S高原から
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2024/04/05 (金) ~ 2024/04/22 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
奇妙な病が発生している日本。一見、病状はないのだが、それが発症すると徐々に弱って死んでいく。深い眠りに落ちるように。かつての結核患者みたいに高原にある高級なサナトリウムで療養生活を送る人々。(何故彼等にこんな経済的余裕があるのかは話の都合だろう)。人から人に感染することはなく、見舞客が気軽に頻繁に訪れる。コーヒー(刺激物)を摂ったりテニス(激しい運動)をしたりは、人によっては禁じられている。
常人よりも死をリアルに密接に感じる毎日。「メメント・モリ、カルぺ・ディエム」(死を見据え、今日の花を摘め)。堀辰雄の『風立ちぬ』の有名な台詞、「風立ちぬ、いざ生きめやも」(風が起きた、さあ生きようか···、いや生きられはしまい)。
徐々に“下”の世界とこのサナトリウムとが遠ざかっていく感覚。どうせすぐに消えて失くなってしまうのならば今更何をする必要があるのだろうか?ここは終末の楽園。辿り着いた終着駅。天井で反時計回りにぐるぐる回転を続けるシーリングファンがこの世界そのもののようだ。
宮藤官九郎っぽい、入院して半年の木村巴秋氏。
面会に来た彼女の瀬戸ゆりかさん。ある意味、前半の主人公。
その友人、田崎小春さん。やたら印象に残るリアクション。香坂みゆきっぽい。
そこそこ成功した画家だった吉田庸氏。作品全体を奏でるのは、彼の言いかけた台詞。
かつての婚約者でいいとこのお嬢様、村田牧子さんは美智子上皇后に似てる。
彼がここで絵のモデルになってもらっている南風盛(はえもり)もえさん。凄く何かがありそうな役だが何も見せない。
中藤奨(なかとうしょう)氏は女好きの遊び人。
狂気の兄妹、松井壮大(もりひろ)氏と山田遥野(はるの)さん。兄のサイコパス度合いは飯伏幸太を彷彿とさせる。怪獣スリッパ。
ワイルド番地
ホチキス
あうるすぽっと(東京都)
2024/04/05 (金) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
実演鑑賞
前回の観劇は割と最近ではあったが、二年位?、、と見るとまだ一年前の事。自分(と劇団との距離感)にしてはインターバル短めであったがタイトルに惹かれ観劇。テーマ性、リアリティ、暗喩(皮肉?)そして最近は俳優(の蠱惑的演技)を重視する自分には異世界のホチキスの「見方」が、幾分判った気がした。
近未来(又はあり得ない現代)の設定でのっけからリアルを飛び越えた漫画的キャラ演技で成行きを正当化、ストーリー展開させるが、僅かな隙にリアルを忍ばせる。そこが終極「感動」に繋がるので(無論感動アピールは抑制的だが・・小玉女史の演技がこれを象徴)、やはりリアルは演劇の要であるのには相違ない。
「決闘」する本人のような出立ちの小玉氏は市役所決闘課二課の課長で、「決闘の要望を実現させる」ために奔走する課の課員は生き生きと躍動的。一方の一課は「決闘をさせない=和解に持ち込む」役割を任じており、倦んだ勤務環境をデフォルメしたかのようだが老獪な課長は課長なりのスピリッツがある事が観客の前に表面化し、両課の二項対立は二課の新人社員の「恋」も絡んで物語的に激化し漫画的展開とナンセンスすれすれなゲーム感覚が暴発して行く。
醒めた目では楽しめないリアル外しに思えるが、テーマ性はそこはかと漂ってる感があり、メロウを嫌った終劇で笑いを誘う。
今少し述べたいが後日追記。
ネムレナイト
大人の麦茶
ザ・スズナリ(東京都)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
始めて見る劇団だが、最終公演という。二十年あまり、スズナリで30回公演を打ってきたと言うが、そろそろ時分なので・・という見方によっては潔い引き方である。客席にも舞台にも悲壮感もないコメディ調のお別れ幽霊譚である。批評はやめておくが、小劇場の世界もこれからは今までのような安直な友達座組では成立しないのだろうと思う。稼ぎのために2.5まがいの営業をしなければならないとすれば、下北沢の空気も変わっていくことだろう。
La Mère 母
東京芸術劇場
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/04/05 (金) ~ 2024/04/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
久しぶりに二日続けての演劇鑑賞。それも格調高そうな交互上演の2作品なので期待大だった。しかし昨日の息子の方はまあ普通だが今日の母にはガッカリ。演出の都合上内容が薄いのは仕方がないがそれにしてもこちらの想像を一歩も出ないストーリーには呆れてしまった。
