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『大人の付き合い』/『紙風船』

『大人の付き合い』/『紙風船』

avenir'e

新宿眼科画廊(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/07/04 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったなぁ!!前回の音のない川の時も
ほえーって思うレイアウトだったのだけど

今回もまた面白い舞台、客席のレイアウト

形式も二本立てと言うかなんと言うか

「大人の付き合い」は面白可笑しくが強くて
あぁ、あー、はい、俺ですねはい…はい…って
楽しみながらも身につまされる

カナエに畳み込まれるフミヤが
滑稽だけど染み入るリアル

なるほど
応援上演が好評なのも分かる 笑

家入健都さんはこうなんか
レアですね、ちょうどあんまり居ない感じの
男性の役者さんって、そんな感じがします

「紙風船」は賞に名を遺す
岸田國士さんの原作なんだそうで

空想旅行、面白かったな
昭和2~30年代の感じなのかな

ふた昔前の昭和中期の感じがジトジトと湿気強めに

大人の付き合いとは違って瞬間的な高まりは無いけれど
なんだかキリリとしていて観劇後の満足感とても高し

二作品とも質の高い演劇に感じ
たいへん大満足な日曜の日

avenir'e第三弾も楽しみ

幾度の群青に溺れ

幾度の群青に溺れ

キ上の空論

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/07/05 (水) ~ 2023/07/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

極めて快適で心地の良い
ストレスフリーな観劇体験

2時間15分と演劇としては
比較的長い上演時間ながら
ひたすらに滑らかに心地よく

作演出、役者、照明、美術、音響
どれもが確かなものなんでしょう

度々挟まれる
ごく短いモノローグ的なものも
ひとつ滑らかの秘訣なのかな

あの教団、あの凶悪事件の数々
その中でもさらりとながら
比較的知名度の低い
VXガス襲撃事件を織り込むのは
扱う上での真剣を感じられ
リアリティの補強になっていて◎

他方どうしてもあの教団であり
あの一連の事件である=既知だからなのか
狂気や熱量、衝撃の天井を感じてしまう
或いは自ら作っているのか

実際の教団、事件の数々
更にはカメラの面前での暗殺事件
住民による教団施設の追放運動
機動隊による強制捜査
破壊活動防止法の是非等々
見聞きしていた世代と
そうではない若い世代だとかなり
感じ方の根底が違いそうかな

ともあれ見事な演劇でした👏
終盤の漫画家の憤懣の吐露や
唾液、口腔、なぜといった話など
細かく示唆に富ん部分も面白かった

また過去作「朱の人」の
撤収!に比するシャンパンコール
文脈はさておき体感として
やはり良いですね

ネタバレBOX

性行為に対して私は無なんだ
などとおよそ思っても居ない
虚言を吐いたあの人は
別の意味で本当に無だったんだ
というような真相

彼女は彼女で教団や事件の根源で
それと併せてウイルスの暗喩?
つまり結末は共存?
授業

授業

セツコの豪遊

Ito・M・Studio(東京都)

2023/07/15 (土) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

白かった!企画等身大の面白さでとても満足!

不条理劇と言う事で構えてみたけれど
混沌としたダーク風味のおかしなコメディ劇として楽しく観られた!

クレイジーティーチャーミーツバスターガール&ミステリアス女中

終始、良い苦笑いなのか含み笑いなのか。ニヤニヤ 笑 だんご!

しかし最後の方の描写とフランスなのかな?と言う点と
ガールの様子からするとナチスドイツのT4計画もチラリ?
フランスでナチスだからヴィシー政権下なのかなと思ったら
原作のイヨネスコさんはかつて
在ヴィシーフランスルーマニア大使館職員だったとな

時代の暗部が根底にあるのかなと思いつつ
劇自体楽しいうえでホスピタリティも心地良くて足を運んで良かった
(実はこの心地良さ、ホスピタリティさえも計算ずくの...!)

