最新の観てきた!クチコミ一覧

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中之島春の文化祭2023

中之島春の文化祭2023

ABCホールプロデュース公演

ABCホール (大阪府)

2023/05/05 (金) ~ 2023/05/06 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

4年間ずっと待ってました。
関西の演劇界には、この文化祭がないと!
Aブロック観劇。
一発目楽しかった!

■ステージタイガー:
応援団ネタ、ステタイさんらしく熱かった!

■ゲキゲキ/劇団『劇団』:
この演目2度目の拝見、ラブフォルテシモ。
痛いけどジーンときて楽しい😆

■桂紗綾アナ(落語):
初鳴きなのに…滑舌良すぎ!
凄かった。

■石原正一ショー:
尾崎豊など諸々のプリキ○ア?愉し!

■空宙空地:
2度目の玉子焼き、何度観ても走馬灯はやはり泣ける😭

松竹亭一門会Ⅱ 春の祭典スペシャル

松竹亭一門会Ⅱ 春の祭典スペシャル

afterimage

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

観客を惹きつける公演だった。まず出演者が楽しんでいることが伝わり、加えて観客もそれに巻き込まれていたことが大きい。上演を通じて劇場が温まっており、afterimageの常連と思われる観客たちに愛されていることがよくわかる。私は不勉強ながら落語に明るくないが、それでも落語の噺家たちに必要なことの一つにはまず観客に愛されることだというのはわかる。その点で、本公演はある意味成功していたとも言えるだろう。どのダンサー/噺家も魅力的だった。

ネタバレBOX

ただ、ダンスと落語を融合させるという点においてはやはり難しかったのだろう。ダンスの身体性と落語のそれを、ないし落語における話法技術とダンスにおけるそれを、並置させてはいたかもしれないが融合させることはできていなかったのではないだろうか。これならばダンスだけを見るか、落語だけを見るかのいずれかの方がもっと楽しめたのではと思わざるを得ない。ダンスだけのafterimageも見なければと思わされたという意味では、次回公演に期待させられた。
あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

無名劇団はその劇団の意図をまず評価すべきだろう。西成という地区で自分たちで劇場を立ち上げ、その地元に根差した文化芸術を育むという目的は、将来的展望が見込まれる意義深いものである。

ネタバレBOX

他方で、今回上演されたのは過去に受賞した作品であり、その活動意図からはやや外れたものであった。あるいは、そもそも観客を呼び込むという目的があったのかもしれないが、折角ならばその活動すなわち地域に根ざした作品を応募した方が良かったかもしれず、惜しかった。
 作品自体はその戯曲が既に高く評価されていたこともあり、また出演者たちが魅力的であったことからも好感を持てた。ただ、やはり劇場の大きさと作品の規模が合っていないのではと思わざるを得ず、俳優たちのダイナミックな動きがやや制限されている感もあり(なにしろ動きまくるのだ、それがコミカルでもあるのだが)、アメリカの広大な土地を想像するのはなかなか難しかった。
忘れ草の煙を吸う

忘れ草の煙を吸う

甲南大学文化会演劇部 甲南一座

甲南大学岡本キャンパス甲友会館(兵庫県)

2023/05/04 (木) ~ 2023/05/04 (木)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

機材トラブルで公演中止でしたが、その後、映像を拝見させて頂きました。
楽しく拝見させて頂きました。
新歓公演、沢山新人さんが入部される事を祈念してます。

透明人間

透明人間

劇団唐組

湊川公園(兵庫県)

2023/04/28 (金) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

神戸公演千秋楽観劇。
人と犬の縁を取り持つ恐水症。
軍用犬調教の悪夢から、モモを巡り、保健所を巻き込み、水が導く恐水世界に!

捉え所のない透明人間に動かされ、水に誘われ、現と幻、悪夢と恋心が水に溶け合い交わる様な幻想世界。なのに何故か生々しく、楽しかった。
にしても…お尻痛っ!

