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イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

原爆を作った科学者たちに、広島の人びとを虐殺した罪はないのだろうか?

ネタバレBOX

原爆を作った科学者の一人のブライアンは90歳になって被爆二世の孫娘と会うことができました。しかし最後までどうしても「すまない」と言えなかったことに私は心からがっかりしました。原爆の威力を熟知していた科学者たちをどうしても許せない気持ちになったのです。悩み続けて自殺をしようと、息子が障害者になろうと、息子を亡くそうとです。

ブライアンの手がその孫娘のお腹に近づこうとするとき、動揺しました。「嫌だ。彼女のお腹に絶対に触れて欲しくない。彼女の身体は彼女のもので、あなたの身体ではないのだから」と恐怖に近い違和感を覚えました。孫娘のお腹に自分の子孫が居るとしても触れていいという事ではないということです。まず優先されることは孫娘の身体です。ここでもしブライアンが「お腹に触れてもいいですか?」と許しを求めるような台詞それとも、そのようなしぐさをしていたなら私の心はきっと違ったものになっていたように思います。いたたまれない気分で劇場を去らなくても良かったのではないかと考えました。

劇中で真珠湾の奇襲攻撃(リメンバー パールハーバー)の言及があります。それも決して許されていいことではありません。私たち日本に住んでいる人びとは謝罪をするべきではないかと思います。

「国が君のために何ができるかではなく、君が国のために何ができるかを考えて欲しい・・」と演説したケネディは尊敬される政治家ではないはずです。
まだ未熟で純粋なな若者を扇動するために「国」という概念は頻繁に使われるからです。
ウクライナのゼレンスキー大統領も言っていました。プーチン大統領もです。イスラエルのネタニエフ首相も。
国はそこに住む人たちが自由に安全に守られて生活できてはじめて国と言えるのではないかと私は思います。

思う事をそのまま勝手に書かせていただきました。
父や祖父が出征経験者だった70代の私が思うままに吐露したものです。
読んでいただいて有難うございます。
イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

重たい重たい2時間15分(休憩なし)だった
世界終末時計が再び1分30秒前まで進み、日本も武器輸出まで認めようとする今、多くの人に観て考えてほしいテーマである
もっとも印象に残ったのは、日本人が皆のっぺらぼうに近い仮面をつけて登場する演出(戯曲原作は知らない)
1990年前後に外交官のはしくれとしてジャパンバッシング華やかなりしアメリカにいて、「顔の見えない日本人」と言われるのを、いろいろなイベントなどを通じて必死に払拭しようとしていたのを思い出した
そう、まだあからさまな人種差別は残っていた
それ以前の話が中心ゆえ、「ジャップ」と蔑まれるシーンが多いのは当然だろう
しかし、それを日本人が書いたところに意義があるように思えた
原爆投下をめぐっては、アメリカでは未だに(自分がいた頃ほどではないかもしれないが)退役軍人などを中心にあれで戦争を終わらせらることができたと肯定する意見が根強くあるだろう
自分のしたことは果たして罪なのか?
謝罪は自己否定なのか?
許しはあるのか?
ふとキリスト教の概念が頭をよぎるが、戯曲の作者畑澤聖悟はキリスト教徒どうかかわっているのだろうか?
自分が1982年の社会人として最初の赴任地に広島を希望し、「広島反核テーブル」に参加していた頃のことも
思い出していた
日澤演出というか舞台のセッティング自体が劇チョコを想起させる場面が結構あった
キャスティングが絶妙で、700の応募があったというオーディション選抜組を含め皆熱演だった
特に若いメンバーは体当たりという感じがした
弛緩することなく充実はしていたが、2時間15分はちょっと長かったかな

