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荒野1/7

荒野1/7

愛知淑徳大学演劇研究会「月とカニ」

G/Pit(愛知県)

2024/02/16 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

まだ来てない客がいるからと20分近く遅れての開演。
過去の事件を機に
それぞれ別の家庭で育てられた7人の兄弟姉妹。
成長しどういう方法でか長兄が弟妹全員を探し出し呼び集め
出所して今は昏睡状態の父親の面倒をどうするか
最初から最後までテーブルを囲んでほぼ座りっぱなしの状態で話し合う。

ネタバレBOX

過去を覚えている者、なかったことにしたい者、全く覚えていない者・・・
話自体は面白かったし、それぞれの個性もよくでていたけれど
核になる母親像がまるで見えてこなかった。
いつから虐待が始まったのか、
虐待を受けた子受けなかった子がいたのか
もともとはやさしい母親だったのか
果たして事件の決定的な引き金になってしまったこととは何だったのか
焦点がぼやけたまんま終わってしまった。 
映像で見ればもっとわかりやすかったのかもしれないけれど
言葉だけではやっぱり伝えきれない部分もあったかもね。
まあ、いろんな家庭があって、それぞれの事情もあるんだろうけれど
あのお父さんも酒乱で他所でも子供作ってやりたい放題、あげくの・・・
ほとんど漫画の世界だよね。
結局、長兄は安穏と暮らしている弟妹たちが疎ましかったのかな?
過去の出来事を洗いざらいぶちまけ嫌でも思い出させ
自分が今まで背負ってきた重過ぎる過去を
お前たちも負担しろってただ言いたかっただけなのかな?

だから子供が生めないんだまともな家庭が持てないんだって
あの終わり方はちょっと違うんじゃないかと思った。
夜は昼の母

夜は昼の母

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2024/02/02 (金) ~ 2024/02/29 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かなりヘビーで難解と感じた。各登場人物のキャラクターが時折把握できなくなるというか、はぐらかされる感がある(16歳なのにずっと家にいるのは高校に行かなかったということ?その歳で働けよ!という話になるのか?)。不条理劇のようにストーリーが迷走するようなところもあり、とにかく素直に流れることがない。そういう作品を書いている作家なのだろう。俳優陣の演技は迫力があり、父親役の山崎氏は凄まじいとすら思えるし弟役の岡本氏はリチャード二世を思わせるような振れ幅の大きい演技で魅せる。

掟

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 昨年、復調ぶりを見せてくれた中津留章仁の地方都市の若い新市長と、旧態依然の市議会の対立を素材にした問題劇。22年にも地方都市の閉塞ぶりを描いた作品〈出鱈目〉があったが、過疎化の中で出口のない地方都市は、日本の縮図としては格好の材料で、何とかしなければ、と皆思ってはいてもどうにもならないところを見せる。
汚職で市長ら首脳陣が退陣した地方都市の市長選に、地元出身のデータコンサルタントが故郷帰りする。さっそく初当選するが、新市長(森下庸之)は地方自治法を盾に(占領軍が基本を作ったので結構、住民本位。それをいいことの政府は手を抜く。能登地震でもそこは丸見え)旧勢力の市議会員たちと対立しながら改革を試みる。背景にほっておけば十年もすれば過疎でどうにもならなくなる地方都市の現実のデータがある。三権分立を立て前にまずは、議会に根回しなしで財政改革を進める手法(道の駅に都市企業を誘致する)、次に議会運営のなれ合い手法(この辺りは「堕ち潮」)、さらには地方新聞、ローカルテレビの地方政治癒着が争点にあがる。対立構図は、いままでふつうに取られる善悪の構造とは半逆転しているほかは、さほど新鮮味があるわけではないが、こうして地方の実情を露骨に見せられると、出口がないだけに暗然となる。結構新人も出ている地方の現実もこうなのだろう。
中津留は多作の人で、トラッシュマスターズだけで、もう39回公演というから、ほかに書いた社会問題、風俗劇も作品は多く、数えればそろそろ百になるのではないか。問題の素材だけが面白いという作品も少なくないが、なかには「絶海の孤島」のような傑作もあるし、何よりも、多作して(テレビのような他愛ない娯楽作もある)なかには昨年の「入管収容所」のように実話を巧みに芝居にした見るべき作品もある。とにかく、戦後新劇の社会問題劇作者たちとは比べ物にならない馬力のある現在の演劇界では異色の作者なのである。そこは評価すべきだと思う。
今回は、地方議会の対立勢力の議員たちに新劇大劇団の幹部級のいい俳優を呼んできたのが成功した。青年座の山本竜二の田舎大名さながらの無神経ぶり、女性議員と言えばいい役が多いのだが、気位だけは高く横暴で勝手なだけの女性議員(斎藤深雪・俳優座)、取りまとめが取りまとめにならない議長(葛西和雄・青年劇場)、立て前だけで結局頼りにならない良心派(小杉勇二・民芸)と主演級が巧みに役を肉付けしていて、なんと、3時間(間に休憩10分)飽きさせないのだ。みな面白そうにやっている。
ドラマの結末はお察しの通りで、変なアジ劇になっていないところがいい。だが、作者の馬力を考えればやはりここも面白いだけでなく、一度は本気で取り組んでみるべきテーマであることは忘れないでほしい。


