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サンタクロースが歌ってくれた

サンタクロースが歌ってくれた

キャラメルボックス・ディスカバリーズ

新宿スターフィールド(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
キャラメルボックスの代表作…クリスマスイヴの物語ということもあり、上演前からクリスマスに係る曲が流れており まずは雰囲気作り。劇中劇ならぬ銀幕から上映中人物が飛び出してくるという突拍子もない設定が妙。現実(2人の女性)と虚構(映画「ハイカラ探偵物語」の人物)、現在と過去(大正5年)、実人物(芥川龍之介と後の江戸川乱歩)と 役 といった 時間と場所と人物を交錯させ、不思議な世界観へ誘う。表層的な面白可笑しさの中に 人間---特に文筆家としての才能、その嫉妬心が浮き彫りになる。ちなみに 江戸川乱歩は大正5年に早稲田大学を卒業するが、別意味で その卒論が「競争論」だったような。

公演の観どころは、脚本の面白さは勿論だが、演じる俳優陣の観(魅)せるといった意気込みが凄い。豊かな表情、躍動感ある動き、そして情感溢れる気持を表(体)現し、物語の世界へグイグイと引き込む。ディスカバリーズ…キャラメルボックスの若い劇団員たちによる公演。そして同俳優教室の生徒やゲストを加えた総勢14名(Yキャスト2名含め)が 夫々の役を生き生きと演じており、フレッシュで活力に満ちた劇になっている。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)【Xチーム】 

ネタバレBOX

舞台セットは額縁のようで 左右の上辺に赤い幕、それは映画スクリーンに見立てているようだ。シンプルな舞台だが、スクリーンを飛び出し 都内を巡るシーンを演じるためのスペースを確保する。

梗概…現代-ゆきみはクリスマス・イブに友人のすずこに電話をかけ、映画『ハイカラ探偵物語』を観に行こうと誘う。以降、彼氏がいない女性2人の妄想のような…。
映画の中-「ハイカラ探偵物語」の舞台は、大正5年のクリスマス・イブ。華族の有川家に怪盗黒蜥蜴から宝石を盗みに来ると予告状が届く。警察(警部)が来るが何となく頼りない。そこで有川家の令嬢サヨが友人フミに、フィアンセである小説家芥川に探偵役を依頼できないか相談する。依頼を受けた芥川は友人の太郎(後の江戸川乱歩)と共に有川家を訪れ、黒蜥蜴と対峙する。そして映画は序盤のクライマックスシーンへ、そして芥川は犯人の名前を言おうとするが…。本来ならその場に居るはずの黒蜥蜴が、忽然と居なくなった。突然、芥川は黒蜥蜴が「銀幕の外」に逃げたと言いだす。そこで芥川・太郎・警部の三人は銀幕から飛び出し、ゆきみと共に黒蜥蜴を追いかける事に。

犯人・黒蜥蜴の名は江戸川乱歩の代表的な探偵小説。その謎解きに芥川龍之介の短編小説「藪の中」を連想させる。証言と告白という手法、しかもそれが曖昧で信憑性に欠ける、いわば途中経過の不完全さが次シーンへの興味に繋がり最後までストーリーに集中させる。犯人は推理小説らしく意外と言えば意外かもしれないが、それでも何となく想像が及ぶ範囲ゆえ少し新鮮味がない。犯人の犯行動機は、芸術家らしい才能への嫉妬心というところに品性を感じる。架空の存在の銀幕の人々、現実世界の女性2人が交流するファンタジー。まさしくクリスマス・イヴらしい物語。
ちなみに先の映画も、結末は予想がつきそうな展開で独創性や目新しさみたいなものはなかった。しかし、この嘘くさい世界観にはまって幸福感を味わうのも事実だった。
次回公演も楽しみにしております。
アメリカの怒れる父

アメリカの怒れる父

ワンツーワークス

駅前劇場(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今、上演される意味のある作品だと思います。

看板俳優の奥村さんの自在な演技もさることながら、
脇を支えるメインキャスト陣のしっかり地に足のついた演技、
アンサンブルの力の支えがあって非常に見応えのあるお芝居でした。

