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ナイゲン(にーらぼ版)

ナイゲン(にーらぼ版)

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い!お薦め。
何度か観ているが、改めて演出やキャストの違いによって劇の印象が異なって観える ことが分かる。同時に シアターミラクルが閉館と分かっているから、ラストシーンは なおさら印象的に感じた。

自分は天邪鬼か…出来過ぎた?がゆえに不満が残るという奇妙な感じ。説明にある「会議を描いたコメディでありながら、民主主義や自由の意義を問う青春群像劇」に間違いはないが、会議を通して高校生の成長を描いた物語でもあろう。その成長譚の代表格が議長であり文化副である。例えば、議長はその職を仕方なく引き受け、会議を通じて成長していくといった先入観を持っていたが…。確かに表面的には優柔不断で 他人の言動で右往左往するが、冒頭から大声で会議を仕切ろうと やる気満々の態度(良い意味での演技力)である。そこには成長譚が観られない。

夏休み前の或る1日、午後から夕刻にかけて行われた会議<通称:ナイゲン>、その激論を終え、3年生・花鳥風月の「こんなナイゲンがやりたかった!」が物語の肝。照明…会議中は明るい陽光、しかし夕刻には黄昏に変化する、その哀愁がシアターミラクルの閉館に重なる。
(上演時間2時間15分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

セットは会議で見かけるロ字型。正面にグリーンボード、その上部に時計がある。上演時間とナイゲン討議時間(下校2時間前の時刻 16:15~18:30)に重ね合わせて臨場感を持たせる。客席はL字に設え、観客には会議の立会人のような緊迫感を持たせる。
内容限定会議(通称:ナイゲン)は、県立国府台高校 文化祭”鴻陵祭”における各参加団体の発表内容を審議する場である(文化祭規約)。規約が”自主自律”の精神に則っている。この規約が掲載された「内容限定会議資料」(劇中使用と同様)が観客にも配付される。すでに参加団体の催し内容も確認したところに、学校側から「節電エコプログラム」の催しを押し付けられて…。

発表内容に関する指摘、恋愛(痴情的)感情、上級学年優先や 何となくなど、意味不明の理由まで飛び出し議論は漂流し続ける。始めの理論武装された議論から感情優先のドタバタコメディへ…。いつの間にか文化祭全体会議からクラス代表の顔になっている。下校時刻が刻々と迫ってくる。そんな中、演劇の上演許可を得ていないクラス(3年1組<花鳥風月>)があった。ナイゲンの議論は、如何にこのクラスが主体的にエコプログラムを受け入れるか、という話へすり替わっていく。自主自律の精神に沿わせようとするもの。

さて、花鳥風月(音峯大樹サン)によれば、上演許可に係る資料はクラスの女生徒が提出していた、にも関わらず許可が得られなかった?提出忘れまたは錯誤?という疑問が残る。学校側は既に「節電エコプログラム」をやらせるつもりで、ナイゲンの最終日ギリギリで提案してきたのでは?という様々な憶測を持たせる面白さ。

教室から出られないという密室状態、しかも会議時間が限られているという空間と時間の制約に緊張が生まれる。テンポ良く、また疾走するような会話劇は、立会人的な観客も固唾を呑んで見守っている感じ。会話劇だけに登場人物のキャラクターや立場などが観(魅)せられるか。個性豊かな登場人物を演じるキャストが変われば劇雰囲気も変わるだろう。内容の面白さは勿論、キャストによって違った印象になるから、何度観ても飽きることはない。

会議は民主主義、自由とは を問うているが、同時に高校生の成長する姿も描く。例えば議長(平井泰成サン)は優柔不断な性格のようだが、学生側の「自主自律<ナイゲン>」と学校側の「節電エコプログラム」の間でギリギリの調整を試みている(ここから成長していく過程が観られるのでは)。文化副(井澤佳奈サン)は夏休みを謳歌すると公言していたが、会議後は文化祭(実行委員会)の手伝いを監査(寺園七海サン)に申し出るなど、変化が見られる。