死んだら流石に愛しく思え

死んだら流石に愛しく思え

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/04 (日) 14:00

2015年に初演、2019年に再演された作品の再々演・最終版で、再演を観ている。スゴイ!(2分押し)127分。
 実在のシリアルキラーを題材に、刑事による取調べでの回想という形で、どんなことをしてきたのかを描く。笑えるように作ってはいるが、笑えない話。映画にもなっているらしいが、映画をベースにしたのかどうか、知りたいなと思った。悲惨な話ではあるが、劇団のレパートリーとなりそうな気もする。美しいエンディングさえも悲惨だなぁ。

Meilleure Soirée

Meilleure Soirée

THE ROB CARLTON

ABCホール (大阪府)

2023/06/02 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

オモロかったー☆マチネ後のソワレが大爆発!この作品は間違いなくROB版「カメラを止めるな!」と言うべき大傑作やー☆やけど「カメラを止めるな!」と決定的に違うのは前半もちゃんとオモロイって事☆そしてチラシの「この作品は必ずトリプルコールが鳴り響く」は嘘じゃないです♪でも騙された感も有ります(笑)
最高のエンタメコメディでした\(^o^)/

成城試着室

成城試着室

WATARoom

アトリエ第Q藝術(東京都)

2023/06/02 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前説から面白くて。得した気分。お笑い大好き!楽しかった!

引き結び

引き結び

ViStar PRODUCE

テアトルBONBON(東京都)

2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めっちゃ良かったです。優しくて切なくて、今ここにいる奇跡に感謝。がんばろーって元気をもらいました。ありがとうございました。

あたらしい朝

あたらしい朝

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/05/03 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

まず何より、出演者たちの好演が光る作品だと思います。リアリティと特異性の境界を行ったり来たりする、独特の存在感を放つ俳優たち。この身近な存在があるからこそ、演劇上演としての魅力が増したことは間違いないでしょう(勿論その演出を手掛けた演出家にも拍手)。コロナ禍に執筆された一作で、旅や人間関係に想いを馳せる物語は、ステイホームやソーシャルディスタンスを経験した人々から共感を得やすく、同時代性の高い作品と言えます。個人の夢の中を散策するような私小説風の語り口や、ファンタジー要素を含む世界観も良いアクセントになっていました。

半魚人たちの戯れ

半魚人たちの戯れ

ダダ・センプチータ

王子小劇場(東京都)

2023/04/13 (木) ~ 2023/04/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

直感的に浮かんだのは「かけ蕎麦みたいな上演」という感想でした。戯曲(物語や詩など)×俳優というシンプルな要素で構築する作品世界。セットらしいセットもなく、ほぼ素舞台と言えるでしょう。ある意味で「気」の魅力が求められるため、潔い方法を選択したと思います。言葉にウエイトを置く一作と言えますが、ストーリー性より、言葉の響き方や詩のような機能性を重視した作風なのかも。シーンひとつひとつは輝くものの、全編を通してややまとまりのない印象が残りました。ただ、どこか沸点の低い会話を基調とした現代口語劇は、若い団体の世代感覚を反映している気がして、妙に心に残りました。

本人たち

本人たち

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク

STスポット(神奈川県)

2023/03/24 (金) ~ 2023/03/31 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

これまで過去上演を何作か観劇してきて、その飽くなき実験精神をひしひしと感じてきた団体です。「舞台芸術とは何か?」について、ストイックに解体・再構築を試みる姿(僕にはそう見えます)は傍から見ても刺激的です。今作にもその精神を感じつつ、でも同時に、観客への依存度がやや高い印象も受けました。乱暴な言い方をすれば「観客の心持ち次第」というか、観客の積極的な作品没入・作品解釈を必要とする一作だと思います。上演会場で体験した諸々を観客自身が持ち帰り、各々の解釈で時間をかけて自身の血肉とする。そういう積極性が問われる作品と言えるでしょう。第一部、第二部と分かれており、その双方に多くの「言葉」が登場します。その言葉の海を漂い、脳内で反芻する心地良さも感じました。

きく

きく

エンニュイ

SCOOL(東京都)

2023/03/24 (金) ~ 2023/03/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

タイトルの『きく』。この「きく(聞く)」に特化した演目で、コンセプト通りのパフォーマンスが展開されます。あらゆる角度から「聞く」ことの実例が提言され、「それは何か?」「どういうものか?」について考察・検証が繰り返し行われ、それらに関する明確な解答はなく、受け止め方も観客それぞれ。それでいて多くの表現が日常的であり、私たちの生活や人生に深く関わる内容となっています。実験的パフォーマンスと捉えることもできるけれど、僕には非常に刺激的な体験であり、自身の記憶や経験に変換しやすい身近な一作に感じられました。観劇後は「聞くこと」に関する様々な解釈や可能性が頭の中を駆け巡り、作品の余韻にじっくり浸ることができました。