笑わせんな

笑わせんな

メディアミックス・ジャパン

本多劇場(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

浜中文一君、圧倒的に面白かった!
入江雅人さんの笑いのセンスは群を抜いていた。
久々沢さんの存在感も!

中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~

中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~

ホリプロ

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2024/02/06 (火) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

久々の藤原竜也を全身に浴びたとしか、言いようがない。
とにかく凄い、本当に凄いとしか言えない!

かむやらい

かむやらい

カムカムミニキーナ

座・高円寺1(東京都)

2024/02/01 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

毎度のことながら、あらすじは説明不可能!
今回は特に、八嶋智人さんの爆発力に感服(笑)
一緒に太古のロマンの旅をした気分。

パートタイマー・秋子【石川公演中止】

パートタイマー・秋子【石川公演中止】

ニ兎社

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/01/12 (金) ~ 2024/02/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

重いテーマをいつも軽やかに描いている二兎社の舞台は大好き。
沢口靖子さんの凛とした佇まいが本当に素敵でした。
生瀬さんのヨーデルは、講演後もしばらく頭から離れませんでした(笑)

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2024/01/16 (火) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

入江雅人さんの一人芝居の段階から見ていたものが、ものすごい形に進化!
ハラハラドキドキの展開と、とにかく笑える内容と、ホロッとくる温かさに満ちた作品でした。
出演者の皆様方のパワーに満ちた舞台でした。

オデッサ

オデッサ

ホリプロ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2024/01/08 (月) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

宮澤エマさんじゃないと出来なかったであろうと思わせる役、ネイティブな発音の英語が生きる役。
英語のセリフに字幕を付けるところがまた三谷さんらしく面白い!
最後は畳みかけてくる展開に、本当に面白かったです。
やはり三谷幸喜さんの舞台にハズレなし。

さよなら、チャーリー

さよなら、チャーリー

アーティストジャパン

あうるすぽっと(東京都)

2024/02/16 (金) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

カリフォルニア州LA、ハリウッドに近い高級住宅街で落ち目だった映画脚本家、チャーリー(山本一慶氏)の葬式が執り行われている。取り仕切るのは十数年来の親友、今はフランスで暮らしている映画監督のジョージ(井澤勇貴氏)。集まったのはマネージャーの柳内(やない)佑介氏と映画会社の社長夫人、枝元萌さんだけ。女たらしの快楽主義者であったチャーリーを心良く思っていた人等殆どいなかった。今回もヨットで映画プロデューサー(ルー大柴氏)の女房(大湖せしるさん)とヨロシクやっているところを見つかって射殺されたのだ。死体は海に消えてしまった。プロデューサーは妻を守る為の正当防衛ということで即日保釈。形ばかりの葬儀が終わり、皆が帰った後に最期の情事の相手だった大湖せしるさんも顔を見せる。
借金塗れのチャーリーの相続財産清算人にされていたジョージが一人家で疲れ果てていると女(山本一慶氏)が訪ねて来る。初対面だが絶世の美女。女は「俺はチャーリーだ。」と言う。「チャーリーなら死んだよ。」と返す。「いや、ここにいるじゃないか。」とふと鏡を見て驚愕する女。神の天罰か、女にされてしまっている。

脇を固める役者がメチャクチャ豪華。枝元萌さんにこんな贅沢な使い方が出来るとは!ルー大柴氏もワンシーンだけだがメチャクチャ客を沸かす。ジョージの恋人役として、神谷敷樹麗(かみやしきじゅり)さんも登場。
何と言っても大湖せしるさんが美しい。余りに美しすぎてチャーリー役を演らせたかった程。
第二幕の山本一慶氏と大湖せしるさんの話し合いのシーンが名場面。名曲「グリーンスリーブス」が流れる中、チャーリーの目が覚め、神が下した罰の意味を思い知る。

