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20181-20200件 / 183091件中
ドップラー

ドップラー

KOKOO

シアター風姿花伝(東京都)

2021/04/20 (火) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

変幻自在、サプライズ満載なストーリー。お伽噺「浦島太郎」、寓話「ウサギとカメ」、神話「パンドラの箱」、アポロ(有人月面着陸)計画等、色々な物語を想起させつつ、破綻と成立の境界を行ったり来たりする危うさ。それがなんとも不思議な魅力を放つ。一級のエンターテイメント作品とまではいかないが、それでも新たな旋風を巻き起こすような予感?がする。
上演時間2時間(途中休憩10分)

ネタバレBOX

上手側に階段を設え、舞台上にあるのはドラム式洗濯機1台のみ。あとは小道具としての弁当箱。大きく空間を確保するのはキャストが走り回る、そのスペースを確保することと同時に、壮大な宇宙空間の演出を意図しているのであろうか。キャストは総じて若く、大声、走り回るといった演技が印象的だ。

物語は、お伽噺、寓話、神話、さらには世界的な関心事など虚実綯交ぜにし、それぞれのモチーフを断片的に繋ぎ、さらにコント的な場面を挿入し笑いを誘う。一見 無関係なシーンが次々と放り込まれハチャメチャな感じがする。縦横無尽に展開する物語はどう回収し収斂していくのか疑問が残る。にも拘わらず いつの間にか一本の線(本筋)の上にいる。過去と現在もしくは未来という時間の流れ、そこに人間の性格や生き様を上手く絡め、表層的には破綻しそうな話が重なっていく。何故か重層的に展開しているような錯覚に陥る。その訳が分からないマジックワールド的なものが魅力かもしれない。

題名「ドップラー」は「遅れて共鳴が来る」ということらしい。それを2人の青年(1人は足も生き方も早く、もう1人は鈍く不器用な人生を歩んでいる)の生き方に象徴させる。人生、早いか遅いか(何をもって比較するかは曖昧)の競争ではないといった教訓的なことを、お伽噺や寓話等に準えて描く。

が、実は本来担うべき人間が、何らかのアクシデントで全うできなく足踏みしている間に、周回遅れで追いついてきた人間が取って代わる。いや そうせざるを得ないという状況に追い込まれる。注目され後に引けない国家的なプロジェクト-宇宙計画。しかし、そこには不整備なロケットへの搭乗という秘密が隠されている。遅れてきた人が衆人環視の中で搭乗せざるを得ない状況に追い込まれる。周りの英雄視扱いとは逆に自己犠牲へ、いつの間にか周りの思惑に踊らされる不条理。物語は、決してジグソーパズルのようにピースがキッチリ収まらないが、そこが伸び代と言える。粗削りだが勢いのある公演、自分は好きである。

次回公演も楽しみにしております。
6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3

6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3

オフィス上の空

吉祥寺シアター(東京都)

2021/04/09 (金) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

同じ舞台美術で6団体が競演する企画。
【青組】観劇。
前半:Pityman
後半:こわっぱちゃん家

上演時間2時間-各1時間、途中休憩10分)

ネタバレBOX

共通セットは、舞台中央に踊り場のある2階への階段と2階部ドア、舞台上手・下手側にあるドア。中央階段の階下(1階)にはソファ。舞台の色彩は、階段上部(中央)が黄(緑)、上手側が赤、下手側が青という3色、組み分けの意味があるのだろうか?

Pityman 「そんなこと話してる場合じゃない」
 同じソファをめぐってオムニバス風に引っ越し業者、思いを語る若者、別れそうな夫婦と3つのエピソード。これらのエピソードを包み込むような物語が、今のコロナ禍における演劇公演そのもののあり様を描く。
 公演を観に来た男が、劇場入り口の検温で引っ掛かり中に入れない。そこで先の3話が次々と展開していく。時間を経てまた検温をするが、それでも劇場関係者は何らかの理由を付けて中へ入らせない。一方、劇はソファが外に出せないをコミカルに描いていく。この入る出せないといった、真逆のような行為を「劇中劇」仕立てとして面白可笑しく観せる。シンプルな舞台セットにも関わらず、奇知に富み世相をしっかり皮肉る世界観は秀逸だ。

