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桜姫東文章

桜姫東文章

木ノ下歌舞伎

あうるすぽっと(東京都)

2023/02/02 (木) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/02/02 (木) 18:00

タイル張りで段差のあるセット、客席に対して斜め向き、くすんだ色のカーテン(定式幕的な使い方だったけど浅葱幕っぽかった)、開演5分前アナウンス後、演者たち自ら細々としたセッティングをしに出てくる。
近くの人が「昔のお風呂みたい」と言っていたけど、このセットはたぶんプールじゃないかな。大きな窓、青を基調にしたタイル、大きな浴槽のような部分から突き出た鉄の手摺...これはプールに入る時に使うあの梯子に違いない。室内プールだと思う。朽ちてボロボロになった。
衣装はクラブにいそうな、渋谷系やお兄系。高貴な身分の桜姫と僧侶たちはファーを身に纏う。お付の局はしっかりしたロングコート。庶民になるにつれスカジャンやダメージジーンズ、柄シャツなどになっていく。侍は革ジャン。

木ノ下歌舞伎は初めてなもので、毎回こういう感じなのか今回だけなのかわからないけど、あえてテンポ感を外した間をたっぷり使う演出。今何待ちですか?みたいな時間がちょいちょいあるけど、それが次第に気にならなくなっていくしその間が心地よくすらなっていく。台詞もあまり感情的にはならず一本調子、棒読みともとれるような「演じている感」がない。全員がほぼ出ずっぱり、袖に入っても裏を通ってすぐ出てくる、そして各自次の出番を待ちながら端っこや舞台ツラに寝転がって屋号を呼んだり時には笑ったりしながら演じる仲間を見ている。稽古場のようにも感じた。開演もシームレスなら演じている時とそうでない時の境もシームレス。

