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ゲズントハイト ~お元気で~

ゲズントハイト ~お元気で~

ナイスコンプレックス

あうるすぽっと(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

倉田瑠夏さん出演。
初演は2011年だったんですね。今回は東日本大震災をからめたお話でしたが、もともとは阪神淡路大震災だったようです。
とても良いお話で、楽しめましたし感動もしました。
倉田ちゃんの役どころはこれまで見たことないもので、新鮮でした。ぴったりはまっていたと思います。

ネタバレBOX

「あきこ」と父親とのことは、正直言ってよく分かりませんでした。

「新保さん」が何歳くらいなのか、最初に表現してほしいと思いました。こちらはどう見ればよいかわからないまま、だいぶ進行してからやっと年齢が出てきました。こども役のみなさんも見た目は完全に大人なので、早めに「見方」を教えておいてほしいところです。

劇中で数回登場する「婦長」というセリフに強い違和感がありました。終盤、現代のシーンで「師長」というセリフを入れているので、その違いを表現したかったことは分かります。
しかし「看護婦」という言葉が廃止されたのは劇中のシーンよりずっと前(2001年ごろ)です。初演のシナリオを残しているのだとは思いますが・・・。

詰め込みすぎと言う表現は適切ではないかもしれませんが、少なくとも私にはエピソードが多過ぎました。

いろいろ気になってしまいましたが、楽しめましたし感動もしました。「新保さん」のシーンでは涙しました。
丹青の水屋の富

丹青の水屋の富

深川とっくり座

江東区深川江戸資料館小劇場(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 落語の「芝浜」を下敷きにしたのかと思ったが、「水屋の富」という噺があるそうで、そちらが下敷きになっているようだ。

ネタバレBOX

 江戸下町の長屋での暮らしは、至って暮らしやすいものであった。長屋の住人といえば、金の無いのは当たり前、自分も2~3歳当時(1953~4年)深川の長屋で暮らしていたのだが、皆住人は貧しくて亭主は朝仕事に出掛ける、女房は内職するか、仕事がある時は仕事に出るから結構昼の間は長屋のお兄ちゃん、お姉ちゃんが我々幼児の面倒を見てくれた。だから長屋全体が本当に大きな家族のような感じで、どの子が、どの部屋に上がり込んで遊んでいても問題は無かった。それどころか時には鍋釜まで貸し借りするほど貧乏だったから、マッチ(大箱)などもどの時点でどの部屋にあるのか、働きに出たお母さんが戻ってきた時、分からないことが多い。そうすると子供が、困っているそのお母さんに「今日は誰々ちゃんちにあるよ」などと教える。そんな生活であった。長屋の作りは、一部屋四畳半の部屋を繋いだ何棟かを通路を挟んで平行に建て通路の端に井戸があってそこで煮炊きの下準備をしたり、盥と洗濯板を使って洗濯をしたりできるようになっていたから、お母さんたちはそこで皆日々顔を合わせていた。(井戸端会議などという言葉もこんな所から生じたのではないかと思っている)四畳半の部屋は通路側が障子、鍵等無論無い。従って鍵代わりになるのは心張棒のみである。まあ、泥棒が仮に入っても盗むべき物なぞ何も無いというのが通例であった。
 こんな思い出を書いたのは、下町の人々の人情というものが、実は今に始まったものでは
なく江戸時代には既にあったという資料を読んだことがあるからである。江戸幕府は、人別帳を結構しっかり機能させていたから何時、何処に、誰が居るかもそれなりにキチンと把握していた。今作でも新たな住人となった“おてる”の請負人の話題が出てくるが(そしてそれを同心が確認している)公式には大家が承認していると住人が証言する形で同心からの信任を承けている。貧しい暮らしから生じる苦労や苦悩を人と人との繋がりを創ることで乗り越えてきた人々は他人の苦しみを自分ごととして捉える力を持つから、人別帳から訳あって除外されているような階層の人々をも包み込むような優しさを持つのである。承知の通り、太閤検地以来、各農家の収穫量は為政者である武士に筒抜けである。また人別帳がキチンと制度化されていたから為政者はこの2つを組み合わせることによって誰にどれだけの年貢を課すか計算できる。日本では長らく人口の大多数を占める農民の長男男子が親の遺産を相続するというのが歴史的に続いてきた相続の形式であった。身分制も士農工商で基本的に自らの意思に従って職業選択ができた訳でもない。従って人口の大部分を占めていた長男以外の次男、三男等は幕府の政策次第で下働きに甘んじるか何とか雑役に就くか或いは渡世人になるか等の他生きる術を失っていた(女性の立場は更に厳しかったのは言うまでもない)のである。長屋は、このような階層の人々が暮らす空間であった。
 以上のような情況が今作の拠って立つ社会形態である。このような社会で“おてる”は、序盤から一人だけ垢抜けている。つまりトウシロウではないことが一目で分かる。それが分かった上で観客は、何でもかんでも犯罪と結び付けて考えがちな同心即ちお上を或る意味おちょくってみせる長屋の住人を目撃するのである。と同時に長屋住人のお人好しの側面を見せて笑わせもするのだ。その見せ方が場毎に上手に纏めてあり、それぞれの場をこれも自然に観えるように構成している。流石に長い間地元で公演を続ける劇団の力を感じる。最後の落ちも深い。
あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

