最新の観てきた!クチコミ一覧

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あなとうと

あなとうと

無名劇団

ABCホール (大阪府)

2023/10/06 (金) ~ 2023/10/09 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千秋楽観劇。
ABCホール公演、観客1000人超で大成功、おめでとうございます。

無頭納村の生き残りかけた、なずなんボーイズ×夏祭!
神聖な夏祭…
2年前のアレを忘れたか…

過去の重み、命の重み、と向き合う人達の泣き笑い!
ウルウル🥺した!
そして…
お初のダブルコール&スタンディグオベーション、頂きました!
無名劇団さん、愛されてる🥰

ネタバレBOX

少し気になった点をいくつか…
実力のある客演さんが多数出演され、自劇団さんの役者さんの露出が少なく、少し残念。
が、地域の皆さん、観客の皆さん、そして客演の皆さんから愛されている無名劇団さんだなぁ、改めて感じる公演でした。
関西演劇祭も楽しみにしています。
ハムレット

ハムレット

明治大学シェイクスピアプロジェクト

アカデミーホール(明治大学駿河台キャンパス)(東京都)

2023/11/04 (土) ~ 2023/11/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

役者の力量にも驚きますが、演出、舞台美術、照明、
衣装コンセプトとデザイン、音楽、音響、スタッフワーク、すべてに感服しました
学生さんの熱さが伝わり、感動しました! 必見‼︎

恋の焔炎

恋の焔炎

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2023/10/17 (火) ~ 2023/10/18 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/10/17 (火)

義太夫にフラメンコ、三味線にガットギター、つけ木にカスタネット等々、邦楽との化学反応には枚挙にいとまなしの楽しい公演でした。創り上げられた皆さんの努力に厚く御礼申し上げます。

恋の焔炎

恋の焔炎

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2023/10/17 (火) ~ 2023/10/18 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

義太夫とフラメンコ、三味線とガットギター、つけ木とカスタネット、等々化学反応の面白さには枚挙いとまなしの公演でした。

おどろ草紙

おどろ草紙

演劇集団よろずや

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/11/03 (金) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

久し振りの ミステリー
呪い 恨み 言葉 相続 家 家族 おどろは人の心の中
憎しみが、おどろ
登場人物 キャスティング、演技が、とても良かった。

夢の途中のおはながみ

夢の途中のおはながみ

演劇サークルact

キーノートシアター(東京都)

2023/11/03 (金) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ささやかな夢や挫折をテンポよく描いていてとてもおもしろかった。

ネタバレBOX

歌が最高でした。
アメリカの怒れる父

アメリカの怒れる父

ワンツーワークス

駅前劇場(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

みる前は韓国系アメリカ人の父親の話かと思っていたが、違った。ウォール街の仕事でクズになり、仕事も失って、麻薬とアルコールに身を持ち崩したビル(奥村洋治)。息子のウイル(米澤剛志)もやはり証券トレーダーらしいが、虚業に嫌気がさして、アラブ系の妻ヘバ(北澤小枝子)をのこし、スーダンの支援活動へアフリカに行ってしまう。題材としては重い。韓国で上演した時、客席からしじゅう笑いが起きたというが、ホント、どうしてだろうか?

ネタバレBOX

息子がアルカイダに処刑され、その映像が全世界にながれるという衝撃的な事件。ビルは再び薬と酒に逃避し、周囲の忠告にも耳を貸さず、無為に閉じこもる。その自閉的状況を、若いビルの幻(金光柊太郎)との対話で芝居として立ち上がらせる。また若いナンシー(東史子=彼を振って、デイビッドに走ったヒッピーの女性)、死んだデイビッド(山下雷舞=髪を上半分だけ金髪にして目立つ)も幻になって現われ、彼の錯乱、堂々巡りは深まっていく。

しかし、これは物語。実話の父親マイケル・バーグは、息子を殺したアルカイダの男達よりも、報復戦争にまい進するブッシュ大統領を批判し、声を上げた。「息子を奪った殺人者たち以上に、私は命を終わらせるための政策を立てる人々を非難します」という手紙を、息子が殺された直後の、ロンドンでの反戦デモに送った。舞台が終わった後の帰りに、観客はその手紙を受け取り、舞台とは別の感動を味わうことになる。
劇で殺されたウィルが「一瞬だけど、僕は彼らと友達になった。お互いにのぞまないことをせざるを得なかった」という。背景にある事実に粛然とした。

私も9・11後に、「平和を求める9・11遺族の会」だったか、報復戦争の中止を求めて活動する遺族(歌手だった)を取材したことを思い出した。まさにアメリカの良心ともいうべき人たちだ。その良心の声が、こうして日本でも伝えられることをうれしく思う。いまガザ攻撃に狂奔するイスラエルの中にも、こういう良心の声はあるはずだが、日本のメディアには出てこない。
フートボールの時間