各クラスの発表内容の審議結果を多数決(民主主義的な)で決める。討議では自分の考えを訴えつつも相手の言い分も聞くという態度が大切。物事を決める熟議のプロセスを重視している。意見の一致も大切だが、一人ひとりが違った見方で世界を見ることで世界はまともな形で存在するかも。芝居ではこの役割を3年3組_どさまわり(浅見臣樹サン) に担わせている。にも関らず、全体討議終了後の採決は全会一致の承認が必要であると…そうであれば議論の過程の多数決は何の意味があったのだろうか、という疑問が生じるところ。

会議後、花鳥風月が将来に向けて、皆がやりたがる「エコプログラム」を創作する。同時に「こんなナイゲンがやりたかった」は、有名無実になりつつある自主自律<ナイゲン>の精神が感じられたからではないだろうか。真に問題が解決した訳ではなく、会議内容の真価はこれから問われるのだと暗示している。実に深い余韻を残しており見事!
岸田國士連続上演「紙風船」「驟雨」

岸田國士連続上演「紙風船」「驟雨」

東京演劇アンサンブル

野火止RAUM(埼玉県)

2023/04/08 (土) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

新座の野火止RAUMは少し遠いが、東京演劇アンサンブル2022年度研究生公演、しかも岸田國士連続上演となれば、ぜひ観ておきたかった。二回しかないので 早めに予約、当日は開場前に並んだ。満席‼

上演作品は「紙風船」(1925年)と「驟雨(しゅうう)」(1926年)である。「紙風船」は何度か観たことがあるが、「驟雨」は未見であり楽しみにしていた。約百年前、西暦表記したが、和暦では大正14年と15年。関東大震災によって大きな打撃を受けたが、再び大衆文化が華開いた時期でもあったらしい。
描かれているのは、両作品とも夫婦の物語であるが、平凡な営みと荒々の極みといった対照的とも思える内容だ。もしかしたら対をなすために選択したのだろうか。

研究生は4人(男性1名 女性3名)、男性は両作品に、女性は1名が両作品に登場する。演技は少し硬いと思ったが、確かな手応えを感じさせる。そして演技を支える舞台美術や照明・音響といった舞台技術は最小限に止めている。その意味では、研究生公演の名に相応しい演技力勝負の舞台である。
「観てきた!」は作品ごとに分けず、本欄で両作品のコメントを記す。
(上演時間「紙風船」30分 休憩15分 「驟雨」50分)

ネタバレBOX

●「紙風船」
ほぼ素舞台、夫は椅子に腰かけ新聞を読み、妻は近くで編み物をしている。二人とも着物姿である。

梗概…結婚して一年の夫婦が過ごす 日曜日の午後。夫(細谷巧サン)は一人出掛けようとするが、妻(鈴木貴絵サン)から小言を言われ所在なげにしている。妻は編み物をしながら夫を観察している。夫は、新聞で「結婚後一年の日曜をいかに過ごすか」という懸賞募集でもしたら面白いだろうなと言う。妻は「妻が日曜に退屈しない方法」を語り始める。そのうち二人は空想の鎌倉旅行を始めるが…。

平穏なひととき、他愛ない言葉遊びをしているよう。結婚一年というよりは、熟年夫婦のような味わい 雰囲気が漂う物語である。二人とも着物姿で、生き方や考え方が同じ方を向いていると思わせる。理想と現実の狭間に揺れ動く気持…しかし平凡で退屈、それこそが幸せのように思える。ラスト、姿を見せない子の存在<紙風船>が、意味深である。

●「驟雨」
大きな木の横長テーブルと椅子、登場人物は皆 客席側に向いて座る。何となく映画「家族ゲーム」の食卓シーンを連想する。蓄音機の音が時代を感じさせる。

梗概…朋子(入澤 愛サン)と譲(細谷巧サン)夫妻の家。譲が帰宅した直後、新婚旅行に行っているはずの朋子の妹・恒子(福井奏美サン)が訪ねてくる。恒子は姉に「夫とは(性格・慣習)合わない」と言い、旅行中の様々な愚痴や不満を話し始める。朋子は他愛ない夫婦喧嘩と思っていたが、次第にその他愛なさに潜む問題に気付き始める。そして夫・譲にも意見を求めるが、ますます混乱するような…。他に家政婦(鈴木貴絵サン)登場。

