最新の観てきた!クチコミ一覧

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子午線の祀り

子午線の祀り

世田谷パブリックシアター

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2021/02/21 (日) ~ 2021/02/27 (土)公演終了

満足度★★★★

従来よりも上演時間を短くし(休憩込み3時間)た。カットは役にも及び、出演者を31人から17人にしたという。全文上演は4時間半。これまで多少カットしても4時間近かったことから大幅にスリムにした。スピーディーでありつつ、テーマもクリアになってよかった。非情な天の動きは「人の世の営みとはかかわりもないこと」なのか、という知盛の問いに対し、影身が関係ないとはいわず、ただ「非情なものに、しかと眼をお据えください」というせりふの微妙なニュアンスがよくわかった。

舞台中央に傾斜した三日月形の高い舞台を作り、その中央の空間を、時に船内に、時に海面にと、いろいろに見立てた。冒頭のナレーションから影身(若村真由美)はずっと後ろ姿で舞台に立っているし、三幕ではずっと、背景にろうそく?を持った影身の姿が見える。四幕の合戦では、中央の知盛(野村萬斎)の後ろに背後霊のように民部(村田雄浩)がずっといる。公演プログラムのインタビューで、萬斎が影身と民部の存在感を高めたいと述べていたが、それをわかりやすく示した演出だった。宗盛(河原崎国太郎)の無能な善人ぶりもクリアで、彼のだめぶりの場面では必ず笑いが起こった。「子午線の祀り」の笑いは貴重である。

知盛はハムレット、対する源義経(成河)はドン・キホーテである。平家方の知盛―民部の主従・対立関係と、源氏の義経―景時(吉見一豊)の関係が対比されている構造もよく分かった。戯曲をスリム化した効果だと思う。

この作品を見るたび、結局、人間は自然の法則・歴史の法則には逆らえないのかという諦念を感じ、作者の意図をどう受け取めればいいのか困ってしまう。今回も一層そう思った。

ネタバレBOX

客席は市松模様の50%だった。
マニラ瑞穂記

マニラ瑞穂記

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/24 (水)公演終了

満足度★★★★

前半でまず状況と人物を立ち上げて、後半になって事件が次々起きて面白くなる。フィリピン独立派がアメリカ軍に敗れた1898年のマニラが、戦後の焼け野原の東京と重なるようなセリフがある。「日本人は熱狂するのが好きで、言葉に酔いやすい」「金だけじゃない、文化も何もかも敗れたんだ」等と。若いアメリカ兵にすがる日本人女性など、戦後のパンパンを思わない人はいないだろう。

第三場の領事館に場面変わって、さらに舞台の深みがます。カラユキさんの女性5人のなかに二人、男性登場人物と片思い関係にあるところなど、「かもめ」っぽい。前半ではその気配がなかったが、男女の出る芝居なんだから当然恋が芽生えなければ。ただあまりロマンスが膨らまず、それぞれ袖にされるのはもったいない。

女衒の秋岡(田畑祐馬)を、独立派義勇兵の梶川(今井公平)がアメリカ軍に密告する。梶川は女たちに「あんたたちは奴隷にされているんだ。さあ、逃げろ。自由になるんだ」とけしかけるが、逆に女たちは秋岡といっしょにいることを選ぶ。家族からも社会からも見捨てられた自分たちが、頼りになるのはこの男だけというわけである。この人間感情の複雑さが薄っぺらな正義を跳ね返すところが面白い。

さらに中尉と決闘して勝った秋岡が「自分は生まれ変わる。お前たちはどこでも行け」というのに対し、女たちが「私たちは仲間じゃ」「自分だけ人間のつもりだったのか「裏切りもんは突き飛ばせ、売り飛ばせ」と攻め立てる。ここでは先の秋岡頼りからさらに女衒と女たちの関係を深く掘り下げて、男が女に縛られている構図を浮かび上がらせる。女衒と女たちの共依存というべきか。
秋岡が決闘の時に「なん百何戦の女たちの声が聞こえる」と言っていたが、この5人の女が責めさいなむ声こそ、秋岡の頭の中でなっていたものが現前したものだろう。