こわっぱちゃん家 「Picnicへのご案内」
 どちらかと言えば王道的な観せ方(作品)。子供叱るな来た道だもの年寄り笑うな行く道だもの、といった言葉を思い浮かべる。若者が楽しく過ごす近未来のシェアハウス、しかし いつか各人に訪れる"ピクニック"とは? 20歳代の若者男女4人が元気いっぱい楽しそうに暮らしている。しかし若者に見えるのは外見だけ、実際は後期高齢者が入所している老人ホーム。
 ある日、シェアハウスの管理人が1人の住人にピクニツクへの招待状(手紙)を持参する。そこから状況、雰囲気が一変する。今まで同じ空間・時間を過ごしてきた仲間、その仲間との別れ、それは世代に関係なく一抹の寂しさが残る。このシェアハウスでのピクニックは別の意味合いのある別れが…。まさしく近未来のシュールな物語。

2団体ごとの競演といったスタイルだが、特徴を挙げるとすれば Pitymanは脚本の独創性、こわっぱちゃん家 は演出の奇抜さといった違いを思わせる。同じ舞台セットでこれだけ違う物語を紡げる、やはり演劇の幅広さ奥深さを感じることができる好企画。次回公演(企画)も楽しみにしております。
引き結び

引き結び

ViStar PRODUCE

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/04/21 (水) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

公演は「紬」と「結」の2チーム。自分は「結」(大千穐楽)を観劇したが、終演後の挨拶で主宰・星宏美さんが落涙、それにつられて自分も涙腺が緩む。
さて芝居は、コロナ禍の状況を物語に重ねるような、そこにこの公演(演劇に対する思い)の真骨頂をみる。
(上演時間1時間50分)

ネタバレBOX

舞台セットはシンプルで、下手側に机とパソコンが置かれているのみ。正面には色とりどりの三角形をした羽目(硝子?)板のような造作。舞台がシンプルゆえに、逆に人物描写の深掘りが求められる。

梗概…物語は某劇団の公演中の受付。そこに現れたのが星乃美桜(星宏美)。入団希望者としてやってきた美桜は、劇団主宰者・佐藤慶大や主演女優兼制作の北郷春(中山ヤスカ)の養成所時代の恩師の娘。一方、父の星乃真咲は、娘が弱視というハンディを負っていることから、女優になるのは難しいと反対する。しかし、美桜の決意の固さと彼女の母親で元女優の故・星乃いぶきの事を思う劇団員達の理解や協力もあって劇団員として舞台に上がることになるが…。

美桜は弱視で、その世界(視野)は5円玉の穴から見るようなものだと表現している。先がボヤけ見難さは、まさにコロナ禍における先行き不透明で不安な状況そのもの。美桜がどう生き世間とどう関わっていくのか、別の観方をすれば、コロナ禍においてこの状態とどう向き合い、その状況と関わっていくのか。まさに今の状況に通じる重要なテーマが横たわる。その危うい状況を誰かのせいにするわけではなく、何かを成し遂げるためには自分で障害(物語では弱視を障がいと表現)を乗り越えようと努力する。

「演劇」は、稽古から本番まですべて人との関りで進んでいく。それが当たり前だと思うが、状況は一変する。今は劇場での実演、ライブ配信、アーカイブ配信など色々な手段を通して観客と関わる。本公演も上演するまでには相当な困難(感極まって星さんの涙)があったと思われるが、それでも舞台という芸術の必要性を訴える、そんな気概を思わせる内容であった。舞台は毎回異なる、その公演を行う者、それを観ようとする者、まさに一期一会、それこそがタイトルの”引き結び”ではなかろうか。

次回公演も楽しみにしております。
INDESINENCE 

INDESINENCE 

LUCKUP

赤坂RED/THEATER(東京都)

2021/03/24 (水) ~ 2021/03/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

サスペンスミステリーの王道のような公演。その進行・展開は女子大生が探偵役、それもシャーロック・ホームズとワトソンのような関係で担い、謎解きに挑む。物語は作り込んだ舞台セット、そこに集まった人々の性格・立場や挙動を説明しつつ、観客自身も推理し謎解きしていく面白さへ誘う。
(上演時間1時間50分)

ネタバレBOX

舞台は五弁(イツビラ)重工株式会社の常務の別荘。左右対称に2階への階段があり、2階も廊下があり繋がっている。階下はリビングルームで豪華な調度品、中央に応接セットが置かれている。この1階から左右どちらかの階段を上り回廊のように戻ってくることができる。2階での会話は、遺産相続人にしてみれば他の者を見下す または卑下するような物言いであり、探偵役(女子大生)からすれば、屋敷内の出来事を俯瞰し推理する、そんな位置取りになる。