決して明るく楽しく元気よく!という内容ではないですけど、
観劇後に自分が感じたことを大切な家族に話したくなりました。

ネタバレBOX

帰りにいただいたお手紙を帰りの電車で読んで、胸が熱くなりました。

作品の中では自由・平等・正義については取り扱われるけれど、
平和ってなんだろうと思わずにはいられませんでした。

きっと明日戦争が起こっても「まさか」と思っちゃうような平和ボケを、
家族・民族・宗教
あまり普段深く考えていないことを振り返り考えるきっかけになりました。

ビルの悲しみ、怒り。
どうして彼はお酒や薬に溺れたのか。
勇気のない自分を奮い立たせようとして、溺れてしまったのではないか。
溺れてしまう弱さは誰にでもあるものではないか。
溺れることを逃げとして一番許せなくなってしまうのは自分自身なのではないか。
だから悲しみは深まり、自分へ向けられない拳は世間への怒りとなって募るのではないか。

憎しみや恨みの連鎖からは幸せは生まれない。

ビルが幻想のウィルに
「お前は俺の幻想なんだからそんなこと言うわけがない」
と言うセリフが印象的でした。
ビルの幻想であるはずの登場人物たちがこぞって彼に「返せ」と迫るのは、
彼の良心の現れなのだと感じました。

この作品を観ていると、
父と息子、父と息子の妻、父と息子の妻の家族、父と孫、
家族中の関係性についても考えます。
家族は一番小さな社会だからこそ、家族を見つめることは社会を見つめることになるのだと、
だからこそこの作品が「家族を見つめる」シリーズになるのだと思いました。

観られて良かったです。
ラスト★アクションヒーロー ~地方都市に手を出すな~

ラスト★アクションヒーロー ~地方都市に手を出すな~

劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)

サンシャイン劇場(東京都)

2023/10/19 (木) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/10/27 (金) 13:00

SETの最新作は、著名俳優などの客演を求めず劇団員を中心に構成したアクションもの。タイトルから、三宅裕司と小倉久寛によるアクションが「ラスト」なのかと思ったが、きっとそうではない(今後も期待)。これまでの舞台で、高齢者は高齢者なりのアクションを披露してきた二人だが、今作では派手な立ち回りはなく、若手俳優が切れ味鋭い戦闘シーンを披露し、世代交代を印象づけた。

パンフレットで三宅と小倉がかつて自分たちが行ってきたアクションの訓練を振り返っていておもしろい。中心となった二人の若手俳優たちも相当なけいこを積んできたと思われ、高い身体能力と若さゆえのパワーも加わって圧倒した。派手に舞台美術をぶっ壊す場面が続き、仮面ライダーとかテレビの刑事物とか今ではあまり見られなくなったアクション場面を生の舞台で堪能できる。当然、想定外のことも起きるわけで、そのあたりはちゃんとカーテンコールの場面で振り返ってくれる。
想定外なのは「高齢」俳優がせりふを飛ばしたりする場面だ。今日はせりふを口ごもったのに続いて言うべき言葉を失念した微妙な空白に、客席は大爆笑で応えた。やはり、SETの舞台でおもしろいのはこうした役者たちの素の演技だ。

そういう意味では、客席が(私が)いつも楽しみにしている三宅と小倉の掛け合いが今日は少なかったような気がする。もともと台本がそうなっていたのかもしれないが、少し残念。ラストシーンはギョッとする場面で終結する。小倉さん、このまま終わりにしないでね。

検察側の証人

検察側の証人

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2023/10/22 (日) ~ 2023/10/28 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