『あげとーふ』と『4人のアケミ』の2本立て同時上演。

無名劇団男子部『あげとーふ』観劇
お気楽な高校卒業旅行かと思ったら、まさかの展開にグッと来た。
若さとノリで突っ走る感じ、高校演劇らしい爆発力ある演目で愉しかった。更に強弱あると👍な気が!
友の会価格ありがとう!

『4人のアケミ』Aキャスト
敵の敵は味方?
急転直下の団結凄い?

送りの夏

送りの夏

東京演劇アンサンブル

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

永野愛理(えり)さんのファンならば今作は必見。気の強そうなバンギャのイメージがあったが、今回は12歳の小学生役。ほぼすっぴんで少女の目に映し出された奇妙な人間世界を切り取ってみせる。家から遠く離れた海沿いの田舎町、失踪した母親を追ったひと夏の冒険譚。この人の独特な声が耳に残る。アニメの声優なんか向いてるのでは。途中浴衣のシーンがあるのだが、驚く程鮮やかな色彩。

お父さん役の和田響き氏は岸博幸っぽい。
やたらインパクトを残す医師役は公家義徳(こうけよしのり)氏。坂本龍一と細野晴臣を足したような印象。
悪ガキ中学生役の雨宮大夢(あめみやひろむ)氏はかなり痩せて美形になっていた。

死者への執着を心ゆくまで過ごす人々。そこに正解はない。他人が口を出すことでもない。あるのは優しさと悲しさ。

SHERBETS『サリー』
悲しみはきっと優しさと同じ成分なんだね
思い出はきっと悲しみと同じ成分なんだな

ガレッジセールのゴリが監督した映画、『洗骨』を思い出した。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

物凄い傑作になる筈が妙な停滞が凄く勿体無い。死者との別れを受け入れるまでのモラトリアム(猶予期間)。何処か田舎の海辺の町にある『若草荘』は死者をマネキンになぞらえて人々が暮らす心理療法の施設。死者との関係に踏ん切りがつくまでマネキンを擬人化して生活は続く。

マネキンをもっと工夫しても良かった気もするが、そこは難しいところ。『人でなしの恋』のようにすると、人形愛が描かれてしまう。気持ちが仮託出来れば何でもいいのだろう。

少女が見る夢が秀逸。父母が人形(死体)となって車椅子に座っている。何度必死に呼び掛けても反応を示さない。“死”というものの不条理を実感する名シーン。

物語は亡くした子供のマネキン人形を車椅子に乗せて買い物に出る夫婦のエピソードが核。その気持ち悪さに町の中学生達が悪戯をする。坂を転げ落ち放り出され傷付く人形。本当の我が子がそうなったかのように絶叫し慟哭する夫婦。少女はその苦しみと悲しみを受け止めて許せない。中学生の一人を捕まえて夫婦に謝罪させる。人形を可愛がる気味の悪い連中ではなく、痛みと悲しみと優しさという同じ心を持った人だと理解する中学生。他人の痛みが自分の痛みになる過程。

ここでもう一つ踏み込んで貰いたかった。絶対に誰にも心を開かない老人のようなキャラクターを出して、最後まで理解出来ない。その無常感への無力さこそが人の世の手触りだと少女は感じ取る、ような。
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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/18 (土) 19:00