令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観劇後に残した自分用のメモには「横綱相撲」の四文字が。それほど磐石な上演だと思います。団体が得意とし、かつ多くの上演経験を有する「会議劇・討論劇」の新作であり、演出家、俳優共々、その経験値を大いに活かしています。安心して観劇できるシチュエーションコメディとして、観客を選ばない一作だと感じました。選んだモチーフも多くの社会問題に置き換えられるため、深掘りをして楽しむことも、エンタメとして割り切って楽しむことも、どちらも可能だと思います。一人ではなく誰かを誘って観に行きたくなる。そう思わせてくれる団体であり、作品と言えるでしょう。

壊れた風景

壊れた風景

劇団かに座

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2023/06/02 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

Meilleure Soirée

Meilleure Soirée

THE ROB CARLTON

ABCホール (大阪府)

2023/06/02 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

もう面白くて可笑しくて、しっかり声が出てしまって笑いました。
こんなん最高のコメディですよ❗️
観られて良かったです‼️

人魂を届けに

人魂を届けに

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2023/05/16 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

冒頭が素晴らしい。 暴力を見逃したために1万円をもらって 魂の一部を「押し買い」される。 魂は失う、「これは比喩ではない」という メッセージであり、本編の予告編。男・八雲(安井順平)が森の中の 一軒家にたどり着く。 そこには 不思議な 家族が暮らしている。 お母さん (篠井英介)に 男は 「息子の亡骸 を持ってきた」という。「その亡骸とは魂だ 」「声が聞こえる」という。 男は 拘置所の刑務官で、 息子は死刑執行された、多くの人が死んだ 悲劇だという。ここから少し 奇妙で多面的な話が始まる。

お母さんは森の中に自殺しに来た人や、野垂れ死にしそうになった男たちを見つけ出したは、この家に連れてきていた。 キャッチャー イン ザ フォレストという 当然 キャッチャー イン ザ ライ を連想させる。 ホールデン少年が 汚れた大人社会から無垢な少女を守る存在だとすれば、 お母さんは 腐敗と侮辱にまみれた社会で 傷つき 落ちこぼれた男たちを守っている、と言えるだろう。 そこにこの 作品のモチーフを見ることができる

連れてこられたのは みんなからバカにされて自殺しようとした男(大窪人衛)など。

刑務官の知り合いの陣(盛隆二)という男をやってくる。陣は実は公安で この家はテロリストの巣窟だという。 お母さんは 書類改ざんで自殺した男の妻で、自分の恨みを 助けた男たちに伝え社会に戻してテロをさせていると。 ここにも 無差別殺傷事件が 目立つ 今の日本のフラストレーション が感じられる。

ネタバレBOX

息子の魂の話は 消え、 いつのまにか 男の身の上話になる。息子の行方不明、妻の家出とそのトラウマの話。そして男は、ライブ会場で銃乱射した歌手の 銃弾に右膝を打ち抜かれびっこになった。 この歌手が お母さんの息子だという。息子は刑死なのか、自殺なのか、そこは「藪の中」のようにわざとずらしてあった。

とにかく最後、 男は 僕も社会に戻ったら拘置所のキャッチャーになるという。落ちてくる 受刑者を受け止めるキャッチャーに。どういう意味だろうか。刑死者の魂を救う受け止める というのか、死刑から救うということ。現代社会の病と闇んいつながる、印象的なフックを多く持ちながら、最後まで謎に満ちた作品というしかない。
半魚人たちの戯れ

半魚人たちの戯れ

ダダ・センプチータ

王子小劇場(東京都)

2023/04/13 (木) ~ 2023/04/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

新曲が作れなくなったあるバンドの存続と、未来が約束されなくなった世界の存続が並行し、時に一体化して進む物語。その行方は終わりか始まりか。はたまた終わりの始まりか。