まあこんなストーリーで商売が成り立つのはフランスの事情なのだろう。チェーホフの描く没落貴族の贅沢な悩みと同じだ。木戸銭を払うことのできる階層相手に商売をしているわけだ。日本のお父さんは家庭内の居場所は早々に失い、定年で会社という居場所も失うという悲惨な状態なのだが、彼らは演劇なんか観ないので芝居になることはない。そしてこんな母よりもっとたくましい(=鈍感ともいう)。
若村麻由美さんの熱演がかろうじて芝居の形を作っていた。それでようやく☆3つ。
電撃メトロ
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/13 (土) 13:00
内戦勃発により国別に設置された地下鉄の駅内のシェルターに避難した日本人たちの物語。第一幕ではシェルターでの様子、第二幕では内戦終息後の各人物を描いているが、昨今の世界情勢から妙なリアリティを感じさせる。
そして終盤の「あの台詞」はずっとそうあって欲しいという堤さんの願い/祈りと受け取ったが、それが痛烈な皮肉に聞こえてしまう現状……。まさにイマの世界(特に日本の)情勢に警鐘を鳴らす意欲作と言えよう。
朗読劇「Aiと命」
WizArt
Art Live Space 「Special Colors」(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
電撃メトロ
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
SSチーム千秋楽観劇。
1幕はあまり乗れず。危機的状況の中で心理的軋轢の描写がもっと欲しかったなというのが正直なところ。
秩序を乱す存在と受け取ったテントの男、もっと暴れても、、、と思う。
ある意味、日本人的倫理観を象徴していたのかもしれないが。
一転、2幕は面白かった。
戦後の闇市の未来版とでもいうか、人々のエゴが見え隠れするストーリーに引き込まれた。
結局、だれも救われずに終わるかに見せかけて、最後の歌ですべてを持って行った感じ。胸熱くなった。
松子の存在がかなり異質というか空気読めない系の人物だったが、社会情勢に無関心、何事にも受け身な日本人の暗喩として物語全体のキーパーソンだったのでは?と思った。
外れているかもだが。
さよう、ならば、また、
時速246億
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初日さようチーム観劇。
青春ファンタジーで既視感あるも小劇場らしい展開でまずまず満足。世代間ギャップネタ、ベタだけど笑える。
ただ、ライトすぎるというか、テーマといえる「接続の物語」やプロローグとエピローグの繋がりが少し薄い感じが気になったかな。
アイドルは AT 車に限る
怪奇月蝕キヲテラエ
新宿眼科画廊(東京都)
2024/04/12 (金) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
劇団名からは想像できないストレートな作品。
だが、理解はできるが共感できず。所詮アイドルは偶像に過ぎないという冷めた人間なので…怒られそう。
とは言え、藤真さん、平安さん、荒井さん見たくて行ったというこの自己矛盾。
那須塩原とか宇都宮とか、元県民なので何となく嬉し。
ひぐるま、ゆもとが中心なのは当然として、アイドルと一般人どちらの感覚も持ち合わせている感じの那須娘がいてこその話かな。
2人の演技、良かったなと。
マシュー・ボーンの「ロミオ+ジュリエット」
ホリプロ
東急シアターオーブ(東京都)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
新たなジャンルの舞台を拝見しました。
台詞は全くありませんから、あらすじ読んであとはステージを見るだけです。
こういうものはどれも好みだと思いますが
個人的にはかなり高得点のステージでした。
台詞がたくさんなのも大変かもしれませんが
全く台詞がなく全て身体表現っていうのも物凄い大変でしょうね。。。
1つ間違えたら大ケガをする事になってしましますから
外人好きという方では無いと思いましたが
隙のない構成、ダンススキル、人形の様に美しいキャストと満足感は高いと思います。
台詞好きには勿論勧めませんw
悪童日記【4月15日夜~4月16日公演中止】
サファリ・P
THEATRE E9 KYOTO(京都府)
2024/04/12 (金) ~ 2024/04/16 (火)公演終了
ネムレナイト
大人の麦茶
ザ・スズナリ(東京都)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ふんわりと始まったのに、知らないうちに複線回収だぁ、と気付いて、あ、あれがあーなってと思っているうちに
互いに思い合っている気持ちがわかり合えない、伝わらない、叫びに涙した。
思い合う気持ちって、素直に伝えられない、伝わらない。
これは神様、仏様のいたずらか?