是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

大湖せしるさんが自分を本当に愛していたことを知り、今まで人を真剣に愛せなかった自分が欠落人間であると思い知る。人を愛することと向かい合った時、ジョージだけがその対象であると。

第一幕は山本一慶氏と井澤勇貴氏のBLコントみたいなのが延々と続き、退屈に感じた。女性ファンには御褒美なのだろうが。男目線としては、絶世の美女なんだから女性に演らせたいネタ。
停滞したムードの中、ルー大柴氏が登場して客席を引っ掻き回す。ルー大柴氏は客の顔を一人ひとりしっかり見据えている。プロだよなあ。

コメディなんだからもっと観客をどっかんどっかん笑わせるようなリズム感が欲しい。何か第一幕はテンポが悪い。
あさがお企画『楽屋』

あさがお企画『楽屋』

あさがお企画

六本木ストライプスペース(東京都)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/02/16 (金) 14:00

この会場の特色である演技エリア中央にある階段を応用して階上に舞台がある階下の楽屋という設定にしたのはここでの公演が多いオフィス再生の高木さんらしい見立て。そして原典から省いたり加筆したりした上演台本は観劇慣れしていない方にも優しくワカり易い、
それと同時に「楽屋」という芝居を知っている観客に対しては開場時点から「なるほど、そうしたのか……でもアレはどうするの?」と思わせる舞台美術や開演5分前に「そうきたか♪」とくすぐる「シカケ」、一般的には上演中は消灯する非常灯を点けたままにする工夫(?)などマニア(笑)への目配せもふんだん。
あと、「あれ」を「そうした」ことにより序盤で「雄弁に語る手」を見せたり、「影」を上手く使ったりしたのも面白い♪
さらに文字通り「手作り」感満載の当日パンフレットも佳き♪

ネタバレBOX

舞台下手には化粧台に見立てた(会議室などにある)長テーブルがあり上から鏡に見立てた白い板らしきものが吊り下げられているが、その配置は客席に向いている。なので役者の顔を見せるのか?と思うが「鏡」を引き上げる機構らしきものは見当たらず、開演してもそのままで顔は見せない。が、手元は見えるのでそれが雄弁だし、後方から光をあてて頭部の影は「鏡」に映る。さらに終盤、ある人物が「そちら側」に来た時に「化粧台」が「鏡」の前に出されて役者が顔を見せる、これ「発明」だよなぁ。
また、「薄暗い楽屋で非常灯の明るさが云々」という台詞があるので会場出入口の非常灯は点灯したまま。これも面白い。
あと、開演5分前に「1ベル」としてブザーが鳴り、続いて階上に設置した(推定)スピーカーから開演前諸注意のアナウンスが流れるが、これが楽屋に漏れ聞こえる感じで内容を知っているとニヤリ。(もちろん開演前にもう一度ブザーが鳴る)
掟

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/02/19 (月) 19:00

実話がベースの政治ファンタジー。笑ってる客が多いが全く笑えない話だと思った。88分(10分休み)70分。
 広島・安芸高田市での「改革」を焦る市長と旧弊に捕われた市議会に新聞も交えた対立の物語をベースに描かれた作品。ほぼ実話と同じ展開のようだが、何となく納得できないものが残った。社会的な題材を扱っても、登場人物のプライベートな生活を描いて、そこから見た社会的な題材を描く、というのが中津留の特徴なのだけれど、本作ではそれがないのが要因だろうか。だから、ファンタジーに見えてしまう。前半で見せる市議会の様子や、ネットニュースのキャスターの発言など、ありえねぇ、っていうレベルだが、それはそれで面白く観たが、全体にいつものトラッシュじゃない感じが残る。エンディングも後味が悪い。笑ってる客が多いのだが、これが現実だとしたら全く笑っていられない話だとも思う。前作『チョークで描いた夢』で鮮烈な印象を残し、自身のユニット「ぽいぽいスコップ」では見事な劇作力を見せた小崎実希子は、本作でもネットニュースのキャスターを熱く演じ、印象に残った。