あ、首都がってそれか!そーかそーかパリ、ヴィシー
なるほど人の感想を見て〆のアハ体験

ミステリアス女中わかまどかさんは
キャラクタに自然に寄ってて良き良きと思ったら、教授の宮村さんは
逆にゴリゴリ力技(凄い声の出し方だ×60分)で面白く
不可思議生徒の倉里晴さんはランドセルの似合い具合から始まる
危なさが段々と教授と逆転する印象になってゆきました。

みんなのえほん

みんなのえほん

9-States

小劇場B1(東京都)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

三回連続の観劇ですが、モニターの使い方にもなれてむしろそこに写しだされる言葉が胸に刺さりました。お芝居も何時もながらクオリティー高く素晴らしかったです。内容は難しいテーマですね。患者本人とその周りの人同じわけではないことを突きつけられながら何が正解かを考えるそんなことを思いながら拝見しました。次回もまたみたい団体さんです

SUN ON THE CEILING@ありがとうございました!

SUN ON THE CEILING@ありがとうございました!

劇団マリーシア兄弟

シアター711(東京都)

2023/07/29 (土) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

土曜日17時の回を拝見しました。たぶん初めての団体さんでしたが、とても良くできた内容でした。ちりばめられた全てのエピソードがそれぞれ心に染みてよかったです。主軸の内容も希望が見えるラストで個人的には良かったです。気になる団体さんになりました

これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本劇団さんはとにかく役者の力量がすごいと思います。4、5回目の観劇ですが、始まって数分で内容に引き込む内容と演技素晴らしかったです。本作品はインタビュー方式で、各人の視点から当時の状況が展開されますが、違和感なく映像を見ているように楽しめました。次回も期待です

BIG MOUTH

BIG MOUTH

GHETTOプロデュース

Gyoen ROSSO 198(東京都)

2023/07/29 (土) ~ 2023/07/29 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽しいエンターテイメントショー‼ 満席。
客の9割以上が女性で、男性は数えるほどだ。はじめは場違いかと心配したが それは杞憂だった。「演劇」というよりは「ショー」といった趣だが、始まってみれば しっかりドラマが立ち上がる。「ようこそ!男性ストリップ『L&J』今を喋れぬ俺たちが、裸で語る夢現実」という謳い文句…上演前は 筋肉質のイケメンキャストが黒いビキニパンツで場内を歩き回り 接客する。女性客の嬌声と乾杯の声が方々で聞こえる。女性客が推しのキャストに酒を奢り乾杯をする、と隣席の女性が教えてくれた。偶然にも常連客の隣に座ったことで色々なことが聞けた。日々の憂さを晴らす一夜の桃源郷のような、常連になるのも肯ける。
なんと、8月にも上演するという。また楽しみな公演情報を得た。
(上演時間1時間30分) 

ネタバレBOX

タイトル「BIG MOUTH」は、まだ何者にもなっていない、そんな駆け出しのダンサーを表している。主人公は、説明にある「俺の居場所はブロードウェイと大口たたき続けるソラが騙され、抱えた借金返済の為に辿り着いた先は新宿二丁目」にある男である。会場Gyoen ROSSO 198を「男性ストリップ『L&J』」に見立て、裸で激しいダンスを繰り広げる。時に ダイナミックなポールダンスを魅せる。舞台だけではなく、客席通路も使い躍動感を出すと同時に 観客との密接度というサービスをも表す。

物語は『L&J』にソラが入店するが、先輩ダンサーと上手くやっていけない苛立ち。自分はこんなチンケな店ではなく、ブロードウェイが舞台と大口をたたく。そのくせ女に貢がせ自分の借金を肩代わりさせる。が、店の流儀や踊ることの魅力、何より自分の未熟さに気付きだし…。
そんな時、リーダーの子が交通事故に巻き込まれ、輸血が必要になる。リーダーは別れた女房の子を1人で育てている。実は血の繋がりがなく、自分は輸血できない、そこでソラに頭を下げ 輸血を頼む。俺の足にしがみつき立つ息子のために踊るんだと言い放つ。このシーンがグッとくる。
全体としては、生意気な若者の成長譚、ヒューマンドラマといった描き方である。