ネタバレBOX

舞台奥に「発端」「序幕」といった文字が浮かぶ。それだけじゃなく、その幕のあらすじ、なんなら結末まで説明しちゃう。簡潔な言葉で事実だけが書かれた文は内容知ってても不思議と驚きをもたらしてくれて時々クスリと笑えてしまう...特に清玄ね。無実の罪はきせられるは川に落ちるわ落ちぶれるわ殺されて生き返ったのに恋敵の掘った自分用の墓穴に落ちて死んで、死んでもなお桜姫にとりついて惨めな醜態を晒す、白菊を独り死なせた報いでとにかくボコボコにされてて可哀想なんだけど出てくる度に「桜姫に迫り川に落ちる」とか「桜姫に迫り穴に落ちて死ぬ」とか展開が突き抜けてて面白くなっちゃう。「穴に落ちて死ぬ」はかなり客席から笑い起きてた。そして死んだらあんなスクリーム顔の風船になるなんて思わないじゃん(笑)風の音がうるせえ(笑)2回目出てきた時は本当に清玄として命が(死んでるけど)宿ってるみたいに見えたの不思議。桜姫の言葉に反応してるように見えた。それ見てめちゃくちゃ楽しそうに肩震わせて笑ってる成河さん可愛い。
屋号も個性的でさぁ、桜姫の紅<べに>屋はまぁ綺麗で良いと思う、成河さんもなんかそれっぽい感じで、問題なのはダルメシアン、シルバニア、ポメラニアンだよ(笑)なんだそれ可愛いな!あと「御両人」じゃなく「ニコイチ」てかけるのもズルい(笑)なるほど!って思ったけど面白すぎるだろ!
中村橋吾さんが所作指導ではいってるから立ち回りはしっかり歌舞伎的な動きがついてた。キッパリしてた。
ただ、それ以外は無表情無感動、視線が明後日の方や舞台に立っていないまわりの演者に向いてる、変な動きで、これはたぶん、歌舞伎ならではのあれこれを誇張してるのかな?って思った。あまり大きく表情を動かさない、台詞に独特の調子がある、客席からそう見えればいいから役者同士は目が合ってない、驚きや怒りやキャラ付けまで大きく誇張した観せる動きをする。役によって特定の動きをしていたから、キャラ付け的な部分が大きいのかも。背伸びするとか中腰で腕をぶらんとするとかゆらゆらするとか。
歌舞伎版の言葉も使いつつ現代語訳も交えつつ、前半そこまで桜姫の言葉遣い古典こてんしてなかったと思ったけど後半権助と再開した時にはめちゃくちゃ姫言葉だったの、あれは後々言葉遣いがはすっぱになる部分をわかりやすくするためなのかな?前半「自らは」とか言ってなかったよね?
壁にたてかけられた姿見が舞台装置にもなり、早替え用の化粧前にもなり、端に置かれたベンチも控え場と見せかけて突然本舞台になる。セットの転換も小道具の準備も衣装替えも決して急いでる様子は無い(清玄権助の早替えだけ急いでる感じあった)出番の直前まで座ってて役名を呼ばれてから立って刀さして出ていくみたいな余裕があった。なんというか、とても不思議な空間だったな。あれを成立させられてるのがすごいよ、普通成立しないよ、なにこれってなっちゃうよ、でも成立してる。成河さんがメルマガで言ってたのはこういうことだったのかもな。
非人に寺の使いが百両持ってきた時の箱がAmazonだった。
発端の清玄と白菊を探すそれぞれの捜索隊が少し離れた場所からぽつりぽつりと声をかけあうシーン、なんだかすごく異様だった。普通に芝居したら1分かからないようなやり取りなのに一言ごとに奇妙な間があって、それが彼らの戸惑いを表してるようでもあったしなんだかぐにゃりと捻れた回想のようにも思えた。清玄と白菊の会話も一本調子で、それなのに不思議と惹き付けられる。ゆっくり、ゆっくりと崖へ向かっていく2人のじりじりとした足取りやしっかりと互いを掴んだ手から緊迫感が伝わる。そこから白菊だけ落ちた時の「あ、」という清玄の間の抜けた声や「南無阿弥陀仏」の白々しさにギャップがあっておもしろい。
権助と桜姫の出会いの場面で、桜姫の「捨てて」「来て」というお嬢様らしい上に立って人に命じることに慣れている言葉遣いが最高に痺れる。腕の刺青もっとよく見たい、歌舞伎のわかりやすい釣鐘と桜じゃないのよ、でも台詞では「釣鐘に桜の入れ黒子」って言ってるからなにか関係している図柄なのだろう思ってるんだけど...半月っぽい形の下にミミズののたくったような線が描かれてて、一体あれはなんなのか。歌舞伎の女性は積極的、というのを権助に大人しく組み敷かれるだけじゃなく自分から着物を脱いで乗っかっていくという演出で表現していた。かっこええ。
歌舞伎版桜姫を前半しか観ていないもので後半の物語は完全初見だったのだけど、あんな可哀想な男女が出てくるなんて聞いてない!小雛ちゃん可哀想すぎるよ!お父さんも途中で気付いたんだな、身代わりだって、だから娘の首を斬った。台詞にもあったけど歌舞伎ヤバいよね(笑)ヤバいとは言ってなかったけど、こういう身代わりで首斬るとかえげつないことよくやるよな歌舞伎って、みたいな台詞だった。三人吉三もだけど、ほんと身代わりの2人はいい迷惑だよね。なんなら三人吉三の2人は畜生道に堕ちたのを兄が救ったという見方もできるけど、桜姫の2人はなにもしてないのに難癖つけられて殺されて本当に可哀想。しかもこの身代わりは失敗するし。奴ここで死んでたのか...残念だ。
青トカゲの毒を飲ませる、ていうのはどっかで見たことある気がする。別の芝居にも出てくるのかな?
可哀想な人ではあるんだけど、清玄煩悩まみれであんまり同情できないんだよなぁ(笑)やらせてくれ、じゃなきゃ死んでくれってほんとどうかしてるのよ。
桜姫の子供が巡り巡って結局桜姫のところに帰ってきちゃうのも歌舞伎だなー!って感じした。お十さん、我が子を失った悲しみから引き取ったはいいけど、生活苦なのかなぁ、捨てるとか酷い。
寄り合いに行きたがらない権助「今日はなだ万の弁当が出るぞ」と言われてすっ飛んで行った🍱
最後の最後、きっとあのラストシーンは歌舞伎版とは違うんだと思う。歌舞伎っぽくなかったから。権助と我が子を家族の御家の敵として殺すところまでは原作通りなのかなって思ったけど...殺したあとに家宝の都鳥をぽいっと投げ捨てる(きれいにプールの中へ落ちてった)のは現代的だなと感じたから。歌舞伎なら間違いなく家宝は家に持ち帰るはずだし、身を隠してる弟と再会も有り得る。投げ捨てた瞬間の桜姫の吹っ切れた表情と舞台奥から投げられた「ハレルヤ!」で不思議とスッキリした気持ちになった。開放感。
ロミオ&ジュリエット