梗概…常務・金森重鐘(登場しない)が亡くなった。彼は、遺産相続に関する遺言を、山奥の湖畔に立つ別荘「緋桜館」で公開するとして、自分の家族をそこに集めるように指示を出していた。遺産相続の条件は、権利を有する7人(妻や娘や孫、妾の子など)が全会一致で相続人を選ぶこと。しかし話し合いは難航を極めた。外は雨が降り土砂崩れにより、街へと出る唯一の道が塞がれ、車も使用出来ない。湖は霧に包まれ、小舟で助けを求めに出るのも不可能になる。備蓄はあったが、閉じ込められた人々は次第に疑心暗鬼になっていく。そして偶然?、この山奥で道に迷った女子大生が別荘で天候の回復を待つことに…。

女子大生2人がシャーロック・ホームズとワトソン役に扮し、それとなく事件(遺産相続)に関わっていく。冒頭からの人物紹介は、身内の中での立場、個々人の性格等を丁寧に行う。これは推理劇としての定番であり、その後の展開を観客にも推理させ興味をもたせる。人物及び現場の観察を徹底的に行い 得た手掛かり-物的証拠に関する科学的知見、過去犯罪事例の知識など-を分析し、事件現場で何が起きたかを推測する。観客も喜びそうな"アブダクション"を使う。この観せ方は上手い。

推理劇としてはあまり複雑にせず、どちらかと言えば何故この地-別荘で遺産相続の話し合いをさせたのか。確かに途中までは相続人の間における陰湿・陰謀など虚々実々の駆け引きが観えたが、そのうち、この地における埋蔵(金)という壮大な話題に取って代わる。金などの相続財産よりも土地という埋蔵(莫大)財産へ私欲が蠢く。まさに人間の欲望は尽きない。が、物語は故人の(過去)想いと土地伝説・伝承? を絡め、集められた遺族の人間模様に話の重点が移行し話の内容や雰囲気が変容していく。そして大団円という結末へ、少し拍子抜けといった感もある。もちろん遺産相続に係る絵図を描いたのは別者というオチもあるが…。
次回公演も楽しみにしております。
方丈の海

方丈の海

方丈の海2021プロジェクト

座・高円寺1(東京都)

2021/03/12 (金) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2011年3月11日の東日本大震災、その出来事を10年後の2021年3月に東京・高円寺で上演する。故石川裕人が黙示録的に描いた遺作、10年ひと昔前と言われるが、決して忘れてはならないと思わせる。被災地域に住んでいないため、日常的には何ら(直接)暮らしに影響を受けることもなく、ともすれば忘れてしまいがち。かと言って毎日意識するといったことは難しい、いや出来ないといったほうが正直だ。日々の暮らしに影響を及ぼす被災地の人々との意識のギャップは埋められない。それでも地続き、記憶にとどめ”何かを”といった思いを巡らせる。
(上演時間2時間)

ネタバレBOX

舞台セットは、この港町にある映画館がやや上手側にあり、下手側は奇妙なオブジェと出入口。
舞台は東北の港町。⼩さな⼊り江に漁港があり、半農半漁のこの町に200⼈くらいが住んでいた。しかし、あの⼤津波で町は全滅し、1館あった映画館(岡⽥劇場)だけが残った。館主の岡⽥英⼀は津波で⽣き残ったが目を傷めてしまった。岡⽥家族(⽗・⺟・1人息⼦)はバラックと化した映画館で今も暮らしている。そこに同居する震災で⽣き残った漁師の兄妹。

東⽇本⼤震災から 10 年。ひっそりと暮らすこの家族のもとに、遺骨を探す三陸の男、半⿂⼈カイコーを連れた興⾏師、地上げを企む不動産屋と秘書、謎の⽼婆、記憶をなくした伝説のサーファー、精霊(コロス)などが現れる。穏やかな日常を切り裂くように持ち上がった土地買収問題。なぜこの地を買い上げようとしているのか…。