ネタバレBOX

終末を想起させるような黒一色の舞台美術の中、バンドの話でもあるにも関わらず目立った音楽的効果や大仰な演出も使わないことを選んだ意欲作。ほぼほぼ俳優の身体のみに託される言葉と物語は、おそらく意図的にとっ散らかり、その裾と裾が重なることはあっても、わかりやすい結合を果たさぬまま一人一人が「断片」のまま最後まで行く。
そのあまりの潔い世界の手放し方や異世界然とした世界観に最初は困惑してしまい、「このままいってしまうのか」と不安を覚えたけれど、舞台上で描かれるディストピア的風景がその実予見的なまなざしに溢れていることが示されてきたあたりから、突如現実味が増してくる不思議な魅力のある作品でした。どこのいつの話かわからないものが、いつかくるかもしれない話に成り代わるまで。そんな示唆的な導線がシームレスにも着実に敷かれていたことに後々振り返って気付かされました。霊魂や夢という不確かなものが、災害や人災という確かな災いを呼び込んでいくような物語の構造には、作家の「全ての事象は何かへのサジェスチョンなのではないか」「見えぬものこそ見なくてはならない」という魂が忍ばされていたような気がします。

ディストピアを描く一方でバンドやその周囲の人間模様には、表現者特有の売れる/売れないという葛藤や、他者の才能への嫉妬や焦燥、芸術と商業における価値の違い、メンバー間の恋愛などの現実的な心の揺れも要所要所で描かれていたのですが、終末とそれらを掛け合わせることが興味深かった分、その混ざり合いや昇華をもう少し見たかったという心残りもありました。
とりわけ「バンドの亡きメンバーであり、自分よりも才能ある恋人が作った歌『半魚人たちの戯れ』が死後にバズる」という一つの結末からは、そこから描き出される物語の面白みや深みがまだある気がして、また作家である吉田有希さんご自身が芸術や表現を題材にオリジナルの物語を紡ぐ腕を持っているのではないかという期待もあって、もう一歩先の世界を見てみたかったという体感が残りました。

陸で生きられなくなった人間が海で生きられるわけが到底ないように、音楽をやめた人間が音楽家であれるはずもない。終末に向かって何かを少しずつ失って、かつての形状をとどめていられなくなることが「半魚人」を指していたのか。それとも、どちらでも生きていけるように、むしろ自らすすんでかつての形状を放棄していくことが「半魚人」を指していたのか。いずれにしてもそれが「戯れ」=「本気ではない遊び」であることに、本作は世界に対する皮肉を忍ばせていたのではないかと想像しました。

カンパニー全体の取り組みにおいては、制作面の配慮が素晴らしく、核兵器や災害の描写があることを事前のSNSや当日アナウンスでも言及していたほか、上演時間、残席数、当日券状況、出演俳優陣の紹介などが繰り返しこまめに発信されていて、欲しい情報にリーチしやすい環境がとても助かりました。観客が劇場に足を運びやすくなるような配慮だけでなく、創作に参加する俳優への敬意も感じました。そのことは舞台芸術全般において今とても必要なことだと感じます。
あたらしい朝

あたらしい朝

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/05/03 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

果てしのない絶望の夜の中、されども祈る朝の訪れを探し彷徨うような喪失と再生のこの物語には、長く続くコロナ禍における誰しもに失われた時間を補完していくような手触りがありました。チラシにあった“どこにも行けなかった私たち”という言葉は、舞台上から客席へとするりと滑り落ち、そのまま私たちの手を取り、ともにそのピンク色の車に乗せてしまうような。そんな一体感と共振を忍ばせた導入が劇への没入感を確かなものにしていたように思います。

ネタバレBOX

亡き夫とその残像を抱えながら生きる妻を巡るタイムトラベル。
「夫が死んだ」という事実よりも「生きていた」という事実を、その時間を瑞々しく映し出すような演出には物語や演劇そのものが人物の喪失にグッと近づき、その身にギュッと寄り添うような温かさがありました。
しかしながら、「温かさ」というものでは到底誤魔化しのきかない「痛み」の深さ、その描写も生々しく描かれていて、妻を演じた清水緑さんの次の瞬間に泣き崩れるのか、はたまた大きく笑い出すのか予測のできない心の紙一重さや、夫を演じた木村巴秋さんのつかみどころのないままに飄々と舞台上を遊泳するような人懐こい揺らぎは、この作品の核心的な魅力を一際具に表現されていたように思います。
その傍らで葬式帰りの二人という現実的風景を担った亀山浩史さんや菊池佳南さん、母であり、友でもあるという二役を全く別の眼差しで好演した北川莉那さん、ガイド的役割を担いながら、抽象的に描かれる生と死の狭間をシームレスに行き来する小瀧万梨子さんと金澤昭さん。さまざまな時間軸が混在する物語をその身に背負う俳優陣の確かな技量は元より、それぞれの個性と強みを存分に活かした配役と演出が、生と死、喪失と再生を巡るこの「旅」を時に淡く、時に確かに縁取っていました。