さよう、ならば、また、
時速246億
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/13 (土) 18:00
座席1階A列10番
価格8,800円
2チームあるうちのさらばチームの初日を観劇。
地縛霊11人と生きながら彼らたちと交流を結ぶJKのお話。
様々な理由で死に至り、高校の屋上を住みかとする地縛霊たちは、やがて来る廃校の日と取り壊しでよりどころを失うことに。
ヒロインでJK役の道本成美さんとその友人で行きながら霊たちと交流するJK役の横室彩紀さんが特によかった。
デカローグ1~4
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
またも新国立劇場の意図不明の上演である。しかも超大作。見終わるには三日、観客は劇場に通わなければならない。「エンジェルス・イン・アメリカ」や「グリークス」に習ったのだろうが、このAを見ただけで、この連作ものを上演する意味が疑わしくなる。
まず、これはポーランドの庶民劇である。先の「エンジェルス・・」も庶民劇で、時代の象徴性があるではないかと言うだろうが、それは牽強付会である。このポーランドの市民集合住宅にも時代の風俗はあるが、時代のテーマがない。それを無理矢理超大作にして遠く離れた極東の国立劇場が翻案する意味がわからない。ならば、三十年前のポーランドの世界に、現代の日本を考えさせるようなドラマがあるか。
二つ、原作は映画である。監督作品と言っているからシナリオと言うより、映画であろう。あまり話題にならなかった映画だが、それなら映画を見れば十分である。映画は映像のリアリティで、内容を保証している。舞台にはそれを超えるリアリティを持たなければ態々、極東の國で翻案戯曲化する意味がない。そのための工夫が全くと言ってよいほどない。前世紀に非常に複雑な歴史体験をしたポーランドの市民劇を、多分、物珍しいだけで「エンジェルス・・」に形だけで匹敵できると考えている安直さが見えてしまう。せめて既にポーランドで戯曲化されている作品の翻訳ならまだ解るが、國を渡る難しい翻案を、まだ経験も少ない若い台本作者に課すのは酷ではないか。責められないが、翻案の意図が読めない脚本である。三つ、二人の演出者の交互演出というのも解らない。十分に冒険的な企画であるが、それなら、一人の演出者が通すべきで、歌舞伎のお披露目ではあるまいし、任期がきて変わる新旧芸術監督が連続演出するというのは、観客を愚弄しているとしか思えない。観客の方は、もう、新旧両演出家の資質がまるで違うことをよく知っているからである。
最初の二つのエピソードの公演には以上の危惧がそのまま出ている。
まだ開いて三日ほどだから、いつものように半分も入っていないという事態ではないが、こういう超大作をやる劇場の熱気がまるでない。次期芸術監督には、まずは貸し館しか客の入らない劇場に演劇の熱気を取り戻して欲しいと期待する。。
デカローグ1~4
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/14 (日) 17:30
A(1,3)を観た。淡々と人生を描く作品。どんな意味があるかを考える。50分(20分休み)47分。
ポーランドの映画をベースに舞台化。1980年代の後半、ワルシャワのアパートに住む10の家族の物語を、10本の作品で淡々と描いたらしい。
1「ある運命に関する物語」は言語学教授の父と、12歳の息子、そして叔母の物語。ある意味で日常を描くが、とある事件で…、の展開。
3「あるクリスマス・イブに関する物語」は、タクシー運転手の男がイブに家に帰ると、元の恋人が来て…、の物語。どちらも、ちょっとした事件は起こるが、どこでも起こりうるかも知れない物語。
これを映画で観るのと、舞台で観るのとでは、印象が違うと思うが、舞台化した意義は、とか考えてしまった。演劇的なクオリティは極めて高い。
ワイルド番地
ホチキス
あうるすぽっと(東京都)