本企画の第3弾。#やみ・あがりシアター #劇団肋骨蜜柑同好会 を観た。どちらも観たことがある劇団。62分(14分休み)60分。
満席だったようだが、納得の作品2本だった。

やみ・あがりシアター『背に描いたシアワセ』
 2018年にAPOCシアターで初演された作品の再演。
https://stage.corich.jp/stage/93799
初演も観ている。100分あった作品を60分(実測62分)にまとめたものだが、初演の感想に「芝居のテンポは感心しない」などと書いていたのだが、今回は実にテンポ良く展開され、サイコー、と思う作品だった。昭和の嫁姑闘争と思わせて笑わせ、思わぬ展開に繋ぐ。本作品を観たくてこの企画を観ようと思った、ということは、是非とも言っておきたい。

劇団肋骨蜜柑同好会『恋の手本 ~曾根崎心中~(令和版)』
 当初は新作を上演する予定だったのが、作・演出のフジタが体調不良で新作が書けず、2015年にPit北/区域で上演された作品を再演。
https://stage.corich.jp/stage/69475
何作か観た劇団だが、本作の初演は観てない。近松の曽根崎心中のテキストを現代的な身体と発話で展開するアイデアは面白い。バックに展開される物語も興味深く、面白い作品だった。

幸福論

幸福論

wonder×works

新宿シアタートップス(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
観せ方が妙というか演出が上手く、それを表す舞台美術も見事だ。
先に少しネタバレするが、劇中には 説明にあった核廃棄物の最終処分場候補地に賛成する者は登場しない。敢えて登場させていないと思う。それでも町中が紛糾している様子は、登場人物の台詞によって巧みに描き出している。

舞台は町の外れにある小高い丘にある家、そこからは町の光景が眺められる。
終盤、主人公・医師の三谷昇が家(舞台)から姿なき者(観客)に向かって、核廃棄物による悪影響について熱弁(長台詞)を揮う。核廃棄について観客に考えさせる、そんな意図をもった公演に思える。同時に劇中で核廃棄反対を声高々に叫ぶ人々が、いつの間にか本性を丸出しにした人間性を表す。そこに「核」同様「人」の怖さが垣間見え、考えさせるという幅広で奥の深い内容になっている。
(上演時間2時間10分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術はチラシの絵柄のようなサン・バルコニー。上手は出入口、中央にテーブル・椅子、奥の壁一面は棚で色々な物が置かれ、下手に冷蔵庫や被った三輪車が見える。外は芝生、低木が植えられている。上演前には小鳥の囀り 蜩や蛙の声が聞こえ、長閑な光景が想像できる。季節は夏から晩秋であろうか、薄着から厚手の衣裳へ変わる。舞台技術は丁寧で、照明は午前・昼・夕方・夜といった情景が浮かぶような諧調、音響は雨・風、音楽は宮沢賢治「♬星めぐりの歌」といった印象付けである。

冒頭、現町長が二年前、核廃棄物の最終処分場候補地に名乗りを上げ、町は反対派、賛成派(登場しない)で二分し いがみ合っている様子。近々 町長選が行われるが、施設誘致の是非が焦点になることから、多くのマスコミが注目している。反対派の中心人物の一人である三谷昇に窪という新聞記者が取材しているところから始まる。

核廃棄物の危険性は、医師である三谷から色々な切り口で説明する。例えば人体や土地への悪影響を縷々説明し、どんなに安全・安心を訴えても誰も保障出来ない。一方足元を考えれば国から巨額の交付金が給付される。劇中での台詞…今日明日の暮らしか(遠い)将来の心配か、そこに地元住民ならではの問題に追いやる。当日パンフに作・演出の八鍬健之介氏が「距離と関心(或いは安心)というのは、やはり関係があるのでしょうね」と記しているが、まさに自分事でなければ無関心と言えるかも知れない。

説明では報道によって生まれた火種とあるが、三谷が依頼した地質調査の結果、ここは核廃棄物処分地には不適格であることが判った。処分地にならないのであれば、調査だけ受入れ、交付金を得るという目先の欲が働くのは人間(商工会職員)の業(立場)か。
また賛成・反対派による夫々の暴力行使、それを表沙汰にせず穏便に済ませたい町議会議員の立場。そこに核廃棄反対派における人間関係・絆の綻び、同時に自己本位、エゴといった人間の怖さを観せる。