恒子の絶対許せないこと…旅先宿で夫の友人と偶然出会い、夫は友人と飲みに出かけ明け方帰ってきた。それを譲は夫の気持を代弁するように話し出す。男たるもの、夫たるもの の所業には寛大であれと…現代では通じない論であろう。続けて、仮に離婚しても、今より幸せな再婚が出来るかどうか。さらに処女ではない云々という貞操まで言い出して…。約百年前に岸田氏がジェンダーを意識していたのだろうか?
物語は、譲の考えを逆説的に捉えなければ 上演の意味が見いだせないだろう。つまり譲の言葉から、男女間にある様々な問題や矛盾を浮き彫りにする。古びた「男尊女卑」の意識下には、逆に「男だから」という責任と不自由さが付きまとう。

演出は、姉・朋子は着物、妹・恒子は洋服、そこに考え方の違い、古風か現代かといった意識の違いをみせる。演技は、岸田國士の戯曲ーその(大正)時代感覚に合わせ ゆったりと演じている。勿論 感情移入もしているだろう。
この岸田國士作品を通して、変哲のない日常、現代にも通じる男女の在り様、どちらも今を描いているような感覚に陥る。
次回(本)公演も楽しみにしております。
けむりの肌に

けむりの肌に

キ上の空論

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

元戦隊ヒーローだった栄光がかえって足枷となり生き辛そうに映る主人公
いつのまにか学生時代の友人との間に生活格差が生まれていたり、日常でのさり気ないジャブが着実に効いてくるビターな一面もありながら同時にシニカルな笑いやら哀愁やら様々な感情が生まれてくる興味深い観劇体験でした

登場人物一人一人にたっぷり時間を割いているわけでは無いのに、各々の人間性がしっかり浮き彫りになっていくエピソードテクニックが本当に見事で
色んな人間臭さが混ざり合ってぶつかっていく様が絶妙に面白く且つ感慨深い
過去と現在の間に流れている(舞台上には描かれていない)余白の時間をも想像で描きあげようとする欲求が募り、そうした過程もすっかり肉付けされている手法も見事だと思いました

紙は人に染まらない

紙は人に染まらない

藤一色

OFF OFFシアター(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★


#藤束遊一 #谷川清夏
#浜舘洋 #島津尋 #林竜三
#藤屋安実 #加藤広祐
#藤松優(敬称略)
かの大戦を終えるまでの日本の国家主義や全体主義と、教育が担った役割とその崩壊については、語り継いでいかなければいけないと思っている。
敗戦したからこそ、戦争をすることは間違いだと言える世の中になったけれど、それを言えないあの時代に、どれほどの人間が本当にそれを思えていたかは分からない。そうした思いを抱く人が多くの作品に登場するけれど、その存在はどれくらい居たのだろう。召集令状が届くことを喜びと受け取る社会で。
個人的には、最近その辺のことがわからなくなってきた。
今作品でも、それぞれの立場や主張の根拠を掴むことができなかった。何故そう思うのか、それを訴えるのか、理解しきれなかった。多分に、花粉症の薬の副作用による眠気も影響しているけれど。
目当ての谷川清夏さんは素敵だった。観る度に魅力を増している気がする。また拝見したい。

沈黙の春 світло

沈黙の春 світло

コンドルズ

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/04/07 (金) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

これもダンスなのかしら感はありましたが、ニューダンスということなので、きっとそうなのでしょう。とにかく楽しかったです。人文字クイズなんか笑っちゃいました。次回、埼玉公演も行きたいです。

人の不幸は蜜の味

人の不幸は蜜の味

劇団テアトルジュンヌ

立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

前半が分かりやすくコミカルでよかった。

Call me Connect you〜交渉人遠山弥生〜

Call me Connect you〜交渉人遠山弥生〜

劇団6番シード

六行会ホール(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2回目観劇したら、1回目では???だったことがようやっと分かったりして、これは私の理解力不足かと思いましたが、同じような方がいらっしゃるようなので、脚本(演出かなあ)がもう少し親切でもいいのではないかとも思ってしまいました。
でも面白いことは間違い無いです。
私が見た回では、前説で来年の上演作品と主演が本人不在のまま決まり、アフタートークではジャンケンで次回?作品の主演が決まっていました。こんな6番シードさん、次回も楽しみです。

