流れんな
iaku
ザ・スズナリ(東京都)
2024/07/11 (木) ~ 2024/07/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
劇壇創設の二年目・十年前に初演した作品を、舞台を広島に変え、小劇場で実績のある俳優たちを迎えた横山拓也・作品の再演である。横山は、昨年、「モモンバのくくり罠」で鶴屋南北賞も受け、今や若手劇作家の一方のリーダーとみなされるるようになった。これからはさまざまな要望にあわせての戯曲提供も、商業演劇や大劇場の要請に応じた売れる作品も書かなくてはならない位置にいる。この際🅼ステップを上げた座組で過去作品を自分の劇団の主宰で再演してみるのはいかにも横山らしい。観客にとっても興味深い。
横山の初期の作品では,現代社会の中で、気が付かれてはいるのだけれど、なかなか表立っては一方的に解決できない問題を、それにまつわる人間たちの実生活の姿から描いた作品が多い。いわく、母子家庭の青春問題、障碍者の性処理問題、少年時の事故の後遺症、自然保護、障碍者保護の矛盾。予想できない職場の事故などなど。すべては解決できないけど、それでも人はそこでそれぞれ生きていく。教条的でも教訓的でもないドラマは、非常に新鮮だった。
現代に生きる人々の出発点はまずそこにある生活を見ることだ、という主張は、当時、衰退、硬直して自己中心的な世界に閉じこもっていた小劇団群を一掃する力があった。
関西から出た劇団だが、東京の小劇場界でもたちまち、脚光を浴びた。
「流れんな」もその時期の作品だが、当時は見ていない。ここでも、「貝毒」の処理の問題が、地方の地域活性化の問題と絡んで扱われている。今なら作者もこうは作らないであろうという点も見えるが、初々しさがあって、面白く見た。今回は俳優がずいぶんグレードアップされていて、この俳優たちの芝居でドラマとして弱いところはずいぶんカバーされている。異儀田、近藤の達者なベテランにくわえて、iakuに踵を接して出てきた小松台東の今村、あはひの松尾も健闘、最近見るようになった宮地綾もなかなか良かった。この点でも再演の意味はあった。
横山は次はPARCOのファンタジーの一月公演を書くという。なれない座組だが、挑戦の成功を祈っている。うまくいっても行かなくても、これを糧にしてすねたり、小理屈に走ったりしない(これが大事)作家精神の太さを買って期待している。
しまって、あけないで
ーヨドミー
TACCS1179(東京都)
2024/06/26 (水) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/27 (木) 14:00
昏睡から覚めたら20年間の記憶を失っていた45歳の主人公がその記憶と「20年間に失ったもの」を取り戻そうとする物語。
失われた記憶は良いことばかりではなくむしろ取り戻さない方が良いのでは?というものの方が多いように思われるが、あるきっかけから好転しそうに見えて……なあたりは「一筋縄ではゆかない」藤丸作品の真骨頂? また、オープニングと対を為すエンディングの演出も見事。
なお、記憶喪失/記憶障害絡みの連続ドラマが3本もあった今期、本作も含めて企画時点では互いの存在を知らなかったであろう、こんなシンクロニシティもあるんだなぁ…
地の塩、海の根
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2024/06/21 (金) ~ 2024/07/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「ウクライナ情勢を重層的に描く」
坂手洋二は2022年に映画監督の瀬々敬久からの依頼で、ロシアのウクライナ侵攻に反対するイベントを開催した。そこで行われた小説『地の塩』のリーディング公演が本作の発端である。
いっかいやすみ
ポッキリくれよんズ
シアター711(東京都)
2024/07/12 (金) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
尺には尺を
イノセントギアカンパニー
劇場HOPE(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
女性キャストのみでの、ポップでちょい昼メロ的なシェイクスピア、実にいいですね。メインキャストの方々は豊富な長ゼリフにタイヘンそうでしたが。
朗読劇 夏月夜十景
エムズクルー