ネタバレBOX

ここで描かれた5人は時間の経過とともに変化しながら、それぞれ異なった反応を見せる
強がりとも見える海兵隊幹部グレッグから自死する高校教師ジョンまで
自分のしたことは果たして罪なのか?
謝罪は自己否定なのか?
許しはあるのか?
ふとキリスト教の概念が頭をよぎるが、戯曲の作者畑澤聖悟はキリスト教徒どうかかわっているのだろうか?
自分が1982年の社会人として最初の赴任地に広島を希望し、「広島反核テーブル」に参加していた頃のことを思い出していた
キャストの中では両親の反対を押し切って海兵隊に入った山口の子どもビル役の池内が好演
怒りの表現とと障害を負った後の動作が素晴らしかった
山口は年齢の表現が素晴らしく、90歳のブライアンは秀逸だった
母親ジェシカ役の川田は最後の方の語りが印象に残った
ネイティブアメリカンの血を引くベロニカ役の保坂は不愛想な表情で渋かった
天日坊【2月25日-26日公演中止】

天日坊【2月25日-26日公演中止】

松竹/Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2022/02/01 (火) ~ 2022/02/26 (土)公演終了

実演鑑賞

初めての歌舞伎鑑賞で楽しめるか不安でしたが、セリフも現代化されておりストーリーも理解できたためとても興味深く拝見させていただきました。音楽にも歌舞伎とは縁遠いサックスやトランペットなどの生演奏が付いており素晴らしかったです。

猿若祭二月大歌舞伎

猿若祭二月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2024/02/02 (金) ~ 2024/02/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

次世代を担う中村長三郎さん、中村勘太郎さんを拝見できて良かったです。
歌舞伎の世界には詳しくありませんが、次世代へ受け継がれる様子、観客も次世代を見守り育てる文化に触れられて貴重な体験でした。

イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

非常に重いテーマの舞台でしたが、考えさせられる素晴らしい舞台でした。
人が人を殺す戦争という狂った状況におかれた当事者は、被害者/加害者の感情や差別意識をどうしても拭えないことを舞台から強く感じ、戦争経験者が少なくなった現代だからこそ、客観的に強く反戦・反核の意思を継いでいけるように思えました。

ネタバレBOX

放射線量に関する人体実験には衝撃を受けるとともに、原子力発電の恩恵にあずかる現代に生きる私たちも無関係ではいられないとハッとさせられました。
世界情勢的にも今再演されるべき素晴らしい舞台でした。
プレイ

プレイ

KENプロデュース

シアターシャイン(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/20 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 華4つ☆ 板上、照明はずっと昏め。

ネタバレBOX

 賢治の「銀河鉄道の夜」と演劇をやり続けるか否かで悩む世代の役者・演劇人の苦悩と葛藤を入れ子細工に描く。ファンタスティックな側面とリアルな側面が上手く料理されていると同時に、リアルな実態をもキチンと浮かび上がらせているのは出演している役者陣自身が実際に体験している当にそのことを反映しているからであろう。
キラー・ジョー