Call me Connect you〜交渉人遠山弥生〜

Call me Connect you〜交渉人遠山弥生〜

劇団6番シード

六行会ホール(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

時間が経過するごとに新展開が現れてドキドキで、最後までいいドラマを見せてもらいました。宇田川さんの演技がすごかった。
舞台装置が上下に分かれていて、片方がライトが当たっているとき、もう片方が暗転していてもそちら側にいる人が演技をしているところも見たかったけれど目が足りなかったです。
交渉人の呼ばれ方が、相手の人によって「遠山さん」「ばあさん」「おばあちゃん」「ばばあ」「ばあちゃん」とバリエーションがあって、呼ぶ方がどんな人間なのか想像できました。とある人物が交渉人の呼び方を途中で変えるところが、主人公の力が可聴化されたポイントだと思った。
ストーリーに関係しないことでは、卵を冷凍したらどうなるのかググってしまいました。

けむりの肌に

けむりの肌に

キ上の空論

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#安西慎太郎 #大和田南那
#谷佳樹 #宇佐卓真
#木村葉月 #岩崎悠雅
#藍澤慶子 #鎌田麻里名
#小野里茉莉 #山本華
#板場充樹 #平野紗貴
#笠原紳司 #丸山敦史
(敬称略)
イケメンと美女しかいない世界は、なんとも美しくキラキラした夢の世界だった。額に収められた絵画のようだった。
それでも、藍澤慶子さんが出てくれば他は見えないのだけれど。アレに夢中になって暴言も吐いちゃってる姿が可愛くて可笑しかった。
大学時代の友人は特別だと思っている。仕事に直結することを通じて繋がっているからなのかもしれない。頻繁に会えたりできないけれど、いつだって側に居る感じ。そんな風に今も繋がっている。
そんな四人のあの頃と今。二人のキャストでそれぞれを見せてくれる……アノ人以外は。それが、時が止まっていることを感じさせてくれた。
人との距離って如実に感情に反映する。別れが直ぐに感情を揺さぶる距離がある。それは近さと比例する訳ではない。近いとソレを感情が無意識のうちに拒否しているのだろうか……悲しみを直ぐには感じないような気がする。砂時計の砂が落ちるように、ゆっくりと沁みて積もっていく。それは根雪のようで、簡単に溶けたりしない。
そして、この世は恋心と、そこから派生する憎悪で動いていると再確認する時間だった。

肌と心を焼いて天に昇る白い煙と共に、空っぽになった心も昇華するだろうか。いつか、月を照らす水が心の器を満たす時が来ることを願う。

紙は人に染まらない

紙は人に染まらない

藤一色

OFF OFFシアター(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観劇日は少し暑い位の日だったが、劇場内の雨音や川の音で場内が涼しく思えた。
全体的に抑えた演技なのに怖さや怒り、ガラスの欠片の場面では痛みをも感じる凄い舞台でした。

播磨谷ムーンショット

播磨谷ムーンショット

ホチキス

あうるすぽっと(東京都)

2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ホチキスの舞台を観るのは本当に久しぶり。思ったよりもタイトルにある「ムーンショット」感はなかったけれど楽しい舞台。

Call me Connect you〜交渉人遠山弥生〜

Call me Connect you〜交渉人遠山弥生〜

劇団6番シード

六行会ホール(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/04/08 (土)

前作の舞台であるトレーラーから一転、今作は広い空間を上下に目一杯利用し、
銀行強盗現場と警察指揮所が同時進行で俯瞰できる臨場感あふれる舞台だった。
飄々とした交渉人の遠山弥生は健在で、登場シーンから懐かしさにテンションが
上がる。30名もの登場人物達が躍動し、会話劇の面白さが堪能できた。

紙は人に染まらない

紙は人に染まらない

藤一色

OFF OFFシアター(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

ナイゲン(にーらぼ版)

ナイゲン(にーらぼ版)