劇場で旧知の俳優が「ああいう女衒や女たちを国家が利用しながら、踏みつぶしていったことを、秋元は見据えて書いている」と語っていた。そういうこともあるかもしれない。

女優陣がしり上がりによくなっていったのに圧倒された。のんだくれのいち(伊藤麗)がよかった。秋岡の薩摩弁(?)も見事。ただ、客席の第一列で見たせいか、男優たちは声が概して大きすぎてせりふ回しが固いように感じた。感情よりも理屈をいろいろ考えさせられた芝居だった。前半60分、休憩20分、後半80分。合計2時間40分

ネタバレBOX

米軍将校が、女たちを米軍が保護することに同意するなら、秋岡を無罪放免する、という条件を出し、女たちがそれに同意して、秋岡と一緒に米軍の元へ行く。秋岡を救うための女性たちの献身であるし、女衒と女は一蓮托生ということでもある。

最後は、襲撃隊(日本軍の介入を狙う、現地軍人の一部らしい)の裏をかき、領事が領事館に自ら火を放つ。「襲撃しても、日本軍の上陸などないんだ。それならいっそ、私が不注意で火事を起こしたことにした方がいい。襲撃隊は驚くでしょう」と。
カミキレ

カミキレ

藤原たまえプロデュース

小劇場B1(東京都)

2021/02/14 (日) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

2月21日、下北沢の小劇場B1で上演された、藤原たまえプロデュースvol.6『カミキレ』の千穐楽を観てきた。これは、演劇情報サイト・コリッチの招待券が当たったこともあったが、公演のプロデュースが兎座でもお馴染み藤原珠恵であることも観に行った理由の一つであった。

舞台はとある区役所の戸籍・住民票係。ここに様々な理由で書類というカミキレを持ってやってくる人たちの人生を、3つの物語にまとめて75分に納めた作品。
まず登場した区役所の職員役3人がなかなかの個性的な面々。女性2人男性1人なのだが、その中の上司的な立場らしい栖原役の幸野紘子のクールさと、男性の鈴木役中村佑亮のキャラがどことなく「さかなクン」に似ていてなかなか面白い存在感を醸し出していた。
第一話のカミキレは婚姻届と離婚届。正反対の内容の込められた書類だけれど、男女の関係性がなかなか味のある設定だった。
第二話のカミキレは、死亡届。それを出す波川月子の演技にホロリ。
第三話のカミキレは、中年になってミュージカル俳優を目指す男性の戸籍謄本?の申込書かパスポートの申請書。舞台は一転してミュージカル仕立てになって、前話のホロリから一転してノリノリで面白かったですね。

最後に、区役所職員がなぜ公務員になったのかを話す場面で締めくくられていて、舞台構成的にしっかりした作品となっていた。

この作品を観て連想したのが『コーヒーが冷めないうちに』という舞台と小説。今回の『カミキレ』も、小説化出来そうな内容だった。

夢ぞろぞろ

夢ぞろぞろ

EPOCH MAN〈エポックマン〉

シアター711(東京都)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★

観てきました。 タイトルから想像してたのとはちょっと違ったかな。 セリフ量多すぎ!早口でしゃべりすぎ!

BLACK SMITH【延期公演】

BLACK SMITH【延期公演】

壱劇屋

大阪ビジネスパーク円形ホール(大阪府)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★

昨年4月から延期になった公演、上演される日を楽しみにチケットを保管していました。観客の幅が広く、さすがの集客力でした。
壱劇屋の舞台は数回目で、まだ役者さんの名前とお顔が全く把握できていなくて、4面の座席のうち、スタージャックスのドヰさん、浜口さんの西を選びました。お二人は渋いおじさまペアでステキでした。
大音量で正面ではないセリフは聞き取らづらく、登場人物が多くて、キャラがつかめず、ついていけてませんでした。自分の集中力やセンスが足りないからで、作品との相性もありますから、今回は星が3つですみません。
壱劇屋さんのパワーはすごいです。

