「八月のシャハラザード2024」
ネバーランドプロモーション
萬劇場(東京都)
2024/01/24 (水) ~ 2024/01/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とてもおもしろかったです。良くできたお話で2時間のお芝居もあっという間に感じました。話としては死を扱っているので重くなるかと思いきや、明るく楽しく見られました。心が暖まるシーンや内容もちりばめられていて良かったです。役者の皆さんの演技も熱演でしたね。楽しい時間ありがとうございました。
カンテン「The Foundations」
カンテン事務局(Antikame?)
座・高円寺1(東京都)
2024/01/24 (水) ~ 2024/01/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
素晴らしかったです。ミニマリストな演出に演劇の原点を見た思いです。まさかあの宗教団体の話だったとは… しかもああいったアングルであの団体を扱うとは… すごくよかったです。
死ねばいいのに
舞台「死ねばいいのに」製作委員会
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2024/01/20 (土) ~ 2024/01/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/01/24 (水) 14:00
繰り広げられる会話に惹き込まれ、時間の経過を感じることなく、あっと言う間の約1時間45分でした。おもしろかったです。
咎人の刻印
High-position
紀伊國屋ホール(東京都)
2024/01/18 (木) ~ 2024/01/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
かなりダークなサイキックSFアクションの舞台、なかなかに楽しめました。色々と設定に腐心していると思いますが、デジャブ感がありますね。
ウィキッド
劇団四季
JR東日本四季劇場[秋](東京都)
2023/10/19 (木) ~ 2024/01/27 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
97年キャッツぶりの四季、もちろん初ウィキッド
表現する言葉を持ち得ず、ただただ心を震わせた。
OZの魔法使いを知らなくても十分楽しめるストーリーだと思う。だからこその人気なのかな。
エルファバが感情表現が凄くてほんと幸せになって欲しいと思った。
おしてるや ~君を想ふ~
真紅組
道頓堀ZAZA HOUSE(大阪府)
2024/01/19 (金) ~ 2024/01/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
戦国の終わり、焼け野原となった大坂の人々の人情とエネルギーにあふれるお話。
道頓堀にこんな歴史があったことを初めて知り、帰りに戎橋からの眺めでもう一度感動しました。
最終的に全員が笑顔になって、観ている側も笑顔になれる素敵な作品でした。
久兵衛と藤次のコンビとか、左近一座の女たちとか、それぞれのキャラと関係性が分かりやすく描かれていて、上手くできてるなぁと思いました。
シラの恋文
シス・カンパニー
日本青年館ホール(東京都)
2024/01/07 (日) ~ 2024/01/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/01/20 (土) 17:00
2度目の観劇。終末感にあふれた舞台。100分。
観劇後、友人と話して『寿歌』との関連を強く指摘された。それは初日に観たときにも思っていたが、北村の反戦、と言うか、終末が来ないことを祈る気持が現われてはいる。
死ねばいいのに
舞台「死ねばいいのに」製作委員会
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2024/01/20 (土) ~ 2024/01/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/01/23 (火) 14:00
座席1階
ナベプロのDボーイズメンバー新木宏典ら俳優をお目当てに来ている女性が圧倒的に多いな、という客席だったが、シライケイタの脚本・演出はとてもおもしろい。人気俳優がお目当てでない人も十分に楽しめる名作だ。
まず、開演前。舞台手前に向かって傾斜した舞台がおおむね4つのパートに分かれてソファやテーブルなどが置かれている。この傾斜舞台が非常に新鮮。台本に沿った演出では特段、傾斜が生かされているという感じでもなかったが、まずは注目の的である。
物語は、新木が演じる自称・世の中を知らないバカな若い男が中年サラリーマンを呼び止めるところでスタートする。死んだ知人のアサミについて知りたいというのだ。この無礼な若い男と、上から目線の中年男のバトルトークのような会話劇がまず、おもしろい。当初は説教を垂れるような調子の中年男だったが、話を重ねるうちに形勢が逆転。アサミを知りたいという話だったのにいつのまにか自分のことばかり弁解しまくる中年男。区切りとなる決めぜりふが、タイトルにもなっている「死ねばいいのに」だ。
アサミの母親や自宅マンションの隣人女性など、アサミに関係のある6人をこの若い男が「アサミのことを知りたい」と次々と訪ねていくオムニバスのような感じで進んでいく。これら関係者とアサミとのかかわりはそのパートごとに明かされていくが、最後まで分からないのは、誰がアサミを殺したのか、そしてこの無礼な若い男とアサミとの関係は何なのかというところだ。その答えを提示する衝撃の展開が待ち受けている。
一番の面白さは、それぞれ激しく展開される会話劇。シライケイタの真骨頂と言えるのかも。それぞれの俳優がこの劇作家の注文にきっちり応える演技をしているのだが、残念なのは主役の新木君。長ぜりふもあちこちにある会話劇で大変なのは事実だが、ちょっとかむ場面が目立ってしまっていた。
でも、この舞台は文句なく面白い。人間の身勝手さや正直さがクロスオーバーする展開には感動する。いい舞台だった。
白雪の原罪
劇団ZTON
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2024/01/12 (金) ~ 2024/01/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
久しぶりの新人公演!