たびたび現れる精霊(コロス)は、東日本大震災で亡くなった人々(亡霊)かと思って観ていたが、アフタートークで、生きていた先祖を表現していると。時代を経ても地続き、そこでの(先祖も含め)暮らしを表現しているらしい。震災があろうがなかろうが生活の場であり、なかなかこの地を離れることが出来ない。事実あった出来事を、特異・特徴ある人々を登場させ、敢えて現実的(リアル)にせず喧噪的に紡ぐ。ノンフィクションでありながら、何故か賑々しい人々によってフィクションの様相をみせる。その演出の柔軟性に驚かされる。しかし、底流には醒めた視点で「時間を記録」し「人々の記憶に留める」ような強靭さがあるのだ。

東日本大震災の黙示録的な本作は、時間を超越しドキュメンタリー要素を垣間見せる、”力作”。舞台終盤、第三暁丸が微かな希望をのせて 10 年ぶりに船出する、は明日への希望と活力を意味する。
次回公演も楽しみにしております。
お後がよろしくありますように

お後がよろしくありますように

大人の麦茶

ザ・スズナリ(東京都)

2021/04/14 (水) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

ほのぼのチラシで名のみ知る劇団を「配信」で観劇。舞台は舞台として、まず劇団の持ち味を知りたい自分は「いつもと少し違ってた」らしいレビューも参考に探ってみる。若手のインディペンデント色の強い劇団と勝手に想像していたのだが、俳優が割と容姿的に粒揃いでハードボイルドやっていたのは意外。その意味で(年齢の問題でなく)「若手」という印象ではない。後で調べてみると15年前あたりに第十二回公演とあるので実は20年選手、紀伊國屋ホールでやってたりしたと知れば益々印象は変わる。
「カッコ良さ」を演出する石澤氏のギター生演奏は今回の趣向でなく、過去からお馴染みのものらしく、チラシが醸すほのぼのイメージはほぼ消えた。

ネタバレBOX

舞台の方は「探偵」「裏社会」をコロナの現在を時代設定にうまくフィクション化していたが、ストーリー的に突っ込みどころは多々ある。ただそこを脇へ置いて見ている自分がいる。何を見ているかと言えば、役者の放つ魅力?というよりやはり容姿力だったように振り返る(今の)自分がいる。ぶすが泣いても石投げられるが美少女の涙はそのストーリーに入りたいと男に思わせるというベタなアレであるが、作者は役者陣を当て込んで作劇をしている模様。
新型コロナの世情ならではのエピソードが考えられているのは特徴と言える。夫が職場で事故に遭っても濃厚接触者なので搬送先の病院に入れない、と訴えに来た妻(看護師)に、「探偵」グループは妻を女性弁護士に変装させ「非合法に」夫に合わせる措置を取る。そこには過剰な警戒が人権を損ねている現状への批判的眼差しがある。
ただ、「go-toも五輪もやめちまえ」と言う台詞は少々芸がなく感じる。

go-toも五輪も利権の産物であるのは共通であるが、経済政策としてのgo-toは、実施を前倒しした事、県境を越えさせた事は全くの「コロナ無視」。その事をもって利権性が露呈した。が、産業へのテコ入れは必要だ。
五輪については運営のまずさをもっと反省すべきだが五輪そのものに罪はない。「コロナ拡大イベント」にならない開催方法が探られて良く、「どうせ利権だ」と全否定すべきでないと個人的には思う。
否定論の理由の一つに日本人のワクチン接種率の低さが挙げられているが、6万人の選手と関係者分のワクチン接種で「感染イベント化」は防止できるのでは?と思う。 (接触する人の片方が「隔離人口」に含まれていればそこでは感染は起きない、という単純な理屈が忘れられている。)
欧米に比べて2桁も低い感染率の日本の現状で大騒ぎしてるのは、殆ど医療体制の問題だ。この医療体制・検査体制の問題に殆ど手が付けらておらず、しかもそれへの批判が見られない事は、私には人々が「本気」でこの病気を克服しようとは考えていない証ではないかと思える。病気より、自分が「悪」の側に認定される事の方を恐れている・・?