先の綻び

先の綻び

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★★★★

初めての劇団さん。高評価に違わず、めっちや感情移入できて、せつなくて、ラストは泣いてました。ありがとうございます。

2月の現状

2月の現状

The Stone Age ヘンドリックス

大阪市中央公会堂(大阪府)

2021/02/20 (土) ~ 2021/02/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

●「悪い手」
地域のボランティア団体「銀の鶴」鶴を折る。行き場のない4人が、行き場がなくなった千羽鶴を折る。未動きもできない 資格剥奪看護師以外の3人は祈るように折る事しかできない。 キャスティング、役作りがとても良い。

●「もっともらしく押す」
3姉妹 二人の学費どちらかを選択 母は選択を出来ずに逃げた、おぼれたように。3女が妊娠どうする 2女が吐く 妊娠 妊娠できない長女 姉妹3人で準備運動 溺れないように、これからを生きるために。

ネタバレBOX

●「悪い手」
地域のボランティア団体「銀の鶴」鶴を折る 手が悪く鶴を折れない主催 癖のある3人の会員
オセロを打つ悪い手 折る 祈る 贖罪 借金 保険金 元看護婦 資格はく奪 手は動く 保険金詐欺 これは皆の相違です しかし許す。  
悪手がもっと悪い方向になったんじゃないか、一人は保険金詐欺と一人は資格剥奪看護師 行き場のない2人、4人で行き場がなくなった千羽鶴を折る。未動きもできない 折る事しかできないんだ。 資格剥奪看護師以外の3人は祈るように折る事しかできない。 キャスティング、役作りがとても良い。

●「もっともらしく押す」
逃げた母が、与那国島行きの飛行機事故 集まる3姉妹 昔の記憶 準備運動なしで泳いでおぼれた 3姉妹 二人の学費どちらかを選択 母は選択を出来ずに逃げた、おぼれたように。 3女が妊娠どうする 2女が吐く 妊娠 妊娠できない長女 治療は可能だが宗教が禁じている 妹に当たる姉 生存者が1名母の名前 与那国島行きを決めた 姉妹3人で準備運動 溺れないように、これからを生きるために。
BLACK SMITH【延期公演】

BLACK SMITH【延期公演】

壱劇屋

大阪ビジネスパーク円形ホール(大阪府)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/02/20 (土)

最高のエンターテイメント!凄かった!とにかくストーリーが良く出来てましたね☆超豪華オールスターキャストやったんで分かりやすい正義VS悪のバトル作品かと思いきや善悪の関係性が一捻りも二捻りもある重厚なドラマ性が魅力のお芝居でした!モチロン壱劇屋特有である怒涛のアクション活劇も健在です♪今だからこそこの作品を上演する意味があったと思うし今だからこそ観るべき作品でした★劇中の台詞にある【人間を舐めんな!】はコロナへ向けての台詞に聞こえて胸が熱くなりました☆おかげで免疫力がアップして元気に生きて行く力をもらいました!ありがとー\(^o^)/

第1回 T Crossroad 短編戯曲祭 <2020年の世界>

第1回 T Crossroad 短編戯曲祭 <2020年の世界>

ティーファクトリー

吉祥寺シアター(東京都)

2021/02/10 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★★★

ユニークな企画であったが観る事ができたのは最終のFのみ。面白い。3編をやって1時間程度だが戯曲の魂を汲んだ演出もよく、他の回も観たかった、と思った。
もっとも1ステージ3800円、2ステージセットでも7000円(6バージョン全てセット18000円)、とても沢山は見られないので選ぶ事になるが観たいと思ったBは時間が合わず、後半のEも見られず「一つは観ておこう」とFを観た。
20近い短編上演と、リーディング上演ともに、多くがコロナ期間に物した戯曲の紹介である模様。私が観たFプログラムの一つは明確にコロナ状況を揶揄した戯曲、一つは昨年の森友文書改竄で自殺した官僚の手記公開に着想を得たらしい戯曲、一つがAI搭載アンドロイドが家政婦として家庭で購入される近未来物。どれも批評性があり力強かった。