ZTONさんらしい殺陣を織り交ぜ、「白雪原罪」人の業と向き合うお芝居に!
白·黒 白雪は客演 サン=シュイ,中井静華さんが熱演、一ノ瀬さんの殺陣も👍だが、
新人さんも結構個性的な役所で、これからが楽しみ😃
主演されるのを待ってる🎵
楽しかった💕
柔らかく搖れる
近畿大学舞台芸術専攻33期生 演劇
近畿大学 Eキャンパス D館 3階(大阪府)
2024/01/12 (金) ~ 2024/01/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
Bキャスト観劇
厳しく甘く、好きで嫌い、支えて貰ってるのに、それを当然と思う?!
多かれ少なかれ、世の家族は…
依存しあう家族って、現に厄介!
普通の人達なのに、現に厄介!
血の繋がり…大変だね!
大変、面白かった。
Aキャストも観たかった
ライラックバージン
The Smoke Shelter
新開地アートひろば(兵庫県)
2023/12/22 (金) ~ 2023/12/25 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前作の世界観が好みで拝見!
殆どの人が都会病で色が見えない中、色が見えるシドは死んだテトラの姿も…
少女達が抱える淡い想いや葛藤、真っ直ぐな思いがすれ違い、惹きつけあい…
テトラの死の秘密とは…
少女達の心の機微がとても繊細で心にしみた。
グッドバイ
シアワセナゲキダン
神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)
2023/12/23 (土) ~ 2023/12/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽観劇。
愛人4人と別れる為、絶世の怪力女を妻の替え玉に…
今年のクリスマスは、太宰治の未完のコメディで…
クスクス🤭ワッハッハ🤣と大笑い!
やはり中佐和葉さん子役は最強!
笑って笑って、最後はキュンと何だか良い話に!
笑いと愛で良いクリスマスイブに🎄
星の王子さま
劇団三日月座
横浜国立大学 第1食堂下 共用室3(神奈川県)
2024/01/21 (日) ~ 2024/01/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/01/22 (月) 19:30
価格0円
新年初観劇!行ってきました横浜国大。
羽沢横浜国大から降りて結構歩きました。坂道が多いので余計にそう感じるだけかな;
サン=テグジュペリ原作の「星の王子さま」。フランス語では「小さい王子」と読みます。
異なる脚本ではありますが、私自身「星の王子さま」の舞台に何度か出演したことがあるので、非常に思い入れの深い作品だったりします。
あの頃の思い出が台詞と共に巡り巡って、最後はウルっと来てしまいました。
チョイス
maropi工房
VRChat(東京都)
2023/11/25 (土) ~ 2023/11/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
VR空間上での演劇。まだまだ、世間での認知度は低いと言わざるを得ないのだけども、しっかりとやっている。
「VR(仮想)空間上での演劇」とは、VRヘッドセット及びモーショントラッキングセンサーを演者・スタッフが装着し、VR空間上で演劇を行う。殆どのスタッフは自宅からネットを介してアクセスしており、VR上の同一空間において舞台を作り上げていく。VRSNS、いわゆるメタバースにおいて、花開こうとしている文化の一つだ。
本公演はVRSNSであるVRchat(以下VRc)にて2023年11月23日から26日にかけて行われた『メタシアター演劇祭』に出展していた作品である。
あるレストランにてカップルの男性がプロポーズを行おうとしている。プロポーズを受けるか否か、女性が考えるのだが・・・という一幕シチュエーションコメディである。上演時間は約30分。
