最新の観てきた!クチコミ一覧

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RENT

RENT

キョードー東京

東急シアターオーブ(東京都)

2024/08/21 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

これを逃せば機会は無いかな、と衝動的に(仕事のシフトが変わった事もあり)チケットを買って観に行った。
マーク役の日本人俳優に特に注目していた訳でもなく、舞台に貢献してくれてさえいれば、とメインは歌でドラマを感じたく序盤のステージを観た。20数年前の日本版は日本人俳優による日本語訳での上演の一部が動画にも上がっていたが、やや興ざめ・・というのは日本語を当てた楽曲は「別物」に聞こえる。耳に入る語感の響き方は勿論違うのだがそこではなく、「歌い方」に影響を及ぼす。歌がドラマを伝えるのに役の心情のニュアンスが「歌詞を体現した楽曲」だけに歌詞が「変わる」と心情にも影響が。
全編英語での上演は、字幕を追う作業で視覚的な集中に制約があったのは事実だが、やはりオリジナルのニュアンスは代えがたかった。
私は散々DVDで観ていたつもりだが、微妙に初耳なメロディーが聞こえたりもした。だが大筋流れは分かっているから観劇に支障はなく、むしろ展開を先取りして涙腺が緩んでしまって困った。
音楽のアレンジは若干DVD版と違っていたり、あとは役者の個性が幾分異なり、私としてはモーリーンのワンマンステージをどう演じるかが、中でも俳優の個性で随分違いそうだが、今回のキャストは(DVDの俳優と比べて申し訳ないが)モーリーンのチャーミングさとこの場面の意味がよく分かり、ドラマの成立を円滑にした。

ネタバレBOX

RENT=賃貸しの部屋代を払うべきか払わざるべきか、が開幕後一発目の歌で「選択肢」として提示され、芸術家を目指す(人間として何者かであろうとする事と重ねられている)者たちの生き方を分かつ分岐点である事も読める。だから「RENT、RENT、RENT!」と叫ぶ。家賃(にすぎない代物)に支配されてる現実を、相対化し、支配を否定し得る自負のある人間が、舞台上にまず登場するのが冒頭だ。(日本では起こり得ない現実味の無い場面に見えるだろうが、米国では権利を求めて声を上げる。舞台上の状況は現実を映してもいる。)
魂を売れば金が入るという、うまい話を持ちかけられた主人公が一度そちらに靡き、このモチーフが再び首をもたげるシーンがある。
そしてエイズに苦しむ、界隈の者たち。乗り越えて自分の愛を見つけ育む者たち。ホームレス支援の抗議デモといった話題もさらりと出て来る。そちら陣営のミューズであるモーリーンのパフォーマンスはその集会でのもの。一方この女性に先日まで翻弄された主人公(男)と今まさに翻弄される渦中にあるジョアンナ(女)とがモーリーンのタンゴを踊り共感する(つまり彼女はバイセクシュアルだ)。
街で物盗りに遭って無一文になった黒人コリンズの前に現われ献身的に尽くす「エンジェル」。二人も彼らの仲間となる。主人公マークと同じアパートに住むギタリストのロジャー(ミュージシャンを目指し、今は死ぬまでに一つは名曲を作り上げたい)は電気の切れた夜に、上階に住むミミ(場末のダンサー)と出会う。二人の愛の困難と紆余曲折は中心的な筋となる。これがクリスマス・イブの夜の事。(原案となっているプッチーニの歌曲「ラ・ボエーム」もクリスマス前夜が舞台との事。)
平和を愛し人の心を思いやる「エンジェル」の存在感は実は核となっている。彼女(性別は男)が病に抗えず亡くなり(コリンズが看病し続ける場面はマイムで、他の場面の進行する脇で音楽の中、演じられる)、彼女との思い出を語る仲間たち。最後にコリンズが語り始めると歌になるが、意外な響き。ブルージーな楽曲で、天に昇ったエンジェルを高らかに讃える。
しかしその場でモーリーンとジョアンナ、ミミとロジャーの反目のやり取りとなり、コリンズは「今だけは辞めてくれ」と頼む。
不穏な予兆はやがて、貧困と病(それによる心の荒み、自己不信・・)がミミとロジャーの間を引き裂き、また彼らを撮影し続けてきた映画志望の主人公マークが、恐らくは「傍観者」以上でない己に絶望し、週刊誌に身を売るという殺伐とした終盤へ展開する。
マークとロジャーが久々に顔をつきあわせて語る。なぜミミを追いかけない? じゃお前はどうなんだ・・。底に届いたような冷たい時間が流れる。その時、寒空の下で倒れていたミミをモーリーン、ジョアンナが発見し連れて来るという事が起きる。それはマーク、ロジャーの間に忍び入ったニヒリズムにも鋭く分け入り、意識不明のミミの前で、ロジャーは、時既に遅かった「やっと作った歌」を歌う。ミミがまるで覚醒してそれを聴いているかのような場面を経過すると、ミミは突然咳き込み、息を吹き返す。そして、天国でエンジェルと会ったと言う。「彼の歌を聴いて上げて」、と言って送り返してくれたのだ、と。物語は結末を迎え、「No day, but today」のイントロとなる歌い出しから、コードチェンジしたタイトルのメロディが歩き出す。そしてやがて速度を上げて走り出し、幾回続くかと思われるリフレインに入る。
その歌の間に背景に映し出されるのは、マークが撮り続けた仲間たちの足跡を映した映像であった。完璧な舞台が幕を閉じる。