2月の現状

2月の現状

The Stone Age ヘンドリックス

大阪市中央公会堂(大阪府)

2021/02/20 (土) ~ 2021/02/22 (月)公演終了

満足度★★★

【もっともらしく押す】を観劇★
個人的に「終始重くてネガティブな話」やと感じましたが、面白くない訳じゃなくてそういう趣向のお芝居ってだけで70分引き込まれました☆それは役者さんの技量が全てで4人とも普段から応援させて頂いてる女優さんばかりの競演という「神キャスティング」でした♪極端な話このメンバーなら「どんな話でも面白いお芝居に仕上げてくれる」安心感があるんです♪会場も素敵な空間やったしとても良い一日になりました♪

先の綻び

先の綻び

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★★★★

最初はこのグダグダな感じで進んで行くのかなと思ったら・・・最後に号泣・・・♪

ghost notes

ghost notes

空の驛舎

SPACE9(大阪府)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★

自分の中で理解しようとするのは、私には難しい作品です。
初めての劇団でしたが、ハードルが高かったです。

先の綻び

先の綻び

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★★★★

正しい答がでない題材ゆえ、それぞれの立場でいろんな思いが巡り、
もどかしさでいっぱいでした
唯一の解決策は時の流れなのでしょうかね⁉︎

僕の庭のLady

僕の庭のLady

文化庁・日本劇団協議会

赤坂RED/THEATER(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★★★

映画になったドラマを日本で初舞台化。演出・河田園子の名は時折目にしていたが、今回の文化庁海外研修の成果発表を兼ねる“日本の演劇人を育てるプロジェクト”公演の対象の一人でもあり、2017年留学というから割と若手らしい。
実話に基づくとされる本作は、アラン・ベネットという英国の作家が自分の家の庭に住み着いたホームレスの女性との長年にわたる交流を作品化したものという。作者本人が「作家」として登場し、この出来事を自分の作品のネタにしたい作家魂(下心)に疼いたりするが、ナイーブな書き手の良心を打ち砕くように、とことんマイペースな「客人」は彼を翻弄する。
舞台では作者に当たるアラン役を二人が演じ、開演後しばらく何が起きているのか掴めず戸惑うが、やがて一人が実体を持つ本人、もう一人が彼に異論を挟んだり挑発する想像の人格らしいと(休憩を挟んだ後半に)判った。ミス・シェパードを演じるのが旺なつきというのも休憩後に分かり、コメディ調に収まる女優の挙動の度に客席から反応が起きるのに合点が行く。「迷子」ゆえに瞼が落ち気味であった前半を終えて後半が始まると一気に入り込んだ。

シェパードの頑固さ、押しの強さと、実直そうな作家との対照が見えて来ると、ドラマは自転を始めている。かつては名も売れたピアニストだったという彼女の来歴をアランは信じており、疑いを挟む要素もなく話は進むが、観客的には一応カッコに括られている。だが、呆気なく彼女が去ったラスト、残されたアランは彼女以外の人間から彼女という存在を「知る」。彼女に人間的に対応し、臭いの立ち込める住処(バン)に入り込んでいく「プロ」たち。そして唯一繋がった親族である実弟。彼にとって姉は人生を狂わされる程の存在であったが、ピアノだけは素晴らしかったと言い、意地でもピアノにしがみついていれば良かったんだ・・と呟き去る。
「分を弁えない」ミス・シェパードの存在はこのドラマを社会派にも人情劇にもせず、つまり彼女を社会の犠牲者だとか弱者としての居場所を保証する事をさせず、人生讃歌に終えることを強いる。ただ、このドラマの説得力は(「実話」とある通り)脚色で「盛って」おらず本当にあったと思える事、彼女の姿を通して多くの人生が見えてくる所にある。
機会があれば映画も見てみたい。

先の綻び

先の綻び

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★★★★

ストーリー展開もさる事ながら、ラストのクライマックスシーンは感動的で、泣けました。
素晴らしい舞台でした。

激熱

激熱

ユーキース・エンタテインメント

STUDIOユーキース(東京都)