中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~

中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~

ホリプロ

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2024/02/06 (火) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どん底から這い上がった稀代の歌舞伎役者・中村仲蔵に、藤原竜也がよくはまっていた。藤原は激しい喜怒哀楽と大ぶりの演技なので、ちまちました芝居では臭くなってしまう。今回は、この藤原の特徴を存分に生かせた。二幕の外郎売の蝶早口の膨大なセリフは見ものであった。井上ひさし「薮原検校」の芸の見せ場のようだった。久しぶりにいいものを見た。
もう一つ、「50両」しかせりふのない、「忠臣蔵」五段目の斧定九郎が見せ場。ただ、セリフはないので、歌舞伎とは何が見どころなのかを考えさせられる。戯曲中心の「会話劇」である新劇では、セリフのない見せ場は考えにくい。

上を目指すギラギラした歌舞伎役者を演じる座組の中に、お稲荷さんのコン太夫役の池田成志がトリックスターとしてうまく合っていた。自然体のユーモアと、緊張を和らげるほっとした時間を担っていた。
二役の市原隼人も、肉体派の彼の特性を生かして、荒事をきわめた市川八百蔵と、身投げした仲蔵を助けた新之助にぴったり。

場面が多いらしい(「赤旗」評によれば二幕二十六場)が、舞台に3階建ての芝居の楽屋セットを組み立て、それぞれの階でスピーディーに場面転換して、まったく転換の多さを感じさせない。しかもこのセットは下は稲荷町(大部屋)から、名題(スター)役者までの役者のヒエラルキーも示していて一石二鳥である。

「抗えないことには逆らうな」「俺には抗えないことなんてないと思える」等々、決め台詞も随所に光る。「一本の道がみえる。その先には何があるのか」「お前の中の化け物を引き出してくれる人がかならずいる」「分け前をもらう子分じゃない、獲物を狙う一匹狼」そして、「役者のさが」にいたる。

J•A•C•K

J•A•C•K

劇団ネモノ会

千本桜ホール(東京都)

2024/02/16 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

若々しく元気なお芝居でしたね。テーマ事態は重いと思いますが、爽やかに比較的明るくまとめられていてよかったと思います。説明会のシーンはもう少しコンパクトにしてもよかったかもですが、うまくまとまっていたと思います。一生懸命に楽しく取り組まれているのが感じられてよい空間よい時間を過ごせました。これからも神庭ってくださいね❗

あさがお企画『楽屋』

あさがお企画『楽屋』

あさがお企画

六本木ストライプスペース(東京都)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感想遅くなりました。とても完成度が高いお芝居でした。本作、楽屋は違う団体さんで何度か拝見して大まかな内容も知っていたのですが、素晴らしい演出、演技でとても面白かったです。素晴らしいひとときを過ごせました。ありがとうございました。

掟

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/19 (月) 14:00

言いたいことはたくさんあるけど、観劇後にいろいろな感想をぶつけ合いたくなるような力を持つ舞台なのだから、これは面白いと言っていい。多彩な社会問題を扱ってきたトラッシュマスターズらしい仕上がりだ。

舞台は人口減少に悩む地方都市議会。国会議員が選挙の際、地元市長や市議に金をばらまいたとして逮捕され、それによる出直し市長選挙が行われる、という設定で始まる。市議会の守旧勢力に推された候補者しか出ず無投票になりかかる直前、海外の金融機関に勤めていたという地元出身の青年が「無投票を避けるため」として出馬する。清新なイメージもあって(イケメン俳優だ)この青年は見事当選。市政運営に当たって議会への根回しなど旧態依然の慣習(=掟)を破壊し、政策を徹底討論する民主主義で二元代表制を再構築しようとする。
当然、議会の守旧勢力は反発し、次第に市長対市議会(守旧勢力)の対決色は深まる。最初は議員の居眠りを市長がSNSに投稿して物議を醸すというありがちな対決からスタートするが、舞台が進むと、地元の農家の大きなメリットになる施策をもそっちのけの政争という展開に発展していく。

その施策が住民のためになるという思いは共通していても、「俺は聞いてねぇ」、つまり根回しがないということで対決姿勢を強める市議会。こういうことは日本全国、各地で嫌というほど起きている。政治家にとってメンツをつぶされるというのは政治生命を賭けた一大事。それを分かっていながら意固地なまでに旧弊打破を唱え、政治の世界の習わしとか旧弊とかを諸悪の根源と決め付けて突っ走る市長は大人げない。最後は両方ともメンツを賭けた戦いになっており、犠牲になった施策や市民はいい面の皮である。

