最新の観てきた!クチコミ一覧

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アルタイルの詩(笑)

アルタイルの詩(笑)

劇団たいしゅう小説家

萬劇場(東京都)

2023/05/03 (水) ~ 2023/05/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日、行ってきました!タイトル見て悲劇なのか喜劇なのかと気になっていましたが…やられました。そうきたか。
こんなに泣いたり笑ったりしたのは久しぶりです。

ネタバレBOX

前半は悲劇…でも、なんか、設定が、おかしいような…。と、思いきや。
その設定のおかしさも、後半への伏線だったわけで…あとはもう笑うしかない。
夜叉ヶ池

夜叉ヶ池

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2023/05/02 (火) ~ 2023/05/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

泉鏡花のこの怪異譚は、古人の知恵に耳を貸さない近代人(とくに成金とえせ権力者)の愚かさと、愛に身を捨てる男女の献身との対比を描いたもの。原作のセリフにない大破局のスペクタクルを、ステージングのダンスとサウンドと、すべてを飲み込む大山嘯で描いて、圧巻の舞台だった。

山奥で朝に夕に鐘をつく老夫婦(勝地涼、瀧内公美)の静かな生活から幕を開け、そこに旅の途中の学者・学円が通りかかり、因縁話が明らかになる。老夫婦は実は若く、白髪頭はかつら。夫は3年前行方不明になった伯爵家の三男の萩原だった。この村では700年来の竜神との約束で、明け六つと暮れ六つと丑三つ時の日に三度、鐘を突かないと、夜叉が池の竜神があばれてふもとの村々を湖にしてしまうという。その鐘撞の老人が倒れたのに、たまたま居合わせた萩原が後を継いだというのだ……。これが話の導入。

萩原と学園が夜中に夜叉が池を見に去ると、夜叉が池の鯉と蟹五郎に続いて、龍姫の白雪姫(那須凛)があらわれ、遠く離れた剣ヶ峰の千蛇が池の主への恋のために、村を見捨てて、自由に飛んでいきたいとわがままを言う。乳母が懸命に止めるが、姫は聞かず……。

静かにわびしく始まって、じわっじわっと緊張を高め、最後は予想もしなかった悲劇で、ダイナミックなカタルシスを実現する。多数の俳優・ダンサーたちのつくりだす夢幻のひと時であった。。

青年座の那須凛は私の好きな女優だが、狂おしい竜神の姫を演じて見事だった。腹黒代議士の山本亨は、帽子は宮沢賢治のようなのに、白塗りの顔に三つ揃えはヤマネコ博士のようで、ふてぶてしい俗人ぶりが迫力あった。

ネタバレBOX

鯉七の手をひれのように動かすだけで、陸に上がった魚よろしく、どてっどてッと動く姿。蟹五郎のかくかくッとした手足の動き。などなど、森山開次による異界の者たちの、人間とは違う動きが、いかにもそれらしく、妖怪たちを出現させる。

すべてが山津波に飲み込まれた後の、清浄の世界で、百合と萩原のメオトがむすばれ、遠くから学円が祈る。カタルシスのあとの光明を感じさせる幕切れだった。
令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 面白かったので5回も観に行きました(笑)。
 廃刀令の是非をめぐる討論劇です。帯刀が許されているという架空の現代の話なのでSF要素もあり。笑えたけど、考えさせられました。
 3月下旬の杉並会場から始まり、5月上旬のとしま会場に至るまでの公演の間にも、アメリカでの銃乱射事件の報道をたびたび目にしたし、銃規制デモや、銃規制をめぐって議員の更迭など議会の混乱のニュースも目にしました。そのたびに当劇が思い出された。
 実際に議論が終了した後に観客が投票を行い賛否を決める。自分が観劇した回で2回も1票差という結果に出くわしたので、1票の重みにも気づかされました。
 それぞれ守りたいものは違うんだよなあ。どの意見にもうなずけるから難しい。討論内容は永遠のテーマです。まじめで笑える劇を見たければ、再演時に、ぜひ。

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すばらしかった。帯刀が日常化した架空の世界での法改正にまつわる物語。アガリスクが得意とする論理戦が秀逸。9人のキャストによる息をもつかせぬ攻防に、2時間があっという間だった。観客の投票(反対/賛成)でラストの展開が変わるのも斬新。個人的には、奈良から見に来て本当に良かった。 以降、ネタバレboxに続く。