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/11 (火)公演終了

実演鑑賞

ストーリーを知ったうえでみると、伏線がかいま見えてまた違う面白さがあります。

まだここは

まだここは

劇団CLOUD9

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 小劇場観劇初心者のオバサンです。
とても静かで、でも心地よいリズムをもって進行していく私好みの作品でした。脚本はもちろん、音響、照明にもピーンと糸が張ったような緊張感を感じました。
 うつとおぼしきジッポー青年が出てきた辺りから、私は涙が止まりませんでした。この役者さん、始めはほぼセリフがないのですが、気になって仕方がありませんでした。
 学校の先生、役者さん、発達障がい…どのエピソードも大人になってふと、振り返ること、後悔…私にはどの台詞も心に染みました。台詞がない部分、飲み込んだ台詞も私の心には伝わったような気がします。最後まで涙は止まらなかったのですが、終演後はなぜか雨上がりの清々しさにも似たカンジ。大きく深呼吸して、私も雲と話ができるかな?さぁっと歩き出すことができました。いい時間を過ごせました。ありがとうございました。

播磨谷ムーンショット

播磨谷ムーンショット

ホチキス

あうるすぽっと(東京都)

2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/04/08 (土) 18:00

殺し屋役がイケメン揃い。ドリフターズを彷彿させるドタバタシーンもある喜劇なんだけど、なぜか心あたたまるストーリー。

けむりの肌に

けむりの肌に

キ上の空論

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/04/08 (土) 13:00

悩みを抱えた者たちの群像劇ゆえ、比較的平坦でじと〜っとした内容だったが、心の微妙な動きの表現が巧み。場面の切り替えが独特で面白かった。

ネタバレBOX

暗闇でタバコが蛍のように光るのが印象的。
相依為命(そういいめい)

相依為命(そういいめい)

ミュージカル座

シアター・アルファ東京(東京都)

2023/04/05 (水) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

随分前の事だがある若手俳優に所属を聞いて思わず聞き返した劇団名。以来、名を見る度にチェックはするものの文字通り「遠い」存在であったが、今回シアターアルファまで接近。作品への入魂具合を見定めて劇場へ足を運んだ。
馴染みが「ある」とは言えないミュージカルというジャンルについてここ最近吟味する機会が多かったが、日本語オペラのこんにゃく座が独自の世界(本家オペラとは一線を画した)を構築したように、比較的小空間でがっつりストーリーのある舞台に音楽を拮抗させた「ミュージカル」という分野が、中々完成度高く実現している事は新鮮な発見であった(この劇団はその嚆矢なのかも・・等と関心がもたげる)。
観始めは「今なぜ愛新覚羅?」の疑問が脳裏をめぐっていたが、観終わった時は作者の企図が飲み込めていた。歴史上の愛新覚羅溥傑(溥儀の弟)と日本人の妻の足跡を描く筆致は独特(というより若い世代の歴史理解を反映)。そこに危うさがなくもないが(年寄が若者を見る眼差し?)、この歴史の叙述に抜かせない要素を作者なりに掬い上げ、メッセージに結実させていた。音楽は前半メローに寄りすぎか(聴いてて心地好くはあるが)、という印象であったがトータルで多様な風景を作り、レベルは高い。長尺の音楽(多場面を持つ)がミュージカルや音楽劇における「音楽」の面目躍如である。
自分にとっての「意外」は、全体に歌唱力が高い(子役も)。実際の所プロデュース公演の本格ミュージカル以外ではあまりお目にかかった事がない。

ネタバレBOX

本作では前半のクライマックスを終戦後の満州からの日本人の逃避行に当て、6のリズム(2×3と3×2の転換でボルテージを上げる)の折り重なり畳みかけるような楽曲。後半では落ちぶれた皇后の純粋な愛を歌い上げる歌や、国交の無かった中国に溥傑の娘が送った父の安否を気遣う手紙を手に、周恩来がその人なりを彷彿させる理想を語る歌、などなど。