劇作の中津留章仁は、民主主義の正義を錦の御旗に掲げて自分を押し通す市長のあり方も問うているのだろう。人口減少や高齢化、政治への無関心などで衰退していく地方都市の再生は、こんな喧嘩腰ではとてもできないからだ。民主主義は話し合いだ。お互い譲れるところは譲り、論議を重ねていかないと改革などできっこない。この市長vs市議会の争いは、劇中でも出てくるせりふだが「子どもの喧嘩」よりもたちが悪い。

言いたいことは他にもある。市議会側は市長を独裁者呼ばわりするが、ある意味その通りだ。定例記者会見で市長が、議会守旧派寄りの地元紙の市政担当ベテラン記者を「偏向報道はやめなさい」と罵倒する場面は、独裁者を感じさせた。石原慎太郎都知事がテレビ報道もされている定例会見で、記者を罵倒していたのを思い出した。自分の思うとおりにならない報道を「偏向だ」と決め付けるのは民主主義ではない。
また、このベテラン記者が守旧派議員とツーカーの関係を築いてネタを取っていたのを、テレビ局の若い女性記者が「あなたはこんなことをしてネタを取っていたのか」と激しくののしる場面もある。何が真実か見極める報道をするためには、取材対象に深く食い込むことが必須だ。もちろん取材する側とされる側の一線を越えるような「癒着」はあってはならないが、ネタが取れない若造が、深く食い込むことを「癒着」と決め付けて先輩記者、しかも他紙の記者を批判するのは気持ち悪かった。(この女性記者に反論しない地元識者も情けない)
メディアの中にはよくあるのだが、正義感だけで突っ走る記者は表層的なことしか書けないし、本質を突いた深みのある報道を期待するのは無理だと思う。

とまあ、これだけ書いてもまだ言いたいことがある、というのはやっぱり、この舞台はおもしろいということだ。何か言いたいことがある人は、まず、この舞台を見よう。休憩を挟んで3時間の舞台が終わった後は、下北沢の酒場で激論を交わそう。

地球星人

地球星人

うずめ劇場

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/02/16 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

うずめ劇場を初めて観劇

ストーリーはどうでもいい感じで、主役と思われる女優の台詞が耳障りで途中退席しようと思った位。
幼少期と大人になってからという感じで演じるが
幼少期の方が男女ともに身長が高く…些細な点ではあるが気を使える範疇ではないかなと思う。
2024年観劇初めでしたが、正直長すぎて疲れただけって感じで帰路についた。

ガザモノローグ2023

ガザモノローグ2023

サブテレニアン

サブテレニアン(東京都)

2024/02/18 (日) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 華5つ☆ 1日で2回のみの公演だったのが残念至極!

ネタバレBOX


 今作は、ガザ市民の日常がガザ在住市民の証言によって赤裸々に綴られた文言を集め編纂したアシュタール劇場のテキストを日本語に翻訳・上演された。これだけの作品を2月18日、15時及び19時の2回公演という形で上演し木戸銭はカンパ制を採った日本の劇場公演としては初演の作品である。日本語翻訳・構成・演出はサブテレニアン出滓の赤井氏自身が行った。
 上演されたテキスト内容は以下の通り尺は70分強。
戦争とガザ
私の友人
またたきの間に
ガザからシェイクスピアまで
ラマ
長い戦争の数分
とても静かな夜
我が書斎へ
 ところで、日本の劇場では今回が初上演となった今作、世界中の多くの劇場では「パレスチナ連帯の日」に上演されていた。生まれる場所も時も自ら選ぶことの出来ないヒトという存在が、偶々1947年以降のガザに生まれ味わわされて来た、聴いているだけで辛く顔を上げることも困難な無辜の民の耐え難い日常を追体験し得る内容のものばかりだが、現時点では更にガザで生きることの困難は増大している。  
不思議な国のエロス

不思議な国のエロス

MIXZONE

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/02/16 (金) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

アテネとスパルタの戦争終結のため、女性たちがセックス・ストライキの立てこもり。大人数のちょっとエロい音楽劇で、なかなかに楽しめました。平和には犠牲がつきものの、ラストが悲しい。バックミュージシャンは一人で多楽器奮闘。

川にはとうぜんはしがある

川にはとうぜんはしがある

ばぶれるりぐる

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/18 (日)

長年の田舎暮らしから培われた長女の人生観、自由奔放に生きてきた次女の人生観。これらの人生観に悩まされる長女の一人娘。家族愛、人生観これらを見事に表現されていました。とても素敵なお芝居でした。

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