キラー・ジョー

温泉ドラゴン

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なんと言っても脚本がよくできている。現代の最後の晩餐である。
五年ほど前には俳小が池袋で上演したときも、前評判で完売した戯曲を演出のシライケイが自らの劇団温泉ドラゴンに持ち帰っての再演である。主演のイワイノフだけが同じジョーを演じるほかはキャストは全員変わって、レベルは大きく上がった。俳小が海外戯曲上演の枠を出なかったところを、おもいきり温泉ドラゴン的に振り切っていて、テキストレジも前回とはかなり違う。その功罪はあるが、今回はかなり手練れの客演俳優たちが、生き生きと底辺生活者の切ない物語を力演していて劇場内息をのませる迫力はある。五十嵐明の無気力、谷川清美の勝手放題、内田敦美の無知の純情など、胸をつく力演である。内田敦美は新鮮な上、技術的にも幼児性を工夫して演じていて、ここは特筆されて良い。クリスも脇に助けられた。俳優の力演が見所である。
一方、舞台は初演より、かなりダイナミックな悪党ものの作りになっていて、そこが疑問でもある。
細かいところから行くと、場面をトレーラーハウスから、廃屋ふうな一軒家にしたのが解らない。折角の絶妙の舞台設定の象徴性を捨てている。その上、客席の蹴込みに花を飾ったのはオセンチでいただけない。登場人物のキャラクターにも、アメリカの原作にはなかったに違いない日本的情念(例えば、兄の犯行への突然の変心、とか妹のヴァージン性の強調とか)が組み込まれていて、それが折角の作品独特のドライなタッチを、日本観客向けにしてしまっているようにも思う。(現戯曲の翻訳をきっちり読んでみたくもある)。
中段まではほとんど初演に沿っていると思うが、中盤の家族内の目を覆いたくなるような争いが、目に見える形で演じられていて、それはそれで舞台表現になっているが、そこまでやる必要があるかどうか。ジョーのペニスをドッテイに口淫させる魔面などは戯曲では裏にしているのではないだろうか。倉の善良な客は息をのんでみていたがやり過ぎである。
と、いろいろ言いたいことはあるが、シライケイタがこの戯曲を俳小の初演ような翻訳調(それでも十分に面白かった)でなく、温泉風に取り組んでみた成果は上がったし、良い試みだった。昼間から満席の劇場には、中年の下町の観客もいてそこも新鮮な劇場風景だった。

田園に死す

田園に死す

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

終盤の劇中、流山児祥氏が叫ぶ。「これのどこが『田園に死す』だ!?」、どっと笑う観客。『田園に死す』を叩き台に使った、天野天街大全みたいな舞台。ループ・ギャグ、駄洒落、時空間の割れ目、消失、入れ替え、デジャヴ、現実と虚構、無限問答、メタフィクション、昭和初期のギャグ、盆踊りのような群舞、飛ぶフィルム、言葉遊び···、天野天街ワールドを堪能するのだ。好きな奴には堪らなく好きな御馳走だろう。
やはり振付は夕沈さん。

中学生の寺山修司(木暮拓矢氏)と母(平野直美さん)、隣家の沖田乱氏と嫁入りした伊藤弘子さん。沖田乱氏は快楽亭ブラック&荒井注っぽい。
寺山修司は母親の支配から逃れて、女と東京へ駆落ちする妄想を抱いている。
村に来た怪しいサーカス団に潜入するのは少年探偵団。それを率いる小林芳雄を演じるのはさとうこうじ氏。せんだみつおのような、レツゴー三匹のじゅんのような、中川剛のような、躁病スタイル。
サーカス団の空気女他は新部聖⼦(にいべみなこ)さん、印象に残るおかっぱ。
竹本優希さんはやたら綺麗。目鼻立ちのハッキリしたJAC顔。簪代わりの五寸釘。
寺山修司は分裂する。眞藤(しんどう)ヒロシ氏、五島三四郎氏。

そして寺十吾氏はここでも当然のようにいた。遺影の父であり、怪人二十面相でもあり。だが彼は本当は実在しないのではないか?昔、押井守が『ルパン三世』の劇場版をやる事になった。その時の押井守のネタが、「ルパンは実在せず、次元五右ェ門不二子が代わる代わる演じ合っている共同幻想であった」というもの。それに怒り狂った上層部は押井守を引き摺り降ろし、突貫工事で『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』を全く別のスタッフに作らせることに。何か寺十吾氏も舞台上にだけ漂う如く存在する共同幻想なのかも知れない。

天野天街作品で一番観客にドッカンドッカン笑いが起きていた。是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

現在の寺山修司(大内厚雄氏)は病院で死の床にある。12時5分にこの世を去る。全てはその刹那の夢。

畳に穴が空いて人が落ちていく。凄い出来。
プレイ

プレイ

KENプロデュース

シアターシャイン(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/20 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