物語の牽引役にして、『L&J』の支配人役であるマペヲ氏の独特の風貌と語り口が場内の雰囲気を和ませつつ、自然と話を引っ張っていく。また高額納税者ならぬ それぞれの推しキャストへ貢いだ数人の女性への御礼なのか、舞台へ上げサービスをする。それが嫌味ではなく、見ている観客をも楽しめる参加型の公演。
次回公演も楽しみにしております。
これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

どうして「これが戦争だ」というタイトルでこんなストーリーなのか、作者の意図がつかめなかった。内容的には「これが痴情のもつれだ」といったほうがいい。登場人物がどいつもこいつもバカにしか見えない。戦場の緊迫さが人を狂わせてバカにする、ということか?台本に期待ハズレ感が否めず、『ベルリンの東』と同じ作者とは信じ難い。

ら抜きの殺意

ら抜きの殺意

演劇企画室ベクトル

広島市東区民文化センター スタジオ2(広島県)

2023/07/29 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

幕開け、巧い役者なら、最初から受けただろう芝居がなかなか弾まない。ら抜き言葉とそれを嫌う男の対立が、やがて後半、「女言葉じゃ、相手に気持ちは伝わらないよ」と八重子(油野昌子)に言われ、女言葉とヤンキー言葉を使い分けていた遠部(梅田麻衣)が伴(渡辺結人)に必死に自分の言葉で話そうとする場面がいい。伴に素気無くされても挫けない彼女はまるで別人のようだ。

新しいことばを見つけようとする女と、原点回帰のように昔のことばに還ろうとする男と。
その対比が、もともと永井愛の原作にあったものなのか、現代のお客が芝居で観て際立って見えたのかは、よく分からないが、今この戯曲を上演する社会性や批評性が見えて良かった。相原大樹と渡辺裕人の意外に達者な山形弁も心地よい。

ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス

ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス

お布団

アトリエ春風舎(東京都)

2023/07/18 (火) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

少し時間が経ってつぶさに思い出せないが、一定の現実性を備えたSF=未来予想図である。ユニークなのは百年近く後の未来から、過去(近未来)へと遡って行く描き方で、サスペンスフルなスタートから私たちにより近い少し先の未来が、現実(現在)の延長として見通せる状況となっている。つまり一種の現代批評である。ちらばめられた批評性に満ちた言辞や事象は「今」に懐疑的な観客に刺さったのではないか。
俳優の演技も的確で隙がなく(時には笑わせ)重量感があった。

ネタバレBOX

上記コメントを書いて更に時間が経ったが、まだ掘り起こせる記憶を今の内に記しておく。
ぼんやりとした色彩は、墨を落としたような黒が水墨画のような濃淡を示して、舞台正面奥が観客目線では当然「聳える高さ」の実体として感覚され、それは審判者の玉座の高さのように見える(実際にそこに椅子が据えられている訳ではない)。演劇は神事に由来すると言われるのに合致して、ステージ側に神聖なるものが配されている感覚は、そこに何か具象を据えない限り観客が勝手に想定してしまうもの?
ストーリーの方はつぶさに思い出せないが、2100年代だか2200年代、あるいは2090年とかだったか、割と具体的な「時」が設定されており、今そこに立つ彼女は長い時を生きている、となっている。
いや、複数の登場人物たちの会話で語られる、いやいやナレーション(同一人物を複数でだったか、どうだったか)によってだったか、噂の、正体不明の、しかし実際に存在するらしい「それ」が、今問題になっている。それが冒頭であった。
そこは確か、何かの研究機関か、行政機関、比較的日常的に必要とされる業務を担っているそこに、「何モノか」が存在している、又は新たに配置されて来た、という風である。
その存在についての記録を紐解いたところ(手掛りは確かネーミングだった)、80年前だかにその組織だか関連の団体かに赴任した、という記録があり、謎を深める。
この芝居は凡そ4、か5場面から成り、3、4場面あたりでその存在=彼女が現役で働く人間であった頃のリアルタイムの場面となる。研究者か職員として何かに従事していた彼女は、ある業務の延長で、もしくは何らかの事情で、身体の一部のアンドロイド化に同意する事となる。か、または九死に一生を得た事故か何かでアンドロイド化せざるを得なかったか。
こうして冒頭の不気味な謎の答えらしきものの断片が提示される。
その後、彼女がどういう経緯でどうなったか、については具体的描写が無かったか抽象的表現で示唆した程度だったか、いずれにしても覚えていない。思い出せそうにない。
時を遡った21世紀中盤(私達からすると近未来)の世相が、ある仕方で描出されていたように思うが、これも思い出せない。
ただ、後半の場面では、ある種荒唐無稽なSF話が展開するが、リアリティの薄さを補って余りある「面白さ」で、釣り合いが取れていた感じは覚えている。