大きい話になるが、感染弱者(重症化しやすい人)を「感染から保護する」という観点が語られないのももどかしい。
もっとも日本の高齢者は人口の三分の一近いので「隔離」という言葉のイメージにはそぐわないが、感染弱者の行動の自由を確保するために、未来を担う若者が貴重な「行動」「体験」の機会を奪われ、全体の活動を制限することで経済は停滞し、結果日本全体を損ねている事が、このコロナ禍下の「厳しい現実」でもある。(1年余で1万人超のコロナ死者数は、交通事故死3千人やインフルエンザの数千人より多いが、元々高かった自殺者2.1万人は減少傾向から上昇に転じた)。
これが「感染防止」という価値最優先社会の帰結だとすればどうだろう。。
経済についても、停滞にコロナが追い打ちをかけている今、根本策に踏み出す時ではないか、と考える所だ。
たとえばオンラインであれオフラインであれ、回せる経済を回すには、人々がその場その場で泉から汲んだ水(=モノ・金・サービス)を経済の回路に注ぎ込むあらゆる機会を可能にする事だ。それには手近な所に泉があり、そこに色んな所から水が流れている事。大元の供給者は政府である。「格差の固定化」にこだわる狭量な人間を無視できるなら、「サービス使用権(通貨)」を全体(個人や個人に近い単位である中小企業)に振りまく政策が最も有効ではないかと考える所以である。

関連して、感染弱者(重症化しやすい人)は「出歩かない」事で身を守る選択肢が与えられるべきで、個人が「出歩く」選択をして感染すればそれは自己責任だ、という考えに到達できるかがカギだと思う。
この論は「医療逼迫」への処方箋ではないが、逆に、医療現場は過重な労働を強いられない自由がある、と考えるべきだ。
残る問題は行政の領域になる。お上頼み、ではなく私たちが真摯にそれを求めて行く必要がある。行政は医療の受け皿を縮小してきた方針を見直し、再編を試みるべきだが、この時、各個病院・施設が馴染みある働き方や地位を保証されてきた過去と決別し、公共機関としての使命の下に(消防士と同じく)再編に応じる覚悟ができるか、ここは大きな障壁になる。
医師会を票田に持つ自民党に抜本的な改革は無理、だからどうでもいい時短要請、緊急事態宣言(言葉だけは仰々しい)しかやれていない、との勘繰りにも合理性がある。

ただし、検査体制の方は「増やす」という話なので進められるのではないかと考えるが、これが一向に進まないのはお金を渋っているからだろう。民間の検査機関を含めれば隣国や欧米諸国と遜色ない検査数の分母が用意できるのに、やらないのは無料PCR検査に民間を絡めると業者に払う金が要るから、という単純な話。「お金の使いどころ」で五輪を批判するのは大いに賛成だ。(そもそも復興五輪だったのに五輪の恩恵がないばかりか被災者に優しくない政策ばかりやって来た。)
検査の話、歯科医や薬剤師にも技術を習得させ、検査拡大しようという話が出ているが政府は相手にもしていないようだ。「本気」でコロナと対峙しようとしていないのが判る。
なぜ検査拡大が必要か。発症前感染者(最も感染力が強い)を把捉するためだ。これができないから感染防止は一向に進まない。

でもこの状況はあの原発事故を起こしてさえ原発利権構造を解体できなかった日本では、自然な光景なのだろう。従前のあり方が「成功」だと思い込んでいる日本人に、従前の形を手放す勇気などなく、ゆでがえるのように凋落の時を待つしかできない。

・・・つまり、「五輪」は汚れた利権構造の象徴だが、これを叩くだけではコロナ状況の根本問題は解決しない。
以上、「少々芸がない」、と書いた理由。
ボイルド・シュリンプ&クラブ

ボイルド・シュリンプ&クラブ

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/04/29 (木) ~ 2021/05/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

やっぱり生で見なくちゃ!!と思った2時間ちょっと。アフターイベントも楽しかったです。

波高けれども晴天なり

波高けれども晴天なり

無名劇団

大阪市中央公会堂(大阪府)

2021/04/17 (土) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽日観劇。
やはり尾形大吾さんは存在感ありましたね。
そして今回も泉侃生さんの個性が爆発してました!
女性がまだまだ生き辛い大正の時代。
画家とアトリエオーナー、そして女優、己が道を信じ生きた人達。
芸術って何なんでしょうね?
不要不急って何なんでしょうね?
でもこの公演で、私は元気と生きる活力を貰えたよ。
演劇って良いよね、胸張って頑張って信じる道を進んで行こう!

