ナマリの銅像
劇団身体ゲンゴロウ
新宿スターフィールド(東京都)
2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
タイトルにある「銅像」は虚像を表し、「立場が人を作る」といったことを思わせる。気弱で自分の意思をハッキリ伝えられないような青年が、いつの間にか神に祀り上げられ 島原の乱の指導者になってしまう。本人の戸惑い、困惑とその言動に振り回される人々の悲哀を史実に絡めて描く。
舞台という虚構性の中に社会性と人間性の両面、さらに過去と現代を繋げる、そんな輻輳する作品。表層的には、江戸時代初期に起こった一揆という社会ドラマ、それに否応なく関わることになった人々の人間ドラマを交錯させた描き方だ。しかし、一揆の概要を観せるだけで、敢えて深堀しなかったようにも思える。むしろ島原の乱と太平洋戦争を絡めた不条理劇が立ち上がる。人の意思など時代の趨勢に飲み込まれ、否応なしに破滅の道へ…。
公演の見所は、人間の弱さとエゴが 事態を悪化させ、取り返しのつかない状況へ追い込んでいく。その過程をテンポよく観せ、どのように物語を収斂させるのか といった興味を惹かせるところ。総じて若いキャストのキビキビとした動き、その躍動感あふれる演技が熱演のように思える。
(上演時間2時間 途中休憩なし)【Bチーム】
2024.4.2追記
劇団菜の花座"明るい未来"の夕焼け小焼け
劇団菜の花座
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2024/03/30 (土) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
ナマリの銅像
劇団身体ゲンゴロウ
新宿スターフィールド(東京都)
2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白かったです。
島原の乱と現代社会がミックスされていて、観応えがありました。
カリスマ性、宗教、洗脳等について、考えさせられる内容でした。
役者さん達の熱演も良く、特に主役の四郎を演じた初鹿野さんは、役に嵌っていて素晴らしかったと思いました。
若いパワーを感じる良い舞台でした!
船を待つ
ミクニヤナイハラプロジェクト
吉祥寺シアター(東京都)
2024/03/23 (土) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/30 (土) 19:30
照明が印象的な芝居でした。
平面での吉祥寺シアターの演劇は新鮮で興味深く面白い。
須く(すべからく)、一歩進む
LiveUpCapsules
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/31 (日) 13:00
座席1階
まだビタミンが発見されていなかった明治初期、当時海軍で大流行していた脚気(かっけ)予防に力を尽くした軍医高木兼寛の物語。
ウイルスを発見したと称するエビデンスを示し、脚気が伝染病であるという陸軍軍医と対立。軍艦の長期航路を利用した疫学的調査で、麦飯を食べている軍艦の乗組員に脚気が激減したという事実で対抗した。「日本疫学の父」とも呼ばれる業績で、舞台でもメーンの出来事として取り上げられている。
ドイツ医学に染まって固執する陸軍と、割と自由な雰囲気で患者に向き合う医療を進める海軍。両者の対立は太平洋戦争の終結の時まで深刻な多大な犠牲を生むことになるのだが、その萌芽ともいうべき医学的な対立だ。森林太郎(森鷗外)がごりごりのドイツ医学信奉者として描かれているのは面白かった。
この舞台では終盤に、取り上げたエピソードが現代にも生きる教訓であると説いてる。それもそうだとは言えるが、結局は陸海の軍人さんのメンツばかりを重んじる情けない対立だ。その対立の犠牲になって死ななくてもいい人を多数、死なせてしまったのである。もっとも、戦術の誤りとか政治的な欠陥とか、日本を戦争に導いた軍部・政治のお偉方の方こそ多大な犠牲者を生んだ元凶なのだが。
客席を二つに割って中央に舞台をつくり、役者が回転して歩くことで舞台転換などを表現するという秀逸なアイデアの演出。舞台が冗漫になるのを防ぎ、テンポよく引き締めている。ただ、比較的大きな劇場なので、役者のせりふが聞き取りづらい場面が多々あった。小劇場ならこういうことはないのかもしれないが、惜しいと思う。
横須賀海軍カレーは有名だが、高木兼寛が紹介したというエピソードも出てくる。いろんなことを教えてくれる舞台である。
人形の家
劇団東京座