DVDには特典映像としてブロードウェイ上演最後の日の様子が収められていて、それが中々感動なのだが、その中にエンジェル・シートという格安チケットの抽選に並ぶ人たちの様子がある。劇場を取り巻くような数が列を成し、最後の日の当選者を読み上げる青年が涙しながら最後の仕事をする。空席の数は動くから、名前を読み上げるテンポも色々で、それでも最後の一人という番がやってくる。
人々はインタビューにも答え、「RENT」が自分にとってどれほど大事であったかを語り、それぞれの人生を窺わせるものがある。何度もこの舞台を観て救われて来たのだ、と語る女性もいて、今自分もその気持ちが分かる気がする・・という事が言いたかった。
『志在忠益』

『志在忠益』

劇団文机と熊

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2024/09/06 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

歴史は苦手、難しかったけど
とても面白かった

DARESAN

DARESAN

劇団かずき

シアターウィング(東京都)

2024/09/06 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

人生で初めて舞台を観ましたが最高でした。初心者でも分かりやすく、世界に引き込まれました。
今後も応援しています!!

来来来来来

来来来来来

ノラ

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2024/09/06 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

満足度★★★

想定は山林に囲まれた片田舎の集落
旦那に逃げられ、中庭?に野鳥専門の動物園(孔雀がいる 野鳥?)を運営しているおばあちゃん👵と、そのおばあちゃん👵のDV長男と嫁 イケメン次男と結婚したものの、一週間で逃げられた自衛隊上がりの嫁 義理の父(旦那は単身赴任)に恋する嫁 ヤリマンで妊娠してしまった女性が繰り広げる、ベクトルの狂った日常生活 人間の欲求やそうなったプロセスを表現しながら話は進む 最後は意外な展開で…
あるあるではないが、あるかもな話

DARESAN

DARESAN

劇団かずき

シアターウィング(東京都)

2024/09/06 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!内容も分かりやすかったし、俳優さんの演技も上手くて感銘を受けました。また、観ていてすごく楽しくてあっという間でした。あと2日、4公演頑張ってください。またこれから先もみなさんのことを応援しています。

雑種 小夜の月

雑種 小夜の月

あやめ十八番

座・高円寺1(東京都)

2024/08/10 (土) ~ 2024/08/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/08/14 (水) 13:30