新宿眼科画廊(東京都)
2024/07/12 (金) ~ 2024/07/16 (火)公演終了
放課後戦記2024
TUFF STUFF
シアター・アルファ東京(東京都)
2024/07/07 (日) ~ 2024/07/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
昨日のTeam Redに続き、市川美織が主役となるTeam Pink回。他のキャストは数名を除いてほぼ変わっていたと思うが、全体的にはこちらの方が安定していた印象。市川美織に思ったよりも座長感がなかったが、昨日の阿部凛は、過剰な気負いのようなものがそう見せていたのかも。
『口車ダブルス』
劇団フルタ丸
小劇場B1(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
評判に違わぬ面白さ。
講談そのものは寄席で多少聞いたことがある程度ですが、テンポ良く進むあたり、この形は良いと思いました。
『LENS』
自由劇場
神戸大学・出光佐三記念六甲台講堂(兵庫県)
2024/07/13 (土) ~ 2024/07/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
大正末期の舞台をリアルに再現する見事な舞台美術☆物語も面白く久々に拝見するジゲキはやっぱり最高でした\(^o^)/ありがとー♪
朗読劇 夏月夜十景
エムズクルー
新宿眼科画廊(東京都)
2024/07/12 (金) ~ 2024/07/16 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
怪談とはいっても、オカルトっぽい内容ではなく、平山盧江の短編小説「投げ丁半」「二十六夜待」をベースにした純文学風の内容が分かるとぞっとするような朗読劇でした。朗読劇とはいっても、動きのない舞台ではなく、登場する演者さんの人数も多く、シーンをイメージできるような舞台でした。
大人のための怪談劇…そんな感じの1時間30分でした。見入ってしまう舞台というのが私の印象でした。
オーランド
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今年の屈指の舞台である。。
昨年から今年、作品を見ることが少なかった栗山民也の準備万端、全く隙のない気合の入った演出に宮沢りえが見事にこたえ、それを取り巻くスタッフ、キャストもそれぞれ力量を発揮して、近代から現代へ時空を飛ぶオーランドという一人の人間を通して世界を見ることができた。
終演後、劇場を出て、諸国民の観光で雑踏するスペイン坂を抜けて。渋谷の街に降りていく。雨もよいの十字路に立ってみると、そこが観客にとっては芝居の幕が降りる時であることに気づく。実に稀な「演劇的」一夜になった。
オーランド
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ほぼ全編、宮沢りえ演じるオーランドの、詩を朗読するような独白の台詞が延々と続き、ヴァイオリンの独特の背景音楽が加わる不思議な雰囲気の芝居。宮沢りえ氏は大量のあんな台詞をよく覚えられたものだと感心するし(間違えたとしても観客にはわからないが)、ところどころ入る4人の男優との掛け合いも面白い。ウェンツ氏があんな役者になったとは。
朗読劇 夏月夜十景
エムズクルー
新宿眼科画廊(東京都)
2024/07/12 (金) ~ 2024/07/16 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ベシミル! 最高レベルの朗読劇。脚本、演出、物語展開の機序、役者陣の実力、舞台美術、照明、音響も見事であり、各々が上手く噛み合って楽しめる。華5つ☆。尺は約90分。
朗読劇 夏月夜十景
エムズクルー
新宿眼科画廊(東京都)
2024/07/12 (金) ~ 2024/07/16 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
朗読劇だが、比較的狭い空間にセットを設え、それによって情景豊かに紡いでいく。怪談というよりは不思議な妖艶噺と信仰噺といった印象だ。構成は大括りに前半と後半、まず朗読劇の企画(怪談会)に掛かる前半、続けて物語2編が後半として展開していく。