産声は挽歌の如く

産声は挽歌の如く

大陸窃盗団

EARTH DIVER(大阪府)

2021/04/17 (土) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初日観劇
暗黒街のヒーロー爆誕!
男装の奇人・変人・怪人…
若き日の明智小五郎と、友人、遊女、恩師の物語が垣間見れ、且つ怪事件も飄々と解決!

いつもの男優さんに、妖艶でお綺麗な女優さん、そして颯爽とした越境者さん!
あっと言う間の100分、楽しく観入った。

主演の一二三礼は前回公演から雰囲気をガラリと変えて面白かった。
友人役:福塚すみれさんは前回拝見したピノキオと、こちらもガラリと雰囲気を違え、艶やかな感じでビックリ。
前回公演に引き続き後出演のC-maさんや綾子さん、そして芯の通った感じの彩歌さん、異色の優子さん等々、とんでもない女優陣に対して、だるままどかさんの公演には欠かせない岡田さんと、血だらけ勇人さんが参戦し、とても面白くて異色な明智小五郎シリーズが始まり始まり♪

追伸、会場のEARTH DIVER Cafe & Diningさんで、観劇前にチキンカレー900円を頂きました。
とてもスパイシーなのに、それほど辛くなく食べやすいカレーでした。美味しかったです。
ごちそうさま。

銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

青年団

江原河畔劇場(兵庫県)

2021/04/16 (金) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

平田オリザさん作の銀河鉄道は2度目の観劇。
本やアニメ、想稿より台詞が直接伝わって、ジョバンニやカンパネルラの子供らしいさが、とても良かった。

妻も観たいと言うので2人で遠出。
来れないと思ってた念願の江原河畔劇場に来られて感激!

『無表情な日常、感情的な毎秒』4月公演

『無表情な日常、感情的な毎秒』4月公演

エンニュイ

飯島商店(神奈川県)

2021/04/24 (土) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/04/24 (土) 14:00

2月、3月とは会場を変え、日本間での上演。しかも2階で表の道にも面しているので途中で演者が階段を下りて外で演技をする(観客は開けた窓越しに観る)という大胆な演出あり、小屋主さんによる民族楽器等の生演奏ありと大きく変貌。
1年がかりの「主題と11の変奏」、第2変奏でここまで変わるとはオドロキ。
さて、あと9つの変奏はどうなる?そしてどこに行き着く?

ドップラー

ドップラー

KOKOO

シアター風姿花伝(東京都)

2021/04/20 (火) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

重なり合う物語の断片を繋いでいくのは、躍動する人々の息遣いだ。

浦島太郎。うさぎと亀。月の上の足跡。お弁当箱。

積み上げられていく断片がしだいにひとつの出来事を形作っていく。

クセになりそうな疾走感とそこからにじみ出る切なさ。

不思議で楽しい時間だった。

てくてくと【4月28日~4月30日公演中止】

てくてくと【4月28日~4月30日公演中止】

やしゃご

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/04/17 (土) ~ 2021/04/30 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇中に登場する障害者と呼ばれる人もそうでない人もそれぞれの「困ったこと」や歪みなどを抱えていて、能力も特性もさまざまだ。

(じゃあ普通って何?)という問いは当然浮かぶけれど、そういう一般論に落とし込むよりまずは劇中の彼ら・彼女らに気持ちが寄り添う。

細やかな感情表現、会話のリアルさ、ゆるやかなユーモアと切実さのバランスなど、脚本を存分に活かす俳優陣の演技の誠実さも印象に残る。

今回も何ていうか、一つひとつの場面が明日も明後日もここで繰り返されるのだということが信じられないくらいリアルで切実な時間だった。

斬られの仙太【4月25日公演中止】

斬られの仙太【4月25日公演中止】

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/04/06 (火) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

4時間20分という長丁場にじっくり浸る。

『楽屋』で言及されていたのでタイトルだけは知っていたけど、そうか三好十郎氏の戯曲なのか、と改めて。上村聡史氏の演出の切れ味が冴え、オーディションで選ばれたキャスト陣も手練れ揃いで見応えがあった。

1934年初演の戯曲が今もなお時代の矛盾を抉り出す。観客の集中力も途切れず、充実した時間と空間。カーテンコールはトリプルとなった。緊急事態宣言により急遽翌日は休演となりこの日が実質的に千秋楽となった。

ボイルド・シュリンプ&クラブ

ボイルド・シュリンプ&クラブ

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/04/29 (木) ~ 2021/05/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

