人公は、上司に「軽い案件かもしれない」と思うと言えない、という心理が働く。事件だと確信できなければ、そんな事にかかずらう余裕はないと訓示を垂れられると読める。
だがこの作られた空気に従っただけの判断が、担当者の責任における判断であり、最終的には彼が残した対応の記録にも、事件性を疑う余地がなかったので話を聴いてもらって帰ってもらった、とだけが書かれている。妹が永遠に帰らぬ被害者となった時、この記録が警察の瑕疵を否定する根拠となる。
だが・・主人公は「どこで間違ったのか」と振り返る。「もしかしたら」と思えたタイミングがあった、というのが彼自身の実感である。心の疼きを晴らすかのように、彼は被害者の姉を訪れ、謝罪をする。この事が重大な問題となる。
警察で埒が明かず後に相談をしていた弁護士(実は主人公の従兄)が怪訝そうにする。警察が「謝る」とは・・。この事から損害賠償を求める国賠訴訟の遺族の意思に積極的に応えようとする。こうした場面の間、舞台の一方ではゼスチャーで主人公が二対一の指導を受けている。警察が「誤る」等という事があってはならない、それは市民の信頼がなければ協力が得られず、市民の協力なくして警察の任務は遂行されないからだ・・。
警察は誰にでもわかる「明白な誤り」を犯した場合、謝る事によって信頼を回復する、それが理想である。が、そこが逆転している。「警察は誤りを犯してはならない」が第一義の使命。「だから誤りを犯さなかった事にしなければならない。だから、謝罪をしてはならない。」
この転倒は社会のあちこちに蔓延っていそうだ(自分の周りも)。結論を導くための根拠が後付けで準備され、実態との間に乖離があっても事実の方を変える、あるいは、事実を解釈する。
人は空気によって結論を予感し、その結論を待望する(この決定なら誰それが傷つかなそうだとか、誰それの逆鱗に触れなさそうだ、とか、世間の批判が少なそうだといった「周囲を気にして」の決定。だから原則論や合理的判断とは離れている)。
そしてその結論を正当化する材料を後から探す。うまい材料を見つけたり理屈付けのできる人が、尊敬を集める。空気の全てが誤りという事でもないだろうが(言葉にならなかったものに後から説明が与えられる事もあるだろう)、この慣習が闊歩している限り論理すなわち言葉はいつでも軽視され、超法規的決定も許す土壌を許していると言える。
推しのためなら死ねる!!

推しのためなら死ねる!!

guizillen

萬劇場(東京都)

2023/02/08 (水) ~ 2023/02/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Aチーム観劇。
クスッと笑える所もあり、楽しかったです。

ネタバレBOX

スピーディな展開で、あっという間の110分。笑いの中にも、メッセージ性があり、楽しめました。
推し保険…本当にありそうな保険ですね。
トムラウシ

トムラウシ

株式会社Ask

自由劇場(東京都)

2023/02/04 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ガチでスリリングでサスペンスフルな舞台は諦めたので、気楽に笑って見ていましたがそれでも怖いところはすごく怖かったです。考えないで済ませていたらいつの間にか・・・ということになりかねない現状。諦めなければ道はある?
千秋楽でより一層熱量が増していたのか、役者さんが違うからか、座席のせいか(2階でしたがほぼ中央)、何より私の心構え?が違っていたせいか、初日に見た時よりずーっと良かったです。
今日はオーブにイグニスに加えて、オキとベリアルも登場。隣の席の方もウルトラファンかも?という反応していました。

推しのためなら死ねる!!

推しのためなら死ねる!!

guizillen

萬劇場(東京都)

2023/02/08 (水) ~ 2023/02/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

あっという間の110分でした。

ネタバレBOX

コメディなのかなぁ、と思いながら始まったけど、サイコホラー的な要素がドンドン出てきて、とても引き込まれました。
ただ、その分終盤にかけては無理やりすぎるかな……と感じてしまいました。
特にラストシーンは個人的に刺さらなかったな……。

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