以上、メモ。
台本ないし映像、又はこの作品に関する文章などがあれば、それに触れてもう一度思い出してみたい作品。
ストレイト・ライン・クレイジー

ストレイト・ライン・クレイジー

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2023/07/14 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

一公演で同演目を3度観るというのは多分初。実は二回目を誤って最初観たのと同じ星組を観たがためにこれで花組を観なきゃバランス取れないし、と(こじつけて)「変化」を観たさに観劇した。
見比べは興味深い。プレビューは生硬さが却って無駄を削いだ芝居の輪郭を見せ、「おっ」と思わせたのだが、二度目は色々探り始めてか、芝居が少し「軟」に寄り、初日よりも台詞が回っていなかった(人がいた)のが残念だった。
日を置いて観た今回の花組は、熟した芝居。老舗劇場スズナリという演劇の精?が、芝居に微笑む瞬間があった。客席の拍手が程よく力強く響いていた。こういうのが正しい拍手のあり方。ダブルは必要ない。

空間スペース3D

空間スペース3D

壱劇屋

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2023/07/28 (金) ~ 2023/07/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

楽しかったー♪やっぱノリノリアゲアゲのクラブ感覚で参加すればする程楽しい作品です☆何でこんなに楽しいんやろ?て考えたらコロナでエンタメを我慢してた鬱憤を思い切り晴らす事が出来る空間やからと気付きました☆それは我々観客だけじゃなく演者の皆さんも同じだったんじゃないかな♪とても楽しそうにパフォーマンスしてたのが印象的でした☆役者の皆さんもコロナで思うように舞台に立てなかった悔しい想いをぶつけるかのように弾けまくってて観客と共に元気の相乗効果が生まれてました\(^o^)/
いい汗かいて最高のパーリータイムをありがとー\(^o^)/

メゾン・ド・レモンに住むつもり

メゾン・ド・レモンに住むつもり

もちもち

中野シアターかざあな(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ゆる〜いお芝居にハマった!めっちゃ好み!良かった〜

第77回「a・la・ALA・Live」

第77回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

パントマイムに手品 楽しかった〜

みんなのえほん

みんなのえほん

9-States

小劇場B1(東京都)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

思わず泣いてしまった〜めっちゃ良かった〜

バナナの花は食べられる

バナナの花は食べられる

範宙遊泳

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/07/28 (金) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/29 (土) 12:30

まず表現方法が面白かった。
ストーリーは、やや間延びを感じたが内容に引き込まれた。

こんにちは、母さん

こんにちは、母さん

義庵

調布市文化会館たづくり・くすのきホール(東京都)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

力作

空間スペース3D

空間スペース3D

壱劇屋

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2023/07/28 (金) ~ 2023/07/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観客も参加できて、皆で盛り上がるお芝居楽しかった。ワクワクしました。

こどものじかん the Children's Hour

こどものじかん the Children's Hour

maars inc.