VRとなると、まず視覚的な演出をつけられるのだが、3Dゲームの様なゲーム空間を想像して頂ければわかりやすいかもしれない、本作品はそこまで強く出ておらず。むしろ、現実的な小演劇場で行われる公演の形に近い。
舞台中央にテーブルがセットされ、レストランの壁紙レイアウト、そしてステージ奥に上下手で向かい合うように、現実で言う3m程度の高さの台座が壁に掛けられる様に置かれている。基本のセットはこの3点のみである。
「なんだ、ありきたりな話か」と思われたかも知れない。しかしながら、まずはその「ありきたりな話」をVR空間上で行うとどうなるのだろうか。演者は確実に人の動きをトラッキングしている。現実の演劇とはどう違うのか、感じ方、触り心地は違うのか。今回はオリジナルの脚本ではあるが、現実でもやられるような演目でも印象は異なるのか。
ただ、これ以上の詳細は避けたい。というのも、こちらの舞台。YouTube上において、アーカイブ動画として残っている可能性がある。そちらのアドレスをこちらに貼付はしないのだが、是非とも探しだして観てほしい。多分、『X』辺りに・・・。なかったとしても、いずれは観ることもできるだろう。
30分という短い時間ながら、これは良質なシチュエーションコメディであると思う。また、このフライヤー画像、意味が観ることで初めて分かる仕掛けであり、こちらでもちょっとした楽しみがある。
ただし、VRでの演劇は未だ黎明期である。現実空間での芝居とは主に身体操作で異なる点も多く。モーションセンサーの認識ミスで体があらぬ方向に行ってしまったり。
個人のマイクを通しての発声なので、役者によってはノイズがのる。劇場の音響効果とはかなり異なり、特に反響音がないこと等など、気になってしまう点も。
表情は未だにこちらは現実の顔の動きを読み取ることはまだ一般的ではない。そのため、仮面劇か人形劇に近い感触になるかもしれない。
自宅から時間・場所を気にせずにアクセスして観劇が出来るVRの演劇。まだまだ、発展の途上ではあるのだが、確実にその文化は広がってきている。新しい形の演劇として、一度是非ともお試しあれ。
アンネの日
serial number(風琴工房改め)
ザ・スズナリ(東京都)
2024/01/12 (金) ~ 2024/01/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
石原燃脚本、東京演劇アンサンブルの傑作『彼女たちの断片』を思い起こさせる。全ての登場人物の人生が徐々に重なり合って協奏曲となり、共通項である“生理”を入口とした女性論、人間論が紡がれる。それぞれの初潮を迎えた時のエピソードから、それを人に伝えた時の気持ち、その時の相手の反応。女性だったら誰もが抱え隠し持つ経験。人によって歓びだったり痛みだったり恥辱だったり優しさだったり。
初潮から閉経まで女性の生理期間を日数として数えると、最大にして9年間だと語られる。女性の一生の内、9年間は生理中だということ。男性には想像もつかない。
かつて中米の人と結婚した知り合いの女性が、高地の生活環境での生理が重過ぎて帰国したことがあった。その時は「へえ、そんな辛いもんなんだ」位の感想だった。
自分にとって生理とは全く感覚的に掴めないもので、今回初めて知ることばかり。こういう教育こそ学校でやるべきだと思う。女性だけでなく男性こそ知るべきだ。皆こんな辛い思いを当り前に繰り返しているのか?
プラカードやスケッチブックをラウンドガールのように抱えたアンネ・ガールズの入退場、椅子と机をマスゲームのように配置していくスマートな演出。背景の壁は残雪の残る山の岩肌を思わせる。
アネモネコーポレーション生理用ナプキン開発部、サブリーダー、李千鶴さんは身体に害のないオーガニック(化学合成された成分を含まない製品)生理用品の開発を提言。突然の提案にリーダーの林田麻里さんは難色を示すも、ザンヨウコさん含め同期で未婚の女達が中心となり社内のコンペ企画に参加することに。
ツワッチ役林田麻里さん、見事にニュートラルな立ち位置で物語のバランスを担った。
ドイカナ役李千鶴さんの親友の死が物語の核となる。何故、そこまでオーガニックに拘るのか?