クリスティはフーダニット劇と名付けられている犯人探し劇を作り発展させた作家だが、それはもう半世紀以上以前。「検察側の証人」は犯人探し、というより、裁判劇として知られているが、いかにも古い。いまでもロンドンでは上演されている名作と言うが、昔の実際の法廷を使ったロケ舞台として上演されている由だから、半分は遊園地の名物興行だろう。
作品が知られるようになったのは、多分、チャールス・ロートンと、ドイツ女のマレーネ・デイトリッヒ、若手随一の人気だったタイロン・パワーの大顔合わせでビリーワイルダーが監督した喜劇タッチの映画が大当たりしたからだろうし、日本でその後当たったのは、フランス帰りの大女優岸惠子に、売れ筋監督の市川崑の舞台初演出で流行り物として西武劇場が、上演したからだろう。当時の翻訳現代劇としては珍しく、一月近く上演していた。多分これがクリスティ劇としては最高の当りである。
やはり、役者とか、仕掛けとか、もう一つのプラスワンの要素がないと、ミステリ劇はなかなかお客を呼べない。よく知られている割りには上演の機会も少ないし、やってみると客は薄い。今回の「検察側の証人」は俳優座プロデュースの制作で、ここは、ミステリ劇系の上演を長年やっている。東京で新劇系の中堅の俳優をキャステキィグして、それで地方を回る。「罠」(トマ)とか「夜の来訪者」(プリーストリ)とか、スタッフ・キャストを入れ替えながら長年やっている。いまは文学座始め各新劇団も中堅の俳優・演出を出し合ってそれなりの座組になっている。台詞はしっかりしているし、地方で新劇を見てももらえるし新人教育にもなるだろう。生活の基盤にもなる。良い企画だ。これに、「検察側の証人」が加わったわけだ。
俳優座で上演するのは二十数年ぶりと言うが、確かに最近見てはいない。地方周りの企画にするにはミステリ劇は8人前後の出演者でこじんまり娯楽劇に作らなければいけないのに、二十人以上の出演者がいる。舞台も裁判所法廷を始め何杯もあって、座組が大きい。
昔の戯曲だから、当世風に変えざるを得ない。俳優座劇場で2時間45分、これでも十分長いが、かなり原作を切っている。それも時代にあわせて上手くテキストレジして上演台本にしている。今回一番の上手い工夫は問題の核になる検察側の証人・ローマインを原作の出を大幅に遅らせて1幕の幕切れに登場させて、そこで休憩を入れたことだろう。
この工夫で、前半犯人探しのミステリ劇、後半は国境を越える男女のロマンス犯罪劇の二つのカラーを判然と見せて、楽しめるようになった。演出は文学座の高橋正徳、この人の演出では古川健の「60‘sエレジー」というすぐれた現代劇があった。時代を芝居の中から上手くつかみ出して表現する。「検事側の証人」でも、東西冷戦時代のヨーロッパという広くもない地域で出会った男女のが犯罪に惹かれていくところが、ことによると原作よりも上手く表現されている。
すっかり古びてしまったクリスティの芝居を生き返らせた功績も評価したい。



ネタバレBOX

しかし、といっては申し訳ないが、大劇団中心のキャスティングだけに皆、台詞を噛んだりはしないし、板の上の動きも的確、2時間45分足らずで上がったのはさすがであるが、地方で見せるときは、もっと、面白そうにやっても良いんじゃないか。これでは息が詰まる。木ノ下歌舞伎風に東西の裁判所の違い、法廷関係者の気風(判事、弁護士、関係者)、法廷のシステム、ヘンなカツラの由来、冷戦時代のスパイ合戦、など面白そうなイントロがあると、一層大劇団の実力が引き立つと思うのだが)
Here Come The Angels!

Here Come The Angels!

ぷろじぇくと☆ぷらねっと

ブディストホール(東京都)

2023/10/25 (水) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 Project★Planet20周年記念公演である。子供だけが罹る原因不明の奇病。片や対策を練る研究者グループ、そしてもう一方におばばと、おばばのもとに身を寄せるアリス。彼女らは、いのちのスープを作り続ける。(1回目追記)

ネタバレBOX

 さて、今作一種のSFでもあるが、描かれているのは無論ディストピアだ。人類が為している愚かな行為の結末はそれ以外に在り得ないであろうから、これは必然である。願わくはそうなって欲しくは無いものの世相を眺めている限り避けられまい。で、今作で描かれている奇病と、その前提となっているのが「大災害」だ。地軸の変化によ因るのか他の原因に因るのかは定かでないが、作中語られる処に拠れば大規模な地殻変動に伴う気候の急激な変化によってバクテリア、植物などが大量に死滅、食物連鎖上位に在った生き物はその影響を受け多くが生命の危機に向き合った。滅びたものも多い。当然人類もその煽りを食った。
Here Come The Angels!