この地を離れられない理由、それを三谷夫婦や家を貸している大家に担わせている。三谷夫妻には病死した子がおり、この地へ埋葬している。大家は ここで長年暮らし、花々を育てきた。姿なき人々(農家)は、この大地の恵みに といったことを連想させる。
客席に向かって熱弁と思ったのは、劇中 (客席)通路を使用し家路へ という地続き演出から。出演者だけではなく、観客を巻き込んで考える。だからこそ「小さな町が背負ったのは、この国の幸せ」に繋がるのでは…。
次回公演も楽しみにしております。
鹿鳴館

鹿鳴館

日本大学芸術学部演劇学科 令和4年度劇場実習

日本大学藝術学部 江古田校舎北棟中ホール(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/18 (土) 14:00

日芸の演劇学科による実習公演。三島由紀夫の戯曲を全幕。
北棟の中ホールは凄い劇場。舞台の奥行きが広くて客席からも観やすい。
しかもこの席、手前からテーブルを出す事も出来る贅沢さ。
舞台美術、照明、音響、衣装も学生演劇とは思えないクオリティ。
芝居と言うよりオペラを見ている様な気分になりました。

鹿鳴館の中で行われる夜会で繰り広げられる政治と愛。
愛憎と陰謀が錯綜する男女の物語では、これぞ「俳優芸術」と言わんばかりの
長ゼリが、演劇学科の学生にとって大変に難しい課題となったのではないだろうか。
演劇を学問として修めるに相応しい作品だなと伝わってきた。

ネタバレBOX

舞台演出…緞帳・袖幕を使わずオンとオフを使い分ける魅せ方。学びになった。
開演時の役者の第一声は、もっと声が飛ぶと良かった。始まりを認識させる意味で重要と感じる。
閉幕時の伯爵と朝子。舞台装置が飛ばされ、最後は中央スポットと踊る2人だけが残るシーンは
ラストに相応しい高揚感を感じたものの、音響が消えてから下手に捌けるのは違和感があった。
音響の小節終わりと共に、二人が舞台中央に残りつつ…暗転または、その後キャストが上下に寄る方が個人的には綺麗な終わり方かなと感じた。
丹青の水屋の富

丹青の水屋の富

深川とっくり座

江東区深川江戸資料館小劇場(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

とっても見やすい。

ネタバレBOX

普通のセオリーでは、悪者を懲らしめる場面がある。
それが無いのが逆に斬新で記憶に残り続けると思いました。

多分、焦点を当てたい場所が、富くじに当たるより日々、穏やかな日常に幸せを感じるものよね。ってとこにしたかったのかなと予想。
祖母の退化論

祖母の退化論

PARA/布施安寿香/和田ながら

PARA神保町2F(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

SPAC舞台でも存在感を認める女優、布施安寿香氏は数年前鳥公園に客演しその鋭くかつ大らかな演技に感服した。この一風変わった企画(しかも入場料はそれなりに高い)に出かけたのは、プラスよくは知らないが一定評価のある和田ながら氏、そして決め手は謎の作家・多和田葉子のテキストに取り組んだものである事。(謎、と言っても著作は多く、翻訳家という出自を対象化し遡及することから執筆業は発したらしい、というぼんやりとした認識がある。ただ読むと入り組んだ思索に誘われ、凄みがあるが複雑で読了した事がない・・遅読のせいもあるが。)
舞台は圧倒的であった。一人称の語りが、様々な光景を見せる。物語は展開する。入れ子状態にもなり、主体はシフトするが人格は一つ。役者の肉体は喜々としてそれを体現し、観客と存分に共有する。105分の一人芝居。

since 1991

since 1991

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金)