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
近代劇の代表作であり、フェミニズム運動の勃興に影響があったと言われる作品(翻訳劇)。それを格調高く丁寧に描いており好感が持てる。この劇場では珍しいL字型客席で、舞台美術(調度品)は豪華仕様を思わせるもの。
物語は、端的に言えば<女性の人間としての自立>を描いたものと言えよう。男(父や夫)に守られ、言いなりになっている従順な女(妻)という立場・意識からの解放、今でも色褪せない課題や問題を孕んでいる。同時に自立=働くことは、生活の糧を得る手段だけではなく、生き甲斐といった目的・目標を持つことが出来る。そんな前向きな生き方をも観せる。女は家の中にいるだけの おとなしい人形ではない。
公演は、劇中でタランテラを踊って観せ、女性の明るく陽気な一面を覗かせる。膨大な台詞で紡ぎ、ダンスという躍動感で味付けをする。実に演劇らしい魅せ方だ。また音響・音楽の印象効果、照明の階調による余韻等、舞台技術も上手い。
ただ気になったのが、演技力というか…。
(上演時間2時間50分 途中休憩15分)追記予定
(あたらしい)ジュラシックパーク
南極ゴジラ
王子小劇場(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/31 (日) 13:00
一昨年の『地底探検』に続いて観るのが2度目のユニット。マンガっぽい展開でとにかく下らない(誉めています)。(5分押し)132分。
2020年に上演した作品の再演らしい。日本にあるジュラシックパークでの、飼育員たちのドタバタ。このパークで生まれたらしい湾太(端栞里)を軸にしてはいるが、群像劇の様相。感動的に作っているが、実は下らない(誉めています)、というのがスゴイ。理系心をくすぐるネタが多く、後に何か残るわけではないが、下らない(くどいですけど、誉めています)ことを真剣にやるあたりから生まれるものがあると思った。
人形の家
劇団東京座
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
上演時間が延長されたことを知らずに行ったため、休憩時間に中座しなくてはならなくなり、こちらの確認のミスで、申し訳なく思っています。
前半の、いわば「波乱までの仕込み」部分の鑑賞でしたが、コメントの皆さんのおっしゃるように、長いセリフをしっかりと覚え、それだけでなく、自分の役のものとしていたことは、すばらしいなと感激しました。
ノラの心境の変化の場面を見ることができなかったことは、返す返す残念でした。
この劇場は、たしか三度目なのですが、やはり舞台が狭いですね。(笑)
劇団のみなさんの力量からして、もう少し大きな舞台でやらせてあげたかったなあと。(まあ予算のこともあるでしょうが)
しばらく注目していたい劇団となりました。次回も足を運びます。
今日は三月というのに、28度の東京。ジャスミン茶のサービスも感謝です。
見よ、飛行機の高く飛べるを
ことのはbox
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ことのはboxでの本作の公演は2018年と2019年の2回を観ているが、その時は休憩なしの約2時間半。今回は15分休憩を挟んでの上演だけど、全体の尺が大きく変わった訳ではなさそう。登場人物の中ではいつも木暮に感情移入というか、この子に幸あらんことをと観る度に思ってしまうので、以前木暮役を演じていた篠田美沙子は、それから個人的ご贔屓の役者に加わったのだが、今回の上之薗理奈も印象的。木暮から安達先生に昇格(?)した篠田は好演。
正夢
星歌オムニバスひとりしばい公演
北池袋 新生館シアター(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
オノマリコ作の「19才」が出色。「女はコントで男役ができないからお前とはコンビを組めない」と星歌に言い放つ若手男芸人を星歌が演じる。
天の秤
風雷紡
小劇場 楽園(東京都)
2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
前回公演は 千穐楽に観劇予定であったが、止む無く中止になってガッカリしていた。今回再演を観ることが出来て本当に良かった。前評判 そして期待通り、いや それ以上の満足感を得ることが出来た。全回完売、開場前から劇場である楽園の前は 長蛇の列で驚いた。
風雷紡は社会的事件の概要を描きながら、その中に人間ドラマを息衝かせる。今回も「よど号ハイジャック事件(昭和45年3月31日~)」を取り上げ、その事件の過程における人物の心情を丁寧に掬い上げ紡ぐ。当時は、いや今でも大事件である 日本初のハイジャック事件。劇場地下に降りる階段の壁に、当時の新聞や週刊誌の記事コピーが掲示されていた。