Here Come The Angels!

ぷろじぇくと☆ぷらねっと

ブディストホール(東京都)

2023/10/25 (水) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

レトロ感のあるアーシーな近未来SFファンタジィ、なかなかに楽しめました。

MaNNequiN -マネキン2023-

MaNNequiN -マネキン2023-

もんぴぐ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2023/10/26 (木) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

煙突もりの隠れ竜

煙突もりの隠れ竜

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大阪を観た上で東京へ遠征。
会場が変われば見え方が変わる。
コンパクトな劇場になったので、世界が劇場からはみ出しそうだった。
今作から客席降りが解禁され、観客の多くが既に壱劇屋ファンであるがゆえの一体感もあり、大阪公演より胸アツ。これだから一度の観劇だけでは我慢できない劇団だ。
昨年と異なり某演劇祭のCM大賞闘えなかったのは、既にチケットが売れてたからCMの意味が無かった理由は大きいだろうし、次の公演は好きなだけ観る事が出来なくなる不安から、もう人には勧めたくなくなってもいる。

舞台 兎狩りC200の闘劇視察

舞台 兎狩りC200の闘劇視察

SIGNALWORKS

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2023/10/25 (水) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/10/25 (水) 13:00

座席1階H列1番

初日に観劇しました。B席で最後列でしたが、それでもステージから遠くなく、音響も問題なし。
どの席から見ても十分楽しめそうです。

舞台は、いままで見たことが無い独特の世界観で、特にバニーの美しい姿を前面に押し出したビジュアルは刺さりました。
スポットライトを浴びて立つ、バニーの美しい姿はこの世のものとは思えない美しさです。
この極上の世界を見ないのはもったいないです!!!

P.S
私がこれを書いているのは公演3日目の夜、残すところ公演は明日と明後日の合計4回のみです。
まだこのコメントを見て行くかどうか迷われている方がいるなら、騙されたと思って行ってください。間違いなくその価値はあると思います。あなたもその目で確かめて!

ヘンリー四世

ヘンリー四世

G.Garage///

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

二部作を一晩でやってしまうのだが、原作のエッセンスを巧く抽出して欠けるところなく面白く魅せてくれる。演者の特徴によるのか、なかなか機知に富み狡猾な側面が引き立つフォルスタッフ像で、なるほどと思わされる。リチャード二世の時と同様、あの狭く細長い舞台でシェイクスピアの遠大な作品世界を創造してしまうとは、まったく恐れ入る。素晴らしい公演。

激流ノ果テ-再演-

激流ノ果テ-再演-

劇団東俳

あうるすぽっと(東京都)

2023/09/30 (土) ~ 2023/10/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/10/01 (日) 15:00

昨年の池袋演劇祭大賞受賞作品。

セットの両端が切れているように見えるのは、昨年の劇場でのセットをそのままあうるすぽっとという大きな舞台に設置したためか。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

現代の女子高生・咲良が自死しようとしたが、その意識が終戦の年に米軍の空襲から逃げようとして高台から転げ落ちた妙子の身体の中に転移する。記憶喪失と見做された妙子として生きながら、戦災孤児となった武子と清子の幼い姉妹の面倒をみる中で生きることの意味を見出していく…。

登場人物が多いこともあって、圧巻の舞台ではある。

が、回天という兵器(というか人間魚雷)について何の説明もないままでただ「回天」と言うだけで、現代の観客に通じるのだろうか。
また、海軍兵士の敬礼が陸軍式のものだったのは残念。海軍の敬礼は(軍艦内の狭い通路ですれ違うため)脇を締め、肘を身体に寄せて行なうのだ。演出家にそういう知識が欠けていたのか。これだけの内容の作品を創ろうというのであれば、もっと詳しく調べるべきだったろう。

