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笑う

笑う

大川企画

王子小劇場(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/08 (金) 14:00

80分。休憩なし。

チョークで描く夢

チョークで描く夢

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

とても素敵な作品で、観劇後、すぐに友だちに勧めた。

ネタバレBOX

二幕ものの作品で、一幕は正直、別でも聞いたことのある物語で、う〜むという感じだったが(実害の会社の話みたいなのでしょうがないことなのだが)、二幕がめちゃくちゃよかった!
一幕で障がい者を忌み嫌っていた中心人物が、二幕で障がい者を演じるという演出もイイ。そして、これがまたうまい!相当、勉強・研究したのだろう。
ラストはじんわりと感動し、じんわりと涙する素敵な作品だった。
俺たちはどう生きるか!

俺たちはどう生きるか!

株式会社L4

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 表層的。

ネタバレBOX

板は凸型の天地を逆さにした状態をベースに反転した凸の欠けた部分に階段を設え(即ち客席側の下手、上手の欠損部分に階段がある訳だ)客席側を踊り場としたうえで平台を置きその中央辺りに階段となる幅の狭い台を置く。登り切った処から奥が更に高くなった踊り場である。他に小道具などの設置は無い。
 物語は某研究所(実績も能力もあるが、学会からは離れ山奥で研究を続ける一風変わった科学者の研究所)から盗み出した研究データと思しき物が、評判通り10億の価値を持つか否かを確認する為、まんまと盗み出したブツが更に高く売れるかも知れないと内容確認をした男が、その機器に収められたデータを再生してみたことで進む。オムニバス形式の作品である。上演時間105分。
 各作品のタイトルは以下の通り。
「パニッシュメント」「悪魔に願いを」「アンドロイドケータイ」「これから正義の話をしようぜ」何れも随所に現代日本に対する揶揄が散りばめられてはいるが、余り深く掘り下げられた脚本とは言い難い。ニュースの表層をちょっと深読みした程度の内容に留まるからである。結果個々の登場人物の人生に具体的・宿命的に状況と対峙し、己の人生の総てを懸けて挑まねばならぬほどの必然性として立ち上がってこない。タイトルが気に入ったので観に行ったのだがその意味では的外れであった。脚本が甘いのでは演出も役者陣の演技にも深みが出ない。もっと練った脚本にして欲しい。
 脚本が甘いからスモーク等単純な演出を多用する他ないのだ。以上の欠点が役者陣の演技にも反映してしまった。
濫吹

濫吹

やみ・あがりシアター

新宿シアタートップス(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

想像通り期待以上の舞台でした。オープニングから中国の少し幻想的な話で始まり、現代のPTAの話へと展開し、大人や子供のそれぞれの人間関係を軸に、可笑しくも各人の悩みが巧みに絡み合い、惹き込まれました。コロナ禍でのオンラインや業務委託等、最近の話題も織り交ぜながらも、負の面も見せられ、また多くの登場人物達も言葉の端からバックボーンが見えるような脚本は流石でした。役者さん達も、こういう人いるよなと感じさせる自然体の熱演で、どこか憎めない人達ばかりでした。大好きな同劇団で、また大好きな作品が増えました。

俺たちはどう生きるか!

俺たちはどう生きるか!

株式会社L4

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「俺たちはどう生きるか!」拝見しました。
あえて小難しい哲学的な言い回しは回避し、
エンターテイメントで話に入り込ませて
笑ったかと思えば、次の瞬間には
いつの間にか当たり前になっている価値観に
疑問をつきつけてくる。
日常の違和感をあぶりだす。良くできた話でした。
難しいことを難しくやることだけが演劇じゃなく、
幅広い層に訴えかけることができる脚本だと感じました。
感動と考えさせられる体験が同時にでき、心に残る演劇でした!

ネタバレBOX

チラシの裏の説明でストーリーがほとんどネタバレしているのは新しいなと感じましたね。今はそういう時代なのかもしれません。それでも面白く見ることができました。短編は時間を惜しむ現代人には合っている気がします。何を感じるかは見た人次第でしょうが、さまざまな視点で描かれるため、この角度で考えるのも大事だな、違う目線で見ると正義がひっくり返るんだ、など、意外な気づきがありました。思考の練習としてもこの舞台はいい刺激になるかと思います。
ニューアナログな君へ

ニューアナログな君へ

劇団ヒラガナ( )

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 ウーム、チャレンジ精神は高く評価するので華3つ☆。チャレンジする姿を観たい方にはお勧めかも。