フートボールの時間

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/11/01 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

見せ場で、良妻賢母教育の権化だった裁縫の宇田先生(林田麻里)が若く開明的なミチコ先生(堺小春)にいう。「私は先生が苦手です。私を動揺させるからです」と。「しかし、私は流されたりしません。私は私の石を投げます」と。うかつながら、ここにきて、どういうラストになるかが分かった。その前、生徒たちが何よりの楽しみにしていたフートボール(サッカー)が禁止され、ボールもすべて穴をあけて捨てられて、いったいどういう風に物語をしめくくるのかと、いらぬ心配をしていたからだ。

宇田先生が体育祭で「あなたたちを傷つけることは、私を傷つけることだと気が付きました」の言葉には無理がない。それに続くラストこそ演劇的フィクションをいかんなく発揮した感動のクライマックスで、思わず涙が出た。

ネタバレBOX

丸亀高校が2018年全国高校演劇大会で最優秀賞を受賞した作品。その1時間の舞台を、2時間弱に脚色した。素材、元の台本、脚色・演出、いずれもすばらしい。高校演劇大会は、最近いくつか見たが、台本は教師がつくるほうがいい作品になる(生徒がつくってなかなか物語としてメリハリがつけられない場合が多い)。しかし、高校生たち(あるいはそれと同年代の女学生たち)を中心に描いた時に、高校演劇は最も輝く。それを痛感した。

現実の丸亀高等女学校でフートボールをしたのが1920年ごろとすれば、その時、頑迷な人々に禁止されても、25年か30年後には時代は変わる。壁に挫折した新任女性教師は、50代で現役として戦後を迎える。女子サッカーが日の目を見る時代を見るだろう。この時代、意外と社会の変化は速い、と思いながら見ていた。
BILOXI BLUES

BILOXI BLUES

東宝

シアタークリエ(東京都)

2023/11/03 (金) ~ 2023/11/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ニール・サイモンの自伝的戯曲。1943年、ユージン・モーリス・ジェローム(濱田龍臣)は10週間の新兵訓練でミシシッピ州のビロクシー・キャンプへ。そこで寝食を共にした5人の仲間と、新兵を徹底的にしごいて規律と服従をたたきこむ鬼軍曹トゥーミ―との出会いと別れを描く。娼婦のロウィーナ(小島聖)との童貞喪失と、カトリック女学生のデイジー(岡本夏美)の恋もある。

なんといってもニューヨーク州出身の頑固で読書家のユダヤ人、アーノルド・エプスタインの存在が光る。最初はただ胃弱の神経質な落ちこぼれ兵なのかと思うと、次第に芯の強さ、無理を許さない合理的思考が明らかになっていく。とくに、トゥーミーのしくんだ「盗難」事件を、みずから犯してもいない盗みを告白して、一矢も二矢も報いるところはすごい。エプスタイン演じるのは宮崎秋人。宮崎は真面目な坊ちゃん刈りと眼鏡で、二枚目を隠して、これまで見たのとは全く別人。繊細で偏屈なエプスタインを好演した。エプスタインの敵役であるトゥーミー(新納慎也)も、優男がサディスティックな軍曹を演じるから、そのギャップにすごい面白みがある。そしてコミカルでなく怖い。
この二人を描くことで、サイモンの戯曲としては、最も深みがある作品かもしれない。

良いせりふがいくつもある。とくにユージンの「文字に書いたことは皆信じてしまう」という教訓は、いまのSNSの炎上、ネット社会(その走りだった佐世保の小6女子の事件)を見ると、その意味は一層深い。マクルーハンは「聴覚型社会」から「視覚型社会」への転換を指摘していたそうだ。
ほかにも「どうしてわざわざ苦労をしょい込むのか」問われて「苦労がなければ人生は朝の11時で終わる」(エプスタイン)。「君は人生へのツッコミが足りない。傍観者に過ぎない。人の言動をノートに書いているだけ。人生のどまんなかにとびこまなければ」(同)とか、理性などいらない「兵隊が敵の前に飛び出すのは、けつに銃剣を突き付けられているからだ」(トゥーミー)等。「彼女の名前を思い起こすと、小さな心臓発作を起こす。命を奪うほどではないが」という恋愛気分も。
「人間以下の異分子、へそ曲がり、落ちこぼれ云々」の、トゥーミーのエプスタインへの敬意を秘めた悪口もいい。
2時間45分(休憩20分込み)

ネタバレBOX

エプスタインのモデルもいたのだろうか。ヨーロッパ戦線で行方不明、遺体も見つからないという最後だったが。また歌が好きなカーニーは、6ケ月砲撃にさらされて精神病に、二度と歌わなかった。頭は足りないが突進力のあるワイコフスキ(大山真志)は、片足を牛なう。それぞれの戦争は苦い。ユジーンは戦場に行く前に、けがで「星条旗新聞」記者に回され、作家デビューを摑む。「罪悪感を覚える」と告白していた。
工場跡地舞台芸術祭