8年ぶりとなる「団子屋シリーズ」第3作。劇中時間も8年を経て、演じるレギュラーの三姉妹と母も実生活の8年の経験を役に乗せて演じており役の説得力(というか実在感?)が見事。
そしてメイン舞台の白っぽい木目の印象もあろうが木目の優しさ・暖かさに通ずる作風に癒される、
さらに母の過去を(も)描くのは「いかにもシリーズ第3作」だし、冒頭場面や中盤のアレなど今の時期にピッタリなのも巧い。
また、ファゴット(!)も加えて効果音もこなす4人の楽器隊の生演奏も言わずもがなだし、贅沢な時を過ごせて満足。

終わらない歌

終わらない歌

WHO'S TERRACE × BOO WHO WOOL

ワテラスコモンホール(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

とても元気が出るような前向きになれるお芝居でした。ラストも良かったです。

Re: プレイバックpart3

Re: プレイバックpart3

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

フライヤーからは、想像できなかったまさかの日航機墜落事故のお話し。とても、興味深く観劇させていただきました。ラストがあっさりで驚きましたが引き込まれました。

妖怪大参列

妖怪大参列

劇団 枕返し

OFF OFFシアター(東京都)

2024/08/23 (金) ~ 2024/08/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

夏はやはり、ホラー。妖怪もの2つ目でした。お話しはさておきキジムナーが印象的で人魚さんに一票でした!それぞれの癖の有る妖怪で面白ろかかったです。

あえて、小さなオペラ『魔笛』2024

あえて、小さなオペラ『魔笛』2024

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2024/08/16 (金) ~ 2024/08/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

長年続く企画のようで、毎年キャストを変えて簡略版の「魔的」が上演されるというもの。毎年これを楽しみに来ている客も多いらしい。私も興味深く嬉しい「発見」で、来年も観に行くだろう。との告白にて感想に替える。

AKUTAGAWA

AKUTAGAWA

八王子車人形西川古柳座、Yara Arts Group

座・高円寺1(東京都)

2024/08/03 (土) ~ 2024/08/06 (火)公演終了

実演鑑賞

人形劇の知らない劇団へ足を延ばしてみた。
睡魔に襲わる。芥川龍之介の演目「4つの内3つ目が飛んだ。順番に羅生門、地獄変、?、河童」と思っていたが(パンプの極小文字に目を凝らしたが不掲載)、公園ページを見たら5演目。「竜」と「杜子春」の間熟睡したようである。
結果物足りなさが残ってしまったが、「車」の意味が判明。演じ手が座る縦横に稼働する台(キャスター付き)により、人形の移動の滑らかさを可能にする独自の手法だ。
座高円寺の横に広い舞台。下手側に、今回のコラボの相手だろうか、地の文と台詞を英語で喋り、舞台上部にテロップが出る。これがハードルとなり(発語から意味ニュアンスが直接に届かない)睡魔に至ったのかも。
その演じ方も独自だ。西洋演劇をあまり知らないが、ステージには和が満ちているのに劇を主導する位置に異質があり、異文化の遭遇が狙われている、と頭で理解。

あの瞳に透かされる

あの瞳に透かされる

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/05 (木) 19:00

座席1階

「あの瞳に」というタイトルの意味を、劇場を後にして反すうすることになる。くるみざわしんらしい、見事な脚本だった。テーマは従軍慰安婦と写真展。右派の反対運動を恐れて行政や大企業が口をつぐんでしまうという事態が相次ぐ中で、意欲的な舞台だ。

世界に冠たる大手カメラメーカーが従軍慰安婦の写真展を開こうとしたが、SNSなどで脅迫めいた投稿が相次ぎ写真展の担当者男性は中止を決定する。表現の自由を制限したとしてこの男性は訴えられ敗訴するが、男性は株主総会の炎上や会社の上層部を守ったとして形ばかりの取締役に引き立てられ、南国の島に「左遷」させられる。
男性と妻が島で暮らしているのは、会社が所有しているリゾート物件。だが、実はこの建物にまつわる、避けては通れない歴史があった。それは舞台の進行で明らかになる。閑職に追いやられた男性はフリーマーケットで天使の人形を買い集める。この天使の人形の瞳が何を語るのか。舞台はこの島での従軍慰安婦の歴史や、歴史を記録する写真というメディアの価値など、さまざまなことを客席にぶつけていく。