個人的MVPはタボ役ザンヨウコさん。この人が口を開くたび、客席がどっと沸く。幼い頃に親が離婚、父親と祖母に育てられた生い立ち。
鬼の企画部部長、オキョウさん役伊藤弘子さん。離婚して息子を育てている。更年期と閉経について語る。
コンノ役橘未佐子さん、母親に愛されなかったトラウマを、結婚して出産した今も抱えている。
エイカ役葛木英(くずきあきら)さん、好奇心旺盛なボーイッシュな化学者。初潮を教室で男子にからかわれたトラウマ。突然の謎の結婚に社内は興味津々。
企画部の若きエース、サヤカ役瑞生(みずき)桜子さんは永作博美みたいな清純派顔だが、かなり気が強そう。邪悪な役を観てみたい。
リオ役真田怜臣(れお)さん、本物のトランスジェンダー。整形なしで辺見マリ似のこの美貌。
勉強になった。
世の中、本当に知らないことばかり。
コトの葉
株式会社T-gene
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/01/18 (木) ~ 2024/01/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
劇場に入った瞬間のセットの素晴らしさ。
Tgeneさんは いつもセットの細部にまで こだわって作られているので 毎回 楽しみにしている。
そのセットにも負けない 繊細な会話や演出も 素敵な舞台。明るいストーリーではないけど 温かいストーリーだと思う。
また 音楽も素敵なので 注目してほしい。
ダンシング・アット・ルーナサ
劇団俳優座演劇研究所
麻布区民センターホール(東京都)
2024/01/12 (金) ~ 2024/01/13 (土)公演終了
実演鑑賞
未見のこの戯曲に関心あり、久々に俳優座研究所卒公を観劇。
いつもの赤坂区民センターでなく今回は以前馴染みのあった麻布区民センター、と気付いたは良いが駅から反対に歩いてしまい、5分遅れ。他の二人と共に席へ案内されると、冒頭の主人公の語りが終わるあたりだった。
「現在」の彼がかつての日々について語り、抒情的な音楽が高まると共に暗転、回想される日々の物語が始まる、という寸法。この戯曲が「ガラスの動物園」に影響されて書かれたという背景から考えると、冒頭で彼が語った内容は彼自身にとってのその日々の意味、今の思いだろう、が人物紹介までやったかは不明。それらは追々説明されていた。ちなみに語り手の彼は回想劇には実体としては登場せず、周囲は小さな彼がいるらしい透明な空間に時々話しかける。登場するのは折節に観客に語り掛ける現在の彼である。
アイルランド作家による家族の物語。さあ見るぞと勢い込んだが、体調が思った以上に不調だった模様で台詞の「音→意味」変換が頭の中で追いつかない。ニュアンスだけでも掴もうとするが、特に声量の小さい俳優の所では大意を掴む(点と点で線にする)作業が途切れ、張った糸が下に落ちる。また、身体表現にまで落とし切れない若者の演技では説明台詞が大きな壁。(自分の体調を棚に上げて何だが)一幕はほぼ睡眠時間となった。
二幕から覚醒した。父の居ない家族の在りし日の貧しいながらの暮らしの華やぎと、既に忍び寄っている危うさが一挙に表面化して崩れ去る様とが、無慈悲に描かれる。
アフリカから帰還した神父である長男は精神にやや異常を来しリハビリの身で何時ミサが開けるか分からない。家族を仕切るのは長女、それを補佐する次女、内職に勤しむ三女、四女、結婚して子供(主人公)のいる五女。
可愛らしさと痛々しさ、健気さと酷薄さが共存する。ダンシング、というタイトルは彼女らが時折「踊り」を披露する場面に因んでいるが、3度程のその場面はドラマに絶妙に噛んでいる。
ルーナサは祭の事で、回想劇の初めはその祭の思い出を語りながら、踊りを再現する。はしゃいでいるメインは四女で、これに次女が付き合っている。
次の場面は、結婚していながら何故か実家に住む五女を、別居している夫が送って来た夜。家の中では夕食の準備か何かでにぎわうが、月明かりの下「君は最高のダンサー」と言って踊る二人の場面がある。彼は踊り好きらしい。
暫くは踊りから遠ざかるが、ある時壊れたラジオを五女の夫が修理できるらしい、という事でやって来る。「本当は自信がない」が家に入ると彼は任せて下さいと請け負う。「きっとアンテナだ」と当たりを付け、家の背後の電信柱に登り「頑張ってる」姿、それをよそに姉妹らは会話を交わしている、と、ラジオから音楽が流れ始める。努力が報われ褒められ気を良くした彼は、音楽に合わせ「踊ろう」と姉妹らを誘う。まず次女を誘って少しだけ踊った後、かねて一度踊ってみたいと願ってたらしい三女に声を掛ける。普段大人しい清楚な印象の彼女は一旦断るも誘い上手に断れず、実は達者な踊り手で自然体が動き、二人の踊りが盛り上がる。「この位で」と三女にピリオドを打たれた後、次は・・と妻を誘おうとするや、彼女がラジオを切る(恐らくコンセントを引き抜いたか断ち切った)。怒りを抑えて彼を拒絶し、悲しい顔で男は去って行く。