ロミオ&ジュリエット

ロミオ&ジュリエット製作委員会

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2023/01/28 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2023/01/28 (土) 18:00

上手側がごそっと見えない見切れ席。A席だから仕方ない。舞台ツラセンターあたりから舞台奥袖幕あたりまで斜めに見切れ。

初日ソワレ。配信のためカメラ入ってる。
客入れの音楽は無し、自然音?に混ざって戦闘機っぽい音がしている気がする。 子供たちの声と教会の鐘。

ネタバレBOX

一幕。
舞台の3分の1しか観えていないのでほとんどの芝居を耳だけで。オープニングの映像を使った人物紹介良き。初めての人にも両家それぞれの関係がわかりやすそう。
大公とばあやが出てくると安心して観れる、台詞もかなりしっかり聞こえる。ほかのキャストは台詞が少し速いように思う。速いだけなら気にならないけど滑舌が...台詞の中でボリュームに波があるから何言ってるかわからないところ沢山。
一幕は決闘とその判決まで。
決闘シーンは緊迫感があるように感じた、ほとんど見えてないけど。凌雅くんの一番の見せ場はたぶんこの辺り。中尾くんも台詞聞きやすい。ハキハキしてるし声も大きい。声量が安定してる。
肝心のロミオは真っ直ぐな芝居が素敵なんだけど、芝居の経験値がまだまだなのか台詞のボリュームにムラがあってスピードも速くて聞き取りにくい。魅せ方はさすがで、どうすればカッコイイのか、どうすれば色っぽいのかってのは心得てる感じがする。

二幕。ジュリエットの両親がキャラクターとして嫌な奴すぎる。娘の気持ちを確かめないまま結婚を決めた父親に何か言いたげな顔をしてた母親も、家父長制なのか恋人がロミオだったからなのか酷いことを言うし、極めつけはばあや。何があってもジュリエットの味方でいてくれると思ってたのにあんな裏切り(本人はジュリエットの為を思ってる)そりゃジュリエットが思い詰めるのも無理ない。
結婚初夜、布でベッドのシーツを連想させてるんだろうなー綺麗だなーと思って見てた(なお人物は全く見えていない)
ジュリエットの気持ちを確認しないままの婚約に一瞬戸惑った表情を見せたパリス、本当にジュリエットを愛しく思ってたんだろうな。でも娘は父親の決めた人と結婚するものだからそのまま飲み込んだ。葬儀の後で霊廟に忍んでいくほど恋をしていた、せめて一晩夫婦として一緒に過ごしたかったんだろうなぁ...息絶える刹那、ジュリエットの傍に寝かせてくれとロミオに頼む声の切ないこと。パリスは完全に巻き込まれ事故。まぁ、ロミオの話を聞かずに最初から喧嘩腰だったのも悪いと思うけど。
とにかく全員人の話を気かなすぎるし突っ走りすぎで誰にも共感できない、いらいらするー(笑)

ロミオに急ぎの手紙を送って、その確認を電話でする演出の矛盾。その電話でロミオのとこにはかけれないの?住所知ってるなら電話番号もわかんだろーよ。
ロミオが毒を飲むところも、ジュリエットが銃で自殺するところも、ずっと下手で静かに眠るパリスを見てた。パリスしか見えなかったもので。

舞台演劇に求めるものが「圧倒的な芝居の熱で思い切りぶん殴ってぐちゃぐちゃにしてほしい」なので、その点を満たしてくれたのが松村さんだけだった。出番がすくねぇのよ...3回?でも存在感がすごい。
あとはそうだなぁ、乳母の野口さんとモンタギューの鈴木さんが好きなお芝居してた。
若手チームも健闘してたけど、どうしても怒鳴り合うシーンが多くて台詞が潰れがちなのと、シェイクスピアの言葉が馴染んでないのか「台詞を言ってる感」が拭いきれない。中尾さんが声量十分台詞明瞭で良かった。テクニカルな部分以外ではそれぞれが役割をしっかりと演じていて良かったと思う。マキューシオってあんな危うい感じの子なんだ。夢を語るシーンといい決闘のシーンといい、彼の中の闇は一体なんなんだろう。ベンヴォーリオは友達思いの普通の子って印象。普通の良い子すぎてモブにまぎれちゃわないか心配になるくらい。