2021/02/08 (月) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★

Bチームを観劇。
劇団晴天の大石晟雄さんが書いた脚本で何度も再演されている作品のようです。
剥き出しの感情がぶつかり合う激熱なお話。

ネタバレBOX

あらすじは過去の観てきた!に書かれた感想にあるとおりで、平行世界にいる同じ組み合わせでのガールズバンド2組(売れること優先のエアバンドと音楽性にこだわるバンド)を対比させて、彼女たちの葛藤を描いたもの。

狭い劇場なので、口論するシーンなどではうるさく感じるぐらいですが、そこは文字通り熱を感じ取るべきなのでしょう。
長い長い恋の物語【大阪公演】

長い長い恋の物語【大阪公演】

玉造小劇店

ウイングフィールド(大阪府)

2021/02/16 (火) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

玉造小劇店の舞台、初めてでした。
コング桑田さんの前説、ミュージカルの重鎮がこんなに近くでお話されてるなんてマジ?と思いました。きゅんいただきました。
お話は思っていた以上に厳しい場面がたくさんありました。1枚のハンカチが支えてくれた人生、ずっと恋し続けていたんですね。

「その鱗 夜にこぼれて」

「その鱗 夜にこぼれて」

空宙空地

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2021/02/18 (木) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

息子に対してのこれまでのことやこれからのこと、今の自分が日々感じていることに重なる部分が多くて、涙なみだの観劇でした。みんな普通の人、でも危ういというか、こわかった。ゲスト出演オパンポン創造社の野村さん、時間は短かったけれどすごい存在感で、緊張感も半端なくドキドキしました。
チケットもパンフレットも電子版で接触を減らすための工夫をしてくださってました。

先の綻び

先の綻び

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/02/21 (日) 18:00

心にしみいる素敵な舞台でした。

帰還不能点【3/13・14@AI・HALL】

帰還不能点【3/13・14@AI・HALL】

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

凄え舞台。「兎にも角にも絶対観ておいた方が良い」としか言いようがない。よくもこんな脚本が書けたものだ。
日米開戦前、総力戦研究所に集められた民・官・軍の若手のエリート達。シミュレーションを試行するも結論は日本必敗。しかし日本は戦争に突入し、シミュレーション通りに敗けた。
戦後、同僚の三回忌に奥さんの居酒屋に集まる面々。そこで即興劇宜しく日本がどうやって間違えていったのかを再現してみせる。
役者陣は実際に飲み食いし、とことんリアルを追求。黒澤明の『どん底』を思わせる演技合戦。
もうこれは映画ではないか。カメラを回せば、大島渚の『日本の夜と霧』のような作品が撮り上がる完成度。岡本喜八の『日本のいちばん長い日』や庵野秀明の『シン・ゴジラ』調のポリティカル・エンターテインメント。(ゴジラは日米開戦。)
黒澤明(原作山本周五郎)調の人間の熱い血がどくどくと脈打って流れている。演出の狙いは『生きる』の後半っぽくもある。
独りアウトレイジの粟野史浩氏はいつもながら最高。
この題材をエンターテインメントにする作家の力量に敬服。

ネタバレBOX

南部仏印進駐をPOINT OF NO RETURN(帰還不能点)として日本史を俯瞰。
ニコニコと皆の即興劇を見守る未亡人黒沢あすかさんが一つの軸。クライマックスの旦那との出逢いのシーンは美しすぎて涙が出た。自殺を図る女を必死で止める男。敗けると判っていた戦争を止められなかった事への自責の念により、自己犠牲と他者奉仕による贖罪の日々。「私一人を救ったところで他のみんなは救えないじゃないか?」「みんなを救えないことが一人を救わない理由にはならない!」・・・参りました。
絶対に敗ける日米開戦を本当に止めることは出来なかったのか?ラストは時空を越え、何とかしようと止める方法を模索するメンバーの激論で終わる。この題材で感傷ではなく、この終焉に感服。これはもうある種の現代日本史運動なのでは。

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