ネタバレBOX

当方が観た公演では「賛成」という結果だった。単に水掛け論になるのではなく、キャストどうし、それぞれの価値観や意見を真摯に受け止め、尊重しあって話が展開していくのがすてきだった。帯刀が一般的に確立した世界の側からしてみれば、判断を下す我々観客は異世界の住人であり、刀に関する価値観も秩序も皆無に等しく、賛成派が多数を占めることは容易に予想できる。それを覆すことができるとしたら、、、より深く、作品世界に入り込めたことの現れだと思う。別のラストも配信、メディアで是非観てみたい。
毛皮のマリー【2023年上演/B機関】

毛皮のマリー【2023年上演/B機関】

B機関

座・高円寺1(東京都)

2023/04/14 (金) ~ 2023/04/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/04/16 (日) 18:30

舞踏メソッドを演劇に応用することを目的に2016年11月に「毛皮のマリー」で旗揚げしたB機関が、映像をも加える次なるステップのために、この公演をもって解散するという第一期ファイナル公演である。
因みに私が主宰の点滅を舞台で初めて観たのはB機関の旗揚げと同じ年のリオフェス(岸田理生アバンギャルドフェスティバル)での「詩稿・血を、噛(は)む。 ―吸血鬼、男色大鑑より―」であった。そこでの圧倒的な存在感は今もありありと思い出すことができる。

この「毛皮のマリー」は劇団天井棧敷により1967年にアートシアター新宿文化で初演され、その時にはスタッフにも著名な人物を配していたものの、さまざまな理由でトラブルに見舞われたようだ。その後何度も上演され、マリーは「黒蜥蜴」と並んで美輪明宏の当たり役となっている。94年のPARCO劇場での上演時には欣也役としていしだ壱成が舞台デビューしており、下男役は麿赤児だったが、その関係でか点滅もこの時に演劇の舞台にデビューしている。

座・高円寺1の広い舞台いっぱいに広がる岩窟の廃墟のようなセットがまず目を惹く。下手の階段をのぼった高見には十字架が聳え立つ。舞台中央奥の小高い場所に木製のボートらしきものが置かれている。

開場時から舞台上で4人の女性が極めてゆるやかに動いており、これもきちんと振付された舞踏なのだろうが、残念ながら観客はあまりこれを見ていない。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

「鏡よ、鏡よ、鏡さん。この世で一番の美人はだれかしら?」―ボート型の浴槽からそう問いかけて、鏡の答えに「よかった、白雪姫はまだ生まれていないのね」と安堵しながら下男にすね毛を剃らせる40歳の男娼がマリーだ。B機関旗揚げ時には観ていなかったのだが、この冒頭で驚いたのはマリー役の葛たか喜代がその裸体を曝したこと。カミングアウトして女優に換わったのだということは知っていたものの、てっきり豊胸手術しているのだとばかり思い込んでいたのだ。マリーに育てられながらも部屋の外に出してもらえない美少年の欣也が「マリーさん」と呼びかけると「マリーさんじゃないよ、お母さんだって言ったろ!」と厳しく叱責する姿とともに、男娼マリーの鬱屈したした心理が見事に表現されている。
マリーが客の水夫に語ったところによれば、マリーは大衆食堂の子として生まれ、女ばかりの店員のあいだで店を手伝っているうちに、女装に目覚めたのだという。店員のひとり金城かつ子と、女の子としての魅力をあらそう仲になるが、嫉妬にかられたかつ子がマリーに迫り嘲笑するとマリーは男を雇いかつ子を襲わせる。かつ子は男の子を生むが難産で死んでしまう。マリーはこの子を引き取って女の子として育てているのだ。
そんな欣也の前に、美少女・紋白が現われ、部屋の外にある人生の新しい世界を教えようとする……。

舞踏メソッドを演劇に応用することを目的としているだけに、開演前のみならず、何か所もの場面で舞踏が登場する。が、もともと舞踏は情念の踊りであり、倒錯した美を追求する前衛的な踊りなだけに、こうした作品世界とのマッチングに違和感はないのだが、いかんせんその分上演時間が長くなる。おそらくオリジナル版より1時間近く長いのではないか。わかりづらいストーリーが更にわかりづらくなり、はっきり言って疲れる。
舞踏と演劇を融合させる中で、上演時間をどう短くしていくかが課題ともなろう。
椿説 三銃士

椿説 三銃士

エイベックス・エンタテインメント/クオーレ

ヒューリックホール東京(東京都)