高い位置から妙子を見守る咲良役の中島明子の台詞がはっきりせず、時折聴き取り辛かったのも残念だった。
人生交換Ⅱ

人生交換Ⅱ

劇団たいしゅう小説家

萬劇場(東京都)

2023/09/13 (水) ~ 2023/09/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/09/17 (日) 12:00

CoRichで毎公演チケットプレゼントを行なっているものの、全くといっていいほど観劇後の「観てきた!」投稿が無いため、実際にはチケットプレゼントなどやっていないに違いないとユーザー間で疑惑が囁かれている劇団。
今回の私もチケットプレゼントに応募してみたが、やはりハズレた。

劇場に入ってまず感じたのは観客層がよくわからないこと。様々な年代の幅広い客層は小劇場というより商業演劇のそれに近いかもしれない。
舞台セットが照明の効果もあって美しく、かつSF的な感じもうまく出している。
5分遅れで開演、上演時間1時間45分。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

地球担当を押し付けられた宇宙人が狂言回し的な役柄。
ダンサーや格闘家、ブルジョアのお嬢様、県会議員、ホームレス、トーヨコキッズにおカマ…といった9人の男女が集められ、この宇宙人から人生交換を持ちかけられるのだが、それが地球の破滅を救うことになるかもしれないという設定がまず不可解。
このレベルの、しかも少人数の日本人のテストだけで地球全体の運命を決めるということへの、説得性のある説明がないのだ。

まあ作品として面白くはあるのだが、設定に加えて内容も表面的で掘りが浅く、かつ予定調和的な展開に終始する。

何かやりきれない感じで劇場を後にしたのだった。
MARIONNETTE(東京公演)

MARIONNETTE(東京公演)

劇団The Timeless Letter

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/10/01 (日) 12:00

ダブルキャストのteam FAKEを観劇。

関西の劇団で、4年ぶりの池袋演劇祭参加だという。関西の劇団で池袋演劇祭といえば、2014年に池袋演劇祭初参加にして大賞を獲得した京都の劇団ショウダウンを思い出さずにはいられない。それもシアター風姿花伝という不利な立地の劇場での2時間に及ぶ一人芝居でだった。

The Timeless Letterという劇団は初見だが、シアターグリーンのBIG TREE THEATERでの公演というのにまず驚かされた。かなりの集客力がなければ赤字必至となるであろうからだ。この回は観客に指定されていたのはセンターブロックのみで、上手側と下手側の両サイドは使われていなかった。となると、6割程度の入りか。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

劇場に入ってまずそのセットの見事さにしばし見とれた。当日パンフの図解によれば正面の十字架と円形のステンドグラスはロザリー教会、上手はスコットランドヤード殺人捜査課の部屋、下手はローガン製薬の社長室だという。20世紀初頭という時代がかった雰囲気も良く出ている。
これらのセットについては3人の女優による前説でもギャグを交えながら説明が行なわれる。
ただ気になったのはローガン製薬社長室のデスクの上に蛍光灯スタンドのような形の卓上照明器具が置かれていたこと。20世紀初頭だとまだ白熱球の時代であり、デザイン的にああいう形のものはないはず。
時代的におかしいといえば、葉巻を吸う場面も同様。ジッポー型のライターで着火しているが、このタイプのポケットライターは米国のロンソンが1927年に、同じく米国のジッポーが1933年に発売したものがその始まりであり、20世紀初頭にはまだ生まれていないのだ。

序盤で黒いドレスの5人の女によるダンスがあり、それが終わると舞台中央に赤いドレスの女が倒れており、その傍に2本の薔薇が置かれている、という場面が秀逸だ。そして第二、第三の殺人が行なわれ、薔薇の本数も7本、13本と増えていく。物語はテンポよく進み、舞台への集中を途切れさせない。照明と音響がさらにその効果を強めている。