工場跡地舞台芸術祭

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

CCO クリエイティブセンター大阪(大阪府)

2023/11/05 (日) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

ここも三作品とも色が違う
朗読とダンスにシェークスピアの身体表現に落語演劇
MVPはハコボレ

工場跡地舞台芸術祭

工場跡地舞台芸術祭

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

CCO クリエイティブセンター大阪(大阪府)

2023/11/05 (日) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

満足度★★★★

各々30分の演劇だけでなく、パフフォーマンスもありで楽しめました❗この三作品では、カオス卒業生がMVPでした❗

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

念のため、ネタバレboxに感想を書きました。

ネタバレBOX

どんどん入れ替わりで色々な人のストーリーが展開されていき、、、面白かったです!
関根さんをはじめ台詞の間や畳み掛けが面白くて笑いっぱなしでした🤣
劇中歌も物語にマッチしてて、より話が心に響きました✨
全てが素敵な作品でした!
エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千秋楽、観てきました。
ピースが徐々に嵌っていく感じ。

夢の途中のおはながみ

夢の途中のおはながみ

演劇サークルact

キーノートシアター(東京都)

2023/11/03 (金) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽しかったです。初めはどんなふうに展開するのかなぁと思ったけど、大人は大変だけど大人は素敵な事もいっぱいある…だなぁ

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

以前観た戯曲なのですが、あまり覚えておらず新鮮に観れました。
いくつかの物語がラストで繋がる展開、すっきりしました。
キジムナーがイイ味を出していましたね!

未踏

未踏

wonder×works

座・高円寺1(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

金田一さんの半生とアイヌを絡めた舞台、見応え充分でした!
場面転換でのサンドアート、それだけでも見る価値アリですね!

GIRLS TALK TO THE END vol.4

GIRLS TALK TO THE END vol.4

藤原たまえプロデュース

OFF OFFシアター(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自分と同じ位の時代設定なので、始まりの昔懐かしい音楽やダンスからワクワク。
学生時代からの謎とその28年後にわかる真実。女性のちょっと嫌なとこが見事に表現されていて面白かった。

洋館ミステリ劇場 江戸川乱歩「闇を這うもの」11月公演 @中央電気倶楽部

洋館ミステリ劇場 江戸川乱歩「闇を這うもの」11月公演 @中央電気倶楽部

G-フォレスタ

中央電気倶楽部(大阪府)

2023/11/04 (土) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

相変わらずムズいけど、面白ろい
犯人は当てたが、プロセスが…
全て東京にもってかれた…😞

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 βチームを拝見、尺は120分。

ネタバレBOX

中盤迄、何とも間の抜けた退屈な展開だが、これも仕込み。役者陣は中々頑張っている。自分はキジムナー役と美保役、田中役が気に入った。キジムナーはその優しいキャラが。美保役は終盤に近くなるほど素敵に見えてきた演技が、田中役は下種共に対する暴力的態度が。シナリオは2010年に初演された鴻上尚史作品だが、あの年、鳩山が基地問題で首相を辞めさせられ菅内閣が発足、その後自民が再度与党に返り咲く迄の僅かな間多少民主的であった時代だが、国民の殆どがそのことの意味する処を理解できなかった時代でもある。そんな情けない国民の持ち得た最後の民主的時代を浪費していた体たらくが今作前半に表現されているのかも知れない。何れにせよ、中盤からは漸く普通のレベルで骨格ができ、肉も付いて作品らしくなってくる。興味深いのは、社会のダーティーな部分が登場人物として様々に描かれている点だ。ネットを利用した企業の社長が傷害犯として追われており、従業員はリベンジポルノが流布された経緯でAV女優の過去を持つ為削除されない映像に傷つき自己否定に走る傾向を持つ。プロカメラマンを名乗る広瀬はスケコマシ、広瀬に貢ぐ女は風俗嬢等々。ダークグレイな人物が多々描かれている点が興味深い。
 こういった怪しい登場人物たちの登場を埋め合わせるように沖縄の離れ小島の児童を話の中に登場させたり、キジムナーという伝説の存在を登場させたり、案外デリケートな作家志望の一色を登場させたりして全体のバランスを取っている構造自体は全く新味がない。ただ、最初バラバラに見えたパズルの断片を繋ぎ合わせて作品を創造してゆく過程が面白かった。
未踏

未踏

wonder×works

座・高円寺1(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 べし観る! 華5つ☆。途中休憩15分を挟み約3時間の長尺だが、全く長さを感じさせない。流石文学座も関わっているだけのことはある。例えば女性の立ち居振舞いにしても(和服の着こなし、歩き方、正座の姿勢、仕方等)当時のキチンとした作法である。現代の日本では殆どみることができないが。(追記11.7)