新宿スペース・ゼロにてジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン『since 1991』を観劇。
フィクションでありながら、ノンフィクションのようにも感じられる絶妙な設定の物語。その描き方、物語の展開の仕方も斬新で、これまでに拝見したジグジグさんの過去4作『デイドリーム・ビリーバー』『円盤屋ジョニー』『ひのくすり』『石を投げる女がいて』とはまた一味も二味も違った趣向、手法の作品であるように感じました。というより、このカンパニーの脚本・演出欄にはいずれも堤泰之氏のお名前がクレジットされているものの、本当に全て堤氏の作品なのかと感じてしまうほど、良い意味で統一性がない。まるで別々のカンパニー、或いは、それぞれに異なる作家さん、演出家さんがいるのではないかと錯覚してしまうほど、毎回異なる面白いコンセプト、テーマ、仕掛けがあるような印象を受けています。強いていえば、キャスティングされているメンバーが似たような顔触れであったり(劇団組織であれば当然ですが)、自然な会話劇の中に思わずクスッと笑ってしまうような小ネタがあったり(オーバーリアクションなど敢えて狙いにいかない自然な笑いが心地好い)、観終わった後に心に何かが突き刺さったような圧倒感、見応えがあったりする部分が“統一性”かもしれないです。毎回とても楽しませていただいています。
今回の作品は都内のとある演劇スタジオを舞台とした物語。1991年~2031年までの40年の間に起きる様々なストーリーが描かれているのですが、どれも演劇業界、演劇人のリアルというべきなのか、実際にこういうシチュエーションありそうだなぁ、こういう考え方の役者さんいそうだなぁ、あれ、こういう逆の考え方の役者さんもいそうだなぁ、、など、どのシーンにもどの役にも惹き付けられる何かがあったように感じます。
「何で役者をやっているの?」というシーンを例に取っても、その答えには100%がないように、結局は世の中多くのことがそうなのだと思います。だからこそ、個性というものがあり、その個性の一つ一つが尊重される訳で、世の中全てのこと、全ての人が同じ考え方、100%(1通り)の答えしかなかったら逆に不自然だと思いますし、演劇だって今のように様々なジャンルが存在し、その一つ一つが輝きを放つこともないと思います。答えがないからこそ、絶対的な正解がないからこそ面白いのではないかと。この舞台の見え方も人それぞれなのでしょう。それで良いと思いますし、これからも個々の価値観、感情が尊重される時代であって欲しいと感じました。
今回はSSチームを拝見させていただきましたが、キャストの皆さんがその時代時代でそれぞれ異なる役を演じ、全く違和感なくそれぞれの役に成り切っていたのはお見事。後に改めてパンフレットの相関図を拝見し、あの役とこの役は同じ役者さんが演じていたのか!といった驚きもありました。小林知未さんのナレーションも聞きやすく、時空移動を分かりやすくする良いナビゲーター役になっていたと思います。前作でインパクトがあった小林和也さんは今回も存在感あり。糸原舞さん、青山真利子さん、大竹散歩道さん、美波花音さん、小泉匠久さんらも印象に残りました。テンポが良くあっという間の2時間5分。演劇界の40年が凝縮されたような作品。果たして2031年の実際はどのような世の中になっているのか。。劇中で出てくる舞台のフライヤーだったり、スナック菓子のパッケージだったり、公衆電話だったりと、それぞれの時代に合わせた細かな再現もあり、見所の多い丁寧に作られた作品だと感じました。

掃除機

掃除機

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/03/04 (土) ~ 2023/03/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

俳優がいきなりステージに現れて、ひたすらとりとめのない日常語りを長尺で
展開する「チェルフィッチュ」スタイルを序盤こそ持て余している感あったけど
まさかの「父親」3人登場以降は舞台の主導権を演出家が取り返してそのまま
ゴール決めた感あり。

基になった作品のホンを読んでいないので、セリフがどのくらいまんまなのか
分かりかねる部分があるけど、本谷有希子の暴力的で荒々しい側面とシンクロ
することが後半多くてスリリングだった。

ネタバレBOX

舞台の作りからしていいなって。ベッドとテレビが大きく湾曲化した左右に取り付けられ、
正面と後方は大きく開いて役者が出入りできるという。

引きこもっている人にとって家は一種のすり鉢状の「アリ地獄」みたいなものである一方、
別に家族などに捉われてない人は正面からさっさと外界に出て行っちゃうというメタファーに
なってそうだなと感じました。

この作品のMVPは音楽監督だけでなく、「熱帯雨林」の仕事4日でバックレた労働者役で
キャスティングされた環ROYかと。ひねくれてて楽しいことならオールオッケー!みたいな
軽いノリを崩さない半面、何度か核心を突いた発言を飛ばしてくる「道化」にして「キー
パーソン」の役割を立派に果たしていたかと。