伏線も見事に回収され、かつ「悪魔のくちづけ」というサブタイトルもきちんと活かされている。

2時間ちょうどで終演となり、カーテンコール。事前に上演時間は2時間10分と説明されていたのだが…と思っていると、カーテンコールの最後に中央奥からハケようとした新人巡査のハンナが(千穐楽のカーテンコールということで直前まで涙を流していたのだが)十字架のところで立ち止まり、いきなり笑い出す。そして明かされる驚愕の秘密…これが更なる伏線の回収となっており、それが終わったのは開演から2時間10分後、思わずは~っという感嘆の溜息が出た。
役者陣の演技も含め(殊にハンナ役の愛恵―“まなえ”と読むらしい―が印象的)、素晴らしい舞台だった。

が、いまひとつ残念だったのはロープにダニエルの指紋が付いていたという個所。スコットランドヤードでも1901年から指紋が犯罪捜査に用いられるようになってはいたが、21世紀の現在でも布地から指紋を採取することはほとんど不可能なのだ。ましてやロープからなど…。
ミラクルライフ歌舞伎町

ミラクルライフ歌舞伎町

亜細亜の骨

サンモールスタジオ(東京都)

2023/10/20 (金) ~ 2023/10/25 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感想遅くなりました。とっても良かった。面白かったです。役者の皆さんのあの、若者から老人への早変わり、圧巻でした。内容も歴史もその時の時代背景も分かりやすくて、ほんと引き込まれました。途中の歌の場面が入り方がわからなくて…あそこはみんなで歌うとこ…だったのかな。ども、本当に知らない歌も多くて。
内容演技、そして熱演。素晴らしかったです。よい時間を過ごせました。

煙突もりの隠れ竜

煙突もりの隠れ竜

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2023/08/18 (金) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

東京支部を初めて大阪で観た。
コロナ挟んで数年ぶりって集客難しいね。
メルヘンな類は苦手な私なので、初見序盤こそは入り込めずに苦労したが、世界が広がっていくうちにのめり込み、後にテーマ曲特定してダウンロードするまでに中毒性がある作品だった。
壱劇屋でしか観れない、雄弁な殺陣、表現は流石だ。
コンスタントに大阪に来て欲しいなぁ。

屋根裏のバーニャカウダー

屋根裏のバーニャカウダー

劇団6番シード

新宿シアタートップス(東京都)

2023/10/25 (水) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

シアタートップスに出現した屋根裏部屋で繰り広げられるある家族の物語。そのバタバタさに大いに笑いました。暗転後の明転で見える景色に笑ったり驚いたり。
そしてアフタートークで披露された裏話にさらに笑いました。配信にはこのアフタートークと現場では見られなかったその後のゲストトークもあるそうで、うーん見たいですね。次回見に行ったら、絶対あそこのシーンは気をつけて見てみます。

MaNNequiN -マネキン2023-

MaNNequiN -マネキン2023-

もんぴぐ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2023/10/26 (木) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

タイトル通りのマネキンたちのファンタジー。神も仏もいて、歌ありダンスあり。楽しかったです!(追記予定)

サンタクロースが歌ってくれた

サンタクロースが歌ってくれた

キャラメルボックス・ディスカバリーズ

新宿スターフィールド(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

(Xチーム)

全く期待していなかっただけに驚く程良く出来ていた。
ウディ・アレンの『カイロの紫のバラ』という傑作がある。大の映画ファンのミア・ファローが大好きな映画を観に毎日映画館に通い詰める。すると登場人物の一人がずっと自分を見詰めているミアのことが気になってくる。到頭スクリーンを抜け出てミアに話し掛けてしまう。映画内は登場人物が欠けた為、進行出来ずパニックに。そんなてんやわんやのコメディ。今作はそれを踏襲している。