ネタバレBOX

 50回以上の公演を打っている劇団としては極めて実験的な試みであるが、成功とは言い難い。こう言うのも、場の設定がしっかりしていないと考えるからだ。イマージュを物化する為に詩は象徴や喩によってイマージュを単なる言語ではなく物として表現し、その強度によって詩行なり詩節なりを自由に何処に置こうと有効な部分とする。このように詩行なり節全体の独立性を保ちながら同時に場の自由を獲得するという挙に出ることが可能となるのであるが、それは一方で韻の踏み方、詩の形式(ソネットや、アレクサンドラン等詩形式・詩行の韻律形式を含んで)などの厳密な規則の上で形式が担保されるからなのである。然し、戯曲は一般的に散文と詩表現の中間に位置するものであるから詩に要求される韻律や詩形に関する規制は無く、散文の如き事実に則すことを第一義とするものでもない。掛かるが故に脚本では物語が生起する場が基本的に同一であることが要求される。然るに今作ではこの点が無視され複数の場が同じテーマを追求する為に幾つも設けられ互いの場が何ら有機的関連を持たずに展開する。このような構造に劇的効果が生じる訳がない。言わんとすることは総ての場面を通じて同一なので分からずにはいないが、各々のシーンが有機的に結びつく必然性が欠けているせいで、総てが空中分解する仕組みになってしまっており、結果劇的効果を齎す収斂というクライマックスが成立し得ない。このようなことも恐らく感じられつつチャレンジしたのであろうが、どんなに短く見積もっても演劇の歴史は数千年の過去を持つ。そのような芸能形式にアタックするには未だ力不足を感じざるを得なかった。
俺たちはどう生きるか!

俺たちはどう生きるか!

株式会社L4

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

研究所を軸に4つの短編を集めた形式の舞台。どの短編もコメディながら本質をつくテーマがそれぞれ隠れていて面白く、短い時間を感じさせない。最初の短編のアクシデントを次の短編に織り込む演出も良かった。

9

9

劇団Pinocchio

Bar Theatre Ludo(大阪府)

2023/09/08 (金) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★

コロナで二回延期となった作品だそうで、最後は役者泣いていた
内容は探偵ものではないけど、楽しめた❗これからもがんばれー👊😆🎵

夏の夜の夢

夏の夜の夢

イエローヘルメッツ(Produced by GMBH)

かなっくホール(神奈川県)

2023/09/08 (金) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

“子供のためのシェイクスピア”の後継劇団。イエローヘルメッツとは、元々は開演前に一曲歌う黄色いヘルメットに黒コート集団の呼び名。今回は若松力氏が松田聖子の「SWEET MEMORIES」を歌った。ハンドクラップ、オノマトペ、腹話術人形のシェイクスピア、「ほーほーほぉぉぉ」。山崎清介氏の味のある声。小さな机や椅子をレゴブロックのように自在に配置して組み合わせる舞台美術。とは言えガチガチに原典に準拠するファンダメンタリズム(原理主義)は健在でシェイクスピアの品格を貶めない。

『夏の夜の夢』は高橋留美子調のラブコメ。妖精王が惚れ薬を使ってこの世の諍いを整理しようと試みるも、手下のパックがいい加減な仕事をすることで更に事態はこんがらがっていくというもの。惚れた腫れたの大騒ぎを笑うドタバタコメディ。

この世に要らぬ揉め事をもたらす美女ハーミアは大井川皐月さん。
誰にも相手にされない悲しいヘレナに川澄透子さん。彼女が実に良かった。
妖精の女王は劇団代表でもある鷹野梨恵子さん、凄い貫禄。若いのに大御所のオーラ。
若松力氏は月船さららさんのmétro(活動停止中)で大好きになった俳優。
8人の芝居とは思えない入れ代わり立ち代わりの妙。

このシリーズを味わわないのは実に勿体無い。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

オウィディウスの『ピラマスとシスビー』をアテネの職人達が上演しようと森で稽古する。素人達が浅知恵で弄り倒してどうしようもないドタバタ芝居となるのだが、実はこの話は『ロミオとジュリエット』の元ネタ。『夏の夜の夢』と『ロミオとジュリエット』はほぼ同時期に書かれたそうで、一方はシリアスな悲劇に、もう一方はシニカルなパロディに。

あんまり子供が楽しめそうな感じではなかった。もっとてんやわんや感で賑やかしくやった方が。アテネの職人の劇中劇のくだりは同一人物が演っている為、よく判らないで終わりそう。”マニアのためのシェイクスピア“みたいな通好みの風味。でもやはりこの空間は中毒性がある。初めて観た時の、あの感覚を思い出す。また觀たい。
俺たちはどう生きるか!

俺たちはどう生きるか!