Pカンパニーの「罪と罰」シリーズには定評がある。それに加え、今回はくるみざわしんの戯曲とのことで期待して出かけた。期待を裏切らない出来栄えだったが、途中に休憩をはさんだのはもったいなかった。せっかく盛り上がった緊張感が途切れてしまった。でも、それだけで☆を減らすのはどうかなと思って五つにした。登場する俳優たちも、それぞれ独特の個性や役割を与えられた配役を、きっちりこなしていた。

いきなり本読み! in  EX THEATER ROPPONGI

いきなり本読み! in EX THEATER ROPPONGI

株式会社WARE

EX THEATER ROPPONGI(東京都)

2024/09/03 (火) ~ 2024/09/03 (火)公演終了

実演鑑賞

初EX THEATER。二階席からぐっと見下ろす格好だがよく見える。世田谷パブリックの3階席も近い距離感に思うが何故ああも遠く感じるのか。照明の具合(光度の問題)か。
感想を言うのも無粋な気がするが、書き留めておく。
使う台本で成否が決まると思われたが、今回使った台本は「ごっちん」のお話。以前「モロモロ」シリーズの端緒のような短編集成(確かKAATでの?)の一つにこれがあって、その大元は年始工場見学会(五反田)の出し物だった記憶。どうしたって後藤剛範の三つ編みカツラにスカート姿が浮かんで仕方なかったのはリーディングではイメージを助けた。名前に「たむけん」とあり、工場見学会では田村健太郎がやった役だったかも。基本子どもの残酷さ、純粋さの世界がうまく表現され、悪い大人(教師たち)と対決(ゲーム対決の様相で子どもの想像力による場面と説明するも可)、しんと心に沁みる場面もある。
今回の企画では「お前」枠というのがあったらしい。最前列中央の十数名が、該当場面に来ると順々に台詞を言う。台本上二か所「お前」登場場面がある。その枠を買った一般の観客に、岩井氏がリハを一回(ここでダメも出す)、そして本番という手順だが、本番でも途中で介入し「もっとこう」と言い直させたり鼓舞したり、指導のみならず感心したりコケたりのリアクション(「お前」たちは中々アピール度があってその生々しい、つまり生き生きした台詞にゲストも観客も楽しく反応できる)をまじえて盛り上がり面白がる時間となる。
もっとも本編も「面白がる」時間。いじられ役となる今回のゲスト、小泉今日子、小林聡美、そして伏せられていたゲスト(といっても既に公表済みであったよう)高橋文哉、板垣雄亮が、8人(以上)の役を性別年齢関係なく入れ替えてやる。のであるが、本来(自分的には、多分岩井氏的にも)ゲストのあたふた振りを面白がり、それを経ながらどうにかドラマが最後に到達、成立する事を寿ぐ趣向だったのが、ゲストらの手練れに感服する事となった。詳述したい衝動を抑えて(というかきりがない)、その事だけ記しておく。
周囲には(その会話や反応から)演劇通もいれば、滅多に劇場に来なそうな人もいたが、心から楽しむ(のが表に出まくってる)彼らの様子を見て嬉しくなる自分が居り。

MY ROOM IS MINE!!

MY ROOM IS MINE!!

MIXZONE

小劇場B1(東京都)

2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いや~これは実にユニークな設定ですね。コメディかと思いきや、ちょいとサイコでシリアスな近未来SFの世界、大いに楽しめました。

『大洗にも星はふるなり』

『大洗にも星はふるなり』

ゴツプロ!

「劇」小劇場(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

若さ溢れる勢いのなる舞台でした。最初台詞の間が少し気になりましたが、バカバカしくも登場人物と共に楽しめました!