2023/04/28 (金) ~ 2023/05/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/04/30 (日) 13:00

ジャニーズJr.のふたりがベテランたちに思いっきり胸を借りたステージ。おバカで笑える場面も多いが、国家を牛耳る存在を打ち負かせず、長いものには巻かれろ的な生き方しか出来ないもどかしさ、悔しさも表現した、奥の深いところもある作品でした。衣装がカワイかった。

舞台「遙かなる時空の中で3 Ultimate」

舞台「遙かなる時空の中で3 Ultimate」

High-position

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/04/23 (日) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/04/23 (日) 17:30

何年も前にたぶん見たことのある作品だが、中村誠治郎をのぞいて役者は総取っ替え?
終演後のスピーチによると、中村は15年前、27歳の時に(←わたしの記憶が正しければ)この『遙かなる…』に出演したことで役者の仕事が安定するようになったそうですが、この作品は若手の登竜門的な役割を今でも失っていません。人と作品に歴史感じた瞬間でした。

27日には『十六夜編』のほうも観劇。

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

曲者たちの屁理屈の応酬からシリアスなテーマが時に鋭く浮き彫りになる。
アガリスクの魅力が光る社会派会議コメディ。
タウンミーティングという設定で観客の投票の結果により二通りのエピローグに別れる参加型の臨場感。
三会場で観劇。
特に地元の墨田区は現実の選挙当日と重なり稀有な体験でした。
細部(各キャストの細かい演技!)を噛み締めながら観返し、何度も面白い。

ハートランド

ハートランド

ゆうめい

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2023/04/20 (木) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/04/23 (日) 13:00

冒頭とエンディングは映画なんだか演劇なんだかよくわからなくなる演出。面白い! 開演前に流れてた映画の紹介は本当にどこかの劇場で上映される映画なのでしょうか?

二次会のひとたち

二次会のひとたち

エイベックス・エンタテインメント

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/04/14 (金) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/04/19 (水) 14:00

非常に良質なコメディー。披露宴には呼ばれないんだけれど、二次会には呼ばれて、しかも、幹事をかまされるという微妙な人間関係が面白おかしく表現されていました。深夜のテレビドラマ『来世ではちゃんとします』に主演してた内田理央ちゃんを生で見れたのが大収穫。

滝沢歌舞伎ZERO FINAL

滝沢歌舞伎ZERO FINAL

松竹

新橋演舞場(東京都)

2023/04/08 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/04/28 (金) 13:00

映画館で生中継を見ました。本当に生なの?と疑いを抱くくらい、演技、仕掛け、カメラワークが完璧。音響は少し遠く感じられた箇所もありましたが。ジャニー喜多川の影での行為がここまで騒ぎとなり、この作品のタイトルにもなっている滝沢を含め事務所をやめる人も多数、男性アイドルのジャニーズ一強時代は終了という、まさに芸能界の岐路において発表したステージですが、少なくとも表面上はマイナス面は微塵も感じさせない通常営業のように見えました。新橋演舞場で見たかった。

PARADURE -パラデュール-

PARADURE -パラデュール-

壱劇屋

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/04/22 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/04/22 (土) 13:00

座席F列16番

価格5,000円

🅰️チーム🅱️チーム共に初日に観劇しました。
同じストーリー脚本なのに演じる俳優さんが変わると作品の印象がこんなにも違ってくるのかと、本当面白い体験が出来ました!
作品の感想は兎に角、殺陣がカッコイイし、登場人物一人ひとりがとても魅力的でした。
私が特に気に入っているのは、🅰️チームのセグメトです!赤い軍服の麗人が剣とピストルの二刀流で戦う姿がカッコよくて、マジで惚れました!
そう!パラデュールは衣装も素敵なんですよね!
物語や登場人物のイメージにピッタリの衣装がこの舞台を更に魅力的にしていると、とても感じました!
映像化されないとの事なので、もう観れないと思うとパラデュールロスになりそうなぐらい、大好きな舞台です。

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

理屈と感情がせめぎあう濃密なタウンミーティングでした。アガリスクさんらしく、登場人物がいかにもいそうでキャラ立ちしており、観客も参加しているような臨場感があります。私が観劇した回は、賛成バージョンでしたが、反対バージョンも観てみたいですね。

ネタバレBOX

個人的には、エピローグがとても良かったです。投票結果後の各キャラの違った一面も垣間見れ、特に上林さんと隅谷さんが印象的でした。
PARADURE -パラデュール-

PARADURE -パラデュール-

壱劇屋

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/04/22 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

パラデュールを目指して全人類が歩いていく

装飾具によって身体機能の向上

最初は不思議な世界観だなあと思ってましたが
見ていくとその世界に引きずり込まれました

セリフありの壱劇屋さんはとても新鮮でした!