株式会社L4

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても久しぶりに舞台を見ました!
10年前、決勝を楽園で見ていました。
(予選はDVDで拝見しました)
大きな劇場で、あの優勝作品を
もう一度見られて大満足です。
上演時間も100分と見やすく、
初めての方でも見やすい気がします。

ネタバレBOX

若い人たちが多かったです。
フレッシュな感じがあって新鮮ですが
上手い人にもっと出番が欲しかったな
という思いはちょっとあります。

草野さんが出演していらっしゃって
あの独特のセリフ回しが聞けて
なんかあの頃に戻ったようで、
一人感動していました(笑)

アンドロイドケータイは
初めて見ましたが、
今のスマホ社会に一石を投じる作品だと思いました。
今回もどの話にも笑えるのに哲学があり、
もしかしたら内容は少々変わっているのかも
しれませんが、10年たっても名作は
色あせないんだなと感心しきりでした。
面白かったです。
ニューアナログな君へ

ニューアナログな君へ

劇団ヒラガナ( )

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ニューアナログな30年後の世界でした。

ネタバレBOX

途中繰り広げられる会話の応酬は見応えがありました。だんだんと複雑になっていくストーリーが難しかったです。舞台後ろにあった映像が効果的に機能していないように感じました。役者の表情が、前髪のために顔の表情が見えにくいことが多く、微妙なやりとりが感じ取りにくかったことが影響したかもしれません。役者が途中、客席の最前列に座ることがありましたが、役者と客席の距離がいっきに近くなりよかったです。
トラベルモード

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sitcomLab

上野ストアハウス(東京都)

2023/09/04 (月) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

こりゃあ、面白い!
「スペース・トラベロイド」の時にあった無理すぎるだろ?と思われる嘘や勘違いも今回はなし。
素直に面白かったあ。

それと殺陣とかアクションが、これまた見事!

Pickaroon! -ピカルーン-

Pickaroon! -ピカルーン-

壱劇屋

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

悪役どものピカレスク、全員主役のバチバチ個性のぶつかり合い冒険活劇!劇団員と豪華ゲストしかもABで繰り返しの観劇体験が豊かでした。高田淳さん演じる佐久間の悪役に相対する悪役っぷりが露悪的で知的で魅力的でした。

煙突もりの隠れ竜

煙突もりの隠れ竜

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

人と人も別の生き物で、同じ言葉を使ってても本当に同じように通じてるのかって確かめようがない。コミュニケーションってそれでも伝えたいって願いなのかなと。翻ってワードレスと台詞芝居、言葉がない、異なるからこそ普遍的なメッセージが浮かび上がる。そんな殺陣、お芝居、小道具大道具、身体表現、歌、全てで伝えてくる最高の舞台でした。

俺たちはどう生きるか!

俺たちはどう生きるか!

株式会社L4

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

★魅惑のロマンスチーム★を観劇
イカれた博士っていうのはてっきりモジャ頭でチョビ髭の御爺さんかと思っていたら若くて長身のイケメン博士、そして傍らには可愛い助手が
そのクールなマッドサイエンティストっぷりと無邪気にヤバい助手娘の組み合わせが、ちょいブラックに皆をかき回してくれる、面白かった!

困窮した登場人物がスペシャルなアイテムや能力を手渡されて思わぬ騒動を巻き起こす展開部分は「ドラえもん」や「笑ウせぇるすまん」なんかも彷彿させるのだけれど、手塚治虫だとかどこか懐かしい漫画のテイストが随所に感じられ不思議に惹きつけられてしまう
全編に渡って“生きている意味”や“正義vs悪の立ち位置”などなど、角度を変えてどこか固定化してしまっている概念を揺さぶってくるのは、普通のコメディーとはまたひと味違った面白さ

悪魔が願いを叶えるパートは、博士たちではなく悪魔(この悪魔もヤバい(笑))が運命の案内人となる異色パート(どれも異色のパートと言えるが)
ここで前のパートに起きたおもしろトラブルをちゃっかりアドリブで組み込んでしまうチームワークの良さ
その俊敏さに笑いながらも感心してしまったのだけれど後で確認してみたら仕掛けたのは本公演の演出家さんでもありました、さすが柔軟にして大胆!