このかん観た「シブヤデマタアイマショウ」「おとこたち」、桐朋学園卒公ミュージカル、配信で観たイッツフォーリーズの「洪水の前」、地域の市民ミュージカル等ではそれぞれ音楽が何を担ってるか、を考えさせられ感じさせられたのだが、ミュージカルという分野は言うまでもなく米国産の国柄に根差した文化的産物で、ジャズやシャンソン等には音楽の快楽の背後にそのスピリッツがあるのと同様、ミュージカルにはなべて「自由」を歌い上げるという特徴があるのではないか(変則形はあるにしても)。圧政に抗い、束縛や支配から脱する、そしてそのために「諦めない」「前向きに生きる」精神も派生。それはマクロな叙事詩からミクロな家庭ドラマまで通底し得る性質。
日本産のミュージカルはどうか。今時点での私の理解は、音楽(歌)は物語の補完物ではなく音楽自体がストーリー、ドラマを担う(音楽部分を除いて台詞場面だけを繋げても理解できない)。かつ、音楽でなければ伝わらない内容が込められている。そして音楽とテキストの比重が拮抗している事、も条件になるだろうか。井上ひさし作品は優れた音楽劇であるがミュージカルではない(ミュージカル要素を取り入れたエンタメ作品ではあっても)、と理解している。まあジャンルの定義などどうでも良いと言えば良いのだが、由来を知るのは大事かも・・という訳で、少しばかり探究をゆるゆるとしてみようと思う。
紙は人に染まらない

紙は人に染まらない

藤一色

OFF OFFシアター(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「赤紙(臨時召集令状)」配達人を通して描いた静かな反戦劇。銃撃・爆撃が見え聞こえるわけではないが、人の心に怖いと思わせる「紙」と「言葉」がある。勿論「赤紙」と「おめでとうございます」である。

物語は赤紙を配達する主人公・田中の目を通して戦争とは を考える。彼は「赤紙」だけではなく「戦死公報」も配達するなど心労ある役目(仕事)を務めている。村人からの怯える視線と任務の狭間に苦悩しており、夢か現か幻か判然としない日々を過ごす。村から次々に送り出される若者(病弱者も含め)が非業の最期を迎えるが、自分は…。しかし、いつしか心の痛<悲し>みという感覚がマヒして何とも思わなくなる。戦争という状況<環境>が、正常な精神 感覚でいられなくなる怖さ。

公演は 国家的な観点ではなく、庶<臣>民の感覚に近い描き方だけに 一層反戦への説得力を持つ。例えば田畑仕事をしている小高一家…父親は田中に向かって、三人兄弟のうち長男・次男は戦死、三男には赤紙を配達しないでほしいと土下座して哀願する。働き手がいなくなり、困窮するのは明らかである。しかし田中は ただ配達するだけで 自分には如何することも出来ない。
出征する当人、赤紙 が配達されて喜ぶ者、さらに志願する者の気持、一方 夫を送り出した妻の気持は、一様ではない。その夫々について丁寧に描く。

役者陣…藤一色の劇団員(3人)は1人1役、客演(4人)は複数役を担っているが、バランスもよく静かな中にも芯ある演技を行っている。赤紙を配達するため家々を訪問する、それを簡易な玄関移動で表現する。簡素な舞台美術を巧く使い、強い思いを窓から見える松(異称:時見草)に込める、その比喩が印象的である。
(上演時間1時間20分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に平台 そこに畳を重ね置く。下手には茶箱と玄関枠があるが、状況に応じて移動させる。天井からは傘電球が吊るされている、といった簡易な作りである。
上演前には 蝉の声や水が流れる音が聞こえ、長閑な風景が想像できる。

冒頭、田中(藤束遊一サン)<「赤紙」配達人>と佐藤<役場の同僚か?>が茶箱から志願兵を募る張り紙を探すところから始まる。臨時召集令状<通称:赤紙>は夜中に配達するとは知らなかった。その時間であれば家族皆がおり、確実に受け取ってもらえる。そして「おめでとうございます」と言い添える。この家々を配達する光景を通して、戦時中の人々の気持を描き出す。夫が出征し悲嘆している妻、そして無事に帰ってくるよう慰問袋を用意する人や、逆にDVを受けていた妻は、安堵するとともに 慰問袋にガラス欠片を入れ帰ってこないことを願うなど、一様ではない。さらに田中は配達人ゆえ出征しないが、弟の ぶん(加藤広祐サン) は兵隊に、その兄弟間の複雑な感情も盛り込むなど、人の機微を丁寧に描く。