電車に持っている序盤から、だんだんと物語の深みに入るにつれて、心の奥へ奥へと切り込んでいく展開が痛烈に感じました。

ネタバレBOX

夢への執念か、夢の諦め方か、結末がどちらにいくのか、とても興味が掻き立てられました。好きなことや趣味を仕事にできればしあわせですが、そんな簡単なことではないのが現実で、それを理解した上で気持ちを整理し、どう行動していくか、どう生きていくのか。主人公のもがき苦しむ心の底からの叫びが、生きる力強さに、熱いメッセージを感じました。
イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

「CoRich 舞台芸術!」初のプロデュース公演。まず、長引くコロナ禍で活動が困難になっている舞台芸術業界に少しでも協力したいという思いから立ち上げたと聞いて、「なんて尊い!」と驚きました。小劇場系カンパニーの名作戯曲を探し出し、新しいキャスト・スタッフとともに再演するというコンセプトも、集客などの問題で再演が難しい小劇場界にも、短い上演期間に「見逃した」と悔しい思いを抱いていた観客にも、優しい企画。そんな記念すべき第一弾は、青森県を拠点に活動する劇団、渡辺源四郎商店の店主・畑澤聖悟の戯曲を、社会派なテーマを扱う骨太な作品で知られる劇団チョコレートケーキ主宰の目澤雄介が演出。出演は、山口馬木也、川島海荷、池岡亮介、川田希、森下亮に加え、オーディションから選抜された(700通もの応募だったとか)メンバーも含む、総勢16名。

ネタバレBOX

アメリカ、ニューメキシコ州ロスアラモスを舞台に、原子爆弾開発に従事した科学者ブライアン・ウッドら人々を描いた65年の物語です。ヒロシマ・ナガサキに落とされた2発の原子爆弾を作り上げ正当化する側の論理は、我々日本に生まれ育った人間にはない視点で、固まった思考に新しい角度が与えられた感覚がありました。短い場面をつなぎながら幅広い年齢と状況を演じる俳優陣の演劇的身体性も見どころ。米アカデミー賞の作品賞を受賞した原子爆弾開発者の伝記映画「オッペンハイマー」が話題となり、国連の事務総長も「核戦争のリスクはここ数十年間で最も高くなっている」と警鐘を鳴らす昨今、ある意味タイムリーな上演ともいえます。

キラー・ジョー

キラー・ジョー

温泉ドラゴン

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

人間の欲と色と愛憎がぎゅっとつまった、こってりどろどろの濃ゆい芝居であった。面白い。殺し屋ジョー(いわいのふ健)以下、兄クリス(山崎将平)、妹ドティ(内田敦美)も、それぞれの役をよく演じていた。

後半の見込み違いから、フェラチオみたいなきわどいシーンも直球ど真ん中で堂々と演じ、壮絶な家族(?)喧嘩の熱演はすさまじかった。本物かと見まがうような血みどろの熱演である。そしてこの熱い悲劇が、人間の愚かさを語っていて、俯瞰してみれば笑える。ジョーが最初にいう「家の中のけんかが、警官がもっとも怪我をするものなんだ」とか、ドティの「誰かが私を怒らせないかぎりね」とか、何気ないセリフが伏線になっている。話の展開の面白さといい、よくできた台本である。

ネタバレBOX

最後にエピローグがなく、悲劇のピークでバサッと終わる。あれっと思った。が、冒頭のドティとクリスの二人のシーンが、後日譚になっており、これでいいのかと納得した。
波間