叶わなかった旅を再現する旅には、そのピンク色の車には、無論数知れぬ後悔が相乗りしていて、妻であり娘である女性が旅の途中でふと在りし日に思いを馳せるシーンには、痛々しくも避けられない景色の数々がありました。この作品の結末や魅力を他者に伝えようとする時、「そんな旅の目的地が希望の“あたらしい朝”だったのです」という回収ではどうも言葉が足らず、その後悔の数々を諸共抱きしめて生きていくしかない、“目的地”に設定せずとも「いつかは新たに迎えざるをえない朝である」ということに本作の切実さは光っていた気がします。
「不在」という「存在感」を強烈に忍ばせた本作は、一つの朝でありながら、長い夜でもありました。営みであり、弔いでもありました。そしてやはり、祈りであったと思います。
『あたらしい朝』とタイトルが角張った漢字ではなく、丸みのあるひらがなであることにもどこか心を掬われるような、本作の中身との親和性を感じたのですが、そのチラシには、「A WHOLE NEW MORNING」という英題が併記されていました。
「A WHOLE」という単語は、「これまでに見たことのない、まったくの未知の」という意味があります。ただの「NEW」ではない、見たことのない、未知の朝。その景色が少しでも彼女を救うものであってほしい。旅に立ち会った一人として、そんな祈りを抱かざるをえないラストであり、劇場を出てからもそんな気持ちは長く心に残り続けました。
きく

きく

エンニュイ

SCOOL(東京都)

2023/03/24 (金) ~ 2023/03/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

主宰・長谷川優貴さんは当日パンフレットにこう書かれていました。
「この作品は、只々話を聞くだけの内容です、ドラマチックな物語はありません」
そして、その言葉通り、本作の俳優たちは只々話をする/聞くという行為を繰り返しました。しかしながら、観客の一人である私に残ったのは「只々話を聞いた」という体感のみではありませんでした。

ネタバレBOX

“きく”という行為をフラットに、どんな色もついていないまっさらな状態まで一度解体し、きく側の状況、精神的状態、姿勢や視線などの様々な反応によってあらゆる形に縫合し、それをまた解き、結び、と繰り返していく中で浮かび上がってくるもの、それと同じだけ溢れ、抜け落ちていくものがあるということ。“きく”という行為の難しさと果てしなさを存分に握らされることによって、従来自分が行ってきた“きく”という行為、さらにはそれを経て時に頷き、共感し、またある時は首をかしげ、否定する。そんな一連の行為まるごとに対して今一度疑いを持つことができたような気がしています。

劇中の印象的なシーンの一つに、玉置浩二の『メロディー』という歌を世界各国の人々が一斉に聴いている様子を映像で流す、というものがありましたが、それを観客が「只々見ている」という状態こそが本作における試みを通して行いたかった「きく」の更地化だったのではないかと想像させられました。
それの対となるシーンとしては、「人の話をどれだけきけるか」を競う架空の賞レースが実況される場面がありました。そのシニカルさに客席からはちらほら笑いが起きたのですが、レース参加者に扮した俳優陣がことごとく話を最後まできくことができない、という描写にはひやりとするものはあり、それを笑うという行為がそのままブーメランとなって自分に返ってくるような感触もありました。
俳優陣の「きく」を試みるスタイルも多様性に富んでおり興味深かったのですが、とりわけ実況者を演じた高畑陸さんが印象に残りました。コロナ禍で演劇が映像として配信されることが増えましたが、まさに高畑さんはその配信映像を担うスタッフとして広く活躍をされています。上演を「みる/きく」という立場に立ち、それを粛々と記録・編集されてきた高畑さんが俳優としての身体でその場に座り、俳優として声を発し、「きく」様子を「みて」実況する立場にあったこともある種示唆的であり、試みの一つとしてもインパクトを感じました。抑揚溢れる実況風景からは俳優としての魅力も新たに知ることができました。

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