煙突もりの隠れ竜

煙突もりの隠れ竜

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

殺陣、照明、小道具、あらゆる角度から新しい発見のあるお芝居でした。口で説明すると、「それ本当に面白いの?」と思う様な演出でも役者が本気で取り組んでいる熱量に気圧され、物語の世界に入って行けるパワーのある作品でした。本当に観劇出来て良かったです。

煙突もりの隠れ竜

煙突もりの隠れ竜

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

東京公演を見ました!
布を炎にしたり、紙や剣に術者の意志を宿らせたりできる人間CG職人集団こと壱劇屋さんが「生き物」を操ったらどうなるのか!?ってことなんですよ!
もう本当に…生きてる…!
ちっこい三匹のぬいぐるみはそれぞれの生き方で歩行してるし、陰から覗くシーンもそれぞれの生態に乗っ取って壁に張り付いたり腕を引っかけたりしていて!
不死鳥の羽根が分離されてるのも、人智を超えて大きく、もしかしたら火の粉をまとうような不思議な羽根なのかな…と想像も掻き立てられつつ!
またこれは役者さんスタイル(幻獣たちに見えてる姿)ですが、九尾の尻尾やケルベロスの3つの頭などが分かれてるのも非常に面白かったです!肉体ではなく内面で繋がっている…!
そして私が一番好きなのが、大きな大きな布で表現されるロック爺です!この大きさと不気味さと美しさは怪鳥だし、この羽のボロボロ感はおじいちゃんだ…!舞台の端めいっぱいってくらいに大きな羽根がくるくる回って、チョーチが元の世界から攫われてしまった、こんな遠く遠くまで連れてこられてしまった、と同時に私自身も物語に手招きされていく感覚がありました。あのシーン、すごく風を感じて楽しかったです!!

チョークで描く夢

チョークで描く夢

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/09/07 (木) 19:00

実在のチョーク会社を舞台にした作品だが、心が痛くなるシーンもある。最後は人間を信じたくなる。88分(10分休み)69分。
 現時点で従業員の7割が障がい者という実在の会社を舞台に、最初の障がい者が入社する時代を描く昭和34年が1幕、2幕は令和の今、障がい者を雇用したことで起こる事件を描く。「障がいは個性である」とは良く言われることだが、それを頭で分かっても体現することは難しいと思う。それを如何に乗り越え、また、起こる事件にどう対応するのか、を、丁寧に描く。1幕はやや都合が良過ぎる気もするけど、演劇的に許容されるギリギリのレベルだろうか。2幕の事件は予想外だったが、確かにそういったことは起こりうると思った。1幕で登場した、他の従業員と対立する菅井の存在と受け入れられ方が、実は大きい出来事だと思う。演じた川崎初夏は、2年ぶりの出演となる劇団員だが、静かだが強いキャラクターを見事に演じた。川崎はじめ、手慣れた役者陣と若手の熱演が心地好い。2幕で上司に逆らって主張する社員の今岡を演じた小崎実希子がいい。

想い光芒、想われ曙光

想い光芒、想われ曙光

劇団25、6時間

萬劇場(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

人・家族の愛情と伝承というかランタンを空へ飛ばすコムローイ祭りを絡めたヒューマンドラマ。
第35回池袋演劇祭参加作品(★評価は演劇祭授賞式後)。

愛情も伝承も目に見えず、その確認が難しいという共通性があるが、それをヒロインの事情に重ねて紡ぐ。このヒロインの過去・生い立ちがドラマのカギ。人の愛や家族の幸せを求める、しかし 何が<普通の愛や幸せ>なのか説明できない。坦々とした暮らし、が 手放して初めて分かる 愛と幸せ という思い。

タイトル「想い光芒、想われ曙光」の<光>は 勿論ランタンを意味しているだろう。同時に家族の約束の意も込められている。そしてランタン祭りの夜にだけ会える水の精霊姉妹ーーまるで七夕の彦星と織姫のようなーーが人の運気を掌る。物語は 情緒と抒情といった心と光(風)景を観るような余韻あるもの。

祭りの雰囲気は、ランタンが灯り 両壁に花火の映像を映す。それを見上げる人々は着物姿という風情あるもの。舞台美術は上手 下手がほぼ対称で段差(階段)がある。その上り下りが時間と場所の変化を表し、さらにキャストの動きに躍動感ー生きている を感じさせる。
*評価を追記⇨★4
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)【A】

ネタバレBOX

孤児院育ちの女性 明(香月美慧サン)が、そこで知り合った男性と結婚し幸せな家庭を築くはずだったが…。女性は母からのネグレクトによって、愛することが怖く いつの間にか人を愛することが出来なくなった。それでも同じ境遇(孤児院育ち)の男性 四宮遼と結婚した。 ある日 家の前に赤ん坊が捨てられており、自ら育てようと決心した。が、彼女にはもう一つ決定的に愛が確認できない理由・・人の顔が覚えられない病気(相貌失認)があった。