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

賛成バージョン観劇、傑作でした。
会議室や体育館でできるのもいいですね。

TOP HAT

TOP HAT

お茶の水女子大学ミュージカルカンパニーMMG

お茶の水女子大学徽音堂(東京都)

2023/04/30 (日) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/04/30 (日) 15:00

以前はほぼ毎公演観ていたMMGだったが、コロナ禍で在学生と大学関係者のみ観覧可となったこともあり、19年4月の「Je Chante -終わりなき喝采-」以来4年ぶりにお茶女の徽音堂に入った。
前述のような事情もあってか、以前は開演1時間以上前でも長蛇の列ができていたのだったが、今回は40分前でもほとんど並んでいる人がなく、2列目(最前列は使用不可)のセンターに席を取れた。

以前から場内アナウンスも宝塚劇場の開演前のそれと似せていて微笑ましかったのだが、今回は聴いていてかなり無理をしているなあとしか感じず、ちょっと不安に。
その不安は定刻に開演して、最初の曲で現実のものに。4年の間に歌もダンスも以前の公演とは比ぶべくもないほどにレベルが落ちている。冒頭の曲ではほぼ全員がステッキを扱いきれていないし、映画版でフレッド・アステアが帽子掛けを相手に伝説的なダンスを披露した場面では帽子掛けを持て余している様がありあり。全く心が弾んでこない。

演技力も低レベルで、溜息しか出ない。
緞帳の故障で急遽幕を使用しない演出に変更したとのことだったが、短いシーンを繋ぐのに長い暗転を繰り返し、その装置替えも極めて手際が悪い。幕を使わずとも装置替えを上手くやる方法はいくらでもあるのに、演出のひかり(31期)の経験不足でそういった工夫に頭が回らなかったようだ。

デイルやマッジといった主要な女役のスタイルが悪く、欧米の上流階級の女性にはみえない。外見でものを言うと今の時代はハラスメントだと批難されてしまうが、舞台上での見栄えというのは作品の出来に大きく影響する。
見栄えといえば、最もひどかったのはウェイターを演じていた時のこはる。立ち姿が悪いし、ヒールの高い靴に慣れていないのかダンスでフラつくし、そもそも振付を覚えていない。笑顔も全くみられないし、舞台にあがるレベルにはほど遠い。

この公演を観たら宝塚関係者は怒りだして、もう二度と宝塚作品のコピー上演は許さないと言い出すのではないか。

夜叉ヶ池

夜叉ヶ池

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2023/05/02 (火) ~ 2023/05/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日観劇。いやあ素晴らしかった。今年のナンバー1だ。
泉鏡花というと私的には受験勉強で覚えた名前で作品は読んだことがなく、時代遅れの作家という認識で、あまり期待しないで出かけたのだった。しかし、静から動へのダイナミックな話の展開、美しく斬新な衣装と踊りにすっかり引き込まれて3回目のカーテンコールでは周りの人に先んじて立ち上がってしまった。もちろん視界の端でどなたかが立ったのを確認してからなのだが(笑)

1913年(大正2年)の戯曲、つまり110年前の作品である。大正初期というと日本でもまだ人間と妖怪が共存していた時代だ。雨乞いで若い女子の生贄を捧げることも毎年どこかの村で行われていたという(「大正風俗大辞典」民明書房刊より)。そんな時代のお話……おいおい大正の人に叱られるぞ。

登場人物は
・山奥の釣鐘堂を守る晃(勝地涼)と百合(瀧内公美)、そして失踪した晃を探しにやって来た学円(入野自由)の3人。
・夜叉ケ池に封じ込まれた竜神の白雪姫(那須凜)とその乳母などの家来たち。家来たちは魚の精のようだ。
・干ばつにあえぐ村人たちと議員に雇われたヤクザ者たち。雨乞いを企てている。
の3つのグループに分かれる。
と書くと皆さんストーリーの大筋は想像が付くだろう。まあでもそんな余計なことを考えずに目の前に展開する美しきものことをただただ楽しめば良いのだ。