長谷川くんファンの感想は「たくさんの台詞を覚えられてすごい」とか「ロミオだった」とかばっかりなので、主役としてそれは当たり前だしぶっちゃけ台詞を覚えることは基本で特別なことではないので褒めるところじゃないのよ、という気持ち。でも、そんな感想が多くなるくらい芝居経験が少ないってことなんだろうな。ほぼゼロスタートでロミオを演じてるとしたら、とても素敵なロミオだったと思う。舞台上にすっと立ってるだけで、視線を引き寄せる引力がある。真っ直ぐで等身大のロミオ。
ミュージカル「進撃の巨人」

ミュージカル「進撃の巨人」

「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会

⽇本⻘年館ホール(東京都)

2023/01/14 (土) ~ 2023/01/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/01/23 (月) 18:00

初めての青年館ホール。
1階後方列だったけど前の人の頭が邪魔になることなく観やすい、近い、良い。

開演前に巨人の足音が聞こえてるのドキドキする。何分前って決まってるんだろうなぁ。開演直前のひときわデカイ地響き、興奮した。隣のお姉さんは本気でビクゥッてなってた。

ネタバレBOX

幕開けの奇行種の群れ、どんな気持ちで観てたらいいんだって最初思ったけどすぐ慣れた。だってレベルが高い。1人リアル奇行種な動きしてる人いた。

アニメは履修してるけど、ほぼリアタイで見てたからかなり前。それでも「ここは外せない」ってシーンの詰め合わせだったから懐かしさと舞台ならではの観せ方で涙腺緩みっぱなしほっぺたガビガビ惹き付けられたぁ。

役柄的にしかたないんだけど、唐橋さんの出番が少ない。お父さんと神父様やってた。足りない、もっとくれ。

アンサンブルが魅せるシーンも多いし歌での掛け合いもあってダンスで表現された“通過儀礼”のシーンとても良かった。ウォールマリア陥落の場面で人々が潰され喰われていくのをあえて静かな曲と美しい旋律、美しい歌で表現するのがもう…なんか…しんどかった。
っていうかアンサンブルのレベルが高すぎる。し、アンサンブルの活躍がすごい。もちろんメインキャストの皆さんもすごいんだけど、歌って踊って走り回って合間で着替えてって…アンサンブルすごい。

メインキャストの皆様の再現度と解像度がえげつない。松田凌はやっぱすげぇや。語尾のちょっとした癖みたいなところがものすごくアニメのリヴァイだった。立体機動使わない方が松田リヴァイは人間離れした動きができるけど、ぐるんぐるん動く映像に合わせて飛ぶ姿、かっこよかった。ミカサもそう。一声発した瞬間からミカサ以外の何者でもなかったし、ガス切れで落ちて満を持して歌うのズルい。それまではエレンとアルミンや仲間が歌ってるのを見守ったり外から眺めてるけど、エレンが死んだと聞かされて冷静さを欠いたミカサの心が初めて激しく揺れているのを歌うことで表現してるのかなーって思った。

ダンスがすごいことだけ知っていた福澤くん。全員レベル高いのに、その中にあってもレベチな動きしてた。訓練兵卒業の宴会は完全にLIVE。その中にまじるサシャがキレッキレなのよ。かっこいいなぁ、サシャ。じゃがいものくだり、変に笑いを狙わずめちゃくちゃ真剣にやり取りしてるのが可笑しい。とてもメリハリのあるお芝居をされてたなー。お名前だけは見かけたことある気がする。星波さん。

舞台はマンパワーなのが好きだから、超大型巨人も鋼鉄の巨人もエレンの巨人もアンサンブルが操ってたの最高に興奮した。
スクリーンの映像とタイミングを合わせて戦うのも絶対大変だよ。映像のタイミングをある程度調節できるのか、完全に映像合わせで動いてるのか気になる。打撃エフェクトが別なんだとしてもめちゃくちゃ稽古したことは想像に難くない。

ラストの全員ダンス、リヴァイ兵長がリヴァイ兵長として踊ってて、そういうの大好きだから滾った。役のまま踊れる役者、最高。
新春浅草歌舞伎

新春浅草歌舞伎

松竹

浅草公会堂(東京都)

2023/01/02 (月) ~ 2023/01/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/01/10 (火) 15:00