2024/04/05 (金) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ぶっとんだ設定でパキパキと話が進み、あっと言う間に終わってしまった。
信念のぶつかり合いが熱く、役者さんたちの全力がひしひしと伝わってきました。
あ~満足満足。
Le Fils 息子
東京芸術劇場
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/04/09 (火) ~ 2024/04/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
昨年だったか、隣の席に座った見知らぬ老婦人に話しかけられたことがあった。岡本健一さんの名前が出て、私が思わず「(彼は)若いのに…」みたいなことを言うと「違いますよ」と笑われてしまった。ええ?と思ってすぐ気がついた。私の中では彼はいまだに男闘呼組のギタリストなのだ(オイオイ)。その岡本さんも今では54歳、共演できる息子(岡本圭人)さんまでいるとは。
その健一さん演ずるお父さんピエール、繊細で尊大な息子テスラ(圭人)に思いっきり苦しめられる。そして離婚した元嫁にも悩まされ、夜泣きする赤ん坊の世話で寝不足になり、良好だった今嫁との関係もどんどん悪くなっていく。それに加えて職業は弁護士で大統領候補の政策案策定にも関わることを要請されているという。
いやあ大変だ。昭和の日本のお父さんならこんな息子は母親任せで知らんぷり(そして全責任を母親にかぶせる)か2-3発ぶん殴るとか押し入れに閉じ込めるとかで終わりなのだ。兄弟姉妹もいるので一人だけ駄々をこねても相手にされないし、近所にも子供がうじゃうじゃいて孤立しにくいという事情もある。しかし、欧米のお父さんはただひたすら家族を愛する。そういう相互依存の関係が悪いんじゃないのか、親も子も自分の中で完結してよというのが私の感想だ(異論多数は承知)。
素に戻るときが時々あったような健一さんに対し、常に小さな精神崩壊のエネルギーを放出している圭人さんの演技には怖くなることもあった。そして唐突ながら、影絵風な暗転が美しい。しかし、2018年にパリで初演、と新しい割に内容は通り一遍で深みに乏しい。そう感じるのはこういう若者のことに関しては日本がずっと先を行っているからだろう。
世迷子とカンタータ
9-States
駅前劇場(東京都)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/13 (土) 19:00
価格4,300円
前作「みんなのえほん」から2度目の観劇と巡り合う事が出来ました。
9-Statesらしい陰の部分と日常の暖かさや笑いのエッセンスを取り込んだヒューマンドラマです。
今回はけやき峠温泉にある旅館「湯鳥」で働く従業員、西野海斗の心の葛藤を視覚的に舞台転換や照明などで効果的に表現した当劇団の十八番とも呼べる作品。
今回も出版に関する内容で大きく展開されていく人間模様…序章~終盤に至るまで、少しづつ散らばった言葉のピースが頭の中で嵌っていくのは楽しいです。
20周年おめでとうございました!!
「泡が消えない」
どんぐり企画
難波サザンシアター(大阪府)
2024/04/13 (土) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
若い人が求めるピュアラブスト
オッサンには歯がゆいけど、同年であれば、共感すると思う
本当にこんなグループいんの?と思いながら、展開
ちょっと現実場馴れしないいて、オッサンには理解不能
にむん
生命のぬくもり
劇団往来
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
松竹系の泣かせる内容 吉本よりも松竹の方が歴史があるとは…
無医村に迷い込んだ尊厳死を重視した医者と、村人で繰り広げられる信頼構築の話
吉本新喜劇よりも数段上の泣かせる話 今後の松竹に注目
前半のイベントも充実 本編が更に楽しめた‼️内容もひねりは無いが、楽しめます‼️