瀧内公美さんのはかなげな美しさ、那須凜さんの躍動する美しさが堪能できる。私の推しの勝地涼さんはもちろん素晴らしく、眼鏡姿の入野自由さんはぴったりの雰囲気を醸し出している。

原作は短いもので争うシーンの記述も簡素でもちろんダンスシーンなんて書かれていない。そこを限界突破に膨らませたのが演出の森新太郎さんと振付の森山開次さんだ。満足度は余裕の星5つ。

***
千秋楽も観劇

序盤の芝居はほとんど舞台下手で行われるので上手席の今回はかなり退屈であった。しかし魑魅魍魎がワラワラと湧いてくる歌舞伎風「スリラー」の踊りでダイナミックモードに入ってからはそうそうこれこれと膝を打っているうちにそのままエンディングまでハイテンションで持って行かれた。

本当は初日と千秋楽を比べてどう進化したかを比較するはずだったのだが三週間も空いてしまうと今の記憶力では無謀な試みであることを思い知った。

カーテンコールで一番に立つぞと意気込んでいたのだが2nd callで皆さん立ってしまって涙目だった。千秋楽と初日では違って当然。しかし2ndで真っ先に立つ勇気はないなあ。

*当日5/23はPARCO劇場50歳の誕生日ということで入口で御礼の大入袋が全員に配られた。中身は恒例の5円玉1枚。

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/02 (火) 17:00

恐らく、普段は本当に区民の会議に利用されてると思しき部屋での上演。会議ものが得意なだけあって、安定の面白さ。座・高円寺より少し長めで、新たに加わったパートあり。

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

タウンミーティング設定で、区民ホールでの上演。実際に観客も物語上の投票に参加し、舞台の結末の決定に参加できる。臨場感たっぷりでライブ参加できる。お芝居としてこんなに楽しいことは無いのではないか?
アガリスクらしいメタファーが散りばめられていて最高に楽しめました。

実物の刀使いに関する宮本武蔵の『五輪書』などに言及する場面があると、もう一歩踏み込んで日本人のアイデンティティについて問いかけられたりするのかなーなどとも思いつつ、
軽さと重さの交錯する自由で深い流石の脚本と演者の皆様のキャラ立ち具合にあっぱれ!でございました。

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

令和5年の廃刀令 終演お疲れさまでした。素晴らしいタウンミーティングを企画して下さったことに感謝します。自分は全5回反対票を投じ続けてきた。もっとも刀の所持にも反対。綺麗事だとは思うけど「イマジン、皆が自主的に手放せばいい」という広木の主張に賛成。勝てばそうだよなと感じ、負けると悔しいと感じてきたけど、昨夜は初めて負けを清々しく感じられた。やっぱり賛成多数のエピローグの方が深いなぁ〜との思いに至った。

廃刀令への賛否を考える際に、拳銃や、抑止力としての核や原発は当然想起させられていたけど、賛成多数のエピローグにおける隅谷の苦悩を改めて見て、これは国旗国歌法制定のメタファーにもなっているんだと今さら気づく。公務員という理由で宮入が刀剣を携帯させられている件が、学校における日の丸問題を暗示してることは明白だったのに。苦悩する隅谷は、日の丸が否定された架空の世界線で、それまで日の丸を胸に闘ってきたオリンピック選手に見える。だとすると株式会社Rivetさんには、スイッチや時間経過で見えるデザインが変わるスマート国旗を提案してもらいたい。広木には日の丸にもお上による新たな国旗の制定にも反対という屁理屈を展開してもらいたい。などなど楽しく妄想。

杉並バージョンで月山のキャラクターに感じたわずかな違和感が墨田バージョン以降では解消された。そのわけを台本で検証。投票の可否を巡る議論で「公平さ担保した上でやり直すべき」という月山の台詞が、中立な瀬戸の台詞に変わっている。わずかな差だけど、月山の「投票を行うべきではない」という態度が強化された。自分はそこに好感を抱いたんだろうな。

八鍬の「バッテリーが切れました!」の台詞。スマ刀のモバイルバッテリーの出番じゃん?と思ってしまうのに、それが提案されるまでの展開にちょっとテンポの悪さを感じていた。豊島区バージョンではそれが見事に解消。台詞の応酬がはさまり、即提案されないのが不自然でなくなった。このバージョンの台本をアップして欲しい。

アガリスク作品をたくさん観てきたけど、今作はナイゲンを超える新たな代表作と言っていいんじゃないかな。それぐらいネタが知れていても何度も楽しめる作品だった。

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