「吃又」
吉右衛門さんの芸を引き継いで、歌昇種之助兄弟の又平夫婦。歌昇さんの台詞や表情に吉右衛門さんを感じる。芸は生きている。
種之助くんの女房が絵を見つけた所、歌舞伎座で観た勘九郎猿之助夫婦の時よりあっさりめに感じた。お家の違い?
死ぬと決めて絵を描ききった又平の魂が抜けてしまった感じ、ゾクゾクするし、そんな亭主を支えて「よう描けました。御苦労でござんした」と声をかけ続ける女房の様子や、キツく筆を握りしめた指を1本ずつ外してあげて、その手をさすりながら泣く様子は胸が締め付けられる。種之助くんの控えめなすすり泣き、良い。
苗字が許されてからのハッピーな空気が前半と打って変わって晴れやかな気持ちにさせてくれる。
松也さんおいしいお役でさすがの存在感。下半身の安定感。莟玉くんも良かったなぁ。前髪の美少年、しっかりとした芯があって又平に対しても同門の兄弟弟子としての思いを感じる。
「連獅子」
微笑みを浮かべながらの子獅子なんて初めて見た!動きのひとつひとつが綺麗なのと、親子で動きのシンクロ率が高くて、お互いがお互いに合わせてるのが見てて気持ちいい。音のとり方も似てるのかも。
毛の回しかたは2人ともイマイチかなぁ…なんか物足りなくて、いまいち気持ちが入らなくて拍手は出来なかった。ガンガン回せばいいってもんでもないし、回数やスピードより大きく美しく回してほしい。

新春浅草歌舞伎

新春浅草歌舞伎

松竹

浅草公会堂(東京都)

2023/01/02 (月) ~ 2023/01/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/01/10 (火) 11:00

「双蝶々曲輪日記 引窓」
橋之助くんの濡髪は大きさはまだまだ感じないけれど、一生懸命に全力なのは伝わる。そのまま真っ直ぐつとめてほしい。はーちゃんがめちゃくちゃ良かったんだけど、なんだ、どうしたんだ、これが成長ってやつなのか?仕事用のキリッとした所と、本来の性分であろうほんわかした優しい感じ、その演じ分けがとても良かった。客席からの拍手も「お決まりだから」じゃなく自然とおこっていように感じた。
「男女道成寺」
この演目は引きで見るのが正解だなって思う。白拍子姿のみっくん、独特の美しさ。雰囲気がある。もっとあの姿で踊ってるのが見たかったなあ。
新悟ちゃんのスッとした清廉な白拍子姿。見た目より激しく息もきれるだろうに、それを感じさせない涼やかな表情。すらりと伸びた細く長い指がひらひらと柔らかくひるがえる様が美しすぎる。
常盤津や長唄お囃子の皆様と役者の作り出す空気感、1番盛り上がったところで幕が閉まる所が憎いよなぁ。

日本演劇総理大臣賞

日本演劇総理大臣賞

ロデオ★座★ヘヴン

駅前劇場(東京都)

2023/12/27 (水) ~ 2023/12/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

総理大臣名義の演劇賞というタイトルから勝手に演劇人の自虐、皮肉を読み取り、作者柳井氏の新境地?とシニカル系コメディを想像して「余話」を観に行った所が、もろシリアス劇。一体どんな本編が?と前振りにまんまと乗せられ足を運んだ。
とある劇団の芝居の稽古場面と、日本演劇総理大臣賞の選考会議の場面が交互に描かれる(最後にはその関連が分る)。
稽古場では演出家の病欠のため作家(澤口渉)が駆り出され、三人芝居の場面稽古を進めているが、「演出はこうは言わなかった」「じゃ俺に聞くな」等のやり取り。そこへ大きな咳払いをし口を挟んでくる者がある。刑事である。「色恋の気配は好ましくない」等と難癖をつけ、「検閲で引っ掛かる」「検閲で言われたら直す」「私が検閲官に申し入れても良いのだぞ」が作家と刑事の毎度のやり取りとなる。俳優の一人桑山(鶴町憲)は「聞く必要はない」と強気だが、劇団主宰で女優の雪子(百花亜希)は制止する。
一方選考会議は開始早々、「12人の怒れる・・」のフォーマットが現われる。選考会議の趣旨にそぐわぬ進行だが「12人」が下敷きだと分ると飲み込める、ただしパロディ、逆転劇という娯楽性に引っ張られるリスク。だが選考に残った二作品の内容が観客に推測でき、討議の帰趨(勝ち負け)より「内容」へ集中できる具合にはなっていた。