遼は、社会的に成功を収め 金も地位も信頼も欲しいがままにしていた。しかし、それらは彼の心を満たすものではなく、業績が上がっても 心の乾きは増していく。そして別れた妻 明と子の写真を眺め夢想に浸るばかり。ある日、街の片隅にある薄汚れた社(やしろ)を穢したことで、水の精霊の怒りをかってしまう。そして仕事に悪影響が出始める。

この2つの出来事を絡め、血の繋がりはないが<愛>と<情>を持つことが出来るという予定調和へ。大団円へ導くのは、水の妖精姉妹のお伽話…ランタン祭りの日に 姉妹は出会えるという言い伝えがあった。しかし時代と共に祭り自体も廃れて、俗にいう世知辛い世の中が浮き上がる。
場面毎に リアル+ファンタジー+ユーモラスな雰囲気を漂わせるような工夫が観てとれる。

先行き不透明で不寛容になってきた今こそ、血の繋がりのない疑似家族とも言えるような人間関係に焦点をあてる。そこには見守る友人や会社の人々の優しさ温かさが希望の光となっている。勿論 ランタンの〈灯〉に重ねていることだろう。
次回公演も楽しみにしております。
ワーニャ伯父さん

ワーニャ伯父さん

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/09/05 (火) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「世の中は庶民の我慢で回ってる」という普遍的な事実を突きつけられた。
ラスト、ワーニャ伯父さんに語りかけるソーニャの言葉にボロ泣きする。
世間知らずのインテリ教授には死んでも解るまい、
この「誰かを信じて支える」という崇高な愚直さよ。

ネタバレBOX

ほの暗い舞台上には簡素な木のテーブルと椅子。
26室もあるという田舎の屋敷のリビングが主な舞台。
退職した大学教授が、再婚した若く美しい妻エレーナと共に自分の領地へ戻って来た。
この都会暮らしに慣れ切った夫婦が現れたことで、静かな農園の暮らしにさざ波が立つ。

教授の、今は亡き最初の妻の兄であるワーニャは、
妹のダンナの才能を信じ尊敬の念をもって、この農園を管理し、
彼の仕事を献身的にサポートして来た。
亡き妹の忘れ形見ソーニャは、そんなワーニャ伯父さんの仕事を手伝っている。
年老いた乳母と、居候の老人、そして我儘な教授に呼ばれるとやって来る医師。

ワーニャも、医師も、美しい人妻エレーナに恋をしている。
ソーニャは、医師に恋をしている。
そして人妻エレーナはと言えば・・・医師に恋している。
激狭コミュニティの中で誰も幸せになれない恋愛模様がくり広げられる。

小さな空間で対峙する登場人物が、終始緊張感を保ち続けていて素晴らしい。
場転の際に流れるギターの音色が品良く少し陰鬱で絶品。
明りの加減も絶妙でチェーホフの時代を五感で感じさせてくれる。

教授が突然「この農園を売りその金でフィンランドあたりに別荘を買おうと思う」
と言い出したことで、失恋の痛手も重なったワーニャの心は爆発する。
教授のために、自分の才能も稼いだ金も捧げて来たのに、
自分の親が嫁ぐ妹に買ってやった土地を、いとも簡単に売ろうと言い出す教授を
許すことが出来なかった。
自分の人生も、自分の今は亡き家族も、こいつにないがしろにされたのだという
怒りがビシビシ伝わる素晴らしい迫力。
ワーニャ伯父さんのこの怒りのために、これまでの話はあったのだと思う。

だが、あんなに怒り狂ったのに腑抜けのように仲直りして、大人しくなってしまう。
人生の悲哀というにはあまりにも派手なブチギレ方だったが、結局のところ
怒りの矛先は、カン違いして勝手に信奉していた自分の愚かさに対する
怒りであり情けなさだったのかもしれない。

ソーニャが、慰めるように寄り添うように伯父さんに語りかける。
それはまるで、人生の望みを絶たれた者に降り注ぐ優しい呪文のようだ。
「我慢して」「働いて」「いつか神様の前で申し上げる」「ようやくほっと一息つける」・・・。
上手くいかないいくつもの人生に激しく共感すると同時に
力ずくで自分の人生を諦めるような残りの時間を思うと暗澹とした気持ちになる。
乳母ひとりが「いつもの生活が戻る」こと以外多くを望まず、心穏やかに見えた。

人生はそんなものかもしれないけれど、その切実さに涙がこぼれる。
才能も仕事も恋愛もお金も、何ひとつ望むようになりはしない。
だから”上手くいっている”ような振りをしないことだ。
カン違いをしないことだ。
それは上手くいかない人生より、ずっと滑稽なことなのだ。


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