波間

ブルーエゴナク

森下スタジオ(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

北九州で10年ほど前に旗揚げし、京都に、また宮古へとその活動を広げている穴迫信一の関東での最初の足掛かりとでもいうべき公演で、これからは関東でも年1回はやっていきたいという
森下スタジオは初めて行ったが、演劇・舞踊の分野を対象にした、稽古専用施設ということで、コンクリ打ち放しの壁に鏡やバーがある
アフタートークでは夢という空間性に相応しいと考えたという話だった
そこで開演前(?)から20個のパイプ椅子を並べ始め(フロアに椅子は23個あった)、カーテンを閉めて行く
アフタートークで生前葬の印象という話があったがなるほどと思う
また、始まりはカフカの「変身」に影響を受けたという(夢から覚めたら)
シュールだが流れは分かりやすい
ただ「時間」をつかみにくいところはあった
非常にナイーブな内容で、大量のモノローグが多くを占める
中学のいじめが一つの要因となり、「夢は現実に影響され、現実もまた夢に影響される」状態を経て自死へ
ラストで窓が開き光が差し込む(照明により表現)ところが救い
照明がとても印象的だった

REspiration-呼吸-

REspiration-呼吸-

Actoring Be

萬劇場(東京都)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

60年前にタイムスリップした情景が、よく見えて感情移入できた。
ステージは狭いが、出演者がリズミカルに演ずる事でダイナミックさに変わることがてきた。よい経験になれました。

東京輪舞

東京輪舞

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2024/03/10 (日) ~ 2024/03/28 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

シュニッツラーの「輪舞」を学生時代に読んだのが懐かしくて、見に行った。男と女がベッドインする前後を描くオムニバスになる。前半は、ナンパや口説きの場面が続き、飽きてくる(そういう話であることは分かっていたのに)。休憩時間に帰りたくなったが、そこは我慢した。後半になって、いまのジェンダー問題を取り込み変化してくる。
高木雄也目当てらしい若い女性客で満席だった。

美術、空間づくりはうまかった。白い壁面と床に「東京、とうきょう、トーキョー、TOKYO」をずらーッと並べ、高さ2メートルほどの「RONDE」の文字パネルも同様にもじだらけ。このパネルと、最低限の家具を組み合わせて、次々異なる場面をつくって変化をつける。
休憩15分込み2時間50分

ネタバレBOX

トランスジェンダーや同性愛のケースだが、男性役になる清水くるみが全然男に見えないのが難点。「同性愛をカミングアウトしたら、どうなると思ってるの」というように同性愛差別にも触れるが、既知の範囲を出ない。形だけ。
全10話の構成(「 」は、その場面で、字幕に出る言葉。どの場面でどの言葉だったか、一部は記憶が曖昧)
1配達員と10代援交女性「交尾する」
2配達員とフィリピン女性 「?」
3フィリピン人お手伝いと大学生「射精する、される」
4大学生と女性作家「セックスする」
5女性作家と建築家の夫婦「愛する」
6建築家と女性(トランス男性?)品川プリンスのスイートで。「性交する」
7ユーチューバー・ミュージシャン(男)とファン(女性にしか見えないがトランス男性?)「セックスしない」
8男性同性愛(清水が男性に扮する)「関係を持つ?」
9人気ミュージシャンとその妻・社長。男性同性愛のカミングアウト「一緒に寝る」だけ
10社長の女と最初の女、ゆきずりで(後朝の別れ)
雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。
大きなところでみても、小さなところでみても、コトリ会議はコトリ会議でした。
第形話を拝見しましたが、何から観るかで「兄」の実像の結び方が違って来るのかもと、思っています。
公演以外のものも興味深くて、コトリさん達と一緒に会場で遊んでいる気分になるのが楽しいです。

『人形の家』激論版/疾走版

『人形の家』激論版/疾走版

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

【疾走版】
予てより芝居やドラマで「女性の自立」の代名詞的に引用されていて内容を漠然と知っていたものの観るのは初めての人形の家、いわば複数の知人からウワサに聞いていた人物と初めて対面した、みたいな(笑)。
事前にWikipediaなどで予習していたことに加えて当日パンフレットに「構成劇」とあったこともあり、出演者の人数が激論版よりも多いことや構成劇たる所以も冒頭場面だけで理解し、以降「あー、そう来たのね♪」と頬が弛みっ放しで観る。
いわば「人形の家 re-mix」あるいは「コラージュ人形の家」かもなぁ。(笑)
あと、漠然と思い浮かべていたタイトルの所以もちゃんと台詞で出てきて大いに納得。

ネタバレBOX

ノーラやトルヴァルを複数の役者が演じ、交互どころか時には同時に舞台上にいたり、終盤の会話を冒頭に持ってくるばかりでなく何度か繰り返すなどの手法が楽しいが、予備知識なしに観るとややワカりにくいかも?
ホームシック!?