説明にもあるが、明治末期から昭和初期にかけての、百年に一度の怪談ブーム。文壇や演劇界、花柳界など都内各所で開かれていた怪談会や百物語。それらの会の記録と主宰の一人・平山盧江の短編小説をドラマアンソロジーとして上演すると。
前半は、会の記録から佐々木喜善氏に焦点をあて話を組立てる。そして今年の元旦に起きた能登地震から明治時代に起きた三陸の地震へ繋げる。災害に係る経験…自然の前では人間は無力、それでも生きていくといった力・逞しさを描いている。その目に見えない不思議な<力>は、物語の中に表れる超常現象もしくは怪奇・怪談に繋がるよう。後半は、怪談会に名を連ねていた新聞記者であった平山氏の小説「投げ丁半」と「二十六夜待」が格調高く語られる。
怪談話という先入観があるため、前半の怪談会、それも冒頭部分は少し早い〈喋り〉に感じたが、物語2編は情感に溢れ実に見事な〈語り〉だ。
今まで聞いてきた朗読劇の中ではレベルが高く 驚かされた。
(上演時間1時間25分 休憩なし) 7.15追記
『口車ダブルス』
劇団フルタ丸
小劇場B1(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
フルタ丸初観劇。「うまいな~」と幾度となく感心しながら観た。下北沢B1は馴染みのある劇場だが、舞台をゆったりと贅沢に使ってる感覚が新鮮。未知数であった「講談」要素がどう絡んでいるのか・・そこにやはり関心が向かうが、開場時間の間流れる女性講談の音源がアウトし、開演となると、見台を高くした台上に何と女性二人が座り、講談調の語りが始まる。さて・・・
もっとも自分は講談を「落語」を通してしか知らない。(神田伯山氏の動画を初めて目にしたのは割と最近。)枝雀の秀逸なくしゃみ芸が聴ける「くしゃみ講釈」や、志の輔の全編講談調の新作を今思い出すが、(伯山氏のを聴いて実感した所の)講談の真骨頂である「クライマックス」のテンションであったりが、今回の作品にも盛り込まれ、また時折高座に出てくるフレーズをうまく嵌め込んだりと、単に「語り手(講談師)の進行による劇」止まらない趣向の充実がある。
ストーリー的には舞台となる保険屋の営業部員それぞれの人生模様が切り取られ、各人の人生の分岐点を華麗に(見た目的にはバタ臭くとも)経て行く物語が講談的に綴られる。
正直、出だしは打ち込みの音楽が「和」と合わないな、とか、可動式「見台」台の二人が人に隠れて見えないといった「不便さ」や多少多めな「甘噛み」など物理的要素に引っ掛かっていたのだが、仕込んだ伏線がやがて花開く考えられた台本に、「なるほど」「うまい」と心で呟くのであった。
野外劇『パレード』
公益財団法人武蔵野文化事業団 吉祥寺シアター
境南ふれあい広場公園(東京都)
2024/07/13 (土) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/13 (土) 17:00
屋外の演劇はなかなか経験出来ないので貴重だった。
空模様がイマイチだったのが残念でしたが、それで雰囲気が出たような気もしました。
逃奔政走
フジテレビジョン
三越劇場(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/16 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/13 (土) 13:00
笑いどころの多い演出で面白かった。
終演後に流れる音楽の中、劇場を出る際に清々しい感情があった。
『口車ダブルス』
劇団フルタ丸
小劇場B1(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
逃奔政走
フジテレビジョン
三越劇場(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/16 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
笑いの中にメッセージ性もある良い芝居だと思います。
あと、三越劇場は初めて行きましたが、新しい劇場とは違う風情がありますね。
『口車ダブルス』
劇団フルタ丸
小劇場B1(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/12 (金) 14:00
講談の醍醐味は、観客をMAXまで盛上げる語り手の熱さ、リズミカルで大仰な節回し、
ト書きも台詞もメリハリつけてすべてこなすマルチぶり・・・と数々あるが
そのすべてを存分に発揮する舞台だった。講談師のお二人、お見事!