新宿眼科画廊(東京都)

2023/07/28 (金) ~ 2023/07/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

70年代半ばに深夜のTVで見た本作の映画版「噂の二人」に衝撃を受け、80年頃に出た原作戯曲の単行本を買ったり、ワイラーが'36年に最初に映画化した「この三人」(当時の映画コードに引っかかるため、リリアン・ヘルマン自身の脚本で設定を変更)のビデオも見たりしてたのに、舞台を見るのは実は今回が初めて。新宿眼科画廊地下スペースの中央を挟む形で、奥側と入口側に客席。どちらから見ても面白いというか、終演後、反対側の席でもう一度見たいという気にさせられた。

バナナの花は食べられる

バナナの花は食べられる

範宙遊泳

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/07/28 (金) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

入手杏奈さんのファンは必見。
この劇団はかつて『心の声など聞こえるか』を観たことがあり、もう二度と観ることはないと思っていた。(つまらない訳ではなく、この方法論に興味が湧かなかった。LIVEでいいじゃん)。
だが入手杏奈さん出演で即チケットを購入。イメージ的には役者の生演奏をバックにダンサーとして踊るんだろうな、と。
劇場に着いて愕然。二幕3時間休憩5分のガチガチのストレート・プレイ。嘘だろ。入手杏奈さんは全く踊ることがなく、途轍もなく憂鬱な役を見事に女優としてこなした。滅茶苦茶鬱になった。素晴らしい。

埜本幸良(のもとさちろう)氏演ずる「穴ちゃん」。アル中詐欺師だった彼は一念発起してこの世界の苦しんでいる人間を救おうと決める。まずはマッチングアプリに登録。出会い系のサクラメール131通一通一通に心のこもった返信をする。
そのメールは全通、福原冠氏演ずる男が送ったものだった。「穴ちゃん」に興味を持ったサクラ男は実際に会ってみることに。何となく互いのことを気に入った二人は探偵的な仕事を始める。「穴ちゃん」は男に「百三一(ひゃくさい)君」という仇名を付ける。この二人が甲乙つけ難い魅力でMVP。

頭のおかしい人が作った『探偵物語』、『傷だらけの天使』、『紳士同盟』みたいな。スビード感があり、「穴ちゃん」と「百三一君」の怒涛の喋りを聴いているだけで酔ってくる。岸田國士戯曲賞を取ったのも殆ど意味のない言葉の洪水のうねりの中に、巻き込まれた審査員がヘロヘロにされたんだと思う。そのうち観客はこの物語は凄くシンプルな事しか言っていないことに気付き始める。「全ては必然だ」。

全く難解な作品ではない。落ち込んでいる人が少し元気になれるような物語。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

声帯を切られ記憶喪失のまま病院で意識を取り戻した謎の男。スマホの音声読み上げ機能にスピーカーを付けた物を首から下げている。死の淵から甦った際に、『DEATH NOTE』の「死神の目」と同じ能力を手に入れる。死ぬことが確定している人間の死ぬ日付と時刻が見えてしまう。「クビちゃん」と名付けられたその男が物語のキーマン。演じるは細谷貴宏氏。

「百三一君」と付き合うことになる巨乳、「レナちゃん」役は井神沙恵さん。舞台の中で心の声を入れていく手法は面白い。

アル中のヒロイン、アリサ役は入手杏奈さん。本来は健康的なガチガチのダンサーなのだが、酒に浮腫んだ女を役作り。今作しか知らない人は本来の姿を想像出来ない筈。

アリサを金で買う労務者役は植田崇幸氏。

良かれと思ったことが人の心をズタズタに切り刻んでしまう、善意の誤ち。アルコールに逃げてゆっくりとした自殺を図る者達。そこら中に乱反射する痛みだけが人から人へと弾き、弾き返される繰り返し。

「クビちゃん」の音声読み上げはアイディアとしては抜群だが、話のテンポがかなりスローダウン。そこから何か流れが悪くなった。
後半もちょっと話がまとまらない。アリサのエピソードが自然に流れたらもっと盛り上がった。

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