選考委員の約全員が推したのが「紙吹雪」、一人だけが「残り火」を推した。
「紙吹雪」を推した委員の面々とは、まず委員長である日本演劇界の重鎮・岸(榊陽介/当人至って真面目な性質)、彼を「先生」と持ち上げ高慢に振舞う若手評論家・諸星(伊藤俊輔/「12人」では最後まで容疑者を犯人と決めつけている役に相当)、女流劇作家小谷栢楊(ハクヨウ/島口綾/場違いな所に来たと及び腰で付和雷同)、今一人の女性劇作家・宮古(小口ふみか/堂々と自説を語り自立心が強い)、演劇雑誌発行人をする古橋(高野絹也/かつてプロレタリア演劇に傾倒した)。
一人「残り火」を推したのが、演出家・羽田(ハタ/音野暁)。評論家諸星は彼を詰って「残り火のどこが良いのだ」と迫るが、議事によりまずは「紙吹雪」を推す弁を聴く事となる。
この話の筋は聴いていると岸田國士作「紙風船」そのまま。だが最後は隣家の庭から紙風船でなく、紙吹雪が飛んで来て、夫婦の倦怠に嫌気がさした妻が家を出て行く、となる。
一方の「残り火」は、実は劇団が稽古をしているその作品だ。選考会議で「紙吹雪」の優れた点が挙げられて行く中、「残り火」にもそれがある事、さらに時代と切り結ぶ批評性において「残り火」が先んじているとの評価に辿り着くのだが、稽古シーンで芝居が掘り下げられて行く(そこに刑事が持ち込む難題も絡んでいる)プロセスと、選考会での議論がシンクロして行くのが終盤である。
劇団のシーンの進行の過程では、演劇人の一斉検挙といった事件もある。そして最も割かれる議論は、プロレタリア演劇への弾圧から「転向」した彼らが再び公権力に屈する屈辱に抗おうとする中、「制約を飲んででも優れた芝居を世に出すこと」が出来るのか、であり、その可能性を信じ、見出す姿勢へと劇団は変化を刻む。女座長は刑事と二人になった時、検閲に掛かるだろう箇所を事細かに指摘し続けてくれた労に感謝を述べるシーンがある。刑事の顔に表情が微かによぎる。劇の終盤で作家が召集令状を受け、三日後の出発だと団員に告げた時、この刑事が頭を垂れている(台詞はなく、見過ごされて不思議でない)。
作家は戦死し、「残り火」は土壇場で上演不許可となる。
選考会で「残り火」を推した演出家とは劇団での演出であり、時間的には選考会が暫く後の事、作家の弔い合戦であったと分る。選考会議では最後の一人(頑なな評論家)が私的事情(妻との離婚)を暴露され票を変える所で結論が出るが、同席した役人である嵯峨野は平然と「総理は「紙吹雪」を殊のほか気に入られている」と最初に言ったはずです」と、暗にそれに沿って会議を進めるべきであったと岸を難じ、相応しい議事を設えて提出するように、と言いおいて席を立つ。

日本演劇総理大臣賞、という賞が実際にあったのかも?と観ながら思ってしまったが、それは無いようである。
本作では選考会議が「評価」を為さねばならない作品が二つ登場するが、史実に基づかないフィクションにおいて難しいのはこういう所で、「選考に残る作品」は実際に戯曲の中には具体的な形で存在させる事ができない(劇作家の中である程度の想定はできるだろうが)。選考会議での議論の描出に厳密なリアリティを持たせる事はその意味で困難。作者が念頭におく「演劇作品の評価軸」を語る材料として辛うじて存在し得るにすぎない。従って、結論ありきの議論となり、穴は沢山ある。
が、その疵を凌駕するものがある。
「残り火」の主人公の女流歌人は、著名な歌人の有力な弟子(既に売れてもいる)でありながら袂を分かたざるを得ず、歌人の道を諦めて山奥にいる従兄の下に身を寄せていたが、その彼女の下に弟弟子に当たる青年が訪ねて来る。姉弟子の変わらぬ意志の前に身を引くしかない青年は、去り際に、自分が作った句の評価を求める。酷評を受けるが、ふと彼女はこう直せばいい、と直しを提案する。一つの印象的な句が出来上がる。恐らくは彼女を慕っていたのだろう弟弟子を見送る、姉弟子の中に、新たな生の活力が宿る。(そんな感じのラスト)
師匠に破門された身で句作を、それを世に問う道を諦めた彼女は、師匠に従わなかった事を以て意志を貫徹した自立の人であった、が、弟子は彼女に俳句を作ってほしいと懇願しに山奥を訪ね、彼女が頑なに閉じていた句作への扉を静かに開く。
選考会では、「紙吹雪」が持つ現代性、批評性、観客との対話といった評価軸が、「残り火」にもある読みへと導かれ、表現を巡る息苦しい世相の中におかれた演劇の現在に、「残り火」の女歌人は重ね合わせる事ができる、優れて現代的な作品、という理想的な結末に至るのだが、時代の大きな力の前では雑草の茎を折るようにあえなく潰される。架空の演劇賞選考会議であるが、仮にそうしたものがあったとして、そうした運命にあるだろう。2020年からのコロナ禍の下で味わった演劇製作者の無力感が、反映しているように私には思えたが、日本社会が芸術を不要不急とした事の疵は深い。コロナ下の中でも棲息できた芸術文化は勿論あるが、私という人間にとっては(芸術が不要不急ではない人間にとっては)大きなダメージだった。芸術文化「以外」の人間の営みの「尊さ」を思い出させる場面が、果してあったろうか。むしろ逆ではなかった。
時代が窮迫の状況を迎えたとしても、この芝居の演劇人たちのように劇作りにこだわり、芝居を作り続けようとする営みを、今の演劇人たちも続けようとするのか・・という問いを私は読み取る。同時に、彼らの営みを私たちは応援するのか、その勇気を持ち続けられるのか・・も問うている。