あの瞳に透かされる

あの瞳に透かされる

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第36回池袋演劇祭参加作品。重厚骨太といった作風で観応え十分。
説明では、「従軍慰安婦」写真展を通して表現の自由と責任を問うとある。しかし、もっと核心に迫るー従軍慰安婦は国家の強制なのか、諸々の条件も含め国のための自発的な行為だったのか を問うている。勿論 問われているのは観客1人ひとりにである。

舞台としての面白さはあるが、説明不足なのか自分の理解不足または台詞の聞き逃しがあったのかもしれないが、分かり難いところがいくつかある。そもそも説明にある過去を蒸し返す無遠慮な男の正体が謎めいている。
物語は大手カメラ会社に勤務する男は、6年前 元「従軍慰安婦」の写真展の企画責任者だった。しかし、インターネット上に従軍慰安婦はデマだと書き込まれ、会社への抗議行動を恐れ写真展を中止した。男は写真家の表現の自由を侵害したとして裁判を起こされ敗訴した。しかし会社を守ったと評価され、取締役に昇進し会社所有の施設に住んで悠々自適の暮らしをしている。そこへ無遠慮な団体職員(配役)がやってきて…。
登場人物は5人、役者はその立場を鮮明にし 緊迫した会話を繰り広げる。その情景を支えている舞台技術が実に効果的だ。重低音の音楽が流れ、モノクロ的な単色照明が緊張感を漂わせる。

この施設(自宅)に出入りしている建築業の女性の存在が妙。会社の人間でもなければ「従軍慰安婦」問題にも直接関わらない。かって医者であったが患者と向き合うことが出来なくなり、今は建築業を行っている。患者という「者」を看ることが出来ず、今では「モノ」を見ている。そこに本来直視しなければいけない問題、核心から目をそむけているといった典型的な人物を配したように思える。

劇中、チラシPhotoにある陶器の天使 と タイトルに係る台詞が繰り返し出てくる。今あるのは過去の残骸の上に成り立っている社会なのか?本作は実際にあった事件(2012年)を元に劇作家くるみざわ しん氏が劇作したもの。その根底にあるのは戦争の悲惨=反戦を語り継ぐことだろう。その断片を表現の自由に絡めて描いている。
(上演時間2時間20分 途中休憩10分含む) 

ネタバレBOX

舞台美術は、中央壁にスクリーン、半円を描くように階段があり上手に出入口2つ。1つは二階へ、もう1つが地下へ通じている。中央から下手側にテーブルとイス。その奥に衝立風の玄関がある。会社 施設(現在は坂中家)の居間。上演前から波の音が聞こえ、海の近くにある建物のよう。

物語は、夜中に大きな音がして、それが何か調べるところから始まる。夫 坂中正孝(内田龍麿サン)と妻 曜子(木村万里サン)とで聞こえた場所が違う。原因を建築業の小竹さなえ(木村愛子サン)に依頼する。そこへ施設管理人 池田千江(藤 夏子サン)が男 高田靖(磯貝誠サン)を伴ってやってくる。高田は6年前に正孝が企画した「従軍慰安婦」の写真展を中止したことを非難し追及してくる。カメラマンの表現の自由を侵害した裁判では決着(敗訴)しているにも関わらず…。

高田は会社の指示で動き回っているようだが、団体職員が なぜ会社幹部(社長)に知り合いがいるのか、何が目的なのか判然としない。「従軍慰安婦」は国家の強制ではなく、亡国を憂いた当時の女性たちが自発的に行った行為、それを写真展を通して公にするようだが…。大手カメラ会社や高田にどんなメリットがあるのか?会社として株主総会を乗り切り、判決から3年も経っている。