シンプルな舞台美術であるが、この劇場の特徴(ほぼ中央にある柱)を巧く生かし、旅客機内(コックピットと客室)と地上を描き分ける。同時に肉声とマイクを通した音声の違い、さらに映像で時刻を表示し、刻々と迫る状況を表す。怒声に対し平静に対処する、その緩急とも言える表現が得も言われぬ緊張感を漂わす。
事件は報道等で(後日でも)概要を知ることが出来るが、その場にいた人々の心情は解らない。風雷紡公演の面白さは、舞台という虚構性の中に 人の心情を想像させ、さもそうであったかのような臨場感を味わわせてくれるところ。今回は、人それぞれの<正義>とは を問い、さらに人間的な成長譚をも描いている。見応え十分。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)
見よ、飛行機の高く飛べるを
ことのはbox
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
前回の再演から5年ですか・・・
光陰矢のごとしデスなぁ
さて
話は同じでも
やはり時間という要素が加わると
いろいろと自分の感性とか
演じる側のブラシュUPとかもあるようで
今回は星数満点です~♪
舞台は女学校の談話室を再現し
白いアーチ型の窓枠が印象的なセットでした
舞台右手に階段も設置されて二階への移動とか
舞台奥の通路とかも使って
立体的に奥深く劇場を使ってて
広くて裕福な感じの学校演出があったかなぁとも
長いものに巻かれる賢い生き方と
情熱に後押しされる青くて判断の拙く若い生きざま
時代の波に抗うのか流されるのか
揺れる女学生らの物語
約3時間もの超大作でした
全席指定
いーはとーゔぉ
東京ノ温度
新宿眼科画廊(東京都)
2024/03/22 (金) ~ 2024/03/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/03/26 (火) 15:30
割引クーポン付きのメールに誘われて訪れた一風変わったレストランで体験する奇妙な出来事……。
最初の「異変」は風の又三郎モチーフが明白ながら以降は人物名に引用がある程度でほぼオリジナル(と感じた)なのがやや期待外れ。
もちろん面白くはあったが欲を言えばもう少しワカり易い引用があればなぁ、的な。
かもめ
Ito・M・Studio
Ito・M・Studio(東京都)
2024/03/26 (火) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
愉しい観劇であった。俳優諸氏が提示するキャラが芳醇で堂に入っていて(過去観た「かもめ」だって役者は堂に入っていたはずなのだが)、本物だな、と思わせるものがある。翻訳劇である「かもめ」が持ち得る世界観の研ぎ澄ました一つがここにある、と思った。発する言語の意味ニュアンスは的確で切れ味よいが、役人物の性格、心理といった側面からのアプローチで果してこういう仕上がりになるだろうか・・?(研究所の設立者である故・伊藤氏は大変厳しいであったと聞いた事があるが、娘に受け継がれたそのメソッドを聞いてみたいものだ。)
劇空間の快楽。救いのない苦い物語を観客に飲ませる甘味さがある。
ナマリの銅像
劇団身体ゲンゴロウ
新宿スターフィールド(東京都)
2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
何というか
良くも悪くも小劇場的といった感じを受けた作品
テーマが神の担ぎ方みたいな印象でした
けっこう台詞に効果音とか
セットの移動音とかが重なって
聞き取り辛いトコが多くて
いま一つ感があったなぁ と
2時間の本作に約30分のアフタートークを付けて
お得感はUP
ただゲスト氏がMCやってたんで
新鮮さが何とも面白かった
劇団メンバーの出も多かったし(^-^)
珍しく紙のアンケートにペン付きでした
人形の家
劇団東京座
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
さすがに近代戯曲だった
舞台セットとか衣装や調度品など
居間を再現した美術セットも内容も良かった
それにつけても長セリフ・・・・膨大
ご苦労さまでしたと脱帽です
あとジャスミン茶がプレゼンとされて
大変ありがたく(^-^)
リーサルウェポン第1作のように
クリスマス前から始まり
ラストがクリスマスで終わる
女性の自立の物語=3時間強の作品
見応え凄かった!!