4話を一気に上演した回のため全体の熱量というかいい意味でのお祭り感が他の公演とは違うのかもしれないが。テンポ感が自分にはしっくりいって終わってみて振り返ると一瞬だった印象

ナイト・クラブ

ナイト・クラブ

黄色団

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2021/04/16 (金) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

叶わない恋 生き方 ラブ・ストーリーだけでは括れない
芝居と現実との境界線をぼかして現実感を出す演出が、
暖かい物語の芝居に上手く効果を出していた。
とてもよかった。

ボイルド・シュリンプ&クラブ

ボイルド・シュリンプ&クラブ

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/04/29 (木) ~ 2021/05/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

椎名亜音さんはひたすら元気。開幕からカーテンコールまで凄まじいエネルギーを発散しまくっていた。③での宇田川美樹さんの悪徳刑事はハマり役。今月閉館の決まったアップリンク渋谷で去年『ディープロジック』を観たことを思い出す。映画でも女ジョーカーのようなヴィランをふてぶてしく演じていた。こういう役が好きなんだろうなあ。
花奈澪さんはまさに峰不二子。
高宗歩未さんはどんな役でも様になるので、制作側としては最高の素材であろう。
④の土屋兼久氏の佇まいが最強の敵の雰囲気で盛り上がる。
①②③と観て来た積み上げもあり、④がかなり面白い。勿論全部観た方が良い。

③デリヘル店のサンドイッチマンが口論中の揉み合いで店長を殺害してしまう。恋人のデリヘル嬢と当てのない逃避行へ。下の階に事務所を構える探偵二人がその様子を不審に思い尾行を開始。店の利権に絡んでいた悪徳刑事も執拗に追跡。
④妻からの依頼で潔癖症のエリート警視の浮気調査を。振り込み詐欺グループとの奇妙な癒着関係に勘付く探偵。

ネタバレBOX

③がもう『シティーハンター』調のアニメ的展開でどうも話に乗れなかった。デリヘル店の店長が従業員の親を脅して二千万円恐喝とかリアリティーがまるでない。
④がきっちりした話で秀逸な出来。多面的に話が語られていく構成が成功。
ただ土屋兼久氏が高校時代の暴行事件から潔癖症になった設定がイマイチ。もっと彼のキャラクターを掘り下げれば凄い物語になった気がする。高宗歩未さんが卒業アルバムから証拠を突き付けるのも切れ味が悪い。ラストの変化球を予告して投げ、バットを持つ探偵が迎え撃つ絵は素晴らしかった。
こどもとつくる舞台『花をそだてるように、ほんとうをそだてています。』

こどもとつくる舞台『花をそだてるように、ほんとうをそだてています。』

ひとごと。

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/03/24 (水) ~ 2021/03/28 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

後日、映像で鑑賞。
思っていた以上によい。大人の言語に翻訳できない不分明な子どもの言語世界の秩序(又はカオス)を大人が体現する。
壊れやすいしゃぼん玉の中の世界を、守ろうとする感覚は自然や健気さや美に対する人間の本能的な性質に通じるのだろうか・・。演者はそれぞれ子どもの味方となる「大人」に同期した存在。父親になって間もないお父さん、生涯独身で自分の生き方を楽しんでる親戚のおばさん、女子高生の娘を持つ何でも話せるお母さん、バレリーナを目指す近所の憧れの的のお姉さん・・。
原作者=子どもたちの作ったと思しい登場キャラ・・ふたしかちゃん。いっぱいいっぱい先生。あるがまま(有賀茉奈、のイントネーションで。以下同)ちゃん、あるがわかちゃん? どっちでもないばあちゃん。

引き結び

引き結び

ViStar PRODUCE

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/04/21 (水) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/04/24 (土) 14:00

座席1階1列

ソワレの予定が急遽マチネを観ることに。別チームでしたが思いがけず結回が観られて良かったです。個性豊かな俳優陣、みんなのファンになっちゃう。内容もいろいろ考えさせられるお話が詰まっていて面白かったです。もしかしてシリーズ物なのかな?回収されなかった伏線がどこかで活きてくるのかな?と気になりました。
時節柄、カテコまで涙をもらいました。感動。

ウェイトレス

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東宝/フジテレビジョン/キョードー東京

日生劇場(東京都)

2021/03/09 (火) ~ 2021/03/30 (火)公演終了

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