この会社施設はかって従軍慰安婦が居た場所、そして戦時(空襲)中 陶器の天使を街の彼方此方に埋めた。なぜそうしたのか千江にしても分からない。ただ風潮だったという曖昧な説明。にも関わらず、後ろを振り向いた天使像に絡めた台詞が繰り返し語られる。過去の残骸の上に成り立っている現在(社会)、それを教訓化するには、もう少し丁寧な説明(理由の回収)が必要ではないか。いくつかの疑問が残るが、現実にあった事を題材に社会的関心度が高いテーマに挑んでいる。Pカンパニーらしい公演<シリーズ罪と罰CASE12>だ。

舞台技術…先にも記したが 音楽は低重音で響かせ、照明はモノクロ的で色のない(死の)世界を連想させる。物語の雰囲気に合わせており実に効果的で印象に残る。
次回公演も楽しみにしております。
あの瞳に透かされる

あの瞳に透かされる

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

実在した表現の自由の事件を素材にした現代劇である。
戦時の従軍慰安婦の写真展を、世間に批判を畏れて大会社が中止した。会社は責任を担当取締役(内田龍磨)一人にかぶせて左遷、地方に住まわせて、ほとぼりが冷めるのを待つ。そのいきさつを嗅ぎつけた運動家グループが、むしろ謝って公開した方が大会社に取っては利益になると、二枚舌平気の弁護士(磯谷誠)を派遣してくる。会社も二重構造なら社会の倫理もダブルスタンダードなのだ。
現在の週刊誌的話題ではよくある構造で、どちら側にも現代ならではの問題構造に対して実にナサケナイとしか言いようのない正義がくっついている。
しかし、今は身近なゴミ問題から世界的なロシアの侵攻問題まで、どこにもありがちの、昔風の正邪では裁ききれない問題を舞台で観客に見せるのは難しい。問題はそれぞれ弱みも持っている。多くのことに表裏の諸条件が複雑に絡み合っている現代をどう生きるかと言うテーマはかなり面白く演劇的でもある。しかし、この舞台では残念ながら設定にぼろが出すぎた。最後に、突然、主人公が田舎のフリマで天使の人形を集める、と言うことへテーマの解決を持っていっても無理がありすぎる。主筋の写真展の中身の従軍慰安婦問題や、会社内の内部抗争、まで、さまざまな立場の人間に役割を拡げすぎて整理されていない。この作者は関西の医師出身の劇作家で、過去にも東京で見たことがあるが、このようなとっ散らかり方はしていなかった。劇団として、はじめての作家との取組み方にも混乱の原因があったように思える上演だった。客席は満席だった。


ネタバレBOX

現実性の強い素材で、ここで現代の本質を掴もうとすると難しい、現実素材なのに嘘っぽい。先例では、中津留のトラッシュマスターが随分長い間苦労した。今は、こういう素材だと中津留が一枚も二枚も上手である。経験がものを言う。古川健も歴史を扱って上手い。勝負のハンイをそれぞれがよく知っているからだ。さらに言えば、俳優たちが従来の良い役、悪い役でやろうとしすぎている。そこはpカンパニーのような古い劇団の解釈癖だろう。演出者の責任でもある。民藝もどきで古い古い。
来てけつかるべき新世界

来てけつかるべき新世界

ヨーロッパ企画

京都府立文化芸術会館(京都府)

2024/09/05 (木) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

再演とのことですが、かなり現代版にアレンジされていると思います❗誰でも楽しめる内容で、会場は平日にも関わらず満席 追加でパイプ椅子席も増設 板尾さんが、とても良い味を出していて、テンポがとても良い感じです❕最後はトリプルコールで、関西を代表する劇団だな〰️と満足感と帰路につきました

「金のりんご」

「金のりんご」

poco

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2024/08/31 (土) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いい意味で裏切られました。童話の後日談的なお話で、こう来たか❗と思いながら拝見していました。それぞれに内容も充実していて面白かったです。

『大洗にも星はふるなり』

『大洗にも星はふるなり』

ゴツプロ!

「劇」小劇場(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

肩の力を抜いて心から楽しく拝見できました。熱のこもったお芝居良かったですね。本当に各人の個性全開で明るい気分になって劇場をあとにできました。楽しい時間ありがとうございました。

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