長い正月

長い正月

20歳の国

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/12/29 (金) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/12/31 (日) 13:00

約100年という時間を2家族の大晦日という「超」定点観測で表現。見事。数年前までは中途半端にヤンキーな高校生の熱い姿を描く群像劇が得意な劇団でしたが、主宰の竜司さん、いい具合にオジサンになってきたなあ。今後、どういう作品を作っていくのか、なおさら楽しみになりました。

大晦日の昼公演でやったステージ上ツアーも楽しかったです。照明って熱いんですね。初体験でした。

天使の群像

天使の群像

鵺的(ぬえてき)

ザ・スズナリ(東京都)

2023/12/21 (木) ~ 2023/12/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/12/26 (火)

まず劇場に入り舞台美術に目が釘付け!いったい何が始まるのだろうか!??と。
そして始まると…。そのための客席前方の空きだったのか!
後方で前の席に大きな方が、なので三分の一ほど視界が削られてしまったけれど、舞台に鏡が使われていて、それに映る世界もまた良かった。
現実味があるだけに恐ろしく、今後どうしてゆけば良いのかも託される終わり方で、とても楽しめました。

仮名手本忠臣蔵

仮名手本忠臣蔵

花組芝居

小劇場B1(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/24 (土) 13:30

こんなスタイリッシュな忠臣蔵があるのか。

黒一色の素舞台で揃いの紋付袴の男たちが演じる悲劇はときに重厚、ときに軽やかにテンポよく進む。

古めかしい台詞に血肉を通わせる抑揚や表情。紅ひとつささずに義士と女房を演じ分ける演技力。

義と人情が今もこんなにカッコいい。

当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/17 (土) 18:30

2022年の『アイ・アム・ア・ストーリー』でこの団体の公演を初めて観て、台詞と舞台上で繰り広げられる物語の齟齬に強烈なインパクトを受けた。
で、気になってこの作品も予約した。
2度目となると多少は作風への理解も進み、なるほど!と思いつつ、やはり笑ってしまう。よくこんなことを考えつくものだ。

『SUMMER FREESIA EXPRESSION』

『SUMMER FREESIA EXPRESSION』

パピプロデュース

萬劇場(東京都)

2023/06/14 (水) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/17 (土) 13:00

魅力的な舞台だった。青春群像劇に止まらない戯曲の仕掛けも高校時代と18年後をつなぐ演出も物語を活かす12人の役柄とキャストそれぞれの持ち味も。
観ながら、笑ったり手拍子したり時に涙をこぼしたり。
言葉にならない思いもしみる。

死んだら流石に愛しく思え

死んだら流石に愛しく思え

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/03 (土) 18:00

MCRの作品はいつも、好きか嫌いかの二元論では語り切れない。やるせない饒舌さとヒリヒリするような切実さ、そして痛みにも似た面白さがクセになりそうで、返って観に行くのをためらってしまう。それでも今日この舞台を観てきてよかった。