『ハイカラ探偵物語』という映画を観に行く主人公(中尾彩絵〈さえ〉さん)。誘った友人(石森美咲さん)が来ないので遅れて一人で観始める。全く不人気でしかもクリスマス・イブの為、観客は主人公一人。内容は大正の華族の洋館に怪盗黒蜥蜴からの犯行予告。警部(田中のぶと氏)、若き日の芥川龍之介(辻合直澄氏)、平井太郎(後の江戸川乱歩)〈齋藤雄大氏〉がそれを阻止する為集まる。だが・・・、重要な登場人物が突然いなくなってしまった。どうも捕まるのが嫌で映画の外に逃げ出したらしい。

ヒロインの和田みなみさんが昔女優を目指していた知り合いに似ていて感慨深い。彼女はハッピーな展開を迎えて欲しいもの。
令嬢役の南澤さくらさんは白目を剝いて女・函波窓といった怪演。
警部役の田中のぶと氏は無声映画の一人アクションで場内を大いに沸かす。
石森美咲さんはベテランの手堅さ。
芥川龍之介の婚約者役の環幸乃さんは流石に場を回す。
挟まれるダンスが可愛らしい。

劇団の代表作と謳われるだけあって、工夫が凝らしてある。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

観客が主人公一人の為、大きなパニックにならないのが演劇らしいが勿体無くもある。映画から人が飛び出して来たのだから、とんでもない事件にならないとおかしい。まあその辺が難しい塩梅なのだが、この大事件の中でキャラクターの恋愛の真相解明の為に登場人物達が駆けずり回るアンバランスさを売りにしても良かった。
声に生きる!

声に生きる!

声のプロダクション キャラ

扇町ミュージアムキューブ(大阪府)

2023/10/26 (木) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

満足度★★★★

声を仕事にする人(ナレーター)の話
内容はベタであったが、隣の女子?はめっちゃ泣いてたけど、そこまで…だった
が、ランタイム二時間弱はあっという間でした❗
満足🈵😃✨

無関係のジョバンニ

無関係のジョバンニ

妖精大図鑑

吉祥寺シアター(東京都)

2023/10/13 (金) ~ 2023/10/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

同じ吉祥寺シアターで複数のダンスユニットによる短編企画で観たのが初(このユニットが目当てで観に行った)。次が桜木町で今回やっと三度目とまだ少ないが注目しているグループだ。多摩美時代から活動し、脚本の飯塚うなぎと振付の永野百合子が台詞シーンとダンスとその中間と、勇剛しづらい両者が渾然一体となった一つの世界観を作り上げ、どくじである。両名とも舞台に立つ。
10周年記念という本作、初見の時と同じく吉祥寺シアターの劇場機構を活用して水を得た魚のようであった。
実は昼間にも関わらず電車でまさかの寝過ごし(さっき「恵比寿〜」とアナウンスが耳に入ったから今着いてる駅は恵比寿かせいぜい渋谷だと発車を待っていたら、ドアが閉まって「次は池袋〜」新宿であった)。
15分遅れで入場する際、案内の方に「恐らく抽象的な舞台だろうから途中から見ると解らないのでは?」と冒頭からのシーンについて聞くと、(逆に)「一つ一つのネタがバラバラですからどこから観てもきっと楽しんで頂けます」と笑顔。
「そんなものかな?」と思いつつ観始めると成程、クスッと笑かす場面が数珠つなぎに続き、時折舞踊が入る。踊りもセンスを感じさせつつコミカルな、世を超越した目で描かれる芝居もどきに呼応した動きが繰り出される。直裁なメッセージがダンスに込められ、芝居に属する表現はひたすら婉曲に何かを言わないために作られてるかのよう。笑える場面や言葉で間を埋めながら、どこかに向かってる感は描写されている。
何しろ20分近く見逃したので何とも言えないが、ここでない別の世界(ステージ奥のシャッターを境界に広がるパラレルワールド)を探検気分で探してる雰囲気だが、別の世界を「切望する」文脈に読めるワードが一瞬チラッと織り込まれていたような、いなかったような。
狐につままれた気分で劇場を後にしたが、注目の度合いは変わらず。ユニットもこの路線を益々確信をもって邁進する模様である。

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