ホームシック!?

演劇ユニットタイダン

荻窪小劇場(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

舞台奥に生バンド(ギター・キーボード・パーカッション・トランペット・etc)を配置し、ダンスあり、生演奏による劇中曲あり、のミュージカル調上演。個人的には小道具へのこだわり方に興味を持ちました。きっと、観客に見せたい「画」が沢山あるのだろうなぁ。 老舗の温泉旅館を生家にもつ姉弟。訳あって実家を離れた姉は、これまた訳あって15年ぶりに帰郷する。温泉街の観光協会を切り盛りする幼馴染み、姉が去った後に一人で旅館を継いだことを根に持つ弟、年老いた母。15年ぶりに過ごす故郷が迎える結末とは…。

ネタバレBOX

タイダンを観るのは2回目で、前回はオムニバス公演のため、本公演は初。小劇場の作品は生演奏が少ないため、バンドを入れてくれる公演はそれだけで嬉しい。劇中曲もダンスも、出演俳優たちも、キャッチーな雰囲気で良い空間形成ができているなぁ、と感じます。構造的な意味で空間がコンパクトなため、文字通り「所狭しと駆け回る」上演。それが良い効果になっていました。

その「所狭し」にも関わらず、シーンに登場させる小道具へのこだわりが強く、色々なモノが飛び出してきたことが印象的でした。段ボール製の書き割りや、自作のオブジェ?など。一度出てきた小道具をひっくり返すと別の小道具に様変わりするなど、各所に工夫が感じられます。おそらく、創作の根底に「見せたいシーン・画」があり、そこから逆算して創っているのかも。その意味で、音楽、ダンス、そしてビジュアルにこだわる作風なのだと想像しました。
イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

副題の「〜原爆を作った男たちの65年〜」が正に的確で、1945年8月に日本へ投下された原子爆弾の開発に携わった米国人たちの半世紀以上に渡る物語。史実を織り交ぜて描かれる群像会話劇は、友人や家族の相関を丁寧に見せる人間ドラマ。かつ、日本人作家だからこそ書けたであろう踏み込んだ台詞も多く、良い緊張感を保ちつつ観劇することができました。

ネタバレBOX

若き青年たちが原子爆弾の開発・製造に携わった1945年と、太平洋戦争後の20世紀後半の時間を行き来しながら物語は進みます。朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争など、常に戦争の存在を感じながら過ごす日常は、観劇者である私たちのそれと、ある意味通じるところがあると言えるでしょう。登場人物たちの人物相関は時間経過と共に変化していき、戦争や原爆が各々の人生に大きな陰を落としていきます。

劇中盤から、登場人物たちによる原爆の肯定や人種差別が、はっきりした口調で語られます。(日本人観劇者には特に強く感じられる)強い言葉の数々は、米国の正統性の主張、そして自身たちの人生肯定を連想させ、かなり踏み込んだ表現になっています。「原爆が太平洋戦争を終結させた」という論調を、日本人劇作家がこの角度から執筆したことは、かなり珍しいし、同時に意義があると言えるでしょう。鋭い台詞の数々に感情的にならず俯瞰的に観劇できるのは、劇作、演出、そして出演者による明確な表現意思が、しっかり客席へ届くから、だと考えます。