ネタバレBOX


 今作は日本劇作家協会プログラムの秋の劇場十七として上演されている。作・演出は八鍬 健之介氏。ホリゾント中央にスクリーンを設け、手指を用いて描かれるサンドアートによって物語の情景に伴走するように表される詩的映像が音楽と共にリアルタイムで描かれてゆく。それは知里 幸恵が、最終校正を終えたその日に僅か19歳の短い生涯を終えた衝撃的な死に飾られ余りに切なく美しい。
 サンドアートの手指によるイマージュ表現は、彼女が狩猟・採集民として自然の懐で自然の摂理を深く理解し生活してきたアイヌ民族の実に詩的で美しく精妙でデリケートな口伝を基に生涯を懸けて編集・翻案し日本語訳した書「アイヌ神謡集」との間に橋を架け、唾棄すべき大多数の和人からの差別に対してすら、遥かに深く広い世界に暮らし交感し表象した気高いアイヌ精神に照応するには最適の手法であろう。この稀有な少女の才能を見出し、鍋釜さえ穴が開いて使えないような極貧の中で幸恵を自宅に招いて住んで貰い共同研究に励み遂には世に出した金田一京助、妻・静江の共同も見事。学問的には優秀人格的には高潔でも研究に熱中する余り、実生活については極楽蜻蛉の趣さえある京助をキチンと叱ってくれる静江の姉・林カオルの現実の生活者としての優しさ、日本で比較言語学を提唱し根付かせた京助の恩師で東京帝国大学名誉教授でもある上田 萬(万)年は、大学長でもあり貧に窮した京助に様々な援助の手を差し伸べた。また上田は当時法制局参事官をしていた民俗学の大御所・柳田國男に京助の論文を紹介し殆ど無名であった京助を世に出した。日本を代表するこれら優秀な研究者間の論争シーン等も入り、これらのやり取りの中にある学問を追求する者としての姿勢や研究する者としての高い見識と共に世界に対する態度や倫理、責任感等についても描かれるが、現代我が国の為政者による天下国家の運営に関する完全な破綻を敢えて自らの意識から排除し、詭弁で取り繕う情けなさが嫌でも対比され、同時にそんな政治をコントロールできていない我ら国民の不甲斐なさにも切歯扼腕の念が募る。
 物語は、幸恵が亡くなる迄の前半と幸恵の弟・真志保が東京帝国大学に入学後、寮でも味わう被差別状況と屈折等を、それこそ某大学に標本として残されたアイヌの遺骨に対する態度に現代でも表されている通り、露骨な観察対象や実験動物に対する態度の如き視座の対象とされることへの忌避を表現している。また真志保(後アイヌ民族初の北海道大学教授)登場の伏線として南極探検隊に参加すると京助に会いに来た樺太アイヌ・山辺 安之助を登場させ被差別者の意気地を見せている点も、アイヌというだけで極めて非合理的な差別を受けた総てのアイヌを代表させる意味を汲み取るべきである。
 上記の物語と平行して上田や谷川らの助力、編集者・岡 秋倫らの支えもあり京助の実力も徐々に世に知られるようになり初めは講師職を上田の計らいで得、大学教授迄出世してゆくがその過程に太平洋戦争に突入し敗戦後の混乱期を経た恩師、弟子や編集者らとの後日譚が描かれる。
 ラストシーンは再び、冒頭のような汽車車内である。この汽車は、賢治の「銀河鉄道」のように四次元を行く汽車と重ねられるだろう。金田一京助及び一家の消長と研究者・編集者らの世界、幸恵の「アイヌ神謡集」を仲立ちとした前者和人グループとアイヌ民族、そして様々な地域で暮らす和人たち等々が、現実に暮らす敗戦前・後と現実に経過した実際の時ではなく、賢治風にいえば四次元の時空即ち過去・現在・未来ではない時に揺蕩う“時”内を描いて終わるのだ。
 ところで「アイヌ神謡集」の真価とは何か? 欧米文明が自然破壊の危険について大々的に知るようになったのは、「沈黙の春」出版以降であろう。然し乍らアイヌやネイティブアメリカンら狩猟・採集民族の殆どはその生活の中でこの根本を心得ていた。田中 正造の有名な言葉“真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし”と喝破したことを詩的で神々しい高みのことのはで表現したことだろう。

 自然破壊の央、我らの為した愚かな文明の結果を後目に、名著と評される「アイヌ神謡集」は、その気高い精神を今に伝え高く宙(おおぞら)を舞う。そしてその断片が雪の如くに降り積み、ほらここに 我らの心の内に! 今も大切なことを伝えている。

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