シングルファザーになりまして。
演劇集団 Ring-Bong
座・高円寺1(東京都)
2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
熟練の芝居、舞台の熱量…安心して観劇できました。普遍的なストーリーでありながら、笑いあり、涙あり、人の心を呼び覚ませる、感情を揺さぶられる舞台でした。
見よ、飛行機の高く飛べるを
ことのはbox
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
やはりこれは名作です。物語に引き込まれて最後まで切れることはありませんでした。役者さんの演技も完璧,素晴らしい出来です。現在ではこのような状況は大問題になりかねませんが,ここまでではないにせよ,以前は確かにそれが普通であったような片鱗がありました。それに立ち向かうのはかなりの勇気がいるもの。その他,いろいろな感情が押し寄せており,まとまりませんが,ただ一つ,これは絶対おススメできる芝居ということです。
ナマリの銅像
劇団身体ゲンゴロウ
新宿スターフィールド(東京都)
2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/28 (木) 19:00
価格4,000円
中心人物となる「天草四郎」をモチーフとして、一揆から島原の乱が起きる背景を綴った本作。
身体ゲンゴロウの舞台公演を前作に続き、再び観劇させて頂きました(前作は過去コメントを辿って下さい)。今回は完全な歴史劇かと思いきや、農家がパチンコで持ち金を増やそうと奮闘したり、四郎がホーン型マイクで演説ばりのパフォーマンスを披露したりと現代的な視点を調和させながらも、またそれが嫌味ではない感覚で印象的な物語でした。
四郎役の初鹿野さんが17歳の少年を演じる訳ですが、不思議とあどけなさを持った俳優(濱田岳のような)で、役どころにハマっていたのも良かったです。
若きスターに視点を置きながらも、彼の周りを取り巻く仲間たちや時代背景がきちんと描かれている辺りが、観る側からすればグッと作品へ感情移入させやすいものにしている…と感じます。
2回目のご招待ということで、初めて物販でポストカードを購入させて頂きました。4月の長崎公演も更なるご活躍をお祈り申し上げます。
見よ、飛行機の高く飛べるを
ことのはbox
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
明治時代の女子師範学校の物語。
照明の暗いシーンや声の小さいシーンが多く、役者の表情が見えづらかったりセリフがしっかりと聞こえてこない場面があったのは残念だったが、結果的に観て良かった。
特に印象に残ったのは木暮婦美役の上之薗理奈さん。
とにかく華があり、彼女が出てくると舞台がパッと華やかになる。調べてみると元アイドル?だそうで、納得。演技の経験は少なそうにも関わらず、あの堂々とした芝居はかなり肝が据わっていると思う。前半の陽気なキャラクターからの、後半の豹変っぷりがすごかった。簪のシーンでは周りの客がもらい泣きしていた。これからもっと売れていくのでは。
校長先生役の加藤大騎さんもよかった。彼が喋るたびに場の空気が締まり緊張感があった。