ココノイエノシュジンハビョウキデス

ココノイエノシュジンハビョウキデス

日本のラジオ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/03 (土) 13:00

面白かった。いや面白いというか、終始会場を満たす不穏な雰囲気と緊張感、そして静謐な美しさを満喫した。観客がその余韻にとらわれて物語の終わりに拍手が起きないのは、日本のラジオの公演ならではという気がした。。犬組と鶏組の両方を拝見したため、それぞれの違いを含めいっそう面白かった。先に観たバージョンに引き摺られるかと思ったが、そんなことなかった。ある種の可愛らしさと怖さ、そしてときおり笑いもあって、それぞれ見どころのみっしり詰まった約70分だった。

無地にしか見えない

無地にしか見えない

♯Q

新宿眼科画廊(東京都)

2023/05/27 (土) ~ 2023/05/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/05/27 (土) 19:30

好みのキャストによる個性的なキャラクターたちの会話劇。途中でハラハラしたりもしながら、気持ちよくおさまって、じんわりと優しい気持ちになった。

人魂を届けに

人魂を届けに

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2023/05/16 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/20 (土) 18:00

凄かった!
ほとんど静かな会話だけで綴られる物語に惹きつけられ、会場中が息を呑んで成り行きを見守った。日々魂を削られ続けるこの世界。寓話風な雰囲気なのに奇妙なほど身につまされた。観ることができてホントよかった。

Kappa~中島敦の「わが西遊記」より~

Kappa~中島敦の「わが西遊記」より~

劇団扉座

座・高円寺1(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/05/27 (土) 13:00

考えさせられることもたくさんあったけど、とにかく怒涛の物語に引き込まれ、イキイキと舞台上を走り回る人々の人生(いやほとんど人じゃないけど)を堪能しつつ、哲学的な彼とともに旅をする約2時間。キャストによるパーカッションも素敵だった。
三蔵法師の強さや孫悟空の明快さだけでなく、沙悟浄の迷いさえ否定してはいないのだ、と思った。

反転するエンドロール 2023

反転するエンドロール 2023

ムケイチョウコク

space café ポレポレ坐(東京都)

2023/04/21 (金) ~ 2023/05/20 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/06 (土) 19:00

楽しかったー😆
登場人物チケットで参加して、自分に与えられた役柄の物語を堪能させていただきました。役者さんがしっかりリードしてくださるし、間近で本イキの芝居を見せていただけたのも眼福でした。物語自体の仕掛けも凝っていて◎

長い正月

長い正月

20歳の国

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/12/29 (金) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

暖かい電球色の照明に、ほっこり、しんみりした芝居かなって思ってたら、舞台上が数年単位でシームレスに進行していくので、かなりスリリングな観劇になりました。
今、地震速報を見ながら書いてるのですが、そんな人生のままならないところを象徴する奈落への階段の使い方も印象的だった。
舞台上の役者の細やかな演じ分けは、演劇的にとても面白くて。
100年にわたる家族の物語は、色んな感情を揺さぶられました。

直接関係ないところですが、芝居をやる時期だったり、来場特典だったり、終演後に甘酒をふるまってくれたり、そういう配慮がまた芝居と良い響き方をしてたと思います。

グーグス・ダーダ

グーグス・ダーダ

果てとチーク

北千住BUoY(東京都)

2023/12/14 (木) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

舞台美術や役者、芝居の緊張感、シーンごとの質、全部申し分なしだったんだけど。
自分は楽しめなかったです。
でも今回に限って自分には合わなかっただけだし、そもそも持ってるポテンシャルはとんでもないと思ってますので、次も楽しみにしてます。
今回だって観なければ良かったとかは微塵も思ってないです。

天使の群像

天使の群像

鵺的(ぬえてき)

ザ・スズナリ(東京都)

2023/12/21 (木) ~ 2023/12/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2時間30分は長くて休憩欲しかったと思ったけど、最後まで集中力を途切らせずに観られたので、見応えある力作だったのは間違いないかな、と。
鏡を使った舞台美術やホラー映画的な音響はすごく効果的ではあったし、異空間にある楽しみは存分に味わえました。
が、逆にこういう見せかたが、ホンスジ部分を曖昧にした気がしないでもない。
ただ、この舞台のマジックが無かったら、集中力持たなかった気もするから、考えるところ。
作り手が感じる学校への違和感を感覚的に味わうって意味だと成功してるけど。
客観的に俯瞰的にこのテーマを理性的にって観方をしたいと思ったら、雑音が多い気も。

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