「熱帯雨林監督」にみんな爆笑して、「世界中がクソだらけだったらぁ、どこにも飛び込まないで
その場にじっとしとくのが正解なんすよ!」的な、世界の理を動物的本能で見抜いてるのすごすぎる。
この人を連れてきただけで半分成功してるようなもん。

80代の父、50代で数十年引きこもってる娘、環ROYの仕事仲間で家出たがってる息子のリチギ家に
物語を回す役目の「掃除機」と主要4キャラで「引きこもりを抱えた家の時間が止まったような、
外界から隔絶しちゃってるような状況」を意図的に笑いをきもち多めかつ感情むき出しな調子で
演出してるのが新鮮。

好きな場面、娘がアリ地獄みたいな舞台端の部分に必死にしがみつきながら、「私の人生はずっと
平坦で他の人に比べて平坦だけど」「それでいいんだって思いたい」みたいなことを絞り出すように
独白するあたりかな。娘が引きこもったの、自分の亡くなった妻のせいにする高齢親父に比べて
ちゃんと生きてるよな……。こういう部分あるから、岡田脚本&本谷演出でも不思議と重くならず
どこか前向きに、そして時にはクスッときちゃう感じの作品になってる気がする。

岡田利規の演劇、ダンスの要素とか社会の空気を入れ込んだ難解なもの、というパブリックイメージが
広く共有されていて、「批評」的な側面で語られることが多い気がするけど、

今回の作品のあいさつで「自分が書いた戯曲は演出するのは基本的に自分だけ、つまり他の演出家には
扱ってもらえない、それを常々さみしく思っていました」「本谷有希子さんに演出してもらえる機会を
いただき、まずはそのことがとてもありがたいのです」と書いているあたり、そういう文脈から
逃れたかったのかな?という気もする。

本谷自身もインタビューで、自分とは真逆だと言っていた気がするし、全然タイプ違う作家がコラボ
するの面白いよね。
あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 19:30

自分の若かったころを思い出させてくれるような、それでいてちょっとぶっきらぼうな友情も感じることのできる、気持ちのよい作品です!

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

劇団銅鑼

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

事業評価をテーマに挙げていて、何だろうと思いましたが、小難しいことはなく、人間味溢れる群像劇でした。勉強にもなりました。

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 見慣れたアトリエが素敵にリニューアルされていて、劇団員や出演者の皆さんの努力に思わず「頑張った〜」と言ってしまいました。男子のノリに笑わせられているうちになんと、涙が出て自分でもびっくりしました〜。女子の部は色々なキャラの女子が最後にはー。おもしろかったです。

ネタバレBOX

 グランドキャニオン、個人的に悪天候のため行けなかったことを思い出しました〜。憧れの地、タクちゃんの心情と、たいちゃんの心配を思うと涙が出てきました。コーディとかんちゃんのやり取りも心にしみました。
群羊

群羊

劇団太陽族

AI・HALL(兵庫県)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最初は、分かりにくいのだけど、後半は、ふと思ったのだが、洗脳される時はこんな感じなのかと思い、ちょっとヒク!
面白かったけど、奥が深いなあ。
お芝居観られてありがとう。

世界虚仮(セカイコケ)

世界虚仮(セカイコケ)

ゴツプロ!演劇部

小劇場 楽園(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

スピード感ある舞台を演者さん達が全力で楽しんでいるのを感じられて見ていて楽しかった。
何故そうなったのかがわからない話があったのでもう少しわかりやすければもっとよかったかも。
上演前の生CM、ショートドラマみたいでとても良かったです!

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

安定感ある劇団
楽しめた
演者変わる分もう一度みるけど楽しみだ

レティスとラベッジ

レティスとラベッジ

ポータブル・シアター

難波サザンシアター(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

満足度★★★★

海外戯曲をする劇団
時間三時間 途中休憩有るけど…
年齢もあり終わったらへとへと
内容は良かったが、カットできるところもあったと思う
最長二時間くらいが限界?

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~

劇団銅鑼

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 18:30

見ていて、問題意識が高まったり、ひとつもふたつも頭が良くなる作品、いいですね。私が住んでる町ではどんなことが起こってるんだろうと知りたくなりました。

レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とてもよかったので、もう1回観たくなり、チケットを予約しました。2回目はどんな気持ちになるか、それもとても楽しみです。

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