原爆開発時を回想するシーンでは、登場人物たちの内面や心の動きが露見します。ある者は開発を強く後悔したり、またある者は殺傷能力の生体実験に従事したり。命懸けで製造作業に参加し、目の前の使命に没頭し、様々な人間ドラマが展開され、モチーフが原爆である以上に、観客が受け取れる感情は多種多様。極悪な殺人兵器でありながら、ひとつの科学技術が発展していく過程に発生してしまう「陰」から目を逸らさない一作と言えます。

観終わってみると、タイトルの『イノセント(無垢)・ピープル』の意味を噛み締めたくなります。内容、副題、そしてタイトル。それらを反芻しながら、作品の感想を頭の中で巡らせる公演でした。
諜報員

諜報員

パラドックス定数

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/03/07 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

風姿花伝での過去作連続上演か、サンモールでの潜水艇の芝居かが最後で、二、三年振りのパラドックス定数観劇になった。
新国立への書き下ろしも未見、芸劇Eの広い空間でこの劇団の芝居を観るのは初めて。
ゾルゲ事件(1941年)を扱った脚本で、ずんと闇の時代へと連れ込む音楽と、何処かの収容施設内(二段ベッドが置かれた空間とそれを取り囲むように敷かれた廊下に当たる通路、上手斜め奥に面した通路とを区切る縦格子の壁)の装置、終始暗めの照明が雰囲気を作り、周囲を闇に溶かしている。
今しがた覆いを被せられ、時間差で連れて来られた四人が、まず事態を確認すべく言葉を交わす。後に分かるが一組だけ互いを知る間柄だったが(連行理由に心当たりはない)他は見知らぬ者同士。やがて警察だと名乗る男が現れ、一人ずつの尋問が始まる。
史実をこういう角度でドラマ化したかと新鮮さを覚えるが、話を追うのに実は必死。どうにか付いて行けたように思うが脚本の完成度としてはもう一つという感想だ。時間があればまた改めて。

波間

波間

ブルーエゴナク

森下スタジオ(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久々のブルーエゴナク、青?エゴナク?(今更な疑問)以前観た微かな記憶を手繰れば、、ある仕掛け(ルール)を施した時間の中で俳優が動いている。法則に準ずる事により示唆的な空間が浮かび上がる。最後までしぶとくそのタッチを維持して中々挑戦的ではあるな、と感じたように思う。ワークショップ的な発想と言うか、思考実験の要素が強いが、作品としての統一感はある。。

実は北九州市で10年以上続けられた、市井の人々の人物史を掘り起こす『Re:』なる試みの集成を一昨年芸劇にて目にしたが、戯曲化を北九州在住の若手劇作家たちがやっていて、コンスタントに作品発表している名前の一つが穴迫信一氏。戯曲は北九州芸術劇場のサイトにupされており、時折楽しく読み進めていたので本ユニットの主宰という顔とは別の「書き手」としての印象が自分の中で育っていたのが、「そう言やそうだった」と今回符合した。

森下スタジオは好きな場所であるのでそれが大きく後押しして観劇に至ったが、「試み」のためのスペースにとも思える空間で、文字通り試みそのもののステージであった。未知なる領域に足を踏み入れる静かな感興があり、4人の役者が「出来る」若手(と言っても相見えてより10年経ってればもう中堅の部類か)でもあり場面を面白く味わえる。「夢」の風景を夢から覚める直前まで再現する、との宣言から始まる舞台では、文脈があるようで無く、無いようである夢らしい浮遊するような、逆にじっとりとした手触りの中から次第に、現実に起きたある事の輪郭が、ちょうど夢から醒めようとする時間に現実感が増すあの感じと重なる案配で浮上して来る。着想は面白く、舞台としても面白く観られる部分は観られたが、掴めない部分もあり、惜しいという感じを残した。
アフタートークでは役者4名と演出が登壇したが、役者のコメントに演出が逐一それが責務だというように返そうとしていてそれ要らんかなぁと。まあキャラのようであるが。。
実は私の観劇回ではハプニングがあり、奇妙な体験になった。

ネタバレBOX

開演十分後あたりの事。

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