召集令状が届いてホッとする若者。皆が戦地に行く中で、自分だけが取り残されたような気持ち。今では想像もできないであろうプレッシャー、それは「お国のため」に命を捧げることが尊いと考えられていたからだろう。一方、志願兵は早く入隊し昇進を目指す。上官になればそれだけ生き残る可能性が…なんという皮肉であろうか。そこに人間の浅はかだが、切羽詰まった姿<建前と本音>を垣間見せる。

音響は、戦況を知らせるラジオ、時々聞こえる飛行機音や虫 雨音、そして戸の開け閉めや叩く音の効果音。照明は、水面の揺れや傘電球という最小限の舞台技術で物語を支える。その中で女優陣(特に藤屋安実さんと谷川清夏さん)の衣裳が、戦時中にも関わらず小綺麗で違和感があった。

玄関枠を窓に見立て、外にある木が何であるか。田中は松と答え、対話している男・吉川<退役軍人?>は時見草と…。言い方は違うが、どちらも同じ木(松=異称:時見草)である。同じモノでも捉え方 考え方 そして状況(異常・非情時)の違いで異なるか?人殺しの非道が、戦時中という非常時には 当たり前〈英雄扱い〉という感覚になる怖さ。
因みに「松」は常緑樹で花言葉は、不老長寿という。まさに「生命」の象徴を用いた演出である。
次回公演も楽しみにしております。
紙は人に染まらない

紙は人に染まらない

藤一色

OFF OFFシアター(東京都)

2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 べし観る、華5つ☆
 板上は必要最小限の舞台美術。劇場自前の板上に大きな平台を設えこの平台の上に畳を二畳分載せた方形の平台を二段重ねて部屋に見立ててある。観客席から見やすいように板中央奥に斜めにこの部屋部分はセットされており、卓袱台が真ん中に置かれている。下手側壁前には茶箱。部屋の上手には大きな平台の上に屏風を立て袖を拵え唯一の出捌けとして用いる。尚余ったスペースに背凭れの無い椅子が数脚。場転に応じて必要な個所に置かれるべく置かれている。他に玄関等を示すコの字の開口部に脚を付けた造作(これも必要に応じて位置を移動して使用)

ネタバレBOX


 小国民世代を作り出し遂には太平洋戦争開戦から敗戦に至った帝国臣民の生き様を淡々と描く脚本は、客観性を観客に感じさせて素晴らしい。役者陣の演技は皆上手いが、さりげない演出も見事だ。同時に“三界に家なし”と蔑まれてきた女性とのジェンダーギャップが、主人公の母の立ち居振る舞いや一歩も二歩も引いた息子達への対応から見て取れる演技も素晴らしい。
 淡々と描かれている分、観客は大日本帝国時代の日本に対する正確な知識と日本社会に対する率直な視座も要求される作品である。例えば直接話に出てこないこの一家の父も戦死したと観て良かろう。太平洋戦争以前にもずっと日本は戦争をしていたのだから。他にも甲種合格で入隊して以降の態度も良く兵士としての評価も高い夫の妻が「夫の居ない今が最も幸せな女も居る」と事情を明かすシーン等もキチンとシナリオ化しDVの問題迄提起している点も高く評価したい。何故なら大日本帝国憲法で唯一の主権者であった天皇が、主権者としてではなく現人神として敬意を表される場面他、随所で疑似家族構造を以て専制主義国家体制を維持すると同時に現人神を父とし神の子として男子を、殊に長男男子を主として家父長制を構築、女子を下にみて一元管理しようとする構造が随所に描かれているからである。無論、以上のことを実際に機能させる為に特高が目を光らせており、人々は密告される恐怖や、実際に警察、特高等に見つかり嫌疑を掛けられることも恐れていた。「蟹工船」を書いた小林多喜二がどのように惨い殺され方をしたか。知らぬ者は居まい。(現在なら無数に居ようが)

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