ダンスが人を繋ぐ場面ではなく、断絶を深めた事で不安定さが極まる。
先述した「ガラスの動物園」の影響はパンフに書かれていた通りであったが、ドラマの殆どを占める回想場面に漂う憂い、壊れやすさでもある美しさは無情に砕かれるといった要素が確かに共通している。だがイデアとしての美しさは倫理的な死を意味せず、思い(魂?)は漂うのだ。(これを別役実は捕えて戯曲化したのやも。)
違う点は、「ガラス」は戦後アメリカの繁栄の「陰」を印象づけるのに対し、本作は強国イギリスに翻弄された小国の、常に変わる事のなかった宿命の色彩が垂れ籠めている。
最近映画「ベルファスト」を観てアイリッシュの魂に触れた思いであったので、それが観劇に反映したのかも。
それにしても、この作品を数年前に観ていた事は後になって気づいた。
後半を観ながら「どっかで観たかも」という感覚はよぎったのだが、風のように過ぎっただけだった。同タイトルを民藝が昨年上演した事は知人から良い舞台だと紹介されたので覚えていたが、自分が観た舞台としては忘れていた。この脳の状態は中々マズイな。(独白)
みえないくに
公益社団法人日本劇団協議会
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/01/18 (木) ~ 2024/01/21 (日)公演終了
実演鑑賞
前半の幾つもの(恐らく重要な)場面を寝てしまった。どう感想を書くかと迷うが、、
翻訳家事情が最初に語られるのだが、異言語を逐語的に変換する事の困難は、翻訳を続けている内に気づくような真実ではなく、始めた時点で不可能だと気づく位のものだろう。そこで翻訳家の経歴についての想像が萎えてしまう。嘘っぽくなる。その他の部分でもリアリティに?が挟まる箇所がある。
それが後半になってある種の劇的な緊迫感が生じる。だが私は置いて行かれた。60歳の出版社勤務の女性に「懐いている」JKとの関係性も飲み込めずに終わったが、これを納得させる説明が伏線として語られていたのかも知れない、、とか。
架空の小国の架空の言語(文字)の美しさと、その言語で書かれた小説に魅せられ、そこに夢を見た人達がいた。それが出版界事情という壁、そしてこの小国が他国を攻撃し消滅させられたという衝撃の事実の前に挫折する。しかもかの小説家は軍事政権の攻撃を支持する声明を発したとのニュースも。
全ては闇の中にあり、鬱々とした日常は「夢の無かった」殺伐とした現実の時間へ回帰する。それはもしや彼ら(彼女ら)のもう一つの(その美と出会わなかった)人生か、あるいは出会ったがゆえに味わう喪失の残酷さか。。
ラスト、壮一帆演じる翻訳家がかの国に行こうとスーツケースを引きながら訪ねてくる。そこは定年を前にただ一つ有意義な仕事を残す事に賭けていた出版社勤務(土居裕子)が引き篭もる部屋。そこにJKも居り、真実を見ようと決意する三人の旅立ちの絵で幕が降りる。
成立したかも知れないドラマの様相を想像力で補填したが、届かないものが残る。
歌わない土居裕子の芝居を堪能できたのは収穫ではあった。勿体ない観劇になった。
劇読み!2024
劇団劇作家
アトリエ第Q藝術(東京都)
2024/01/20 (土) ~ 2024/01/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
最近は精力的に本格公演を打っている劇団劇作家の久々の「劇読み!」。行けたのは2日目「玄界灘」のみだったがこれが傑作だった。金達寿による同名小説の原作を約90分(通常上演をやったとしても100分程度ではないか)の上演にした。この内容では中々の大著だったのではと窺わせるが、この尺に収めた脚本も高い出来である。
追記するつもりでいたが打っ棄ってしまっていた(忘れていた)。
上の文章がなぜか馬鹿に淡泊なのだが、このリーディング公演のインパクトは強烈だった。日本による植民地支配の動的側面を活写した原作の戯曲化で、昨年同劇場で上演もされたが、このリーディングに集った役者の台本を持ちながら淀む事なく熱演する様子(台詞の無い時間も台本の文字をドラマと同期して追っている)、そして動線などの最小限の演出にも関わらず、観劇後は普通に演じた舞台を観た感覚が残った。
支配構造の中でうまく立ち回る事に命を賭けた(ケツを差し出しケツを舐め続ける)現地人、親日派の裕福な家庭に生まれニヒルな日常を送るもやがてレジスタンスに加わる御曹司、その家族、日本から帰郷し有利な就職口を得るべく御曹司の父に口利きを頼んで来た旧友、その男を追って海から渡って来た日本人女性、京城警察署長、レジスタンスの者たち、等等。力による支配がもたらした現実は理不尽なものでしかあり得ないという(当り前の)事実がリアルに描かれる。怨嗟の物語を歴史から切り取った。。
わが町 高円寺 阿波おどり前夜
演劇なかま高円寺
座・高円寺2(東京都)
2024/01/19 (金) ~ 2024/01/21 (日)公演終了